1 物価高騰対策について 2 カスハラ対策について 3 県有施設整備と災害時の活用について 4 教育現場のデジタル化の推進と教員の負担軽減について 5 大規模災害時の教育支援について 6 トクリュウ(匿名流動型)犯罪への対応について 7 その他
議長(柳居俊学君)前東直樹君。 〔前東直樹君登壇〕(拍手) 前東直樹君 おはようございます。公明党の前東直樹でございます。それでは、通告に従いまして順次質問をいたします。 最初に、物価高騰対策について伺います。 今回の衆議院総選挙の期間中にも、物価高対策に最優先で取り組んでほしい、との切実な声を多く頂きました。 公明党といたしましても、このたびの国の総合経済対策に対して、提言の重点項目の冒頭に物価高対策と家計の所得向上、持続的な賃上げ支援の拡充を掲げ、石破総理に申入れを行ったところであります。 中小・小規模事業者に対する物価高騰対策については、六月議会でも取り上げましたが、持続的な賃上げの実現や最低賃金の着実な引上げの実現に向けて、事業者が人手不足の中においても生産性を向上させ、賃上げ原資となる収益力を拡大していけるよう支援をしていかなければなりません。そのためにも適正な価格転嫁を進めることが重要であります。 そこで、改めて県として、適正な価格転嫁に対して、どのような取組を行ってきたのか、そしてまた、今後の取組についてお伺いをいたします。 なお、中小企業の支援については、国の制度として省力化投資補助金が展開されております。県としては直接対応することはできませんが、現場の事業者さんからは、カタログ方式のメニューが足らない、使いづらい、相談がしづらいといったお声も伺っております。 こうした声についても、国との協議の機会等を通して改善につなげていただくよう要望をいたします。 また、エネルギーや食料品等をはじめ、物価高騰の影響を受けている生活者や事業者に対し、地域の実情に応じたきめ細やかな支援が実施できるよう、公明党としても重点支援地方交付金の追加での措置を求めているところでありますが、特に公定価格等で運営されている医療、介護、障害福祉、保育などの福祉事業者など、価格転嫁を進めることが難しい事業者に対しては、食料品・エネルギー価格の高騰分への支援がより重要となります。 こうした事業者に対する県としての今後の取組について、併せて御所見をお伺いいたします。 次に、カスタマーハラスメント、いわゆるカスハラに対する対策についてお伺いをいたします。 以前から、限度を超えた要求・行動は問題視されており、例えば、お店で大声を上げたり、業務を妨げたり、無理に居座ったりする行為は、刑法でも威力業務妨害罪や不退去罪に、また、行為の態様によっては、傷害や暴行罪、脅迫・恐喝・強要に関する罪などに該当するケースもありました。 こうした中で、あえてカスハラという形で取り上げられるようになったのは、企業と顧客の関係において、どこまでが正当で必要なクレームであるのか、そもそも線引きが難しかった中で、SNS等の普及により一方的に対応の経緯などを世間に広く公表することもあり、企業と顧客間にとどまらない問題となる一方で、社会の人材不足感が高まる中で、カスハラによる労働環境の悪化により、従業員等の休職や退職という事態となり、ますます人材不足と企業品質の低下を招くという悪循環が発生するなど、大きな社会問題となったことにあります。 これに対し、厚生労働省も二○二二年(令和四年)には、カスタマーハラスメント対策マニュアルを作成するなど課題に取り組む一方で、大手企業でも対応を明確化するところが増えてまいりました。 しかしながら、中小企業やサービス業、あるいは顧客との力関係において、強く言い出しにくい立場にある事業者からすると、マニュアルの作成を勧められるだけでは、言い出しにくい現状は変わらないと思われます。やはり社会全体において、カスハラの違法性と防止について強く打ち出されることが重要であると考えます。 県は、行政サービスを担う主体として、カスハラ被害について県職員を守る立場にもあります。 また、社会全体として対策が必要となる中、カスハラの防止は、事業者を守るだけでなく、そこで働く労働者の意欲と生活環境をも保護するものであることから、住みやすく働きやすい山口県を推進する意味からも、県がこの問題にしっかりと取り組んでいく姿勢を示すことは、大きな意味があるものと考えます。 この点で、県職員に対する被害実態の把握をされているのか、また、マニュアルやメンタルケア等の整備、対応体制が準備されているのかについてお伺いをいたします。 他方、東京都では十月、カスタマーハラスメントの防止を目指す条例が成立をしました。 カスハラ防止に焦点を当てた条例は全国初で、カスハラを、顧客等から就業者に対し、その業務に関して行われる著しい迷惑行為であって、就業環境を害するもの、と初めて定義し、何人も、あらゆる場において、カスハラを行ってはならない、と定めました。 これは、民間企業だけでなく、公的機関をも対象とし、顧客、働く人、事業者、行政である都のそれぞれに対して、防止に向けた責務も盛り込んだ規定であります。 こうした点を踏まえ、県としてカスハラ対策に対して、今後どのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 続いて、県有施設の整備と災害時の活用についてお伺いをいたします。 まず、公営住宅の整備について伺います。 県営をはじめとする公営住宅は、多くが昭和四十年代から五十年代に大量供給されたこともあり、今後の管理修繕、更新について大きな課題があるとともに、将来的な需要を見据えた公営住宅の在り方について長期的な検討が必要となっております。 特に、将来の住宅確保要配慮者の多様化を見据えた入居条件の緩和や、施策対象世帯数の減少が見込まれていることから、需要を見据えた適正な管理戸数とする必要があるとともに、必要に応じての団地や住棟への集約化や用途の廃止、災害リスクへの対応なども検討していかなければなりません。 建て替えについては、公営住宅法において新たに整備する公営住宅の戸数は、除却する公営住宅の戸数以上であることが原則とされるとともに、集約化など別地に建て替える場合には、任意での建替事業として明渡し請求権は認められないなどの制約があり、なかなか進まないのが現状であったと思います。 これに対しまして、一九九六年には、社会福祉施設や公共賃貸住宅を併設する場合には、建替計画承認申請時において入居者の存する公営住宅の戸数を超えればよいとされ、二○一三年には、国土交通省より、大規模な公的賃貸住宅団地を含む高齢化の著しい地域において、地域の居住機能を再生する取組を総合的に支援する、地域居住機能再生推進事業が設置されました。 地域居住機能再生推進事業は、公営住宅の設置主体単体のみだけではなく、県や市が持つ公営住宅を一体的に整備することや、ほかに住宅供給公社や都市再生機構、民間事業者も含めて、多様な主体の連携・協働により、居住機能の集約化等と併せた子育て支援施設や福祉施設等の整備を進めることも可能となるのが特徴で、全国でも多くの取組が行われております。 ただ、この事業を行うためには、県、市等が協働して地域ごとに協議会をつくり、関係者の連携の下で、大規模な公的賃貸住宅団地の連鎖的な建て替えを行うことが必要となります。 そこで、県として、地域居住機能再生推進事業の活用について、どのように考えられているのか、例えば、県下の市町の要望がある場合の対応も含めて、御所見をお伺いいたします。 ここで、県有施設に関し、防災に関連してお伺いをいたします。 災害発生時の避難場所の設定については、原則として市町が担っていると認識をしております。 特に、最初の一次避難所は、短期で緊急の危険を回避することが目的とされることから、市町の管理する地域の小学校や公民館などが指定されることが多いと思われます。 しかしながら、大規模災害が発生し、広範囲に被害が生じて、多数の被災者を受け入れる必要がある場合には、被災市町のみならず他市町や比較的大規模な県有施設も開放される必要があると考えます。 また、いざというときに、地域の県立学校など県有施設が空調等を含めて施設整備が整っていれば、大きな安心材料となります。 能登半島地震においても、石川県は、いわゆる一次避難所から福祉等の支援を必要とする二次避難、また、仮設住宅等の入居までのつなぎとして、いわゆる一・五次避難所を県の主導で開設をいたしました。 こうした取組は、大規模災害時には非常に有効であり、本県においても取組を進めるべきと考えます。 そこで、こうした教訓を踏まえ、大規模災害における県の取組についてお伺いをいたします。 なお、学校施設、体育館については、普段から児童生徒が頻繁に利用し、酷暑、厳寒から子供たちの健康を守る意味からも、文科省が公明党からの度重なる要請を踏まえ、二十三年度から体育館への空調設置並びに断熱工事に対する補助率を従来の三分の一から二分の一に引き上げるなど、優先的な施設整備に取り組んでいるところでありますが、防災の観点からも、災害時に避難所となる体育館の空調設備に対しては、自治体の実質的な返済負担が大きく軽減される総務省の緊急防災・減災事業債の活用も延長されているところであります。こうした財源も活用しながら、施設整備も進めていただければと思います。 続いて、県教育委員会に対し、デジタル化の推進と教員の負担軽減についてお伺いをいたします。 県教委では、やまぐちスマートスクール構想の下、個別最適な学びと協働的な学びを一体的に充実させ、子供たちの可能性を広げる取組を推進してこられました。 こうした一人一人に合った、また一人一人を大切にする学びの充実のためには、その基本となる一人一台タブレット端末の積極的な活用とシステムの連携、そして、適切な情報の提供が欠かせません。 この点、システム提供と運用の難しさは、いかに統一的な基準で全体のレベルの足並みをそろえつつ、レベルアップを図っていくのかという点にあると感じております。 例えば、私は市議時代、市議会において、ペーパーレス化に伴うデジタルの環境整備に関わらせていただきました。そこでは、総合的に判断して、端末は個人負担とする代わりに選択に幅を持たせましたけれども、そのために提供するシステムの範囲には制限があり、セキュリティーも最終的には自己責任、操作研修についても共通アプリ以外については、各個人の責任において確認、習得をしてもらうしかありませんでした。 こうした経験と比較すると、現在、教育現場においては、統一したレベルの高い端末を学校側から貸与しつつ、統一した基準で運用しているからこそ、安心・安全なセキュリティー管理の下で高い教育環境を提供することができていると感じます。 タブレット端末については、これから更新時期を迎えるものもあるかと思いますが、セキュリティー管理と高い教育環境の維持、そして、スマートスクール構想のさらなる展開のためにも、引き続き県並びに市町による整備をお願いしたいと思います。 現在進められているスマートスクール構想は、その成果として、業務の効率化による教員の働き方改革のさらなる推進にもつながっております。 未来を担う子供たちを育てる大切な存在である教員の働き方改革のさらなる推進のためにも、さらなるデジタルを活用した取組が必要であります。 そこで、やまぐちスマートスクール構想を大きく推進してきた中での現状の課題、また今後の展開も含めて、県教委の御所見をお伺いいたします。 重ねて、教員の働き方改革について伺います。 現在、教員一人当たりの一か月の平均時間外在校等時間は、小学校が平成二十八年度、四十・八時間であったのに対して、令和五年度が三十七・○時間、中学校が同じく五十六・七時間から四十四・五時間となりました。今までの取組により、少しずつでも縮減方向に向かっているとも思われます。 ただ、山口県学校における働き方改革加速化プラン(第三期)において、時間外在校等時間の上限時間の遵守として掲げる、月四十五時間、年三百六十時間を超える教員の割合を○%に近づけるという目標に対して見たときには、現状は小学校が月四十五時間を超える教員が三三・三%、年三百六十時間を超えるのが六一・○%、同じく中学校が、月四十五時間超が四四・五%、年三百六十時間超が七○・三%と、まだまだ長時間勤務が続いている状況であります。 県教委としても、各種会議や調査の精選・簡素化等にも取り組まれておりますが、それでも、現状の教員が担っている仕事がまだまだ多い状況にあります。そのためには、さらに思い切って削減できる項目については、ぜひとも検討をしていただきたい。例えば、全国学力・学習状況調査に係る自校採点などは、山口県、沖縄県を除く多くの都道府県が削減していると伺っております。 こうした中で、効果的な施策の一つは、人を増やすこと、支援人材の拡充であります。 支援人材の拡充の中には、専門性を持つ人員を配置して、その負担を軽減する方法、国の主な施策としては、部活動指導員やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等がありますが、これについても何とか配置の拡充に向けて取り組んでいただきたいと思います。 他方で、教員が持つ、教員でなければできないこと以外の業務の支援も必要であります。 教員業務支援員は、スクールサポートスタッフともいい、教員の事務的な業務を補助して、教員が児童生徒への指導や教材研究に注力できるよう支援するスタッフであり、特に資格等は必要とされておりません。 山口県では、令和六年度に公立小中学校に百三十五校、全体の三三%の配置になりますが、全国的に見ると複数校兼務も含めて全小中学校に一○○%配置している都道府県が二十二に上ります。 国としては、全公立小中学校に配置するという予算を、負担割合、国三分の一として準備。残りの負担はありますけれども、中国五県においては、山口県を除く四県は市町に負担なく県予算として計上、三県が一○○%配置を実現、残りの一県も八割以上の配置となっております。 全国的にも、教員不足と教員の人材確保の難しさ、厳しさがクローズアップされる中、山口県においても令和七年度採用の教員採用試験の倍率は、小学校が一・六倍、中学校が一・九倍と厳しい状況が続いております。優秀な人材を山口に呼び込むためにも、働き方改革を大きく前進させなければなりません。 今後の働き方改革の取組と支援人材の拡充について、県教委の御所見をお伺いいたします。 続いて、災害時の教育支援についてお伺いをいたします。 私は、約十年前に防災士の資格を取り、同時に県の自主防災アドバイザーとなりました。 今回、県においては、防災研修の取組に、地震・津波・風水害といった自然災害を、実際にその場の空間にいるような感覚で体験することができる災害体験VR(仮想現実)機器を整備し、無料で貸し出す事業を開始されました。 早速、この夏の地域の防災研修に活用させていただき、参加者の皆さんにも、より体験的に防災の意識を持つことができたと大変好評でありました。大変にありがとうございました。 今年度は、地元小中学校のコミュニティ・スクールの熟議を兼ねて実施をされましたので、小中学生、そして多くの先生方にも参加をいただきました。せっかくでしたので、防災タイムラインの研修の中では、先生方には学校勤務時での発災対応や所属の学校が一次避難所であるかどうかにかかわらず、地域住民が学校に避難してきた場合などを想定した事例等も紹介をさせていただきました。 風水害は、どちらかといえば事前の対応ができるのに対して、大規模地震が発生した場合、教育現場も不意の対応に追われ、児童生徒の安否確認のみならず、やむなく避難所の開設や、時には運営にまで関わっていくことが過去の事例にもありました。 もちろん一義的には、目の前にいる被災者の救援に全力を尽くされることとは思いますが、教職員自身も被災されている場合もあり、また、その職務から、いち早く教育現場を復旧させ、子供たちの学びの環境の回復が求められる立場にあります。 そのためにも、通常の火災や不審者といった避難訓練だけではなく、大規模災害や、それに伴う教育環境の復旧等についても、事前の研修やマニュアル、災害時の事業継続計画(BCP)についても、しっかりした検討が必要であると考えます。 また、大規模災害においては、県内外において広域的な協力支援が重要となります。全国的にも阪神・淡路大震災以来、様々な取組が行われ、緊急消防援助隊やDMAT(災害派遣医療チーム)などが組織されるようになりました。 教育現場においても、大規模災害時に被災地の教員の負担を軽減し、学校の早期再開などをサポートする教育版のDMATとも言うべき学校支援チームが組織されるようになり、能登半島地震においても五県が派遣を行いました。 いざというときに、同じ被災者である教員を支えるとともに、被災地の学校の教員が本来の業務に専念でき、児童生徒と接する時間を確保することで、災害で傷ついた子供たちに寄り添うことができる、こうした教職員の派遣システムを平時から備えておく必要性があることから、本年七月に文科省も学校支援チームをはじめとする各種人材の派遣に関する枠組みの総称を、通称、D─ESTと発表。政府も全国展開に向け取組を始めたところであります。 県教委として、大規模災害時の教育支援について、どのように取り組んでいかれるのか、御所見をお願いいたします。 最後に、県警本部長にお伺いをいたします。 最近、報道で特に大きく取り上げられるようになった、トクリュウ、匿名・流動型犯罪についてお伺いをいたします。 匿名・流動型犯罪は、闇バイトと関連した強盗や窃盗などの実行犯が報道等で印象として強く、山口県でも十月に、光市の住宅に強盗に入ろうと工具などを持っていた疑いで、互いに面識のない千葉県や茨城県に住む十四歳から十八歳の少年三人が逮捕されました。 今回の事例は、計画の準備、予備の段階で逮捕に至った非常にまれなケースでありまして、山口県警の日頃の訓練と努力のたまものと改めて敬意を表します。 警察庁のまとめによると、二○二三年から過去三年間に全国の警察が検挙した匿名・流動型犯罪グループの人数は一万人超、このうち闇バイト関連の強盗や窃盗は百九十五人、多くは特殊詐欺で六千百七十人。山口県内だけでも、今年、うそ電話詐欺だけで三億円超、SNS型投資・ロマンス詐欺などを含めると被害額が既に十億円を超える深刻な状況となっております。 県警本部長が、本年十月の暴力追放県民大会においても触れられたように、匿名・流動型犯罪に対する暴力団の関与、資金源という点からも重要な課題であります。 県民の側にも特殊詐欺については、うまい話には裏があるという基本的なことを再確認するとともに、最近のSNS型犯罪についてもしっかり周知をしていく必要性があります。 また、闇バイト関連の強盗や窃盗については、印象として非常に犯罪行為が荒っぽい。互いに面識なく、現場にいない本当の主犯格の一方的指示により犯行が行われるためか、無理をしてでも犯罪を実行する傾向があるように思います。 こうした場合、県民の側からすると、今までの防犯対策で足りるのか非常に不安に感じます。より効果的な対策についても、やはり周知をしていかなくてはなりません。 この匿名・流動型犯罪については、加害者側にも大きな特徴があり、積極的に犯罪に加担する意思で加わった者のみならず、知らずに結果的に犯罪行為の一部を構成してしまった者、個人情報等を握られて、やむなく犯罪に加担した者など、SNS等の情報通信機能が発達したがゆえの、今までにない課題が発生をしております。 個人的には、犯罪でよく使われる特殊なSNSアプリについても、そもそも制限ができないのか、労務の提供にも厳格な提供者側の身分証明を必要とできないのか等と考えますけれども、自由と制約との兼ね合いも含めて課題であろうと思います。 その上で、匿名・流動型犯罪に安易に関わることがどのような結果を招くのか、その責任の重さは知っておいていただきたい。犯罪計画の中の一部の行為のみ加担した場合であったとしても、犯罪全体の罪が問われる可能性があること、また、やむなく強要された環境にあったとしても、事物の善悪を弁別しつつ、その判断に従って行動すれば、その責任は発生するのが判例であります。 また、犯罪に加担することを強要されたとしても、翻意し、安心して相談できる機会をつくることで、勇気を持って断れる環境をつくっていくことも必要となります。 県警として、この重大犯罪にどのように対処し取り組んでいくのか、御所見をお伺いし、私の一般質問といたします。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)前東議員の御質問のうち、私からは、物価高騰対策に関して、中小企業への物価高騰対策についてのお尋ねにお答えします。 私は、エネルギー価格や資材価格等の高騰が続く中においても、中小企業等が生産性の向上を図り、持続的・構造的な賃上げを促進するためには、サプライチェーン全体での取引適正化により、価格転嫁が着実に進むよう取り組んでいくことが極めて重要であると考えています。 このため、毎年三月と九月の価格交渉促進月間に、経済団体に対し、取引適正化に係る文書要請を行うとともに、県制度融資の賃金引上げ・価格転嫁支援資金により、これまで三十一件、四億九千三百万円の金融支援を行ってまいりました。 また、企業の賃上げに向けた環境整備にもつながるパートナーシップ構築宣言について、県のホームページや関係機関等を通じた普及啓発のほか、県補助金の加点措置により、県内の宣言企業数は、現在四百八十社を超えています。 さらには、やまぐち産業振興財団に設置している下請かけこみ寺において、元請企業による価格交渉拒否などの取引に関する相談に対応するほか、同財団と連携し、取引条件の改善に関する講習会も開催しているところです。 こうした取組により、県中小企業団体中央会が、本年一月に実施した価格転嫁に関する調査によると、転嫁の内容について、原材料分は八六%の事業所が転嫁できていた一方で、人件費引上げ分は三○%にとどまっており、さらなる取組が必要な状況にあります。 このような中、今般の国の総合経済対策では、下請法の執行強化や改正の検討に加え、労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針に基づく取組の徹底等が示されたことから、今後、国が講ずる具体的な対策に的確に対応してまいりたいと考えています。 私は、今後とも国の取組なども十分に踏まえ、本県経済の重要な担い手である中小企業が、現下の物価高騰を克服し、持続的な成長に向けた円滑な価格転嫁を実現できるよう、関係支援機関とも緊密に連携を図りながら、必要な支援に全力で取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参考員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)國吉健康福祉部長。 〔健康福祉部長 國吉宏和君登壇〕 健康福祉部長(國吉宏和君)物価高騰対策についての御質問のうち、公定価格等により価格転嫁が難しい事業者への支援についてのお尋ねにお答えします。 我が国経済は、コロナ禍の影響から脱した後、緩やかな回復が続いている中、国際的な原材料価格の上昇や円安の進行等による物価高の長期化が、医療・福祉分野の事業者の経営に影響を与えています。 お示しのとおり、医療機関・社会福祉施設等においては、診療報酬等の公定価格等により経営され、事業者自らの判断で、物価高騰分をサービス利用者に転嫁できないことに鑑み、これまでも累次にわたり、国の重点支援交付金を活用し、光熱費や食材料費に対する支援を行ってまいりました。 こうした中、先般、国において、日本経済・地方経済の成長、物価高の克服、国民の安心・安全の確保の三つを柱とした総合経済対策が策定され、この中に物価高の影響緩和に必要とされる分野に対し、重点支援地方交付金を活用した物価高対策が盛り込まれており、県としては、この国の動向等の把握に努め、適切に対応してまいります。 議長(柳居俊学君)佐藤総務部長。 〔総務部長 佐藤茂宗君登壇〕 総務部長(佐藤茂宗君)カスハラ対策についてのお尋ねのうち、県職員に対する被害実態の把握等についてお答えします。 県では、人事課や各部局主管課による職場訪問等の機会を通じて、カスハラの実態把握に努めており、実際に威圧的な言動や、不当な要求などの迷惑行為を受けた等の意見が寄せられているところです。 このような行為に対しては、職員の対応はもちろんのこと、組織として厳正かつ毅然とした対応を行うことが重要です。 このため、県では、各種職員研修の中で、迷惑行為に対する心構えや具体的な技法など、公務員として適切に対応できる能力の向上を図るとともに、迷惑行為を受けた職員の心のケアなどを目的に本庁及び各地域にハラスメント相談を担当する職員を配置し、相談体制を整備しているところです。 また、県の業務の範囲や程度を明らかに超える要求等に対し組織的に対応するため、庁内に不当要求行為対策会議を設置し、警察等と連携の上、対応マニュアルの周知徹底や講習会の開催等を通じて、業務の円滑な遂行及び職員の安全確保に努めることとしています。 県としては、引き続き、こうした取組を通じて、カスハラに対する職員及び組織の対応力の向上を図るとともに、職員が安心して働ける職場環境づくりに向け、効果的な対策の在り方を検討してまいります。 次に、県有施設の整備と災害時の活用についての御質問のうち、災害時における県有施設の活用についてのお尋ねにお答えします。 自然災害が、頻発化・激甚化する中、大規模災害発生時には、被災市町の施設だけでは避難者を受け入れられない事態も想定されることから、市町の管理する施設以外についても幅広く避難所として活用することが重要と考えています。 このため、本県においては、県立学校など四十五の県有施設が既に市町の指定避難所とされており、災害発生時には市町の要請に応じて活用できることとなっています。 能登半島地震においては、想定以上の避難者により指定避難所が逼迫したことや、要配慮者等の収容施設となる福祉避難所等の確保に時間を要したことから、これらの方々の一時的な受入先として、石川県が一・五次避難所を開設し、一定の効果があったものと認識しています。 こうした取組を踏まえ、本県においても、今年度設置した、地震・津波防災対策検討委員会での議論を経て、今後取り組むべき防災・減災対策の一つとして、広域避難体制の整備を検討することとし、広域避難所としての県有施設の活用についても併せて検討することとしています。 県としましては、今後とも、市町との緊密な連携の下、大規模災害発生時においても、十分に避難所を確保できる体制整備に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)高林産業労働部長。 〔産業労働部長 高林謙行君登壇〕 産業労働部長(高林謙行君)カスハラ対策についてのお尋ねのうち、県内事業所等への対策についてお答えします。 カスタマーハラスメントは、労働者の尊厳や心身を傷つけ、健康不良や精神疾患を招くことに伴い、貴重な人材の損失につながるおそれや、職場全体の生産性にも影響を及ぼす可能性があるなど、見過ごすことのできない問題であることから、社会全体で取り組むことが必要です。 とりわけ、労働者が、その有する能力を有効に発揮し、安心して働くことのできる職場づくりに加え、企業にとっても顧客対応のノウハウの蓄積や離職者が減少するなどのメリットがあることから、企業の自主的なカスハラ対策が進むことが重要と考えています。 このため、県では、各県民局の中小企業労働相談員による事業所訪問や、山口県労働協会との共催による労働セミナーにおいて、カスハラ対策の必要性の啓発や、国が設置したカスハラ相談窓口を周知するとともに、各種労働問題に電話等でお答えする労働ほっとラインでの相談対応を行っています。 こうした中、国においては、八月に開催されたハラスメントに関する検討会において、労働者保護の観点から、カスタマーハラスメント対策を事業主へ義務づけることが適当であると取りまとめられ、現在、国の労働政策審議会において、法制化等について検討が行われているところです。 県としては、今後とも国の動向も注視しながら、労働者が安心して働き、能力を十分に発揮できる環境づくりに向けて、企業の自主的な取組が進むよう、カスハラ対策に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)大江土木建築部長。 〔土木建築部長 大江真弘君登壇〕 土木建築部長(大江真弘君)県有施設整備と災害時の活用についての御質問のうち、公営住宅の整備についてのお尋ねにお答えします。 人口減少や少子高齢化が一段と深刻さを増す中、多様なニーズに対応した公営住宅の整備を進めることは重要です。 このため、県では、将来の需要を見据えた適正な県営住宅の在り方や、建て替え、用途廃止等の事業手法を定めた山口県県営住宅長寿命化計画を策定し、これに基づき、計画的に県営住宅の整備に取り組んでいます。 こうした中、少子高齢社会に対応した公営住宅の供給を推進する観点から、一定規模を超える県営住宅の建て替えを実施する際、社会福祉施設等の併設について、市町の意向を確認しながら整備しているところです。 お示しの事業については、大規模な公的賃貸住宅を含む地域での団地整備において、居住機能の集約化等と併せた子育て支援施設や福祉施設等の整備を進め、地域の居住機能を再生するものであり、周辺市街地を含めた地域全体の再編を図るに当たって有効な事業と考えています。 このため、県としては、地域づくりを担う市町から県営住宅の再編等を伴う要望があった場合、その活用の可能性について、市町と検討してまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)教育に関する数点のお尋ねにお答えします。 まず、教育現場のデジタル化の推進と教員の負担軽減についてのお尋ねのうち、やまぐちスマートスクール構想の今後についてお答えします。 デジタル化が急速に進展する社会において、必要とされる情報活用能力を高めることが求められる中、県教委ではICTを活用し、子供たちの可能性を最大限に広げる、やまぐちスマートスクール構想を推進し、教育活動の充実に取り組んでいるところです。 具体的には、各学校において、一人一台タブレット端末等を活用して、子供たちの理解度等に応じた個別学習や、多様な意見に触れる協働学習、海外の学校との交流などが行われています。 今後は、こうしたICTの活用をさらに促進し、日常化することで、デジタルのよさを十分に生かした教育を展開していくことが必要であり、教育データの効果的な利活用や、教員のICTスキルに応じた研修による指導力の向上に取り組むこととしています。 また、よりよい教育を提供するためには、教員の負担軽減にも取り組むことが必要であることから、クラウド型採点システムや、統合型校務支援システムのさらなる活用による業務の効率化を図るとともに、校務における生成AIの積極的な活用も促進してまいります。 県教委といたしましては、日々進化する新たなデジタル技術を取り入れながら、今後も教育の質の向上や教員の働き方改革に向けて、やまぐちスマートスクール構想の推進に積極的に取り組んでまいります。 次に、働き方改革のための支援人材の拡充についてのお尋ねにお答えします。 教員の長時間勤務が問題となっている中、教員が子供たちと向き合う時間を確保できるよう、学校における働き方改革を推進することが重要です。 このため、県教委では、教員業務支援員やスクールカウンセラー、ICT支援員などのお示しの学校支援人材を活用して、学校運営体制の充実を図り、教職員の負担の軽減を進めているところです。 こうした中、教員業務支援員が配置された学校では、時間外在校等時間の縮減が見られるほか、児童生徒に向き合うことに集中できるようになった、などの評価を得ているところであり、今後も市町教委と連携して、さらなる配置拡充に努めるとともに、国に対し、政府要望等の機会を捉えて、他の支援人材も含め、必要な財源の確保や定数化等を求めてまいります。 県教委といたしましては、引き続き、教員業務支援員をはじめとする学校支援人材の拡充に努め、学校における働き方改革を着実に推進してまいります。 次に、大規模災害時の教育支援についてです。 大規模災害時においては、児童生徒及び教職員の生命・身体の安全の確保を図ることを最優先としながら、いち早く教育現場を復旧させ、学びを保障していくことが重要です。 このため、県の地域防災計画及び業務継続計画において、大規模災害時の教育活動の確保に向けた対応を定めているところです。 具体的には、市町教委と連携し、学校施設の被害状況等に応じた学習場所の確保や、他の学校からの応援も含めた教員の配置、被災児童生徒に対する教科書の給与等を行い、二週間を目途に授業を再開できるよう支援することとしています。 また、お示しの被災地外から教職員等を派遣する枠組みについては、現在、国において検討が進められているところであり、引き続き、国や他県の動向を注視してまいります。 県教委といたしましては、児童生徒の学びの保障に向け、大規模災害が発生した場合においても、県計画に基づき教育活動が再開できるよう努めてまいります。 議長(柳居俊学君)岩瀬警務部長。 〔警務部長 岩瀬広紀君登壇〕 警務部長(岩瀬広紀君)匿名・流動型犯罪グループによる重大犯罪への対処に関する御質問にお答えいたします。 議員お示しのとおり、匿名・流動型犯罪グループは、闇バイトなどを通じて離合集散を繰り返す犯罪集団で、その背後には暴力団の関与が疑われるなど、この種事案への対策は喫緊の取組課題の一つです。 このような情勢の中、県警察では、取締り体制の強化に向けて、本年四月、組織犯罪対策課に匿名・流動型犯罪対策係を新設するとともに、警察本部関係所属によるプロジェクトチームを立ち上げるなど、部門横断的な取締り体制を構築したところです。 また、この種事案を認知した際には、可能な限り大量の捜査員を現場投入して、現行犯的な検挙を目指すとともに、高度な解析用資機材を活用した突き上げ捜査を推進しています。 このような対策を強化する中で、匿名・流動型犯罪グループが関与する事件について、三月に下松警察署管内で発生した強盗致傷事件、十月に光警察署管内で発生した強盗予備事件のほか、萩警察署や下松警察署の管内で発生したうそ電話詐欺事件の実行犯や、そのリクルーター役の被疑者らを検挙し、目下、突き上げ捜査を鋭意推進しているところです。 また、匿名・流動型犯罪グループによる犯罪に加担することを防止するため、気軽に犯罪に加担することにより、非常に重い刑罰が科されることになることを周知するとともに、犯罪を行う前に警察に相談すれば、警察は相談者本人や家族を保護していくことを広報しています。 一方で、SNS型投資・ロマンス詐欺では、一度も顔を合わせたことがない者から、もうけ話を持ちかけられてお金を振り込んでしまう事例も多く、冷静な判断をするよう呼びかけることが必要です。 そのため、あらゆる広報媒体を通じて、電話やSNSで知らない人からお金の話が出れば、詐欺を疑い、警察や家族に相談することを広報しています。 県警察といたしましては、匿名・流動型犯罪グループによる犯罪に対し、検挙と防犯を両輪とした総合的な対策を強力に推進することにより、安全・安心な山口県を実現し、県民の期待と信頼に応えてまいります。 ───◆─・──◆──── 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩をいたします。再開は、午後一時の予定でございます。 午前十一時四十二分休憩