1 脱炭素化を契機とした県内企業の競争力強化について 2 畜産業における脱炭素化について 3 災害弱者の避難対策の推進について 4 山口県保健医療計画について 5 交通弱者への移動手段の確保対策について 6 鳥獣被害対策について 7 その他
───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第十三号まで 議長(柳居俊学君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第十三号までを議題とし、質疑に入ります。 一般質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 岡生子君。 〔岡生子君登壇〕(拍手) 岡生子君 皆さん、おはようございます。自由民主党の岡生子でございます。通告に従いまして一般質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。 最初に、脱炭素化を契機とした県内企業の競争力強化についてお尋ねいたします。 世界的な脱炭素化の潮流の中、我が国では、二○三○年度の温室効果ガス四六%削減、二○五○年カーボンニュートラルの達成という国際公約の実現に向け、国家を挙げて取り組んでいます。 既に欧米各国では、脱炭素投資への支援、新たな市場やルール形成の取組を加速しており、脱炭素化の成否が国家や企業の競争力を左右する時代に突入しています。 こうした中、本県においても昨年三月、やまぐち産業脱炭素化戦略を策定し、瀬戸内のコンビナート企業など県内大手企業を中心に、各地域の状況や産業特性に応じた取組が進んでいます。 具体的には、天然ガスへの燃料転換に向けたパイプライン等共同インフラの整備や、その先を見据えた水素等の活用に関わる検討、アンモニアサプライチェーンの構築に関する国の支援を活用した実現可能性調査、脱炭素燃料の需要拡大に資するアンモニア混焼実証事業などがあり、県のリードにより国際競争力の維持・強化に向けた取組が着実に進展していることに対し、私も産業脱炭素化推進特別委員会の一員として、大いに心強く感じているところです。 一方で、本県産業の競争力の維持・強化に向けては、そうした大手企業はもちろんのこと、本県産業の大宗をなし、サプライチェーンの一翼を担う中小企業も含めて、取り残すことなく脱炭素化を実現することが極めて重要です。 御承知のとおり、本県は基礎素材や輸送用機械など、CO2排出量の大部分を占める製造業を中心とした産業構造となっており、中小企業の脱炭素化への対応いかんでは、本県経済や雇用に甚大な影響を与えかねません。 しかし、逆に脱炭素社会に適応し、これまで本県が培った産業集積や高度技術など、強みを生かして成長につなげることができれば、本県産業競争力をもう一段階底上げし、さらに飛躍させる大きなチャンスとなるのです。 今後は脱炭素社会において、県内の中小企業が取引先や消費者から選ばれるよう、事業スタイルの変革を図るとともに、脱炭素化により世界的な市場拡大が期待される環境やエネルギー、水素などの脱炭素関連産業のさらなる振興を図っていかなければなりません。 そこで、自社の省エネ・創エネなど、守りの脱炭素化はもちろんのこと、脱炭素化を契機とした研究開発や新事業展開、販路開拓等の支援など、攻めの施策を展開し、脱炭素化を契機とした競争力強化の波を、瀬戸内地域はもとより、県内全体に行き渡らせる必要があると考えています。 そこでお尋ねいたします。来る脱炭素化社会において、本県産業が生き残り、持続的な成長・発展を実現するために、県内各地において、中小企業の取組段階に応じた脱炭素化や、成長に向けた取組を強力に後押しし、脱炭素化を契機とした県内企業の競争力強化を図る必要があると考えますが、今後どのように取り組まれるのか、県の御所見をお伺いいたします。 次に、畜産業における脱炭素化についてお尋ねいたします。 気象庁によると、今年の七月は全国的に記録的な高温となり、全国の平均気温は昨年七月の記録をさらに上回って第一位となったということです。八月以降も高温が続くなど、近年、夏の高温が常態化、長期化しています。 農林水産業は気候変動の影響を受けやすい傾向があり、畜産業においても、暑熱が家畜に与える影響は大きく、乳牛では乳量が減少したり、和牛についても飼料効率が低下するなど、地球温暖化が畜産経営に与える影響が年々増してきています。 私の地元である阿武・萩地域は、肉用牛や養豚などといった畜産業が盛んな地であり、近年、子牛の価格が下落する中、暑熱対策等で電気代をはじめとした光熱水費が上昇しており、地元の畜産農家からはこうした窮状を訴える悲痛な声が私の元に届いています。 さきの質問でも触れましたが、国においては、二○五○年までにカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すこととしています。 農林水産業の分野においても、みどりの食料システム戦略が策定され、生産力向上と持続性の両立を目指すための中長期戦略に基づいた取組が行われているところであり、県におかれましても、農林業の知と技の拠点を核として、生産性の向上と環境負荷の低減に向けた新たな技術開発などに取り組まれています。 今やあらゆる分野で脱炭素化に向けて取り組んでいる中、畜産業においても、脱炭素化に向けた取組を進めていく必要があると考えており、特に、耕畜連携による家畜排せつ物等の循環利用をはじめとした脱炭素化に資する取組を加速化していかなければなりません。 しかしながら、本県畜産業を取り巻く環境は高齢化に伴う担い手不足や飼料価格の高騰に加え、子牛価格の下落や光熱水費の上昇などにより、非常に厳しい経営状況が続いています。 こうした中、阿武・萩地域では、家畜排せつ物の堆肥利用をはじめとした資源の循環利用の取組が進められていますが、厳しい経営状況が続く中でも、脱炭素化に向けて取り組んでおられる畜産農家の方々には頭の下がる思いです。 県におかれましては、こうした畜産農家の方々が安心して経営継続ができるよう現場の方々の声に耳を傾けながら、必要な指導・支援を行うなど、しっかりとその取組の後押しをしていただきたいと思うのです。 そこでお尋ねいたします。畜産業を取り巻く環境が厳しさを増す中、持続可能な畜産業の実現に向け、畜産業における脱炭素化に県として今後どのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、災害弱者の避難対策の推進についてお尋ねいたします。 我が会派の代表質問でも触れましたが、近年、災害は激甚化・頻発化し、全国各地で災害が発生しています。 今年に入ってからも、能登半島地震や度重なる台風の発生、このたびの能登半島の集中豪雨などにより、甚大な被害が生じています。 私の地元の萩市でも、平成二十五年七月に集中豪雨による大きな被害が発生したことは、十年以上たった今でも記憶に残っています。また、今年の八月にも一時間に七十六ミリの激しい雨が降るなど、防災への意識も高まっているように感じます。 大きな被害をもたらした災害の経験と教訓を風化させることなく、いつ何どき起こるか分からない災害への備えに万全を期する必要があると改めて思うのです。 今後、気候変動に伴い災害リスクがさらに高まっていくことが懸念される中、大きな災害に被害を少しでも抑えるためには、ハード・ソフト一体となった防災・減災対策が重要であると考えるのです。 また、近年の激甚化する災害において、高齢者や障害者などの災害弱者と呼ばれる方々が逃げ遅れ、被害に遭うケースが後を絶たないことは報道などでも指摘されています。 高齢化が進行する本県では、人口の三割以上が六十五歳以上の高齢社会であり、その状況からも、災害弱者の防災対策への対応を急ぐ必要があります。 特に、高齢者や障害者、乳幼児、妊産婦、外国人などの災害弱者のうち、自分で避難することが難しく、避難に支援が必要な方々の逃げ遅れをなくすための対応は急務であり、誰一人取り残さないための対策が求められます。 一人一人のニーズに応じたきめ細やかな対応が必要ですが、災害弱者への支援体制や連携・協力など、取り組むべき課題はたくさんあります。 知事には、強力なリーダーシップを発揮していただき、市町とも連携しながら災害弱者の避難対策を進めていただきたいのです。 そこでお尋ねいたします。自然災害の脅威から災害弱者を守り、逃げ遅れをなくすために、県として今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、山口県保健医療計画に関連してお尋ねいたします。 山口県においては、医療関係者や各市町等と議論を経て、昨年度末に第八次山口県保健医療計画を策定されました。六年間計画期間とし、八つの保健医療圏を基本として各地域の課題を分析した上で、本県に求められる医療機能の充実、医療人材の確保の方向性などが示されています。 そして、各保健医療圏ごとに地域医療構想を取りまとめ、それぞれの地域の課題に対応した取組の方向性が示されています。 私は、この地域医療構想を含む、山口県保健医療計画は、本県医療行政の基本的な方向性を示すものであり、まさに県医療行政の骨格であると受け止めていますし、我が会派、自由民主党の考えでもあります。 また、保健医療圏は、二次医療圏として医療法において、一般的な入院治療に対応する地域単位とされており、国の指針に基づき、多面的な要因を踏まえて設定されていることから、私は、山口県保健医療計画の骨格をなす保健医療圏の在り方に対する県の責務は大きいと考えています。 さて、私の地元萩市においては、萩保健医療圏について混乱と困惑が生じていますが、健康福祉部はそのことを御存じでしょうか。 事の発端は、八月二日に萩市内の地域紙に掲載された記事です。その内容は、七月二十五日、開催された萩市議会、中核病院形成に関する特別委員会における萩市の保健部長の発言です。 記事をそのままお伝えしますが、市の保健部長が、今回、八次の山口県保健医療計画が成立したが、次期医療計画では、この医療圏は、担当者としてはもうないんではなかろうかと強く認識していると述べたとのことです。 この記事を受けて、現行の医療圏が見直されるのか、県は萩地域の医療についてどう考えているのか、萩市民病院と都志見病院の統合を核とした中核病院の形成が遅々として進まず、医師や看護師が萩市内から離れ、それでなくても脆弱化している萩市の医療はどうなるのかなどの不安の声が、医療関係者、住民から私のところに多く寄せられました。 保健医療圏の在り方は県の責務であり、医療関係者や住民の皆さんに生じた不安は、県としてもきちんと打ち消されることが必要ではないかというふうに思います。 また、私が強く懸念するのは、地域にとって大きな課題である中核病院の形成です。 その後、市議会でも、この報道について取り上げられましたが、田中市長が保健部長の発言を否定したということもありませんでしたから、この発言自体が市長としての考え、市としての姿勢でもあるのかと思うと大きな懸念を抱かざるを得ません。こうした市の姿勢は、中核病院を形成して地域の医療を充実しようとする取組と背反するものとも受け取れます。 そこで、これらのことを踏まえて、三点のお尋ねをいたします。 まず、今回の報道を契機として、市民や医療関係者から、萩保健医療圏がなくなるのではないかといった不安の声が寄せられていますが、県として将来的に萩保健医療圏はなくす方向での見直しの検討をされているのか、お伺いをいたします。 二点目は、今回の報道の内容が事実と異なるのであれば、医療関係者や住民の不安を取り除くためにも、萩市に対して事実確認をされて、県として必要な指導をされるべきではないかと考えていますが、県の見解をお伺いいたします。 三点目は、中核病院形成への市の対応です。昨年十一月議会での私の質問に対して、村岡知事が、中核病院形成の取組の遅れを懸念していることを述べられた上で、二次救急医療などの課題を克服し、将来にわたって持続可能な医療提供体制を確保するためには、二病院統合による中核病院形成が不可欠との認識を改めて示されましたが、萩市はその後、県に対して具体的な協議や相談などをしているのか、その状況について改めてお伺いをさせていただきます。 次に、交通弱者への移動手段の確保対策についてお尋ねいたします。 本県を取り巻く人口減少、少子高齢化の流れは、全国を上回るペースで進行しており、地域に様々な影響を及ぼしています。 その一つとして、地域公共交通に与える影響も深刻なものとなっており、利用者の減少による経営逼迫は、減便や路線廃止につながり、それに伴い、例えば免許返納を行った高齢者をはじめとする、いわゆる交通弱者と言われる方々の移動手段が徐々に失われていくといった負の連鎖が生まれています。さらには、業界を取り巻く運転士不足の慢性化といった様々な課題も山積しています。 とりわけ、本県は、中山間地域が県土の多くを占めていることから、自動車をはじめとした移動手段の確保は、暮らしに不可欠の重要な要素の一つですが、近年、特に高齢者の免許返納に向けた機運も高まっており、交通弱者の方々が、安心して日常生活を送ることができるよう、地域の実情を踏まえた公共交通を確立することは急務です。 こうした中、県内の市町の中には、地域の実情を踏まえ、利便性の高いデマンド型乗合タクシー等をはじめ、デジタル化の流れをくんだ新しいモビリティーサービスの導入に向けた動きも、徐々に広がりを見せています。 私の地元である阿武・萩地区でも、阿武町、萩市それぞれでデマンド型交通の運行が行われているところです。 また、若者が魅力を感じ、暮らしやすく、住み続けたいと思うスマート社会の実現を目指して、県と周南市では、自動運転EVバスのレベル四運行に向けた実証の取組も進められています。 このように、誰もが買物や通院のために、安心して移動できる先進的な仕組みを整備することは、文字どおり、暮らしの足元を支える基盤であることから、こうした次世代の公共交通の形を見据えた取組の結果を検証した上で、全県的なデマンド型交通の確立と普及に向けて、市町の取組を支援していく必要があると考えます。 また、中山間地域に限定することなく、市街地においても移動手段の利便性・回遊性を高め、誰もが快適に暮らせる環境づくりを推し進めることは、交通弱者のみならず、観光客に対しても、周遊促進につながり、観光面でも有益なアプローチになり得るのではないでしょうか。 さらに、喫緊の課題とも言えるバスやタクシーの運転士確保に向けた取組として、事業者支援にも注力をいただきたいと思うのです。 そこでお尋ねいたします。それぞれの地域に適した持続可能な地域公共交通を確立していく中で、交通弱者をはじめとした地域住民が、日常生活を送る上で安心して利用できるような移動手段の確保について、どのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 最後に、鳥獣被害対策についてお尋ねいたします。 令和五年度における本県の野生鳥獣による農林業被害は、農林水産部が公表した資料によると、対前年度比で約一○%減の約三億三千八百万円で、平成二十二年度以降で最少であったとのことです。 鳥獣別の被害状況では、イノシシが全体の四○%の一億三千五百万円を占めており、次いで鹿が三一%の一億六百万円、猿が一四%の四千九百万円となっており、この主要獣類が全体の八五%を占めている状況となっています。 私の地元である阿武・萩地域では、鹿や猿をはじめ多くの野生鳥獣による農作物の被害が後を絶ちません。 農家の皆さんにとって、野生鳥獣による農作物の被害は切実な問題であり、せっかく農家の方が丹精込めて作られたものを野生鳥獣に食い散らかされ、また、その被害は膨大になっていることで、農家の皆様が、もうやめようかと思うちょると言われることが本当に悲しく感じます。 こうした中、県や各市町をはじめ関係機関において、様々な鳥獣被害対策が講じられていますが、思うように捕獲が進まないのが現状です。 例えば、猿に関しては、捕獲してもなかなか殺すにも抵抗があるといったことも聞いたりしますし、捕獲おりに関しても、設置に多額の費用がかかってしまうなど、対策に関わる様々な苦労話をお聞きしました。 加えて、最近では熊による農作物被害も出ているとの相談も受けており、民家や道路に現れては、人のいるすぐそばまで出てきて危険であるとのことで、農作物だけではなく、人身にまで危険が生じる可能性がある非常に深刻な問題となっています。 狩猟者や山林を整備される方からは、こうした状況は、昔は里山の整備をしっかり行い、野生鳥獣がその里山を自分たちの食料や生活の場にしていたのだが、今は里山の整備も人材不足で難しくなり、人が住むエリアまで侵入してきているのだ、とのお話を聞きました。 私は、こうした野生鳥獣による被害も少しでもなくしていくためには、捕獲の取組強化に加え、生息環境整備に資する里山管理など、幅広い取組が大切であると感じております。 そこでお尋ねいたします。鳥獣被害の減少に向け、里山管理をはじめとした鳥獣被害対策に県として今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 以上で、私の質問を終わらせていただきます。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)岡議員の御質問のうち、私からは、脱炭素化を契機とした県内企業の競争力強化についてのお尋ねにお答えします。 脱炭素の世界的な潮流が加速し、サプライチェーン全体でのカーボンニュートラルが要請される中、我が国においても、取引先からCO2の排出削減への協力を求められる中小企業が急増するなど、中小企業を取り巻く経営環境は大きく変化をしようとしています。 とりわけ、基礎素材型産業が集積をし、高度なものづくり技術を誇る中小企業が、地域の経済と雇用を支える本県においては、企業の様々な状況を踏まえた、きめ細かな支援を進めながら、今後、脱炭素社会に向けて成長が期待できる新分野への進出をしっかりと後押しをすることが極めて重要です。 このため、私は、産業脱炭素化戦略において、環境・エネルギー関連産業の振興とCO2排出削減に向けた省エネの支援など、脱炭素社会においても選ばれる企業への成長促進を先行プロジェクトに掲げ、脱炭素化に関する中小企業の取組を着実に進めていくこととしています。 まず、環境・エネルギー関連産業の振興については、産業技術センターに設置したイノベーション推進センターを核に、産学公連携により研究開発・事業化に向けた取組を支援しており、これまで九十件を超える事業化が実現しています。 現在、水素やCO2の利活用技術や環境負荷の低減に向けた新素材の開発等に加え、半導体・蓄電池分野においては、今年度創設した最大一億円の補助制度を活用した関連機器や部材の開発等も始まっており、こうした企業の果敢な挑戦を支援してまいります。 また、台湾の半導体企業と県内企業との商談会を十一月に初めて本県で開催をするほか、脱炭素関連製品の国際的な展示会への共同出展、産業振興財団に配置した脱炭素化促進コーディネーターによる伴走支援等により、販路開拓をサポートします。 さらに、半導体・蓄電池分野の人材確保・育成対策検討会の開催や水素関連技術セミナーの開催等を通じ、成長分野への進出を支える人材の確保・育成や、裾野の拡大にも取り組みます。 次に、選ばれる企業への成長促進については、地球温暖化防止活動推進センターによる相談対応をはじめ、脱炭素に関する中小企業の取組段階に応じて複数のコースを設けた、脱炭素経営セミナーを県内七か所で開催するなど、きめ細かな普及啓発を行います。 また、こうした取組により、脱炭素への関心が高まった企業に対しては、CO2排出量の算定や脱炭素化計画策定の支援を行い、さらに省エネ設備等を導入する場合には、各種補助金や制度融資による経済的支援を実施するなど、普及啓発から設備の導入促進まで切れ目ない支援を行ってまいります。 私は、中小企業を含めた本県産業界全体が、カーボンニュートラルを原動力として力強く成長・発展していけるよう、事業者の取組を全力で支援してまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)大田農林水産部長。 〔農林水産部長 大田淳夫君登壇〕 農林水産部長(大田淳夫君)畜産業における脱炭素化についてのお尋ねにお答えします。 飼料価格高騰など畜産業にとって厳しい環境が続く中、畜産農家が経営を継続するためには、生産コストの低減や畜産物の高品質化等が重要であることから、県では、飼料価格高騰に対する緊急支援やスマート機器導入への経費助成、家畜の肉質や乳量などの能力向上等に取り組んできたところです。 こうした中、お示しのように、二○五○年のカーボンニュートラル実現に向け、あらゆる分野での取組が求められていることから、高齢化や資材価格高騰などの課題を抱える本県畜産業においても、脱炭素化に向けた取組を一層加速化していくことが必要です。 このため、農林水産分野の約三割を占める、畜産由来の温室効果ガス排出量のさらなる削減と、耕種分野との連携による炭素の取り込みについて、生産性の向上を図りながら一体的に進めることとしています。 まず、温室効果ガス排出量の削減についてです。 最も排出量の多い牛のげっぷから出るメタンガスを抑制するため、国や民間企業が開発した飼料の効果を確認するとともに、国に対して、畜産農家の負担を軽減する支援策について要望しているところです。 また、家畜排せつ物由来のメタンガス等の削減に向け、耕種農家に良質堆肥を供給するため、製造に必要な送風・攪拌機器や発酵状況を確認する温度センサーなどの整備を支援するほか、アドバイザーによる細やかな技術指導を行います。 こうした取組に加え、耕種農家とのマッチングを図ることで、畜産農家における堆肥の売上確保にもつなげます。 次に、炭素の取り込みについては、耕畜連携を促進し、農地への堆肥散布により炭素の貯留効果を高め、牧草や飼料用トウモロコシなどの作付面積の拡大を図ることで脱炭素化につなげます。 県としては、畜産農家の方々が経営を継続しながら、温室効果ガスの削減にも取り組むことができるよう、今後とも、国や畜産関係団体等と連携し、畜産業における脱炭素化の取組を積極的に推進してまいります。 次に、鳥獣被害対策についてのお尋ねにお答えします。 野生鳥獣のすみかや拠点となる耕作放棄地の増加等を要因とした鳥獣被害の継続的な発生は、生産者の営農意欲を減退させるなど、農山村に深刻な影響を及ぼしており、その対策は重要な課題です。 このため、県では、市町や関係団体等と連携し、防護と捕獲の両面にわたる対策に併せ、お示しの里山管理をはじめとする野生鳥獣の生息地管理にも取り組むこととしています。 具体的には、捕獲対策として、狩猟者の負担軽減につながるハンティングドローンを活用した鹿の巻き狩りの実証など、新たな取組を始めるとともに、防護対策として、ワイヤーメッシュ柵や電気柵など、獣の種類に応じた最も効果的な侵入防止柵の整備を進めます。 また、里山の適切な管理に向け、里山にある遊休農地の草刈りや、柿、栗などの放任果樹の除去などにより、野生鳥獣が侵入しづらい環境づくりに取り組んでまいります。 さらに、森林づくり県民税を活用して、長期間放置された荒廃森林の間伐により、野生鳥獣の生息環境の改善を進めるとともに、集落や農地等に隣接する繁茂竹林の伐採や、里山を一体的に明るく、見通しをよくするための森林整備などにより、集落との間に緩衝帯を整備します。 あわせて、このような取組の実効性を高めるためには、住民、JA、行政など地域の総合力を結集して被害を防止する、地域ぐるみの活動が重要なことから、出前講座やリーダー研修会の開催等を通じて、活動の普及拡大を図ってまいります。 県としては、市町や猟友会などの関係団体と密接に連携し、野生鳥獣による農林業被害の軽減に向け、里山の適切な管理をはじめとした鳥獣被害対策に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)佐藤総務部長。 〔総務部長 佐藤茂宗君登壇〕 総務部長(佐藤茂宗君)災害弱者の避難対策の推進についてのお尋ねにお答えします。 頻発化・激甚化する自然災害から県民の命を守るためには、一人一人の防災意識を高め、発災時には自ら安全を確保し、住民同士が助け合って適切な避難行動を取ることができるよう、平時から体制を整えておくことが何より重要です。 とりわけ、自力で避難することが困難な高齢者や障害者等の避難行動要支援者については、生活環境や個々人の事情がおのおの異なることから、要支援者が確実に避難できるよう、個別避難計画の作成を着実に進めていくことが必要です。 この計画は、災害対策基本法に基づき市町が作成することとされていることから、県ではこれまでも、国や庁内関係各課と連携しながら、担当者会議の開催などを通じて必要な支援を図ってきたところであり、現在、県内全ての市町での計画の作成が進められているところです。 一方で、お示しのとおり、避難行動を支援する人材の不足や、市町における防災部署と福祉部署との連携不足など、計画作成を進める上での様々な課題が生じており、能登半島地震においても、計画作成の遅れや実効性の低さ等が指摘されています。 こうしたことから、県では今年度、県内全市町を訪問し、防災や福祉の関係者を一堂に集め、計画作成に向けた課題等を抽出・共有するとともに、それぞれの役割分担やスケジュールを明確化するなど、市町の主体的な取組を伴走型で支援しているところです。 さらに、先進的な事例や横展開が可能な取組等を紹介する研修会を開催することにより、個別避難計画の作成を通じて、地域で支え合う仕組みづくりが進むよう、一層の支援を行っていくこととしています。 県としては、今後とも、市町や関係機関と緊密に連携しながら、逃げ遅れゼロの実現を目指し、個別避難計画の作成等を通じ、災害弱者の避難支援に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)國吉健康福祉部長。 〔健康福祉部長 國吉宏和君登壇〕 健康福祉部長(國吉宏和君)山口県保健医療計画についての三点のお尋ねにお答えします。 県では、将来にわたって良質な保健医療を提供できる体制の整備を計画的に推進するため、本年三月、第八次の保健医療計画を策定したところであり、現在、本計画に基づき、地域住民が、生涯を通じて健康で安心して暮らしていけるよう、地域の医療の確保に向け、取組を進めているところです。 まず、将来的な萩保健医療圏の見直しの検討についてです。 二次医療圏は、医療法において、一般的な入院治療に対応する地域単位とされており、国の指針に基づき、地域住民の受療動向等、地域の実情を踏まえた上で、県医療審議会等での検討を経て、保健医療計画において設定しているものです。 保健医療計画は、昨年度末に策定したばかりであり、本計画に基づき、各医療圏において様々な施策の推進に鋭意取り組んでいく必要があり、その端緒についたばかりです。当然、萩医療圏をなくす方向での検討を行っているというようなことはありません。 次に、萩市に対する県の指導についてです。 お示しのとおり、萩医療圏がなくなるのではないかという報道により、将来的な医療提供体制の確保について、医療関係者や地域住民の不安が生じていることは大変遺憾であり、県としては、こうした不安が解消されるよう、萩市に事実確認をした上で適切に対処したいと考えています。 次に、病院統合に係る萩市から県への協議や相談等についてです。 まず、これまで、萩市から病院統合に係る相談等は受けていません。 また、病院統合は、当事者間の主体的な取組が基本となりますが、萩医療圏において、将来にわたって持続可能な医療提供体制を確保するためには、二病院統合による中核病院形成が不可欠であるというのが県としての基本的な認識であり、中核病院形成の取組の遅れを懸念しているところです。 議長(柳居俊学君)道免観光スポーツ文化部長。 〔観光スポーツ文化部長 道免憲司君登壇〕 観光スポーツ文化部長(道免憲司君)交通弱者への移動手段の確保対策についてのお尋ねにお答えします。 人口減少や少子高齢化が進む中、地域住民の日常生活を支える移動手段の維持・確保を図るため、県では、複数市町にまたがる幹線バス路線の運行を支援するとともに、中山間地域等におけるデマンド型交通など、地域の実情に即した公共交通の導入や運行を支援しているところです。 こうした中、免許を返納した高齢者など、いわゆる交通弱者をはじめとした地域住民の多様な移動ニーズに対応し、持続可能な形で地域公共交通を維持していくためには、県や市町、交通事業者が連携し、さらなる業務の効率化や利便性の向上に資する先進的な仕組みを整備することが必要です。 このため、県では、自動運転やAIデマンド交通など、デジタル技術を活用した新たなモビリティーサービスの導入を目指す市町に対し、ノウハウを有する専門家を派遣し、実装に向けた助言等を行うなど、次世代の公共交通の形を見据えた取組を進めているところです。 また、こうした取組や成果を県内に波及させるため、市町の地域公共交通会議等の場で情報共有を図るとともに、市町や交通事業者等を対象に、先進的な取組に関するセミナーを開催し、各地域の実情に即した移動手段の確保につなげていきます。 さらに、地域公共交通の担い手である運転士の確保に向けては、今年度新たに、国や関係団体等による協議会を設置したところであり、若者向けの就職フェアの開催や、首都圏等での就職イベントへのブース出展など、県内外から運転士を確保する取組を進めていくこととしています。 県としては、今後とも市町や関係団体等と緊密に連携しながら、持続可能な地域公共交通の確立に向け、交通弱者をはじめとした地域住民が安心して利用できる移動手段の確保に積極的に取り組んでまいります。