1 力強い水田農業の実現について 2 漁港の着実な整備・再生について 3 山口ならではの観光資源を生かした観光振興について 4 橋梁の強靱化について 5 スポーツを通じた若い世代の育成について 6 本県農林水産物等の大都市圏への物流対策について 7 その他
───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第二十号まで 議長(柳居俊学君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第二十号までを議題とし、質疑に入ります。 一般質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 国本卓也君。 〔国本卓也君登壇〕(拍手) 国本卓也君 皆様、おはようございます。自由民主党の国本卓也でございます。それでは、通告に従い一般質問をさせていただきます。 まず、力強い水田農業の実現についてお尋ねをいたします。 今年の夏、全国的にお米が品薄となり、一時的ではあるものの、一部店舗の陳列棚からお米がなくなったり、一人当たりの購入量が制限されるという事態が起こり、全国ニュースでも大きく取り上げられました。 その要因としては、前年度の高温による東日本を中心としたお米の品質低下や、急激なインバウンド需要の増加、さらには、新米に切り替わる八月に地震等が発生し、各家庭で備蓄用の購入量が増加したことなどが言われています。 一年ほど前には、全国的にお米が余っていると言われていましたが、くしくも、国が食料・農業・農村基本法の見直しを行った年に、一転してお米の品薄が発生したことで、食料安全保障の重要性、特に私たちの主食であるお米の大切さを再認識するきっかけになったのではないかというふうに思います。 一方、本県では、都市部ほど大きな混乱にはならなかったと感じています。 それは、県内各地に水田が広がり、全域で水稲が栽培されているという地域特性があることに加え、地産地消に積極的に取り組んでおられるスーパーやお米の専門店、JAの直売所、直接購入が可能な生産者など、県内のどの地域にも、お米を購入できる様々な方法があるからではないかというふうに思います。 しかしながら、農業者の高齢化が進み、水稲の栽培面積が年々減少している状況を打開できなければ、本県も、いつでも安心してお米を入手できる県ではなくなってしまうかもしれません。 県では、今年度から、水稲の作付面積を増やす取組を展開されており、大きな期待をしているところでありますが、私は、農業従事者が減少している状況にあっては、これまで取り組んできた農業施策をさらに加速していくことが重要だというふうに考えております。 その中心となるのが、水田の基盤整備であります。 本県の農業は、中山間地域を中心に展開されています。 山からしみ出す豊富な水や昼夜の寒暖差は、おいしいお米作りの条件の一つでもあります。 一方で、中山間地域は、平地に比べ、勾配も大きく、水田一枚の面積も小さいことから、一般的に条件不利地とされ、水稲の大規模生産が難しい地域でもあります。 そうした地域で、少人数で今の水田面積を維持できるようにするためには、作業の効率化や大型機械の導入が可能となる水田の区画整備や管理道の整備が重要であります。 また、国内のお米の消費量が毎年約十万トン減少していく中、国は、食料自給率・食料自給力の向上や米農家の所得向上を図るため、海外市場に積極的に進出し、輸出を拡大していくことが喫緊の課題であるとしています。 今後、本県で生産されたお米を、国内だけではなく、海外にも輸出していくためには、品質はもちろん、生産コストを今まで以上に削減し、競争力を高めていかなければなりません。 私は、そうした取組をしっかりと進めていくことが、これからの山口県農業を牽引していく、若い担い手たちに夢と希望を与えることにつながると確信しております。 そこでお尋ねをいたします。県民の皆さんに、将来にわたっておいしい県産米を安定的に供給していくため、農業生産の基盤である農業農村整備事業に、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、漁港の着実な整備・再生についてお尋ねをいたします。 三方を海に開かれている本県には、多くの漁港があり、本県のホームページでは、県営と市町営、合わせて九十三の漁港が紹介されています。 比較的規模の大きな漁港は、直売所や交流施設の整備、水産物流通の高度衛生化の実現などにより、水産の交流拠点としてにぎわっている一方で、規模の小さな漁港では、施設の整備や改修が進まず、老朽化が進んでいる状況にあります。 こうした中、国は、人口減少と高齢化が特に深刻な漁村のにぎわいを創出するため、豊かな自然や、漁村ならではの地域資源の価値や魅力を生かした、海業の取組を促進しています。 そして、令和四年三月に閣議決定された、水産基本計画及び漁港漁場整備長期計画には、海業の振興が位置づけられ、漁港を海業に利活用するための仕組みを検討していくとして、漁港が果たす役割に大きな期待が示されています。 漁港は、漁業の操業に必要な物資の供給や漁獲物の陸揚げ、水産物の流通、販売、加工など、消費者に新鮮な水産物を安定的に供給する役割のほか、漁船の係留や避難基地としての役割も有しています。 また、漁村集落独特の景観や、釣りなどレクリエーションの場となるなど、漁港には、地域外の人々を引きつける魅力もあることから、近年では、水産物直売所などが整備され、消費者と交流する場となるなど、多面的な機能を果たしています。 私の地元熊毛郡にも、規模は小さくとも、それぞれに歴史があり、漁業者が守ってきた三つの漁港があります。 水揚げ高は年々減少しているようでありますが、地元の漁業関係者の皆さんは、何とか漁港を有効活用し、後世に引き継いでいきたいという強い思いを持っておられます。 水産業や漁村にとって重要な社会資本である漁港や海岸施設の機能は、今後も適切に維持していかなければなりませんが、漁業関係者の皆さんの思いに応えるためには、それを維持するだけでなく、いかに有効に活用、再生していくのかという視点が大切だというふうに思います。 また、規模の小さな漁港の多くは、県ではなく、市や町が管理を担っているようでありますが、私は、本県漁業の振興はもちろん、漁村地域の活性化の視点からも、市や町だけに任せるのではなく、県にもしっかりと関わっていただくことが重要だというふうに考えております。 そこでお尋ねをいたします。三方を海に開かれた山口県の強みを生かすため、漁港の着実な整備とその有効活用に向け、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、山口ならではの観光資源を生かした観光振興についてお尋ねをいたします。 今年一月、ニューヨークタイムズ紙が発表した、二〇二四年に行くべき五十二か所に山口市が選ばれたことを受けて、私は、今年二月県議会の一般質問で、私たちが気づいていない観光的な魅力や価値のある、地域の隠れた観光資源の発掘への取組について質問をいたしました。 あれから九か月。御答弁いただいたとおり、隠れた観光資源の掘り起こしや、それを新たな起爆剤とした本県の認知度向上などの取組が着々と進められているものと期待をしているところであります。 こうした取組に加え、二月の一般質問でも触れたように、本県の観光振興のためには、世界的に認知度の高い観光資源とタッグを組んでいくことも必要であります。 現在、広島市から岩国市・柳井市に運行されている山口県観光周遊バスツアー「ふくの旅、山口号」は、残念ながら今月で運行終了となっていますが、例えば、これを日帰りでなく、一泊のツアーとして企画することができれば、山口ならではの隠れた観光資源と本県の地理的メリットを生かした県内周遊観光の可能性をさらに広げることができるのではないかというふうに思います。 一方で、県内には新たな観光資源を創出していこうとする動きも見られます。 昨年、県の、山口ならではの特別な体験創出支援事業補助金に、光市・平生町での、海底湧水サウナ、多島美クルージング、トレーラーハウス、離島の別荘一軒貸しなど、瀬戸内ブランドを生かした塩をテーマとした取組が採択されました。 地域の方も、その取組に関心を持っておられますが、残念ながら、地元への説明やPRが行われていないため、地域の中で理解や受入れが進んでいるとは言いにくい状況にあります。 この事業は、アウトドアツーリズムの創出を目指す県の絶大なる支援によってスタートした肝煎り事業だと思いますので、文字どおり、山口ならではの観光資源に育て上げるべく、県には責任を持って関わっていただきたいと思います。 加えて、県には、知名度のない地域や観光ルートから離れたエリアの取組を、国内外に広く知ってもらうための支援にも、積極的に取り組んでいただきたいと思います。 誰もが知る有名な観光地ではなく、知名度のない観光地や観光資源にこそ、行政の支援が必要であります。 二〇二四年は終わりに近づいていますが、ニューヨークタイムズ紙のニュースは、山口県にとって願ってもない大きなチャンスとなりました。 今後、ニューヨークタイムズ紙も目をつけた、あの山口に行ってみたいと思ってもらえるように、山口にしかない観光資源を生かした観光振興に取り組んでいただきたいと考えております。 そこでお尋ねをいたします。山口ならではの観光資源を生かした観光振興に、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、橋梁の強靱化についてお尋ねをいたします。 私の地元上関町では、令和二年十一月、長島と本土を結ぶ上関大橋の橋桁が損傷し、長期間にわたり、通行止めや車線規制、重量制限が行われたことで、通勤、通学、通院、買物など、町民の日常の暮らしは大きな影響を受けました。 当時、私は、地元県議として、上関町の皆さんが、一日も早く事故前の生活を取り戻すことができるよう、橋の早期復旧のため奔走いたしましたが、あのような事態を二度と起こしてはならないと、その後、様々な機会を通じて、橋梁をはじめとしたインフラメンテナンスの重要性を強く訴えてまいりました。 そうしたことも踏まえ、県は、県が管理する全ての橋梁の点検結果や補修履歴の公表、AIやドローンなどのデジタル技術を点検にいち早く導入することなど、橋梁の維持管理の高度化・効率化のため、全国でも例を見ない、先進的な取組を展開されています。 一方で、橋梁が将来にわたり、道路ネットワークとしての機能を発揮し続けるためには、適切に点検を行い、予防保全的な補修や補強を実施して長寿命化を図ることが重要であります。 しかしながら、国の資料によりますと、県内で補修等の措置が必要と診断された橋梁の数は約千七百橋と、全体の約一二%を占め、全国平均の七%と比べて高い割合となっており、早期の対応が必要な状況となっています。 また、能登半島地震のような大規模地震への対策として、災害発生以降の緊急輸送を円滑、確実に実施するため、緊急輸送道路上にある橋梁の耐震補強を優先して実施していくことも課題となっています。 私は、社会・経済活動と、県民の安全で安心な生活を守っていくためには、大規模な自然災害が発生した場合においても安定して機能する道路ネットワークを維持していくことが重要であると考えております。 そのためには、県内全ての橋梁の補修・補強と耐震化を、優先順位を決めて計画的に実施することで、災害や老朽化への備えを、これまで以上に効果的・効率的に推し進めていく必要があります。 具体的には、点検による補修・補強の要否の診断や、耐震化の必要性の検討、その結果を踏まえた計画の策定と、それに基づく予算の確保、そして、補修・補強と耐震化の実施というメンテナンスサイクルを確立し、継続的な取組としていくことが求められます。 そこでお尋ねをいたします。道路ネットワークを構成する橋梁の補修・補強や耐震化は待ったなしの課題であり、計画的に進めていく必要があると考えますが、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、スポーツを通じた若い世代の育成についてお尋ねをいたします。 今年の夏、パリでオリンピック、パラリンピックが開催され、十九名の本県ゆかりの選手が出場されました。 オリンピックでは、フェンシングエペ個人で加納虹輝選手が、パラリンピックでは、柔道女子の廣瀬順子選手が、それぞれ金メダルを獲得されるなど、連日届くうれしいニュースに、何度も胸を熱くさせられました。 トップアスリートが努力を重ね、全力で勝負に挑む真摯な姿に、私たち県民は勇気と感動を頂き、スポーツの持つ力を再認識したところであります。 また、私の母校であります柳井商工高校の女子バドミントン部がインターハイ四連覇、国民スポーツ大会二連覇を成し遂げられたことが、地域のまちづくりや盛り上がりにつながっているという地元の声もお聞きいたしました。 スポーツは、一般的に、する、見る、支えるという三つの観点から語られますが、スポーツを、することで自信が生まれ、仲間意識を感じることで人間らしさが育まれる、見ることで感動が得られ、応援することで帰属意識が芽生える、そして、支え、支えられることで絆や思いやる心の育成につながるとされ、スポーツを通じて、運動能力や体力の向上はもとより、社会性の発達や自己肯定感の醸成、協調性やコミュニケーション能力の向上、多様性の理解など、子供の成長過程における大切な素養を育むことができます。 しかし、少子化の進行を背景に、中学校部活動の地域連携・地域移行の取組が進められ、子供たちのスポーツを取り巻く環境は転換期を迎えております。 県内のある自治体が実施した中学生に対するアンケートでは、部活動が廃止された場合、スポーツ等の地域クラブに参加したいと回答した中学生は、四割未満であったというふうに聞いております。 スポーツをする子供が減ることにより、成長の機会が失われることは大きな問題であります。 また、部活動時間の短縮などを行う中学校もあると聞きますが、もっとスポーツに取り組みたいという子供たちの思いを酌んであげることも大切であります。 一方、地域の中には、子供たちのスポーツ活動の指導や支援にもっと関わりたいという人材が埋もれているとも聞いており、このような方々が、今以上にスポーツ活動に参画されることで、子供たちが質の高い指導・支援を受けられるような仕組みづくりが必要であります。 こうした現状と課題に向き合い、子供たちのスポーツを取り巻く環境をしっかりと整えてあげることにより、国内外で活躍できるアスリートの育成につなげるとともに、子供たちの、心・技・体の健やかな成長を下支えしていただきたいと考えております。 そこでお尋ねをいたします。心身の成長に大きな効果を持つスポーツに参加する子供たちの裾野の拡大や、もっとスポーツに取り組みたいという子供たちの希望をかなえていく取組など、スポーツを通じた若い世代の育成に、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、本県農林水産物等の大都市圏への物流対策についてお尋ねをいたします。 本年五月、県とJR西日本グループが連携して取り組んできた新幹線による大都市圏への貨物輸送の取組について、新山口駅を発着駅とするサービスが開始されたとの報道を目にいたしました。 これにより、当日の朝に県内で取れた魚介類や農産物などが、新山口駅から東京駅まで新幹線で輸送された後、当日の夕方には東京駅で販売することが可能になったとのことであります。 本県には、フグややまぐち和牛燦、長州黒かしわなど、魅力ある農林水産物などが数多くあり、県は、こうした農林水産物などの需要拡大に向け、県内はもとより、大都市圏における対策にも積極的に取り組まれておられます。 大都市圏への需要拡大に向けては、本県農林水産物などの魅力のPRはもちろんでありますが、輸送手段の確保も非常に重要であり、産地で取れた農林水産物などを、遠方の消費者へ新鮮でおいしい状態のまま届けるため、配送時間の短縮と、長距離移動による農林水産物などの傷みをできるだけ少なくすることが課題となってきます。 加えて、本年四月から、時間外労働の上限規制が、トラックドライバーなど一部の業種にも適用されたことで、一層の人手不足によって輸送力が不足する、いわゆる二〇二四年問題への対応も急務となっています。 こうした状況の中、私は、速くて揺れが少なく、時間に正確という特徴を生かした新幹線による輸送がこれらの課題解決の一助となる可能性を秘めていると考えており、本県農林水産物などの大都市圏へのさらなる需要拡大に向け、今後の展開に大いに期待をしているところであります。 しかしながら、トラック輸送と比べた場合のコストや集荷場所の確保など、新幹線による輸送の継続的な活用に向けては、まだまだ解決すべき課題があると思います。 現状、県内では、新山口駅のみの取扱いであり、取組もまだ始まったばかりと聞いておりますが、今後、より多くの本県農林水産物などを、本来の味や品質をしっかりと保持した状態で遠方の消費者に味わっていただけるよう、これまでの実績を県内の生産者や事業者の皆さんにPRするとともに、様々な課題を解決しながら、大都市圏への輸送手段の確保・定着につなげていただきたいと考えております。 そこでお尋ねをいたします。本県農林水産物等のさらなる需要拡大に向け、新幹線輸送をはじめとした本県農林水産物等の大都市圏への物流対策に、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いをいたしまして、私の一般質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)国本議員の御質問のうち、私からは、力強い水田農業の実現についてのお尋ねにお答えします。 担い手の減少や高齢化が進む中、水稲が基幹作物である本県農業を将来にわたって持続的に発展させていくためには、効率的な農業経営が可能となる生産基盤の整備に併せ、意欲ある担い手の育成や農地集積が重要と考えています。 このため、私は、これまでに、約二万三千七百ヘクタールの水田の区画整理を行うほか、三百三の集落営農法人と十七の法人連合体などを設立し、農地中間管理機構による農地集積を進めてきたところです。 こうした中、国においては、人口減少や気候変動、国際情勢の不安定化など、農業を取り巻く環境が大きく変化していることから、食料安全保障の確保に向けて、生産性の向上や高品質で安定した食料供給の視点を加えた、食料・農業・農村基本法の改正が行われたところです。 私は、こうした国の政策にも呼応しながら、将来にわたっておいしい県産米を安定的に供給し、その競争力や品質を高めるため、生産コストの削減や、さらなる品質向上に向けた基盤整備などを強力に進めていくこととしています。 まず、生産コストの削減についてです。 本県の約七割を占める中山間地域においても、より大型の機械やスマート農機等の導入が可能となるよう、区画の拡大や、移動・旋回がスムーズに行える農道の拡幅など、機械作業の効率性を高める区画整理を推進します。 また、草刈りや水路管理に多くの労力を要することから、リモコン式草刈り機の活用や泥上げが容易となる、幅の広い畦畔や勾配の緩やかなのり面の整備等を進め、負担の軽減を図ります。 次に、さらなる品質向上に向けては、地球温暖化が進む中、高温が続く気象条件下でも安定した品質や収量が確保できるよう、耐暑性を有する水稲品種の導入を促進するとともに、水温上昇を抑えるための細やかな水管理を徹底します。 また、こうした水管理を適時適切に行うため、水温や水位を自動測定し、携帯端末等での確認や遠隔操作が行えるスマート水管理システムの導入を促進します。 さらに、大区画化された水田で栽培される米や畑作物の品質や収量が安定化する、地下水位制御システムの整備等、担い手の経営安定に向けた水田の高機能化に、引き続き取り組みます。 私は、県民の皆様に、将来にわたっておいしい県産米を安定的に供給するとともに、本県農業を牽引する意欲ある担い手が夢と希望を持って営農を継続できるよう、市町や関係団体と連携し、農業生産の基盤である農業農村整備事業に積極的に取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)大田農林水産部長。 〔農林水産部長 大田淳夫君登壇〕 農林水産部長(大田淳夫君)漁港の着実な整備・再生についてのお尋ねにお答えします。 漁港は、漁業生産活動や水産物の流通・加工の拠点として、さらには、漁業者や地域住民の生活、憩いの場としても重要な役割を担っており、県では、漁港施設の機能保全や、高度衛生管理に向けた取組を推進してきたところです。 一方、本県の漁港のうち、特に小規模な漁港では、お示しのように、施設等の老朽化が進むとともに、未利用施設の増加等の課題が表面化しています。 こうした中、国においては、海や漁村に関する地域資源の価値や魅力を活用して所得機会の増大等を図る、海業を振興することとし、昨年、民間活力などの導入による漁港施設等の有効活用や、他の地域との交流促進等の取組が可能となる制度が創設されたところです。 県では、こうした国の動きに呼応し、これまでの機能保全等の施設整備に加え、海業の取組を進めることで施設の有効活用を図ることとしています。 具体的には、まず、市町が行う防波堤などの施設整備については、国の補助事業等の活用を促すとともに、計画策定や事業採択に向けた技術的な助言を行うなど、積極的に支援してまいります。 また、海業については、市町や漁業関係団体等に向けた説明会や勉強会を開催した結果、一部の地域では、取組に向け、地元住民などを対象とした意見交換会を開催する動きが出始めるなど、着実に海業への関心が高まっています。 今後、地元市町における海業の取組に対して、必要な情報提供を行うとともに、土地利用計画の変更や漁港施設の活用推進計画の策定に向けた支援等を行うこととしています。 県としては、地元市町や漁業関係団体等と緊密に連携し、漁港の施設整備を着実に行うとともに、それぞれの漁港の特色を最大限に生かした有効活用の取組を積極的に推進してまいります。 次に、本県農林水産物等の大都市圏への物流対策についてのお尋ねにお答えをします。 これまで、本県の大都市圏への物流については、各事業者が品目の特性や販売先のニーズ等を踏まえ、低コストのトラックや速達性等に優れる航空機などの輸送手段を確保し、安定的な供給を図ってきました。 加えて、県では、新たな輸送手段の確保に向け、令和四年度からJR西日本と連携し、新幹線による貨物輸送の検討を重ね、本年五月には、新山口駅を発着駅とする新幹線輸送サービスが開始されたところです。 こうした中、トラック輸送では、お示しのとおり、物流の二〇二四年問題等を背景に人手不足が深刻となっており、また、航空機や新幹線輸送は、高い輸送コストや集荷場所が限定されることが課題となっていることから、県では、効果的な物流体制の構築に取り組むこととしています。 まず、トラック輸送については、食品事業者や物流事業者等と連携し、商品の集約や物流拠点の設置、中継輸送の取組など、効率的な集荷体制の構築を支援し、流通網を強化します。 次に、航空機や新幹線輸送については、商品の混載や輸送の共同化によるコスト低減を通じ、県内事業者の利用拡大を図るとともに、とりわけ、新幹線輸送については、新山口駅以外の集荷場所の設置や、貨物専用車両の導入などをJR西日本等に働きかけてまいります。 さらに、こうした取組を通じ、様々な輸送手段を確保することにより、県内事業者の選択肢を増やし、本県の農林水産物等の味や品質を最大限生かした付加価値の創出や新たな魅力の発信にもつなげることで、大都市圏への販売力の強化を図ります。 県としては、国が進める物流の効率化の動きと連動しながら、大都市圏への輸送手段の確保・定着を進め、本県農林水産物等の販路の拡大に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)道免観光スポーツ文化部長。 〔観光スポーツ文化部長 道免憲司君登壇〕 観光スポーツ文化部長(道免憲司君)山口ならではの観光資源を生かした観光振興についてのお尋ねにお答えします。 お示しのニューヨークタイムズ紙による注目度の高まりや再来年秋の山口DCの開催など、国内外からの誘客拡大に向け、今、本県には大きなチャンスが到来しています。 この好機を、本県観光の持続的な発展につなげていくためには、知名度の高い主要観光地だけでなく、全県を挙げて観光力の強化を図る必要があると考えており、山口ならではの新たな観光資源の創出や、県内周遊の促進に取り組むこととしています。 まず、新たな観光資源の創出については、山口DCを見据え、酒蔵体験や文化財の限定公開、古地図を用いた散策ツアーなど、その地域ならではの歴史や文化、グルメ等の魅力を生かしたコンテンツの発掘や磨き上げに取り組みます。 また、アウトドアツーリズムの推進により、県下各地で様々な体験コンテンツの開発が進められており、お示しの補助事業についても、魅力ある観光資源となるよう、観光連盟と連携し、引き続き、適切な進捗管理を行っていきます。 さらに、これらの観光資源の認知度を高めていくため、国内外に向け、SNS等によるターゲティング広告を配信するほか、旅行会社やメディアを招いた視察ツアーを実施してまいります。 次に、県内周遊の促進に向けては、お示しの観光周遊バスツアーの成果も踏まえ、魅力ある観光資源に、宿泊や移動手段等を効果的に組み合わせた旅行商品の造成等に取り組むこととしています。 また、謎解きをテーマに県内全十九市町を巡る観光イベントの開催や、新たなドライブマップの作成など、主要な観光ルートから離れたエリアに対しても観光客の周遊意欲を高める取組を展開していきます。 県としては、今後とも、市町や関係団体と緊密に連携しながら、本県観光力の強化に向け、山口ならではの観光資源を生かした観光振興に積極的に取り組んでまいります。 次に、スポーツを通じた若い世代の育成についてお答えします。 スポーツは、運動能力や体力の向上をはじめ、社会性の発達や自己肯定感の醸成など、子供たちの心身の健全な育成を図る上で、重要な役割を果たしています。 このため、県では、より多くの子供たちがスポーツに参加できるよう、スポーツ少年団活動の充実をはじめ、多世代が参加する総合型地域スポーツクラブの育成や、幼児期等の子供への運動プログラムの提供などに取り組んでいます。 こうした中、お示しのような、子供たちのスポーツ離れや活動機会の減少は、競技力の低下はもとより、成長機会の縮小にもつながることから、この課題の解決に向け、スポーツを通じて子供たちが成長できる環境を整備していくことが必要です。 このため、県スポーツ協会等と連携しながら、トップレベルのプレーを肌で感じられる全国レベルの大会や、有名アスリートによるスポーツ教室の開催等を支援することにより、子供たちの関心を高め、スポーツを、する、見る、支える子供たちの裾野の拡大につなげてまいります。 また、もっとスポーツに取り組みたいという子供たちの希望をかなえるため、その受皿となるクラブチームの設立や練習環境の整備など、競技団体等が行う取組への支援を通じて、子供たちの活動を支えていきます。 さらに、地域において指導に関わりたいという人材を確保し、研修等を通じて優秀な指導者を育成する競技団体の取組等を支援し、子供たちがより質の高い指導が受けられる環境を整備していきたいと考えています。 県としては、スポーツの持つ力を子供たちの成長につなげていくため、県スポーツ協会や競技団体等と連携しながら、スポーツを通じた若い世代の育成に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)大江土木建築部長。 〔土木建築部長 大江真弘君登壇〕 土木建築部長(大江真弘君)橋梁の強靱化についてのお尋ねにお答えします。 橋梁は、道路ネットワークの形成に欠かせない施設であり、社会経済活動や県民生活を支える重要な基盤として、恒常的な機能の発揮が求められることから、補修・補強などの老朽化対策や耐震化を着実に進めていくことが重要です。 このため、県では、老朽化対策については、管理する全ての橋梁を対象に策定した長寿命化計画に基づき、損傷が軽微なうちに補修を行う予防保全型の維持管理により、更新費用の縮減や平準化を図るなど、効率的に実施してきました。 こうした中、上関大橋の損傷事案が発生したことなどから、異状箇所の早期発見・早期対応を図ることが重要であると再認識し、点検・診断の高度化・効率化を図るため、デジタル技術を積極的に活用しているところです。 具体的には、離島架橋や特殊な構造の橋梁等において、三次元データの活用や、伸縮計等での計測を行い、橋梁の状態を定期的に把握することとしています。 また、県が管理する橋梁の約六割を占める小規模橋梁において、AIによる点検・診断システムを導入し、点検の効率化と診断精度の向上を図っているところです。 こうした取組により、損傷の状況を的確かつ速やかに把握した上で、補修・補強に当たっては、通行規制による社会的影響なども考慮し、引き続き、緊急性の高いものから、計画的・効果的に実施してまいります。 次に、耐震化については、能登半島地震のような大規模地震の発生時に、救助・救援活動や緊急物資の輸送などを円滑に行えるよう、計画的に進めているところです。 具体的には、効果的な進捗を図るため、緊急輸送道路上の橋梁や離島架橋など、緊急性や重要性の高い箇所から、耐震補強を実施していくこととしています。 これらの取組を加速するため、国に対し、国土強靱化実施中期計画について、早期に策定することや、現行の五か年加速化対策を大きく上回る事業規模、期間とすることを要望するなど、所要の予算の確保に努めていきます。 県としては、今後とも、県民の安心・安全の確保に向け、災害時にも機能する強靱で信頼性の高い道路ネットワークを構築するため、橋梁の補修・補強や耐震化に重点的・計画的に取り組んでまいります。