1 中山間地域の振興策について 2 高齢者の安心の確保について 3 半導体・蓄電池関連産業の戦略的な集積促進について 4 天然とらふぐのブランド強化について 5 県職員の人材育成・確保について 6 総合支援学校の通学バスの持続的な運行について 7 その他
───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第二十号まで 議長(柳居俊学君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第二十号までを議題とし、質疑に入ります。 一般質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 髙瀬利也君。 〔髙瀬利也君登壇〕(拍手) 髙瀬利也君 おはようございます。自由民主党の髙瀬利也でございます。それでは、通告に従いまして質問をさせていただきます。 まず、中山間地域の振興策について、お伺いします。 先月、初会合が開かれました、国の新しい地方経済・生活環境創生本部では、日本の津々浦々まで、それぞれの特性を生かした元気な社会が広がるよう、地方の振興で日本全体を元気にする、との方針が示されました。 本県においても、県土の七割を占める中山間地域の課題を克服し、特性を生かした振興を図ることで、県全域を元気にしていかなければなりません。 これまで県は、中山間地域づくりビジョンに基づき、地域づくり団体等への補助などを通じて、やまぐち元気生活圏づくりを目指した取組を継続されております。 現在、一部では、持続可能で自立した地域づくりの成果が現れてはいますが、県内を見渡すと、耕作放棄地はますます増え、むしろ元気を失い、過疎に拍車がかかっている地域が多くなっております。 国が、地方創生交付金の倍増を図り、同時に、事業効果を高めるため、縦割りの廃止や施策の統合化なども進めるこの機会に、本県においても新たな取組が求められます。 例えば、元気生活圏活力創出事業については、近年、様々な理由によって申請をちゅうちょ、あるいは熱心な活動団体であるにもかかわらず、申請ができないケースも見られるため、市町任せにすることなく、新たに県が直接地域に入り込んで調整することも必要と思います。 また、先月施行された二地域居住促進法や、大都市圏の若者が地域の方々との交流を通じて、日頃とは異なる文化や価値観に触れる若者の地方体験交流、あるいは、観光を契機に交流人口を関係人口へ発展させる取組など、新たな視点での地域振興策も出てきておりますので、それらを積極的に行っていただきたいと考えます。 さらに、後ほどの県職員の人材育成の質問にも通じますが、現在、国では、国土交通省と農林水産省が連携し、志願した二つの省の若手職員を市町村に割り当て、担当市町村の課題解決を継続的に伴走支援する制度も設けられています。 中山間地域の振興にかける本県の本気度を示すためにも、県が市町や地域とこれまで以上に緊密に連携を図りながら、リーダーシップを取ってモデルとなる地域をつくり出し、部局横断的に活性化に取り組むといったことなども、知事が掲げられる現場重視の実践例として、お願いしたいと思います。 今日、中山間地域を取り巻く環境は一段と厳しさを増しておりますが、諸先輩議員の皆様が県議会初の議員提案条例に中山間地域振興を選ばれたのは、これこそが県勢発展に欠かせない課題であるからであり、その重要性は変わっておりません。 ついては、中山間地域の振興に向けて、今後、県はどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、高齢者の安心の確保について、お伺いします。 光市の事件など、闇バイトによる強盗の多発を受け、不安だ、自然災害よりも恐ろしいといった県民の皆様の声を度々耳にするようになりました。 県警察には、引き続き、取締り強化に努めていただきたいと思いますが、一方で、警察だけに頼るのではなく、県においても県民の命と財産を守るための取組が求められます。 中でも、高齢者の安心確保は急務です。 先般公表された、国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、今から二十六年後、二○五○年には、本県の全世帯の二二・九%、五世帯のうち一世帯以上が、六十五歳以上の独り暮らし世帯になることが示されました。 全国に比べて十年早く高齢化が進むと言われる本県だからこそ、全国に先駆けた仕組みづくりや対策が必要で、このことは来年度の予算編成方針で、安心で希望と活力に満ちた山口県の実現を目指すと、安心を真っ先に掲げられた知事の御認識と同じであると考えます。 全国的には、地域での防犯パトロールカーの導入や見守り活動などに自治体が支援をし、好事例の横展開を図るといった取組なども見られます。ぜひ、本県に住んでよかったと実感していただけるよう、昨年、知事が設けられた、安心・安全の基盤づくりの基金の活用などにより、全国に誇れる安心の仕組みづくりに取り組んでいただきたいと思います。 その上で、高齢者の安心の確保に係る仕組みの重要な一翼を担う日常生活自立支援事業について、お伺いします。 先般、高齢者の認知機能の低下を狙った、マンションやアパートの不動産投資の悪質な詐欺事件が摘発されましたが、摘発は氷山の一角で、物忘れはあるが、認知症と診断されていない軽度認知症の方や、記憶力が衰え始めた方については、立件が難しく、多くは泣き寝入りと言われております。 現在、国は、軽度認知症など判断能力が低下した高齢者の金銭管理等を支援する日常生活自立支援事業を設け、本県でも、県社会福祉協議会から委託を受けた市町の社会福祉協議会が、このサービスを実施しておりますが、お話を伺うと、財政面の課題が要因の一つとなって、申し込んでも三か月待ちといったケースもあるそうです。 実際、高齢者の方の利用実績は、本県の高齢化率の伸びに比べてあまりにも低く、制度の利用が進んでいない状況が見られ、少なくとも、この事業がもっと活用されれば、また軽度認知症以外の方も利用できる本県独自の制度や仕組みがあれば、こうした事件を未然に防ぐことができると思われます。 ついては、高齢者の安心の確保に向けて、今後、県はどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、本県に住んでよかったと実感していただけるためには、持続可能な介護サービス提供体制の充実も重要な課題ですので、お伺いいたします。 これまで県では、やまぐち高齢者プランに基づき、介護サービスの充実をはじめ、地域包括ケアシステムの基盤強化など様々な高齢者施策を計画的に推進されておりますが、それでも、いわゆる団塊ジュニア世代が六十五歳以上となる二○四○年には、二千八百十六人の介護人材が不足すると見込まれております。 こうした中、今後、ますます拡大し多様化する介護ニーズに的確に対応し、さらなる介護サービスの質の向上を図るためには、介護職員の人材確保対策はもとより、処遇の改善に加え、生産性向上等を通じた職場環境の改善に向けた先進的な取組も推進していく必要があります。 特に最近では、ロボットやデジタルを活用し、業務の改善や効率化により生み出した時間を直接的な介護ケアの業務に充て、利用者と職員が接する時間を増やすなど、介護サービスの質の向上につなげていくという取組を進められている介護サービス事業所も次第に増えていると聞きます。 人材不足は、全事業者共通の問題であり、こうした取組を含め、介護サービス事業所の経営者をはじめ、介護現場の実情に詳しい団体など、関係者と連携し、様々な課題を共有、解決していくことも、介護サービス事業所が地域における介護ニーズに応える基盤であり続ける上では、重要となります。 ついては、持続可能な介護サービス提供体制の充実に向けて、今後、県はどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、半導体・蓄電池関連産業の戦略的な集積促進について、お伺いいたします。 周知のごとく、今、全国的に半導体や蓄電池工場の建設ラッシュとなるなど、地域間競争が激化しているところであり、半導体や蓄電池産業と親和性の高い基礎素材型産業が集積し、高いポテンシャルを有する本県において、両産業が経済の浮沈を握っていると言っても過言ではありません。 全国の競争に打ち勝ち、本県経済の持続的な発展を確かなものとするため、一層戦略的で実効性の高い取組が求められます。 まず、本県が、国内外の企業から魅力的な立地地域として選ばれることが重要です。 大きなインセンティブとなる補助制度はもちろん、受皿となる十分な事業用地や潤沢で良質な工業用水の確保、道路などの関連インフラの整備等を着実に進めつつ、企業誘致活動を強力に進めていただきたいと思います。 また、現下の深刻な人手不足の中にあって、半導体・蓄電池に係る専門人材の確保は喫緊の課題です。 全国的にも人材争奪戦の様相を呈しており、本県企業のニーズを踏まえ、高校や大学等の教育機関と連携しながら、これからの製造や研究開発等を担う優秀な人材の育成・確保に本格的に取り組まなければなりません。 そして、投資を呼び込むだけでなく、それを本県産業力の強化につなげていくことが重要です。 事業拡大に意欲的な企業の研究開発や事業化の支援、新規参入促進など、立地後のサプライチェーンを担い、国内外への販路拡大を図る優良な関連企業群の集積を図っていく必要がありますので、そういった点では、本県との深い絆を持ち、友好関係を一層深める台湾との産業交流は、さらに強力に進める必要があります。 ついては、全国的に地域間競争が激化する中、半導体・蓄電池関連産業の集積促進に向け、これまでの成果も踏まえ、一層戦略的な取組が求められますが、県は今後どのような方針で取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、天然トラフグのブランド強化についてお伺いします。 来年二月、東京の日本橋の三越本店で、ついに山口県物産展が開催されます。首都圏の有名百貨店での開催は、本県の名産品の数々を知っていただける絶好の機会となりますが、その中でも依然として高い認知度を誇っているのがフグです。 山口県といえばフグ、の認知は、明治二十一年、全国で唯一、本県でのみフグ食が解禁されたことに由来し、今日まで受け継がれる技によって、名声も高まっていきました。 山口県近海のフグの質が極めて高いと評価されるのは、地元の漁師の方々の丁寧なはえ縄漁と、捕ってすぐの処理が卓越しているためであり、良質なフグを選別する仲買の方々の確かな目利きや、活かし込みから除毒までの的確な処理技術は、他の地域の追随を許しません。 先般、テレビや新聞で取り上げられましたが、食品の輸入規制が厳しいアメリカに、フグの身欠きの輸出が認められているのも、こうした高い技術が守られているからこそです。 しかしながら、近年、本県を象徴するトップブランドの頂点に立つ、天然トラフグの土台が揺らぐ事態が相次いで生じています。 先般、トラフグ漁の腕利きの漁師の方が惜しまれつつ廃業されました。 数年前に親から受け継いだ船が故障し、その修理に数千万かかり、また新規購入では億が必要になる、燃料費価格の高騰や魚価の下支えもなく、苦しい経営を強いられることを踏まえ、五十代で多額の借金を背負うには、あまりにもリスクが高いというのが廃業の理由でした。 本県のトラフグはえ縄漁船の操業数は、平成三十年の三十一隻から令和四年の二十四隻まで、実に四年間で七隻も減っており、このままでは、種苗放流による資源管理の効果が現れつつあるにもかかわらず、近い将来、良質な天然トラフグが南風泊市場から姿を消す事態にもなりかねません。 また、認知についても、地元下関市内の小学生で、食べたことがあると答えた児童は極めて少なく、想像以上に認知度が低下している実態があらわになりました。 このため、魚価が低下する一月から二月にかけて支援策を打ち出し、また、県内の認知度向上を図るべく、集中的な県内消費フェアなどの開催、さらには、宿泊事業者等と連携して、本場でしか味わえない料理の提供・開発を進めるなど、圧倒的なブランドを再構築していくことが必要と考えます。 山口県全体でフグを身近に感じ、改めて誇りに思うことが、この先の将来にわたって、山口県といえばフグ、のブランド力を高め、ひいては地域の豊かさにつながると信じてやみません。 このたび、南風泊市場で大量死した養殖トラフグについても、万全の対策を講じていただきたいと思いますが、まずは天然トラフグのブランド強化に向け、今後、県はどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、県職員の人材育成・確保について、お伺いします。 地方自治体においては、デジタルや脱炭素などの様々な社会変革に適切に対応していくため、人材育成や専門性を備えた人材確保の取組はますます重要となっております。 国は、昨年十二月に、これまでの指針を大幅に見直す形で、新たに地方自治体向けの人材育成・確保基本方針策定指針を取りまとめました。 新たな指針は、ワーク・ライフ・バランスの推進などの職場環境の整備についての検討事項も記載され、急務となっているデジタル人材の育成・確保も盛り込まれるなど、幅広く、多様な取組の強化を促すものとなっております。 現在、若者を中心として、仕事に対する価値観や仕事に求めるものが大きく変化している中、今後、公務の担い手を継続して育成・確保していくためには、職員の皆さんがこれまで以上にやりがいや自己成長を実感できるような人事管理や職場環境づくりが求められます。 先般、中山間応援隊に参加した県職員の方が、地域の方と接することの充実感を口にされておりましたが、地域住民の方々も、県職員が地域に足を運ぶことを大変喜ばれます。 やりがいという点では、先ほどの質問でも述べたように、現場重視の徹底と、それが可能となる職場環境の整備も必要ではないかと思います。 このたび、県職員の採用試験については、県人事委員会の大変すばらしい取組によって、全国的にも先進的な内容に一新されたところですので、今後、人材育成などについても、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。 例えば、公表されていますように、二○五○年に本県の人口が九十二万人台になるとすれば、県や市町の行政組織や規模も現状のままとは思えません。 今から市町と連携して、人材育成や人材確保に努めるといった取組や、市町との人事交流を活発化させるなど、オール山口県の視点で、来るべき時代への備えも必要と考えます。 ついては、このたびの国の指針の策定を受け、県は今後、職員の人材育成・確保にどのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。 最後に、総合支援学校の通学バスの持続的な運行について、お伺いします。 人口減少のスピードを緩和させるための対策は待ったなしですが、併せて、避けることができない人口減少社会に適応した仕組みづくりなどを今から準備することも、極めて重要となっております。 こうした点で、県教委が進められている県立高校の再編整備や、次世代の校務デジタル化などは、将来をしっかりと見据えた取組であると考えます。 一方で、各総合支援学校で運行されている通学バスについても、検討の時期に来ているのではないでしょうか。 現在は、民間のバス会社に運行を委託されておりますが、運転手不足の影響により、通学バスの運行に手が挙がりにくい状況となっております。このままでは、たとえ委託金額を引き上げたとしても、総合支援学校の通学バスが運行できないといった事態にもなりかねません。 このため、現行のバス会社など、交通事業者への委託方式だけでなく、新たに県教委の直営方式や、小中学校のように地域づくり団体等への委託など、地域の特性を踏まえた複数の運行方式を用意しておくべきと考えます。 総合支援学校の通学バスについては、適切な支援や配慮ができる運転手や添乗員の配置、車両の確保など課題もあることから、まずは今年度、なかなか委託先が決まらず苦労されたと聞いております豊浦総合支援学校などで、一部試行されてはいかがかと思います。 近年、総合支援学校に通う児童生徒が増えており、今後さらにバス路線を増加する必要性が生じることも予想される中、県教委には、将来にわたって、児童生徒が安心して通学できる体制の整備を進めていただきたいと思います。 ついては、総合支援学校の通学バスの持続的な運行に向けて、今後、県はどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 質問は以上ですが、最後に一言申し上げます。 私の地元では、兄弟のうち、小中学生がスクールバスで通学し、同居の高校生が通う高校は弟と距離的に近いにもかかわらず親が送迎しています。 小中のスクールバスは、座席に十分余裕があるので、兄弟を一緒に乗せてほしいと親御さんは要望されたそうですが、市所有のスクールバスに県立の高校生は乗せられないと断られたそうです。 地域には、県の補助金で購入した生活バスも走っていますが、通学時間に運行していないなどの理由で、これも活用できません。 また、路線バスもありますが、始業時間の一時間三十分以上も前に学校に着く一便しかないため、この不便な路線バスを利用して通学する生徒は皆無で、結果、高校に通う生徒も減り、地域の衰退を加速させるといった悪循環に陥っております。 地域の方は、現にあるものを有効活用したいとの一心ですが、市や県に相談しても、それは県に言ってくれ、いや、市だ、などと言われ、一向に改善されず、いつしか住民の方のやる気も減退しております。 昨年公表された、新たな国土形成計画では、サービス提供側の視点から、分野ごと、地方公共団体ごとでの個別最適だけでは限界が生じるおそれがあり、生活者などサービス需要側の視点に立って、利便性を最適化できる仕組みを構築していく必要があると指摘されております。 今まさに、需要者側、住民の視点に立った取組や仕組みが、本県の様々な分野で必要とされているということを最後に申し上げまして、私の一般質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)髙瀬議員の御質問にお答えします。 まず、中山間地域の振興策についてです。 中山間地域は、急速な人口減少や少子高齢化の進行に伴い、集落機能の維持が難しくなる地域が生じるなど、大変厳しい状況にあり、その振興は本県の重要な課題だと考えています。 このため、私は、地域での暮らしを支え合う仕組みづくりの強化に向けて、複数の集落でコミュニティーの機能や日常生活を支え合う、やまぐち元気生活圏づくりを積極的に推進し、各地域の取組をハード・ソフト両面から支援してまいりました。 その結果、県内十七市町、七十七地域で、生活支援機能の確保や地域資源の活用を図る取組などが進んでいるところですが、中山間地域における人口減少のスピードはとりわけ速く、これに対処するためにも、地域の持続性を高める取組をさらに強化・加速しなければなりません。 取組を進めるに当たっては、まずは、地域や市町に主体的に取り組んでいただくことが重要ですが、厳しさを増す中山間地域の課題に的確かつ迅速に対応するためには、県としても、地域への支援を一層強化する必要があると考えています。 このため、お示しのように、これまで以上に、県の職員が市町と共に地域に入り込み、専門的な知見や経験を踏まえた助言や調整を行い、元気生活圏づくりに向けた地域の体制づくりや推進方針の策定などが進むよう、しっかりと後押しをしていきます。 さらに、活力ある地域づくりに向けては、新たな視点を積極的に取り入れることも重要です。 例えば、交流人口の拡大に向けては、従前より都市部の住民を呼び込む都市農山漁村交流事業等を実施してきましたが、さらに中山間地域を訪れる観光客をターゲットに、これを関係人口へと引き上げていくことができるよう、地域との関わりを深める取組の検討を進めます。 そして、中山間地域の暮らしの魅力や地域ならではの資源等を用いて、モデル地域もつくりながら、この取組を県内各地へと広げ、中山間地域と多様な形で関わる人を増やし、これを都市部との二地域居住や移住の促進につなげていきたいと考えています。 また、地域の活性化や課題解決を図るため、庁内の関係部局が連携をしながら、部局横断の取組にもさらに力を入れていきます。 具体的には、地域産物を活用した特産品の開発から事業化、流通、販売に至るまでの支援や、デジタル技術を生かした生活サービスの維持・確保の取組など、現場のニーズを捉えながら様々な課題に取り組み、関係部局の連携により、確かな成果を上げてまいります。 私は、今後も、市町や地域と緊密に連携をしながら、本県の中山間地域が、人口減少下にあっても活力を維持・創出し続けていけるよう、全力で取り組んでまいります。 次に、半導体・蓄電池関連産業の戦略的な集積促進についてのお尋ねにお答えします。 半導体・蓄電池分野の世界的な市場が拡大をし、国内投資が活発化する中、本県には、両分野に不可欠な部素材の世界シェアを有する企業が立地し、製造装置や部品等を扱う企業も多く集積するなど、高いポテンシャルを有していることから、本県の産業力を強化していく絶好の機会と考えています。 このため、やまぐち産業イノベーション戦略において、半導体・蓄電池分野を重点成長分野に位置づけ、産学公で設置した協議会の下、企業誘致の推進をはじめ、研究開発・事業化の促進、国内外への販路拡大、人材の育成・確保等の取組を積極的に展開しています。 まず、企業誘致においては、本県の優れた立地環境や優遇制度を生かした積極的な誘致活動により、関連分野の大型投資などの誘致が実現をした結果、本年の設備投資額が二年連続で過去最高を達成する約千四百八十億円となるなど、着実に成果が上がっており、今後もその取組を加速していきます。 次に、研究開発・事業化の促進に向けては、新たな補助制度により、中小企業の参入促進を図るための部材開発や、半導体の製造工程で重要な役割を果たす検査機器等の開発を支援しており、国内のサプライチェーンの一翼を担うべく、県内企業の技術力の向上を力強く後押しをしています。 さらに、国内外への販路拡大については、大手半導体製造装置メーカーとのマッチング機会の創出や、台湾での世界最大級の国際展示会への出展のほか、台湾と本県の産業支援機関四者間での半導体分野の覚書を契機とした県内企業との商談会やフォーラムの開催等、販路開拓の取組を進めています。 また、本年十月には、台湾行政院の野崎政務顧問に、本県の産業政策アドバイザーに御就任いただいたところであり、こうした本県と台湾との協力関係も十分活用し、台湾との産業交流の拡大を図りながら、取引拡大や企業誘致につなげてまいります。 こうした取組に加え、全国的な課題である専門人材の育成・確保に向けては、今年度、協議会の下に、県内企業や高等教育機関の参画を得て検討会を設置し、求める人材や、育成・確保に当たってのニーズや課題等を把握するなど、実効性の高い具体策の検討を行っているところです。 今後、検討内容を踏まえ、企業や高等教育機関等と連携し、学生等の半導体・蓄電池分野や県内関連企業への理解・関心を高めていくなど、企業が求める人材の育成・確保につながる取組を展開してまいります。 私は、本県の産業力のさらなる強化につながるよう、今後、世界的な市場拡大が期待される半導体・蓄電池分野の産業集積に向けて全力で取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)國吉健康福祉部長。 〔健康福祉部長 國吉宏和君登壇〕 健康福祉部長(國吉宏和君)高齢者の安心の確保についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、日常生活自立支援事業についてです。 今後、独り暮らしの高齢者の増加が見込まれる中、認知症高齢者をはじめ、判断能力が十分でない方々が、住み慣れた地域で安心して暮らしていくための取組を推進していくことが重要です。 このため、県では、昨年十二月に策定した第五次山口県地域福祉支援計画の中で、判断能力が十分でない方々に対する権利擁護の取組の充実や、身近な地域における見守り・支え合い体制の強化を図ることとしています。 お示しの日常生活自立支援事業については、実施主体である山口県社会福祉協議会に対して、相談の受付から訪問調査、支援計画の作成等に係る経費や、それらの業務を担う専門員の資質向上に係る研修、制度の利用促進に要する経費などを支援しているところです。 今後も、広く県民への周知啓発活動に努めるとともに、判断能力の著しい低下が見込まれる方々については、成年後見制度への適切な移行が進められるよう、制度間の連携を促進してまいります。 また、民生委員等による見守りに加え、郵便、新聞、ガス事業者等の生活関連事業者等を含めた、多様な主体による重層的な見守り・支え合い体制の充実強化を図ってまいります。 県としましては、今後とも、誰もが住み慣れた地域で安心して生活していけるよう、市町や関係団体等と連携しながら、高齢者の安心の確保に向けて、引き続き、積極的に取り組んでまいります。 次に、持続可能な介護サービス提供体制の充実についてのお尋ねにお答えします。 高齢化が進行し、介護の需要の増大・多様化が見込まれる中、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けるためには、必要な介護サービスを持続的に提供する体制を充実させることが重要です。 このため、県では、限られた人員の中で、事業者がロボットやICTなどの介護テクノロジーを活用して業務の効率化を進めることにより、サービスの質の向上や人材の確保・定着を図れるよう、これまでも介護テクノロジーの導入支援や管理者向けの研修等を行ってきたところです。 今後は、こうした取組に加え、より実効性の高い取組を推進していく観点から、介護サービス事業所の経営者をはじめ、現場の実情に詳しい関係団体等で構成する協議体を新たに設置し、その英知を結集して直面する課題の解決に取り組んでまいります。 また、介護現場の生産性向上に資する様々な支援を、総合的・横断的に一括して行うワンストップ窓口を設置し、この協議体における意見等を踏まえながら、事業所からの相談対応をはじめ、介護テクノロジーの導入・定着を含めた総合的な支援を行ってまいります。 県としましては、事業所や関係団体等と連携しながら、こうした取組を通じ、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けていくことができるよう、持続可能な介護サービスの提供体制の充実に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)大田農林水産部長。 〔農林水産部長 大田淳夫君登壇〕 農林水産部長(大田淳夫君)天然トラフグのブランド強化についてのお尋ねにお答えします。 本県は、国内唯一のフグ専門市場である南風泊市場と水産加工団地を有する国内随一のフグ加工の集積地であり、高度な品質管理や卓越した処理技術などの大きな強みを持つことから、山口県といえばフグ、と言われています。 このため、県では、そのブランドを支えるため、漁獲量の増加の取組に加え、県内外での消費拡大キャンペーンや首都圏等での大規模展示会への出展などを通じて、味や品質を積極的に発信してきたところです。 こうした中、お示しのように、本県を象徴する天然トラフグを筆頭に、ブランド力を一層高めるため、漁獲量の増大と、県内外での消費拡大や情報発信などの認知度向上対策を、強力に進めていくこととしています。 まず、漁獲量の増大に向けては、トラフグの種苗から放流期までの育成や、河口域などの適地への集中放流を支援するなど、高い効果が期待できる種苗放流を引き続き行います。 また、放流後は、小型魚の採捕禁止や、定置網等に入った産卵期のトラフグの再放流を支援するなど、国や関係県と連携した資源管理の取組を一層強化してまいります。 次に、認知度向上対策については、まず、魚価が低下する時期に合わせ、県内飲食店において、ぶちうま!ふくフェアを開催し、消費を喚起するとともに、SNSを活用した情報発信等により、広く県内外にPRします。 さらに、やまぐち旬彩の宿や、やまぐち食彩店等において、国内外の観光客を対象とした、本場ならではの魅力が感じられる新たなメニュー開発を支援します。 加えて、海外でのトップセールスや現地プロモーションを実施するとともに、台湾やベトナムへの早期輸出解禁に向け、国への働きかけを継続的に行うなど、輸出拡大にも積極的に取り組みます。 県としては、下関市をはじめ、関係市町や生産者、加工業者、市場関係者等と緊密に連携し、将来にわたって、山口県といえばフグ、と認知されるよう、ブランド強化に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)佐藤総務部長。 〔総務部長 佐藤茂宗君登壇〕 総務部長(佐藤茂宗君)県職員の人材育成・確保についてのお尋ねにお答えします。 本県では、平成二十七年三月に、現行の山口県人材育成基本方針を定め、求められる職員像に向け、現場重視、スピード重視、成果重視の三つの視点と、新たな課題に果敢に挑戦する、などの五つの心構えを掲げ、取組を進めてきたところです。 こうした中、生産年齢人口の減少や働き手の価値観の多様化、デジタル社会の進展等により、現在、地方公共団体を取り巻く環境は大きく変化しており、本県でも早期退職者が増加傾向となっていることや、専門職員の採用が困難となるなど、人材育成・確保の取組は重要な課題となっています。 このため、新たに国の指針に追加された人材確保などの観点を踏まえ、今年度末をめどに、現行方針を改定する形で山口県人材育成・確保基本方針を策定し、総合的・計画的に取組を推進していきたいと考えています。 今後の方向性としては、まず、人材育成については、DX等の新たな政策課題や多様化する行政ニーズに対応するため、職員研修の充実強化やリスキリング支援に努めるとともに、職員の意欲を引き出し、やりがいや成長につなげていけるよう、管理職のマネジメント能力の一層の向上を図ります。 次に、人材確保については、引き続き、人事委員会と連携した採用試験制度の見直しや、公務の魅力の効果的な情報発信等に取り組むとともに、専門性の高い外部人材の活用や職務経験者採用のさらなる充実等を進めます。 また、職場環境の整備では、やまぐちワークスタイルシフトの着実な推進や、ハラスメント対策の一層の充実のほか、新たに職員の働きがいや組織への思い入れ等の、職員のエンゲージメントを把握することにより、職員個人の意欲向上につなげていきます。 これらに加え、デジタル人材をはじめとした専門人材を育成・確保するため、県と市町の共同研修を充実させるとともに、市町のニーズを踏まえた人事交流の推進などを図っていきます。 県としては、安心で希望と活力に満ちた山口県の実現に向け、職員一人一人が持てる力を最大限に発揮することができるよう、人材の育成・確保に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)総合支援学校の通学バスの持続的な運行についてのお尋ねにお答えします。 総合支援学校に在籍する児童生徒については、障害の種類や程度に応じて、一人一人が安心して通学するための環境を整備することが重要です。 このため、総合支援学校では、車椅子等を利用する児童生徒に対応した車両のほか、適切な支援や配慮ができる運転手や添乗員が配置された専用のバスによる通学を行っています。 また、こうした通学バスを安全かつ安定的に運行するためには、専門性やノウハウ等を有する交通事業者との連携が効率的であることから、当該事業者に業務を委託しており、必要な車両や運転手の手配、駐停車場所の準備に加え、非常時における代替車両等の確保などにも対応しているところです。 一方で、運転手不足など、近年の交通事業者を取り巻く環境は大変厳しい状況にあり、運行体制を維持することが課題となっています。 このため、県教委では、交通事業者が中期的な運行計画を立てやすくなり、幅広い事業者の参入を促すことができるよう、令和二年度から最長三年間の長期継続契約を導入しており、安定的な通学バスの運行に努めています。 さらに、従来の当初予算に基づく対応では、四月の新学期開始までの準備期間が短く、交通事業者から、車両の準備や運転手、添乗員の確保が困難との声があったことから、入札時期の早期化のため、本議会に債務負担行為に係る補正予算案を上程したところです。 また、通学バスを利用する児童生徒数の増加に対応するため、地域の状況等に応じたバスの増便や路線の拡充等にも取り組んでおり、来年度に移転を予定している豊浦総合支援学校についても、増便に向けた検討を進めるなど、よりきめ細かな運行に努めてまいります。 今後、交通事業者を取り巻く状況は、さらに厳しさを増すものと考えており、お示しの地域の特性を踏まえた複数の運行方式等については、児童生徒や保護者の視点に立ち、事業者や地域の状況、他県の動向等を踏まえながら、引き続きの課題として検討していきたいと考えています。 県教委としましては、今後とも、総合支援学校に在籍する児童生徒が安心して通学できるよう、通学バスの持続的な運行に向けて取り組んでまいります。