1 経済対策について 2 防災・減災対策について 3 農福連携について 4 水産振興について 5 日本語教育の充実について 6 交通事故防止対策について
議長(柳居俊学君)曽田聡君。 〔曽田聡君登壇〕(拍手) 曽田聡君 皆様、おはようございます。公明党の曽田聡でございます。 質問に入る前に一言申し上げます。 十一月十七日、公明党は結党より六十年の節目を迎えました。還暦となり、いま一度、結党の精神、大衆とともにを胸に刻み、県民の声に耳を傾け県政に臨んでいくことをお誓いし、会派を代表して質問に入らせていただきます。 初めに、経済対策についてお尋ねします。 物価高から国民生活を守るための支援策を着実に実行するとともに、およそ三十年続いてきたデフレ型の低温経済からの脱却、成長型経済の転換へ、物価高を上回る賃上げの力強い流れを中小企業や地方にまで広げていくため、価格転嫁の徹底が必要と考えます。 地方経済の血液とも言われる中小・小規模事業者の再生を促すためには、起業や創業を強力に促すことが大変重要であります。 公明党は、さきの衆議院選挙期間中に、物価高対策に最優先で取り組んでほしいとの切実な声を多く頂いたことを受け止め、政府が策定する新たな総合経済対策に関する提言を石破茂首相に手渡しました。 重点項目として、一つ目には物価高対策、二つ目には家計の所得向上、持続的な賃上げ支援、三つ目には能登地域をはじめとする自然災害からの復旧・復興を掲げました。 この中で最優先に取り組むべき課題は物価高対策であり、物価高の影響が大きい低所得世帯や低所得の子育て世帯、賃上げの恩恵が及ばない年金生活者に対しては、生活支援として速やかに給付金を支給すること、いまだ家計を圧迫している電気・ガス料金、ガソリン等燃料費への支援の継続を要請させていただきました。 また、エネルギーや飲食料品等をはじめ物価高騰の影響を受けている生活者や事業者に対し、地方自治体が地域の実情に応じたきめ細かい支援を実施できるよう、重点支援地方交付金を追加で措置し、自治体が自由に活用できる同交付金の使い道として、下記の項目については特に重点的に推奨することを要請しております。 一つ目、物価高騰に苦しむ生活困窮者をはじめとする生活者、中小企業、農林水産事業者、社会福祉、NPO関連等の様々な事業者を守り抜くための相談体制や支援の強化。 二つ目、公的価格で運営されている医療・介護・障害福祉、保育など福祉事業者や、中小企業など価格転嫁を進めることが難しい事業者に対する食料品やエネルギー価格の物価高騰分の支援。 三番目、学校における給食費や教材費等の保護者負担の軽減。 四つ目、LPガスを利用されている方の負担軽減や、特別高圧契約など電力多消費型の中小企業等の負担を軽減するための支援。 五つ目、物価高騰対策に対応するプレミアムつき商品券を実施する市町村に対する支援であります。 山口県に対しても、長引く物価高に対し、幅広い生活者の暮らしを支援する物価高対策の速やかな立案・実行を求めるものでございます。 二つ目の家計の所得向上に向けては、年収が一定額に達し、税や社会保険料の負担が生じることで働き控えを招く年収の壁の解消へ、関連制度の抜本的な見直しに取り組むことを提唱しています。 年収の壁解消は、公明党が一貫して取り組んできたテーマでございます。パートやアルバイトで働く人が年収の壁を意識せず働けるよう、百六万円の壁や百三十万円の壁を克服するため、政府が昨年スタートさせた、年収の壁・支援強化パッケージの着実な実行とともに、制度の抜本的な見直しを求めてまいりました。 山口県におきましても、年収の壁解消により、各家庭の所得向上はもとより、人手不足の軽減につながることが期待できます。 こうした我が党の提案がしっかり盛り込まれた経済対策が、様々な議論を経て、先日閣議決定されたところであります。今後は、その具体化に向け、国と地方が一体となった推進が求められます。 そこでお尋ねいたします。国の総合経済対策について、地方において、とりわけ、我が党がこれまで申し上げてきた物価高の影響を受けている生活者や事業者に対し、重点交付金を活用したきめ細やかな支援が求められますが、このたびの経済対策について、県は今後どのように対応されるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、防災・減災対策についてお尋ねいたします。 九月に石川県の能登半島を襲った豪雨災害は、元日に起きた大地震の被災地に追い打ちをかけるように浸水や土砂崩れなど甚大な被害を引き起こし、復興に大きな打撃を与えることとなりました。 山口県でも災害の大小はありますが、毎年のようにどこかで災害が起こっている現状を見るにつけ、自助・共助・公助の大切さをいま一度確認する必要があると思います。 自助では、災害用備蓄品の準備、避難経路の把握、ハザードマップの活用、災害時の連絡手段の確保、自宅の安全対策などが考えられますが、特に自分のいる場所で災害が発生した場合、どのような状況になるのかを知るすべとして、市町では土砂災害、洪水、津波、高潮などのハザードマップを公表し、いつでも見ることができるようになっています。これらの情報を基に、早め早めの避難が必要と考えます。 共助では、近所での助け合い、地域防災訓練の実施、防災資機材の整備などが考えられ、特に災害が発生した際、近所同士での迅速な安否確認は重要な取組となります。特に独り暮らしの高齢者や体の不自由な方の状況を優先的に確認することが重要であり、災害が発生する前から日常的に近所付き合いを大切にし、お互いの家族構成や健康状態を把握しておくことが大きな助けになると考えます。 公助では、災害に強いまちづくり、災害対応、避難所の開設と運営、災害救助法の適用、自助・共助の支援などが考えられます。 特に避難所については環境改善を求める声が高まる中、一九九○年代にアフリカの難民キャンプで多くの人が亡くなったことを受け、紛争や災害を想定して国際赤十字などがつくった、スフィア基準が注目されています。被災者には尊厳ある生活を営む権利、支援を受ける権利がある。そして苦痛を軽減するために実行可能な手段が尽くされなくてはならないことを基本理念とし、その達成のために指標を数値化しています。 例えば、一人一日当たり最低十五リットルの水を確保、一人当たりの居住空間は最低三・五平方メートル、トイレは二十人に一つ以上、男女比は一対三のほか、プライバシーの確保など、避難所運営の際に目安が示されています。 私は、二○一六年の熊本地震の際、同僚の前東県議と現地に駆けつけ、熊本市内の避難所の開設に当たりました。段ボールで避難所の居住スペースをつくったり、給水車で運ばれてくる飲料水の番をしたり、仕事は様々でしたが、ボランティアセンターのリーダーの方に従って任務をしてまいりました。 公明党は十一月七日、石破茂首相に提出した総合経済対策への提言で、スフィア基準の導入など避難所環境の大幅改善を訴えさせていただきました。 山口県におきましては十一月六日、令和六年能登半島地震を踏まえた防災・減災対策についてと題して、第三回山口県地震・津波防災対策検討委員会が開催され、体制の整備・確保では、避難所におけるネットワーク環境の整備、物流の整備・確保では、支援物資輸送に係る体制の整備、特に孤立する可能性のある集落への対応、避難体制の整備・確保では、先ほど私も申し上げました広域避難所や避難所の生活環境改善などが、種々議論されたとお聞きしております。 そこでお尋ねいたします。十一月二日の季節外れの線状降水帯に伴う豪雨では、日本各地で浸水被害を伴う災害が発生いたしました。このように季節や地域を問わず発生する自然災害に県としてどのように防災・減災対策に取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、農福連携についてお尋ねいたします。 政府は、農福連携等の一層の推進を図るため、農福連携等推進会議を設置し、その会議の結果を踏まえ、二○一九年六月に農福連携等推進ビジョンを取りまとめました。 本年五月には、改正食料・農業・農村基本法が成立し、新たに同法第四十六条に農福連携が位置づけられ、障害者等が農業活動を行うための環境整備を進め、地域農業の振興を図る旨が盛り込まれることとなりました。 推進ビジョンの策定から五年が経過し、農福連携等の取組の中には、障害者の農業での就労支援を出発点としつつ、地域の様々な主体と関わりながら、人や地域のさらなる課題解決に向かうものが生まれています。 また、二○三○年度までに取り組む主体を倍増させる目標も掲げました。 近年、農福連携の取組主体は、二○二二年度末時点で農福連携に取り組む農業経営体や障害者就労施設は六千三百四十三団体、三年間で二千二百二十六団体も増え、関心の高まりがうかがえます。 ただ、全ての農業経営体に占める割合で見ると僅か○・三%にすぎず、障害者就労施設は一八%にとどまっています。農福連携に踏み切れない背景には、農業生産の高コスト化を招く懸念や、障害者にとって対応できる作業があるのかという不安の声がある一方、農福連携には、農業分野において、喫緊の課題である担い手不足や高齢化が進む中において労働力の確保に資することが期待され、障害者にとっても、農業を通じた働く場の確保や賃金・工賃の向上に加え、地域との交流の促進等の生活の質の向上が期待されています。このように農家と障害者の双方にメリットがある取組を一層、広げていく必要があります。 新たな推進ビジョンでは、市町村が参画して農業経営体と障害者就労施設の協議の場を設け、きめ細かなマッチングを進めるとされ、現在では都道府県単位で行っているマッチング支援をさらに丁寧に進めていく必要もあります。 本年九月に、障害者の就労支援に取り組まれる福祉団体から、就労継続支援事業所を利用される障害者の工賃向上に農福連携や水福連携等が適しているとのお話をお伺いいたしました。 農林水産省の調査では、農福連携に取り組む農業経営体の約八割が、収益性向上に効果ありと回答しています。 二○二二年六月定例会一般質問で、我が会派の石丸典子議員から紹介がありました静岡県浜松市でユニバーサル農園を営む企業では、一九九六年から毎年一人以上の障害者を雇用しておられ、翌年からの二十五年間で売上げが六・五倍に伸びた。障害者の視点で農作業の手順などを見直したことで作業効率が向上し、経営規模と生産量の拡大につながったと語っておられます。 そこでお尋ねいたします。県として農福連携に取り組まれておられますが、県内そして全国の好事例も周知して、さらなる取組の拡大をしていかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、水産振興についてお尋ねいたします。 今、海面水温の上昇の影響は猛暑だけにとどまることなく、スーパー台風やどか雪による生活への影響、さらに冷たい海水を好む魚の漁獲量が減少し、私たちの食卓にも影響しています。 温暖化という言葉は海ではあまりなじみがありませんでしたが、海水温が高くなっていることは最近よく聞くようになりました。 温暖化対策は喫緊の課題と言われています。十一月には国連の気候変動対策会議COP29が開催され、世界の平均気温の上昇が一・五度を超えないように対策が話し合われております。 最近の季節外れの豪雨、頻繁に奄美や沖縄地方に台風が進むのも海の温暖化が影響している可能性があり、海面水温を二○一四年と二○二四年の七月を比較すると、二○一四年は北日本周辺だけ高くなっておりましたが、今では、その範囲が日本海そして沖縄周辺、南海上の全域が高い状態になっております。このような異常に高い海水温は、ここ四年ほど続いており、特に昨年から一年半ぐらいが、これまでに例がないようなレベルの海水温の高さが続いていると言われております。 このような気候変動、海水温の上昇は、魚介類の生息域に大きな影響を与えています。 北海道では、冷たい海水を好むスルメイカの漁獲量が激減し、その代わりに海水温が暖かな長崎県や島根県でよく捕れていたブリの漁獲量が増えており、福岡県では、アカハタやシイラなど南方系の魚が多く水揚げされるようになっています。 山口県になじみのあるフグを例にとって漁獲量を見てみますと、二○○八年、山口県四百九十八トン、北海道八十トン、それが二○一九年には、山口県二百七十六トン、北海道七百四十七トンで全国一位と、フグの捕れる海域の変化がうかがわれます。 二○二一年のデータでは、北海道千九百九十トンとさらに漁獲量を増やし、シェアでは三二・二%となっています。 漁獲量が急増している北海道では、毒のあるフグを調理するために必要な免許を持った料理人が不足しているため、地元で消費ができないことが課題となっています。 一方、本県では、歴史的にフグの取扱い・消費が多く、日本で唯一フグ専門卸売市場、南風泊市場があり、全国で水揚げされたフグが集まり、取扱量日本一の座を誇っており、山口県の名物、そしてなりわいとしてその地位を築いています。 このように以前、捕れていた海域でなじみのある魚介類などが捕れなくなり、その地域になじみのない魚介類などが捕れるようになっていることを科学的に把握するため、研究者の間では泳いでいる魚から海中に出るふんやうろこを採取し、科学的な方法でDNAの情報を分析し、魚介類の生息域を調べています。 生息域を北に移しただけではなく、南へ移動していることが分かってまいりました。海面水温の上昇が魚介類にストレスを与え、生息域を移動していることに私たちも認識する必要があると考えます。 このような研究のほか、規格外、見た目が悪い、知名度が低い魚、調理方法が普及していないなど、低・未利用魚と言われる魚種を利活用できないかと研究も始められています。なじみのない魚種によっては、市場で低い価格で取引されたり、非食用に回されるため、漁業者にとって厄介者になっています。 代表的な魚介類の生息域の変化や減少に伴い、全国の漁獲量は、二○二二年はピーク時の二五%となっており、山口県でも、最も漁獲量が多かった一九六六年と現在の漁獲量を比べると約六%の漁獲量と、いかに減少したかが見えてきます。 そこでお尋ねいたします。気候変動が海面水温に変化をもたらす中、魚種や漁獲量にも大きな変化が生じています。山口県の水産業についてもその影響は避けられないと考えますが、どのように水産振興に取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、日本語教育の充実についてお尋ねいたします。 今年も十一月三日に、山口市平川地域において多文化祭が開催されました。山口大学の留学生家族や平川地域で暮らす在留外国人家族の方々が、出身国の紹介や母国語での挨拶、またそれぞれの国の言葉を書くテストもあり、楽しいひとときを過ごさせていただきました。 急速に進む少子化に伴う労働力不足の解消や人材確保、さらには国際交流の推進といったことから、年々、外国人留学生や外国人労働者は増加しております。そうした目的で日本にやってくる外国人は、長期に日本に滞在するため、家族と一緒にやってきたり、家族を呼び寄せたりすることも増えてきております。そのため一昔前と比べて、最近では外国人の子供たちを見かけることも増えてきました。 我が国に在留する外国人の数は、コロナ禍を経て伸長し、令和五年末には約三百四十一万人となり、過去最高を更新しております。 さらに政府は、昨年、令和十五年までに外国人留学生を四十万人受け入れる目標を掲げるなど、今後ますます在留外国人が増えることが予想されています。 こうした背景もあって、日本語学習者数は一貫して増加傾向にありますが、令和四年度の入国制限の緩和を受け大幅に増加し、令和五年度も引き続き増加して二十六万人を超えております。 山口県では、令和四年度千四百五人から令和五年度は二千三百一人と増加しています。 そうした中、日本語学習者の増加と多様化が進むとともに、令和元年以降、日本語教育に関する法や制度の整備により、日本語教育を受ける機会の最大限の確保、日本語教育の質の維持の向上を求められるようになってくるなど、日本語教育を取り巻く状況が大きく変化しています。 そのような中、本年四月一日、日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律が施行されました。日本語教育の適正かつ確実な実施を図ることによって、我が国に居住する外国人が日常生活及び社会生活を国民と共に円滑に営むことができる環境の整備に寄与することを目的とし、一つには日本語教育機関のうち一定の要件を満たすものを認定する制度、二つには認定日本語教育機関の教員資格の創設を掲げています。 また、先月十七日には、日本語教師の国家資格、登録日本語教員になるための試験が初めて実施されました。この試験が実施される背景には、今から約十六年前に政府が策定した、留学生三十万人計画による受入れの拡大に伴う日本語学校の急増による質の低下と、一部で教員数の不足や教員の経験の乏しさへの指摘がありましたが、この試験の導入により日本語教師の指導の質のばらつきの均一化を図るとともに、処遇向上で教師として働く魅力を高めることにもつながるのではないかと期待しております。 県内には、小中学校で授業を受ける際、日本語を理解できず大変苦労している外国にルーツを持つ児童生徒たちがいます。例えば、学校においても、日本語教員資格者など活用して授業を補完できる環境が整備されれば、本来能力のある児童生徒たちも授業の理解度が向上するのではないでしょうか。 そこでお尋ねいたします。このたびの法整備、登録日本語教員試験の実施など、今後一層の日本語教育施策の充実が期待される中、学校における日本語教育が必要な児童生徒への支援について、県教委としてどのように取り組まれる御所見か、お伺いをいたします。 最後に、交通事故防止対策についてお尋ねいたします。 令和五年中の山口県の交通事故死者数は三十五人で、六年ぶりに増加しました。令和六年中の交通事故死者数は、十一月十四日現在、四十四人と前年同期比で十七人増加しています。 十一月に入り、県内では十一月七日から十日にかけて周防大島町、山陽小野田市、山口市で、いずれも高齢の歩行者がはねられ死亡する交通事故が発生し、十四日には下関市の市道で乗用車がガードレールに衝突し、運転していた八十二歳の男性が死亡しました。 これを受け交通安全山口県対策協議会では、十五日、高齢者交通死亡事故多発警報を発令いたしました。 交通事故死者における高齢者の割合は、近年の高齢者人口の増加を背景として約六割を占め、高齢ドライバーによる交通事故が多く発生しています。 山口県における交通事故、その死者数の傾向は高齢者に目を向けられていますが、全国では自転車による交通事故が増加傾向にあり、令和五年中の自転車が第一当事者また第二当事者となった交通事故は、七万二千三百三十九件と前年より二千三百五十四件増加し、全交通事故の二割を占めるに至っています。 十一月一日からは改正道路交通法が一部施行となり、携帯電話をしながら自転車を運転する、ながらスマホの罰則が強化され、酒気帯び運転についても罰則が新設されました。 政府広報によれば、ながらスマホは改正法で禁止事項として明記され、六か月以下の懲役または十万円以下の罰金とされました。さらに、事故を起こすなど交通の危険を生じさせた場合は、一年以下の懲役または三十万円以下の罰金と、さらに重くしています。 酒気帯び運転については、禁止事項で罰則の対象外でしたが。これまでは酒に酔った状態で運転する、酒酔い運転のみ処罰の対象でしたが、今般の道交法改正により、酒気帯び運転についても罰則の対象となり、改正法では新たに三年以下の懲役または五十万円以下の罰金を科すとしたほか、自転車や酒の提供者なども罰則の対象としています。 また、こんな運転も禁止であります。傘差し運転やイヤホン、ヘッドホンを使用するなど、必要な音を遮断する行為での運転は五万円以下の罰金、二人乗り運転や並進運転、ともに一部除外規定はありますが、二万円以下の罰金または科料と罰則が設けられています。 そして改正法では、二○二六年五月までに、交通違反に対して反則金を納付させる、青切符を自転車にも導入するとともに、十六歳以上に適用され、信号無視や一時不停止など軽微な違反を取り締まり、通学で自転車を利用する高校生らも対象となります。 これまで列挙した罰則規定の強化は、その行為そのものが違反かどうか理解されないままに法改正が進み、また規制が強化されています。 十一月三日には、県内で初めて自転車の酒気帯び運転で摘発されています。 公明党は、さきの衆議院選で掲げた政策集に自転車の安全対策として、各地の自動車教習所と連携した安全講習会の開催や、小中学生が学ぶ機会を増やすことなどを盛り込んでいます。 そこでお尋ねいたします。県内の交通事故死者数の減少に向けた取組と自転車の交通ルールの徹底についてどのように推進していかれるのか、御所見をお伺いいたしまして、公明党会派を代表して質問を終わらせていただきます。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)曽田議員の代表質問にお答えします。 まず、経済対策についてのお尋ねです。 地域経済がデフレに後戻りせず、成長型経済へと移行していくためには、物価が緩やかに上昇する中でも賃金の上昇が物価の上昇を安定的に上回ることで、消費や投資が促進される、こうした循環が定着をしていくことが重要です。 同時に、その実現に至るまでの間、地域経済が停滞に陥らないよう、事業活動や県民生活の実情に応じてしっかりと下支えをしていく必要があります。 こうした考えの下、本県では、これまでも国の経済対策に呼応し、賃上げ支援やICT環境整備の促進、産業基盤の強化などの取組を機動的に行ってまいりました。 特に、お示しの物価高への対応については、令和四年度以降、毎年度対策を講じ、今年度当初予算においても、医療・福祉・教育施設の光熱費、食材料費に対する支援や公共交通事業者への燃料費支援など、約四十五億円の予算措置を行い、県民や事業者の皆様の負担軽減を図っているところです。 これらの国と地方による経済対策により、県内経済においては、五%を超える水準での賃上げが行われ、民間投資も活発となるなど回復基調を維持しています。 一方で、物価高の進行にいまだ賃金上昇が追いついていない状況にあり、引き続き、国と地方が一体となって地域経済を支えていかなければなりません。 こうした中、今般示された国の新たな総合経済対策では、賃上げと投資が牽引する成長型経済への移行を確実なものとするとの方向性の下、日本経済・地方経済の成長、物価高の克服、国民の安心・安全の確保の三つの柱が掲げられるとともに、足元の物価高に対応するため、重点支援地方交付金が追加されたところです。 私は、このたびの総合経済対策に可能な限り迅速に対応し、その効果を県民の皆様にお届けできるよう、国の交付金を最大限活用し、国の物価高対策を補完する、きめ細かな対策を引き続き着実に講じていく考えです。 このため、まず、当面の物価高対策として、国が行う電気・ガス料金の負担軽減策に呼応し、これまでも行ってきたLPガス、特別高圧電気料金に係る支援を実施したいと考えています。 また、このほかの物価高対策については、地域の実情に応じた施策の検討を進めるとともに、地方経済の成長、県民の安心・安全の確保などに向けた対策についても、今後の予算編成を通じて施策の構築を図ってまいります。 私は、本県経済の好循環の実現に向けて、国の総合経済対策に的確に対応し、物価高に直面する事業活動や県民生活をしっかりと支えることで、本県の経済活動を力強く後押ししてまいります。 次に、防災・減災対策についてのお尋ねにお答えします。 能登地方においては、元日に発生した大規模地震からの復興も道半ばの中、今年九月には、集中豪雨により再び甚大な被害が発生したほか、先月には、奄美地方や沖縄県で大雨災害が発生するなど、自然災害は季節や地域を問わず、頻発化・激甚化しています。 私は、このような大規模災害から県民の生命と財産を守り、被害を最小限に抑えるためには、県民一人一人が自らの命を守る自助、地域住民が助け合う共助の取組の促進とともに、県や市町等による公助の充実が重要であると認識しています。 このため、能登半島地震を踏まえて今年度設置した、地震・津波防災対策検討委員会において、能登での課題の検証を行い、その結果を踏まえて県が取り組むべき防災・減災対策について、このたび、体制、物流、避難等の分野ごとに取りまとめたところです。 具体的には、衛星インターネットを活用したネットワーク環境の確保、物資搬送ドローンを活用した緊急物資輸送体制の整備、市町の区域を越える避難に対応した広域避難所の整備、全市町共通の避難所運営・避難者管理に係るシステムの導入などについて検討を行うこととしています。 とりわけ、お示しの避難所の生活環境に係る、スフィア基準については、県の、避難所運営マニュアル策定のための基本指針において参考として掲げているところですが、避難所環境の改善に向けては国の財政支援が必要であることから、県議会とも連携し、国に要望を行ったところです。 こうした中、先般示された国の新たな総合経済対策においては、防災・減災及び国土強靱化の推進が掲げられ、この中で避難所環境の抜本的改善及び女性の視点を生かした避難所運営等に取り組むこととされています。 このため、県としてもこれに呼応し、国の支援メニューも活用しながら、市町の避難所環境の改善を促進するとともに、女性や要配慮者等の多様な視点を取り入れた避難所運営に向けて、各種指針等の見直しを行うこととしています。 これらの公助の取組に加え、共助や自助の取組の推進も必要であることから、自主防災アドバイザーの養成・派遣等により、自主防災組織の活性化を図り、地域防災力の強化に努めてまいります。 また、今年度導入した災害体験VRを活用した防災訓練や、災害に対する基本的な備えを学ぶシンポジウムの開催等を通じ、県民に対する防災知識の普及啓発に取り組むこととしています。 こうした取組は、速やかに実行に移す必要があるため、可能なものから順次実施するとともに、今後の予算編成過程において早期の事業化を検討し、防災・減災対策のさらなる充実強化を図ってまいります。 私は、いつでも、どこでも起こり得る災害から県民の命と暮らしを守るため、能登半島地震をはじめ過去の大規模災害を教訓としながら、市町や関係機関等とも緊密に連携し、スピード感を持って災害に強い県づくりに全力で取り組んでまいります。 次に、農福連携についてのお尋ねにお答えします。 国においては、平成三十一年に、障害のある方が農業分野での活躍を通じて、地域社会への参画を目指す、農福連携等推進ビジョンが策定され、障害のある方の自信や生きがいの創出と農業分野での就労機会の拡大に向けた取組が進められています。 一方、私は、こうした国の動きに先駆け、平成二十七年度から福祉事業所の工賃の向上を図るため、コーディネーターを配置し、地域内で農作業を共同受託できるよう、需要の掘り起こしやマッチング等に取り組んできたところです。 また、令和五年度には、全国でも先進的なマッチングサイト「あぐぷく」を開設し、農業者が求める作業と障害のある方が活躍できる農業活動を掲載することで農福連携を進め、その結果、県内の各地域において好事例が生まれています。 こうした中、農福連携の取組は、集落営農法人等の中核経営体を支える担い手の確保策として期待が高まっていますが、お示しのとおり、農福連携の取組を行っている農業経営体の割合は、本県においても僅かにすぎません。 このため、私は、農福連携のさらなる拡大を図るため、県内や全国の好事例の周知などによる農業・福祉相互の理解促進や、障害のある方にとって働きやすい環境の整備、さらに、双方に精通した専門人材の育成に積極的に取り組んでまいります。 まず、農業・福祉相互の理解促進に向けては、農業者と福祉事務所の新たなマッチングを進める現地見学会の開催や、専用サイトへのPR動画等の掲載とともに、新たに、県内での先進的な優良事例を紹介したハンドブックを作成し、相談からマッチングまでをきめ細かく対応します。 加えて、農福連携に取り組みたい農業者や福祉事業所に対し、双方の不安を解消し相互の理解を深めるため、連携前に農作業を体験する、おためしノウフクの取組を支援し、農業者と福祉事業所がつながるきっかけづくりの場を創出します。 次に、障害のある方にとって働きやすい環境整備については、それぞれの障害特性に配慮した作業工程を定めたマニュアルを作成するとともに、国の事業を活用して、スロープやトイレなどの施設整備も支援することとしています。 さらに、農業現場での作業を支援する専門人材の育成に向けては、国が認定する農福連携技術支援者の確保を図るため、農業者や福祉事業所の職員等を対象に、障害特性に応じた農作業支援に関する講座や現場研修を引き続き実施します。 私は、農業団体や福祉関係機関等と緊密に連携し、県内の好事例を活用した理解促進等を一層進めることで、障害がある方の就労や生きがいの場の創出をはじめ、農業の活性化にもつながる農福連携の取組を積極的に進めてまいります。 次に、水産振興についてのお尋ねにお答えします。 近年、水産業を取り巻く環境は、担い手の減少・高齢化をはじめ、お示しのとおり、海洋環境の変化等によって水産資源の分布・回遊が変化をすることで、漁業生産に影響を与えるなど、一段と厳しさを増しています。 こうした状況にあっても、本県水産業が地域経済の発展に寄与する重要な産業として、将来にわたり成長していくことが重要です。 国においては、海洋環境や社会・経済の変化など、水産業をめぐる状況等を考慮して、新たな水産基本計画を策定し、持続性のある水産業の成長産業化と漁村の活性化の実現に向けて、施策を展開することとしています。 このため、私は、国の動きにも呼応しながら、海洋環境の変化にも適応し、生産性と持続性を両立した安定的で強い水産業を育成するため、スマート技術の強化や資源管理の推進に重点的に取り組んでまいります。 まず、スマート技術の強化に向けては、これまで蓄積した海水温や漁場の変化等のデータを活用し、精度の高いマアジなどの漁場予測やフグなどの漁獲情報等を見える化する操業支援システムの実装を促進し、効率的かつ安定的な操業につなげます。 また、魚種等の変化に対する順応性を高めるため、ICT技術を活用した漁獲対象種や漁法の複合化を促進することとしており、課題解決に向けて水産大学校との共同研究を進めるなど、スマート水産業の導入を加速化します。 加えて、今年度から、最新のデジタル機器等を備えたモデル漁船を活用して、資源状況に応じた機動的な漁場選択等の実証を進め、今後、得られた技術効果を各経営体に広く普及させ、海洋環境の変化や漁業の複合化等に適応する次世代型漁船への転換も促進します。 次に、資源管理の推進に向けては、海水温上昇により増加している高級魚ハタ類の資源量を主要漁場ごとにデジタル化し、適正な漁獲量管理を導入するなど、科学的な調査に基づく適切な資源管理の取組を進め、安定した生産量を確保していきます。 また、温暖な水温にも適応しているキジハタ等の種苗を安定的に放流するとともに、本県が全国で唯一、種苗の量産技術を有するシロアマダイの効果的な放流技術の開発を進めるなど、資源の増加に取り組みます。 加えて、市場価値や利用度が低いウニに、長門ゆずきちの皮などを餌に与えて香りづけする、山口ならではの養殖技術の開発・普及や、漁業者等による未利用魚の加工品開発を後押しするなど、資源を有効活用する取組も進めます。 私は、今後とも、漁業関係団体等と緊密に連携をしながら、海洋環境の変化にもしっかり対応し、生産性と持続性を両立した、強い水産業の育成に向けて、全力で取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)日本語教育の充実についてのお尋ねにお答えします。 本県に居住する外国人の増加が見込まれる中、外国にルーツを持つ児童生徒が学校の授業内容を理解し、共に学ぶことができるよう日本語教育を受ける機会を確保するとともに、日本語教育の質の維持向上を図ることが重要です。 このため、まず、日本語教育を受ける機会の確保については、一人一人の実態に応じた指導を行う必要があることから、県教委では、対象児童生徒が在籍する市町に、その人数に応じて日本語指導担当教員を配置するとともに、独自に支援員等を配置する市町には財政支援を行っています。 また、来日直後の児童生徒が日常生活で困ることがないよう、NPO法人と連携しながら、オンラインによる日本語指導を集中的に実施しているところです。 次に、日本語教育の質の維持向上については、担当教員や市町教委の担当者を対象に、指導上の課題解決に向けた協議や好事例等を共有するための研修を実施するとともに、全ての小中学校教員に向けても、日本語指導教材の選び方や保護者とのコミュニケーションの取り方等について相談を受ける体制を整えています。 今後は、こうした取組に加え、より一層、きめ細かな対応ができるよう、例えば管理職等が日本語指導の状況を観察・評価し、学校全体で改善を図る取組を推進するなど、市町教委と連携しながら、日本語教育に対する全ての教職員の意識の向上と各学校の体制整備に取り組んでまいります。 また、お示しの登録日本語教員につきましては、先月初めて試験が行われたばかりであり、学校での活用に係る今後の国の動向等を注視していきたいと考えています。 県教委といたしましては、市町教委や関係機関と連携しながら、外国にルーツを持つ児童生徒が、誰一人取り残されることなく生き生きと学校生活を送ることができるよう、日本語教育の充実に努めてまいります。 議長(柳居俊学君)岩瀬警務部長。 〔警務部長 岩瀬広紀君登壇〕 警務部長(岩瀬広紀君)交通事故死者数の減少に向けた取組と自転車の交通ルールの徹底についてお答えいたします。 本年十一月末現在の交通事故死者数は、前年同期に比べ二十人多い四十八人で、このうち七割以上を高齢者が占めています。 また、自動車運転中の交通死亡事故のうち、高齢運転者によるものは約五割、歩行中に亡くなられた方の約九割が高齢者です。 さらに、自転車乗車中の死者は三人で、人身事故全体に占める自転車関与の事故の構成率も前年に比べ増加しています。 このため、県警察では、高齢者の交通死亡事故抑止対策を強化し、加えて改正道路交通法の施行を踏まえ、自転車の交通ルール徹底に向けた交通安全教育等に取り組むこととしています。 まず、高齢者の交通事故防止対策では、運転免許を保有していない方を含め、高齢者自らが加齢に伴う身体機能の変化が行動に及ぼす影響等を理解し、納得して安全な交通行動を実践できる交通安全教育に引き続き取り組んでまいります。 また、高齢運転者に対しては、短期間に複数回交通事故を起こした方への個別指導、運転に不安を感じる方への交通安全定期診断や安全運転相談の実施、令和四年に導入されたサポートカー限定免許への切替え、運転免許証返納後の生活を支援する運転卒業証制度の周知、充実など、段階的な取組を推進してまいります。 次に、議員お示しのとおり、本年十一月、自転車の酒気帯び運転及び携帯電話使用等に関する罰則が整備されました。 令和八年五月までには、自転車等の運転者がした一定の違反行為が交通反則通告制度の対象とされる改正道路交通法も施行されます。 こうした改正内容につきましては、引き続き、あらゆる活動を通じて周知するとともに、自転車の交通ルール徹底に向けた取組を強力に推進してまいります。 とりわけ、自転車利用が多い小・中・高校生に対しては、学校等と連携し、交通ルールを分かりやすく解説した資料の定期的な提供や、模擬市街地を活用した通行方法の周知など、交通安全教育の内容を充実させてまいります。 また、中高生が主体となり、自転車の正しい通行方法、ながらスマホや並進の危険性などを訴える動画を作成し、全校生徒が視聴するICT機器を活用した交通安全教育に取り組んでいますが、こうした教育素材がより多くの方の目に触れる取組を推進するとともに、あらゆる世代に安全教育が提供できるよう、関係機関・団体との連携を一層強化してまいります。 加えて、交通指導取締りを通じ、違反行為に対する罰則、正しい通行方法等を丁寧に説明するなど、交通ルールの徹底に向けた指導を行ってまいります。 県警察といたしましては、県民の交通安全意識の醸成につながる情報や教育の提供を積極的に行い、交通事故死者数の減少と自転車の交通ルールの徹底を目指し、安心・安全な交通環境の実現を図ってまいります。 ───◆─・──◆──── 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩をいたします。再開は、午後一時の予定でございます。 午前十一時四十九分休憩