討論
議長(柳居俊学君)前東直樹君。 〔前東直樹君登壇〕(拍手) 前東直樹君 公明党の前東でございます。会派を代表いたしまして、全ての議案に賛成の立場から、また請願各号には不採択とすることに賛成の立場から討論を行います。 最初に、議案第一号 令和七年度一般会計予算についてであります。 当初予算の編成を前にした十一月、私ども公明党も企業・団体との政策懇談会を開催いたしまして、四十団体を超える皆様から多くの御要望を頂きました。また、必要に応じて、重ねてじっくり要望を伺う機会をつくるとともに、若者、現役世代などの皆様の意見や要望を的確かつダイレクトにつかむため、双方向型の政策アンケート「We connect」を計画するなど、現在も現場の声を政策に反映するため、取組を継続しているところであります。 こうして頂いた要望も踏まえ、公明党山口県議団といたしましては、昨年に引き続き大きな課題である深刻な少子高齢化問題、人口不足問題の解決が急務であること、加えて二〇二六年のデスティネーションキャンペーンといった契機を捉え、国や市町との連携で、さらに本県の観光振興を盛り上げ、新たな魅力を発信し、本県への移住・定着につながる取組なども重要であると考え、令和七年度の予算要望として、合計百二項目にまとめ、一月に村岡知事に提出をいたしました。 新年度予算におきましては、各般にわたる要望に随所に反映をしていただき、県の予算編成を評価しているところでございます。 さて、今回の新年度予算は、村岡知事が掲げる山口ならではの豊かさと幸せを実感できるための、やまぐち未来維新プランによる新たな県づくりへの挑戦を続け、県政の最重要課題である人口減少の克服と、国の地方創生二・〇による多極分散型の経済社会構築に伴う地域間競争に向けて、果敢に挑戦する取組を挙げておられます。 特に、人口減少の克服に向けた取組の充実については、結婚、妊娠・出産、子育ての希望をかなえる環境整備として、昨年度に抜本的に強化された第二子以降の保育料の無償化や、全国トップ水準の不妊治療の経済的負担の軽減をはじめとする少子化対策を基盤として、さらに、母子のウエルビーイングを高める産後ケアや産科医療体制の維持・確保、医療的ケア児や困難を有する子供への支援の実施など、結婚から妊娠・出産、子育て環境の充実に取り組まれております。 公明党といたしましても、これまでも予算要望において、重ねて、切れ目のない伴走型子育ての支援のさらなる推進、困難を有する子供への支援の充実等、重点的にお願いをしておりましたが、このたびの予算案は、知事の子育て支援に対する本気度がさらにうかがえる内容であり、全面的に賛同し、応援させていただきます。 さらに、今回は人手不足が深刻化する地域産業の人材の確保・育成を目指し、若者や女性、外国人など、多くの人材が山口県で暮らし、活躍できるよう、県外、国外への新たな拠点の設置や、新卒・第二新卒の県内就職支援、若者世代への住宅取得支援などの若者の県内就職・定着支援の強化を行うこと。そして、ふるさと回帰に向けた取組として、関係人口の拡大や移住を促進するための体験プログラムの実施、地域での交流や活躍の場となるサードプレイスのモデル創出にも取り組むとともに、多様な人材の確保・育成、魅力ある就労環境の整備を目指すなど、各分野での人手不足対策を強化されています。 なお、結婚、出産、子育ての環境整備については、本県の課題であります男性の育休取得の促進と、夫の育児時間を増やし、夫婦が共に育児に関わる共育て社会の実現が重要であることを、昨年の賛成討論でも指摘したところでありますが、二〇二一年の総務省の調査結果においては、一か月を超える男性育児休業取得率は、全国最下位と厳しい状況にあった我が山口県。県では、昨年一月に育休プランシートを導入し、所属長面談の必須化など改善に向けた取組を進めた結果、昨年に子供が生まれた山口県庁の男性職員の九割以上が二週間以上の育児休業を取得し、ランキングも急上昇だと伺いました。 県の取組が、市町や企業にも育休を取りやすい環境づくりにもつながり、子育てしやすい山口県、子育てに積極的な山口県として、女性を中心とした若者に山口県が大きく変わった実感を持ってもらえることと思います。今後、さらなる取組に期待をしております。 加えまして、今回の予算案には、人口減少の克服に向けた取組と併せて、大きな政策の柱として、成長のエンジンとなる産業力の強化、活力と魅力あふれる地域づくりの推進、新たな時代の人づくりの推進、安心・安全で快適な地域社会の形成を掲げた、将来に希望を持って暮らし続けられる地域社会づくりを挙げられております。 詳細には触れませんけれども、いずれも重要な事項であり、新たな視点で新規事業として果敢に挑戦されている項目もあり、取組の成果が上がっていくことを願っております。 あわせて、新たな行財政改革の着実な推進として、オンライン手続の拡大や県施設のキャッシュレス化をはじめとした業務の効率化、県民の利便性向上、そして県庁舎、県立学校をはじめとする県有施設のトイレの洋式化など、職場環境等の整備にも取り組むとともに、国の経済対策に呼応して、令和六年度二月補正予算と合わせて、県民のニーズを踏まえた、足元の物価高対策等にも対応するなど、このたびの令和七年度一般会計予算が、知事の、県政が直面する諸課題に真正面から向き合い、これを乗り越え、若者、女性をはじめ、全ての県民にとって魅力あふれる山口県を何としても実現していくという強い決意が表れたものと評価するとともに、公明党といたしましても、知事と共に県政発展に尽力してまいる決意であります。 なお、請願各号については、第一号 「日本政府に核兵器禁止条約の調印・批准を求める意見書」の国への提出を求めることについては、残念ながらこのままの内容では採択することには賛成できないという意見を申し上げます。 私ども公明党は、核兵器禁止条約そのものを否定するものではありません。むしろ、日本の国是である非核三原則を国際規範に高めた意義を持つ条約として高く評価をしており、我が党は連立与党の一員として、政府に対して締結国会議のオブザーバー参加を繰り返し強く求めるとともに、党として過去三回、全ての会議へ議員を派遣してまいりました。 しかしながら、現下の国際情勢や条約批准をめぐる状況に鑑みれば、我が国が現時点で直ちに批准することが妥当か否かは慎重に判断せざるを得ません。 唯一の戦争被爆国である我が国の立ち位置は、憲法前文にうたわれております。すなわち、「恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理念を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持」するのであると。 このことから導かれる結論として、我が国こそが各国との誠実な対話を通して、恒久的な世界平和の実現のために主導的な役割を果たすべきということであり、核兵器のない世界の実現のため、現実を見据えた最良かつ具体的な努力を行うべき立場にあるということであります。 核兵器を禁止することは、すなわち核を持っている国が核を廃棄するというアクションを起こすことが絶対条件であります。ゆえに、核廃絶のためには、核保有国を巻き込んでいかなければなりません。 しかし、現時点で核兵器禁止条約に署名している核保有国は一つとしてなく、かえって非保有国との分断が広がっているという現実さえ指摘されています。 こうした現実を直視し、核廃絶を実現するためには何をすべきかを冷静に考えた場合、我が国が果たすべきは、唯一の戦争被爆国という立場から核保有国、非保有国間の相互不信を払拭するための対話をこれまで以上に進めるための橋渡しの役割ではないでしょうか。 本質的な問題は、いかに核保有国を核廃絶に向かわせるかであり、その努力をして将来的な批准に向けての環境整備を行うのであればともかく、核を持たない我が国が先行して、現時点で核兵器禁止条約へ批准をすることが直ちに核廃絶につながるかは、残念ながら疑問なしとしません。むしろ核保有国と同時に批准することのほうがより建設的であり、こうした同時履行の考え方こそ現下の国際情勢に照らして最適解だと考えます。 我々公明党は、ぶれることなく、これまで一貫して核廃絶に向けた現実的な取組を主張してまいりました。そのうちの一つ、「核兵器のない世界」に向けた国際賢人会議、この三月末に第六回最終会合が開催されます。 国際賢人会議は、核兵器国と非核兵器国の双方からの参加者が、それぞれの国の立場を超えて知恵を出し合い、また各国の現職、元職の政治リーダーの関与も得て、核兵器のない世界の実現に向けた具体的な道筋について、自由闊達な議論を行う場として二〇二二年に立ち上げられたものです。 最終会合となる今次会合では、これまで積み重ねられた議論を踏まえて、核兵器のない世界の実現に向けた具体的な方策を検討し、二〇二六年、NPT(核兵器不拡散条約)の運用検討会議に向けた提言を取りまとめるべく、有意義な議論が行われることが期待されております。 このNPTは、核保有国を含む百九十一か国・地域が締結、核保有国にも誠実に核軍縮交渉を行う義務を課しており、核廃絶への基盤となる条約であります。 このように現時点では、こうした核保有国を巻き込んだ現実的な取組、核保有国への具体的なアプローチこそ重要であり、唯一の戦争被爆国という我が国が積極的にその取組をリードしていく役割を果たすことこそ、まさに今求められていると主張するものであります。 以上のことから、地道に環境を整え、核保有国と共に批准することを求めるのであれば格別、核保有国への具体的なアプローチの言及がないままに、単に条約の批准を求める内容であるならば、本請願はその限りにおいて、残念ながら賛成することはできません。 残りの二つにつきましては、既に国政の場において取組が進められ、あるいは現時点では、引き続き推移を見守るべきものであるとの所管の委員会での議論を踏まえまして、改めて不採択とすることに賛成の立場であることを申し添えまして、公明党を代表しての討論とさせていただきます。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)これをもって討論を終結いたします。