1 新たなモビリティサービスの導入促進について 2 基幹業務システム標準化への取組みについて 3 民間企業における障害者の雇用について 4 農業法人の経営基盤強化について 5 地域公共交通の運転手不足について 6 情報モラル教育の充実について 7 その他
議長(柳居俊学君)曽田聡君。 〔曽田聡君登壇〕(拍手) 曽田聡君 皆様、おはようございます。公明党の曽田聡でございます。通告に従いまして一般質問をさせていただきます。 初めに、新たなモビリティーサービスの導入促進についてお尋ねいたします。 二○一八年四月に策定された自動運転に係る制度整備大綱は、急速に技術開発が進展している自動運転技術が、人間による運転と比べ、より安全で円滑な運転を可能とすることが期待され、将来的には、我が国で生じている道路交通に関する様々な課題、例えば、高齢者に関わる交通事故対策、造成から五十年の時を経たオールドニュータウンなどでの移動手段の確保、また、近年大きな課題となっている物流サービスなどにおける運転手不足を解決することが期待されています。 二○一九年には、道路運送車両法を改正し、自動運行装置を定義し、保安基準の対象装置に追加され、二○二○年の改正では、時速五十キロ以下、晴天、高速道路上などの一定の条件の下、また条件外では、ドライバーが安全確保し走行するレベル三自動運転が制度上可能となりました。 そして、二○二三年一月には道路運送車両の保安基準告示の改正・施行、また、同年四月には改正道路交通法が施行され、さきに示した一定の条件の下、また条件外でも車両が安全確保するレベル四自動運転が制度上可能となりました。 このレベル四自動運転への取組は、アメリカや中国では、地域を限定して走行していますが、我が国では全国的な取組として実証事業が始まっております。 私は、三月に日常的に自動運転の社会実装を行っている石川県小松市、愛知県日進市、岐阜県岐阜市を視察してきました。 小松市では、小松空港から新幹線が延伸した小松駅を片道約四・四キロ、約十五分で結ぶ、片道運賃二百八十円でティアフォー製の自動運転バス、Minibusに乗車いたしました。運よく走行データを取得、分析されていた通信キャリアの担当官と一対一となり、自動運転バスが取得する様々なデータについて教えていただきました。 沿道の電柱や信号機には、様々なレーダーなどが設置されており、リアルタイムで情報が集まってくる様子に感動いたしました。 次に、日進市では、日進駅から日進市役所までの住宅地を走行するフランス製の自動運転バス、ナビヤアルマに乗車し、駅と市役所を回る五・七キロメートル、駅と住宅地を回る三・三キロメートル、この二つのルートをほぼ毎日、無料で運行していました。 次に、岐阜市では、岐阜駅と岐阜城下町を約一時間で回る観光とリンクさせた社会実証を、あらかじめ予約して乗車する必要がある人気の自動運転バス、こちらもフランス製の自動運転バス、ナビヤアルマで、十人乗りで無料で乗車することができました。 この視察した三件ともレベル四自動運転を目指していますが、私が乗車したときは、運転者が同乗するレベル二自動運転でした。小松市のMinibusは、ハンドルがついていますが、運転者がいつもハンドルを操作できる状態、日進市と岐阜市で走行しているナビヤアルマは、運転者がジョイスティックを保持して、前後左右の操作をしていました。 今後、山口県においても、自動運転をはじめとする様々な技術の活用によって、新たなモビリティーサービスの実現や、それに向けたモデルの構築を、地域のニーズや実情を踏まえながら積極的に進めていくことが重要であると考えます。 人口減少によって、人手不足や利用者の減少が見込まれる中でも、新たなサービスの提供によって持続可能な交通システムが構築できるよう取り組んでいただきたいと思うのであります。 そこでお尋ねいたします。全国の自治体で実証事業、社会実装が進められている新たなモビリティーサービスの導入に向けて、今後どのように取り組んでいかれるのか、県の御所見をお伺いいたします。 次に、基幹業務システム標準化への取組についてお尋ねいたします。 二○二三年九月、地方公共団体情報システム標準化基本方針の改定版が閣議決定されました。 我が国の行政サービスの多くは、地方公共団体が個別に開発しカスタマイズしてきた結果として、一、維持管理や制度改正時のシステム改修等において大きな負担が発生しています。二、個別に開発してきたシステムの差異により、クラウド利用が進んでいない。三、住民サービスを向上させる最適な取組を迅速に全国へ普及できていないなど、様々な課題を抱えています。 このような地方公共団体の基幹業務システムの課題を踏まえ、二○二一年五月に地方公共団体に対し、標準化基準に適合する基幹業務システムの利用を義務づけ、標準準拠システムについてガバメントクラウドを利用することを努力義務とする地方公共団体情報システムの標準化に関する法律が成立いたしました。 この標準化法に基づき、地方公共団体の基幹業務システムの統一・標準化を推進することとし、標準化して得られるメリットや目標は、個々の手続・サービスが一貫してデジタルで完結し、一度提出した情報は、二度提出することを不要に、民間サービスを含め、複数の手続・サービスをワンストップで実現するデジタル三原則に基づく業務改革や事業者の競争環境を確保し、ベンダーロックインを回避すること、システムの所有から利用へ、そして、制度改正や突発的な行政需要への緊急的な対応などのための迅速で柔軟なシステムの構築と標準準拠システムへ円滑かつ安全な移行と行政サービスの利用者目線を徹底するトータルデザインの実現を図ることとされています。 業務の標準化の対象は、住民基本台帳や戸籍、国民健康保険など基幹系システム二十業務、今現在、全国の千七百四十一の基礎自治体のシステム仕様は、基本的には全てばらばらであり、さきに示したように、維持管理や制度改正のたびに各自治体は個別対応を迫られ多額の出費を余儀なくされています。 このため各自治体は、国が定める仕様書に基づく標準準拠システムに移行し、国と自治体の共通クラウド基盤、ガバメントクラウド上で運用することとなっていますが、対応期限が二○二五年度末で移行することが困難な自治体も出てきています。 二○二三年九月の標準化基本方針改定により、国が移行困難と認定をすれば、例外的に延長できるようになりました。 二○二四年三月のデジタル庁発表によると、千七百八十八団体、三万四千五百九十二システムのうち、現時点で百七十一団体、七百二システムで移行困難とされています。 三月五日現在、山口県内では、システムベンダーによるものとして、山口市で一業務、平生町で五業務、把握されています。 また、現状の基幹システムからクラウドへ移行する時期が、年末年始に集中することからシステムベンダーの対応力も心配されております。 そこでお尋ねいたします。県そして県内十九市町の基幹業務システム標準化への円滑な移行に際し、どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、民間企業における障害者の雇用についてお尋ねいたします。 令和四年の臨時国会において、障害者雇用促進法の一部改正を含む、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律が成立いたしました。 障害に関係なく、希望や能力に応じて、誰もが職業を通じた社会参加のできる共生社会実現の理念の下、全ての事業主に法定雇用率以上の割合で障害者を雇用する義務を定めました。 障害者の法定雇用率を令和六年四月以降、段階的に引き上げ、民間企業において令和五年の二・三%を令和六年四月には二・五%、令和八年七月には二・七%、また対象事業主の範囲は、令和五年度四十三・五人以上から令和六年四月には四十人以上、令和八年七月には三十七・五人以上へと拡大させています。 このように国では、法定雇用率の引上げや対象事業主の範囲を拡大し、民間企業で働く障害者を増やす枠組みをつくる一方で、職務の性質上、法定雇用率を適用することになじまない業種に対しては、段階的に障害者の雇用義務を軽減し、今年度から障害者雇用に意欲のある企業に対し雇入れや、その雇用継続に関する相談支援、加齢に伴う課題に対応する助成金の新設など事業主支援を強化し、障害者が能力を発揮しやすい職場環境を整え、誰もが活躍できる共生社会の実現につなげたいとしています。 障害者の雇用は、法律で義務づけられている法定雇用率の引上げに伴い増え続けています。厚生労働省によると、令和五年六月時点での民間企業が雇用している障害者の推定人数は約百十万人となり、平成三十年の前回調査に比べて二十五万人増えています。 ただ、法定雇用率を達成している企業は五○・一%にとどまり、多くの企業で障害者の雇入れが思うように進んでいない実態もうかがえます。 山口県ではどうでしょうか。山口労働局の発表によれば、同年同月の雇用障害者数は約四千八百二十七人、雇用率は二・七七%と、いずれも前年を上回り、法定雇用率もクリアしていますし、その達成企業は五八・五%と、前年より一・九ポイント上昇しています。 県では、やまぐち障害者いきいきプランの中で、障害者雇用の促進として半数近い企業が法定雇用率を達成しない状況にあることから、労働局など関係機関と連携して、障害者雇用への理解促進として、障害者雇用促進セミナーの開催や、やまぐち障害者雇用推進企業の認定・紹介、障害者雇用率制度や国などの相談・援助・助成金制度の周知、また、障害者に対する職業訓練の実施など、多岐にわたる施策に取り組まれています。 この障害者雇用政策に呼応して、県内の企業・団体の皆様は、積極的に取り組まれていると考えますが、県内の企業・団体からは、障害者の雇入れに際し、さらなる障害者が働きやすい職場環境の整備に関する支援、具体的には事務所のバリアフリー化やエレベーター設置、障害者用トイレ設置などに対する支援の充実強化を求める声も届いています。 そこでお尋ねいたします。障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律を受け、障害者雇用率の引上げなどに資する障害者を雇用するための理解促進や職業訓練、環境整備など一層の取組が求められていると考えますが、県の御所見をお伺いいたします。 次に、農業法人の経営基盤強化についてお尋ねいたします。 一九九九年の制定以来、二十五年ぶりの見直しとなった、改正食料・農業・農村基本法が、本年五月二十九日に成立しました。 近年、国際紛争や自然災害などのリスクが高まる中、食料の安定確保と供給力の維持に向け大変重要な改正であり、この改正には農産物の生産力強化や備蓄施設の拡充、輸入相手国の多様化などが盛り込まれ、とりわけ生産力の強化では、食料生産の担い手確保に重点が置かれています。 食料自給率が四割にも満たない我が国、ロシアがウクライナに侵攻して以来、輸入に頼っている食料品の価格は上昇を続け、昨年六月の日本の消費者物価指数はアメリカを上回りました。 インフレ、インフレと騒がれているアメリカより、日本の物価上昇率の方が高かった。まさに食料価格の上昇が、日本を直撃していることは御案内のとおりでございます。 また、これまで食料品を輸出して外貨を稼いでいた国々も輸出規制に走っています。ますます国際的に食料価格は高騰を続けています。 インドは、世界第二位の小麦生産国ですが、国際紛争の影響で小麦価格が上昇したことから、自国内の安定供給のため小麦の輸出を禁止し、昨年七月には米の輸出も禁止しました。今では小麦、米はじめ世界的な穀物価格の上昇とインドの動きを追従する国が三十か国を超えてきています。 日本のように食料自給率の低い国は、お金を出しても食料が買えなくなる時期もそう遠くないと主張する学者も多くいます。 我が国の基幹的農業従事者は、二○二二年には百二十三万人で、そのうち六十歳未満は二十五万人程度にとどまっております。若手の確保と育成が急務となっています。 食料安全の根幹は、人と農地の確保であります。しかしながら、現行基本法の制定以来、農地面積、基幹的農業従事者数は、いずれも減少が続いており、農業の持続的な発展には大きな課題が横たわっています。 一方、これまでの政策の下で、農地全体の減少に対し、農用地区域内農地はほぼ横ばいの微減にとどまるとともに、担い手について、法人など団体の経営体やその就業者は増加しており、農業関係者の努力と施策の結実も見られるところであります。 このたびの法改正では、これまでの施策を深化するとともに、時代の変化に対応した新規の政策として、特に担い手確保の受皿となり得る農業法人の経営基盤の強化、そして、効率的かつ安定的な農業経営以外の多様な農業者による農地の確保、スマート技術などを活用した生産性の向上、知財保護と知財活用した農産物の付加価値の向上などを掲げています。 山口県におきましても、これまでの集落営農法人など大規模経営体に対し、水田農業の生産基盤を維持するための連合体の役割・機能の拡充、法人間連携、集落営農法人連合体機能を担う中核担い手への機械導入や更新などについて支援してこられました。 そこでお尋ねいたします。今後、県では、農業法人の経営基盤強化と担い手の確保・育成にどのように取り組まれるのか御所見をお伺いいたします。 次に、地域公共交通の運転手不足についてお尋ねします。 厚生労働省によれば、団塊の世代の方々が全て七十五歳となる二○二五年には、七十五歳以上の人口が全人口の約一八%となり、二○四○年には六十五歳以上の人口が全人口の約三五%となると推計され、諸外国と比較しても日本における少子高齢化の動きは継続しており、今後も人口の推移や人口構造の変化を注視していく必要があるとされています。 このような少子高齢化の流れの中、この春から施行された働き方改革関連法が、人手不足が叫ばれているバス・タクシーといった公共交通分野やトラック物流業界において二○二四年問題としてクローズアップされるようになりました。 法の施行から五年間の猶予期間に、長時間労働是正のための諸施策が取られてきましたが、それでも慢性的に続く人手不足に加え、約三年間にわたる新型コロナウイルスによる運輸業界の経営への大打撃も加わり、有効的な手だてを取ることができないという実態が続いている状況であります。 日本バス協会では、運転手の確保について、全国のバス会社七百七十八社に聞き取りを行いました。 それによりますと、二○二三年度は全国で十二万一千人の運転手が必要なのに対し、実際の運転手は十一万一千人で一万人不足しており、高齢化などを背景に担い手不足は今後も続き、運転手は二○三○年度には九万三千人まで減少、不足する運転手の数は三万六千人まで増えると見通しています。 地方だけでなく、都市部でも運転手不足が原因で路線バスが減便するケースも相次いでいることを受け、協会は、賃金や労働条件の改善など様々な取組を行っていますが、運転手が確保できなければ、さらなるバスの減便や廃止の拡大は避けられないとしています。 国土交通省が発表した、令和六年版交通政策白書によれば、地域公共交通は人口減少などによる需要減や人手不足などによる供給減により、地域の移動サービスは危機的な状況にあり、このような状況を解決するためには、官民共創、交通事業者間共創、また他分野共創の三つの共創、この自動運転やMaaSなど、デジタル運転技術を実装する交通DX、車両電動化や再エネの地産地消などを駆使した交通GXを柱とした地域公共交通のさらなるリ・デザイン、再構築が必要とされています。 山口県でも数の違いこそあれ、全国とほぼ同じ推移でバス運転手の数が年々減ってきており、また年齢構成が高齢化にシフトしてきており、絶対的に若い年代層が不足してきております。 近い将来、本県のバスの運転を支えている高齢運転手が引退された後、地域公共交通の維持ができなくなる可能性は大きく、今、手を打たなければ手後れとなります。 そこでお尋ねいたします。地域公共交通の担い手、バスの運転手不足の問題解決のためには、バス事業者だけではなく、県が率先して取り組む必要があると考えますが、県の御所見をお伺いいたします。 最後に、情報モラル教育の充実についてお尋ねいたします。 現代社会は、デジタルな情報があふれ返っている。毎日のようにSNS上に有名人をかたった投資詐欺の被害者がニュースをにぎわしています。 また、SNSで知り合った見ず知らずの相手から犯罪を持ちかけられ簡単に実行する。そして流れてくる情報がフェイクなのかリアルなのか真偽を確かめる間もなく次の情報が流れてくる。この時代を生きている私たちは何を信じていいか分からないまま日々を過ごしています。 デジタルを活用した教育が進む学校現場においては、なおのことデジタルトラブルが心配になってきます。 そこで昨今、デジタルを使う上でのマナーについて考えるプログラムが話題となっています。 全国で多くの学校が応募した、十代のデジタルエチケットキャッチコピーAWARD二〇二三では、十代の若者が守るべきデジタルエチケット、他人に嫌がることをしないなど、日常では当たり前に守っているエチケットをデジタル社会では簡単に犯している。未来あるあなたに知ってもらいたいソーシャルエチケットをキャッチコピーで伝え切るアワードが創設され、新潟県の公立高校の生徒が最優秀賞に選ばれ、キャッチコピー「見えない世界でも良い人でありたい。」を基に作成された映像作品がユーチューブで公開されました。 デジタルエチケット、いわゆる情報モラルを理解することで幾つかのメリットがあります。 情報モラルを身につけることで、他人の著作権を尊重し、違法なコンテンツの使用を避けることで著作権侵害から身を守ることができます。 また、個人のプライバシーを尊重するためのガイドラインを提供し、適切なセキュリティー設定を行い、個人情報を適切に保護することができます。 情報モラルを身につけることで、オンラインでコミュニケーションが円滑に行えます。適切な言葉遣いやマナーを守ることで、他のユーザーとのトラブルを避けることができます。そして、他のユーザーやオンラインコミュニティー内の信頼を築くとともに、適切な行動を取ることで良好な関係を築くことができます。 気づかないうちにデジタルを使った誹謗中傷などをしないための大変重要な観点であり、オンラインでの行動指針であります。よりよいオンライン環境をつくり上げるために重要と考えます。 そこでお尋ねいたします。デジタルネーティブ世代とはいえ、未来ある生徒たちが予期せぬデジタルトラブルに巻き込まれないよう情報モラルを身につけるために、一方的な座学ではなく、みんなで共に考え、共に理解する学びが大切と考えますが、教育長の御所見をお伺いし、一般質問を終了いたします。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)曽田議員の御質問のうち、私からは農業法人の経営基盤強化についてのお尋ねにお答えします。 農業は、食料の安定供給はもとより、県土の保全など多面的機能を有する重要な産業であり、将来にわたって持続的に発展させていくためには、農業法人等の新規就業者の確保に加え、外部環境の変化にも対応できる安定的な農業経営が展開されることが重要です。 このため、私は、これまで雇用の創出と所得の拡大を実現する法人連合体の形成を積極的に進めるとともに、就業希望者の受入れ・育成・定着を一体的に図る担い手支援日本一の取組を推進することで、毎年百名を超える新規就業者を確保してきたところです。 こうした中、お示しのとおり、食料・農業・農村基本法が改正されたこの機を捉え、本県においても食料の安定供給に向けて、農業法人の経営基盤強化に向けた経営の効率化や、農業法人の担い手の確保・育成に向けた取組をより一層推進することとしています。 まず、経営基盤強化については、さらなる農地集積が必要であることから、各地域で将来の担い手や農地の在り方を定める地域計画の策定を進め、農地中間管理機構と連携し、担い手への農地の集積を促進します。 また、一層の経営の効率化を図るため、デジタル技術を活用したドローンなどのスマート農業機械や圃場管理システムの導入支援に積極的に取り組んでまいります。 次に、担い手の確保・育成については、県内の合同説明会で、農業大学校の学生や農業高校の教員と農業法人等とのマッチング機会の拡大を図るとともに、本年度、新たに農業法人が県外在住者に対して直接リクルート活動ができる体制を構築します。 さらに、多様な担い手の確保に向け、就業五年間にわたり支援する定着支援給付金について、本年度から農作業を受託する農業サービス事業体等も支援対象に加えたところであり、農業法人等への就業者に対する早期の技術習得と定着を後押しすることとしています。 私は、本県農業の中核を担う農業法人等の大規模経営体が、継続的に発展できるよう、関係団体等と緊密に連携し、経営基盤強化と担い手の確保・育成に向けた取組を積極的に支援してまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)道免観光スポーツ文化部長。 〔観光スポーツ文化部長 道免憲司君登壇〕 観光スポーツ文化部長(道免憲司君)新たなモビリティーサービスの導入促進についてのお尋ねにお答えします。 地域における多様な移動ニーズに対応し、持続可能な形で地域公共交通を維持していくためには、お示しの自動運転をはじめとする様々な技術を活用し、地域公共交通の効率性や利便性の向上に取り組んでいく必要があります。 このため、県では、昨年度から自動運転やAIデマンド交通など、デジタル技術を活用した新たなモビリティーサービスの導入を目指す市町に対して、ノウハウを有する専門家を派遣し、実装を見据えた助言等の支援を行っています。 今年度は、山口市のAIデマンド交通の導入に向けた技術的支援をはじめ、自動運転の導入検討やタクシー助成券のデジタル化など、希望があった九つの市に対し、専門家の派遣による支援を開始しているところです。 また、新たに県主導の下、周南市や地元バス事業者等と連携し、自動運転バスの実証に取り組み、運用面での様々な課題の把握や運行データの分析なども行うこととしています。 こうした地域公共交通の課題解決を図る先進的な取組や、実証で得られた成果などを県内に波及させるため、市町や交通事業者等を対象とした自動運転に関するセミナーを開催することなどにより、県内での横展開を図ってまいります。 県としては、将来にわたって地域公共交通が維持できるよう、今後とも市町や交通事業者等と連携し、デジタル技術を活用した新たなモビリティーサービスの導入促進に積極的に取り組んでまいります。 次に、地域公共交通の運転手不足についてのお尋ねにお答えします。 利用者の減少や運転士不足など、バス事業者を取り巻く環境は大変厳しい状況にあることから、県では、これまで山口県バス協会と連携した大型二種免許の取得費用の助成や、事業者と連携した運転士体験会の開催等に取り組んできたところです。 こうした中、お示しの二○二四年問題に対応し、将来にわたって地域公共交通を維持していくためには、バス事業者だけでなく、関係者が一丸となって運転士の確保対策に取り組んでいく必要があります。 このため県では、今年度新たに国や関係団体等による協議会を設置し、運転士確保に関する課題の共有や対策の検討を行うとともに、就職フェアの開催等による若者への積極的なPRなどに取り組むこととしています。 また、バス運転士に特化した求人サイトでの情報発信や、首都圏や大阪、福岡で開催される就職イベントへのブース出展により、県外から運転士を確保する取組も行っていきます。 さらに、運転士の労働時間の短縮にも資するよう、市町が行うAIデマンド交通などの新たなモビリティーサービスの導入を支援し、業務の効率化も図っていくこととしています。 県としては、今後とも市町や関係団体等と緊密に連携しながら、こうした取組を着実に推進することにより、地域住民の日常生活に不可欠な地域公共交通の担い手であるバス運転士の確保に、積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)永富総合企画部長。 〔総合企画部長 永富直樹君登壇〕 総合企画部長(永富直樹君)基幹業務システム標準化への取組についてのお尋ねにお答えします。 基幹業務システムの標準化は、各自治体が個別に開発や運用を行ってきた、住民記録や地方税、介護・福祉等の業務システムを、国・地方の共通クラウド基盤となるガバメントクラウド上に構築された標準準拠システムを利用する形に移行させる、従前にない取組です。 これにより、システム開発等に係る地方の人的・財政的負担が軽減され、人員や予算をより質の高い住民サービスの提供に振り向けられることや、データ連携による新たなサービス創出にもつながることから、非常に重要な取組であると考えています。 このため、県と全市町で構成する連携会議に、標準化の専門ワーキングを設置し、ここで各市町の進捗状況を把握するとともに、国の支援内容や移行作業に係る留意点等について共有を図るなど、移行を円滑に進めるための様々な取組を進めてきました。 そうした中、目標期限の令和七年度に向け、全国的に作業を担うベンダーや人材の不足が生じたこと等により、本県でも一部の市町の移行スケジュールに遅れが生じることとなりました。 今後、移行作業が本格化することを踏まえ、市町の現場に寄り添った支援をさらに強化してまいります。 具体的には、まず、ワーキングにおいて、先行自治体の事例に基づく様々な課題への具体的な解決策や、新たな取組となるガバメントクラウドへの接続方法など、今後、市町が作業を進める上で必要な情報を適時的確に提供してまいります。 また、ワーキングに、デジタル庁等の担当者の参加を得て、直接相談できる場を設けるとともに、「Y─BASE」に設置した市町専用の相談窓口において、専門的な知見を生かしたベンダーとの調整に係る助言など、市町のニーズに応える、きめ細かな支援を行ってまいります。 こうした取組とともに、国に対して、現場で生じる様々な課題やニーズを踏まえ、移行困難システムの柔軟な認定や適切な移行期限の設定、地方の責任によらない追加経費に対する確実な財政支援などについて、引き続き全国知事会等を通じて要望してまいります。 県としては、県全体のデジタル・ガバメントの推進に向け、基幹業務システムの標準化が円滑に進むよう、国や市町と緊密に連携しながら取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)高林産業労働部長。 〔産業労働部長 高林謙行君登壇〕 産業労働部長(高林謙行君)民間企業における障害者の雇用についてのお尋ねにお答えします。 障害者が希望する職に就き、職業を通じた社会参加のできる共生社会を実現するためには、一人一人の特性や能力に応じて働くことができるよう、障害者雇用に対する企業の理解促進や多様な就労機会を確保することが重要です。 このため、まず、企業の理解促進に向けては、障害者雇用に関する知識や情報を掲載したガイドブックを配布するとともに、障害者雇用に積極的な企業の認定や優良事業所等の表彰を行い、その取組内容を広く県内企業に紹介しております。 次に、多様な就労機会の確保に向けては、労働局等関係機関と連携し、就職面接会を県内七会場で実施するとともに、パソコン技術や事業所現場を活用した実践的な能力を習得する職業訓練を実施しています。 また、特別支援学校の生徒に対し、障害者職業訓練コーチが関係機関と連携しながら、在学中から就職後までを通じ、きめ細かい支援を実施し、生徒の希望に沿った就職や定着に取り組んできたところです。 こうした中、法改正による法定雇用率の段階的引上げに伴い、新たに障害者雇用を義務づけられる事業主の範囲が拡大されることから、障害者の雇用経験の乏しい事業主に対する支援を強化する必要があります。 このため、障害者の雇用を推進する職場リーダー養成講座の内容にテレワークの活用を盛り込むとともに、課題解決に向けたワークショップの開催や機器のトライアル利用を専門家が伴走支援し、受入れ環境の整備を促進してまいります。 また、国の助成金において、障害者を雇用したことがない事業主等の職場実習生の受入れが新たに助成対象となるなど支援措置が強化されたところであり、関係機関と連携しながら周知を図ってまいります。 県としては、障害に関係なく、希望や能力に応じて、誰もが職業を通じた社会参加のできる共生社会実現に向け、関係機関とも連携し、障害者雇用の促進に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)情報モラル教育の充実についてのお尋ねにお答えします。 社会のデジタル化が急速に進展する中、子供たちがSNSでのトラブル等に巻き込まれないためには、デジタル社会において適正な活動を行う上での考え方や態度である情報モラルを身につけることが極めて重要です。 このため、県教委では、子供たちが学校等で一人一台タブレット端末等のICTを積極的に活用する上で、その正しい使用方法やリスク等を学ぶ情報モラル教育を推進しており、各学校において児童生徒の発達の段階に応じた取組を進めているところです。 具体的には、児童生徒が各教科の授業において、個人情報の適切な管理や、相手を思いやるコメントの書き方等を考えるほか、文化祭といった学校行事においても、作品制作時に著作権の侵害がないか調べるなど、情報やメディアを適切に活用する方法について、主体的に考える学習を行っています。 特に、デジタル社会に主体的に参画するための資質能力を育成する段階となる高校では、必履修科目の情報Ⅰにおいて、ネットへの悪質な書き込みや誹謗中傷が及ぼす影響等をテーマに、情報を扱う責任やモラルについて深く学んでいるところです。 また、情報モラルの定着に向けては、家庭の協力が欠かせないことから、県警や通信事業者と連携し、保護者の参加も得ながら、毎年、スマートフォンの正しい利用等を学ぶ情報モラル教室も開催しています。 こうした取組に加え、デジタル社会でのリスク等を自分ごととして捉えるためには、他者と関わりながら学び合う学習活動が効果的であることから、昨年度、情報モラルを協働的に学ぶための教材を作成しました。 今後は、この教材を活用した学習の本格実施に向け、教員研修を一層充実することとしており、SNSで写真を公開する際のリスクマネジメントなど、具体的な場面について互いに議論する実践型の情報モラル教育を推進していきます。 県教委といたしましては、引き続き市町教委や関係機関と連携し、子供たちがデジタル社会において、自らの行動に責任を持ち、情報を正しく安全に利用できるよう、情報モラル教育の一層の充実に努めてまいります。 ───◆─・──◆──── 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩をいたします。再開は、午後一時の予定でございます。 午前十一時二十八分休憩