1 人口減少対策について 2 中小企業支援について 3 観光振興について 4 防災対策について 5 不登校対策について 6 少年・若年層に対する犯罪防止対策について
議長(柳居俊学君)前東直樹君。 〔前東直樹君登壇〕(拍手) 前東直樹君 皆さん、おはようございます。公明党の前東直樹でございます。それでは、公明党を代表いたしまして質問をいたします。どうぞよろしくお願いをいたします。 最初に、人口減少対策についてお伺いをいたします。 人口減少対策、少子化対策については、繰り返し取り上げられているとおり喫緊の課題でありまして、急激な人口減少に歯止めをかけ、少子化の流れを反転させるには、若者世代が将来に希望を持てる環境づくりこそ急務であります。 民間の有識者らでつくる人口戦略会議が、本年四月に全国の市区町村の四割超に当たる七百四十四自治体が人口減少によって行政運営が維持できなくなり、将来的に消滅する可能性があるとの報告書を発表しました。 これに対し村岡知事は、定例記者会見の中で、首都圏では少子化が進んでいるものの、地方からの転入者が多いため問題が顕在化していないことを指摘した上で、地方から人を供給できなくなった時点で気づいては遅い。国にはより強力な少子化対策や一極集中の是正策を取ってほしいと述べられたところです。 国立社会保障・人口問題研究所によると、我が国の総人口は二一○○年には約六千三百万人に半減し、高齢化率は四○%に達するとされます。 急激な人口減少が続けば、市場の縮小によって経済社会システムの維持が困難になり、行政機能にも影響を及ぼしかねません。 打開には、少子化対策の抜本強化が不可欠であり、結婚や出産・子育てを望む若い世代が経済的な事情などで諦めざるを得ない状況を早急に改めねばなりません。 国においても本年五月三十一日に、今後実行する子供・若者政策を一元的に示した、こどもまんなか実行計画二○二四を決定。六月五日には、改正子ども・子育て支援法などが成立をしました。 公明党といたしましても、二○二二年十一月に、子育て応援トータルプランを発表し、二十三年のこども大綱に反映するなど積極的にリードしてまいりました。 県におきましても、今年度予算において、少子化対策の抜本強化を掲げ、最重要課題として取り組んでいるところでありますが、改めて知事の思いをお伺いしたいと思います。 今回、やまぐち子ども・子育て応援プラン次期計画骨子においては、プレコンセプションケアが盛り込まれております。 プレコンセプションケアとは、将来の妊娠と出産に備え、若い世代に健康管理や人生設計を考えてもらうものであり、現代の情報化社会においては、情報そのものはあふれている一方で、必要な情報が正しく体系立てて入ることが難しいという状況にある中で、若い段階から将来の計画をしっかり考える機会を持てるようにすることは、非常に重要な取組であります。 ただ、こうした将来の妊娠と出産といった情報は、女性のことと思われがちでありまして、今年度予算にも掲げられました、共育て社会を実現させる取組の推進の観点からも、男性にも、また、子育てを取り巻く環境の変化や世代間ギャップを考えれば、広く祖父母世代も含めた情報発信・提供が必要であると考えます。併せて見解をお伺いいたします。 また、人口減少の社会減対策の視点からは、若者の県内就職・定着が重要であります。 このたびの人口戦略会議による消滅可能性都市の根拠も二○二○年から五○年の三十年で出産の中心世代となる二十代から三十代の若年女性の人口に着目して減少率を推計し、五○%以上の自治体を最終的には消滅する可能性が高いとしたものであります。 山口県人口ビジョンでは、本県においては、男女とも十代及び二十代前半にかけてが大幅な転出超過。これらは大学等への進学や就職に伴う転出が大きく影響しているとされており、魅力ある県内就職先の確保、紹介とともに、県内大学等との連携も求められます。 この点、県内の大学等が県内外から、魅力があり選ばれる進学先となることは、社会減の要因となるこの世代を常に一定数とどめておけるという意味で、社会的にも経済活動の面からも非常に大きな意義があります。 これまで県は、大学リーグやまぐちを組織し、大学等の高等教育機関や経済団体等と連携し、大学等の魅力向上や県内就職の促進等に着実に取り組んでこられました。その取組には、大いに敬意を表するものでありますが、報道では今春、本県大卒者等の県内就職は三割台にとどまっている状況です。 また、各大学等は、今、新学部の開設など生き残りをかけて魅力拡大に取り組んでいるところであり、私は、今後、各大学等の実情やニーズをきめ細かに把握し、一層緊密に連携して、県内就職・定着につなげていく必要があると考えています。 これは、県内にとどまらず、県外の学生やキャリアアップを目指し転職を志す若者等を幅広く県内へ誘引する取組の強化にもつながるものと考えます。 魅力ある県内就職先の確保・情報発信と併せ、地元企業や市町、支援機関としっかりとタッグを組み、奨学金の返還免除や移住就業、インターンシップ等就業体験等に係る助成など、県内外の若者が本県への就職・定着に踏み出すためのインセンティブとなる財政支援の充実が求められます。 そこでお尋ねをいたします。人口減少下において、県は、県内大学等や地元企業等と一層緊密に連携し、若者の県内就職・定着の促進に取り組むことが重要と考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、中小企業支援についてお伺いをいたします。 現在の物価高騰の流れにあって、政府としては、物価上昇を緩やかに抑えつつ、これを上回る賃金上昇を目指すことにより、家計の所得向上の流れが続く成長型経済を実現することを目標にしております。 連合が六月に発表した二○二四年春闘の中間回答集計(第六回)によれば、基本給を底上げするベースアップと定期昇給を合わせた賃上げ率(加重平均)は五・○八%と三十三年ぶりの高水準にあり、日本経済は長らく続いたデフレから完全脱却し、成長型経済に転換する好機を迎えていると言えます。 一方で、働く人一人当たりの賃金(名目賃金)から物価変動の影響を差し引いた昨年度の実質賃金は二年連続で減少し、賃金は物価上昇に追いついておらず、さらなる経済対策が求められるところであります。 特に、さきの中間集計では、従業員三百人未満の中小企業の平均賃上げ率は四・四五%と、全体の五・○八%を下回り、大企業との間で差が生じており、この要因として、中小企業では人件費などの価格転嫁が進んでいないことなどが指摘されております。 公明党といたしましても、昨年、政府に中小企業等の賃上げ応援トータルプランを提言し、二○二四年度予算・税制改正では、賃上げ促進税制が抜本的に拡充されるとともに、先日、閣議決定された、経済財政運営と改革の基本方針、骨太の方針に対しても、持続的な賃上げに向けた価格転嫁の推進や、省力化投資補助金の活用促進などの生産性向上に取り組むよう要請。適切な価格転嫁を新たな商慣習としてサプライチェーン、供給網全体で定着をさせるため、買いたたきや価格を据え置くことを禁止するとともに、下請事業者の名称変更も含め、下請法改正の検討も含めて、雇用の七割を占める中小企業の持続的な賃上げを後押しする環境整備を提言として強く求めたところであります。 この点、国としては、必要な価格転嫁ができるよう後押しとして、パートナーシップ構築宣言、事業者が、サプライチェーン全体の付加価値の向上、大企業と中小企業の共存共栄を目指し、発注者の立場から、代表権のある者の名前で構築宣言を行うことを推進しております。 発注者トップによる意思表明は、受注者が安心して価格交渉ができる環境が形成される点で重要でありますが、これが大本の発注者から元請事業者との関係にとどまってしまうと、せっかくの効果が限定的にとどまってしまうことから、発注者と元請の受注者にとどまらず、受注者もまたさらに下請に発注する立場として、受注者が安心して価格交渉ができるようになるよう、さらに二次、三次へと裾野を広げていけることが、より全体の適切な賃上げの実現のために必要であり、その普及啓発には県の取組も必要であります。 また、賃上げには、ゼロゼロ融資の返済本格化や物価高の影響下で厳しい経営環境に置かれている中小企業に対して経営の安定・強化に向けたきめ細やかな支援も欠かすことができません。 そこでお尋ねをいたします。中小企業において一層の賃上げが図られるよう、賃上げの支援や経営の安定・強化を図るとともに、国と連携して中小企業の適正な価格転嫁対策を進めることが必要と考えますが、県は今後どのように取り組まれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、観光振興についてお伺いをいたします。 今回、米紙ニューヨークタイムズの二○二四年に行くべき五十二か所の三番目に山口市が選ばれました。 記事では、非の打ちどころがないと絶賛された国宝瑠璃光寺五重塔ですが、令和の大改修により約七十年ぶりに檜皮葺屋根の全面ふき替え工事を行っており、塔の全体がシートで覆われ、いつもの美しい姿を見ることはできませんが、スマホアプリを活用したAR動画などの空間アートプログラムの開催のほか、五重塔の仮囲いには、山口県出身のイラストレーターによる大内氏の時代絵巻が描かれるなど、工夫をされながら取り組まれております。 この点、山口大学経済学部の加藤真也准教授(観光経済学)の研究室の試算によりますと、二○二四年の山口市の観光客は、同紙の影響で二○二三年より約九十一万五千人増の約四百八十四万七千人、訪日外国人は二倍以上に増えると予測。ニューヨークタイムズ掲載による山口県全体への経済効果は八十九億九千二百万円と算出されております。 さらに来年は、大阪・関西万博、また二○二六年には、JR西日本などが展開する大型観光企画、デスティネーションキャンペーン、DCの開催地が山口県に決まったことも含めまして、県としてもこの大きな流れをどうつかんでいくのか。周遊バスをはじめとした県内周遊促進に、DCを見据えて力を入れる必要があると考えますが、山口市から県内全域にどう波及させていこうとしているのか、お伺いをいたします。 あわせて、公明党といたしましては、さきの骨太の方針に関する提言として、訪日客の地方誘客による観光立国推進とともに、地域公共交通の確保、再構築の加速化を求めたところであります。 このたびの山陰線、美祢線の災害不通の際には、私自身も党所属の国会議員と共にいち早く現場を訪問し、住民の皆様のお話もお伺いし、復旧・復興への思いを強くしたところであります。 一日も早い完全復旧を願うとともに、この不通の影響により、こうした地域の観光振興が県全体から取り残されることのないよう、重点的な取組が必要であると考えます。あわせて知事の御所見をお伺いいたします。 県内の広域アクセスを確保する観点からは、下関北九州道路のルートの素案がまとまり、地元の住民説明会が行われました。今後さらに都市計画案を作成し、都市計画審議会に諮るなどして都市計画が決定されるなど、事業化に向けて動き出したところであります。 また、山陰道についても、県内の長門市から下関市へと事業が進められている三隅・長門道路、俵山・豊田道路に引き続いて全線が整備されるためには、国土強靱化による二○二五年までの五か年加速化対策を強力に進めるとともに、中長期的な取組の必要性から、対策の終了後も継続的な対応が必要であり、継続した予算確保の要望が重要となります。引き続きよろしくお願いをいたします。 続いて、防災対策についてお伺いをいたします。 本年元日に発生をいたしました令和六年能登半島地震におきましては、現時点の消防庁の発表によれば、関連死を含めて亡くなられた方が二百六十人、住宅被害が全壊・半壊合わせて約三万棟に上るなど、甚大な被害が発生をいたしました。改めて亡くなられた方への哀悼の意を表するとともに、御遺族と被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げます。 このたびの地震は、津波、火災、土砂災害など、過去の大震災での事象が狭い地域で一度に発生した特異な地震災害であると分析する専門家もあり、今までの災害を乗り越え、そのたびごとに経験と反省を重ね、新たな取組が行われるなど、防災対策も復旧・復興の在り方も工夫が重ねられてきたにもかかわらず、火災の延焼対策や公費解体・応急修理に関する課題、上下水道への甚大な被害と復旧の難しさ、半島ならではの地理的要因や道路の寸断による復旧遅れに伴い、災害ボランティアが当初自粛を呼びかけられることなどが影響して、ボランティア不足が発生するなど、現場の市町の復旧・復興の機能がうまくいかなくなるような課題等が浮き彫りとなったところであります。 また、防災においては受援力、被災地側が支援を受け入れ、上手に寄り添うことができるように、助けを求めたり助けを受けたりする力が重要となりますが、これを支えるためにも、援助を受ける側だけでなく、支援する取組、枠組みが、大規模災害であればあるほど必要であると痛感しており、全国的な理解と復興支援が重要と考えます。 改めて、令和六年能登半島地震を踏まえた、さらなる防災への対策が必要であり、県として取組を強化すべきであると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 私は、東日本大震災から十三年となる本年三月、東京電力福島第一原子力発電所、そして、震災・原子力災害伝承館とともに、いまだ一部が帰宅困難地域となっている浪江町、双葉町、大熊町等を訪れる機会を頂きました。 福島第一原子力発電所では、発電所の構内から原子炉建屋を視察。使用済燃料プールからの燃料の取り出しが残る一・二号機について説明を受けるとともに、放射性物質を多く含む水を浄化処理し、放射性物質をほぼ取り除いた、いわゆるALPS処理水の希釈・放出設備も視察をいたしました。 また、避難指示の解除とともに、復旧・復興が進むエリアと道一本隔てた先には、今なお、帰還困難区域として柵に囲まれ、立ち入ることのできない区域が存在をすること、中には復興の推進のために、各地で除染のため取り除いた土などを一時的に保管する中間貯蔵施設として土地を提供された地域も訪問し、除染土自体は環境省が放射能濃度を踏まえて分別することにより、道路用資材などとして各地で再利用することが可能となっているものの、風評等も含め理解が進まず、復興が今なお道半ばとなっている現実も伺いました。 公明党は、東日本大震災の発災以来、大衆とともにの立党精神のままに、被災者一人一人に寄り添ってまいりました。 福島第一原発事故に直面した福島の復興は緒に就いたばかり、福島の復興なくして日本の再生はありません。 福島の復興・再生についても、現地の意見や要望を酌み取り、与党全体として復興加速化のための第十二次提言を政府に提出するなど、福島の復興・再生に積極的に取り組んでまいりました。 福島の復興・再生についても、全国的な理解と支援が必要になります。この点についても知事のリーダーシップに期待をいたします。 次に、不登校対策についてお伺いをいたします。 本県の令和四年度の不登校児童生徒数は、小学校九百七十三人、中学校二千六十人、高等学校三百四十五人と、前年度よりさらに四百二十七人増加し、過去最多となりました。 全国の小中学生の不登校児童生徒数も十年連続で増加しており、小中学生の不登校児童生徒数は約二十九万九千人、高校を含めると約三十五万九千人で、全体で約六万三千人増加している状況です。 このような状況を改善するため、文部科学省は平成二十八年に、教育機会確保法を制定。不登校児童生徒に対する教育機会の確保、夜間等において授業を行う学校における就業機会の提供、その他の義務教育の段階における普通教育に相当する教育機会の確保等を総合的に推進するとともに、不登校児童生徒の休養の必要性を踏まえた支援に努めるよう求めました。 これを受けて、生徒指導提要も改訂され、不登校児童生徒の支援の目標は、将来の社会的自立であるとし、登校という結果のみを目標とするのではないと示されました。 そして、もう一つが、昨年三月に出された不登校対策COCOLOプランであります。 このプランでは、不登校により学びにアクセスできない子供たちをゼロにすることを目指して、大きく三つの取組を示しました。 その中の一つが、不登校の児童生徒全ての学びの場を確保し、学びたいと思った時に学べる環境を整えることです。 具体的には、学校にスペシャルサポートルームとなる校内教育支援センターの設置を行うとともに、不登校児童生徒を受け入れる特例校の設置など、新たな学びの場の整備を求めました。 あわせて、学校における支援の見直し、不登校の未然防止に向けたチーム学校としての組織的な取組とともに、授業改善や校則の見直しなどが必要であると示すとともに、取組の実効性を高めるために、一人一人の不登校となった要因や学びの状況などを把握・分析した上で対応することが必要であるとしました。 スペシャルサポートルーム、校内教育支援センターは、地域により名称が変わりますが、山口県ではステップアップルームとして、自分のクラスに入りづらい児童生徒のための学校内の居場所としての役割を果たす一方、不登校特例校は、不登校児童生徒の実態に配慮した特別の教育課程を編成して教育を実施する必要があると認められる場合、特定の学校において教育課程の基準によらずに特別の教育課程を編成することができる学校で、今の子供たちにとって、学びがつながる場を提供できるものであります。 不登校特例校は、より子供たちの目線に立ったふさわしいものとするために、学びの多様化学校と名称変更され、国の教育振興基本計画において、各都道府県・政令指定都市に少なくとも五年以内に一校を設置、将来的には三百校を目指すこととされました。 私たち公明党県議団も、昨年、不登校特例校、学びの多様化学校を二校視察いたしました。どちらも一人一人を大切にする、新たな学びの場であると実感をいたしました。 県内では現在、下関市において設置が検討されていると伺っておりますが、県内は広く、県央、県東部にも設置が広がっていくことを期待しているところであります。 そこで、教育長にお伺いをいたします。学びの多様化学校を含め、本県での全ての児童生徒に学びの場を確保していくため、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 最後に、少年・若年層に対する犯罪防止対策についてお伺いをいたします。 少年犯罪の状況については、いわゆる刑法犯少年の検挙・補導人員は、平成十六年以降、減少傾向で推移をしていたところ、令和四年から増加傾向に転じ、令和五年十二月末の時点では、自動車盗、オートバイ盗、自転車盗等の街頭犯罪が増加をしております。 罪名別人口比を見ても、強盗、傷害・暴行及び窃盗は、少年の人口比が高く、次いで若年者の人口比の順となっており、近年、詐欺の少年・若年者の人口比が上昇しており、特に二十五歳未満の若年者の人口比が高い状況にあります。 さらに、法務省の令和五年版犯罪白書によると、令和四年に検挙された少年の刑法犯が、前年比二・五%増の二万九百十二人で十九年ぶりに増加に転じたとし、新型コロナウイルス感染拡大で減少した窃盗が、行動制限の緩和によって増加。SNSで高額報酬をうたう闇バイトで集められたケースも多いと見られると分析をしております。 犯行時の年齢別では、十六歳から十九歳は、前年から減りましたが、十五歳以下が増え、罪名別では窃盗が一万一千百五十九人で最多、犯罪グループが闇バイトでメンバーを集めているとされる特殊詐欺、山口県警では詐欺のイメージを分かりやすく伝えるため、うそ電話詐欺と呼んでおりますが、こちらも同九・二%増の四百七十三人で、特殊詐欺事件で検挙された全年齢の二割を占めたと述べられております。 また、今年に入っただけでも、うそ電話詐欺被害額急増、二月末までに昨年一年間の七割。SNS詐欺被害が急増、昨年特殊詐欺上回る。との報道のほか、若者に広がる大麻、県内の検挙数増加。中高生の薬物汚染拡大、スマホで売人との接触容易に。といった少年が窃盗・詐欺の加害者となるだけではなく、大麻、覚醒剤等、我が身を傷つける薬物犯罪に手を染めるなど、非常にゆゆしき事態となっております。 携帯電話・スマートフォンの普及は、生活の利便性を向上させる一方で、闇バイトや薬物入手を容易にするなど、犯罪関与のハードルを下げ、加害者となる危険性が高まるとともに、今までは想定していなかった形で被害に遭う危険も増すなど、少年・若者世代を取り巻く環境が複雑化しているところであります。 そこで、警察本部長にお伺いをいたします。本県における犯罪被害の未然防止、特に少年・若者世代が加害者にも被害者にもならないために、県警としてどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 以上、公明党を代表としての質問とさせていただきます。 御清聴大変にありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)前東議員の代表質問にお答えします。 まず、人口減少対策についてのお尋ねのうち、少子化対策に係る二点についてお答えします。 まず、少子化対策に係る私の思いですが、昨年の本県の合計特殊出生率は一・四○と、過去最高の全国十位になったものの、出生数は過去最少の七千百八十九人と、少子化に歯止めがかかっておらず、大変憂慮すべき状況にあります。 少子化の進行は、社会経済の根幹を揺るがしかねない喫緊かつ最大の課題であり、私はこれまで以上に強い危機感を持って、少子化トレンドの反転に向け、果敢に挑戦をしていく必要があると考えています。 このため、今年度予算において、少子化対策の抜本強化を掲げ、当事者である若者や子育て世代の声などを踏まえ、本県独自のこれまでにない思い切った施策を構築したところです。 具体的には、三歳未満児の保育料について、県が実施するものとしては全国トップ水準の制度として、所得制限を設けずに、第二子以降の保育料の無償化を実現することにより、子育てに係る経済的負担の軽減等を図り、二人以上の子供を育てやすい環境の整備を強力に進めてまいります。 また、三歳未満児クラスについて、国の基準を上回る保育士の配置に対する補助制度を新設することにより、さらに手厚い人員配置を促進し、より安心して子供を預けられる体制整備を図ってまいります。 さらに、不妊治療については、生殖補助医療に係る自己負担分と先進医療に係る経費を助成する支援制度を創設し、経済的負担の軽減に取り組んでいるところです。 私は、少子化という困難な課題に真正面から立ち向かい、何としてもこれに歯止めをかけるという強い決意で、若者や子育て世代に寄り添った少子化対策に全力で取り組んでまいります。 次に、プレコンセプションケアの推進についてです。 若い男女が将来のライフプランを考えて、日々の生活や健康に向き合うプレコンセプションケアは、将来の健やかな妊娠・出産につながる重要な取組であり、幅広い世代に対する正しい知識の普及啓発が必要であると考えています。 このため、次期やまぐち子ども・子育て応援プランの骨子において、プレコンセプションケアの推進を新たに掲げたところであり、具体的な取組について、今後検討してまいります。 私は、少子化対策・子育て支援を一層総合的に推進するため、国において新たに策定された、こども大綱を勘案しながら、次期プランを改定し、実効性のある施策の構築に積極的に取り組んでまいります。 次に、若者の県内就職・定着についてのお尋ねにお答えします。 人口減少が進む中、本県産業が持続的に成長・発展していくためには、産業を支える人材の確保が必要であり、とりわけ、若者の県内企業への就職・定着を促進することが極めて重要です。 県では、これまで就職フェアの開催や大学へのキャリアカウンセラーの派遣など、県内就職・定着に向けた様々な取組を進めていますが、お示しのとおり、今春の本県大卒者等の県内就職は三割台にとどまっています。 今後も少子化による学生等の減少に伴い、様々な分野で人手不足の状況が常態化する中で、私は企業や学生からのニーズを踏まえ、若者の県内就職・定着の促進に向けて、企業の魅力向上や企業の魅力情報の発信の取組を強化してまいります。 まず、企業の魅力向上に向けては、デジタル技術の活用により可能となる新しい働き方の導入支援に加え、新たに、企業と若者が魅力向上策を一緒に考えるセミナーを開催するとともに、中小企業診断士など専門家による伴走支援を実施します。 また、若者の希望にかなう就業環境が実現できるよう、育休取得を推奨する企業の登録制度や、男性育休の取得実績に応じた奨励金、奨学金返還支援制度を導入した企業に対する支援制度の創設をするなど、企業と連携を図りながら取組を進めてまいります。 さらに、移住就業などに対する支援金について、今年度、対象を東京二十三区から三大都市圏の八都府県へ拡大するほか、転職フェアへの出展支援を拡充するなど、より多くの若者の県内還流を促進します。 次に、企業の魅力情報の発信に向けては、これまでの就職情報アプリやVR企業見学サイト等による情報発信に加え、学生自身がレポーターとなり、企業内の様子や働く現場などをオンラインライブで配信する企業見学ツアーを県内四地域で実施します。 また、多くの若者の興味を引きつけることができるよう、新たに若者主体の企画・運営による企業紹介イベントを実施するほか、学生が企業と協力して、学生目線での企業PR動画を作成し、SNSや就職イベント等で発信します。 さらに、より早い段階から若者に県内企業を知ってもらうために、今年度から大学低学年向けの企業見学ツアーの実施や、メタバース空間上での企業情報ブースの設置など、企業の魅力情報の発信のための取組を拡大します。 私は、若者の転出超過に歯止めがかかるよう、大学や学生、企業等と緊密に連携を図りながら、若者の県内就職・定着に全力で取り組んでまいります。 次に、中小企業支援についてのお尋ねにお答えします。 エネルギー価格や原材料価格の高騰等が続く中、物価高に負けない賃上げを実現し、本県経済の回復・成長を着実なものとするためには、雇用の多くを占める県内中小企業が、現在の厳しい環境においても、経営の安定・強化と円滑な価格転嫁により、持続的に発展することが重要と考えています。 まず、経営の安定・強化に向けては、中小企業の資金需要に対応するため、借換え資金等の制度融資において、十分な融資枠を確保することにより、資金繰り支援に万全を期すとともに、ゼロゼロ融資の返済計画見直し時に生じる追加の信用保証料を補助するなど、事業者負担を軽減しています。 また、支援機関や金融機関が一丸となって支援するためのプラットフォームを新たに形成し、経営と金融の一体型支援を通じて、複雑化・専門化する中小企業の経営課題にきめ細かく対応してまいります。 加えて、生産性向上による経営基盤強化に向け、デジタル技術を活用した業務改革など、DXにも積極的に取り組むとともに、やまぐち産業振興財団に設置している生産性向上・人材創造拠点を中心に、経営革新による付加価値向上やリスキリングによる人材育成等の一体的な支援を行っています。 次に、円滑な価格転嫁に向けては、サプライチェーン全体での価格交渉と価格転嫁の促進に向けた国の取組の周知や、下請取引の適正化に向けたパートナーシップ構築宣言の普及に努めています。 さらに、元請企業の価格交渉拒否など、取引に係る相談等については、産業振興財団が国の委託を受け設置している、下請かけこみ寺において対応するとともに、取引条件の改善に向けた講習会の開催等に取り組んでいます。 これらの取組に加え、厳しい経営環境下における賃上げを直接支援するため、新たに初任給や若年層の賃上げを実施する中小企業等に対し、最大百万円の奨励金を支給することとしています。 また、県内企業の持続的な賃上げの実現に向け、本年三月、行政、労働団体、使用者団体で構成する、やまぐち政労使会議において、情報を共有し、相互に連携・協力してオール山口で推進することを共同宣言したところです。 私は、今後とも、本県経済の重要な担い手である中小企業の賃上げを進めるため、経営の安定・強化や価格転嫁を実現できるよう、関係支援機関とも緊密に連携しながら、必要な支援に全力で取り組んでまいります。 次に、観光振興についてのお尋ねにお答えします。 本県観光の飛躍的な発展を実現するためには、デスティネーションキャンペーンに向けた、今後三年間にわたる誘客拡大への大きな流れをしっかりと捉えた上で、その効果を県内全域に波及させていくことが重要です。 私は、この絶好の機会を逃すことなく、本県全体の観光力の向上へと確実につなげるため、観光二次交通の充実と効果的な誘客プロモーションの展開による県内周遊の促進に積極的に取り組むこととしています。 まず、観光二次交通の充実については、ニューヨークタイムズの記事を契機に、多くの観光客が見込まれる山口市を起点として、角島大橋や元乃隅神社、秋芳洞などを巡る観光周遊バス「ふくの旅、山口号」を運行することにより、観光地を効率よく周遊できる環境づくりを進めています。 また、旅行者の多様なニーズに応じた県内周遊を促進するため、交通事業者が提供するMaaSサービスを空港からの連絡バスや観光施設等に接続できるよう支援するとともに、レンタカー利用者向けの周遊モデルコースを紹介するドライブマップを作成し、利便性の向上を図っていきます。 次に、効果的な誘客プロモーションの展開については、市町との連携の下、謎解きをテーマに県内全市町を周遊する観光イベントや、各地域の古地図を使って街道や町並みを散策する歴史ツアーの開催など、観光客の周遊意欲を高めていきます。 さらに、デスティネーションキャンペーンの開催に向け、市町や関係団体等から成る推進体制を構築し、全県を挙げて誘客の起爆剤となる観光素材の開発、磨き上げや、観光客の満足度を高めるおもてなし力の向上に取り組むことにより、県内全域で魅力ある観光地域づくりを進めてまいります。 こうした中で、山陰線と美祢線の不通による観光への影響を最小限にとどめるため、新たに周遊バスで沿線の観光地を巡る宿泊旅行商品の造成を進め、SNS等を活用し、効果的に情報を発信することとしています。 また、秋芳洞における探検プログラム開発の支援や、株式会社モンベルのイベントとして人気が高いSEA TO SUMMITの誘致など、この地域ならではのアウトドアツーリズムを強力に推進し、沿線地域の観光振興につなげていきます。 私は、引き続き、市町や関係団体等と緊密に連携しながら、本県への誘客と県内周遊の促進を図り、観光振興の効果が県内全域に波及するよう、本県観光力の向上に全力で取り組んでまいります。 次に、防災対策についてのお尋ねにお答えします。 このたびの能登半島地震においては、半島の地理的要因もあり、交通網の寸断による支援活動の制限、断水や避難生活の長期化など、様々な課題が国の検証チームにおいても指摘されています。 このような大規模災害は、いつどこでも起こり得るものであることから、私は、本県においても、防災・減災対策のさらなる強化に取り組むことが必要であると考えています。 このため、能登半島地震における課題について、本県としても検証を行い、防災・減災対策の見直しや、一層の充実を図るため、今年度、有識者からなる地震・津波防災対策検討委員会を設置しました。 四月に開催した第一回会議では、石川県内に派遣した県や市町の職員からの報告を基に、体制、物流、避難等の分野ごとに検証・検討が必要な項目を提示し、それぞれについて委員の皆様から貴重な御意見、御提言を頂いたところです。 今後、委員会や国での議論を踏まえ、市町と一体となって、防災・減災対策の検証を行い、その結果を今年度中に取りまとめることとしており、対策の一層の強化に向けて、可能な取組から速やかに実施していくこととしています。 また、大規模災害発生時には、お示しのとおり、被災自治体を広域的に支える枠組みが必要であることから、各種応援協定を締結し、被災地のニーズに応じた支援を迅速に行ってきたところです。 具体的には、県域を越える枠組みとして、全国知事会の広域応援協定等に基づき、被災自治体に職員派遣を行い、能登半島地震においても、三百人を超える職員が現地で災害対応業務を支援しました。 加えて、県内においても、県及び市町相互間の応援協定により、昨年の梅雨前線豪雨の際には、被災した美祢市へ県及び九市から職員を派遣し、支援ニーズに応じて、被災家屋の調査やインフラの復旧支援など、幅広い分野で支援を行ったところです。 県としては、今後も、こうした協定等の枠組みを活用しながら、他県や県内市町と緊密に連携を図り、被災自治体に寄り添った支援を迅速かつ的確に行ってまいります。 私は、県民の暮らしの安心・安全はあらゆることの基本であるとの認識の下、能登半島地震の課題等をしっかりと踏まえ、さらなる防災力の強化に向けて、防災・減災対策の推進に全力で取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)不登校対策についてのお尋ねにお答えします。 子供たちを取り巻く環境が大きく変化する中、近年増加傾向にある不登校児童生徒への対応が喫緊の課題となっており、県教委としては、未然防止や早期発見・早期対応の強化はもとより、不登校の児童生徒全ての学びの場を確保し、学びたいと思ったときに学べる環境を整えていくことが重要であると考えています。 このため、未然防止等の強化については、子供の心身の変化を早期に発見することが効果的であることから、SNS等による相談体制の充実を図るとともに、今年度新たに、一人一台タブレット端末で心の状態を観察するアプリをモデル校で導入し、その効果を検証していくこととしています。 また、学びの場の確保に向けては、県・市町教委による不登校対策の協議会で、要因分析や支援方策について検討を行い、学校内の居場所づくりとして、専属教員が個に応じた支援を行うステップアップルームを昨年度、公立中学校二十二校に設置しました。 この取組により、合計で四百人近くの生徒が利用し、半数以上の生徒が教室に復帰するなど、大きな成果が見られたところです。 このため、今年度は、設置校を二十五校に拡充するとともに、新たにアドバイザーを配置し、専属教員への指導・助言等に加え、未設置校に対する不登校対策の支援も行っているところです。 お示しの下関市が計画する学びの多様化学校については、学校に行きづらい子供が学びたいと思ったときに学べる環境づくりに向け、子供たちに合った教育課程の編成や教職員の配置など組織体制づくりを支援してまいります。 さらに、下関市での取組状況を協議会で情報提供し、他地域の市町教委とも、学びの多様化学校による教育上の効果等について共有を図ってまいります。 県教委といたしましては、今後とも、市町教委等と連携し、学びの場の確保等による誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策の一層の強化に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)阿久津警察本部長。 〔警察本部長 阿久津正好君登壇〕 警察本部長(阿久津正好君)本県における犯罪被害の未然防止、特に少年・若者世代が加害者にも被害者にもならないための取組に関する御質問にお答えいたします。 議員お示しのとおり、スマートフォンの普及により、全国的にインターネット利用者の低年齢化が進み、多くの少年・若年層がSNSを利用している状況にあります。その結果、匿名・流動型犯罪グループが勧誘する、いわゆる闇バイトに手を染めたり、逆に、性犯罪の被害者になるなどしております。 当県においても、闇バイトにより、うそ電話詐欺に手を染めた少年や、大麻などの薬物に手を出した少年の検挙事例が見られるほか、SNSに起因する児童買春・児童ポルノ禁止法違反に係る少年の被害も発生しております。 そこで、県警察におきましては、本年四月、新たに人身安全・少年課を新設し、少年の健全育成に向けた対策を強化すべく体制の充実を図りました。この新たに発足した人身安全・少年課を中心に、少年や若年層に対する働きかけを推進しているところであります。 このような働きかけに際しては、少年や若年層が事の重大性を認識することなく安易な考えから犯罪に加担したり、被害に遭ったりすることのないよう、実際の事例を踏まえ、少年の心に響く働きかけとする必要があります。 具体的には、小中学校や高校の児童生徒に対し、SNSの危険性・インターネットの正しい使い方などを教える、情報モラル教室、薬物の依存性や危険性を教える、薬物乱用防止教室、生徒と協働して制作した動画素材を用いた、体験型被害防止教室、中学校の代表生徒が自らネット問題について話し合う、少年リーダーズサミット、参観日などの機会を利用した、親子ネット教室などを、実際の事例などを踏まえつつ、開催しております。 また、幅広く広報啓発活動を推進する観点から、X、LINE、ユーチューブなどのSNSを利用した広報、主要駅やカラオケボックスといった少年や若年層が利用する可能性が高い場所におけるデジタルサイネージ広報、これらを実施するなどしております。 その上で、例えば、少年が闇バイトに応募してしまったような場合には、その少年や保護者などがちゅうちょなく相談することができるよう、少年相談窓口や少年サポートセンターの周知を行うとともに、相談に対し適切に助言を行っております。 県警察といたしましては、関係機関・団体や学校、各種ボランティアなどとも連携しつつ、少年・若者世代を犯罪の加害者にも被害者にもさせないための取組をしっかりと推進することにより、山口県の安全・安心の確保を図ってまいります。 ───◆─・──◆──── 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩をいたします。再開は、午後一時の予定でございます。 午前十一時五十分休憩