1 人口減少対策の推進について 2 中小企業の事業承継に対する支援について 3 クルーズ船の誘致促進について 4 鯨肉の消費拡大対策について 5 全国高校総体の開催準備について 6 その他
副議長(島田教明君)西本健治郎君。 〔西本健治郎君登壇〕 西本健治郎君 自由民主党の西本健治郎です。質問に先立ち、離島振興について所見並びに要望をいたします。 先日、下関市で開催された第五十三回山口県離島青年会議に参加をいたしました。現在、二十一の有人離島を有する本県にとって、島の魅力を生かした振興策の推進、また、島の生活における様々な課題に向き合い、解決に導いていくことは自治体の責務、使命であります。 さて、青年会議では、県内離島に暮らす多くの若者が一堂に会し、島での生活や子育て環境、産業や離島航路の課題、担い手不足で苦慮する伝統文化の継承など、様々な意見発表がありましたが、中でも切実な問題として、早期対策の必要性を感じたのがお子さんの進学時における住居の問題についてです。 そもそも自宅からの通学自体が不可能な離島生活者にとって、志望校への進学に当たっては、住居確保における様々な困難が存在し、また、一人暮らしに対する不安からやむなく宿舎完備の学校を選ばざるを得ないケースなど、進学における選択肢自体が狭められ、親子共に悩みの種となっているのが現状です。 現在、離島の振興については、離島振興法や有人国境離島法などによって、離島活性化交付金をはじめとするハード・ソフト両面での支援制度が設けられています。 しかしながら、さきに述べた子供の進学における問題は、国の住居費補助制度だけでは解消できない課題もあり、島の将来を担う若者たちが、自ら望む学校へ進学し、安心して学校生活を送ることができるよう、自治体に求められる役割も大きなものとなっています。 そして、これまで離島への支援は地元市町が実施することとなっていますが、昨年施行された第八次離島振興法では、都道府県による離島市町村への支援の努力義務が新たに明記されました。今こそ、県にはさらに一歩踏み込んだ支援を切にお願いするものです。 このたび、私の一般質問では、人口減少対策に関する項目を予定していますが、この離島振興こそ、県政最重要課題の解決の糸口の一つになるのではないかと考えています。 長きにわたり海の恵みを享受してきた本県にとって、離島の持続的発展に向け、さらなる取組強化を図っていただくよう強く要望し、以下、通告に従い一般質問を行います。 初めに、人口減少対策の推進についてお尋ねいたします。 今年度、知事は人口減少の克服に確かな道筋をつけるべく、自然減と社会減という両面の課題にしっかりと向き合い、新たな県総合戦略によって様々な取組を進めておられます。 今月には、少子化対策の目玉として期待される県独自の保育料無償化制度がスタートいたしました。県がこのたび初めて行った実感度調査においても、抜本的に強化された対策について、特に若い女性からの評価が多く寄せられるなど、早速、施策効果が現れ、本年二月、私の一般質問に対する、若者や女性への意見を定期的に捉えて施策の実効性を高めていきたいとの村岡知事の意気込みがしっかりと実行に移されていることをうれしく思っています。 さて、先月末、国から本年上半期の出生数の速報値が公表されました。昨年から五・七%減の約三十五万人となり通年で初めて七十万人を割る可能性があるとの見通しに、加速する人口減少の荒波を改めて感じているところです。本県を含め多くの自治体が、まさに正念場を迎えていますが、目先の結果に一喜一憂することなく、粘り強く取り組んでいくことが何より重要です。 こうした中、八月の全国知事会では、我が国の危機的な人口減少問題に国、経済界、労働界、国民が一体となって取り組む、人口戦略対策本部が新設されました。国の骨太の方針でも、地方の取組を政府一丸となって強力に推進することとされており、今後の対策に大きな期待を寄せています。 もとより、人口減少には全国共通の課題が多くある一方、地域特性や当事者によって優先すべき対応は様々であることから、今後は、地域や世代で異なる課題を的確に把握し、それを県の施策へ柔軟に反映しながら、あわせて、全国に共通する課題があれば、その解決を速やかに国に求めていく、こうしたサイクルの確立が重要ではないでしょうか。 さらに、市町からは、予算や人手、ノウハウが不足しているなどの声も聞こえており、課題解決に向けた協働や優良事例の把握、横展開といった県のさらなる支援も求められます。 県のリーダーシップの下、こうした体制を構築し、課題解決の鍵を握る若者たちの刻々と変化するニーズにも目を向けながら、より効果的できめ細やかな対策を推進していただきたいと願っています。 そこでお尋ねをいたします。人口減少対策を推進していくため、県内市町とも連携を図りながら、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、中小企業の事業承継に対する支援についてお尋ねいたします。 中小企業は、我が国企業の九九・七%を占め、雇用や技術の担い手として経済・社会を支える重要な存在であります。本県はもとより、我が国が将来にわたって豊かさと活力を維持するためには、中小企業が有する歴史と価値を着実に次世代へ引き継いでいかなければなりません。 しかし、現在、物価高騰や円安、コロナ融資の返済本格化等により、中小企業は厳しい経営環境にあります。二〇二四年上半期の企業倒産は十年ぶりの高水準に膨らみ、私の地元下関でも、長く地元で愛されてきた老舗水産加工会社が相次いで倒産するなど、また、市内の建設業や印刷業などでも経営者から業績の悪化に苦しむ悲痛な声をお聞きしています。 加えて、我が会派の代表質問でも指摘をいたしましたが、深刻な人手不足がさらなるおもしとなってのしかかっているのが現状です。従業員の退職や採用難、人件費高騰に伴う人手不足倒産は過去最多のペースで推移し、中には業績が好調であるにもかかわらず、人手不足から経営が立ち行かなくなるケースもあり、本当にやりきれない思いです。 また、本県中小企業の経営者が高齢化の一途をたどる中、本県の後継者不在率は全国と比較しても高い水準にあり、昨年度の後継者不在に起因する、全国の後継者難倒産は過去最多を記録するなど、その背景には後進の育成・確保の難航、また、事業承継の準備遅延等がうかがえます。 こうした実態に対し、本県経済の持続的な発展を図るため、さらなる中小企業の支援拡充に加え、事業承継の取組強化が今こそ急務ではないでしょうか。 県では、これまで事業承継支援ネットワーク会議を中心に、国の事業承継・引継ぎ支援センターと連携しながら、円滑な事業承継の促進に努めてこられました。 今後は、より早期の事業承継の準備着手や円滑化、親族内承継、従業員承継の促進に加え、人手不足を踏まえて外部の支援機関の専門的な知見も活用しながら、M&Aなど幅広く第三者事業承継に向けた取組を推進することが求められています。事業承継を契機として、伝統的な技術や技能、地元の顧客・人脈、古くから愛されてきた味やデザインなど、地域の中小企業がこれまで培ってきた歴史に、先進的な技術やアイデア、専門知識、豊かな経験など外部の活力を加えることで、事業の安定的な継続と企業の経営強化を併せて実現できるのではないでしょうか。 そこでお尋ねをいたします。人手不足や物価高騰など、中小企業の経営環境が厳しさを増す中、本県が誇る中小企業が将来にわたって生き生きと活躍し、県経済の持続的な発展が図られるよう、経営基盤の強化とともに事業承継のさらなる支援に取り組むべきと考えますが、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、クルーズ船の誘致促進についてお尋ねいたします。 私は、平成二十七年六月県議会での初登壇以降、本州の最西端に位置し、三方が海に開かれた本県の地理的優位性を最大限に生かしたクルーズ船の誘致促進について、一貫し申し上げてまいりましたが、さらに地域経済の活性化へつなげていただきたいという願いを込め、改めて以下質問をいたします。 現在、歴史的な円安を背景とし、日本を訪れる外国人観光客は右肩上がりで増加しています。コロナ禍によって、外国クルーズ船の日本への寄港は激減していましたが、昨年三月の寄港再開を皮切りに急速に回復し、現在ではコロナ禍前の水準に戻りつつあります。 加えて、国内の海運業界大手二社が大型投資として相次ぎ新たなクルーズ船の建造を行うなど、クルーズ観光業界は盛況な展望が見込まれています。 さて、今月上旬、スイスの大型クルーズ客船、MSCベリッシマが中国・上海を出港し、下関の沖合人工島に寄港いたしました。昨年九月、下関への初寄港以来、同クルーズ客船の寄港は三回目となりますが、今回も四千人以上の外国人観光客が来県し、寄港後は百台近くのバスに乗り換え、唐戸市場や赤間神宮など近隣の観光地は大変なにぎわいとなりました。 このように、県ではこれまで国内外のクルーズ船誘致に向け様々な取組を進められ、本県寄港地では魅力的な観光資源に気軽に触れてもらい、また、裾野の広い観光関連産業の活性化も図られるなど、大きなチャンスを生み出してきました。 こうした中、昨年、国において観光立国推進基本計画が閣議決定され、クルーズ再興に向けた目標値として、国際クルーズ船に関し、二〇二五年までに国内への寄港回数二千回、寄港する港湾数百港を目指すことなどが掲げられました。 この目標達成に向け、国でも様々な取組が進められており、今後、クルーズによる観光客の流れはこれまで以上に太いものになるはずです。県としてもこの時流を捉え、船社へのセールスなど誘致活動を積極的に展開するとともに、乗船客の満足度を高めるよう受入れ体制の充実に一層取り組むことで、国内外からより多くのクルーズ船の寄港を実現し、観光消費の拡大にぜひともつなげていただきたいと願っています。 そこで、お尋ねいたします。本県経済の持続的な発展に向け、県は国内外からのクルーズ船の誘致促進にどのように取り組んでいかれるのか、お伺いをいたします。 次に、鯨肉の消費拡大対策についてお尋ねいたします。 本年五月、商業捕鯨母船として新たに完成した、関鯨丸が、今シーズンの初出漁に向け出港をいたしました。東北地方沖合の太平洋で母船式捕鯨を行い、十二月に再び下関港へ戻ってくる予定です。 下関市で開催された出港式には、私も出席をさせていただきましたが、農林水産委員として四年間、その当時は母港化や新船建造、鯨食普及などに非力ながらその実現に取り組んできた一人として、新たな捕鯨母船を目の当たりにし、感慨深いものがありました。まずは、関鯨丸の豊漁並びに安全操業を祈念しています。 さて、私は、これまで一般質問において、下関市における母港化の実現や捕鯨を通じた本県の活性化などについて取り上げてまいりましたが、母港化が実現し、新造船による商業捕鯨が本格的にスタートを迎えた今、今後も「くじらの街下関」を中心として、本県における捕鯨産業の振興を図っていくためには、鯨肉の消費拡大の取組をさらに推し進めていかなければなりません。 県におかれましては、これまでも鯨肉の消費拡大に向け、新たなメニュー開発支援や鯨料理を提供する飲食店の拡大などに積極的に取り組んでこられました。現在、地元下関はもとより、県内でも鯨料理を提供する飲食店が増加傾向にあるなど、鯨食普及と消費拡大に向け、着実に歩みが進んでいることがうかがえます。 また、本年初頭、ニューヨークタイムズの記事を契機に、山口市をはじめ、県内観光地に大きな注目が集まる中、県外から訪れる観光客に対し、鯨肉PRを通じた新たな需要開拓に取り組んでいくことも、さらなる消費拡大に向けた絶好の機会ではないでしょうか。 一方、今後の持続的な消費拡大に向けては、これまで鯨肉に縁のなかった若者世代、中でも小中学生などに学校給食の機会を通じて鯨肉を味わい、より身近に感じてもらうような取組が何より重要と考えます。私自身の幼少期がそうであったように、日常生活の様々な場面において、鯨または鯨肉が身近に存在することが、将来にわたり地域固有の産業として普及・定着していくものと強く信じております。 そこでお尋ねをいたします。下関を母港とした商業捕鯨が再開された今、「くじらの街下関」として再びにぎわいを創出し、本県活性化へつなげていくため、県として鯨肉消費拡大対策に今後どのように取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。 最後に、全国高校総体の開催準備についてお尋ねいたします。 この夏、開催された世界のスポーツの祭典であるパリオリンピック・パラリンピックが盛況裏のうちに閉幕をいたしました。一流アスリートたちが世界最高レベルの技術で競い合う姿は、見る側に夢や感動を与え、また、本大会では多くの山口県ゆかりの選手が活躍されたことも皆様の記憶に新しいところです。 加えて、オリンピックやパラリンピックのように、選手だけでなく、競技関係者や観戦者などが世界中から訪れ、文化や風土、人との交流などを通じて開催地の魅力を感じることができるのも世界大会ならではの醍醐味ではないでしょうか。 さて、高校生の舞台に目を向けると、高校生最大のスポーツの祭典である全国高等学校総合体育大会、いわゆる全国高校総体が本年は北部九州で開催されました。同大会では、本県選手が複数競技で優勝するなど、多くの選手が入賞し、山口県の底力を全国へ強力に発信してくれました。 そして、来年夏、九年ぶりとなる中国ブロックでの開催が予定され、本県ではバドミントンやソフトテニスなど六競技種目が行われることとなっています。そのうち、私の地元下関市では、先月新たに供用を開始された新総合体育館J‥COMアリーナ下関を舞台に、新体操と卓球が開催予定です。 大会の成功に向けては、多くの地元選手の活躍が何より重要だと思いますので、県教委にはしっかりと選手のサポートに力を入れていただきますようお願いいたします。 私もスポーツを愛する一人として、全国高校総体を通じて、出場選手の活躍はもとより、選手間の相互親睦など、たくさんの思い出をつくってくれることを期待しています。 さらに、このような全国規模の大会へ出場選手以外の多くの生徒が様々な形で参加をすることは、子供たちの成長という教育的な意味においても大変貴重な機会であると考えます。大会機運を盛り上げるためにも、県内高校生の積極的な参加に向けて、県教委には多様な活躍の場を提供していただくよう、生徒の主体性を促しながらその取組を進めていただきたいと願っています。 生徒にとっても、大会を支える競技運営サポートや山口県の魅力を発信する取組等により、出場選手にも劣らない、やりがいや達成感を得ることができるのではないでしょうか。 そこでお尋ねをいたします。来年開催される全国高校総体に向け、一人でも多くの高校生が様々な立場でその力を発揮し、活躍することができるよう、県教委として今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 以上で、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 副議長(島田教明君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)西本議員の御質問にお答えします。 まず、人口減少対策の推進についてです。 本県の人口減少は、加速度的に厳しさを増しており、私は、その要因となっている少子化の進行や若者・女性の転出に歯止めがかけられるように、これまで以上に強い危機感を持って取り組まなければならないと考えています。 こうした考えの下、昨年、県議会からの御提案も踏まえ、住民に身近な行政を担う市町から施策の提案などを頂くとともに、当事者となる大学生や子育て世代の若者に就職や子育て等に関する考えを伺い、それに応える施策を構築して、今年度、積極的にその推進を図っているところです。 しかしながら、人口減少は一朝一夕に克服できるものではなく、不断の見直しや強化を行いながら粘り強く取り組んでいくことが必要です。 このため、私は、引き続き地域の課題や当事者の意識などを的確に把握し、そのニーズや思いにしっかりと応えられるよう、きめ細かく対応していくこととしています。 まず、地域の課題等への対応においては、地方創生に向けた県と市町の連携体制を強化し、県全域、また各地域それぞれの課題解決が図られるよう取組を進めていきます。 具体的には、県と市町による連携会議を、人口減少への対応に、より焦点を当てる形へと改組します。そこで県として取り組むべき新たな施策や現行の施策の改善点などについて議論を深めるとともに、各市町の効果的な施策などを共有し、その横展開を促進することにより、県全体の人口減少対策のさらなるレベルアップを図ってまいります。 加えて、それぞれの地域の特性や強み、課題を明確にし、実情に応じた対策を検討していけるよう、様々なデータやその分析結果なども共有し、各市町が講じる施策の実効性の向上につなげていきます。 当事者への対応については、若者・女性の意識・ニーズが絶えず変化することから、これをタイムリーに把握するとともに、施策の効果検証を行い、これを的確な見直しにつなげていけるよう、今年度、新たにターゲットとなる世代に絞った実感度調査を実施したところです。 その結果、男性の家事・育児参加が進んでいないことや、大学生の県内企業の認知度が、特に女性において低いなどの課題が明らかになりました。 私は、こうした調査を今後とも継続的に実施し、調査で得られたデータを基に追加すべき施策は何か、必要な方に施策が届いているかなどの課題を洗い出し、次の施策展開へと生かしていきたいと考えています。 こうした取組とともに、人口減少の大きな要因である東京一極集中などへの対応は本県だけで解決できる問題ではなく、我が国の構造的な課題であることから、国全体での取組を強化しなければなりません。 このため、国が責任を持って取り組むべき課題への対応や全国一律で進めるべき取組などについては、政府要望を通じ、また、全国知事会等とも連携しながら国に強く求めてまいります。 私は、加速する人口減少を克服するため、市町との連携の一層の強化等を図るとともに、県議会の少子化・人材育成確保対策特別委員会での議論も踏まえ、さらに効率的かつ実効性の高い人口減少対策を構築していけるよう、今後も積極的に取り組んでまいります。 次に、クルーズ船の誘致促進についてのお尋ねにお答えします。 本県は、三方が特色ある海に開かれ、それぞれに多くの良港とその背後に魅力ある観光地を有するなど、他県にはない大きな強みがあり、私は、交流人口の拡大や高い経済効果が期待できるクルーズ船の誘致に積極的に取り組んでいるところです。 こうした中、今年はお示しの沖合人工島への大型客船をはじめ、県内各地に様々な規模のクルーズ船の寄港が実現しており、寄港回数はコロナ禍明け以降、最高となる年間三十四回の予定となっています。 今後、世界的にクルーズ市場の拡大が見込まれる中、私は、こうした需要を確実に本県に取り込み、地域経済の持続的な発展につなげていくため、優れた港湾施設や多彩な観光資源など、本県のポテンシャルを最大限生かし、クルーズ船の誘致活動の強化や受入れ体制の充実を図ることとしています。 まず、誘致活動の強化については、寄港の決定権を持つ国内外のキーパーソンを本県に招聘し、市町と連携した視察ツアーを実施するとともに、専門アドバイザーを活用し、船会社等へのセールスを行うなど、それぞれの港の特色を生かした効果的な取組を展開していきます。 特に、今年度は観光消費額の高い欧米系クルーズ船の寄港に向けた誘致活動を重点的に推進しており、今年四月には、アメリカで開催された世界最大級のクルーズ見本市へ出展したほか、オンラインで現地の船会社等と商談会を行うなど、新たな需要の開拓を積極的に進めているところです。 さらに、日本有数の寄港地である神戸市や別府市などと連携して、広域的なクルーズ航路のプランを造成し、海外の船会社等に対し合同で提案を行うことにより、本県へのさらなる寄港拡大につなげる取組も進めてまいります。 次に、受入れ体制の充実に向けては、まず、乗船客の県内周遊を促進するため、欧米の方にも人気が高い歴史や文化、グルメ等を組み込んだ魅力あるモデルルートを造成し、船会社や旅行会社に対して商品化を働きかけていきます。 また、クルーズ船寄港の際には、地元市町とも連携し、埠頭において特産品等の販売ブースを設けるほか、近郊の商店街や道の駅、飲食店等の商業施設への送客を積極的に行うことにより、観光消費を拡大し、広く地域経済への波及につなげていくこととしています。 さらに、寄港地が一体となって行うおもてなしの取組も重要であることから、地域の学生や住民等による歓迎イベントの開催を支援するとともに、多言語による臨時の観光案内所を設置するなど、乗船客の満足度向上を図っていきます。 私は、今後とも、市町や関係団体等と緊密な連携の下、本県の優れた港湾施設や多彩な観光資源を生かしながら、地域経済の持続的な発展につながる国内外からのクルーズ船の誘致に全力で取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 副議長(島田教明君)高林産業労働部長。 〔産業労働部長 高林謙行君登壇〕 産業労働部長(高林謙行君)中小企業の事業承継に対する支援についてのお尋ねにお答えします。 県では、これまで、国や市町、商工会議所等の関係機関で構成する、山口県事業承継支援ネットワーク会議を核として、集中支援期間における普及啓発や専門家による相談対応、後継者育成塾の開催等により円滑な事業承継の促進に取り組んでまいりました。 こうした中、昨年の本県の後継者不在率は六〇・三%となっており、過去十年間で最も高かった平成二十九年の七六・四%から一六・一ポイント改善していますが、後継者不在に伴う倒産件数は増加傾向にあることから、さらに早期準備に向けた意識喚起や各事業者の課題に応じた取組が必要です。 このため、県では、事業承継の潜在的な支援ニーズを有する中小企業等に対し、県の経営課題診断員が二千件を超える巡回訪問を行い、早期準備に対する理解促進を図るとともに、各事業者の課題を的確に捉え、関係支援機関に橋渡しするなど、適切な支援につなげてきたところです。 具体的には、親族や従業員等の後継者候補を有する事業者に対して、商工会議所等による事業承継診断の実施や経営者保証の解除に向けた相談対応の取組等を進めています。 一方、後継者不在の事業者に対しては、事業承継・引継ぎ支援センターのデータベース活用やM&A支援機関との連携により、後継者候補とのマッチング支援を行ってきたところです。 また、昨年度からは、M&Aに関する知識や経験がない経営者の理解を深めるため、税理士などの専門家を企業に派遣するなど、第三者承継を事業承継の一つの選択肢としてM&Aの活用を促す取組も進めています。 さらに、今年度、新たに形成した支援機関や金融機関が参画するプラットフォームを活用し、経営と金融の両面から中小企業の事業承継やこれを契機とした経営基盤の強化も進めているところです。 県では、今後とも中小企業の持続的発展に向けて関係機関と緊密に連携を図り、事業承継支援に積極的に取り組んでまいります。 副議長(島田教明君)大田農林水産部長。 〔農林水産部長 大田淳夫君登壇〕 農林水産部長(大田淳夫君)鯨肉の消費拡大対策についてのお尋ねにお答えします。 下関を母港とした商業捕鯨の再開を契機に捕鯨産業を発展させ、本県の活性化につなげるためには、鯨肉の消費拡大に向けた取組をさらに推進し、鯨食文化の一層の普及を進めることが重要です。 このため、県では、鯨肉の消費拡大に向け関係団体と協働した新メニューの開発支援やフェアの開催などを通じ、鯨料理を提供する飲食店の拡大を図るとともに、小中学校等への鯨給食の実施支援等を行ってまいりました。 その結果、県内で鯨料理を提供する飲食店は二百二十店舗まで増加し、全ての小中学校等における鯨給食を実現するなど、鯨食文化の普及につなげてきたところです。 今後は、鯨肉の消費をさらに拡大していくため、お示しのように増加している県外からの観光客を対象に新たな需要を掘り起こすとともに、若者世代が鯨肉を身近に味わえる機会を増やすこととしています。 まず、県外観光客に向けては、大手旅行会社等に対し、様々な鯨料理を紹介し、鯨の魅力をPRする情報発信会を開催するなど、新たな需要の掘り起こしに取り組みます。 また、鯨骨スープと鯨肉を具材として使用したこだわりの「長州鯨骨らぁめん」が、今月から県内各地の飲食店で提供されており、本県の新たな名物として認知度の向上に努めてまいります。 さらに、ぶちうま!くじらフェアの実施に加え、新たな母船、関鯨丸の下関への初帰港に合わせたイベントを開催するなど、鯨肉の消費拡大を図ります。 次に、若者世代に向けては、普段から鯨肉に親しめるよう、量販店において鯨肉の優れた特徴や料理法を紹介し、おいしさを実感できる試食販売を新たに実施します。 とりわけ、小中学生等に対しては鯨肉をより身近に感じてもらえるよう、今年度から鯨給食に対する経費補助回数を年三回から五回に拡大したところであり、引き続き、各学校での積極的な活用を促進することとしています。 県としては、捕鯨産業の発展を通じた本県の活性化に向けて、下関市をはじめ関係市町や関係団体等と緊密に連携し、鯨肉の消費拡大を積極的に推進することで鯨食文化の普及につなげてまいります。 〔大田農林水産部長の発言中、島田副議長に代わり、柳居議長が議長席に着く〕 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)全国高校総体の開催準備についてのお尋ねにお答えします。 来年夏に中国五県を舞台に開催される本大会は、高校生最大のスポーツの祭典であり、本県では、下関市での卓球など五市で六競技を実施することとしています。 大会の成功に向けて、県教委としては、まずは地元高校生の活躍が大きな力になると考えています。 先月まで熱戦が繰り広げられた北部九州総体では、バドミントンの大会四連覇をはじめ四競技で優勝し、昨年を上回る十五競技二十九種目が入賞しました。 この勢いを弾みに多くの本県選手が来年の大会でも活躍できるよう、県スポーツ協会や県教委等で構成する、山口県競技力向上対策委員会による強化拠点校の指定など、地元選手の競技力向上を後押ししてまいります。 また、本大会は選手だけでなく、高校生が大会の準備や運営に関わる体験を通じて、やりがいや達成感を得られるなど、教育的意義を有する貴重な機会であることから、県教委としては、一人でも多くの高校生が大会を支える取組に参加することが重要と考えています。 このため、県内高校生が自主的・主体的に大会のPRやおもてなしなど多様な活動に取り組む、高校生活動を積極的に推進することとしています。 具体的には、高校生の代表で構成する、高校生活動推進委員会を五月に設立し、北部九州総体の視察を行うとともに、先月はレノファ山口のホームゲームにおいて、一万人を超える観衆の中、本大会のPRメッセージをスタジアムで放映するなど、本格的に活動を始動したところです。 また、推進委員会では、一人でも多くの高校生の参加を促すため、新たに、インターハイ応援サポーター制度を設け、県内全ての高校等の生徒会を通じて、広く登録を呼びかけることとしています。 今後、推進委員会の委員や応援サポーターが、本番に向けて高校生らしい発想を生かし、SNSによる本県の魅力発信や競技会場の環境美化等の、広報・おもてなし活動を全県で展開するなど、機運を一層盛り上げていくこととしており、こうした取組をしっかりとサポートしてまいります。 県教委といたしましては、県スポーツ協会など関係団体等と緊密に連携を図り、高校生が様々な立場でその力を存分に発揮し、活躍することができるよう、全国高校総体の開催準備に万全を期してまいります。 議長(柳居俊学君)これをもって、一般質問及び提出議案に対する質疑を終結いたします。