1 中小企業の人手不足対策について 2 JR美祢線の復旧について 3 やまぐち森林づくり県民税について 4 高校生の就職支援について 5 高齢者の運転免許返納に向けた取組について 6 その他
───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第八号まで 議長(柳居俊学君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第八号までを議題とし、質疑に入ります。 一般質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 森繁哲也君。 〔森繁哲也君登壇〕(拍手) 森繁哲也君 皆さん、おはようございます。自由民主党会派の森繁哲也です。今議会登壇の機会を頂きました柳居議長をはじめ、議員の皆様方に心から感謝を申し上げます。ありがとうございます。 それでは、早速、通告に従いまして一般質問を行います。 初めに、中小企業の人手不足対策についてお尋ねをいたします。 昨年の六月議会において、私は同様の項目において、特に外国人労働者の受入れ支援について質問をいたしました。 執行部からは、外国人労働者における国の新制度の検討状況を踏まえて、外国人労働者の受入れが円滑に進むよう、中小企業の支援体制の強化に積極的に取り組んでいくと前向きな御答弁を頂いたところです。 こうした中、先日、新たに外国人の育成就労制度を創設する入管難民法等の改正法が成立をいたしました。今後は、新制度の運用が開始するに当たり、中小企業の外国人労働者受入れの支援をしっかり行っていくことを改めてお願いを申し上げます。 さて、今述べた外国人労働者の受入れが、中小企業の人手不足対策の追い風になることは間違いないと思っておりますが、中小企業の人手不足の深刻な状況は続いており、私の地元下松市の企業からも人材不足を嘆く声を多く聞いているところです。 帝国データバンクの調査によると、従業員の退職や採用難、人件費高騰などに起因する人手不足倒産は二○二三年度に全国で三百十三件発生をしており、前年度の百四十六件から倍増し、過去最多を更新、本年一月から五月においても過去最多のペースで推移をしています。 その中には、重点的な対応が求められる社会インフラの維持に不可欠な職種や、我々の生活に密接に関連する職種もあり、私は強い危機感を覚えています。 人手不足対策には、企業の行う人材確保・定着対策、生産性向上に向けた取組が必要で、とりわけ賃金の充実が重要です。 賃上げについては、本年の春闘で三十三年ぶりの高水準の賃上げが実現した一方、中小零細企業においては、業種によって原材料やエネルギーなどのコストアップの吸収が優先課題となり、まだその途上にあります。 このように賃上げのための原資の確保、労務費の適正な価格転嫁が困難な中、賃上げを無理に行うことは資金繰りの悪化に直結しかねず、今後、人手不足関連倒産の増加が懸念をされています。このままでは、中小企業が支える本県の経済・雇用に深刻な影響を及ぼしかねません。 このほど閣議決定された政府の、新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画二○二四年改訂版でも、中小企業の賃上げや人手不足対策の重要性が指摘をされています。 私は今後、国の取組と適切に連携を図り、これまでの施策の成果も検証しながら、あわせて一層実効性の高い人手不足対策につなげていただきたいと考えています。あわせて、やむなく倒産をしてしまった企業の従業員が速やかに再就職できるよう、きめ細かい支援も欠かせません。 そこでお尋ねをいたします。厳しい経営環境に置かれ、人手不足に苦慮する中小企業が増える中、県は今後、中小企業の人手不足対策にどのように取り組まれるのか、知事の御所見をお伺いをいたします。 次に、JR美祢線の復旧についてお尋ねをいたします。 令和五年梅雨前線豪雨により、地域住民の通勤や通学の足として、重要な生活交通路線としての役割を担ってきた美祢線と山陰本線が被災し、昨年七月一日以降、本日に至るまで、いまだに運休が続いています。 村岡知事におかれましては、被災直後から沿線市等と連携をして、JR西日本に対し、美祢線及び山陰本線の早期復旧や代替交通の確保を要望されるとともに、国土交通大臣に対しても、JR西日本への財政支援や代替交通の確保への支援について直接要望されるなど、危機感を持って迅速に対応をしてこられました。 こうした動きもあり、山陰本線については、本年三月、JR西日本から令和七年度中に全線運転再開を目指して復旧工事を進める旨の方針が示されました。 また、長門市駅から人丸駅間と滝部駅から小串駅間については、今月二十二日から部分運転が再開をされており、復旧に向けた動きは着実に進展していることがうかがえます。 しかしながら、美祢線については、二度目の被災であることや、長期にわたる河川改修が完了するまでの間、再度の被災リスクがあることなどを理由に、具体的な復旧の見通しが示されないまま、間もなく一年が経過をしようとしています。 こうした中、先月開催されたJR美祢線利用促進協議会総会において、利用者の増加に向けた通学定期券の購入支援や観光列車の運行、駅周辺の機能強化など施策が提案をされた一方で、JR西日本からは、復旧には相当額の費用を要するため、JR単独での復旧や、復旧後の持続的な運行は困難である旨の考えが示されました。 さらには、JR美祢線の持続可能性及び利便性向上に関する議論を行う新たな部会の設置に関する提案もなされたところです。 これまで約一年にわたり、学生をはじめとした地域住民は、代行バスでの不便な移動を余儀なくされています。日常的な地域の交通手段として、これまで長い間、沿線地域を下支えしてきた美祢線の一日も早い復旧は急務であり、先送りすることなく早期に解決されるべき喫緊の課題であると認識をしています。 そこでお尋ねいたします。五月二十九日に開催されたJR美祢線利用促進協議会総会において、JR西日本が提案した新たな部会への対応を含め、県は今後、JR美祢線の復旧にどのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いをいたします。 次に、やまぐち森林づくり県民税についてお尋ねいたします。 県土のおよそ七割を占める森林は、木材の生産をはじめ、渇水や洪水を緩和し、良質な水を育む水源涵養機能や二酸化炭素の吸収・貯蔵による地球温暖化の防止など多面的機能を有しています。 特に近年、線状降水帯による局地的な豪雨や大型台風等による大規模な山地災害が全国各地で頻発している中、土砂崩壊防止など防災面からも適切な森林整備を進めることが必要です。 県におかれては、森林がその多面的機能を十分に発揮できるよう、手入れが行き届かず荒廃が深刻化した森林の機能回復を図ることを目的として、平成十七年度にやまぐち森林づくり県民税制度を導入され、荒廃した森林整備や竹の繁茂防止対策等の主要事業を実施するとともに、必要な取組の見直しも行いながら、本県独自の森林づくりを進めておられます。 令和二年度から第四期目となる今期においても、県下各地で森林づくりの取組が進み、森林の多面的機能の回復、発揮といった成果が着実に現れていることが、毎年度の事業実績を取りまとめた、やまぐち森林づくりレポートにおいて報告をされています。 私の地元である下松市でも、地域の方からの要望等を踏まえ、繁茂拡大した竹林の伐採及び伐採後の再生竹の除去を行い、豊かな自然林への回復を誘導する取組や、笠戸島の観光施設周辺の景観保全を目的とした伐採により、眺望を改善させる取組などが実施されており、こうした取組に対して地元の方から感謝の声が届いておりますが、その一方で、継続的な取組を期待する声も年を追うごとに高まっていることを強く感じています。 このような中、本県林業を取り巻く環境は、中山間地域の過疎化や森林所有者の高齢化の進行に加え、木材価格の低迷が続くなど極めて厳しい状況が続いており、荒廃した杉・ヒノキ人工林や繁茂した竹林が今なお多く存在する本県において、安全で快適な県民の暮らしを守るためにも、やまぐち森林づくり県民税を活用した森林整備が今後も必要であると私は考えています。 そこでお尋ねをいたします。本年度末をもって第四期対策の満了を迎える、やまぐち森林づくり県民税について、これまでの成果を踏まえ、今後どのように対応していこうとされているのか、知事の御所見をお伺いをいたします。 次に、高校生の就職支援についてお伺いをいたします。 本年四月、私の地元下松市において、道路を走る鉄道車両見学プロジェクトとして、日立製作所笠戸事業所が製造し、台湾へ輸出する都市間特急車両を陸送する見学イベントが開かれました。五年ぶりの実施となり、約五万人がイベントを楽しんだところです。 通過する車両を全国の鉄道ファンのみならず、多くの地元の子供たちも目を輝かせて見ていた姿が印象的でした。この車両は、一事業所が製作したということにとどまらず、ものづくりのまち下松の企業の優れた技術を結集して造り上げられたと言っても過言ではありません。 このように、下松市に限らず、山口県にはすばらしい技術を有する企業が数多くあるものの、高校生の県内の就職状況に目を向けると、四月に山口労働局が発表した令和六年三月末現在の新規高卒者の就職内定状況では、求人倍率は昨年と比べて○・二ポイント増の二・七二倍となっており、過去十年間で最も高い倍率を記録するなど、先ほども指摘させていただきましたが、企業側からすれば大変厳しい人材確保の状況となっています。 企業側もテレビCM等を活用したPRの実施や、若者や女性が働きやすい職場環境づくりなど、人材確保に向けて大変努力をされていますが、現在の売手市場においては、県外の有名な大手企業も県内で積極的な求人活動を行っており、いかに地元企業が頑張っても、広報や求人の力に差がある中で、どうしても生徒の目が県外大手に向いてしまうのではないかと思うのです。 このように、県内には、各産業分野において、全国に引けを取らない魅力的な企業が数多くあると思うのですが、そのような企業の魅力が、就職を希望する高校生に十分に伝わっていないのではないでしょうか。 仮に、地元に就職したい、県内に残りたいと考えている生徒がいて、その生徒が希望するような企業が県内にあったとしても、その企業の情報が生徒に十分に届かない、また、届いていたとしても多くの企業情報の中で埋没していて目に留まらないということであれば、それは生徒のみならず県内企業、ひいては山口県にとっても非常に残念なことです。 もちろん、就職等の進路選択は、生徒個人の主体性が尊重されるべきではありますが、県教委には高校の早い段階から、生徒に県内企業の魅力を伝え、理解が深まるような取組を進めるとともに、県内企業のことを直接知る機会もつくっていくなど、生徒にしっかりと寄り添ったサポートを充実していただきたいと思います。 そうすることで、高校生による主体的な県内就職の選択や県内定着への意識の醸成が図られ、それが、本県の最重要課題である人口減少の克服にもつながっていくのではないかと考えています。 そこでお尋ねします。高校生を取り巻く県内の雇用情勢を踏まえて、生徒一人一人の希望する進路の実現に向けた就職支援について、今後どのように取り組まれるのか、教育長の御所見をお伺いをいたします。 最後に、高齢者の運転免許返納に向けた取組についてお伺いをいたします。 今月四日、埼玉県において八十四歳の男性が運転していた車が下校中の小学生の列に突っ込み、小学一年生の女児が意識不明の重体となっている交通事故については、皆様も御記憶に新しいと思います。また、その後も立て続けに高齢ドライバーの事故が連日のように報道をされております。 本県においても、春の全国交通安全運動期間中に、高齢者が関係する交通死亡事故が相次ぎ、交通死亡事故多発高齢者警戒情報が発表されるなど、高齢者への交通事故防止対策が重要な課題として挙げられています。 七十五歳以上の運転者による交通事故件数は、コロナ禍で外出の機会が減少したためか、一時的には減少することもありましたが、近年は増加傾向にあり、昨年は全国で三万三百三十件、本県では二百八十八件となっています。 こうした高齢ドライバーの交通事故を減少させる手段として、七十五歳以上の高齢者の運転免許更新に際しては、認知機能検査のほか、一定の違反歴がある方に対しては運転技能検査が実施をされています。 さらに、高齢者による交通事故を減少させていくことを目的として、二○二二年、改正道路交通法により、サポートカー限定運転免許が新設をされ、既に開始をされているところです。 このような取組がなされている中、特に着目をしたいのが、高齢者の交通事故防止対策の一環として導入されている運転免許証の自主返納制度です。 この運転免許証の自主返納制度は、一九九八年に導入をされ、池袋での暴走事故後には返納者が六十万人に達し、ある程度定着をしてきました。しかしながら、近年の六十五歳以上の自主返納件数の推移を見てみますと、交通事故件数が増加をしているのに対し、返納件数は年々減少をしています。 高齢者やその御家族は、大きな交通事故後にマスコミ等で大々的に取り上げられた際には、自分ごととして認識し、真剣に自主返納について本人も考え、家族とも話し合う傾向にあると伺っておりますが、そのタイミングを逃すと、まだ関心は残っていてもなかなか実行には移せていないようです。 そこで特に、公共交通機関が都市部と異なり決して充実しているとは言えず、車の必要な状況が変わっていない地方の自治体においては、本人やその家族に対する自主返納への意識啓発と同時に、返納者の足となる交通手段の支援策のさらなる充実と、その支援策の周知徹底が今以上に必要だと考えます。 本県においては二○○八年から運転卒業証制度を導入し、民間企業の協力を得て、自主返納した六十五歳以上の高齢ドライバーには、運転卒業証や運転卒業者サポート手帳等を交付し、その証明書があれば、タクシー料金や飲食代金の割引など様々な特典が受けられるようにしております。 今後は、この特典を提供していただける企業を増加させていく取組の充実や、利用者減や人手不足等で影響を受けている公共交通機関を含む様々な移動手段の確保を市町と共に共同で進めていく必要があると思うのです。 そこでお尋ねをいたします。増加傾向にある高齢ドライバーの事故を社会全体の課題として捉え、新たな加害者、被害者を少しでも減少させるために、高齢者の運転免許返納に向けた取組を今後どのように進めていくのか、御所見をお伺いし、私の一般質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)森繁議員の御質問にお答えします。 まず、中小企業の人手不足対策についてです。 人口減少が進む中にあっても、本県産業が持続的に成長・発展していくためには、県内企業の大多数を占める中小企業における人材確保・定着の促進が極めて重要と考えています。 また、五月の県内企業人材確保促進月間において、私自ら企業を訪問し、お話をお聞きする中で、現下の人手不足に対応し、県内企業を担う人材の確保に向けた取組をしっかりと進めていく必要があることを改めて実感したところです。 県では、これまでDXを活用した企業の生産性向上を図るとともに、山口しごとセンターにおけるワンストップ相談体制の整備、国や経済団体等と連携した就職フェアの開催、キャリアカウンセリングなどの離職者への再就職支援など、様々な支援策を講じてまいりました。 しかしながら、依然として少子化や若者の県外流出に歯止めがかかっていないことから、若者をはじめとした人材の県内企業への就職・定着を促進するためには、企業の魅力向上や人材確保などに重点的に取り組むことが重要です。 まず、企業の魅力向上に向けては、新たに、育休取得を推奨する企業の登録制度を創設するとともに、男性育休の取得実績に応じた奨励金や、子連れ出勤等に対応する施設整備への補助金の支給など、若者の価値観に合った労働環境づくりを支援します。 また、厳しい経営状況が続く中にあっても賃上げができるよう、初任給や若年層の賃上げをした企業等に対し奨励金を支給するとともに、若者の経済的負担を軽減できるよう、奨学金返還支援制度を創設した企業等に対して奨励金を支給しているところです。 次に、人材確保に向けては、若者に受け入れられやすい情報発信が不可欠であることから、VR映像やメタバースを活用した企業紹介や学生レポーターによるオンラインライブでの企業見学ツアーの実施などに取り組んでまいります。 また、より多くの県外からの人材確保を図るため、移住就業などに対する支援金の対象地域を、今年度、東京二十三区から三大都市圏へ拡大するほか、県外キャリア人材の採用・定着に係る企業向けセミナーの実施や転職フェアの出展等への支援などにより、企業の採用活動を力強く後押しします。 私は、本県産業力の源泉である中小企業が持続的に成長・発展していけるよう、今後とも中小企業の人材不足対策への支援に全力で取り組んでまいります。 次に、JR美祢線の復旧についてお答えします。 鉄道は、通勤や通学など沿線住民の日常生活はもとより、地域の経済活動や観光振興などに大変重要な役割を果たしており、被災した場合には、速やかに復旧させる必要があると考えています。 このため、私は、被災直後からJRに対し、沿線自治体と連携して、美祢線と山陰本線の早期復旧を要請し、また、国に対しても、県議会と共にJRが行う復旧への十分な財政支援などの要望を行ってきたところです。 こうした中、山陰本線については、お示しのとおり、本年三月、JRから令和七年度中の全線運転再開を目指す方針が示され、今月二十二日からは、一部区間での運転が再開するなど、復旧に向けて着実に前進しているところです。 一方で、美祢線については、先月開催された利用促進協議会の総会において、JRから、鉄道での復旧には相当な費用を要することや、復旧後の利用促進策の効果が限定的であることを踏まえると、JR単独での復旧や復旧後の持続的な運行は困難との考えが初めて示されました。 また、美祢線の持続可能性等に関する議論を行う新たな部会の設置についての提案があり、鉄道で復旧する場合の費用や役割分担に関する考え方などは、この部会の中で提示する意向も示されたところです。 私は、鉄道が被災した場合には、鉄道事業者による速やかな復旧が原則であり、被災し、運休の状態に留め置いたまま、鉄道の持続可能性等の議論を進めようとすることは、本来あるべき姿ではないと考えています。 一方で、被災から間もなく一年となる中、学生をはじめとした地域住民や観光客が、代行バスでの不便な移動を余儀なくされている状況は、住民生活や観光振興の面からも決して望ましいものではなく、一日も早く解消する必要があります。 このため、JRから提案のあった新たな部会の設置については、七月をめどに開催予定の臨時総会で改めて協議されることとなりますが、私としては美祢線の復旧に向けた議論を前に進める観点から、地元の現状や沿線自治体の意向も踏まえ対応を判断したいと考えています。 また、復旧までの間、引き続き、沿線自治体と連携して、地域住民等の利用実態の把握に努め、JRに対して代行バスの着実な運行と利便性のさらなる改善を働きかけていくこととしています。 私は、地域の日常的な交通手段である美祢線の一日も早い復旧に向けて、今後とも沿線自治体と緊密に連携し、地域の皆さんが安心して暮らせるよう全力で取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)大田農林水産部長。 〔農林水産部長 大田淳夫君登壇〕 農林水産部長(大田淳夫君)やまぐち森林づくり県民税についてのお尋ねにお答えします。 本県では、山地での災害防止をはじめ、水源の涵養、快適な生活環境の形成など、森林の多面的機能が持続的に発揮できるよう、平成十七年度から森林づくり県民税を活用し、荒廃森林の整備や繁茂竹林の伐採、さらには、県民参加の森林づくりを推進しています。 これまでの取組を通じ、荒廃森林の整備については、森林機能が低下した杉・ヒノキ人工林の三割に相当する約八千五百ヘクタールの間伐を計画的に進め、森林の多面的機能の向上に大きな役割を果たしてきたところです。 加えて、里山再生や修景伐採など、地域課題解決に向けた森林整備等を行う市町への支援を通じ、約三百か所で様々な住民ニーズに対応した森林の再生・整備を実現してきました。 また、繁茂竹林の伐採については、計画を上回る約一千八百ヘクタールの実施が見込まれ、伐採後は再生した竹の除去や確実な植生の回復につなげる広葉樹の植栽を行い、竹林の繁茂拡大の防止を図ってきました。 さらに、県民参加の森林づくりに向けては、普及啓発活動や森林環境教育を幅広く展開し、延べ一万五千人を超える県民の皆様の自発的な森林整備活動の取組を促進してきたところです。 このように、森林づくり県民税を活用した取組は、着実に成果を上げていますが、お示しのように、荒廃森林等が今なお多く見受けられることや、近年、山地での災害が激甚化していることなどから、森林機能の持続的発揮に向けた森林整備に対する期待の声は一段と高まっていると考えています。 森林づくり県民税は、県民の皆様に特別の御負担をいただくことから、来年度以降の対応については、事業成果や森林・林業を取り巻く情勢の変化を踏まえ、今後、県議会はもとより、森林づくり推進協議会や市町、関係団体、さらには県民の皆様の幅広い御意見をお伺いしながら検討してまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)高校生の就職支援についてのお尋ねにお答えします。 本県も含め全国的に企業の人手不足が深刻化し、県内企業の採用状況が厳しくなる中、本県産業の将来を担う人材を確保していくためには、高校生の県内就職を一層促進する必要があると考えています。 このため、県教委では、昨年度策定した山口県教育振興基本計画に県内就職割合九○%という高い目標を掲げ、県内就職や定着に向けた高校生への支援を充実することとしています。 具体的には、ガイダンスの充実とマッチングの促進に重点を置き、関係部局等と連携しながら、入学後の早い段階から生徒に県内企業の魅力を丁寧に伝えるとともに、その希望をかなえるためのきめ細かな伴走型の就職支援に取り組んでいきます。 まず、ガイダンスの充実については、積極的な情報提供に向け、県内企業で働く卒業生を講師としたセミナーに加え、一人一台タブレット端末を活用した百社のバーチャル企業見学や、動画による百二十社を超える企業紹介などを行ってまいります。 次に、マッチングの促進に向けては、就職支援の取組を強化するため、今年度新たに、企業との連携・交流を推進するコーディネーターを配置するとともに、生徒、保護者が県内企業の採用担当者と面談する就職フェアの開催場所や回数の増加を図ったところです。 さらに、県内には全国に誇れる技術力やビジネスモデルを有する企業が数多くある中、生徒がそうした企業の魅力を知り、興味・関心を高めるためには、企業に直接接する機会を充実させていくことが必要です。 このため、ものづくり産業が集積する本県の特色を踏まえ、今年度から新たにやまぐち産業振興財団の協力を得て、県立山口博物館において県内製造業の優れた技術や魅力の理解を促す体験型のセミナーを開催することとしています。 また、DXやカーボンニュートラルなど先進的な技術を取り入れ、各産業分野をリードする企業と連携し、最先端技術の見学や現場実習を実施するなど、生徒が県内企業の魅力に直接触れ、理解を深めるための取組を強化してまいります。 県教委といたしましては、高校生の主体的な県内就職・県内定着の促進に向け、県内企業の情報をしっかりと伝えながら、生徒一人一人に寄り添った、きめ細かな就職支援に全力で取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)阿久津警察本部長。 〔警察本部長 阿久津正好君登壇〕 警察本部長(阿久津正好君)高齢者の運転免許返納に向けた取組に関する御質問にお答えいたします。 議員お示しのとおり、昨年、県内では七十五歳以上の運転者による人身交通事故が二百八十八件発生しております。この種事故について、例えば、アクセル・ブレーキの踏み間違い事故を年齢層別に見ると、七十五歳以上の高齢運転者は、七十五歳未満の約六倍に達しております。 こうした実態を踏まえれば、自ら運転に不安を抱いている方や、客観的に運転リスクが高まっている方に対し、まずは、加齢に伴う身体機能の低下を自覚していただいた上で、段階的な運転免許証の自主返納に向け、制度を周知していくことが、交通事故防止の観点から重要なことと考えております。 そこで、県警察におきましては、自主返納を迷われている高齢者の方々が安心して自主返納をすることができるよう、お示しの運転卒業証制度により、市町や関係事業所等の協力を得て、自主返納後の生活を支援する取組を積極的に推進しており、現在、バス・タクシー料金の割引や商品の割引等、十三種について約六百五十事業所から御支援を頂いております。 この点について、昨年、県内では約五千五百人の方が運転免許証を自主返納されましたが、この方々にアンケート調査を実施したところ、約三千三百人の方から回答が得られました。 その結果、半数近い方々が、この種の支援が受けられることを知らなかったと答えた上で、返納後に不便を感じることは、買物や通院、返納後の交通手段は、タクシーや家族の送迎、受けたい支援サービスは、公共交通機関の割引という意見が多数を占めました。 このアンケート結果からも、運転卒業証制度に基づく支援は、運転免許証を返納された方の生活の支えであることが改めて認識されるとともに、この制度を高齢運転者の方々のみならず、家族も含め多くの方に周知することが必要であることも判明いたしました。 引き続き、運転免許証を返納された方のニーズに応えるよう支援内容の充実に取り組む必要があります。 そのため、関係機関・団体等はもとより、県、市町、地域住民の方々との連携を一層推進し、安全運転相談等のあらゆる活動を通じて制度を周知するとともに、支援が行き届いていない地域にも目を向けるなどして、市町や関係事業所等のさらなる協力を得て、自主返納後の生活を支援する取組を一層積極的に推進してまいります。 県警察といたしましては、このような取組を通じて、運転免許証の自主返納が可能となる環境整備に努めるとともに、その制度を周知していくことにより、交通事故被害者も加害者も生まない、安全で安心な山口県に向け、しっかりと取り組んでまいります。