1 人口減少の克服に向けた令和7年度当初予算編成について 2 医療提供体制の強化について 3 産業競争力の強化に向けた海外展開の推進について 4 林業振興について 5 教育行政について 6 警察行政について
───◆─・──◆──── 日程第一 代表質問 日程第二 議案第一号から第二十号まで 議長(柳居俊学君)日程第一、代表質問を行い、日程第二、議案第一号から第二十号までを議題とし、質疑に入ります。 代表質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 河野亨君。 〔河野亨君登壇〕(拍手) 河野亨君 皆さん、おはようございます。自由民主党の河野亨であります。 令和六年十一月定例会に当たり、自由民主党会派を代表して、県政の諸課題について、知事さん、教育長さん及び警察本部長さんに質問をいたします。 質問に先立ち、一言申し上げます。 さきに行われた第五十回衆議院議員総選挙では、全国的には我が党への厳しい判断が示される中、山口県においては、全ての選挙区において、党公認候補者が今回の厳しい選挙を戦い抜き、当選を果たされました。 また、我が国の新たなスタートの第一歩となる組閣において、林芳正先生が内閣官房長官に御再任なされたのをはじめ、四名の党県連所属国会議員の先生方も副大臣、大臣政務官という要職に御就任なされましたことは、大変心強い限りであり、地元からしっかりとお支え申し上げる所存であります。 我が党は、このたびの総選挙で示された結果を肝に銘じ、引き続き政権を担う責任政党として、国民の皆様から真の信頼が得られる政権運営に全力を尽くし、日本が置かれた現実に向き合いながら、国民の皆様のための確かな政策を着実に遂行していかなければなりません。 国においては、新たな政府の下、安全保障への対応、治安・防災への対応、経済の活力回復を優先課題に掲げ、特に、地方創生を日本経済活性化の起爆剤として掲げる考えを示されています。 地域の持続的な発展を目指し、地域内の人々がその土地で安心して暮らし、働き、子供を育てることができる社会をつくり上げていくため、国と地方で軌を一にして取り組むことが必要であります。 私ども自由民主党会派といたしましても、日本の国と国民・県民生活を守り抜くために、真摯に政策を実現していくことに全力を傾けてまいる所存であり、このことにより県勢のさらなる発展につなげていく決意であることを申し上げ、通告に従い質問をいたします。 初めに、人口減少の克服に向けた令和七年度当初予算編成についてお尋ねします。 二〇〇八年にピークを迎え、一億二千八百八万人を記録した我が国の総人口は、二〇五六年には一億人を割り込むとの推計であり、今後も歴史上類を見ない速度で減少が進みます。国家の根幹に関わる社会・経済システムに停滞を招く、この人口減少問題には、これまで様々な対策を講じてきましたが、地方の過疎化や少子高齢化進行、東京一極集中など、いまだ大きな流れを変えるには至らず、極めて深刻な状況が続いています。 この課題には、引き続き、国や地方などが一丸となって取り組む必要がありますが、我が会派といたしましても、人口減少、少子高齢化は、先送りの許されない最も深刻かつ重要な課題と受け止め、そのことがもたらしている様々な課題や、地域の実情を県政に届けてきたところであります。 こうした声に応え、今年度、知事さんは、抜本的に強化された少子化対策と新たな社会減対策によって、人口減少克服と本県発展に確かな道筋をつけるべく、日々邁進されておられます。子育て世代の経済的負担が軽減したとの実感も、徐々に得られ始めたと感じているところですが、その手応えをより確かな道筋へとつなげるためには、今後も新たな一石を投じていくことが求められています。 現在、県においては、来年度予算に向けた編成作業を進めておられるところであり、その施策重点化方針では、産業、医療・福祉、教育など、多くの分野で深刻さを増す人手不足対策をはじめ、人口減少の克服に引き続き取り組むとされています。 知事さんの決意と実効性のある対策の早期実施に大きな期待を寄せているところですが、人口減少の克服に向け、人手不足や少子化への対策、持続可能な社会の構築にどのような成果を目指していかれるのか、知事さんのお考えをお聞かせいただきたいと思います。 また、国においては、先日、国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策が閣議決定されたところです。我が会派がかねて申し上げてきたように、物価高から県民生活や事業活動を守り抜くとともに、約三十年ぶりの経済の明るい兆しを地域経済の好循環につなげていくために、国、地方が一体となった、機動的な対応が必要であります。 地方経済のさらなる成長や物価高の克服、防災・減災、国土強靱化など、県民、国民の安心・安全の確保に向けて、本県においても可能な限り速やかに、県民の皆さんにその効果を届けていかなければなりません。 あわせて現在、我が自民党県連では、県内の各地域や各界からの県の予算編成と施策決定に関する御意見や御要望をきめ細かく拝聴しているところであり、こうした県民の声をしっかりと施策に反映させていただきたいと願うものであります。 そこでお尋ねします。人口減少の克服に向けて確かな成果を積み重ねるため、今後の県づくりの方向性をどのように考えておられるのか、また、このたびの国の経済対策への対応も含め、今後の予算編成にどう取り組まれるのか、お伺いいたします。 次に、医療提供体制の強化についてお尋ねをいたします。 県立総合医療センターは、県全体の医療を支える中核的医療機関として、救命救急センターや基幹災害拠点病院、僻地医療拠点病院、総合周産期母子医療センターなど、他の医療機関で担うことが困難な高度専門医療や不採算医療に加え、医療提供体制の充実に必要な高度専門医療人材の確保や育成に積極的に取り組んでおられます。 こうした中、未曽有の歴史的災禍となった新型コロナウイルス感染症の法律上の位置づけが五類に移行してから約一年半が経過し、今では日常生活を取り戻すことができてはいますが、新型コロナウイルスが世界中を大きな混乱と恐怖に陥れたことは、まだまだ記憶に新しいところであります。 新型コロナウイルス感染症の対応においては、本県唯一の第一種感染症指定医療機関である県立総合医療センターで重症者や妊婦等、数多くの患者の受入れに取り組むなど、その機能や役割を十分に果たされてきましたが、その教訓として、県民の命と健康を守るためには、平時から新たな感染症等に備えた医療提供体制の整備が重要だと痛感をいたしました。 また、本年一月に発生した能登半島地震をはじめ、近年では、全国各地で自然災害が頻発化・激甚化しておりますが、大規模災害発生時においても、保健医療福祉の提供ができるよう、平時から災害を念頭に置いた病院機能の強化や関係機関との連携体制の構築も必要であります。 さらに、医療を取り巻く環境は、一層の少子高齢化の進展や医療の高度化・専門化、医療制度の抜本的改革等により、大きく変化し続けており、県民が求める医療ニーズは、今後ますます多様化・複雑化することが考えられます。 このため、私ども自民党県連は、本県の医療提供体制の強化に向けては、本県医療の中核的な役割を担っている県立総合医療センターが持つ機能を一層強化することが不可欠であるとの認識から、老朽化している現医療センターの早期建て替え、機能強化について、令和四年一月、知事さんに要望を行ったところであります。 これに対し、知事さんは、私どものこの要望をしっかりと受け止められ、速やかに検討をしていただき、全県からのアクセス性や災害時等の連携も考慮し、防府市が整備する広域防災広場の隣接地に移転、建て替えをすることを表明され、昨年十月には、県立総合医療センターのさらなる機能強化に向けた基本構想を策定されました。 現在、県では、施策整備に関する基本計画の策定や地元との調整、用地取得等を進められているところとお聞きしていますが、さらに加速化し、早期に建て替え、機能強化が行われることを期待したいと思います。 そこでお尋ねします。医療提供体制の強化に向けて、本県医療の中核的な役割を持つ県立総合医療センターの機能強化に、県は今後、どのように取り組まれるのか、お伺いいたします。 次に、産業競争力の強化に向けた海外展開の推進についてお尋ねします。 県では、令和五年度に設置した海外展開推進室を中心に、これまで台湾やASEAN諸国をはじめ、多くの国々や自治体との親密な関係を構築し、台湾の産業支援機関との半導体分野における覚書締結やシンガポール等の山口県人会への海外展開応援団の委嘱など、短期間で数々の成果につなげてこられました。 振り返りますと、これまで、我が自民党会派は戦略的な海外展開について繰り返し訴え、一昨年、ASEAN諸国を訪問した県議会議員団は、執行部に対し、海外展開の推進に向けた要請を行ってまいりました。私は、これまでの執行部の御尽力に深く敬意を表するとともに、県と議会が一丸となって海外展開を推進していくことの意義、重要性を改めて強く感じております。 今議会閉会後には、山口県とベトナムのビンズン省及び両県省議会間の友好交流に関する覚書締結十周年を契機として、県、議会による訪問団がベトナムを訪問する予定であります。今後とも、県と議会が力を合わせ、世界に山口県を売り込み、我が県にさらなる経済効果をもたらすことを強く望むものであります。 さて、世界に目を向けますと、地政学的リスクの高まりにより世界経済の分断が深まる中、保護主義の台頭など国際情勢の不確実性が増し、エネルギーや資源の制約は高まっています。 人口減少下にあって資源に恵まれない我が国は、近年成長著しいグローバルサウス諸国など海外活力を取り込み、持続的な経済成長を実現することは喫緊の課題であります。グローバル戦略を抜本的に強化し、海外の人材、資金を積極的に呼び込み、投資拡大やイノベーションにつなげることが求められているのであります。 そして、本県においても、この激動の時代にあって、目まぐるしく変化する世界の経済情勢に機動的、柔軟に対応し、現状に甘んじることなく海外活力を取り込み、揺らぐことのない強靱な産業力を構築していかなければなりません。 そのため、事業拡大意欲の旺盛な県内中堅・中小企業の海外進出や受注拡大の支援、県産農林水産物等のさらなる輸出拡大、インバウンド需要獲得に向けた誘客対策の強化とそれを支える航路の確保など、人、物、金の観点から、これまで海外展開推進室が取り組んできた成果を継承・発展させ、新たな課題にも対処しながら、本県産業全体の競争力強化を図る必要があります。 とりわけ、さきの九月定例会の代表質問において我が会派が指摘したように、本県経済の持続的な成長のため、深刻化する人手不足への対応は焦眉の急であります。そして、その解決策の一つとして外国人材の活用は、さきに創設された育成就労制度のスタートが令和九年に予定される中、地域経済の生産性、イノベーション加速化の鍵を握る高度産業人材など、本県産業の担い手を確保する観点から重要な検討課題であります。 そこでお尋ねします。現下の先行きの見えない世界経済情勢にあって、その荒波に負けることなく、変化や課題に柔軟に対応し、産業競争力の強化に向けた海外展開に積極果敢に挑戦していただきたいと考えますが、県の御所見をお伺いをいたします。 次に、林業振興についてお尋ねします。 県土の約七割を占める森林は、木材の生産をはじめ、水源の涵養、県土の保全、地球温暖化の防止や快適な生活環境の保全など、県民の暮らしに欠かすことができない多面的な機能を有しております。 この森林の有する多面的な機能を持続的に発揮させるためには、適切な森林管理や森林資源の循環利用等が不可欠であるということは言うまでもありません。 県民にとってかけがえのない森林は、林業生産活動など農山村の人々の営みの中で適切に管理されてきましたが、木材価格の低迷、経営コストの上昇等による林業経営の採算性の悪化や、林業労働者の減少・高齢化など、本県林業を取り巻く環境が厳しさを増す中、林業生産活動の低下から保育・管理の不十分な森林が増大することにより、森林の有する多面的機能の発揮にも支障が生じるなど、本県林業は様々な課題を抱えています。 こうした中、国においては、森林・林業基本計画において、森林・林業・木材産業によるグリーン成長、森林資源の適正な管理及び利用、新しい林業に向けた取組の展開、木材産業の国際競争力と地場競争力の強化、都市等における第二の森林づくり、新たな山村価値の創造に取り組むこととしています。 一方、県においても、やまぐち未来維新プランに強い農林水産業育成プロジェクトを掲げ、林業事業体の育成と経営基盤の強化、新規就業者の確保・定着、木材供給力の強化、木材供給システムの開発など、本県林業の振興に積極的に取り組まれております。 特に、新規就労者の確保については、二〇二六年までの五年間で二百名を確保するとの目標に対し、毎年四十名を確保するなど、これからの林業を担う労働力の確保に向けて、着実に成果を上げています。 さらに、今年度末で第四期対策の満了を迎えるやまぐち森林づくり県民税についても、荒廃した人工林の間伐や繁茂竹林の伐採、地域課題の解決に向けた森林整備などのハード対策と、森林づくり活動を行うボランティア団体の育成などのソフト対策を一体的に進めてこられ、森林の持つ多面的機能の維持・発揮や県民の森林に対する理解促進等に着実な成果を上げています。 我が会派としても、県民共有の財産である森林を県民全体で守り育て、健全な状態で次の世代に引き継いでいくことが大変重要であると訴えてきたところであり、林業労働力の確保や林業経営の安定化など、本県の林業が抱える課題解決に着実に取り組むとともに、県民税についても、制度の継続により、森林機能の持続的発揮に向けた森林整備に対する県民の期待の声にしっかりと応えていただきたいと思います。 そこでお尋ねします。担い手の減少・高齢化や木材価格の低迷など、本県林業を取り巻く環境が厳しさを増す中、本県の林業振興に今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、教育行政についてお尋ねします。 昨年十二月に、国際的な学力調査である、OECD生徒の学習到達度調査の結果が公表されました。コロナ禍を経て四年ぶりに実施されたこの調査で、日本はOECD加盟国中、数学的リテラシーが一位、読解力が二位、科学的リテラシーが一位と、三分野全てにおいて世界トップレベルの結果となりました。 こうした結果は、国際的にも高く評価されてきた、知・徳・体を一体的に育み、子供たちの全人格的な完成を目指す我が国の学校教育の成果であり、その取組は優れた教師の献身的な努力により支えられてきたものであります。 教育は国家の根幹であり、国家百年の大計であります。創造性を発揮して付加価値を生み出していく原動力は人であり、人への投資は最重要課題であります。その中でも、子供たちの教育への投資は、一丁目一番地であります。教育の質や成果を左右するのは教師であり、教師は、我が国の未来を開く子供たちを育てるという崇高な使命を有する職業であります。 一方で、学校が対応する必要のある課題が複雑化・困難化する中で、業務が積み重なり、依然として時間外在校等時間が長い教師が多く、教師不足の問題や病気休職者の増加等も見られます。 加えて、先月には、本県の公立学校の教員が立て続けに逮捕される事案が発生をしました。子供たちを守り育てるべき教員がそのような事案を起こしたことはゆゆしき事態であり、我が会派としても深く憂慮するところであります。 また、公立学校の教員採用選考試験の採用倍率は低下し続けており、本県における今年度実施の公立学校教員採用試験に係る最終倍率も、二・四倍と過去最低の水準で推移している状況であります。 子供の学びを支える教師は公教育の要であり、教師の質や量は子供たちへの教育の質に直結するため、現在の教師を取り巻く環境を改善しなければ、我が国の教育の質の低下を招きかねません。 人材の獲得競争が加速する中、今こそ教師を取り巻く環境を抜本的に改善することにより、教職の魅力を向上し、教師に優れた人材を確保する必要があると考えます。 今年八月には、中教審が公立学校の教師確保に向けた総合的な方策を答申し、その中で、全ての子供たちへのよりよい教育の実現に向けて、教師の勤務実態を改善し、教師が健康な状態で、専門性を最大限に発揮しながら、子供たちへの教育に邁進できるよう、教職の魅力を向上し、教師を取り巻く環境を整備するための具体策が提言されました。 県教委としても、学校における働き方改革のさらなる加速化や、学校における指導・運営体制の充実など、教職の魅力を高め、志ある優れた人材が教師を目指すための支援を推進していただきたいと思います。 そこでお尋ねします。学校を取り巻く環境が大きく変化する中、全ての子供たちへのよりよい教育の実現に向けて、質の高い教員の確保にどのように取り組んでいかれるのか、教育長さんの御所見をお伺いいたします。 最後に、警察行政についてお尋ねします。 首都圏を中心に相次ぎ発生している強盗事件は、地方にも拡大傾向が見られる中、本年十月には、闇バイトに応募して集まった関東地方に居住する若者三人が、本県光市内の住宅に強盗に入ろうとしたとして、強盗予備罪で逮捕されました。 この事件で逮捕された三人は、もともと面識がない中学生や高校生であったと報じられており、その特殊性から全国的にも多くの耳目を集めることとなりました。 県警察におかれましては、凶悪犯罪を事前に認知し、人的・物的被害を出すことなく、早期に解決していただきましたことに、会派を代表して感謝を申し上げます。 昼夜を分かたず、県民の安心・安全な暮らしのために日々業務に邁進しておられる県警察の組織力に対し、改めて感服したところであります。 しかしながら、逮捕されたことに安堵してばかりもいられず、実際に犯罪集団の影響が本県にまで及んでいるというこの現実を、我々は深刻に受け止めるとともに、住みよい山口県の実現に向けて十分な対策を講じていかなければなりません。 我が自由民主党では、SNSを通じた相次ぐ強盗事件の発生を受け、党の治安・テロ対策調査会を、治安・テロ・サイバー犯罪対策調査会に組織改編し、相談体制の拡充など、闇バイト対策について本格的に検討する方針を固めました。 私どもとしては、これまでも匿名・流動型犯罪グループの撲滅を訴えてきたところであり、県警察におかれては、こうした政府の動きにも呼応しながら、引き続き、安全な社会環境の確立に向けて全力を尽くしていただきたいと思います。 闇バイトをめぐっては、SNSの普及により、防犯知識の未熟な少年であっても容易に犯罪行為に加担できる現代の社会環境も問題視されており、国家公安委員会は、警察は犯行に加担しようとしている方から、しっかりと話を聞いて、家族と共に保護するので安心してほしいと国民に呼びかけられています。 犯罪のない安心・安全な山口県を築くためには、広報活動やサイバーパトロールなど、警察が有する防犯体制を強化していくことが犯罪抑止の面で大きな効果を発揮するものと期待をしております。 当然のことながら、こうした取組については、県警察のみならず、県などの関係機関とも協働して取り組むべき事柄であり、県全体の治安課題であります。 犯罪認知後、的確な捜査によって速やかに犯人を検挙することが、県民の安心に直結するという点で重要であると理解していますが、まずは、犯罪を未然に防止する環境を構築していくことが最も優先すべき対策であると考えます。 そこでお尋ねします。県内の治安が不安定な状況に陥りつつある中、県民が安心して暮らすことのできる地域社会の実現に向け、凶悪犯罪の未然防止に対してどのように取り組んでいかれるのか、警察本部長さんの御所見をお伺いいたします。 以上で、自由民主党会派を代表しての質問を終わります。 御清聴、皆さん、ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)河野議員の代表質問にお答えします。 ちょっと喉の調子が悪いもので、お聞き苦しいところがあるかと思いますが、御容赦いただきたいと思います。 まず、人口減少の克服に向けた令和七年度当初予算編成についてのお尋ねです。 本県の最重要課題である人口減少は、加速度的に厳しさを増しており、その克服に向けては、若者、女性の転出超過の拡大と少子化の進行に歯止めをかけることがまさに急務です。 このため、県では、若者の視点を取り入れた企業の魅力向上の取組や、第二子以降の保育料無償化など、当事者である若者や女性の意見・ニーズを踏まえた取組を積極的かつ重点的に推進しているところです。 人口減少の克服は決して容易なことではありませんが、私は、これまで進めてきた取組の成果を基盤に、本県の活力ある未来へとつながる確かな道筋をつけていけるよう、社会減・自然減の対策や、人口減少下にあっても持続可能な地域社会づくりの取組をさらにレベルアップしてまいります。 まず、社会減対策につきましては、県内のあらゆる分野で顕著になった人手不足に対処するため、若者の県内就職やふるさと回帰の促進に向け、県内外における企業等の情報発信や就業のマッチングをさらに強化するとともに、若者や女性の希望に沿った就労環境の整備に係る支援も一層の充実を図ります。 さらに、本県のポテンシャルを最大限に活用して、半導体関連企業等、成長産業のさらなる集積を進めることにより、若者に魅力ある雇用の場を創出し、これを本県への人材の呼び込みへとつなげていきます。 自然減の流れを変えるための少子化対策については、若者が結婚、妊娠・出産など、希望するライフデザインを実現していけるよう、結婚支援のさらなる充実や、地域で安心して子供を産み育てられる環境づくりなどの取組を強化していきます。 また、将来にわたり持続可能な地域社会づくりについては、運転士不足への対応とともに、若者が求める利便性が高い地域づくりに資する自動運転の社会実装や、医療・介護提供体制の充実、大規模災害へ備えた防災・減災対策の強化などの取組を着実に進めてまいります。 こうした中、国は、地方創生二・〇と銘打ち、大規模な地方創生策を講じるとし、このたびの総合経済対策で新たな交付金を創設することが示されました。 私は、こうした国の取組ともしっかりと連携を図りながら、人口減少の克服に向けた実効性ある施策を構築し、県づくりのステージをさらに引き上げていきます。そして、県政の各分野で確かな成果を積み重ね、これにより、若者や女性に選ばれる山口県を実現してまいります。 加えて、お示しのとおり、経済対策の効果の早期発現を図るため、現時点で事業費等の見込みが可能な、防災・減災、国土強靱化に向けた公共事業や物価高対策などについて、今議会での上程も視野に、速やかに補正予算を編成してまいります。 また、本県の地域経済の成長や物価高へのさらなる対策などについて、事業活動や県民生活の実情に的確に対応した施策を、来年度当初予算と合わせて構築していく考えです。 私は、県議会をはじめ、少子化・人材育成確保対策特別委員会での御議論や、市町、県民の皆様からの御意見をしっかりと生かし、県民誰もが豊かさと幸せを感じられる、安心で希望と活力に満ちた山口県の実現に向けて、今後の予算編成に全力で取り組んでまいります。 次に、医療提供体制の強化についてのお尋ねにお答えします。 少子化・高齢化の進展や医療ニーズの多様化等により、医療を取り巻く環境が大きく変化する中、県立総合医療センターが将来にわたって本県医療の中核的な役割を果たすためには、抜本的な機能強化が必要です。 このため、私は、昨年策定した基本構想において、目指す機能・役割等を明確化し、このたび、その実現に向け、施設整備に関する基本計画の素案を取りまとめたところであり、高度専門医療や感染症医療、災害医療の機能強化と、地域医療への貢献の視点から、施設整備を進めてまいります。 まず、本県における高度専門医療の基幹病院として、医療の質のさらなる向上を図るため、救急専門病棟の新設や重症患者の集中治療を行うICU・HCUの増床、先進的医療技術の導入に対応した手術室の拡充を行います。 また、より専門性の高い医療の提供を目的とした小児医療センターやがん治療センター等の設置に向け、山口大学との連携を強化するとともに、複数の診療科や多職種の連携によるチーム医療を一層推進するため、カンファレンス室の拡充や、部門配置と動線に配慮した施設とします。 さらに、身体治療と精神治療を一体的に行う精神病床の新設などにより、精神障害を含む様々な障害に対応できる体制を構築し、最適な急性期医療を提供してまいります。 次に、感染症医療については、新型コロナの教訓を踏まえ、本県唯一の第一種感染症指定医療機関として、新興感染症に即時対応可能な一般病床の整備や、院内感染防止に向けた病床の全室個室化、さらに環境保健センターの併設による知見の集積や迅速な初動体制の構築を通じて機能強化を図ります。 また、災害医療については、激甚化する自然災害に備え、本県唯一の基幹災害拠点病院としての機能を高めるため、隣接地に整備中の防府市広域防災広場と連携し、重症患者等への医療救護活動が迅速に行える施設を整備します。 次に、地域医療への貢献については、県立総合医療センターは医療人材の確保・育成に重要な役割を担っていることから、教育・研修棟を整備し、併設する山口県看護協会の研修プログラムを臨床現場で実践することで、研修の質を一層高めるとともに、新興感染症など有事の人材確保の拠点としての機能も強化します。 また、先般の山口大学との協定締結により、研修プログラム統合による総合診療医の育成などを行うとともに、5Gを活用した遠隔診療やオンライン巡回診療に必要な施設整備を行うことにより、僻地等における医療提供体制の強化を図ることとしています。 こうした新病院の整備に当たっては、早期の建て替え、医療機能の強化が必要であることから、現在、造成設計などに鋭意取り組んでいるところであり、令和十二年度末までの開院を目標に、防府市や関係機関等との連携を一層強化しながら進めてまいります。 私は、今後とも、スピード感を持って本事業を推進し、県立総合医療センターが、将来にわたって本県医療の中核的役割を一層果たせるよう、抜本的な機能強化を図り、県民の皆様が安心できる医療提供体制の充実強化に全力で取り組んでまいります。 次に、産業競争力の強化に向けた海外展開の推進についてのお尋ねにお答えします。 人口減少が急速に進み、国内市場が縮小する中にあっても、本県産業が持続的に成長・発展していくためには、成長する海外の活力を取り込むことが極めて重要と考えています。 このため、私は、改定したやまぐち産業イノベーション戦略に、海外ビジネス加速化プロジェクトを新たに掲げ、台湾など東アジアやASEAN等をターゲットに、ネットワークの強化をはじめ、県内企業の海外展開や農林水産物等の輸出拡大、インバウンドの拡大等の取組を積極的に進めています。 まず、台湾については、台南市との観光、物産、経済等の分野に関する覚書や、台湾と本県の産業支援機関の四者間による半導体分野の覚書の締結を契機とし、様々な取組が進展しているところです。 具体的には、やまぐち和牛燦の初輸出や、台湾行政院の野崎政務顧問への山口県産業政策アドバイザーの委嘱、台湾と本県企業との半導体分野の商談会の開催などの成果が上がっており、今後、さらなる取引の拡大や企業誘致につなげるなど、産業交流を加速してまいります。 次に、お示しのベトナムについては、今月、県と議会、民間企業等で訪問団を組成し、ビンズン省との経済交流等を深化させるとともに、新たに首都ハノイの山口県人会に海外展開応援団の委嘱を行うなど、現地とのネットワークを強化します。 また、キエンザン省で進めている水産インフラの輸出プロジェクトについては、本年十月、来県された人民委員会委員長からも漁獲段階での実証事業の成果が高く評価されたところであり、今後は流通・加工段階はもとより、養殖分野での連携に向けた取組を進めます。 こうした取組に加え、山口県観光・物産グローバルアンバサダーと連携した交流や日本酒をはじめとする県産品等の輸出拡大、来年の大阪・関西万博や再来年のデスティネーションキャンペーンの本県開催を契機としたインバウンド対策の強化等、戦略的に進めてまいります。 一方で、深刻化する人手不足への対応については、外国人材の確保・活用が有効な方策の一つであり、育成就労制度への移行など、今後、さらに外国人材の増加が見込まれることから、企業や現地のニーズを踏まえながら、確実な人材確保に向けた取組を強化します。 具体的には、外国人材のさらなる確保に向けて、送り出し側の国と実効的な関係構築を図り、また、受入れの監理団体等との連携体制を強化するとともに、その定着に向けて、安心して生活できるよう、日本語能力向上や地域での生活を支援するなど、確保から定着まで一体的に支援してまいります。 私は、今後とも、県議会とも緊密に連携し、成長する海外市場との交流拡大により、海外の活力をしっかりと取り込み、本県産業力の強化に向けた海外展開の取組を積極果敢に進めてまいります。 次に、林業振興についてのお尋ねにお答えします。 森林は、県土の保全をはじめ、地球温暖化の防止や木材供給など、県民の暮らしに欠かすことのできない多面的機能を有しており、本県の林業振興を図るためには、こうした機能を持続的に発揮させながら、森林資源の循環活用による成長産業化を実現することが重要であると考えています。 このため、県産木材の需要拡大を図りつつ、林業の担い手の確保や木材供給力の強化等の取組を積極的に進め、その結果、毎年約四十人の新規就業者を確保し、木材供給量は、十年前と比べ二割以上拡大するなど、その成果が着実に上がっています。 また、国の補助事業等を活用し、市町と一体となって、整備する森林を集約し、計画的に施業を進めるとともに、本県独自の森林づくり県民税により、奥山の荒廃森林の整備など、多面的機能の維持に取り組んできたところです。 しかしながら、林業労働者の減少や高齢化など、林業を取り巻く環境は、今後とも厳しい状況が見込まれます。 このため、私は、本県林業の成長産業化の実現に向け、異業種からの参入促進や、林業の構造的な収益向上を目指す新しい林業への取組とともに、お示しの森林機能の持続的発揮に向けた森林整備を進めていくこととしています。 まず、異業種からの参入促進に向けては、これまでの林業機械の操作技術を習得する現場研修や安全対策講習等により、参入希望者の林業への適応力が向上していることから、今後、林業事業体との連携支援等を行ってまいります。 次に、新しい林業への取組については、複数の事業体を組織化し、生産技術の相互提供による省力化や、林業機械を組み合わせた効率的な作業システムの実践、販売ルート拡大など、大幅な生産性向上を実現する、新たな経営モデルの構築に取り組みます。 加えて、森林の整備計画を自動作成するAI搭載システムの開発を進め、木材価格動向等を踏まえた事業適地を選択し、速やかに事業着手する取組を支援することで、市場の変動等に柔軟に対応できる強い事業体を育成します。 次に、森林機能の持続的発揮に向けた森林整備についてです。 本年度末で第四期対策の満了を迎える森林づくり県民税については、県民アンケート調査において、約九割の方が継続に理解を示され、森林づくり推進協議会では、事業を継続すべきとの提言を頂いたところです。 こうした状況を踏まえ、森林整備に対する県民の皆様の期待にしっかりとお応えできるよう、国の補助事業等の活用と併せ、来年度以降も森林づくり県民税を継続し、奥山の荒廃森林の整備などに取り組みたいと考えています。 私は、今後とも、市町や関係団体と連携し、県民共有の財産である森林を健全な姿で次世代へ引き継ぐとともに、森林資源の循環利用による成長産業化に向けた取組を積極的に推進し、本県の林業振興を図ってまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)教育行政についてのお尋ねにお答えします。 近年、教員不足などが全国的な問題となる中、子供たちによりよい教育を提供するためには、教員を取り巻く環境整備を進めることで教職の魅力の向上を図り、優れた人材の確保につなげていくことが重要です。 このため、県教委では、教職の魅力向上に向け、教員が子供と向き合う時間を十分に確保でき、専門性を発揮しながら、生き生きと教育活動に専念できるよう、学校における働き方改革の推進と持続可能な学校の指導・運営体制の構築に取り組んでいるところです。 まず、学校における働き方改革については、県内全ての公立学校における勤務実態等の見える化や、学校運営協議会での協議等を通じ、学校運営への保護者、地域等の理解や参画を促進することなどにより、業務の見直しや適正化を進めます。 また、業務の効率化に向け、今年度は、校務に生成AIを利用するためのガイドラインを作成し、全ての県立学校で取組を進めるほか、今後は、県立学校と市町立学校間における統合型校務支援システムを活用したデータ連携に取り組むなど、校務のDX化を推進していくこととしています。 次に、学校の指導・運営体制の構築については、教員の事務的業務を補助する教員業務支援員を、市町立学校に加え、今年度から県立学校へ配置したところであり、今後もさらなる配置の拡充に努めてまいります。 また、ICT支援員なども含めた学校支援スタッフの定数化や教職員定数の改善等について、引き続き、政府要望の機会や全国都道府県教育長協議会等を通じて国に求めてまいります。 さらに、優れた人材を確保するためには、こうした教職の魅力向上に向けた取組に加え、養成段階における取組の充実も重要であることから、県教委では、教員養成課程を有する県内大学等との連携による様々な取組の改善を図っています。 具体的には、教員を目指す高校生のためのセミナーについて、現職教員との座談会に加え、今年度から新たに大学生や子供たちとの交流活動の機会を設けたところです。 さらに、大学生を対象とした本県独自の教師塾についても、受講対象の拡大と、実施方法や内容の改善を図ることとしており、今後、より多くの教員志望者が、山口県教育に対する理解を深め、教職への意欲を高めていけるよう取組の一層の拡充に努めてまいります。 県教委といたしましては、引き続き、質の高い教員の確保に向けて、教員を取り巻く環境の整備と、教員養成段階の取組の充実に努めるとともに、お示しのありました、このたびの逮捕事案を重く受け止めて、不祥事の根絶と公教育の信頼の回復に向けた綱紀保持の徹底に努め、全ての子供たちへのよりよい教育の実現に全力で取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)岩瀬警務部長。 〔警務部長 岩瀬広紀君登壇〕 警務部長(岩瀬広紀君)凶悪犯罪の未然防止への取組に関する御質問にお答えいたします。 全国的に匿名・流動型犯罪グループによると見られる極めて悪質な強盗事件などが連続して発生し、県内においても、議員御指摘のとおり、こうしたグループと見られる県外居住の少年による強盗予備事件が発生しており、今後も凶悪事件の発生が危惧されます。 このような連続強盗事件などの発生を受け、県警察の緊急対策として、警戒活動の強化の一環で、深夜帯の住宅地周辺において、赤色灯を点灯したパトカーによる見せる警戒活動を実施し、犯罪の抑止及び地域住民の安心感の醸成に努めるとともに、警戒活動中に不審な動きをする車両や人物を発見した際は、徹底した職務質問を実施しています。 加えて、サイバーパトロールを通じて、サイバー空間の安全を確保するとともに、防犯ボランティアの方々とも連携しながら、警戒活動を強化しています。 次に、家屋侵入による強盗事件に係る被害防止広報として、防犯講習、巡回連絡、SNSなどを通じて、住宅への鍵かけ、必要以上の現金を自宅に保管しないこと、防犯フィルムや防犯カメラを充実させるなどの被害防止対策を広報しています。 加えて、平素はうそ電話詐欺について注意喚起していただいている戸別訪問隊に、強盗事件に係る注意喚起を実施してもらうなど、防犯ボランティアと連携した広報をさらに強力に実施することとしています。 一方で、このような犯罪にそもそも加担することを防止することが重要であると認識しており、その対策として県内の各種学校に警察職員が赴き、学生に対し、仕事の内容を明らかにせず、高額な報酬を示唆するものや、個人情報を送信することの危険性を直接呼びかけています。 また、若者が利用しやすい遊戯場、自動車学校、SNSなどを通じて、犯罪実行者募集情報、いわゆる闇バイトへの応募の防止についても呼びかけています。 さらに、闇バイトに応募し、個人情報を送信したために、自らの意思に反して強盗等凶悪犯罪に踏み出すことを防ぐため、犯罪を行う前に警察に相談すれば、警察は相談者本人や家族を保護していくことを広報しています。 県警察では、引き続き、凶悪犯罪に対し、総合的な対策を強力に推進し、特に犯罪に加担しないための対策については、全国警察一体となって取り組む必要があることから、県警察としても呼びかけや広報を強化し、県民の皆様が安心して暮らすことのできる山口県の実現に向け、全力で取り組んでまいります。