1 持続的な経済成長に向けた産業戦略の推進について 2 観光振興について 3 幹線道路網の整備について 4 デジタルによる魅力ある県づくりについて 5 教育行政について 6 警察行政について
───◆─・──◆──── 日程第一 代表質問 日程第二 議案第一号から第八号まで 議長(柳居俊学君)日程第一、代表質問を行い、日程第二、議案第一号から第八号までを議題とし、質疑に入ります。 代表質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において順次発言を許します。 塩満久雄君。 〔塩満久雄君登壇〕(拍手) 塩満久雄君 皆さん、おはようございます。自由民主党の塩満久雄です。 令和六年六月定例会に当たり、会派を代表いたしまして、県政の諸課題について知事、教育長及び警察本部長に質問いたします。 質問に先立ち、一言申し上げます。 日本の政治の中で連綿と引き継がれてきた防長政治の源流は、伊藤博文公であろうと思います。 伊藤公は、幕末の時期に長州ファイブの一員としてイギリスに留学して、明治政府では初代の内閣総理大臣として、大日本帝国憲法の制定など近代日本の礎を築いた方であり、日本の近代史上最大の政治家の一人であります。 さらに、最近の研究で、伊藤公は立憲国家を追求した知の政治家であり、言葉を通じて骨太な思想を国民に語り続けた政治家であるとして再評価されているそうであります。 歴史家の磯田道史さんは、その著書において、伊藤博文公が明治二十九年に広島の宮島を訪れた際に、定宿で茶屋娘にかけた言葉が、後にあの有名なもみじ饅頭ができるきっかけになったという逸話を紹介しています。 また、伊藤公は、宮島に外国人が訪れるのを見て、「自然にその資本を持つ、保存せよ」と言ったそうであります。 このほど古い文化と豊かで美しい自然を持つ山口市が世界で行くべき五十二か所の一つに選ばれたことを考え合わせますと、いち早く文化や自然、観光に着目し、その重要性を説いた伊藤博文公は、まさに先見の明のある偉大な政治家であったということを申し上げ、質問に入ります。 初めに、持続的な経済成長に向けた産業戦略の推進についてお尋ねいたします。 今、我が国経済は、長年苦しんだデフレから完全に脱却する絶好のチャンスを迎えています。株価は、一時史上最高値を更新、企業の設備投資額も過去最高水準で推移し、本年の春季労使交渉では、三十三年ぶりの高水準の賃上げが実現するなど、成長型経済へと移行しつつあります。 一方で、足元では、海外の景気減速が懸念され、長引く物価高騰により中小企業の経営環境は依然として厳しく、実質賃金も二十五か月連続でマイナスとなりました。 加えて、世界的に成長著しい半導体・蓄電池産業への支援や、脱炭素社会に向けたGXによる産業競争力の確保など、我が国経済はいまだ数多くの課題を抱えています。 こうした中、本県において持続的な経済成長を遂げるためには、世界の高付加価値分野で新たな需要を喚起し、国内外の企業の誘致や投資、イノベーションを通じて供給力を高め、持続的な所得向上につなげていくことが重要です。 そのため、戦略的な海外展開の推進や半導体・蓄電池産業の生産基盤強化、脱炭素燃料の供給拡大、新技術の社会実装の推進等、本県の産業特性や強み、市場の成長性等を踏まえ、世界経済の荒波に揺らぐことのない強靱な産業力を確立していただきたいと考えています。 本年三月に改定した、やまぐち産業イノベーション戦略は、我が会派が訴えてきた戦略的な海外展開を新たなプロジェクトとして追加されるなど、社会経済情勢の変化を見据えた実効性の高い計画となっております。 これまで我が自民党が最優先に取り組んできた経済再生がようやく実を結びつつある中、本県においても産業イノベーション戦略の着実な実行により、経済のさらなる成長につなげていかなければなりません。 そこでお尋ねします。我が国経済が大きな時代の転換点を迎える中、持続的な経済成長を図るため、県は産業戦略の推進に今後どのように取り組まれるのか、知事の御所見をお伺いします。 次に、観光振興についてお尋ねします。 歴史的な円安の中、今年三月の訪日外国人旅行者は三百万人を超え、過去最多を記録し、今年の訪日外国人旅行者数と旅行消費額は、過去最高になると見込まれており、我が国のインバウンド需要はかつてない高まりを見せています。 しかし、その多くが三大都市圏へ集中し、オーバーツーリズムを引き起こす要因となっており、二十一日に閣議決定された骨太の方針には、地方を中心としたインバウンド誘客が盛り込まれるなど、今後は、国と地方が一体となって、地方への誘客を促していくことが求められます。 こうした中、本県では、ニューヨークタイムズ紙で山口市が世界で行くべき五十二か所に選ばれたことによって、世界中から注目を集めており、これを契機として全県的な誘客の拡大に向けた幅広い取組が展開されています。 しかし、観光分野における好機は、これにとどまりません。いよいよ来年に迫る大阪・関西万博では、インバウンド客の増加や国内の人流の活性化が見込まれており、そうした流れをいかに本県へと取り込んでいくかが大きな課題となります。 また、再来年の秋に予定される国内最大級の観光プロモーション、デスティネーションキャンペーンでは実に九年ぶりとなる本県での開催を前に、地域の活性化に向けた誘客をどれほど進めることができるか、様々な業界から知事の手腕に期待がかかります。 この千載一遇のチャンスにおいて、大きな成果を上げるには一連の好機をつなぎ合わせる戦略的な視点が必要です。三つの好機を一体的なチャンスと捉え、相乗的に取り組む施策の組立てが重要だと考えるのです。 効果的かつ連続性のある取組によって、観光客の呼び込みや県内周遊の活性化にしっかりとつなげ、観光消費額の拡大と観光産業の発展をぜひとも成し遂げていただきたいと思うのです。 そこでお尋ねします。この大きな追い風を背に、二年後のデスティネーションキャンペーンも見据えて、観光振興をどのように進めていかれるのか、御所見をお伺いします。 次に、幹線道路網の整備についてお尋ねします。 本県の活力を維持向上させるには、産業力の強化や交流の拡大に寄与する幹線道路網の整備が不可欠であります。 さらに、年明けに発生した能登半島地震の被害には、心を痛めると同時に、安定的な人流や物流の確保に向けた、強靱で信頼性の高い道路ネットワークの構築がいかに重要であるか、改めて痛感させられたところです。 これまでも我が会派は、山陰道の全線開通をはじめ、下関北九州道路の早期事業化、岩国大竹道路の事業促進など、幹線道路網の整備促進を強く訴え、執行部、議会、関係団体一丸となって国への要望活動も精力的に行ってまいりました。 そうした思いが結実し、昨年四月、山陰道の三隅─長門間が事業化され、県内の優先整備区間は全て事業化されました。しかし、未着手区間の割合は四割を超えており、鳥取県、島根県と比べ整備は大幅に遅れています。 道路は、つながってこそ機能を最大限発揮するものであり、引き続き未着手区間の早期事業化、事業中区間の整備促進を国に働きかけ、一日も早くミッシングリンクを解消していく必要があります。 また、下関北九州道路も、本年五月に都市計画手続が開始され、いよいよ事業化に向けた大きな一歩を踏み出しました。私も議員連盟の会長として大変喜ばしく思っております。 当該道路の早期実現に向け、今後も力を尽くしていく所存ですが、県においても必要な手続の着実な執行、精力的な要望活動など、関係自治体とも連携を深めながら、今後も事業化への取組を強力に進めていかなければなりません。 さらに、県東部地域と広島都市圏との交流を促進する岩国大竹道路や県央部の産業振興や交通混雑の緩和につながる国道二号台道・鋳銭司拡幅など、他の幹線道路についても事業促進に向け積極的に取り組み、全県的な幹線道路網の構築を全力で推進していただきたいと思うのです。 そこでお尋ねします。本県のさらなる産業力強化や交流拡大を図り、国土強靱化にも寄与する幹線道路網の整備に、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 次に、デジタルによる魅力ある県づくりについてお尋ねします。 本年四月、有識者による人口戦略会議は、二○五○年までに若年女性の半減が見込まれる消滅可能性自治体として、県内八市町を明示いたしました。 県内の生産年齢人口が、約六割まで減少するとの推計もあり、様々な方面から不安の声が届きます。 人口減少が進む中でも、いかに地域の発展や経済の活性化を図るかという挑戦には、デジタルで生産性を高め、新たな価値を創造するという視点は今や不可欠であります。 さらに、真に人口減少の克服を果たすためには、日常生活にも有用な技術を浸透させ、都会と遜色のない環境の創出によって地域の魅力を高め、若者の定住を促すような好循環もつくり出さねばなりません。 令和三年、知事は全国に先駆けたDXの推進に取り組み、企業や市町に対して、これまで延べ三百件以上の支援を実施し、多くの課題を解決へと導かれました。 昨年には四十億円の基金を創設し、AIによるインフラメンテナンスや書かない窓口などの実装にも注力されています。 一方、国はデジタル田園都市国家構想の下、交通、医療、教育分野などで持続可能なサービスの創出を強力に進めており、地方のデジタル実装は技術革新とともに加速しています。 中でも地域公共交通の核となる自動運転では、今年度中に国内の約百か所で計画や運行を目指すなど、先進的技術の全国的な普及にも意欲的です。 本県もこうした動きに呼応し、多くの県民がデジタルの恩恵を享受できるよう、まずは従来の取組を実証から実装の段階へと引き上げていくことが必要です。 また、先進的技術の導入には、県が先頭に立って意欲ある企業・団体を牽引し、県内他地域への波及も視野に入れながら果敢に挑戦せねばなりません。 そうして、次々に生まれる新たな技術も着実に我々の生活に根づかせることで、若者や女性が魅力を感じ、住み続けたいと感じる県づくりを進めていただきたいと思うのです。 そこでお尋ねします。デジタルによる魅力ある県づくりに向けて、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 次に、教育行政についてお尋ねします。 人口減少や少子高齢化の加速、グローバル化の進展や急速なデジタル技術の進歩など、我々を取り巻く社会は目まぐるしい速度で変化しています。 こうした時代でも、一人一人の豊かな人生と社会の持続的な発展を実現するには、人の力が不可欠であり、未来を切り開くことができる人材を育成する教育の力がますます重要となっています。 人づくりを支える学校現場でも、子供たちが予測困難な将来に主体的に向き合い、自らの可能性を発揮する力を身につけるため、デジタル技術の積極的な活用や探求学習の実践などによる教育の質の向上や新たな教育価値の創造が求められています。 教育は人なりと言われるように、そうした教育を実装していくのが教師であり、いじめや不登校の増加など、課題が複雑化・困難化する中にあっても、新たな教育実践のため、教師が意欲と能力を最大限に発揮していくことが必要です。 先月の中教審の特別部会では、働き方改革や指導・運営体制の充実など、教師が自らの資質・能力等を高め、生き生きと子供たちに接するために必要な環境整備の方向性が示されたところであります。 このように、教育を取り巻く環境が大きく変化する中、本年四月には、繁吉教育長が再任されました。 これまで教育長は、自らが先頭に立ち、未来を拓くたくましい「やまぐちっ子」の育成の旗印の下、全国に先駆けて整備したICT環境による、やまぐちスマートスクール構想の推進や、質の高い教育を提供するための県立高校の再編整備など、様々な教育改革を推し進めてこられました。 繁吉教育長には、これまで以上に強力なリーダーシップを発揮され、複雑化・多様化する社会状況や学校が抱える課題をしっかりと受け止め、未来を見据えた本県教育の発展に確かな道筋をつけていただくことを期待しています。 そこでお尋ねします。二期目を迎え、これまでの豊富な経験と様々な実績を生かしながら、本県教育の推進に今後どのように取り組まれるのか、教育長の御所見をお伺いします。 最後に、警察行政についてお尋ねします。 昨今の治安情勢において、新たに目を引くものの一つがSNS型投資・ロマンス詐欺であります。県内でも急増傾向にあり、男女を問わず幅広い年齢の方々が被害に遭われるなど、多くの県民に驚きと不安を与えています。 昨年一年間の県内の被害額は約四億円にも上りましたが、今年に入ってからも被害は増加を続け、本年五月までで既に三億円に迫るなど、事態は深刻化しています。 県民が安全で安心して暮らせる地域社会の実現に向けては、県警察における早急な対応が期待されます。 こうした犯罪が助長される背景には、個人の安定的な資産形成が大きく注目されていることに加えて、SNS上での詐称に用いる動画、画像の編集技術の急速な向上、サイトやアプリを通じたコミュニケーションの爆発的な普及など、過去にはない社会環境の変化が挙げられます。 また、SNSを介して犯罪実行者を募集する闇バイトなどによって集められた匿名・流動型犯罪グループが関与していることも、対応が複雑化する要因の一つと考えられます。 この犯罪グループをめぐっては、SNSを通じて離合集散を繰り返し、匿名性も非常に高いという特徴から、いつどこで被害に遭うか分からない、見えない恐怖として我々の暮らしを脅かしています。 本年五月、我が自民党会派も、こうした事態を深刻に受け止め、プラットフォーム事業者に対する広告の事前審査の厳格化など、SNS型詐欺への対応の強化を政府に要望したところ、早速、先週の犯罪対策閣僚会議において総合的な対策が示されることとなりました。 県警察におかれては、こうした動きとも軌を一にし、関係機関との連携をさらに深めながら、犯罪の撲滅に向けて警察力を一層強化していくことが今求められているのです。 そこでお尋ねします。急増するSNS型投資・ロマンス詐欺が県民の安心・安全を脅かす中、悪質な詐欺被害を食い止め、より一層住みやすい山口県の実現に向けて、今後どのように取り組まれるのか、警察本部長の御所見をお伺いいたしまして、自由民主党を代表しての質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)塩満議員の代表質問にお答えします。 まず、持続的な経済成長に向けた産業戦略の推進についてのお尋ねです。 県経済の持続的な成長を実現するためには、地域の活力源である強い産業力をつくることが極めて重要であり、私はこうした考えの下、本県の有する高度技術や優れた産業集積を生かした産業戦略を進めてまいりました。 これまでの取組により、昨年の企業誘致での設備投資額が過去最高となるなど、着実に成果が上がっている一方、成長産業をめぐる動きや脱炭素化等の社会変革への対応など、県内産業を取り巻く環境は大きく急速に変化をしてきています。 こうした状況を踏まえ、本県産業のさらなる成長・発展のため、本年三月に、やまぐち産業イノベーション戦略を改定し、新たに、半導体・蓄電池関連産業の集積や海外ビジネスの加速化のほか、脱炭素化等の社会変革などにも的確に対応できるよう、取組内容の強化を図ったところです。 まず、半導体・蓄電池分野について、本県には部素材の世界シェアの高い企業が立地し、製造装置等を扱う企業も多く集積するなど高いポテンシャルがあり、世界的に市場拡大が見込まれる今こそ、競争力を高める絶好の機会です。 昨年、産学公で設置した協議会は、これらの企業も含め、会員数が百十一者となり、また、本年二月には、台湾と本県の産業支援機関相互で半導体分野の覚書が締結されるなど、推進体制が整ってきました。 今後は、台湾の関係団体・企業との商談会の開催等により、本県企業との産業交流を拡大させていくほか、研究開発・事業化の促進に向けて新たに創設した最大一億円の補助制度の活用などにより、半導体・蓄電池関連産業のさらなる集積を進めてまいります。 また、海外展開の推進については、昨年度、県議会と緊密に連携し、台湾台南市との分野別覚書の締結や、シンガポール等の山口県人会への海外展開応援団の委嘱等、私自ら現地に赴き、ネットワークの構築・強化等を進めてきました。 こうした取組の結果、本年二月には、やまぐち和牛燦の台湾初輸出が実現し、また、九月には、本年二度目の韓国とのチャーター便が計画されるなどの成果が出てきています。 引き続き、培ったネットワークを最大限に生かし、台湾やベトナムへの経済交流訪問団の派遣、国際展示会への出展等を通じ、成長するASEANや東アジアをターゲットとした戦略的な取組を推進し、旺盛な海外需要をしっかりと取り込んでまいります。 さらに、産業分野の脱炭素化については、水素社会推進法に基づく国の大規模な支援策を本県に確実に取り込めるよう、先進的なアンモニアサプライチェーンの構築に取り組んでいるコンビナートでの供給拠点整備等への支援を、国へ強く求めたところです。 また、県独自の大規模な補助制度を活用し、企業間連携による新技術の事業化を支援するとともに、中小企業に向けた脱炭素モデル事例の創出等にも取り組んでまいります。 私は、成長分野の取り込みや社会変革などへしっかりと対応しながら、本県の持続的な経済成長につながるよう、産業戦略の推進に全力で取り組んでまいります。 次に、観光振興についてのお尋ねにお答えします。 国内外からの観光需要が急速に拡大する中、観光産業の発展による地域経済の活性化を図っていくためには、本県が多くの方々に選ばれる観光目的地となるよう、県を挙げて取り組んでいかなければなりません。 こうした中、お示しのとおり、本年一月のニューヨークタイムズの記事掲載を皮切りに、来年の大阪・関西万博の開催、さらには再来年秋のデスティネーションキャンペーンの開催決定など、本県への誘客拡大や県内周遊の促進に向け、これまでにない大きなチャンスが訪れています。 私は、この三年にわたる好機を一体的に捉え、着実にステップアップしながら本県の観光力を飛躍的に高めていきたいと考えており、豊かな自然や文化、多彩な食など、本県の強みを最大限活用し、戦略的なプロモーションや受入れ体制の強化に取り組むこととしています。 まず、戦略的なプロモーションについては、観光キャッチフレーズ「おいでませ ふくの国、山口」の下、新たな旅行商品の造成や、観光事業者と連携した情報発信会の開催等に取り組み、今後の本県誘客の基盤となる、幸福感あふれる山口の旅のブランドを確立していきます。 また、お示しの三大都市圏に集中する外国人観光客の本県への誘客に向けても、首都圏や関西圏の主要交通拠点等において集中的な情報発信を行うほか、海外メディアを招いた視察ツアーを実施するなど、大阪・関西万博も見据え、本県の認知度を大きく高めていくこととしています。 次に、受入れ体制の強化については、県内外の交通拠点と角島大橋などの主要観光地を結ぶ観光周遊バスを実証運行しているところであり、今後、乗客のニーズを的確に捉え、二次交通の充実に向けた取組へ効果的につなげていきます。 また、本県観光地の魅力を一層高めていくため、やまぐちDMOや市町等と連携し、県内各地に新たなコンテンツを創出していくこととしており、山口ならではのアウトドアツーリズムの取組や文化観光の推進、地域一体で取り組むグルメメニューの開発等を進めていきます。 さらに、おもてなし力の向上に向け、玄関口となる新山口駅に観光コンシェルジュを配置するほか、ボランティアガイド等を対象とした専門研修会を開催するなど、観光の満足度を高め、リピーターの獲得や新たな誘客を図ることとしています。 こうした幅広い施策を相乗的に展開しながら、来るべきデスティネーションキャンペーンに向けた準備を加速していくこととしており、全県を挙げた推進体制により、さらなる取組の強化を図り、観光消費額の拡大や観光産業の持続的な発展につなげていきます。 私は、今年、来年、そして再来年にわたる、この絶好の機会を逃すことなく、今後とも、市町や関係団体等と緊密に連携しながら、国内外の観光客から選ばれる新たな観光県やまぐちの創造に向け、本県の観光振興に全力で取り組んでまいります。 次に、幹線道路網の整備についてのお尋ねにお答えします。 私は、お示しのように、本県の産業力の強化や交流の拡大に資するとともに、能登半島地震など近年頻発する大規模災害時にも機能する、強靱で信頼性の高い道路ネットワークの構築が必要不可欠と考えています。 このため、やまぐち未来開拓ロードプランに基づき、重点的・計画的に幹線道路網の整備を進めてきており、国に対しても、あらゆる機会を通じて、その整備促進を求めてきたところです。 先般の政府要望の際にも、柳居議長と共に、斉藤国土交通大臣に直接お会いし、改めて、山陰道の整備促進や下関北九州道路の早期事業化をはじめとした幹線道路網の整備促進と、そのために必要な予算の確保を強く訴えてまいりました。 こうした中、山陰道については、現在、国により五区間で事業が進められており、県としては、引き続き地元期成同盟会等と連携し、事業中区間の整備促進と、豊田─下関間をはじめ、未着手区間の事業化を国に強く求めるなど、全線の早期整備に向け、鋭意取り組んでまいります。 加えて、国や関係市町とも連携し、沿線地域の活性化の取組との整合を図りつつ、インターチェンジと各地域の拠点とのアクセス性の向上に資する道路の整備などを進めていく考えです。 また、下関北九州道路については、国や関係県市が連携し、都市計画や環境アセスメントの調査を進めており、先月、ルートの素案を取りまとめ、直ちに土地所有者などを対象に素案の概要等について説明会を行い、御意見を伺ったところです。 現在、県では、その意見も踏まえ、都市計画の案を作成しており、今後も広く住民の皆様を対象にした説明会を開催するなど、地域の御理解を頂きながら、都市計画や環境アセスメントの手続を着実に進めてまいります。 加えて、当該道路の必要性や重要性を広くアピールし、早期事業化に向けた機運をより一層醸成するため、来月二十二日に整備促進大会を開催し、その後、大会での地域の思いを携え、国への要望を行うこととしています。 私は、引き続き、議員連盟の皆様をはじめ、関係県市や経済界等と一体となって、下関北九州道路の早期実現に向け、積極的に取り組んでまいります。 さらに、岩国大竹道路や、令和七年度開通予定の国道二号富海拡幅、今年度事業化された台道・鋳銭司拡幅などについても、関係市町と緊密に連携し、整備促進を国へ強く働きかけるなど、幹線道路網の強化に向けた取組を精力的に進めていく考えです。 私は、安心で希望と活力に満ちた山口県の実現に向け、引き続き県議会の皆様方のお力添えを頂きながら、幹線道路網の整備に全力で取り組んでまいります。 次に、デジタルによる魅力ある県づくりについてのお尋ねにお答えします。 人口減少、とりわけ生産年齢人口が減少する中、これを克服し、本県のさらなる発展を図っていくためには、デジタルの可能性を最大限引き出して、様々な社会課題の解決を図り、若者や女性に選ばれる、便利で豊かな、魅力ある地域をつくっていくことが重要です。 このため、私は、県政の各分野におけるデジタル活用の取組をさらに強化・加速化するため、デジタル実装推進基金を創設し、市町や企業、関係団体等と連携を図りながら、県民の生活実感の向上等につながるデジタル実装の取組を集中的に進めています。 具体的には、この基金により、子育て支援の充実を図るための病児保育の予約システムの導入や、人の流れや消費動向のデータを活用した魅力的でにぎわいのある商店街づくりの推進等、子育て世代や若者等のニーズに応える取組などが進んでいます。 さらに、生成AIが、子供の学びをサポートするアプリの導入や、登下校の安全確保につながるデジタルマップの作成、薬局のない地域で必要な医薬品を受け取ることができるオンライン服薬相談システムの導入など、デジタルのメリットを実感できる取組を今後さらに増やしていきます。 こうした取組に加え、市町や企業等が効果的かつ実践的にデジタル実装の取組を進められるよう、生成AIの活用等による「Y─BASE」のコンサル機能のさらなる充実や全国の優良事例を手がける企業とのマッチングなど、県内各分野の実装事例の創出拡大を図る取組についても強化していきます。 また、昨年実施した大学生や若者からの意見聴取で、移動の不便さの解消を求める声が多く寄せられたことや、運転手不足などにより、県内各地域で交通手段の確保が喫緊の課題となっていることを踏まえ、お示しの自動運転の社会実装に向けた取組も進めていきます。 まず、今年度から、県が主導し、周南市において、市や地元バス事業者等と連携し、自動運転バスの実証に取り組むこととし、ここで運用面での様々な課題の把握とともに、「Y─BASE」の機能を生かし、運行データの分析なども行います。 そして、この実証で得られた成果を生かして、中山間地域など、県内での横展開を図り、自動運転の取組を、利便性が高く、暮らしやすい地域づくりへとつなげていきます。 本県は、全国より早く少子高齢化が進むなど、様々な社会課題を抱えており、デジタル実装による課題の解決を、地域の持続可能性を高めることのみならず、これを地域の発展へのチャンスとして、しっかりと生かしていかなければなりません。 私は、そうした考えの下、今後も、先進的なデジタル技術の導入など、全国に先駆けた挑戦を重ねるとともに、各分野の取組を実装のステージへと着実に引き上げ、これにより、県民の皆さんが豊かさと幸せを実感し、若者や女性が住み続けたいと思う、魅力ある山口県が実現できるよう、全力で取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)教育行政についてのお尋ねにお答えします。 私は、教育長に就任以来、本県の教育目標である、未来を拓くたくましい「やまぐちっ子」の育成に向け、ICT環境を活用して子供たちの可能性を広げる、やまぐちスマートスクール構想の推進や、質の高い高校教育を提供するための学校・学科の再編整備など、教育改革を自ら先頭に立って進めてきました。 一方で、人口減少、少子高齢化のさらなる加速や、グローバル化の進展、生成AIの出現に象徴される急速な技術革新など、社会は今なお激しく変化しており、将来の予測が一層困難な時代となっています。 県教委では、このような時代にあっても、高い志を持ち、多様な人々と協働しながら、主体的に未来を切り開いていくことのできる子供たちの育成を目指し、昨年度、本県教育の新たな指針となる山口県教育振興基本計画を策定したところです。 こうした中、二期目を迎え、私は、これまでの成果を踏まえて、本県教育の振興に確かな道筋をつけていくため、本県の強みである、コミュニティ・スクールの連携・協働体制とICT環境を生かしながら、現下の教育課題に真正面から向き合い、緊張感とスピード感を持って、計画に掲げた諸施策を積極的に展開してまいります。 そして、未来を見据えた教育改革をさらに前に進め、子供たちの学びの充実と、そのための教育環境の整備に強い覚悟で取り組みます。 特に、中学校卒業者数の継続的な減少が見込まれる中、何より、これから高校に入学する子供たちに質の高い教育を提供していくため、県立高校の再編整備は、避けては通れないものと考えており、特色ある学校づくりや学校施設等の充実とともに、着実に推進してまいります。 また、深刻化する教員不足については、本県にとっても喫緊の課題であり、子供たちの学びの充実のためにも適切に対応していかなければなりません。 お示しのように、現在、国において、質の高い教員確保に向けた議論が進められているところであり、私としては、国の動向等を踏まえながら、教職の魅力を向上させ、優れた教員の確保に取り組むとともに、教員が子供たちとしっかりと向き合えるよう、学校支援人材の配置の拡充等にも努めてまいります。 加えて、人口減少の克服は、本県の最重要課題であることから、高校生の主体的な進路選択による県内進学・県内就職の促進や地域連携教育のさらなる推進等を通じて、ふるさと山口の創生に寄与する人材の育成を進めていきます。 私は、これからの三年間、市町教委等との緊密な連携の下、引き続き、こうした取組の先頭に立って、本県教育の一層の推進に全力で取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)阿久津警察本部長。 〔警察本部長 阿久津正好君登壇〕 警察本部長(阿久津正好君)匿名・流動型犯罪グループによるSNS型投資・ロマンス詐欺などに対する取組に関する御質問にお答えいたします。 議員お示しのとおり、全国的にSNS型投資・ロマンス詐欺が急増しており、県内でも、昨日六月二十三日現在、五十六件、約四億五千万円の被害が発生しております。また、うそ電話詐欺についても、四十五件、約二億円の被害が発生しており、いずれもこの時点で既に昨年一年間の被害額を超えるなど、極めて深刻な情勢にあります。 これらの事案には、議員お示しのとおり匿名・流動型犯罪グループの関与がうかがわれます。この種グループは、うそ電話詐欺やSNS型投資・ロマンス詐欺にとどまらず、金を目当てに強盗などの凶悪犯罪もいとわず敢行いたします。当県でも、一昨年、岩国市内において、いわゆるルフィグループによる強盗事件が発生するなど、県民の生命・身体・財産に対する危険が目の前に迫っております。 県警察といたしましては、SNS型投資・ロマンス詐欺やうそ電話詐欺を含む匿名・流動型犯罪グループの犯罪に対し、全ての部門の総力を結集して、部門横断型の対策を推進するとともに、その壊滅に向け、高度な解析が可能な資機材を活用しつつ、他の都道府県警察とも連携し、あらゆる法令を駆使して、効果的・多角的な取締りを強力に推進しているところであります。 また、議員お示しのとおり、先週十八日、犯罪対策閣僚会議において、国民を詐欺から守るための総合対策が決定されました。同決定においては、金融機関と連携した検挙対策の推進が掲げられておりますが、二十日に開催されました、山口県金融防犯連合会総会におきまして、私から直接、検挙対策として、金融機関の幹部に対し、詐欺被害と思われる出金・送金をモニタリングした際の警察への迅速な情報共有を要請したところであります。 さらに、検挙のみならず、被害の未然防止に向けた取組も大変重要であります。 県警察では、被害実態の報道機関への提供を通じて、危機意識を醸成するとともに、知事部とも連携したユーチューブ動画の発信等、あらゆる広報媒体を通じて、県民の皆様に対し被害防止対策を周知しているところであります。 加えて、県警察では、刻一刻と手口が変化し、かつ、非常に危険なこの種犯罪の実態に鑑み、県民の皆さんに広く情報発信すべく、現在、市町に対し、防災行政無線の活用を働きかけております。このような情報発信により、県、市町、警察が一体となった広報啓発活動が推進されることとなり、この種犯罪の未然防止に一層資するものと考えております。 県警察といたしましては、匿名・流動型犯罪グループによるSNS型投資・ロマンス詐欺などに対し、県、市町や関係機関・団体と緊密に連携しつつ、検挙と防犯を両輪とした総合的な対策を強力に推進することにより、安全・安心な山口県を実現し、県民の期待と信頼に応えてまいります。