1 産後ケア事業のユニバーサルサービス化について 2 健康的な食環境づくりについて 3 新しい林業の取組について 4 新しい時代の起業家育成について 5 資源循環に向けたリサイクルの推進について 6 その他
───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第七十五号まで 議長(柳居俊学君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第七十五号までを議題とし、質疑に入ります。 一般質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 磯部登志恵さん。 〔磯部登志恵さん登壇〕(拍手) 磯部登志恵さん 皆様、おはようございます。自由民主党の磯部登志恵です。 今回の質問に当たり、柳居議長をはじめ、諸先輩方の御協力を頂きまして、今回この登壇のチャンスを頂きましたこと、心から感謝を申し上げまして、早速、通告に従い一般質問を始めさせていただきます。 一点目、産後ケア事業のユニバーサルサービス化についてであります。 二○二一年四月に母子保健法の一部を改正する法律の施行により、産後ケア事業の実施を市町村の努力義務と規定され、少子化社会対策大綱において、二○二四年度末までの全国展開を目指すことが決定され、各地でその推進が図られています。 産後ケア事業は、ユニバーサルサービスであることが、こども家庭庁母子保健医療対策総合支援事業実施要綱に明記され、令和六年十月にガイドラインが改定されました。 ユニバーサルサービスとは、誰もがひとしく利用できるサービスのことをいいます。 これまでの実施要綱を改正し、産後ケア事業の対象者について、「産後に心身の不調又は育児不安等がある者」「その他特に支援が必要と認められる者」から、「産後ケアを必要とする者」に見直されました。 これにより、産後ケア事業が、支援を必要とする全ての方が利用できる事業であることが明確になったわけです。 また、令和七年四月には、改正子ども・子育て支援法が施行され、産後ケア事業を、地域子ども・子育て支援事業に位置づけ、都道府県負担が導入されるとともに、兄、姉、そして生後四か月以降の乳児を受け入れる施設への加算などが創設される予定であります。 今後、都道府県の役割として、実施主体である市町村を広域支援することが期待されており、市町村間の広域連携に向けた調整、情報提供などを行うことが望まれます。 あわせて、都道府県、市町村及び産婦健康診査・産後ケア事業などの母子保健事業の実施機関などが連携するためのネットワーク体制の構築を図ることが期待されているわけであります。 産後ケアは、産後一年までの母子に対しての心身のケアや育児のサポートなどを行い、産後も安心して子育てができるよう支援を行うものであります。適切なケアを受けることで体力の回復を促し、出産や育児に対し幸福を感じ、前向きな考えを持つことができることが期待でき、大変重要なものであると認識しております。 私の住む光市においては、現在、心身ともに不安定になりやすい産後の一週間、医療機関による心身ケア・育児支援、いわゆるショートステイやデイサービスを所得制限なく自己負担無料で実施しております。 また、新年度からは、外出が困難な産婦に対しましても、助産師が自宅に訪問するアウトリーチ、訪問支援が行われる予定であります。 県内においては、十九市町全てで産後ケア事業は実施されておりますが、年々、利用希望者は増加していると聞いています。それぞれの市町において、利用実績には大きな差があると感じています。これは、産後ケアのうち、ショートステイやデイサービスは産科医療機関や助産院の空床を利用するために、地域によって空床提供数に差があることが一つの要因であるとも言えます。 こうした地域差を解消するために、県の役割として新たに位置づけられた広域支援により、各市町内で受皿が確保できない場合に、県が市町の区域を超えた広域的な調整を行い、誰もが必要に応じ、産後ケアが利用できる体制整備が重要であります。 県には、県内どこに住んでいても充実した産後ケアを受けることができるよう、しっかりと後押しをしていただきたい。それが、少子化対策に大きく寄与することは間違いないと考えています。 そこでお尋ねいたします。産後ケアの利用希望者が増加する中で、支援を必要とする全ての方が利用できる産後ケア事業とするため、市町のそれぞれの取組に加え、県が助産師会など関係機関と連携するなど、広域的な調整を行うことが望まれます。今後、県としてどのように産後ケア事業について進めていかれようとするのか、御所見をお伺いしておきます。 二点目、健康的な食環境づくりについてであります。 県では、全ての県民が生涯を通じて、健やかで心豊かに生活ができるよう、健康づくり推進の取組が展開されております。 生活習慣の改善、生活習慣病の発症予防・重症化予防、社会環境の質の向上などによって、健康寿命の延伸を目指すことは、健康づくりを推進するに当たり、最も重要な課題であると認識しております。 健康づくりの取組の中で、私が今回着目している点は、生活習慣の改善、特に食生活についてであります。 人は、赤ちゃん誕生で初めて口にする母乳などから、生涯を通じて健康的なバランスのよい食事を取ることで、健康な体が培われます。食事がいかに大切であるか理解し、食に関する正しい知識や判断力を身につけ、生涯にわたり健全な食生活を実践することが求められているのではないかと考えています。 しかしながら、少子高齢化の進展に加え、単身世帯や独り親世帯の増加などにより、スーパーやコンビニなどで総菜などを購入して食事を取る中食や外食をする人が増加し、家庭や個人の努力のみで、健全な食生活の実践につなげていくことが困難になっている状況にあるように感じております。 そのような中、先日、管理栄養士を目指す山口県立大学の学生と、やまぐち健康応援団の登録飲食店が一緒に、栄養バランスの取れた食事、お弁当が販売されました。 今回は光市の事業者さんということもあり、早速仲間と購入し、頂きました。栄養バランスが考えられ、彩り豊かなお弁当は大変好評でありました。ボリュームもあり、忙しい毎日を過ごしている世代の方にも喜ばれるのではないかと感じました。 生活習慣病の発症には、食塩の過剰摂取や肥満など、食習慣が多大な影響を与えます。このような取組が広がり、誰もが身近でいつでもバランスの取れた食事ができるような、自然と健康になれる食環境づくりができれば、健康寿命の延伸にも大きく寄与するのではないでしょうか。 そのためには、やまぐち健康応援団への登録団体数を増やすことが有効ではないかと考えています。 やまぐち健康応援団とは、県民を対象に、食生活や運動など健康づくりの各分野で主体的な取組を行う事業所や団体等を登録する制度で、登録団体は、県、市町や関係機関と連携・協力を図り、県民の健康づくりを支援しています。こうした団体が増えることで、県民が健康的な食事に出会う機会も多くなるものと推察いたします。 また、先ほどのヘルシー弁当は、企業からの注文も多かったようで、今後は企業で働く従業員の方の福利厚生として、栄養バランスのよいヘルシー弁当を採用していただくといったことも、従業員の健康を守り、そして、生産性を向上させる取組の一つとして考えられるかもしれません。 そこでお伺いいたします。今回のヘルシー弁当販売の取組を契機に、県では、今後、どのような健康的な食環境づくりに取り組まれようとしておられるのか、御所見をお伺いいたします。 三点目、新しい林業の取組についてであります。 山口県では、林業の活性化に向けた様々な取組が進んでおります。特に民間企業が参入しやすい、稼げる仕組みづくりに力を入れておられます。 例えば、付加価値の高い木材の生産として、高品質な県産木材のブランド化を推進し、県内の企業と連携し、山口県産木材の需要を拡大しておられます。 さらに、森林の管理や伐採にICT(情報通信技術)やドローンを活用し、効率的な木材の生産を実現。これにより、少ない人手でも利益を生みやすい環境を整えられておられます。 そのほかにも、バイオマス発電や民間企業との連携強化で、木材の利用の幅を広げています。 森林環境譲与税の活用では、民間企業が林業に参入しやすい資金サポートも充実をしております。 このように、山口県では、林業を持続可能で稼げる産業にするための仕組みづくりが、着実に進められており、民間企業の参入が増えることで、地域経済の活性化にもつながると期待をされています。 国では、森林・林業基本計画で位置づけた、イノベーションで伐採から再造林、下刈りや間伐などの保育の収支をプラスへ転換させる、新しい林業の実現に向け、国有林で生産性向上や低コストの再造林、効率的な鳥獣被害対策などの実証・普及に取り組むこととしています。 県においても、先日、収支をプラスに転換する新しい林業についての研修会が開催されたことについて、新聞記事にも掲載されていました。 それは、林業の担い手不足や厳しい立地条件などを克服するため、林業経営適地に経営を集約し、新技術を活用した機械化やデジタル化、成長が従来よりも一・五倍早いエリートツリーなどの導入により、収支をプラスに転換する新しい林業を目指し、経営モデルの構築に取り組んでいるという内容でありました。 県として、今後、さらに一歩踏み込んだ支援をしていく必要があるのではないかと感じています。 新しい林業の取組が広がることで、森林の整備が進み、農業も潤い、さらには漁業にも大きなメリットをもたらすでしょう。一次産業の充実や鳥獣被害の解決等々、幅広く課題解決につながることは間違いありません。 そこでお伺いいたします。山口県は、林業を稼げる産業にするために、木材のブランド化、ICT活用、民間参入支援、財源確保といった多角的なアプローチが必要であります。今後、新しい林業の経営モデルの構築・普及の取組をどのように考えておられるのか、御所見をお伺いしておきます。 四点目、新しい時代の起業家育成についてです。 昨年、大変興味深い本に出会うことができました。それは、新しい時代の働き方について書かれていたものでした。 労働人口の五○%がフリーランスになる時代がやってくる、これからの時代に備えて、新しい時代の働き方である、アチーバーというアメリカの最先端の働き方について紹介された本であります。 会社に縛られることなく、自分で好きなことを仕事にして自由に働きたいけれど、家族に迷惑をかけたくないので絶対に失敗したくない、ビジネスの経験がないので、起業することに不安がある、起業したいけれど、覚悟が決まらず、もう数年悶々と暮らしている、そんな人にとって、行動を起こす一つのきっかけに必ずなる、という未来を描ける内容でありました。 その本を読まれた方の感想の中に、日本人は世界に通用する価値をたくさん持っていながら、その価値に気づいていません、一時期、クールジャパンという言葉をよく耳にしましたが、クールジャパンは、日本の伝統であったり、ものづくりのエリアにとどまるものでは決してありません、私たちが気づいていないような価値を愛してくれる世界の人たちが大勢いる事実を、私たちはもっと知るべきだと感じます、それこそが、私たちの使命でもあり、ビジネス・エコシステムは、真の多様性、国の枠組みを超えて、文化や経済の拡大を実現するためのすばらしいシステムでもあるとも言えます、という内容でありました。 独り勝ちの時代から、みんなで成功する時代へ。まさに共存共栄の秘密が、ビジネス・エコシステムにはあるということなのです。私自身、様々な活動の中で、もう一歩踏み出すための教科書に出会えたようで、多くのことに気づかされた瞬間でもありました。 山口県においては、これまでにも様々な視点から起業家支援に取り組まれておりますが、東京一極集中の中で、人口減少に歯止めがかからない状況でもあります。 そのような中、住みやすい自然豊かな山口に魅力を感じる若者は多く、起業家支援は若い人の人口流出を食い止めるきっかけにもなります。 さらに、県外に出てしっかり学んでふるさとに帰ってくる若者、魅力ある山口へ住んでみたいという人たちの人口流入にも、必ずつながっていくと考えています。 新しい時代の働き方として起業家を育成支援していくことは、とても魅力的です。そのためには、ビジネス・エコシステムと言われる受皿づくりが、大変重要と考えています。 それは、行政、商工会議所、起業家、民間企業、エンゼル投資家などが連携しながら、起業家を育てるコミュニティーを育成する場所を確立していくことであると考えています。 そこでお尋ねいたします。新しい時代の起業家育成について、受皿づくりとなるプラットフォームを、県はどのように考えておられるのか、御所見をお伺いいたします。 最後の五点目は、資源循環に向けたリサイクルの推進についてであります。 日常生活に欠かせない自動車、冷蔵庫や洗濯機などの家電製品、近年のデジタル社会のベースとなるパソコンやスマートフォン、IoT機器など、ありとあらゆる製品が私たちの日々の生活を支えております。 一方で、こうした豊かで便利な暮らしは、地球が長い年月をかけて生み出してきた石油や石炭など、様々な天然資源を原料として成り立っており、この資源は限りあるものであるということを決して忘れてはなりません。 再生可能エネルギーである太陽光や風力なども、それ自体は無限とも言えますが、エネルギーとして利用するためには、発電設備などのデバイスが不可欠で、その生産にも天然資源の利用が必要であります。 天然資源は一度使ってしまえば元に戻ることはなく、このまま際限なく消費して、再利用することなく廃棄していけば、資源の枯渇だけではなく、地球温暖化や海洋プラスチックごみによる海洋汚染をはじめとした生態系の破壊など、様々な影響を及ぼすことは避けられません。 こうしたスタイルを見直し、将来の世代に安心して豊かに暮らせる社会を引き継いでいくためには、限りある資源を有効に活用し、利用した資源についても再資源化を行い、持続可能な形で循環させていく取組が非常に重要であると考えています。 国においては、プラスチックの使用削減や再資源化を推進するためのプラスチック資源循環促進法や、産業廃棄物などの再資源化の取組の高度化を促進する再資源化事業等高度化法などにより、資源循環の実現を目指しております。 さらに、二○三○年代半ばから廃棄量の急増が想定される、太陽光パネルのリサイクル制度の創設にも検討されており、私も非常に注目している分野でもありますので、今後、県においても適切に対応していただきたいと考えております。 このように、国が様々な分野における資源循環を進めていこうとしている中で、県においても、山口県循環型社会形成推進基本計画に基づき、廃棄物などのリデュース、リユース、リサイクル、いわゆる3Rと言われる普及啓発や技術開発、施設整備の支援など、各種施策に積極的に取り組まれておられますが、再資源化の取組も含め、一歩進んでいく必要があるのではないかと痛感しております。 そこでお尋ねいたします。現在の便利で豊かな生活を私たちの時代で途絶えさせることなく、しっかりと次世代に引き継いでいくため、今後、県では、資源循環に向けたリサイクルの推進について、どのように考えておられるのか、御所見をお伺いいたします。 以上で、私の一般質問を終了させていただきます。 御清聴、誠にありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)磯部議員の御質問のうち、私からは、産後ケア事業のユニバーサルサービス化についてのお尋ねにお答えします。 核家族化や晩産化の進行、地域のつながりの希薄化などにより、周囲の助けを得られにくい状況での出産が増えているとともに、十人に一人が産後鬱になる可能性があるとされるなど、産後の母親を取り巻く環境は厳しい状況にあります。 こうした中、産後ケアは、出産後一年を経過しない母親及び乳児に対して、心身のケアや育児のサポート等を行うとともに、母子の愛着形成の促進や児童虐待の予防などにも資することから、出産後も安心して子育てができる環境づくりを進める上で極めて重要な取組です。 このため、私は、お示しのとおり、少子化対策の一環として、産後の母親の心身を癒やし、出産・育児に対して幸福を感じるとともに、前向きな考えを持つことができるよう、一人一人に寄り添った産後ケアを推進することが必要と考えています。 一方、現在、県内では、産科医療機関等を中心に短期入所やデイサービスが実施されていますが、利用希望者が増加し、産後ケアのニーズがますます高まる中、地域の偏在やその提供量に限界があるとともに、対象が産後三か月までの母子に限定されているなどの課題が生じているところです。 こうしたことから、私は、来年度予算において、県として広域的な調整を担い、新たに県内の宿泊施設を活用した産後ケアの全県的な提供体制の構築に全国で初めて取り組むこととし、希望される方が利用できるよう、産後ケアサービスの充実を図ってまいります。 具体的には、県が宿泊施設の部屋を借り上げ、関係団体と連携して助産師等を派遣することで、産後四か月以上の母子を対象とした産後ケアを提供する場を確保し、専門的なケアや育児相談に加え、母親の休息の場として活用することとしています。 また、こうした取組が円滑に実施されるよう、市町や関係団体で構成する協議会を立ち上げ、産後ケアに関する情報交換を行い、連携体制の構築を図るとともに、質の高いケアを提供できるよう、研修を開催することとしています。 私は、出産後の全ての女性が幸せを実感できるよう、市町や関係団体等と連携して、産後ケア提供体制の充実を図り、安心して妊娠、出産、子育てができる環境づくりに全力で取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)國吉健康福祉部長。 〔健康福祉部長 國吉宏和君登壇〕 健康福祉部長(國吉宏和君)健康的な食環境づくりについてのお尋ねにお答えします。 県民の生活習慣病を予防し、健康寿命を延伸するためには、食生活の改善に取り組むことが重要であることから、県では、これまで、正しい知識の普及とヘルシーな食事の提供を行う店舗等を、やまぐち健康応援団として登録し、健康的な食環境づくりを推進してきたところです。 こうした中、令和四年県民健康栄養調査において、働く世代は中食・外食の利用が多く、栄養バランスに乱れがあることが明らかになったことから、健康的な食事を容易に選択できる環境を整えるなどの取組を強化する必要が生じてきました。 このため、今年度は、新たなヘルシーメニューの開発等の支援を希望する健康応援団登録店舗において、県立大学栄養学科の協力により、栄養バランスの取れた弁当を共同開発し、販売を開始したところであり、お示しのように、地域の方々の好評を得ています。 今後は、登録店舗を増やすとともに、今回の取組を好事例としてホームページで紹介するほか、他の登録店舗に向けて情報発信するなどにより、横展開を図ってまいります。 県としましては、健康寿命の延伸に向けて、市町や関係団体等と連携し、県民誰もが自然に健康になれる食環境づくりを一層推進してまいります。 議長(柳居俊学君)大田農林水産部長。 〔農林水産部長 大田淳夫君登壇〕 農林水産部長(大田淳夫君)新しい林業の取組についてのお尋ねにお答えします。 県では、豊かな森林資源を生かし、林業を稼げる産業にするため、これまで、高性能林業機械の導入支援や、ドローンを活用した資機材運搬の省力化・迅速化等の取組を進め、その結果、木材産出額はこの十年余りで倍増しています。 しかしながら、高齢化等による担い手不足に加え、林業特有の立地条件や作業環境など、今後とも、林業を取り巻く環境は厳しい状況が見込まれることから、林業の構造的な収益向上を図ることが重要と考えています。 このため、お示しの、新しい林業の実現に向けた国の取組に呼応し、今年度から実施している新たな経営モデルの構築について、本県独自の多角的な視点や手法により、取組を本格化させることとしています。 具体的には、まず、複数の事業体をやまぐちフォレストJVとして組織化し、伐採と造林の一貫作業による省力化や、林業機械の効果的な組合せによる伐採量の拡大、枝葉等の林地残材の利用促進による新たな収入源の確保など、大幅な生産性向上が見込まれる現場実証を開始します。 また、こうした取組を進める中で、機械操作技術等の強みを持つ建設業者や農業法人が、新たな事業者として参入できるよう、伐採や下刈り等の実践活動を通じた林業事業体との連携を支援します。 さらに、AI技術を活用し、森林資源のデジタルデータから林業適地を自動的に提案するシステムの開発により、施業地の集約化や速やかな施業着手を進めます。 加えて、県産木材のブランド化に向け、林業事業体と製材工場や建築士等の連携による新たな流通体制を整備し、優良県産木材など付加価値の高い製材品の供給力を強化します。 こうした先導的な取組は、一体的かつ着実に進める必要があるため、まずは、各地域において、新しい林業の経営モデルの実証に取り組み、その成果等から有効な手法を確立し、市町等を通じ、県下全域に普及させることとしています。 県としては、林業を持続可能で稼げる産業にするため、今後とも、市町や関係団体と連携し、新しい林業の経営モデルの構築・普及の取組を積極的に進めてまいります。 議長(柳居俊学君)高林産業労働部長。 〔産業労働部長 高林謙行君登壇〕 産業労働部長(高林謙行君)新しい時代の起業家育成についてのお尋ねにお答えします。 自らの知識・経験や意欲を生かした、新しい働き方を実現する起業家の育成は、地域経済の活性化や雇用の拡大につながる重要なものと考えています。 県では、これまで創業支援として、商工会議所等と連携し、創業前のセミナーや個別相談会の開催、事業化に向けたコーディネーターによる伴走支援、創業時における補助金や県制度融資など、各般の支援に取り組んでまいりました。 また、女性起業家の創出・成長支援や、社会課題をビジネスの手法により解決する社会起業家の育成、急速な成長を目指すスタートアップの創出など、多様な創業の促進も図っているところです。 このような取組の結果、社会起業においては、今年度の社会起業塾の受講生が、民間学童保育や空き家対策に関する事業を起業し、スタートアップにおいても、投資家から出資を受ける受講者が出現するなど、施策の効果が着実に現れています。 一方、幾多の悩みや課題に直面し、起業を諦める方も見受けられることから、様々な分野の専門家によるメンタリングに加え、支援者や他の起業家と交流できる環境を整えていくことも求められています。 このため、市町や各地の創業支援施設に対し、県の産学公金連携コンソーシアムへの参画を働きかけているところであり、これを基盤として、起業家と支援者との関係強化や、事業者間の共創に向けたネットワークの形成に取り組んでまいります。 さらに、社会起業塾の受講生が取り組む、多様な社会課題に応じた支援の強化が必要とされているため、来年度予算において、これまでの伴走支援に加え、関係業界の専門家や先輩起業家等による相談体制の充実を図ることとしています。 県では、今後とも、関係支援機関等と緊密に連携を図りながら、起業家の育成に一層取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)近藤環境生活部長。 〔環境生活部長 近藤和彦君登壇〕 環境生活部長(近藤和彦君)資源循環に向けたリサイクルの推進についてのお尋ねにお答えします。 天然資源の消費を抑制し、持続可能な形で資源を循環させていくことは、環境負荷の少ない循環型社会の形成はもとより、脱炭素化や海洋ごみ等への対策にも資することから、その取組を推進していくことが重要です。 このため、県では、令和二年度に策定した第四次山口県循環型社会形成推進基本計画に基づき、県民に向けては、関係団体、市町等と連携・協働し、廃棄物等の3Rに関する県民総参加の機運醸成や、海洋ごみの回収・処理などの取組を進めています。 また、事業者に向けては、廃棄物をセメント原料としてリサイクルする取組を支援するほか、廃棄物等の3Rに取り組む優れた事業所の認定拡大等により、資源循環型産業の育成を進めています。 こうした中、国においては、昨年八月に循環型社会形成推進基本計画を改定するとともに、プラスチックの再資源化等に関する法整備を進めるなど、資源循環の実現に向けた仕組みづくりを加速化しています。 県としては、こうした国の動きも踏まえ、来年度改定予定の県計画に廃棄物等の再資源化の取組を盛り込んでいきたいと考えており、まずは、ごみとして燃やされ、CO2排出量の多いプラスチックに着目し、資源として有効活用する取組を強化してまいります。 具体的には、来年度から新たに、県内事業者等の技術やノウハウを活用して、プラスチックの回収から再資源化までを一体的に進める実証事業に取り組み、本県独自の資源循環モデルの創出を目指してまいります。 また、引き続き、事業者が主体となる再資源化の取組を充実させるため、産学公連携による事業化支援から施設整備補助、リサイクル製品の普及拡大まで、切れ目のない支援をしっかりと行ってまいります。 なお、お示しの太陽光パネルのリサイクルについては、現在、国において義務化に向けた法整備の検討や技術開発の支援等が進められていることから、国の動きを注視するとともに、事業者からの相談に応じて、必要な助言・支援を行うなど、適切に対応してまいります。 県としては、今後とも、県民や事業者、関係団体等と緊密に連携し、資源循環に向けたリサイクルの推進に積極的に取り組んでまいります。