1 若者・子育て世代の県内定着、移住の促進について 2 産業力強化に向けた中小企業の成長支援について 3 中小企業の人材育成支援について 4 職場におけるあらゆるハラスメントの防止対策について 5 インターネット利用に起因する学生の犯罪、トラブルの防止対策について
───◆─・──◆──── 午後一時開議 副議長(島田教明君)休憩前に引き続き会議を開きます。 ───◆─・──◆──── 日程第一 代表質問 日程第二 議案第一号から第二十号まで 副議長(島田教明君)日程第一、代表質問を行い、日程第二、議案第一号から第二十号までを議題とし、質疑の議事を継続いたします。 大内一也君。 〔大内一也君登壇〕(拍手) 大内一也君 皆さん、お疲れさまです。やまぐち県政会の大内一也です。通告に従いまして、会派を代表して質問をさせていただきます。 十月二十五日に令和七年度の当初予算編成の基本方針が示されました。その内容には、令和七年度は、加速度的に厳しさを増す人口減少の克服に向け、県内各地域の実情や当事者である若者、女性等へのニーズを的確に捉えた、実効的な施策を構築し、重点的に推進するとあります。 今年度においても、少子化対策の抜本強化として、第二子以降の保育料無償化、不妊治療に係る経済的負担の軽減、結婚を応援する、出逢いませ山口大作戦の実施など、これまでにない取組を進めています。 また、初任給など賃金見直しによる人材確保を目指す企業の支援、男女で育児・家事を分担し、共に希望に応じてキャリア形成と育児・家事の両立が可能となる社会を目指す″とも×いく″の推進など、社会全体で若者の働きたい、子育てしやすい社会の醸成にも努めています。 人口減少の歯止め、克服のためには、こういった結婚、子育て、出産の支援の徹底が重要となりますが、若者の県外の転出の抑制並びに子育て世代を含めたIターン、Uターンなど県外からの移住の促進も重要と考えます。そのためには、郷土愛や山口県の魅力発信、そして働きやすい環境、待遇、その土台となる企業、産業の競争力の強化が欠かせません。 その点を踏まえ、まず、若者・子育て世代の県内定着、移住の促進について伺います。 山口県の人口は十月一日現在百二十七万九千六百一人となりました。五年前の令和元年十月一日の人口が百三十五万五千四百九十五人でしたので、七万五千人超の減少となっています。対前年では、令和五年は一万六千三百五十七人減少しており、令和四年は一万四千五百二人の減少でしたので、減少数も増加傾向にあります。 令和五年の減少数の内訳は、出生数から死亡者数を差し引いた自然増減が一万四千三人の減少、転入から転出を差し引いた社会増減では二千三百五十四人の減少です。 自然減がこれだけ多いことを考えると、やはり結婚、出産、子育ての対策をしっかり行い、お子さんを授かりやすくすることで、出生数を増やすことが重要な取組になります。 その点は、冒頭紹介した結婚応援や不妊治療の支援、保育料無償化、″とも×いく″の推進など、他県に負けない取組により出生数の減少に歯止めをかけ、自然減の抑制に努めており、私は一定の成果が出ているものと考えます。 そのような取組をもってしても、出生数の減少に歯止めがかからない大きな理由の一つには、結婚、出産に関わる年齢層が減少している、お子さんを授かる女性の人数が減少していることがあると考えます。 結婚、出産に密接に関わる年齢、二十歳から三十九歳の人口を令和五年と令和元年で比較すると、総数で七・四%、女性のみでは七・七%も減少しています。全年齢では四・三%の減少ですので、この二十代、三十代の減少がいかに大きいかが分かります。 こういった社会減を食い止めない限り、出生数の減少、自然減への歯止めは十分利かないと考えます。 県も社会減の対策として、県外からのIターン、Uターンといった移住支援の取組を進め、県内に就職するだけでなく、県内で会社を創業する、事業を承継する、テレワークで働くといった多様なニーズに合わせて、移住してきた方に対して支援金を支給するなど、きめ細やかな対応をしています。 本事業の移住実績は、令和四年度で三十一件、令和五年度で五十四件、令和六年度は十月末時点で三十九件と順調に伸びており、さらに対象地域を東京圏、中京圏、近畿圏のみならず広島県、福岡県も加えることで、さらに移住実績が積み上がるものと期待しています。 ですが、毎年一万人を超す人口減少に歯止めをかけるためには、よりニーズに沿った取組を進めなければなりません。 そこで、県外に住む山口県出身者に、山口県に住みたいと思うかどうかとその理由、どういう条件が整えば山口県でまた住みたいと思うかのアンケート調査を、昨年、県が企業誘致しました調査会社、株式会社フォリウムに実施していただきました。 調査結果から分かったことは、十代、二十代の山口県に戻って住みたい意向は六割近くあり、戻りたくない約一割と比べて非常に高いこと、またその理由の一位は、山口県が好きだから、地元に愛着があるからで六割に上ります。 子育て世代の三十代、四十代においても約四割の方が戻って住みたい意向がありますが、その理由について、三十代はほかの年代と比べて、子育てしやすい環境であるという回答が多く、約四割に上ります。 また、どういう条件が整えば山口県でまた住みたいかの項目では、働きたい仕事や給与などの待遇面の回答も多いのですが、三十代では子育てしやすい環境が整えばという意向が約二割とほかの年代と比べて多くなっていました。 十代、二十代はほかの年代と比べ戻って住みたい意向が強く、その理由の一位が、山口県が好き、地元への愛着ということですが、この要因には、学力向上に加え郷土愛を醸成するコミュニティ・スクールを核とした、やまぐち型地域連携教育の成果が大きいのではないかと考えられます。 山口県はコミュニティ・スクールの導入が令和二年に一○〇%となり、全国で最も導入が進んでいる県となりました。 この郷土愛を醸成するコミュニティ・スクールの取組をさらに推進することが十代、二十代の県内の定着、また進学・就職などの理由で一度県外に転出したものの、何年かして山口県にUターンしたいという動機につながるのではないでしょうか。 もう一つの三十代で回答が多かった子育て環境についてですが、戻って住みたい理由として、山口県の子育てがしやすい環境を挙げる方が多い一方、条件が整えばという方々も、子育てしやすい環境が整えばと子育て環境について多く挙げています。 これは、山口県は他県と比べ子育てしやすい環境であるが、それがまだまだ知られていないということを表しているのではないでしょうか。 ウェブサイトや移住窓口において、子育てしやすい環境であることをきめ細やかに発信、説明することで、より一層の移住につながるのではと考えます。 そこで、若者・子育て世代の県内定着、移住の促進について二点お尋ねします。 一点目は、若者の県内定着、Uターンのために重要な郷土愛の醸成について、コミュニティ・スクールの連携・協働体制を生かして、今後どのように取り組んでいくのか、御所見をお伺いします。 二点目は、移住しやすさについて、特に子育てしやすい環境であることをどのように発信、説明など取り組んでいくのか、御所見をお伺いします。 次に、産業力強化に向けた中小企業の成長支援について伺います。 人口減少対策で重要なことは働く先の確保です。 前段の質問で移住アンケートの紹介をしましたが、県外に転出した理由において三割近くの方が就職を理由に挙げ、戻る条件として最も多い理由も、働きたい仕事が見つかればであり、三割強の方が理由に挙げています。 県内企業の成長、スタートアップ、企業誘致などによる新たな産業の成長は、県経済の発展のみならず、人口減少対策においても雇用を生み出す点において大変重要であると言えます。 企業の成長支援については、今年度は二〇五〇年カーボンニュートラルを原動力とした本県産業の成長支援として、カーボンニュートラルコンビナートの構築や水素先進県の実現加速化、自動車産業の電動化を後押しするほか、再生医療、ヘルスケアなど、今後需要が高まり成長が見込まれる産業への支援を積極的に行っています。 また、世界的な市場拡大が見込まれる半導体・蓄電池については、新規事業として半導体・蓄電池産業集積強化事業に取り組み、研究開発から販路拡大、人材確保・育成と総合的な支援に取り組んでいます。 こういった取組の成果もあり、県産業は成長しており、輸出額で見ると、令和四年で二兆二千五百五億円と前年比一七・四%の増加、直近九月の輸出額も二千六百二十三億円と前年同月比九・二%増となっています。 雇用についても、二〇一四年から二〇二一年の八年間で二百件を超える企業誘致の結果、五千人以上の雇用創出につながっており、こちらも成果が出ています。 こういった成果を上げるためにも取組の一層の強化が求められますが、その中でも県内産業の土台を支える中堅・中小企業、小規模事業者の支援にしっかり目を向けなければなりません。 県内の中小企業の中には、ほかにはない技術を持ち、輸送用機械や半導体、宇宙産業などの発展において、なくてはならない部品を提供する企業があります。 こういった企業を資金面、経営面でしっかり支え成長につなげることが、産業の発展のみならず、一社一社の雇用は少なくても、県内全体で見れば雇用の大きな受皿になると考えます。 また、成長のためには様々な経営課題の解決の支援も重要です。 物価高騰は鈍化したとはいえ、消費者物価指数、生鮮食品を除くいわゆるコアCPIは、今年十月で二・三%といまだ伸び続けています。 県もニーズを捉えた物価高騰対策を実施し、医療機関や公共交通への支援などを行っていますが、資材の高騰、さらに賃上げのための価格転嫁など経営基盤の弱い中小企業を取り巻く環境は厳しく、こういった負担を軽減する支援はまだまだ必要と言えます。 加えて、DXの推進やカーボンニュートラルに向けた取組、後継者不在による事業承継の行き詰まりなど、中小企業が解決しなければならない課題は山積しています。 設備投資など資金面の支援ももちろんですが、こうした直面する経営課題の解決をいかに支援し、中小企業が持っているきらりと光る技術、ノウハウを県内産業の発展につなげていくのか、そして新たな産業分野の成長に生かしていくのかが県の産業力強化のために重要ではないかと考えます。 そこでお尋ねします。産業力強化に向けて、県内産業を支える中小企業の成長をどのように支援していくのか、御所見をお伺いします。 次に、中小企業の人材育成支援について伺います。 九月の有効求人倍率は、全国平均一・二四倍に対し山口県は一・四七倍となり、全国でも五番目に高く、人手不足の深刻さを表しています。 特に人手不足が深刻な仕事は建設・採掘の職業、輸送・機械運転の職業となっています。 人手不足の解消のためには、単に人がいればよいというわけではなく、スキルを持ち、必要な役割を担うことができる人材を確保することが重要です。 その人材育成の支援について、県が進める事業の成功事例の一つが女性デジタル人材育成事業だと考えます。 山口県、大学、企業・団体で一丸となって女性のデジタル人材育成を促進し、女性の就業率改善や県内企業のデジタル人材不足の解消を目的とした事業で、初年度の二〇二三年は定員を超える申込みがあり、ネットの活用などで多くの方に受講いただいたと伺っています。 今年度も定員一〇〇%に近い申込みがあり、岩国市にサテライト会場を設けるなど反響の大きさを感じます。 また、この事業の特徴は賛同する企業にコンソーシアムとして参画いただき、就職までつなげるという仕組みです。 令和五年度の就職者数は二十四人、情報通信業をはじめサービス業や製造業など様々な業種に、デジタルを活用する業務を担う人材として就職されたと伺っています。 仕事をしたいが、スキルが十分にない、人手不足を解消したいが、求人に見合う人材が見つからないという課題に対し、ニーズに合ったスキルを習得してもらうことで、求職者、求人企業のウィン・ウィンにつながる事業となっています。 また、県内二つの高等産業技術学校による施設内訓練は、人材の輩出として成果を上げており、令和八年度までに九六・二%より向上させるとされている目標就職率に対し、令和四年度は九三・五%、令和五年度は九三・一%と高い実績を残しています。 ですが、こうした実績を出す一方、募集定員に対する充足率は六割前後であり、令和五年度は五五・三%という状態です。 このような企業ニーズを捉えた事業を、県内企業の人手不足対策に生かすためにも、充足率をより高める取組を県としてしっかり進めていただきたいと考えます。 また、社内に今いる人材を再教育することで生産性を上げる、必要なポストのスキル習得を実施し、配置転換を行うことで人手不足をカバーするといった方法も考えられます。 高等産業技術学校では、オーダーメイド型在職者訓練も実施しており、企業のニーズに合わせて三次元CADや3Dプリンターを活用し造形物を作る技術を養成するデジタルファブリケーションなど、専門性が高く、今まさに企業が必要とする人材育成も実施しています。 専門技術の習得を中小企業が行うには手間と費用がかかりますが、このような訓練制度を活用することで、中小企業の負担を軽減し、今必要な人材の不足を補うことができると考えます。 ぜひとも、こういった中小企業が必要とする人材を育成する取組、社内の人材を生かす育成をより強化いただき、中小企業の人手不足、人材不足の課題解決のみならず、県内全体の生産性の底上げにつなげていただきたいと考えます。 そこでお尋ねします。中小企業の人手不足解消のために、ニーズを捉えた育成、社内の人材を生かす育成が重要と考えますが、その支援をどのように取り組んでいくのか、御所見を伺います。 次に、職場におけるあらゆるハラスメントの防止対策について伺います。 今年の流行語大賞に、カスハラがノミネートされるなど、ハラスメントへの注目がますます高まっています。 職場におけるハラスメントには、カスハラ以外にもパワハラ、セクハラなど立場や性別により発生する様々なハラスメントがあり、それぞれのハラスメントで苦しんでいる方はたくさんいらっしゃいます。 令和六年三月に、厚生労働省が職場のハラスメントに関する実態調査を公表しました。 この中で職場におけるハラスメントとして、パワハラ、セクハラ、顧客等からの著しい迷惑行為、いわゆるカスハラ、そして妊娠・出産・育児休業等ハラスメント、介護休業等ハラスメント、インターンシップや就職活動中に受ける性的なハラスメントである就活等ハラスメントの六つの調査がされています。 相談件数はパワハラ六四・二%、セクハラ三九・五%、カスハラ二七・九%とこの三つが特に多く、カスハラを除き減少傾向にあるものの、まだまだハラスメントが発生しています。 企業における予防・解決の取組状況では、パワハラ九五・二%、セクハラ九二・七%と高く、取組としては、相談窓口の設置と周知、ハラスメントの内容、職場におけるハラスメントをなくす旨の方針の明確化と周知啓発が八割以上を占めています。 社内でハラスメント防止の取組を様々行っていますが、まだまだ問題の解消につながっておりません。 調査を拝見して思うに、理由は大きく二点あると考えられます。 一つはハラスメントを受けた後の行動、もう一つはハラスメントの判断です。 ハラスメントを受けた後、最も多い行動は、何もしなかったです。 パワハラを受けた方の三六・九%、セクハラでは五一・七%の方が、何もしなかったと回答しています。 カスハラでは、社内の上司に相談したが最も多く三八・二%ですが、次に多いのが、何もしなかった三五・二%となっており、相談窓口や周知啓発を進めていても、相談などなかなか行動に移せていないのが実情のようです。 また、勤務先の対応で最も多かったのが、特に何もしなかったで、パワハラ五三・二%、セクハラ四二・五%となっており、相談に乗ってくれた二四・四%、二五・八%と倍近い差となっています。これでは相談に踏み切れないのも仕方がないように思います。 また、企業のハラスメントの対策はパワハラ、セクハラともに九割を超えることは先ほど紹介しましたが、労働者へのアンケートでは、職場の取組内容で最も多い回答が、特にないで、パワハラ六二・四%、セクハラ六〇・六%となっており、続いて、相談窓口の設置、研修や周知啓発となっています。 この結果から、企業が対策に取り組んでいても、それを知らない労働者が多いことがうかがえます。 また、ハラスメント予防・解決の取組を進める上での課題で、どのハラスメントにおいても最も多かった回答が、ハラスメントかどうかの判断が難しいとなっています。 企業としても対策を行う意欲があっても、相談を受けた際に判断ができないため手をこまねいているのが実情ではないかと思われます。 以上の点から、ハラスメント対策を企業が実施していても、なかなか労働者が認識していないこと、またハラスメントの判断が難しいため、企業も発生した際、手をこまねいてしまう場合があること、その結果、労働者も、企業側が何もしてくれないのであれば、何もしないで我慢をするといった悪循環に陥っていることが推察できます。 県では、労働セミナーや各種労働問題に対応する労働ほっとラインを設け対応していますが、労働者に相談窓口があることの、より一層の周知と、何よりどの事例がハラスメントに当たるのか、企業担当者により一層啓発していくことが重要と考えます。 特に、カスハラについては問題意識の高まりがここ数年であるため、定義や具体的なガイドラインが国においてもまだ明確になっていません。 そのような中でも、例えば東京都はこの九月議会でカスハラの条例を成立させ、来年四月より施行するとの報道がありました。 立場の弱い若者、そして女性が被害に遭う可能性が高い各種ハラスメントの対策が不十分であれば、離職や県外の就職にもつながり、人口減少対策にも水を差す結果となりかねません。 山口県においても重要な課題として、このハラスメントの対策に取り組む必要があり、労働ほっとラインなどの相談窓口の強化、並びに企業への啓発や労働者への周知徹底などなお一層の取組が必要です。 そこでお尋ねします。職場におけるあらゆるハラスメントの防止対策の必要性の認識と、県としてさらなる対策をどのように進めていくのか、御所見を伺います。 次に、インターネット利用に起因する学生の犯罪、トラブルの防止対策について伺います。 今年十月に光市で強盗予備事件が発生しました。 侵入用の工具を所持し、強盗に入るところを逮捕されたということで、住民にけがなどの被害がなく安堵しましたが、この逮捕された三人は高校三年生と一年生、中学三年生で、いわゆる闇バイトに応募し集まったとのことです。 当日集合するまで面識がなく、かつ関東在住の学生が、わざわざ山口県まで移動して犯行を行おうとしたこの一連のニュースを聞き、私は犯行の被害防止はもちろんのこと、世の中をまだ知らない十代の学生が自分の意に反して犯罪に巻き込まれる、いや応なく加担させられる、このやり方に強い憤りを覚えました。 昨今、発生している若者、学生の強盗犯罪は、スマホでバイトを探す中で、気づかぬうちに闇バイトに関わってしまったというケースがあるようです。 スマホの求人情報で、簡単な仕事、高額な報酬、犯罪ではないといった言葉を安易に信用し、応募してしまい、アルバイトをするための登録として必要と言われ、運転免許証や学生証、マイナンバーカードなどの個人情報を送ってしまい、そこからは犯罪行為に加担するまで脅迫され続け、逃げられなくなる闇バイトの募集は本当に悪質で許し難い行為です。 闇バイト撲滅のために、ぜひとも県警察の皆様に頑張っていただきたいと思いますが、抜本的な対策は、加担させられてしまう学生が情報モラルを向上させ、インターネットの危険性を認識することだと考えます。 県警察では、情報モラル教室を実施し、ユーチューブにも動画が上がっています。 闇バイト勧誘事案に加え、ネットいじめ、不適切動画投稿事案、児童ポルノ事案、詐欺事案などが紹介され、被害者そして加害者にならないよう事例を挙げて注意を呼びかけています。 ネットいじめについては、言葉の影響力や相手が傷つくことへの無自覚さ、匿名性などからエスカレートしていき、いじめを受ける側は逃げ場がなくなり精神的に追い詰められていきます。 文部科学省の調査では、二〇二二年度のいじめの内訳において、ネットいじめは高校生では一六・五%と二番目に多い割合となっています。 また、不適切動画投稿事案、児童ポルノ事案については、被害を受けた側はそのときの精神的苦痛のみならず、動画や画像はデジタルタトゥーとして半永久的に残ってしまうため、生涯にわたり苦痛を受けることになります。 ネットには、様々な危険があふれており、スマホなどのネット環境は便利で楽しいコミュニケーションツールである一方、人生を生涯にわたり狂わせる、苦しめるツールにもなり得ます。 加えて今回の闇バイトの事案です。 闇バイトの恐ろしいところは、加害者であり被害者であるところです。判断がつかないうちに逃げられない状況に追い込まれ、本意ではない犯罪に加担させられる、この卑劣で許せない行為から学生たちをしっかり守ることが我々大人の責務だと考えます。 そこでお尋ねします。インターネット利用に起因する学生の犯罪、トラブルの防止について、被害者にも加害者にもならないための対策について御所見を伺います。 以上で、私の代表質問を終わります。 御清聴、誠にありがとうございました。(拍手) 副議長(島田教明君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)大内議員の代表質問にお答えします。 まず、若者・子育て世代の移住の促進についてのお尋ねです。 少子高齢化の進行と、若者を中心とする県外への人口流出により、人口減少が一段と深刻さを増す中、私は、その克服に向けては、若者や子育て世代の移住の促進が大変重要であると考えています。 このため、県では、都市部に住み、地方への移住を希望する若者や子育て世代に、本県を選んでいただけるよう、きめ細やかな相談対応を行うとともに、本県の魅力ある子育て環境等の情報発信に、積極的に取り組んでいるところです。 まず、相談対応については、東京・大阪の移住相談窓口で、移住希望者一人一人のニーズや希望するライフスタイルを把握した上で、専門家による住まいの情報提供や、移住に係る支援制度の紹介など、相手に寄り添い、きめ細やかな対応を行っています。 その中で、子育て世代については、子育て環境への関心が高く、これが移住先選択の重要なポイントとなることから、自然豊かな環境や恵まれた住宅環境の中で子育てができることや、県や市町による支援制度が充実をしていることなどを、積極的に情報提供しています。 また、子育て・教育をテーマとする移住セミナーも開催し、本県では、企業、地域、行政が一致協力して子供と子育て世代を応援する機運醸成に取り組んでいることや、全ての公立学校にコミュニティ・スクールがあり、地域ぐるみで子供の育ちと学びを支援していることなどをお伝えしています。 さらに、実際に本県に移住し、子育てをしている方を招き、移住後の生活状況や、地域の雰囲気などを直接尋ねることができる場を設けるなど、本県での子育て生活を具体的にイメージしていただくための取組なども行っているところです。 情報発信については、デジタルマーケティングの手法を活用し、地方移住に関心を持つ若者や子育て世代をターゲットに、本県への興味を持ってもらえるようなバナー広告を大手検索サイトに表示し、そこから、県の移住支援サイトに誘導する取組を進めています。 移住支援サイトにおいては、生活関連情報や移住後のサポート体制などに加え、子育て中の移住家族が山口県での子育てのよさを語る動画や、AIを使って子育ての相談を二十四時間受け付けるアプリを提供していることなどを紹介しており、引き続き、掲載内容の充実を図っていきます。 さらに、若者の利用が多いインスタグラムやティックトックなど、SNSも活用し、情報発信の幅を広げることとしています。 私は、今後とも、市町や関係団体等と緊密に連携しながら、都市部の若者や子育て世代に、本県を移住先として選んでいただけるよう、相談対応の充実や、戦略的・効果的な情報発信を通じて、移住のさらなる促進に取り組んでまいります。 次に、産業力強化に向けた中小企業の成長支援についてのお尋ねにお答えします。 私は、本県の経済と雇用を支え、産業力の源泉となる中小企業が、現下の厳しい経営環境においても、生産性の向上と経営の安定を図り、持続的に成長・発展していくことが重要と考えています。 このため、まず、生産性の向上に向けては、デジタル技術の活用による業務改善等の取組を促進するため、「Y─BASE」におけるDXコンサルのほか、三百三十件を超えるデジタル化の段階に応じた設備導入等を補助するなど、中小企業のDX化の取組を支援しています。 また、事業承継を契機として、経営革新や新事業展開等につながるよう、関係支援機関による事業承継診断の実施や経営者保証の解除に向けた相談対応等の取組に加え、国の事業承継・引継ぎ補助金の活用促進も図りながら、中小企業の新たな挑戦を後押ししています。 次に、経営の安定に向けては、中小企業の資金需要に対応するため、制度融資の十分な融資枠を確保し、資金繰り支援に万全を期すとともに、支援機関や金融機関が一丸となったプラットフォームを形成し、複雑化・専門化する中小企業の経営課題にきめ細かく対応しているところです。 また、やまぐち産業振興財団に設置した、よろず支援拠点における相談対応をはじめ、身近な支援機関である商工会議所等の経営指導員による窓口相談や巡回指導、専門家派遣などにより、中小企業の経営改善に向けた支援にも取り組んでいます。 そのほか、当面の課題である物価高騰への対応としては、今般示された国の新たな総合経済対策における、電気・ガス料金の負担軽減策に呼応し、これまでも実施してきたLPガスや特別高圧電気料金に係る支援を行いたいと考えています。 また、中小企業の活性化につながるイベント等の開催を支援するほか、ECサイトによる商品送料の支援をこれまで約千四百者に対して行うなど、事業者の収益改善を図るとともに、パートナーシップ構築宣言等の国の施策とも連携し、適正な価格転嫁が進むよう、普及啓発にも努めています。 さらに、カーボンニュートラルに向けては、水素やCO2の利活用技術など、環境・エネルギー関連の研究開発や販路開拓をサポートするとともに、脱炭素経営セミナーの開催や省エネ設備導入時等における補助制度などにより、事業者のCO2排出削減も支援しているところです。 私は、産業力強化に向けて、本県経済の重要な担い手である中小企業が、持続的な成長を図られるよう、今後とも、関係支援機関と緊密に連携して、中小企業支援に取り組んでまいります。 次に、中小企業の人材育成支援についてのお尋ねにお答えします。 人口減少に伴い人手不足が深刻化する中で、地域産業が持続的に成長・発展していくためには、限られた人材を育成して、その能力を発揮できる取組を支援することが重要です。 このため、私は、やまぐち未来維新プランに基づき、産業界の人材ニーズや求職者のニーズを踏まえて、若者をはじめ女性、高齢者など、成長を支える多様な産業人材の育成に向けた取組を進めています。 具体的には、まず、潜在する産業人材の活用を図るため、女性デジタル人材育成事業により、未就業等の女性に対して、デジタルスキルの習得や情報関連分野等への就労支援の両面から、女性デジタル人材の育成を進め、女性の就業や待遇改善を支援しています。 この結果、昨年度は二十四名の就職実績に加え、本事業を運営するコンソーシアムに参加する他の企業の皆様から、採用に前向きな意見が多く寄せられるなど好評を得ていることから、今後、さらに幅広い地域や業種の企業に参加いただくように働きかけてまいります。 次に、地域の産業人材育成拠点である高等産業技術学校では、求職者等に対して、施設内訓練や委託訓練、在職者訓練といった、様々な就職訓練により実践的な技能・技術の習得を図るとともに、就職ガイダンスから就職後の相談対応まできめ細かな支援に取り組んでいます。 まず、施設内訓練については、地元企業のニーズに対応した訓練を実施しており、令和七年度からは、西部高等産業技術学校において、建築CAD・設計科と設備メンテナンス科を設置するなど、地元企業や就職支援機関で構成される運営協議会の意見を踏まえ、訓練内容の見直し等を行っています。 また、介護やIT活用などの分野では、民間教育訓練機関の機動性を活用した委託訓練を実施しており、国と地域の関係者等で構成する協議会において、地域の人材ニーズを適切に反映して訓練コースを設定するとともに、訓練効果の把握・検証を通じて、訓練内容の改善等に努めています。 さらに、社内の人材育成を支援する在職者訓練では、企業の希望に応じたカリキュラムの設定により、IT関連技術革新の進展や産業構造の変化等に対応できる中堅技能者の技能向上等を図っているところです。 こうした取組に加え、従業員が新たなスキルを習得して、生産性の向上につなげていくため、やまぐち産業振興財団を通じて、中小企業のリスキリングを支援し、業務効率化・新事業展開等で必要となるDXやGX等の新たな分野に対応する人材を育成しています。 私は、今後とも、産業界や関係機関等と緊密に連携を図りながら、社会変化や地域の要望・ニーズを捉え的確に対応し、人手不足解消に向けた人材育成支援に取り組んでまいります。 次に、職場におけるあらゆるハラスメントの防止対策についてのお尋ねにお答えします。 職場のパワーハラスメントやセクシュアルハラスメントなどの様々なハラスメントは、働く人が能力を十分に発揮することの妨げとなることはもちろん、個人としての尊厳や人格を不当に傷つけるなどの人権に関わる許されない行為です。 また、企業にとっても、職場秩序の乱れや業務上の支障の発生により、貴重な人材の損失につながりかねないなど、社会的にも悪影響を与えかねない大きな問題であることから、国が、雇用管理上講ずべき措置として、企業にパワハラなどのハラスメント対策を義務づけています。 具体的には、企業は職場のハラスメントを防止するため、事業主が対応方針等を決定し、社内に周知するとともに、労働者からの相談に応じ、適切に対応するための体制の整備やハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応などに取り組まなければならないとされています。 県としても、全ての労働者が安心して働くことのできる環境を整備し、充実した職場生活を送ることができるよう、企業が適切に職場のハラスメント対策に取り組むことが重要であると考えていることから、企業に対しその周知啓発に取り組んでいるところです。 まず、各県民局の中小企業労働相談員による事業所訪問や、山口県労働協会との共催による労働セミナーの実施等を通じて、ハラスメント対策の必要性を啓発するとともに、職場の環境づくりなど企業が取り組むべき対策の周知に取り組んでいます。 とりわけ、年末に向けて業務の繁忙等により、ハラスメントが発生しやすいと考えられる十二月は、職場のハラスメント撲滅月間でもあることから、ポスターの掲示や国が開催するシンポジウムの周知などの集中的な広報に取り組むこととしています。 また、各種労働問題に電話等でお答えする、労働ほっとラインにおいて、様々な職場のハラスメントに関する相談に応じるとともに、国が作成した具体的な対応方法を示したマニュアルを活用し、企業が適切なハラスメント防止措置を講ずることができるよう、支援しているところです。 こうした中、国においては、ハラスメントに関する検討会において、労働者保護の観点から、カスタマーハラスメント対策を事業主へ義務づけることが適当であると取りまとめられるなど、法制化に向けた検討が行われていることから、県としても国の動向を注視していくこととしています。 私は、今後とも労働者が安心して能力を十分に発揮できる環境づくりに向けて、企業の適切な取組が進むよう、国と連携して職場のハラスメント対策に取り組んでまいります。 副議長(島田教明君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)若者・子育て世代の県内定着、移住の促進についてのお尋ねのうち、郷土愛の醸成についてお答えします。 全国に先駆けて、全ての公立学校に導入したコミュニティ・スクールを核として、子供たちが地域の様々な人々と語り合ったり、大人と共に学び合ったりすることは、郷土愛の醸成にもつながり、若者の県内定着やUターンの促進に重要な役割を果たしていると考えています。 このため、県教委では、昨年策定した山口県教育振興基本計画において、各施策の効果を最大限に高めていくための共通する重要な視点に、本県教育の強みである、コミュニティ・スクールの連携・協働体制を位置づけ、積極的に取り組んでいます。 とりわけ、コロナ禍で学校と地域のつながりの希薄化が見られたことから、人づくりと地域づくりの好循環の創出を目指し、コミュニティ・スクールと家庭や地域が連携・協働し、郷土への誇りと愛着を育むとともに、子供の豊かな学びや育ちを実現する地域連携教育の取組を再加速させているところです。 具体的には、小中学校、高等学校等を通じて地域と連携・協働した取組を切れ目なく支援するため、県内七エリアに地域連携教育再加速化サポートチームを設置し、各エリアのリーダーを中心に、学校と地域とのつながりを再構築する全県的な推進体制を整備した上で、各学校段階に応じて、郷土愛の醸成につながる取組の充実を図っています。 まず、小中学校では、学校、地域が連携・協働する教育活動を体系的に示した地域連携カリキュラムを家庭や地域と共有するとともに、例えば、授業の中で、子供たちが地域の関係者とワークショップを開催し、地元のよさを学び合い、その魅力を発信するといった活動に取り組んでいます。 また、高等学校では、小中学校での学びも生かしながら、学校・学科の特色や専門性に応じて、例えば、県産食材の生産者にインタビューを実施し、地元事業者の助言を受けながら調理パンを開発して、地元で販売するなど、地域資源を活用し、広く社会と連携した活動に取り組んでいるところです。 今後は、こうした活動をさらに進めることにより、子供たちが地域の大人と語り合い、学び合うことを通して、地域への理解を深め、ふるさとを愛する心を育むとともに、地域で活躍する大人への憧れの連鎖につなげてまいります。 県教委といたしましては、ふるさとへの誇りと愛着や、地域の大人とのつながりをキーワードに、子供たちの主体性を生かした山口県ならではの地域連携教育を積極的に推進し、子供の豊かな学びや育ちを実現するとともに、ふるさと山口への誇りと愛着を育んでまいります。 副議長(島田教明君)岩瀬警務部長。 〔警務部長 岩瀬広紀君登壇〕 警務部長(岩瀬広紀君)インターネット利用に起因する学生の犯罪、トラブルの防止について、学生が被害者にも加害者にもならないための対策について、御質問にお答えします。 スマートフォンの普及により、全国的にインターネット利用者の低年齢化が進み、多くの学生がSNS等を利用している状況にあります。 その結果、議員お示しのとおり、学生がいわゆる闇バイトへ応募して犯罪に加担する事案やネットいじめ事案、児童ポルノ事案など、学生が被害者にも加害者にもなる事案が発生しています。 このため、県警察では、学生が被害に遭ったり、重要性を認識せずに安易に考えて犯罪に加担することがないように、各学校に対して、インターネットの危険性を認識させ、情報の善悪を取捨選択させる情報リテラシーの向上を図るための広報啓発活動を推進しています。 その取組として、中学や高校の生徒と警察官が協働して、インターネットに起因するトラブルや闇バイトに関するVR動画を制作し、制作した生徒が主体となって下級生や小学生を対象に、体験型被害防止教室を行っています。 制作したVR動画につきましては、各種イベント会場や防犯教室においても活用するとともに、ユーチューブで配信するなどして学生の防犯意識の向上を図っています。 また、市町の教育委員会や学校と連携し、中学校の代表生徒が集合してネット問題などを自ら考える、少年リーダーズサミットを開催するとともに、出席した学生がその結果を各学校に持ち帰り情報を共有するなど、学生の規範意識を高める取組を行っています。 加えて、SNS等を通じた闇バイトなどの違法情報・有害情報から学生を守るため、当該情報をSNS等の管理者に削除依頼するとともに、サイバーパトロールを行うボランティアの取組を支援するなど、サイバー空間の対策を講じています。 さらに、学生が闇バイトやトラブルに巻き込まれた際にちゅうちょすることなく相談ができるように、少年相談窓口等の周知を行うとともに、相談に対しては、適切に指導・助言を行っています。 県警察といたしましては、学校や関係機関・団体、各種ボランティアと連携し、当事者となる学生と一体となって、学生が犯罪の被害者にも加害者にもならないための取組を推進してまいります。 副議長(島田教明君)これをもって代表質問を終わります。 ───◆─・──◆──── 副議長(島田教明君)以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 本日は、これをもって散会いたします。 午後一時五十分散会