討論
────────────────────── 討 論 議長(柳居俊学君)これより討論に入ります。 討論の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 藤本一規君。 〔藤本一規君登壇〕(拍手) 藤本一規君 日本共産党県議団を代表して、本議会に提出された議案に対する反対討論を行います。 反対する議案は、第一号、十四号、十五号、十七号、二十六号、三十三号、四十九号、五十号、五十八号、七十一号及び七十五号の十一議案です。その他の六十二議案には賛成いたします。 議案第一号は、二〇二五年度山口県一般会計予算です。 総額約七千四百億円の同予算には、避難所環境改善推進事業や県有施設トイレ洋式化など、県民要望を反映した施策もあります。 その上で、反対する理由の第一は、円安等を背景にした法人二税や地方消費税清算金の増加などによる税収増の果実が、物価高騰の影響を受けている県民生活への支援に十分回っていないことです。 第二は、大企業を優遇した予算になっているためです。 産業労働分野の新年度予算案では、補助上限額五十億円の企業立地サポート事業など、産業基盤の整備に十五億六千七百十六万円が計上されていますが、賃金見直しによる人材確保・定着支援事業の予算額は僅か一億九千五百九十二万円にとどまっています。類似の事業を実施している岩手県の予算額は十九億四千万円、徳島県は十一億円であり、見劣りしています。 また、企業の国際競争力強化に資する港湾や幹線道路網の整備に九十一億四千七百十六万円が計上される一方、土木施設維持管理経費は五十九億四千三百六万円と前年度並みにとどまっています。建設資材物価の高騰を考慮すれば実質マイナスと言えます。 第三は、大型開発優先の予算になっているという点です。 新年度予算案に一千四百五十万円の高速交通道路網調査費・山陰道整備促進事業が計上されています。アクセス道路など含めると事業費が一兆円超えも想定される下関北九州道路など、不急の高速道路網整備は見直すべきです。 また、新年度予算案に七億五千三百二十万円の山口きらら博記念公園交流拠点化事業が計上されています。昨年度を加えると十一億六千八百万円となります。山口きらら博記念公園みらいビジョンには、整備未着手の新規事業がまだまだ数多く残されています。 山口ならではの特別な体験創出支援事業補助金を約九千万円支出するグランピング施設が、公園対岸の秋穂二島に今春オープン予定です。ビジョンにあるグランピング施設をはじめ、類似事業は見直すべきです。 議案第五十八号は、二〇二四年度山口県一般会計補正予算です。 補正額は三十九億円ですが、県税は百三億円、地方消費税清算金は六十二億円、地方交付税は七十八億円など大幅な収入増です。しかし、約二百八十億円は安心・安全基盤強化基金及び財政調整基金の積立金に充てられ、物価高騰に苦しむ県民や中小業者への直接的な支援策は不十分なことから反対をいたします。 次に、議案第十四号は、国民健康保険特別会計予算です。 標準世帯の協会けんぽの保険料は二十四万四千円であるのに対し、山口市の国民健康保険の保険料は四十一万八百五十円と大変高額です。国に国庫負担率の大幅な引上げを求めるとともに、約四十億円の県基金を活用して、市町の保険料軽減に充てるべきです。 議案第十五号及び七十一号は、産業団地整備事業特別会計です。 今年度当初予算に計上された二億八千百三十万円は、補正予算で二億五千八百四十六万円減額されています。しかし、新年度には、昨年度を三千二百四十一万円上回る三億一千三百七十万円が計上されています。 私は、宇部市、山陽小野田市にある県関与団地を購入する企業に対し、県と市で八割の用地取得費を補助する産業団地取得補助金の問題点を長い間、指摘をしてまいりました。土地開発公社を廃止した当時の二井知事は、新たな産業団地は造成しないことを公言しておられました。大幅な売れ残りを残し、破格の税金投入を行ってきた反省に立ち、新たな産業団地の造成は慎重であるべきことを指摘をいたします。 議案十七号は、工業用水道事業会計予算です。 小瀬川第二期工水に日量三万二千トンの未事業化分の水源があり、二〇二四年度までに未事業化分に一般会計から負担した総額は百六十四億六千九百万円に上ります。そして、今後もダム分担金、年間四千万円の負担が続くわけです。未事業化分を先行水源とする認識を塩漬け水源に転換し、ダム使用権を国に返還する、このことに尽力すべきです。 私が昨年六月県議会で指摘をした、企業局が何と二〇一七年度から毎年約三千万円を企業誘致関連事業費として一般会計に繰り出している。これは問題です。今年度までの総額は二億四千万円です。企業局が一般会計に繰り出すべきは、未事業化分に対するダム分担金であることは当然です。指摘をしておきます。 議案第二十六号は、知事等の給与及び旅費に関する条例及び山口県議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例です。 議案二十六号は、知事及び県議の期末手当を三・四月から三・四五月にするものです。今議会には一般職等の期末手当を二・四五月から二・五月にする条例改正も提案されています。そもそも勤務成績に左右されない期末手当について、一般職員等と知事等及び県議におよそ一月の差があることは過大であります。よって、この条例改正に反対いたします。 議案第三十三号は、森林の整備に関する費用に充てるための県民税の特例に関する条例の一部を改正する条例です。 本条例は、森林づくり県民税を五年間延長するものです。森林づくり県民税は、個人県民税を年額五百円、法人県民税を年額千円から四万円上乗せして負担を課すものです。加えて、今年度から政府は、森林環境税を一人年間千円徴収しています。今年度から県民は、国と県から森林づくりのために年間千五百円徴収されることになります。国税による森林環境税が導入された今日、二重課税となる森林づくり県民税は延長せず、廃止すべきであることを述べます。 議案第四十九号は、山口県学校職員定数条例の一部を改正する条例についてです。 本条例は、新年度の学校職員を実に百六十九人減員するものです。一般質問で指摘をいたしましたけれども、二二年度の時間外在校等時間が月四十五時間を超える職員の割合は、小学校が三六・一%、中学校が四九・一%、県立学校が二四・七%です。昨年十二月末までの教育委員会全体の二週間以上の男性育休取得率は、知事部局や県警よりも低い三五・九%にとどまっています。また、一か月超の育児関連休暇等の取得率は、知事部局、県警よりも低い二五・六%にとどまっています。 さらに、二二年度の加配教員は五百六十七人でしたが、二四年度の加配教員は三百十四人です。本条例で職員数が減った原因は、学級数等の減少によるものですが、県独自の財政による加配教員を増加させ、教育現場で時間外在校等時間を減らし、男性育休などが取りやすい職場環境を整備することが急務であるということを述べさせていただきます。 議案第五十号は、山口県立高等学校等条例の一部を改正する条例です。 本条例は、新年度から県立岩国高校と下関西高校にそれぞれ附属中学校を設置するものです。文教警察委員会で本条例の参考資料を提示されましたけれども、中学校二校を設置する理由について、大学での高度な学習につながる高い学力に加え、急激に変化する社会の中でも未来を切り開く次代のリーダーとして求められる力を育成することなどとされました。 二〇一〇年に子どもの権利条約の実施状況に関する日本政府の第三回報告を審査していた国連子ども委員会の最終意見は、過度に競争主義的な環境による否定的な結果を避けることを目的として、学校制度及び学力に関する仕組みを再検討することと勧告しています。 県立高校に、高度な学習につながる高い学力づくりを目的とした附属中学校を開設するということは、県教委が子供たちに過度な競争教育的な環境を拡大させることになると思います。国連子ども委員会の日本への勧告に真っ向から逆行するものと指摘をいたします。 文教警察委員会の教育委員会の審議が終わった夕方、さらに十校の全日制県立高校の削減を検討しており、今年九月県議会に素案が提出される見込みとの報道がありました。この報道が事実なら、極めて議会軽視の県教委の姿勢として厳しく抗議をしたいと思います。多様な学びを制限する高校再編を強行的に進める一方、高度な学習につながる高い学力づくりを目的とした進学重視の県立中学校を新設する県教委の姿勢を厳しく批判をしたいと思います。 議案第七十五号は、二〇二四年度の県事業に対する市町負担金を定めるものです。 提案された市町の負担金は三十八事業で総額三十七億円に上ります。繰り返しになりますが、国に対して直轄事業負担金の廃止を求めながら、市町に県事業負担金を求めることは矛盾しています。 加えて、本来、県が担うべき負担を市町に丸投げしている制度があります。それは子供医療費助成制度です。無償化の対象年齢は今年度時点、十九市町のうち十六市町は高校卒業するまでに拡大をし、三市は中学校卒業するまでを対象にしています。 ところが、県は、この二十年間、小学校就学前までに据え置いたままです。県が負担すべきものを市町に肩代わりさせているのです。その上、市町に県事業負担金を課すなど許されません。直ちにこの負担金は廃止すべきです。 次に、請願です。請願一号、二号、三号を不採択とした委員長報告に反対いたします。 請願一号は、日本政府に核兵器禁止条約の調印・批准を求める意見書の国への提出を求めるものです。 日本共産党は、さきの核兵器禁止条約第三回締約国会議に日本政府が参加するよう強く要請すると同時に、同会議に吉良よし子参議院議員と笠井亮前衆議院議員を派遣し、国会議員会議で発言もさせていただきました。 広島で被爆した山田玲子さんは、「いつも遊んでいた友達の家では、子供たち五人がお母さんの帰りを待っていました。原爆投下から二日目に、四つんばいで真っ黒い塊が家に飛び込んできたので、子供たちは黒い犬だと一瞬思ったそうです。しかし、それはお母さんだったのです。お母さんは子供たちのところに来るなり倒れて亡くなり、子供たちが庭でお母さんを火葬しました」と戦後間もなく語っておられます。 原爆は人として死ぬことも、人間らしく生きることも許さない、絶滅だけを目的とした兵器です。いかなる場合にも核兵器が再び使用されないことを保証するには、核抑止ではなく、核兵器をこの世から永久に廃絶するしかありません。 現実的な対応と主張して、核兵器禁止条約を批准しないことは、結局、核抑止力論に立ち、核兵器の使用を前提とした脅しの理論に立って、その危険を人類にもたらし続ける論理です。 日本被団協がノーベル平和賞を受賞する一方で、日本政府が条約に参加しない姿勢は、世界中から奇異なものに受け止められています。請願が主張するように、唯一の戦争被爆国である日本政府が条約締結をすることは、被団協の行動をさらに力強く補強し、核兵器廃絶への大きな希望を世界にもたらします。各議員の賛同を呼びかけます。 請願第二号は、使用済核燃料中間貯蔵施設の上関町への建設に反対することを求めるものです。 請願要旨によると、同施設の最大の危険は、使用済核燃料を貯蔵するキャスク内で核分裂の連鎖反応、臨界が起こることです。地震等でキャスクの振動・転倒が起こり、バスケットが破損する可能性があります。使用済核燃料が臨界を起こせば、キャスクは破壊され、重大な原子力事故となります。 このような危険性をはらんでいる施設であるのに、中間貯蔵施設には、原子力発電所には必要とされている原子力災害対策重点区域の予防的防護措置を準備する区域、緊急時防護措置を準備する区域の策定が必要とされていません。 県民の安心・安全の確保に責任を持つ立場に立ち、中国電力による立地可能性調査の結果を待つことなく、県議会として、使用済核燃料中間貯蔵施設の建設に反対する意見を今、示すべきです。このことを述べます。 請願の第三号は、最低賃金の改善と中小企業支援の拡充を求めるものです。 請願者が指摘するように、日本の最低賃金の低さは、労働者の賃上げを抑制し、年金、生活保護費、公務員賃金など多くに悪影響を与えるとともに、地方から都市部への若者の流出を招いています。また、最低賃金が低い地域の経済を疲弊させ、日本経済をゆがめる原因にもなっています。 世界各国の最低賃金を各通貨の為替レートで換算すると、日本の千四円に対し、イギリスは千九百九十八円、ドイツは千八百八十五円と二倍近い格差があります。最低賃金を直ちに全国一律千五百円に引き上げることは急務です。そのための中小企業への支援について、日本共産党は、この十年間に大企業が増やした内部留保に対して、毎年二%、五年間、時限的課税で約十兆円の財源をつくり、中小企業の賃上げを支援するように提案をしています。 山口県議会として、この請願を採択し、国に意見書を提出しようではありませんか。皆様の賛同を呼びかけて、討論といたします。(拍手)