1 少子化対策について 2 カーボンニュートラルポートの整備について 3 カスタマーハラスメント対策について 4 農業におけるデジタル活用とイノベーション支援について 5 野犬対策について 6 その他
───◆─・──◆──── 午後一時開議 副議長(島田教明君)休憩前に引き続き会議を開きます。 ───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第八号まで 副議長(島田教明君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第八号までを議題とし、質疑の議事を継続いたします。 大内一也君。 〔大内一也君登壇〕(拍手) 大内一也君 皆さん、お疲れさまです。やまぐち県政会の大内一也です。通告に従いまして一般質問いたします。よろしくお願いします。 初めに、少子化対策についてお伺いします。 昨年二〇二三年の全国の出生数は七十二万七千二百七十七人、合計特殊出生率は一・二〇と、ともに過去最低を更新し、大きな話題となりました。 山口県の出生数も七千百八十九人と過去最低となり、合計特殊出生率も一・四〇と過去最低に近い数字となりました。 県の人口は、昭和六十年には百六十万二千人おりましたが、今年の五月一日現在では百二十八万六千二百四十八人となり、前年は百三十万二千四百四十人でしたので、この一年間で約一万六千人余り減少しています。 県は、これまでも子育て支援に力を入れていましたが、今年度はさらに若者、女性等からの意見聴取を踏まえ、効果が高いと思われる施策を進めています。 子供の数は二人程度を希望するが、経済的な負担感、不安を持つ人が多いことを踏まえ、第二子以降の保育料の無償化、先進医療の治療費の助成など、不妊治療に係る経済的負担を軽減、また賃金を上げる企業を応援する賃上げ環境整備応援奨励金などの取組を進めており、高く評価いたします。 さらに、昨今の結婚後も共働きを前提にするライフプランを踏まえ、男女で育児・家事を分担し、共に希望に応じてキャリア形成との両立が可能となる社会を目指した″とも×いく″を推進しています。 共育てという意味と、家族や地域社会、企業なども、ともに、もっと、いくじに、くわわって、という願いを込めた″とも×いく″は、男性、女性ともに希望どおり、育休を取得することが当たり前となり、働きやすい職場環境づくりを推進する事業者を応援する取組を推進しており、やまぐち″とも×いく″応援企業に登録した事業者に対し、最大百八十万円を支給する山口県もっと育休奨励金、育休取得や共育て職場環境づくりに取り組む事業者に対し補助金を交付する山口県共育て応援補助金などを進めています。 こうした取組は、少子化対策に大変有効だと考えますが、しかし、少子化の問題の根底には、結婚をしない人が増えている、婚姻数の減少も影響していると考えます。 令和五年度子育て支援・少子化対策に関する県民意識調査によりますと、結婚しない、独身の理由の一位が、異性と知り合うきっかけがない、三五・三%、二位が、結婚生活を送るだけの経済力がない、二一・九%となっています。 この点を踏まえ、県は大規模婚活イベント、出逢いませ山口大作戦の実施など、結婚の機運醸成及び出会いの場の提供も進めています。 ぜひともこのイベントなどを通じて異性と知り合い、結婚へつながる方々が増えることを期待しますが、二位の結婚生活を送るだけの経済力がないことについて、支援することも重要と考えます。 一つは賃金を上げる支援、先ほど紹介しました賃上げ環境整備応援奨励金などをしっかりと進めることですが、加えてもう一つ思うところは、結婚される方への直接的な支援、例えば結婚時の住居の支援です。 二人で暮らす新居を構えるとなると、賃貸であれば敷金や家賃、また引っ越しに係る費用など経済的な負担があります。 現状、国の地域少子化対策重点推進交付金を活用した家賃や引っ越しの補助を行う結婚新生活支援事業がありますが、県内の市町でも実施がまちまちです。 こういった支援を県内の市町でしっかり取り組んでもらえるよう働きかけ、かつ県で拡充した支援をプラスするなど、結婚に対する経済的な不安を払拭する取組を、少子化対策のためにも進めていくべきではないでしょうか。 県が六月十三日に国に要望した資料に、出生数と婚姻件数、女性人口の表がありますが、平成三十年と令和四年とを比較すると、出生数は一三・六%、婚姻件数は一四・一%の減少とほぼ同じ傾向となっています。 明確な因果関係は分かりませんが、婚姻件数を増やすことが出生数を増やすことにつながると考えられます。 そこでお伺いします。出生数に密接に関わる婚姻数増加に向けた支援について、御所見をお伺いします。 次に、カーボンニュートラルポートの整備についてお伺いします。 水素社会推進法が五月十七日に成立しました。 これは、水素のみならず、アンモニアや合成メタンなどCO2の排出量削減につながる燃料の普及に向けて、化石燃料との価格差を補助し、拠点の整備に係る費用を助成する制度の根拠法です。 法律の背景、概要には、脱炭素化が難しい分野においてもGXを推進し、エネルギー安定供給・脱炭素・経済成長を同時に実現していくことが課題とし、国が前面に立って、基本方針の策定、需給両面の計画認定制度の創設、計画認定を受けた事業者に対する支援措置や規制の特例措置、判断基準の策定等の措置を講じるとあります。 これまで脱炭素化に向け、水素、アンモニアなど様々な取組を各事業者、コンビナート企業が取り組んでおりましたが、国が前面に立つことで、脱炭素エネルギーの本格的な普及の流れが確立されると期待しています。 特に、拠点の整備に係る費用の助成については、山口県の各コンビナートにおいて重要な制度だと考えます。 水素等供給基盤整備事業、FS事業について一次公募が実施され、周南コンビナート四社が申請した、周南地区アンモニア広域供給拠点、域内パイプライン整備及び燃焼設備検討事業が採択されました。 周南コンビナートでは、御承知のとおり、アンモニアの調達、供給体制の構築、火力発電における石炭との混焼などアンモニアサプライチェーンのファーストムーバーとして取組を進めております。 この二月には、出光興産徳山事業所において、国内初であり、世界でも先進的な試みとなる商業用ナフサ分解炉でのアンモニアの燃焼を実施し、既存の燃料の二割超をアンモニアに切り替えた操業が可能であることを確認したとのことです。 このようにカーボンニュートラルに向けた法整備や実証実験が進んでいますが、本格的な普及に当たっては、サプライチェーン構築のための貯蔵タンクやパイプライン、大型タンカーなど海上輸送に対応した港湾の整備、カーボンニュートラルポートの形成が大変重要になっていきます。 県は、昨年三月に徳山下松港港湾脱炭素化推進協議会を立ち上げ、今年三月に推進計画を策定しています。 取組方針として、バイオマス・アンモニア等の利用拡大と受入れ環境整備、火力発電所等における低・脱炭素化の取組の推進などを掲げており、KPIとして、二〇五〇年にCO2排出量を実質ゼロ、低・脱炭素型荷役機械導入率を一〇〇%にする目標を掲げています。 また、港湾の将来構想として、バイオマス発電やアンモニア供給拠点の整備に向けた、貯蔵用地、受入れ岸壁の整備の検討も視野に入れています。 こうした様々な検討を関係部署・企業と連携して行い、六月十三日には政府要望として、国際バルク戦略港湾関連施設の支援とともに、将来のカーボンニュートラルポート形成の実現に向けた支援も超重点項目として要望しています。 日本のエネルギーの確保、そして県産業の発展、雇用の確保の観点からも、ぜひともさらなる推進をお願いしたいと考えます。 そこでお伺いします。アンモニアサプライチェーン構築のファーストムーバーである周南コンビナートの取組などさらに推し進めるため、国とどのような連携を図り、カーボンニュートラルポート形成推進に取り組んでいくのか、御所見をお伺いします。 次に、カスタマーハラスメント対策についてお伺いします。 昨年の六月定例会の一般質問でも取り上げましたカスタマーハラスメント、いわゆるカスハラですが、ここ最近、テレビのニュースや新聞記事などで報道されることも増えてきました。 また、東京都などが防止条例を検討、政府の経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる骨太の方針では、「カスタマーハラスメントを含む職場におけるハラスメントについて、法的措置も視野に入れ、対策を強化する」との記載があり、関心や対策の必要性が高まっているように感じます。 厚生労働省が出しているカスタマーハラスメント対策企業マニュアルによれば、カスハラとは、「顧客や取引先などからのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの」と定義されています。 具体的には、一時間を超える長時間の拘束、居座り、長時間の電話、店内で大きな声を上げて秩序を乱す、大声・暴言で執拗に責める、脅迫的な言動、反社会的な言動、言いがかりによる金銭の要求などが挙げられ、従業員、職員に精神的・身体的な苦痛を与えるような行為のことを指します。 日本最大の産業別労働組合であるUAゼンセンが二〇二四年四月に公表したカスハラ対策のアンケート調査では、サービス業に従事している所属組合員から三万三千百三十三件の回答があり、直近二年以内で迷惑行為被害に遭ったと答えた人は四六・八%と、二〇二〇年の調査の五六・七%と比べて一〇%減少したものの、半数近くの方が被害に遭われています。 また、被害の回数の質問では、一回から五回が減少する一方、六回から十回が二〇%と前回より一四%増加するなど、一人が受ける被害の回数が増加しています。 内容も、暴言三九・八%、威嚇・脅迫一四・七%、長時間拘束一一・一%、金品の要求一・二%となっており、その七八・四%が対面での被害となっています。 そのようなカスハラを体験した後の心身の状態の変化では、半数以上の方が嫌な思いや不快感が続いたと回答し、同じようなことが起こりそうで怖かった八%、不安な気持ちが続いた七%、寝不足が続いた一・二%、心療内科などに行った〇・八%となっています。 県においても、カスハラを含めたハラスメント対策として、従業員、職員のケアの支援を様々行っています。 従業員に対する対策では、中小企業労働相談員の事業所訪問、労働セミナー、労働ほっとラインを通じて、カスハラなどで被害を受ける従業員のケアに力を入れています。 また、県職員のサポート、ケアも行っており、新規採用職員研修などにおいてクレームの対処法を、さらに迷惑行為を受けた職員の心のケアなどを目的に、県内八地域などにハラスメント相談を担当する職員を配置するなど相談体制を整備しています。 さらには、消費者に対し、国が作成した、行き過ぎた言動を控えるなどのカスハラの防止を呼びかけるチラシを活用し、広く周知を行っています。 ですが、被害が大きくなり社会問題となっているカスハラについては、もう一歩踏み込んだ対応が必要です。 例えば、岡山市では、昨年公表した第二次消費者教育推進計画にカスハラの啓発を盛り込み、適正な消費者の声を抑制することのないよう配慮しながら、カスハラについての正しい理解に向けた取組を進めています。 東京都では、カスハラ防止対策に関する検討部会で、カスハラを、就業者に対する暴言や正当な理由がない過度な要求などの不当な行為で就業環境を害するものと定義し、その対象を民間の消費者、お客のみならず公的サービスを提供する役所の窓口や学校などを利用する人も含まれるとするなど独自のルールを検討し、全国初の条例とガイドラインの作成を検討しています。 もちろん東京都とは産業構造や従業員、職員の置かれている環境も異なりますし、過度な取締りは消費者の権利の侵害や購買活動にマイナスの影響を与える可能性もあります。 ですが、人手不足の昨今において従業員を適切に守る対策は重要ですし、より一層の働きやすい職場づくりは、若者の雇用、県外転出の抑制につながるのではないかと考えます。 国や他県の動向を見ながら、条例やガイドラインづくりを進める、そのための検討会を設置するなど必要になると思われますが、まずは山口県におけるカスハラの実態把握が重要と考えます。 そこでお伺いします。カスタマーハラスメント防止に向けた取組を見据え、まずは関係団体へのヒアリング、県内従業員や県職員へのアンケート調査など実態把握を進めることはできないでしょうか、御所見をお伺いします。 次に、農業におけるデジタル活用とイノベーション支援についてお伺いします。 昨年十一月の会派代表質問において、農業の深刻な高齢化、人手不足対策について質問をさせていただきました。 山口県の二〇二〇年の基幹的農業従事者数は一万六千六百十三人と五年前の前回調査と比べて三〇・五%減少、また平均年齢は七二・三歳と高齢化が全国一進んでいます。 県においてはこの担い手の減少、高齢化に対し、日本一の担い手支援策を積極的に進め、毎年百名を超える新規就業者を確保、約三百の集落営農法人の設立など成果を上げています。 ですが、担い手の減少は深刻であり、生産量を確保し、山口県の農業を守るためには、担い手を増やす対策に加え、人材育成やデジタルの活用による対策も重要になると考えます。 県は、昨年、令和五年から農業大学校に土地利用学科を新設しました。水稲の基礎的な学習とともに、麦・大豆・露地野菜の生産や機械作業に関する知識・技術を実践学修により習得、また農業法人に出向いて実践力を磨くことに力を入れるなど、集落営農法人などの経営に携わる人材の育成に取り組んでいます。 農家の方に伺うと、ようやく水稲栽培を行う若い即戦力の人材を育てる学科ができたと大変喜んでいました。 また、スマート農業の実践技術、ドローン導入に向けた知識、操縦の実践などデジタルを活用した農業技術の習得にも取り組んでいます。 ドローンの授業については、先日私も見学をさせていただきましたが、一定のスピードと高さで真っすぐ安定的に飛行するという農業に必要な操縦方法を、外部の専門家の指導の下、一所懸命練習をしていました。 ドローンは、農薬の散布に役立つものと認識していましたが、それに加えて、肥料の散布、生育状況などを把握するモニタリング、また昨今、水稲栽培において苗を植えるのではなく、種もみを直接水田にまく直播栽培が注目されていますが、それを行うなど、ドローンの活用は多岐にわたります。 こうしたドローンをはじめとするデジタルの活用は、人手不足の穴埋めに大きく貢献するため、さらなる推進により、日本一のスマート農業県を目指していただきたいと考えます。 また、栽培方法など新たな方法、イノベーションも進んでいます。これまで米を作る水稲栽培は、苗を植える移植栽培が主流でしたが、苗を育てるための人手の確保、育苗ハウスのコストなど、人手不足、物価高騰の昨今では、農家の収益を圧迫する要因ともなっています。 そこで注目されているのが、先ほども触れましたが、苗を植えるのではなく、種もみを直接水田にまく直播栽培です。 県内でも、各地でドローンによる直播栽培の取組が進んでおり、こうした新しい方法も農業大学校に取り入れ、若い力により生産力と収益の上がる農業へと進化させていただきたいと考えます。 さらに、ジャンボタニシによる食害や湿害被害を抑えるべく、畝立て乾田直播栽培など別の方法に取り組んでいる農家もいます。 この畝立て同時乾田直播の機械は、農林水産省所管の農林水産技術会議二〇二三年農業技術十大ニュースの二番目に上げられるなど、全国から高い関心が示されています。 山口県の農家の方も試されたと聞いていますが、この辺りですと機械が熊本県にしかなく、購入するとなると三百万円程度かかり負担が大きいため、山口県の環境で技術的に通用するのか確信の持てない今の段階で、機械を購入してまで取り組むことにはちゅうちょしているとのことでした。 こういった農業のイノベーションにつながる取組に対し、県は農家の皆さんの支援をもう一歩踏み込んだ形、現場の意見をさらに取り入れた支援をすべきと考えます。 例えば、今申しました畝立て同時乾田直播について、山口県でもジャンボタニシの食害に苦しんでおられる水稲農家は多いことから、県の知と技の拠点で一台購入し、農家の皆さんに貸し出して、二から三年程度、実際の現場で試していただくことはできないでしょうか。そうすれば、農家としても新技術導入に伴う設備投資のリスクを回避できるとともに、技術的な確信が持て、本格導入が実現した後は、水稲直播での耕作面積の拡大が可能になるなど、山口県の農業の大きな飛躍になると考えます。 そこでお伺いします。農業におけるドローンなどデジタルの活用について、県の取組状況と稲作の乾田直播栽培など新しい取組への伴走支援、農業のイノベーションの支援についての御所見をお伺いします。 次に、野犬対策についてお伺いします。 山口県、特に周南市は野犬が多く、これまでも咬傷事故や物損など住民の被害も出ております。 しかし、行政、そしてボランティアの皆さんの御尽力により、捕獲と譲渡を徹底して行った結果、処分数が大幅に減少しています。 捕獲数は、平成二十二年度は一千五百四十二頭でしたが、令和五年度は八百三十六頭となり、七百六頭の減少となりました。一方、譲渡数のほうは九十九頭だったものが七百七十三頭となり六百七十四頭の増加、その結果、処分数は一千六百十八頭だったものが二桁の二十六頭となり一千五百九十二頭、九八%も減少しています。 周南市においても、捕獲数は、平成三十年度は七百五十頭でしたが、令和五年度は二百八十四頭と大幅に減少しています。 餌やり禁止のパトロールやクラウド型防犯カメラの設置、野犬のすみかとなる公園や墓地の草刈り、また「Y─BASE」がデータ利用の技術支援を行ったしゅうなん通報アプリの活用など、現場活動、デジタルの活用とあらゆる対策を講じた成果だと考えます。 とはいえ、私の地元の周南市ではまだまだ野犬が多く、さらに踏み込んだ対策、支援が必要と考えます。 周南市に住む方々にタウンマッチというサービスを活用してLINEでアンケートを実施し、百六名の方から回答を得ました。 野犬を見かけたことはありますか、という問いに対しては、よくある、五〇・九%、たまにある、三六・八%と、足すと八七%の方が見かけたことがあると回答しました。 また、被害状況に関しては、追いかけられたりして怖い思いをした、一五・七%、鳴き声や物音がうるさい、も同じく一五・七%、家の前などをふん尿で荒らされた、七・八%と、このアンケートでは咬傷など大きな被害の回答はありませんでしたが、四割近くの方が被害に遭われています。 野犬対策として、充実させるべきは何か、という問いに、最も多い回答が、餌やりの取締り、二〇・〇%だったことも踏まえますと、野犬問題の大きな要因の一つは、餌やりにあると考えられます。 周南市も飼い主のいない動物へのむやみな餌やりを条例で禁止するなど強化をしていますが、それでも餌やりをする人はいます。 ただ、餌やりをする人の気持ちに立って考えると、決して近隣住民に迷惑をかけてやろうと餌やりをしているのではなく、野犬が腹をすかせてかわいそう、私の餌やりによって命を落とさずに済んだという、同情とある種の使命感から餌やりをしているのではと推察します。 であるならば、禁止やパトロールももちろん大事ですが、野犬のままでいるより捕獲されたほうが犬にとって幸せであるという理解増進、周知も重要ではないでしょうか。 処分数はこの十数年で大幅に減少し二十六頭となっていますが、多くの県民はこの努力の結果を知りません。 私の周りでも、この話をすると、捕獲された犬は皆処分されていると思っていたと口をそろえて言います。 この処分数の大幅減は、県のアピールにもつながりますが、捕獲された野犬が処分されず、譲渡先や保護施設で幸せに暮らしていると分かれば、餌やりをされる方も、餌やりよりも捕獲に協力しようという動機づけになるのではないでしょうか。 ただここで重要なのは、捕獲された犬の譲渡、保護の体制強化です。 先日、山口県動物愛護センターを見学させていただきました。このセンターでは、幼児、小学生を対象とした動物とのふれあい教室やしつけ方教室を通じて、命の大切さや責任を持った飼育を教え、また中高生には職場体験の受入れを行い、理解を深めるといった業務を行っています。 また、生まれて数週間のまだミルクで栄養を取る子犬・子猫については、一旦保健所から引き取り、世話、譲渡を行っているとのことで、私が見学した日も子犬一頭、子猫一匹が譲渡されたと伺いました。 動物愛護センターや各保健所、ボランティアの皆さんが行う譲渡会など様々な形で譲渡が行われ、大切な命が守られていることに頭の下がる思いですが、子犬の譲渡は進む一方、大人の成犬の譲渡はなかなか進まないのが実情のようです。 こうした成犬の命を守るため、防府市、周南市などでは動物愛護団体が保護施設を運営しています。動物愛護がより叫ばれる昨今では、捕獲の強化はもちろんですが、譲渡会や保護施設など命を守る体制強化も野犬の減少において重要と考えます。 周南市では今年度から動物愛護団体を対象に、捕獲または保護された犬の譲渡活動費補助金を進めております。大変すばらしい取組ですが、まだまだ予算が少なく、保護した犬の命を守るには十分ではないという話も聞きます。 こうした取組の支援を県でも実施できれば、さらに野犬対策が進むのではと考えます。 そこでお伺いします。野犬対策の推進には、餌やり防止につなげるため、処分数が大幅に減少している現状や譲渡された犬の様子などを広く県民に理解、認知してもらう発信の強化や、捕獲、保護された犬の譲渡活動を行う動物愛護団体への支援の強化が重要と考えますが、今後、県では野犬対策にどう取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 以上で、私の一般質問を終わります。 御清聴、誠にありがとうございました。(拍手) 副議長(島田教明君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)大内議員の御質問のうち、私からは少子化対策についてのお尋ねにお答えします。 少子化の進行は、社会経済の根幹を揺るがしかねない喫緊の課題であり、その主な要因としては、未婚化・晩婚化が挙げられており、この流れを変えるためには、若い世代が結婚の希望をかなえ、安心して子供を産み育てることができる環境づくりを進めることが極めて重要です。 このため、私は、やまぐち結婚応縁センターを核として、出会いから成婚までの一貫した支援に取り組んでおり、これまでもAIによるお相手の提案やオンラインによるお見合いの機能を追加するなど、会員の利便性の向上を図り、九千四百件を超える引き合わせを実現してきたところです。 また、出会いの場の拡大を図る新たな取組として、しものせき水族館海響館において、大規模婚活イベントを開催するほか、県内八圏域において、交流会や婚活スキルの向上につながるセミナーを開催することとしています。 さらに、結婚される方への経済的な支援については、県内約七百店舗の協賛事業所で、結婚や引っ越しに要する費用の割引等の優待サービスが受けられるやまぐち結婚応援パスポート事業を展開し、これまで二千人を超える方に御利用いただいているところです。 お示しの結婚新生活支援事業につきましては、市町において、地域の実情に応じて、国制度を活用して実施されており、県としては、引き続き、情報提供や県内の取組事例の紹介に努めてまいります。 私は、結婚を希望する若い世代がその希望をかなえることができるよう、今後とも企業や関係団体等と連携し、結婚支援の一層の充実に取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 副議長(島田教明君)大江土木建築部長。 〔土木建築部長 大江真弘君登壇〕 土木建築部長(大江真弘君)カーボンニュートラルポートの整備についてのお尋ねにお答えします。 本県の経済を牽引するコンビナート企業は、多くのCO2を排出する石炭火力を主要なエネルギー源としており、脱炭素化への対応と、国際競争力の維持・強化の両立という課題に直面しています。 このため、県では、やまぐち産業脱炭素化戦略を策定し、企業の脱炭素化の取組と密接に関係する港湾において、カーボンニュートラルポートの形成を進めています。 お尋ねの周南コンビナートを抱える徳山下松港では、企業により、脱炭素化に向けたバイオマスやアンモニアの利用拡大に関する取組等が進められていることを踏まえ、港湾脱炭素化推進協議会を立ち上げ、国や企業等と連携して、本年三月に港湾脱炭素化推進計画を策定したところです。 今後は、この計画に基づき、国の助言や支援を受けながら、火力発電所におけるバイオマスの利用拡大を進めるとともに、製品の製造過程で発生するCO2の分離・回収や、発電時のアンモニアの混焼・専焼、これらに必要となる岸壁や輸送・保管施設の整備などについて、検討していくこととしています。 副議長(島田教明君)高林産業労働部長。 〔産業労働部長 高林謙行君登壇〕 産業労働部長(高林謙行君)カスタマーハラスメント対策についてのお尋ねのうち、県内従業員等への実態把握についてお答えいたします。 カスタマーハラスメントについては、令和四年、国において企業向けの対策マニュアルが作成されており、その中で、従業員の尊厳や心身を傷つけ、貴重な人材の損失につながるおそれや、職場全体の生産性に影響を及ぼす可能性があることから、企業に適切な対応を求めているところです。 県としても、労働者が安心して働くことのできる環境の整備に向け、企業が自主的にカスタマーハラスメント対策に取り組むことが重要だと考えております。 このため、各県民局の中小企業労働相談員による事業所訪問時における、国が設置したカスハラ相談窓口の周知や、山口県労働協会等との共催による労働セミナーにおけるカスハラ対策の必要性の啓発のほか、各種労働問題に電話等でお答えする労働ほっとラインでの相談対応を行っております。 こうした中、国がカスハラを含む職場のハラスメントに関する全国調査を、昨年度実施したところであり、県としては、現時点では、実態調査等を行うことは考えていませんが、国の動向も注視しながら、引き続き、企業の自主的な取組が進むよう、カスハラ対策に取り組んでまいります。 副議長(島田教明君)佐藤総務部長。 〔総務部長 佐藤茂宗君登壇〕 総務部長(佐藤茂宗君)カスタマーハラスメント対策についてのお尋ねのうち、県職員への実態把握についてお答えします。 県では、威圧的な言動、不当な要求などの迷惑行為について、人事課や各部局主管課による職場訪問等の機会を通じて、その実態把握に努めているところです。 また、迷惑行為を受けた職員の心のケアを目的に、本庁及び県内各地域にハラスメント相談窓口を設置しており、相談者の意向にも配慮しながら、当該窓口に寄せられた言動や要求の内容を把握できる仕組みも設けております。 県としては、引き続き、こうした取組を通じて、カスタマーハラスメントの実態把握に努めるとともに、働きやすい職場づくりに向けて、効果的な対策の在り方を検討してまいります。 副議長(島田教明君)大田農林水産部長。 〔農林水産部長 大田淳夫君登壇〕 農林水産部長(大田淳夫君)農業におけるデジタル活用とイノベーション支援についてのお尋ねにお答えします。 担い手の減少や高齢化が進む本県において、ドローンをはじめとするデジタル技術の活用や、日々進化する栽培技術の円滑な導入は、農業の生産性向上を図る上で重要と考えています。 このため、県ではこれまで、中核経営体へのスマート農機の実装を支援し、昨年度の段階で二百九十二の経営体にドローンや直進機能付田植機などが導入されるなど、デジタル技術の活用が着実に進んでいます。 また、お示しの、水稲栽培の大幅な省力化が期待できる乾田直播栽培など、新しい技術については、現地での適応性を確認しているところです。 こうした中、深刻な労働力不足や生産コストの増大により、農業経営は厳しさを増していることから、労働力不足の解消に大きく貢献するデジタル技術の普及促進や、経営改善にもつながる新たな栽培技術のイノベーション支援に取り組むこととしています。 まず、デジタル技術の普及促進に向けては、効果が確認されているスマート農機の導入に加え、新技術を活用して経営改善に取り組む中核経営体をモデル経営体として選定し、必要な機械やシステムの試験的な導入を支援します。 また、県や農業機械メーカー等で構成するチームを中核経営体へ派遣する伴走支援を行うほか、取組の成果を広く普及するため、セミナーの開催やデータ活用の手引などを作成します。 次に、新たな栽培技術のイノベーション支援については、農林業の知と技の拠点において、民間企業や大学等との共同研究により、現地の課題に対する解決力を高めることで、新技術の開発を加速化します。 また、開発した技術の普及に当たっては、引き続き、地域の特性に応じた現地実証や実演会等を積極的に実施し、新技術の円滑な導入を支援します。 県としては、本県農業が生産性と持続性を両立した強い産業となるよう、関係団体等と緊密に連携しながら、デジタル活用とイノベーション支援に積極的に取り組んでまいります。 副議長(島田教明君)近藤環境生活部長。 〔環境生活部長 近藤和彦君登壇〕 環境生活部長(近藤和彦君)野犬対策についてのお尋ねにお答えします。 野犬は、飼い犬の遺棄や無責任な餌やりなどにより、特定の地域にすみつき、人に危害を及ぼすおそれがあることから、地域住民に大きな不安を与えています。 このため、県では、市町、動物愛護団体等と連携し、野犬の捕獲や譲渡等に取り組んできたところであり、その結果、野犬の捕獲頭数や通報件数、処分数は年々減少するなど、一定の成果が上がっているものと考えています。 しかしながら、周南市や県内の他地域にも、依然として多くの野犬が定着していることから、県では、犬の譲渡の促進に向けた取組や野犬捕獲の強化など、野犬対策の推進により一層取り組むこととしています。 具体的には、まず、犬の譲渡の促進については、捕獲した犬の譲渡や処分の現状に関する県民の理解が深まるよう、動物愛護センターでの譲渡された犬等を紹介した写真展や、動物愛護団体等と連携したイベントでの活動紹介等の情報発信を強化してまいります。 また、現時点、補助金による動物愛護団体等への支援までは考えていませんが、団体等からの意見も踏まえ、捕獲した犬の寄生虫駆除に加え、昨年度から感染症予防のワクチン接種を各保健所で開始しており、こうした取組により団体等の譲渡活動の負担軽減を図ってまいります。 次に、野犬捕獲の強化については、市町等と連携をした集中捕獲や餌やりへの監視・指導を実施するとともに、捕獲が困難な成犬に大きな成果を上げている大型捕獲おりの遠隔操作システムに技術改良を加え、捕獲効率を向上させたシステムを構築し、周南地域をはじめ他の地域へ導入してまいります。 県としては、県民の安心・安全を確保するため、今後とも、市町や関係機関、動物愛護団体等と連携し、野犬対策にしっかりと取り組んでまいります。