1 働きたくなる教員の労働環境について 2 保育士の負担軽減について 3 外国人労働者との共生について 4 持続可能な循環型農業について 5 その他
───◆─・──◆──── 午後一時開議 副議長(島田教明君)休憩前に引き続き会議を開きます。 ───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第十三号まで 副議長(島田教明君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第十三号までを議題とし、質疑の議事を継続いたします。 林直人君。 〔林直人君登壇〕(拍手) 林直人君 皆さん、お疲れさまです。自由民主党の林直人でございます。通告に従いまして一般質問をさせていただきます。 まず、働きたくなる教員の労働環境について御質問いたします。 学校教員は、子供たちの学びを担い、幸せな未来をつくる魅力的な仕事だと思います。 私にも印象的だった先生がおられますが、大人になって偶然にも病室でお会いしたことがあります。私が、権利擁護事業の利用者をお見舞いに行ったときのことですが、四人部屋の片隅に見覚えのあるお名前を目にしたのです。 その方は、私が小学校一年生のときに担任をしてくださったおばあちゃん先生でした。当時、既におばあちゃん先生と愛称されていましたので、お会いしたときには百歳近かったのではないでしょうか。 自己紹介がてら挨拶をして、昔の記憶をたどりながら、当時の思い出話をぽつりぽつりとお聞きしたことを思い出しますが、先生の言葉に胸が苦しくなった覚えがあります。 先生は、うつむきながら、私は厳しい先生で皆さんを苦しめましたね。本当にごめんなさいと話されたのです。 個性あふれる子供たちを統制し、学校という組織で公共の福祉を教えていただいたこと、そして、一生懸命に人の道を歩めと伝え続けてくれた先生でした。数日後、その病室で先生は他界されたとお聞きしましたが、先生という責任の重さと心の負担の大きさを教えていただいた短く貴い時間だったと感謝しています。 学校現場では、毎年多くの教員がストレスを原因に教壇を離れています。 文部科学省の調査によると、令和四年度、鬱病などの精神疾患を患い、休職した公立学校の教員が六千五百三十九人であったと発表されました。これは、全教育職員数の○・七一%であり、過去最多の数字となりました。 平成二十五年三月に発表された、教職員のメンタルヘルス対策検討会議最終まとめによると、平成四年度の調査では○・一一%であったものが、平成二十一年度には六倍の○・六○%となり深刻な状況であると認識しています。 精神疾患で休職している教員の現状把握に努め、メンタルヘルス不調の背景を調査した結果、通常必要な授業準備や成績処理が時間外になされているなど、残業時間の増加や、児童生徒と共に過ごす時間が減少している一方で、保護者との関わりが増えて業務量が増えた等の、本来真ん中であるべき児童生徒と向き合えないストレスを自らの責任と感じてしまう特徴が確認されています。 ほかにも、教員の特性として、自身の指導方法を干渉されたくないという気持ちが強いことや、指導教員をはじめとする教職員と頻繁に相談できる状況ではないことなどの課題が浮き彫りになりました。 これらは、教員が精神疾患を患った要因の一部であり、調査結果の全てを紹介することはできませんが、私が思うことは、先生は子供たちとの関わりを真ん中にしたいのに、できないことが最大の課題なのだと感じます。 保護者や地域は、学校と先生を信頼して子供を預け、時代に沿った適切な役割分担を理解し、サポートしなければなりません。教員が、教育者として責任を果たせる環境を構築すべきだと考えます。 平成三十一年一月二十五日、中央教育審議会では、新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について取りまとめ、各都道府県知事、教育委員会教育長宛てに通知をされました。 施策の概要は、一、勤務時間管理の徹底と勤務時間・健康管理を意識した働き方の促進、二、学校及び教師が担う業務の明確化・適正化、三、学校の組織運営体制の在り方、四、学校における働き方改革の確実な実施のための仕組みの確立とフォローアップ等となり、各教育委員会が取り組んでおられます。 本県でも今年四月に、これまでの取組の効果と課題を整理し、第三期学校における働き方改革加速化プランを策定しました。 しかし、令和三年に設定した、月四十五時間、年三百六十時間を超える教員の割合をゼロに近づける目標は、依然、大幅な改善をできず推移しています。 今後も業務量の適正管理と業務改善の取組が推進されると期待しますが、私はやはり業務量に合った適正な教員数を確保すべきだと思います。 昔よりも児童生徒に対しての教員割合は増えていますし、様々な外部人材も活躍されるようになりました。しかし、業務量が減らないのは、現代社会の学校現場に多くの手や目が必要だからではないでしょうか。 山形県教育委員会では、昨年度から新規教員に一人で担任を持たせない、教科担任兼学級副担任の導入を一定規模以上の小学校三十九校で実施しました。これは、新卒小学校教員の育成支援であり、先輩教員の下で学級運営を学ぶことができるようになるとともに、悩みを相談できるようになりました。 そのほかの規模が小さい小学校では、新規採用が学級担任を受け持つことになるため、再任用短時間勤務職員や非常勤講師等を支援員として配置することで空きこまを生み出しているそうです。 支援員確保に向けては、退職者への声かけや、教員免許を持っているが教職についていないペーパーティーチャー向け説明会を実施されています。 昨年二月の説明会には、育児が一段落して再び学校と関わりたい人など七十人の参加があったそうです。 山形県では、二十三年度予算で、教員の働き方改革の施策として六億九千五十一万円を計上していますが、そのうち、三分の一と大きな割合を占める二億二千八百九十九万円を充てています。 東京都教育委員会では、令和二年度より一日五時間勤務の日勤講師を採用しています。一旦退職した教員が、授業や校務分掌の一部を担うことで、経験を生かし、若手の育成支援も行っています。 様々な要因で一度離職し、再び教員になった方がおられます。働き方の選択肢が多くあることによって、自分に合った教員人生をイメージできる方もおられます。私はそのような潜在教員が活躍できる場の創出を本県にも実施してほしいと思います。 そこでお尋ねします。教員の働き方改革が十分に達成できていないことに加え、教員の高齢化が進む本県において、大学を卒業したばかりの新任教員や離職後再び学校と関わりたい元教員、教員免許は持っているが教職についていないペーパーティーチャーなどの前向きな動向は逃してはならない大切な好機です。 本県はどのような労働環境を整え、教員希望者に、山口県の学校で働きたいと思わせるのか、そして、持続可能な教育を維持していくのか、お伺いいたします。 次に、保育士の負担軽減について御質問いたします。 本県では、今年九月より第二子以降の保育料無償化事業が、所得制限や扶養児童のカウント要件を設けずに開始されました。 国の制度に対し、県が独自事業で追随したことによって、子育て世代の生活はより幸せなものとなることが期待されています。自らの子供を信頼する保育所に預け、安心した社会生活を送れることは、QOLの向上とともに新時代の生活基盤となっています。 一方で、新たに生まれた課題もあるとお聞きします。 国の制度では、二○一九年十月より三歳から五歳までの全ての子供たちの利用料が無料になる、保育・幼児教育無償化制度を開始しましたが、幼稚園は、三歳に達した時点から、保育所は、三歳になった年度の次年度からと、スタートが異なっています。 現場を担う園長は、三歳になった時点で、保育所から幼稚園に転園される御家庭もあるんです。まず、子供に不要なストレスをかけてしまうし、保育所も運営に支障が出ています。と話されました。 子供たちの成長に重要な幼少期を親の就労状況などによって左右されないものとしなければなりません。 欧米には、全ての子供に対して幼児教育を受ける権利を保障している国が多くあります。好きな遊びや興味・関心に合わせて主体的な学びの環境が設定され、世界から称賛されています。 日本でも二○二三年からこども家庭庁が発足し、こどもまんなか社会の実現に向けてチャレンジしています。 教育を所管する文部科学省と共同で、保育所保育指針と、幼保連携型認定こども園教育・保育要領、幼稚園教育要領を策定し、施設類型を問わず幼児教育・保育の充実を図っていますが、ダイバーシティーであるべき新時代は既に始まっています。それぞれの異なるバックグラウンドや能力を尊重し合い、多様な要素を生かしながら発展していくことに私たちは心地よさを感じます。 子供と親を悩ます複雑すぎる制度のファクターは一体どこにあるのか。少子化対策の抜本強化策として国へ要望していただきたいと思います。 私は、介護福祉士として高齢者が通われるデイサービスを担当したことがありますが、その人員基準には管理者、社会福祉士などが担う生活相談員、看護師や准看護師が担う看護職員、介護福祉士が担う介護職員、OT・PTなどが担う機能訓練指導員が必要となっています。 はてと思うのですが、なぜ保育所には看護師がいないのでしょうか。私の勤務していたデイサービスの平均介護度は要介護度三程度でしたが、大半は歩行や排せつもできますし、食事も自立している方がほとんどでした。持病があっても急変する方は少なく、服薬管理されていました。 それと比較して、子供は動き回るため頻繁にけがをしますし、突然の発熱もあります。食事のアレルギー対応や皮膚疾患への塗り薬対応、親御さんへの病状報告など多様な案件だらけなのに、専門職が少なすぎませんか。 本県では、保育所に看護師を雇用した場合に補助があり、看護師を配置している保育所も増えているとお聞きしますが、園長さんは、子供が体調不良だったときに看護師の言葉が連絡帳にあると親御さんはほっとされるんです。保育士のフィジカルだけではないメンタルの負担軽減になっていますとお聞きしました。 今後、国の人員基準が改善することを期待いたしますが、本県独自の常勤看護師、准看護師配置を実施し、保育士が働きやすいダイバーシティーな保育環境を本県から発信していただきたいと願います。 そこでお伺いします。子供たちの主体的な学びを実現できる環境づくりを進めるとともに、子供とその親を支援するために重要なのは、安心できる保育環境の整備だと思います。 そのためには、看護師等が共働し、保育士の負担軽減を図る必要があると考えますが、県ではどう取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、外国人労働者との共生について御質問いたします。 アメリカ・ワシントン大学の研究では、世界人口のピークは二○六四年で約九十七億人であると予測し、人口減少への準備不足を危惧しています。 世界の半分以上の国と地域において、女性一人当たりの平均出生数は長期的に人口が一定の規模を維持するために必要な水準である二・一を下回っています。 人口規模の大きい中国、そして、日本、イタリア、韓国、スペインを含む世界の五分の一の国と地域では、合計特殊出生率が一・四を下回っており、先進国と途上国での人口動態は大きな違いとなっています。 昨年、中国を超え世界一位の人口となったインドも、合計特殊出生率は二・○と、年々低下しています。しかし、それに伴って生産年齢人口比率が一九八○年の五六%から二○二二年には六八%と急増し、近年のGDP成長率も七%を超えるなど好調の要因となっています。 この生産年齢人口が、従属人口よりも大きく上回る状態、すなわち、支える人が支えられる人より多い状態のことを、人口ボーナスと呼びますが、日本のよきパートナーであるASEAN地域では、今後、インドネシア、マレーシア、ミャンマー、フィリピンが本格的な人口ボーナス期を迎える予測となっています。 人口ボーナス期を既に一九九○年代に終えている日本において、世界八十二億人と共に生き、活力を取り込む努力を一層強化すべきと考えます。 二○二三年末時点の出入国在留管理庁の発表によると、日本に住んでいる外国人の数は三百四十一万九百九十二人で過去最高となり、日本の総人口の二・七四%を占めるほどとなりました。 しかし、同時期に人口ボーナス期を終了したドイツの対人口割合は一二・○%を超える数字となっています。 二○○○年代半ばから移民の受入れを正面から認め、制度整備を行ってきたドイツは、今や世界でも有数の外国人受入れ大国であり、現在では数少ない人口を増やす先進国となっています。 ドイツは、外国人労働者を市民として受け入れようとしているのに対し、日本では一時的な労働者であり、市民としての受入れにちゅうちょせざるを得ない社会情勢となっています。 先日、学校から下校する子供たちに、外国人労働者と思われる方々が自転車で近寄って何かを話していました。子供たちに後で聞くと、いつも登下校中に会って挨拶をするお兄ちゃんたち。国に帰るから最後に記念写真を一緒に撮ってと言われたと、うれしそうに話しました。 私たち大人が持つ偏見を未来を歩む子供たちに植え付けてはいけないし、未来を描く政治でなければならないと感じています。 山口労働局によると、本県では土木作業従事者や介護サービス従事者、接客等の有効求人倍率が際立って高くなっています。 令和五年十月現在、山口県では一万九百三十一人の外国人労働者が活躍されており、過去最高となっていますが、少子化に歯止めが利かない本県において、多くの外国人労働者が必要とされているのが現状です。 地域の会社経営者は、技能実習資格で働いていた外国の皆さんにもネットワークがあって、特定技能資格を取ったら賃金の高い都市部にみんなで行ってしまう。十人、二十人が一気にいなくなると困るんだよと話されました。 本県では、技能実習の割合が三八・六%と全国平均の二倍でありますが、専門的・技術的分野の割合が低くなっています。 本県で暮らす労働者にとって、都市部にはないアドバンテージもたくさんあります。家賃と生活費の安さや、海と里山に囲まれ、食材が豊富であること、犯罪が少なく治安のよいことなど、安心安全に暮らせる環境がそろっています。 日本の若い方と同様ですが、都市部の生活に満足したら、いつでも戻って来られる場所がふるさと山口県と認識されるように、選ばれる環境づくりをしていく必要があると考えます。 本県では、二○二三年十二月に、多文化共生推進指針を策定し、県民の御理解・御協力を頂きながら、外国から来られた方も県民と同じ市民として受け入れできる社会の醸成に取り組んでいます。 日本語教室や交流会、多言語化した行政サービスや相談会など、相互にコミュニケーションが図れるような施策が展開されていますが、私は相談を受け情報提供するだけではなく、伴走できればより親切だと思います。 受入れ企業が準備してくれた住居とライフラインで生活できる技能実習から、県民の一人として心地よく生活できるように権利擁護され、地域社会で活躍してほしいと願います。 そこでお伺いします。外国人比率三・○%の静岡県浜松市では、在留外国人の増加や定住化を踏まえて、外国人市民がまちづくりに参画し、活躍できる環境づくりを進めています。 在留外国人が地域経済を支える大きな力となっている認識を本県でもひしひしと感じる昨今だと思いますが、縁あって日本で働いている在留外国人に選ばれる山口県にするために、今後どのように共生施策を講じますか、お尋ねいたします。 最後に、持続可能な循環型農業について質問いたします。 生産の一次産業と加工の二次産業、販売の三次産業までを農家が主体となって実施することを一掛け二掛け三の六次産業化と言いますが、令和二年に閣議決定された、食料・農業・農村基本計画の中には、農村発イノベーションをはじめとした地域資源の高付加価値化の推進が掲げられ、農産物の加工、直売や観光農園、農家レストランの経営など新たな付加価値を生み出す六次産業化を推進する施策が明記されています。 令和四年度六次産業化総合調査によると、農業生産関連事業の年間総売上金額は二兆一千七百六十五億円となり、年々増加している状況です。この十年で半減している農業人口の厳しい環境の下で、国民の豊かな食生活と地域の雇用、所得増大などの役割を担うと期待される六次産業化は、本県のような地方で働く農業従事者の安心した生活を担保するスタンダードであるべきだと考えます。 近年、小学校では十歳の節目を祝う二分の一成人式が開催されますが、私も楽しみに参観したことがあります。家族や先生、地域の方々への感謝と思い出の写真や動画を用いてプレゼンする姿に頼もしさを感じました。 最後に、各自が将来やってみたいことを発表したのですが、最初の児童は、農業がしたい、大きなトラクターやコンバインに乗ってみたいと夢を語りました。二人目の児童も、農業がしたい、おじいちゃんみたいにおいしいお米を作りたい。三人目は、動物が好きだから獣医になりたい。四人目も、ママのような保育士になりたいと話し、この地区は安泰だなと思ったことがあります。 十歳の思いが成人になっても変わらず、やってみたいことが職業になる社会の形成は、県民の幸せづくりにつながっていくのだと思います。 さて、本県は、東西に中国山地が走り、大きくは日本海沿岸地域、内陸山間地域、瀬戸内沿岸地域の三つに分かれた環境下で農業をしています。 耕作面積の八割が田んぼで、農業産出額の三割を米が占めており、全国と比較しても水稲栽培が多くなっているのが特徴です。 農業産出額は、六百六十五億円で全国三十九位と低く、野菜と果実、雑穀と乳用牛の産出額が全国に比べ低くなっています。 一方で、農業生産関連事業は、農産加工で三百五十四億円の全国十位となっていますが、加工原料の仕入れ金額が百三十八億円で全国十一番目となっています。 これらのデータを勘案すると、農産加工のために外から仕入れていることが分かりますが、私は現在仕入れている産物を本県の農業で生産し、県内の加工業者につなげる地産地消の循環型農業にすべきだと考えます。 本県では、農地のゾーニングを行い、条件の適した大区画化された農地と、そうではない標準区画の農地を圃場整備しています。 次世代の農業従事者による六次産業化した農業環境を準備していますが、まだまだ若者の参入が少ないのが現状です。 山形大学農学部では、畑作と畜産の連携を図って農畜産物を生産する、耕畜連携と、加工業者と一体となって厳選素材を利用した加工食品を製造する、農工連携、そして、地域内で販売・消費する、地産地消を地域内で完結できる循環型の経済圏形成を目指すプロジェクトを実践し、クローズアップされています。 次世代を担う学生が危機感と好奇心を抱き、主体的に行動している姿に世論も感銘を受けますし、私たち中間層年代も、今のままでは持続可能な農業にはなっておらず、若者にとって魅力的ではないことを自覚しています。 地域の農業と畜産業と加工業が連携し、地域の中で六次産業化した循環型農村経済圏を形成することによってサステーナブルで、人が集い、定着する山口のスタンダードができるのだと考えます。 そこでお伺いします。農業がしたいと夢を語る子供たちに、本県はどのような農業を推奨しますか。外からの仕入れに依存した農業を改め、持続可能な循環型農業にシフトすべきだと考えますが、県の御所見をお伺いいたしまして、私の一般質問とさせていただきます。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 副議長(島田教明君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)林議員の御質問のうち、私からは、外国人労働者との共生についてのお尋ねにお答えします。 人口減少や少子高齢化の進行により、地域経済等への影響が懸念される中、県内の外国人労働者数は、お示しのとおり、昨年、過去最高となっており、本県で暮らす外国人は今後も増加していくことが見込まれています。 こうした中、地域を支える産業を持続的に成長・発展させていくためには、私は、専門的な知識・技能を持った外国人労働者を受け入れ、地域への定着を図るとともに、お互いの文化的な違いを認め合い、共に生きていく、多文化共生に向けた取組を進めていくことが重要と考えています。 このため、私は、昨年十二月に策定した、山口県多文化共生推進指針に基づき、外国人労働者の受入れ・定着への支援を行うとともに、社会参画の促進に向けた取組を積極的に進めているところです。 まず、受入れ・定着への支援に向けては、専門家による県内企業とのマッチングの支援や、雇用に係るノウハウ等を習得するための企業向けセミナーの開催、就労のための日本語学習支援などにより、働きやすい就労環境の整備を進めています。 また、外国人労働者が、県民の一人として心地よく生活できるよう、県国際交流協会内に設置した、やまぐち外国人総合相談センターにおいて、労働や医療など生活に関連した幅広い相談にきめ細かく対応するなど、相談者に寄り添った支援の充実に努めているところです。 次に、社会参画の促進に向けては、地域や行政等との橋渡し役を担う、やまぐち多文化共生推進パートナーと連携しながら、暮らしに必要な情報を提供するとともに、意見やニーズ等を把握することにより、地域社会の一員として活躍できる環境づくりを進めています。 また、今年度新たに、県、市町及び県国際交流協会で構成する、山口県多文化共生推進協議会を設置し、住民に身近な自治体である市町とのネットワークの強化を図ったところであり、今後は、本協議会での意見等を踏まえながら、多文化共生に向けた取組の充実を図っていきます。 私は、今後とも、市町や関係機関等と緊密に連携しながら、山口県が外国人労働者に選ばれ、安心して働き続けられるよう、受入れ・定着への支援や社会参画に向けた環境整備を進め、多文化共生社会の実現に積極的に取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 副議長(島田教明君)國吉健康福祉部長。 〔健康福祉部長 國吉宏和君登壇〕 健康福祉部長(國吉宏和君)保育士の負担軽減についてのお尋ねにお答えします。 共働き世帯の増加による保育ニーズの高まりとともに、乳幼児が生活時間の大半を過ごす保育所の果たす役割は、ますます大きくなっていることから、県では子育て世帯が安心して保育サービスを利用できるよう、保育士の負担軽減を図り、保育環境の整備に取り組んできたところです。 具体的には、今年度、国の動きに合わせ、四・五歳児の職員配置基準を三十対一から二十五対一に改善を図るとともに、三歳未満児クラスに国の配置基準を上回る保育士を配置するための本県独自の補助制度を創設し、よりきめ細やかな保育の提供ができるよう支援を行っています。 また、子供主体の保育に注力できる環境づくりを進めるため、保育士の補助業務を担う子育てサポーターや、登園児などの時間帯に見守りを行うスポット支援員の配置を支援することにより、保育現場における多様な人材の活用を進めています。 さらに、保育施設における子供の健康増進や疾病等への対応の充実にも資するよう、お示しの保育施設への看護師等専門職の配置を支援しているところです。 加えて、保育士の働き方の見直しが進むよう、今年度新たにICT活用の推進など業務改善に向けた啓発セミナー等を開催し、マネジメント支援を行っています。 県としましては、今後とも、市町や関係団体と連携し、保育士の負担軽減を図り、子育て世帯がより安心して子供を預けることができる保育環境の充実を図ってまいります。 副議長(島田教明君)大田農林水産部長。 〔農林水産部長 大田淳夫君登壇〕 農林水産部長(大田淳夫君)持続可能な循環型農業についてのお尋ねにお答えします。 担い手の減少や高齢化が進む中、本県農業を持続的に発展させるため、県では、これまで、新規就業者の安定的な確保や集落営農法人等の育成に取り組んできたところです。 一方、生産資材の高騰などにより、農業を取り巻く環境が厳しさを増し、生産年齢人口も減少している中、本県農業を子供たちが成人になっても変わらず、かっこいいと感じる産業に成長・発展させていくことが重要です。 このため、県では、十年後、二十年後を見据え、収益性の高い農業を実現できるよう、最新のデジタル技術を活用した省力化・高品質化の取組や、地元企業と連携した地産地消型の農業を一層推進することとしています。 まず、デジタル技術を活用した省力化の取組については、ドローンなど、効果が確認されているスマート農機の導入支援に加え、遠隔操作や無人走行が可能な新たな農業機械の開発を進めます。 また、高品質化に向けては、園芸品目の生育を最適化する環境制御システム等の導入支援のほか、AIによる画像認識を活用した病害虫や生育の診断システム等の開発にも積極的に取り組んでまいります。 次に、地産地消型の農業を推進するため、加工業者等が求める価格や数量等のニーズに的確に対応できるよう、省力化に向けた機械導入や栽培技術の確立などを通じて、加工・業務用野菜等の生産拡大を図ります。 また、県産農産物が地域内で有効活用されるよう、県が設置したサポートセンターを中心に、六次産業化・農商工連携の取組を積極的に推進し、農産物の付加価値を高め、生産者の所得向上につなげていきます。 県としては、市町や関係団体等と連携し、農業が地域経済に好循環をもたらし、次代を担う子供たちが夢と希望を持てる魅力ある産業になるよう積極的に取り組んでまいります。 副議長(島田教明君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)働きたくなる教員の労働環境についてのお尋ねにお答えします。 近年、教育課題の複雑化・困難化に伴い、学校や教員の負担増大が全国的な課題となる中、子供たちによりよい教育を提供するためには、教育の根幹を担う教員にとって働きやすい環境づくりを進めることが重要です。 このため、県教委では、これまで、学校における働き方改革加速化プランに基づく取組を推進してきたところであり、本年四月には、これまでの成果と課題を踏まえた新たなプランを策定し、本県の強みである、コミュニティ・スクールの連携・協働体制と、ICT環境を共通する視点として、取組の強化を図っています。 具体的には、県内全ての公立学校において、教員の勤務実態や働き方改革に係る取組状況を公表することで、学校運営に対する保護者、地域等の理解や参画をこれまで以上に促進するとともに、統合型校務支援システムの効果的な運用による校務のDX化を推進するなど、業務のさらなる適正化・効率化を進めていきます。 加えて、教員の事務的業務を補助する、教員業務支援員等の支援スタッフの配置に取り組むなど、教員が子供たちと向き合い、授業やその準備に一層注力できる環境の整備に努めてまいります。 また、教職を一旦離れた方などを含め、多様な人材に学校現場を支えてもらえるようにするためには、それぞれのライフスタイルに応じた勤務に関する情報や本県教育の魅力をしっかりと伝え、本県の教員を目指していただくことが重要です。 このため、県教委では、大学生やペーパーティーチャーなどを対象としたセミナーや個別相談会等を年間を通して実施し、山口県教育の強みや特色をはじめ、様々な勤務形態や休暇制度などを説明しているところであり、今後も、こうした情報をSNS等を活用して積極的に発信してまいります。 県教委といたしましては、引き続き、持続可能な指導・運営体制の構築に向けた働き方改革を推進することにより、多くの人々に山口県の学校で働きたいと思ってもらえる環境づくりに全力で取り組んでまいります。