1 山口宇部空港の利用拡大について 2 異常気象を逆手にとった農業振興について 3 能登半島地震から学ぶ取組について 4 その他
───◆─・──◆──── 午後一時開議 副議長(島田教明君)休憩前に引き続き会議を開きます。 ───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第二十号まで 副議長(島田教明君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第二十号までを議題とし、質疑の議事を継続いたします。 松浦多紋君。 〔松浦多紋君登壇〕(拍手) 松浦多紋君 県民の誇りを育む会、松浦多紋でございます。皆様お疲れのところではございますが、私にお時間を頂戴させていただきたいと思います。 まず初めに、山口宇部空港の利用拡大について質問させていただきます。 日本国内には、全部で九十七の空港があります。ありがたいことに山口県には二つの空港が存在し、岩国錦帯橋空港は山口県民のみならず、隣県である広島県民の方も便利に利用されています。 平成二十二年五月二十九日から新滑走路の運用が開始され、平成二十四年十二月十三日に岩国錦帯橋空港が開港し、民間航空会社による定期便が昭和三十九年以来四十八年ぶりに再開されましたが、設置管理者は米軍となっており、主導権はアメリカにあります。 一方、山口宇部空港は国内に二十八か所ある拠点空港となっており、管理体制の内訳で分けると、会社管理空港が四空港、国管理空港が十九空港、そして当空港は、五空港ある特定地方管理空港と言われる空港となっております。 申し上げました二つの空港がある山口県ですが、山口宇部空港に関しては、山口県が管理できる空港であるため、空港としての機能をもっと充実し、利活用の促進を進めることができないだろうかと思います。 様々な航空機を有する企業・団体、そして組織に向けて山口宇部空港の利用促進を推進する。滑走路を使った企業誘致とでも言うべきでしょうか。 本年二月には、日本航空が物流業界の人手不足への対応解決策を見いだしながら、貨物郵便事業を旅客に次ぐ柱に育てていくことを目標に、十三年ぶりに貨物専用航空機の運航を再開され、話題となりました。 また、全日空、熊本県、熊本国際空港株式会社は、半導体関連の輸送需要に対応するため、国際航空貨物の取扱いを強化、定期便化を見据えて、本年三月二十九日に貨物専用大型機を運航しました。 空の物流に対して取組を始めることは、半導体などの企業誘致を推し進めていく上で、航空機輸送のノウハウを備えている場所であることが誘致の切り札になると思います。 また、防府市には、航空自衛隊防府北基地の滑走路はあります。プロペラ機では着陸可能であった滑走路が、近年の航空機のジェット化により着陸が困難な状況になっているそうです。そのような状況などを踏まえ、自衛隊機を山口宇部空港への利用オファーをすることはできないものでしょうか。 激甚化する災害や南海トラフ地震などの備えも含め、山口宇部空港への自衛隊機の発着陸を頻繁に行っておくことは、有事の際の救助・復旧活動における重要と言われる初動のタイミングも早く行え、万が一、被災された人の救助はもちろん、インフラの一刻も早い復旧につながると考えます。 先ほども述べましたが、山口宇部空港は山口県が管理できる空港です。国内線の定期便の発着、チャーター便などの国際線がメインになっているだけでは、持っているポテンシャルと様々な可能性を一○○%発揮できないと考えます。 もっと様々なことに取り組み、利活用することで、県益につながる切り札にもなり得ますので、利用促進の取組を推し進めていただきたいと考えています。 そこでお尋ねいたします。山口宇部空港が持つ多種多様な可能性を引き出すため、県としてどのようなビジョンを持ち、利活用に対してどのような取組をされていかれるのか、御所見をお聞かせください。 次に、異常気象を逆手に取った農業振興についてです。 まず、農研機構について御説明をさせていただきます。 我が国の農業と食品産業の発展のため、基礎から応用まで幅広い分野で研究開発を行う機関です。この分野における我が国最大の研究機関であり、正職員数は約三千二百名、二○二三年度決算で年間予算九百五十億円、うち運営費交付金が六百四十五億円です。 全国各地に研究拠点を配置して研究活動を行っています。平成二十八年に国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構となりました。 その農研機構から二○二三年十月、水稲の主食用品種、にじのきらめきで、収穫後に伸びてくる、ひこばえを実らせてもう一度収穫する再生二期作の技術を開発したと発表がありました。 合計収量は十アール当たり九百五十キロ。一作目は地際から四十センチほどで刈り取ります。地上部に栄養を多く残して、二作目の収量を確保する。温暖化による春と秋の気温上昇など生育可能期間が長くなったことに着目した技術で、関東以西の温暖地で可能となります。 福岡県筑後市の水田で二○二一年、二二年に試験され、一作目は、四月中旬に移植し八月上旬に収穫。このとき地際から四十センチほどで高く刈り取り、追肥して再び入水し、ひこばえから穂を実らせ、十月下旬に二作目を収穫する。十アール当たりの収量は二年間の平均で、一作目が約六百キロ、二作目が三百キロ。二一年は合計千十六キロと一トンを超え、県内の米平均収量の二倍に上がったそうです。 移植時期や一作目を刈り取る高さを変えて試験し、四月中旬に移植して高く刈った場合が最も収量が高かったという結果です。 地上部に残された栄養分が多いほど、二作目の穂数や、もみ数が増え、食味は、一作目と二作目で変わらないことも確かめられました。 一作目の高刈りと二作目は稈長が短くなるため、収穫には汎用コンバインが必要になります。一作目の収穫時にクローラーで株を踏んでも、ひこばえは発生します。二作目は、用水の確保、追肥の時期や量の調整、トビイロウンカなど病害虫対策などにも留意が必要です。 様々な障害になることもありますが、日本の食料自給率の向上や農家の方の収入の向上など、デメリットよりもメリットのほうが圧倒的に多い事例だと思います。 同機構は今回の技術について、試験地の福岡県と同様の温暖な地域であれば、関東以西で可能とし、海外では、より温暖な中国南部などで盛んに行われていると言われています。 同機構の九州沖縄農業研究センターは、地球温暖化が進む中で普及していく可能性がある。高温を利用し、適応する技術だと言われています。 山口県における水稲の奨励品種である、ひとめぼれ、コシヒカリ、晴るる、日本晴、きぬむすめは早生品種に分類され、農研機構と連携し、再生二期作の技術研究をすることができれば、奨励品種栽培による大幅な収量アップにつながり、令和七年度施策重点化方針に記されていらっしゃる、本県の成長のエンジンとなる産業力の強化である食料の安定供給の確保に向けた強い農林水産業の育成につながり、魅力ある農業の担い手の確保・育成という深刻な人手不足への解消につながると思います。 山口県には県立農業大学校もあり、昨年四月に供用が開始された農林業の知と技の拠点もあります。農研機構と連携し、温暖化という異常気象を逆手に取った水稲をはじめとする農業における先進県になれる可能性を秘めていると思います。 そこでお尋ねいたします。異常気象を憂うのではなく、逆に利用してしまうくらいの農業振興、前向きな取組が急務です。激変していくであろう自然環境下で、県はどのように農業振興へのかじ取りをしていかれるのか、御所見をお聞かせください。 次に、能登半島地震から学ぶ取組についてです。 住宅の耐震化について、まず質問させていただきます。 本年元日に発災いたしました能登半島地震から既に十一か月が過ぎましたが、今なお被災直後に被災地で起こっていた光景が脳裏に焼きついています。九月に起こった豪雨災害も併せ被災され、今なお不自由な生活を強いられていらっしゃる皆様にお見舞い申し上げますとともに、復旧・復興に向け御尽力いただいている皆様に衷心より感謝申し上げる次第です。 私は、本年の二月定例会におきまして、同じ発言項目で発災後の取組について質問をさせていただきました。 発災直後の問題解決、復旧体制の確保、グローバルな情報提供、DXを活用した被災状況の把握などを質問いたしましたが、今回は、防災・減災の観点から質問をさせていただきます。 減ってはまいりましたが、今なお報道で能登半島地震のことを見聞きいたします。災害関連死二百三十五名を含む震災での死者数は四百六十二名に達しています。発災後の地震による被害で亡くなられた方は二百二十七名。亡くなられた方の多くが住宅などの建物崩壊によるものであったと言われています。 元日の震災では、海岸線の隆起や沈降にも驚かされましたが、私が最初に見た映像は建物の倒壊でした。現地の震度は最大震度七、石川県全域で六弱から六強の揺れに見舞われ、石川県内では、全壊した住家が六千五十九棟、一万九千百五十棟が半壊という状況と聞きます。 平成三十年の石川県の耐震化率は八二%、山口県における耐震化率は八一・二%。どちらかというと耐震化が進んでいなかった両県ですが、備えあれば憂いなしということわざどおり、耐震化率がもっと進んでいれば倒壊による人命が奪われる被害はもっと少なくできていたのかもしれません。 また、倒壊による被害は直接的な被害だけではなく、倒壊した家屋の瓦礫が避難路を塞いでしまったり、倒壊した家屋に取り残されてしまい、一定時間は倒壊した建物の中で存命だった人が、次第に状態が悪化して亡くなる、危険にさらされている方の救助の妨げとなることが起こり、倒壊が少なければスムーズな救助が行えたのかもしれません。 同じ規模の揺れが発生した際に、山口県において、住宅の倒壊による被害を最小限にするための住宅の耐震化率向上に向けたさらなる取組が急務です。 二○○八年、山口県の耐震化率は約七○%でしたが、平成三十年、二○一八年までの十年間で一一・二%向上できています。地震による建築物の被害及びこれに起因する人命や財産の損失を未然に防止するため、旧耐震基準で建築された建築物の耐震診断や現行耐震基準を満足していない建築物の耐震改修を総合的かつ計画的に進め、本県における建築物の耐震化を促進することを目的に、山口県耐震改修促進計画を立てられ、平成十九年三月から耐震化の促進に対し取り組まれていらっしゃいます。 その成果もあり一一・二%の向上につながったと思いますが、同じ十年間で他県では岩手県が一六・四%、宮城県が一五%、大分県が一四%向上しています。 また、十四年間と期間こそ異なりますが、埼玉県では二○・二%も向上をしています。耐震化率イコール倒壊ゼロとはならないと思いますが、倒壊の危険を防ぐ意味で耐震化の向上は欠かせないことだと考えます。限りなく一○○%に近い耐震化率に期待をしております。 また、過疎地では高齢化も耐震化をちゅうちょする要因になっていると見られ、能登半島地震の被災地では、石川県輪島市と珠洲市の住宅耐震化率はそれぞれ四五%、五一%、現行耐震基準前の昭和五十五年以前に建てられた住宅の比率は、珠洲市が六五%で、総務省が調査した全国の市区町村で最も高くなっており、能登町六一%が上から二番目、そして輪島市五六%が五番目と、能登半島で住宅の老朽化が際立っていたそうです。 山口県内にも過疎が進んでいる地域も多く、同様にその地域では高齢化も進んでいるので、その地域にお住まいの方へ手を差し伸べるよう努めていただきたいものです。 そこでお尋ねいたします。令和七年度までに住宅における耐震化率九○%を目標に、山口県耐震改修促進計画に取り組まれていらっしゃいます。計画に示されている想定地震では、建物倒壊など詳しく予想されていらっしゃいますが、少しでも被害を減らすため、過疎化が進んでいる地域はもちろん、県内全ての市町とさらに連携を密にし、耐震化の促進を期待いたします。 現状の成果並びに助成制度など含め、今後どのように取り組んでいかれるのか、県の御所見をお聞かせください。 また、山口県内に存在する空き家など、状態は様々です。原型をとどめているものもあれば、既に崩れ始めている空き家も存在しています。幹線道路や生活道路に面し、強い揺れにより倒壊してしまった際には、救助や復旧作業の妨げとなることが容易に予測できます。 特に崩れ始めている空き家に関しては、早急な対策が必要と感じます。市町と連携し空き家対策は取り組まれていらっしゃいますが、防災・減災の観点から、さらなる取組強化が必要と思います。県として、それらの空き家に対してどのような取組をされていかれるのか、併せて御所見をお聞かせください。 次に、津波からの避難についてです。 さて、山口県耐震改修促進計画で示されている想定地震の被害では、死者の主な原因の九五%が津波による可能性が示されています。もちろんこれは南海トラフ地震を想定した被害想定です。 気象庁が想定する津波は、山口県の瀬戸内海の離島を含む瀬戸内海沿岸で二メートルから五メートルの高さが表記されています。四国の太平洋側よりは津波の到達も時間がかかると思いますが、高齢の方が多く住まわれ、耐震化が進まず倒壊してしまった家屋などが行く手を阻み、思った以上に避難に時間がかかってしまった場合、高台などへの避難ができないことも予測されます。 昨年四月の時点で、全国の自治体が設置した津波避難タワー等の数が五百五十になったことが内閣府の調査で分かったそうです。高台などが近くになく、避難が難しい地域の解消を目指す動きが加速しております。 その五百五十の内訳は、津波避難タワーが四百三十一基、命山などと呼ばれる盛土が七十三か所、人工地盤が四十三か所、避難シェルターが三か所となっており、津波に対する備えは全国の津波想定地域で進んでいます。 静岡県伊豆市には、海水浴場の近くに観光施設も兼ねた避難タワーがオープンし、地元の方はもちろん、海水浴に来られた方や観光に来られた方も避難場所として分かりやすいと好評だということです。 先ほども述べましたとおり、ここ山口県の離島を含む瀬戸内海沿岸は津波到達の可能性もあり、住民の方が津波から命を守る際、様々なことを想定をしなければいけません。その想定の一つに、津波避難タワーの設置は必要と感じます。 国では、指定緊急避難場所を指定するに当たって必要となる施設や避難地、避難路、避難経路等を整備・保全する場合に、一定の条件下で活用可能な補助制度等を用意されており、しっかり活用していただいた上で前向きに取り組んでいただきたいと考えます。 そこでお尋ねいたします。迫りくる南海トラフ地震における津波からの避難として、避難タワーなどの設置は不可欠だと考えます。避難タワーがあったなら、建設していればなど、県民の命を守る取組に、たらればがあってはならないと思います。補助制度等の活用も期限などあり、待ったなしの状況です。 県として、津波から県民の命を守る取組をどのようにしていかれるのか、御所見をお聞かせください。 最後に、一言お礼を申し上げさせていただきたいと思います。 令和七年度当初予算編成方針では、山口県が抱える喫緊の課題である人口減少対策に対し今まで以上に力を入れられ、克服していこうとされる強い意思を感じております。 人口の社会減対策での多様な人材の確保・育成における様々な取組の中で、農林漁業、建設業の担い手の確保・育成も記載されています。 農林漁業、建設業の担い手の確保・育成につきましては、高校教育の時点から育成が始まるものと私は思います。何度も行われた県立高校の再編により、それらの分野を学びたい若者の学習の機会がなくなってしまった結果、担い手の減少につながっているのではないでしょうか。定員割れという判断基準で廃校などにするのではなく、定員割れになっても担い手の確保につながる学びの機会をつくっていくべきだと私は思います。 山口県が以前から危惧している問題をもっと真摯に受け取り、学習の機会を減らす再編ではなく、増やす再編に取り組むことができないでしょうか。廃校になってしまう高校の校舎を再利用するなどして、新たな分校の設置、通学しやすいエリアに立地する既存高校への様々な学科の追加などし、農林漁業や建設業の担い手の確保・育成はもちろん、山口県が抱える多くの分野の担い手の確保につながると思います。 部局間の連携を今以上に密にし、チーム山口としての束となり、喫緊の課題に取り組んでいただきますことを要望し、私の一般質問とさせていただきます。 御清聴、誠にありがとうございました。(拍手) 副議長(島田教明君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)松浦議員の御質問のうち、私からは、住宅の耐震化に関する空き家への対応についてのお尋ねにお答えします。 本県の空き家率は全国平均を上回っており、世帯数が減少傾向にあることから、今後も空き家の増加が見込まれており、空き家が長期間放置されると、倒壊の危険性や防災上、衛生上の問題が生じ、周辺住民の生活環境を損なうことから、その対策は喫緊の課題であると認識しています。 このため、私は、やまぐち未来維新プランの重点施策に空き家対策の推進を掲げ、実施主体である市町と連携しながら、空き家の適正管理や利活用の取組を一体的に進めているところです。 この中で、適正に管理されず、放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある空き家については、空家等対策特別措置法に基づき、市町が特定空家等に認定し、所有者等に対して必要な措置を取るよう指導、勧告等を行うことができることとなっています。 県としては、こうした空き家対策を的確に行うことが防災・減災にもつながることから、法に基づく措置が円滑に行えるよう、市町に対し必要な情報提供や技術的な助言を行っています。 また、空き家の利活用等の重要性について、セミナーや様々な広報媒体を通じて県民に周知し、理解を促す等の取組を進めています。 私は、引き続き、周辺の生活環境の保全はもとより、防災・減災の観点からも、市町と連携した空き家対策を進めてまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 副議長(島田教明君)道免観光スポーツ文化部長。 〔観光スポーツ文化部長 道免憲司君登壇〕 観光スポーツ文化部長(道免憲司君)山口宇部空港の利用拡大についてのお尋ねにお答えします。 山口宇部空港のビジョンについて、県では、やまぐち未来維新プランに、交流を活発化する交通ネットワークの機能強化を掲げ、山口宇部空港の交流拠点化を推進することとしています。 空港の利活用については、航空会社や関係団体等と連携した観光需要の喚起や、各種媒体を活用した情報発信等に取り組むとともに、二次交通とのアクセス改善による空港の利便性向上の取組により、国内便の利用促進を図っているところです。 また、旺盛なインバウンド需要を確実に本県に取り込むため、国際チャーター便の誘致に積極的に取り組んでいます。 さらに、定期便の運航に支障がない範囲で、民間航空機や貨物専用航空機などの運航にも活用しているところです。 県としては、引き続き、関係団体等と連携し、山口宇部空港の交流拠点化を推進するため、利用促進に取り組んでまいります。 副議長(島田教明君)大田農林水産部長。 〔農林水産部長 大田淳夫君登壇〕 農林水産部長(大田淳夫君)異常気象を逆手に取った農業振興についてのお尋ねにお答えします。 農業は、産業の中でも気候変動の影響を受けやすく、近年は、温暖化による農作物の生育障害や品質低下等が顕在化していることから、県では、県民への食料の安定供給に向けて、農研機構や地元大学等と連携し、気候変動にも対応できる新たな品種や技術の開発を進めてきたところです。 具体的には、まず、高温条件下においても高い収量や品質を確保できる品種の育成に向け、耐暑性を有する水稲の新品種を選定するほか、高温下でも濃い緑色を保持できる小ネギの新品種を民間種苗会社と共同開発し、産地への導入を進めています。 また、高温により引き起こされる米の白濁化やミカンの日焼け症状などの障害を軽減するため、栽培方法の改善や資材の利用技術を開発し、関係機関と連携して普及を図っています。 さらに、冬期の気温上昇を水稲の生育期間として活用するため、冬の間に種もみを水田に直接播種し、春の田植作業を分散する省力生産体系についての研究を開始しているところです。 なお、お示しの水稲の再生二期作については、専用のコンバインが必要であるものの、省力で収量増加などの経営メリットもあることから、既に県内においても複数の生産者で導入されています。 県としては、今後とも、農研機構や大学等とも緊密に連携し、温暖化による気候変動や異常気象に対応できる新たな品種や技術の開発に取り組んでまいります。 副議長(島田教明君)大江土木建築部長。 〔土木建築部長 大江真弘君登壇〕 土木建築部長(大江真弘君)住宅の耐震化の促進についてのお尋ねにお答えします。 県では、山口県耐震改修促進計画を定め、住宅の耐震化の促進に向けた取組を進めており、これまで所有者等に対し、パンフレットの配布等により住宅の耐震化に関する普及啓発を図るとともに、国や市町と連携し、木造住宅の耐震診断や耐震改修などに対する補助を行ってきました。 この補助制度を活用し、累計で約千八百件の耐震診断及び約二百七十件の耐震改修がなされ、一定の成果があったものと認識していますが、本県の耐震化率は依然として全国平均を下回っています。 県としては、耐震化をさらに進める必要があることから、引き続き、国や市町と連携し、耐震化の必要性に関する意識啓発を行うとともに、耐震改修等の補助制度の活用を促すこととしています。 副議長(島田教明君)佐藤総務部長。 〔総務部長 佐藤茂宗君登壇〕 総務部長(佐藤茂宗君)津波からの避難についてのお尋ねにお答えします。 県では、平成二十六年度に南海トラフ地震に係る地震・津波被害想定を公表しており、県内では最大で三・八メートルの津波が到達すると予測されている一方で、地震発生後全員がすぐに避難を開始した場合、津波による死者数をゼロにできる可能性があるとされています。 このため、県民に対して、津波に関する正しい知識や発生時の迅速な避難行動について、防災ハンドブックの配布や災害体験VRによる防災研修等を通じた普及啓発を行うとともに、住民による呼びかけ避難など、地域の避難体制づくりの促進を図っているところです。 また、現在、地震・津波防災対策検討委員会において、南海トラフ地震等の地震・津波被害想定の見直しを行っているところであり、今後、その結果を踏まえ、地震・津波防災対策を一層推進することとしています。 なお、お示しの津波避難タワー等は、津波防災地域づくりに関する法律に基づき、迅速な避難の確保を図るために市町が指定する指定避難施設であり、その必要性については、市町において適切に判断されるものと考えています。