1 若者に選ばれ続けるウェルビーイングな地域づくりについて 2 障害者支援について 3 子どもの虐待防止について 4 RSウイルス感染症について 5 若者の夢を叶える県内就職の促進について 6 県営住宅の弾力的な活用について 7 その他
議長(柳居俊学君)猶野克君。 〔猶野克君登壇〕(拍手) 猶野克君 おはようございます。公明党の猶野克でございます。通告に従いまして質問をさせていただきます。 初めに、若者に選ばれ続けるウエルビーイングな地域づくりについてお尋ねいたします。 昨年十一月、「真の地方自治を目指して」と題した第二十四回都道府県議会議員研究交流大会に出席し、転職サービス、リクナビ事業を立ち上げた、リクルートキャリアの初代社長である水谷智之氏の基調講演を拝聴しました。 水谷氏は、意志ある若者の育成と地域の持続可能経営の両立を実現するため、二○一七年に地域・教育魅力化プラットフォームの代表理事として、地域みらい留学事業を開始され、隠岐諸島の大人の島留学を地元地域の方々と共につくってこられました。 三島からなる隠岐島前地域の島留学の一つである海士町は、人口約二千三百人、信号機が一か所だけで、コンビニもありません。海がしけると船の往来ができず、物流が途絶えるような何もない島に、年間百二十人もの二十代の若者が、インターンシップで移住する地域に生まれ変わりました。 島前地域に一つしかない県立隠岐島前高等学校は、廃校寸前という危機的状況から、全国各地から生徒を集め、全校生徒百八十人中、半数近くが島外出身者、令和五年度の推薦倍率は約二・八倍と一躍人気校に変貌しました。 なぜ離島の地域が、これほど若者から注目され、集まるようになったのでしょうか。 改革の出発は、高校がなくなることへの危機感だったそうです。進学を希望する高校生が十五歳で島外の高校へ出れば、島への愛着や、いつか戻りたいという気持ちは薄れ、島の文化も経済も全て失うという本気の危機感からでした。 そこで海士町は、東京から優秀な講師陣を呼んで、学習センター、いわゆる公立の塾、寺小屋を立ち上げたり、教科指導のほかに地域課題を自主的に解決するカリキュラムを加えたり、島外の生徒に島全体でサポートし、自主的に運営を任せる寮も始動しました。 今や島外生徒が全校の半数を超える寮生活は、島前高校の魅力ともなっています。 こうした高校の改革の取組と併せて、移住者を受け入れる大人の島留学をスタートされました。 一年間期間限定で、二十歳から二十九歳までの若者を島に受け入れ、島の暮らしと仕事に挑戦するお試し移住です。自治体は、移住者の滞在中の仕事や暮らしをトータルサポートし、島の民間事業者とも協働しながら、新しい事業構築や業務改善に取り組んでもらっています。 移住者には、住まいの提供のほか、働く報酬もあります。 今、都会であふれる多くの若者の中には、仕事でやりがいや自分を必要としている居場所を求めて、都会から地方へと逆流する動きが増えてきました。 本土からフェリーに三時間ほど揺られ、到着する島根県の離島、海士町は、高齢化や人口流出、財政難など、日本の各地で起きている課題を先取りしている課題先進地でもあるとも言えます。 そんな何もない過疎地域であっても、一定期間、暮らし、働き学ぶ経験をしたいという若者が、何を求めているのか。私たちもしっかりと考察していく必要があるのではないでしょうか。 水谷氏の講演で、お試し留学といってもどうせ一年後はいなくなるという、立ち上げ当初は否定的な意見もありましたが、常に百人の若者が滞在している、この価値は計り知れない、若者のエネルギーを感じた島民が重要性を感じるようになった、長くいる人が偉いという空気を感じたら、若者は減っていく、エネルギーを与えてくれる、来てくれただけでうれしいという気持ちが大切、という話がありました。 滞在人口と呼ばれる層の人口創出・拡大、新しい人の還流をつくるのは、具体的に事業を動かし、受け入れる環境をつくっていかなければ、自然発生的に起こることはないと改めて実感したところです。 このたびの質問では、海士町における、地域のみらい留学、大人の島留学の取組を有効な成功事例として御紹介しましたが、本県においても、持続的に地域と関わる関係人口の創出・拡大に向けて、都市部の人を地域に呼び込む取組を行っていますが、さらに若者が求め、気軽に集える居場所を積極的につくっていく必要を感じています。 行ってみたい、住んでみたい、ウエルビーイングが創造される山口県の地域づくりを目指す。こうした積極的な地域づくりの活動が若者の目に触れ、やがては、自然と定着や若者に選ばれる魅力ある地域になると考えます。 そこでお尋ねします。若者に選ばれ続け、ウエルビーイングな地域づくりに向けて、県はどのように取り組まれるのか、御所見を伺います。 次に、障害者支援について、就労選択支援についてお尋ねいたします。 障害には、様々な種類があり、特性も対応方法もそれぞれ異なります。 各障害について正しく理解して、誰もが生き生きと過ごしやすい社会や環境づくりが求められています。 障害者の中には、自分に障害があることを隠して、一般就労で働いておられる方もいます。 職場の同僚や上司から理解が得られず、孤立するケースも少なくありません。 一方、自分に障害があると知らずに御苦労されるケースもあり、特にグレーゾーン、発達障害の方などは、不得意な面が浮き彫りとなり、コミュニケーションや作業面でつまずいてしまうことも多く、自己肯定感を失い、離職することもあります。 障害者本人が就労先や働き方について、よりよい選択ができるよう、本人の希望、就労能力や適性等に合った選択を支援する就労選択支援制度が、本年十月からスタートすることになりました。 この制度は、就労を希望する障害者本人が、就労選択支援事業所と協同して、知識・能力評価や就労の意向を整理し、今後、就労系障害福祉サービスを利用するのか、一般就労への方向に向かうのか、より本人の希望に合った選択を円滑に実施することが目的ですが、就労の選択は、御本人にとっても大きな人生の分かれ目でもあります。 したがって、能力評価や就労意向といったアセスメントの実施がとても重要であり、そのアセスメント結果を踏まえて、どのサービスを利用し、就労形態に進んでいくのか、就労選択支援事業所の責任や障害者本人と伴走して取り組む専門員の能力がとても重要な鍵となります。 さらに、就労継続支援A型・B型、就労移行支援事業所との連携はもとより、特に一般就労を選択する場合、ハローワーク等との連携は、行政の縦割りを超えて、より横串、横断的で密接な連携が必要となります。 さらに、障害者本人が、ハローワーク等、就労先に直接相談に行くケースもあり、その場合の対応をどうするのか、このプロセスを経て就労先にマッチしなかった場合、どのようにフォローアップしていくのかなど、本年十月以降、制度開始からもよりよい運用を目指して改善していく必要があると考えます。 そこでお尋ねします。今回の就労選択支援制度は、障害者にとって、よりよい就労先や働き方を選ぶ上で重要な制度であると考えます。これまでの就労支援の取組に加え、目前に迫った本年十月の新制度開始に向け、周知や人材の育成、関係機関との連携や支援体制の構築など、県はどのように取り組まれるのか、御所見を伺います。 次に、就労パスポートについてお尋ねします。 冒頭申し上げたとおり、御自身の障害によって、人とのコミュニケーションや作業でつまずいてしまい、離職されるケースもありますが、こうしたトラブルを未然に解決する一つとして、厚労省が作成した就労パスポートがあります。 この就労パスポートは、障害のある方が、働く上での自分の特徴やアピールポイント、希望する配慮などについて、支援機関と一緒に整理し、事業者側などに分かりやすく伝えるためのツールとなっています。 この就労パスポートには、これまでの職務経験や仕事上のアピールポイント、体調管理や希望する働き方、どういうときにストレスを感じるのか、コミュニケーション面でも、読み取りは苦手だが、相手の気持ちや考えは理解できる、自発的に話しかけられないので、慣れるまでは話しかけてほしいなど、きめ細かく内容を記載していきます。 これを作成することによって、障害者本人は、自分の特性や特性に合った職種の選択が可能になります。さらに、採用する事業者側や職場の同僚にとっては、障害者が希望する配慮が明確になるため、障害者の特性を理解する情報ツールとなります。 作成に当たっては、障害を開示することのメリット・デメリットを正しく理解し、本人だけではなく、就労移行支援事業所や地域障害者職業センター、ハローワークなどのサポートや支援機関ともパスポートの情報を共有し、求職活動や就職時、さらには職場定着に向けての支援体制の構築が必要であります。 さらに、まだ一般的に就労パスポートの認知度が低く、障害者本人への情報提供はもとより、県内の企業や事業所、障害者雇用団体などへの周知や理解促進も不可欠です。 先日、ある経営者と懇談した際、社員の特性を理解できていれば、障害の有無にかかわらず適切な対応ができる、むしろ得意な能力を生かして、一人一人の活躍する場を増やすことができる、ぜひ、就労パスポートの推進をしていただきたいとの力強い御意見を頂きました。 そこでお尋ねします。本年十月の就労選択支援制度の開始に向け、就労パスポートが、本人、支援機関、事業者でしっかり認知、活用されることが重要であり、とりわけ、事業者の理解の醸成、ハローワークと事業者の連携促進に県の支援が欠かせないと感じますが、県は、この就労パスポートの普及、利用促進に向けて、どのように取り組んでいかれるのか。障害の有無にかかわらず、誰もが安心して、求職活動や就職時、さらには職場定着に向けて取り組んでいただきたいと考えますが、県の御所見を伺います。 次に、子供の虐待防止についてお尋ねします。 本県においては、仕事、育児、家事の両立可能な社会の実現を図るため、育休取得や共育て職場の環境づくり、子育て世帯の雇用創出・拡大を図る企業に対する支援、また平日に学校を休めるラーケーションなど、職場や学校、家庭の子育て環境づくりに、村岡知事が先頭に立って、積極的に取り組んでおられるところです。 特に少子化対策は、待ったなしの状況にあり、今年度から第二子以降の保育料の無償化など、本県独自のこれまでにない思い切った施策を展開され、抜本強化に取り組まれており、高く評価しておりますが、県外への多くの女性人口流出などにより、少子化に歯止めがかからない状況にあります。 その一方で、全国の児童虐待相談対応件数は、最新の令和四年度において、約二十二万件と毎年過去最高を更新しており、先日、県が公表した令和五年度の山口県の児童相談所における児童虐待相談対応件数の速報値においても、過去最高を更新し、八百五十二件と、前年度より百六十四件も増加しており、子供やその保護者、家庭を取り巻く環境は大変厳しいものとなっています。 全ての子供は、適切な養育を受け、健やかな成長・発達や自立が図られることなどを保障される権利があります。子供の健やかな成長に影響を及ぼす児童虐待の防止は、社会全体で取り組むべき重要な課題であり、児童虐待の発生予防はもちろんのこと、早期発見、早期対応、その後の保護、自立支援に至るまで切れ目のない対策を強力に進める必要があります。 こうした中、国は、児童虐待の相談対応件数の増加など、子育てに困難を抱える世帯がこれまで以上に顕在化している状況を踏まえ、子育て世帯に対する包括的な支援のための体制強化を行うため、令和四年六月に児童福祉法を改正し、今年度より市町において、母子保健と児童福祉の両分野の一体的な相談支援を行う、こども家庭センターの設置を努力義務とするなどの支援の充実が図られています。 あわせて、同年十二月には、国の新たな児童虐待防止対策体制総合強化プランが策定され、児童相談所や市町の体制強化、専門性の強化など、児童虐待防止対策の強化に向け、国、自治体、関係機関が一体となって必要な取組を強力に進めていくこととされています。 県においても、こうした国の動きに呼応し、相談支援体制や地域子ども・子育て支援事業の充実、市町の取組の促進や児童相談所など、県や市町、関係機関との円滑な連携等を進めていく必要があると考えます。 そこでお尋ねします。全ての子供が健やかに育つ地域社会をつくるために、県は子供虐待防止対策について、今後どのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、RSウイルス感染症についてお尋ねします。 RSウイルス感染症は、RSウイルスによって引き起こされる呼吸器感染症です。特に乳幼児や高齢者、免疫力が低下している人は重症化しやすい病気と言われています。 二歳までにはほとんどの子供が感染し、特に乳児が感染すると気管支炎や肺炎などを起こして重症化することがあるため、感染を避けるための注意が必要と言われています。 さらに、慢性呼吸器疾患等の基礎疾患を有する高齢者においては、急性の重症肺炎を起こす原因となりますので、こちらも注意が必要です。一度RSウイルスに感染しても、一生のうちに何度も感染すると言われています。 こうしたことから、厚労省では、感染予防対策として、定期接種化に向けて検討を進める動きも出てきました。 このRSウイルス感染症は、乳幼児の入院原因として危険視され、近年、徐々に認知度が高まってきましたが、症状が一般的な風邪に似ており、普通の風邪と思われやすく、インフルエンザや新型コロナウイルスと比べると、まだ認知度が低い状況です。 また、臨床症状のみでは疾患の識別が困難ですが、インフルエンザや新型コロナを検査するときに使用する検査キットでは、インフルエンザウイルス、新型コロナウイルスと同時に、採取した検体から、RSウイルスを区別して検出できるそうです。 改めて、RSウイルス感染症の危険性を周知し、リスクを理解した上で、きちんと検査をすれば検出できることや、適切な対処方法について認知度を高める必要があると考えます。 また、多くの県民が、こうしたウイルスが引き起こす感染症の正しい知識を身につけ、感染予防などの関心を平時から高めることは、次の新たな感染症による健康危機への備えにつながる重要な取組であると考えます。 そこで、県にお尋ねします。RSウイルス感染症をはじめとした様々な感染症への正しい知識を持ち、適切な対処をするため、県ホームページの活用や関係機関との連携による周知啓発などにより、県民の感染症に対する意識の向上に努める必要があると考えますが、県の御所見を伺います。 次に、若者の夢をかなえる県内就職の促進についてお尋ねします。 二月初旬、福岡で開かれた職業体験フェスタに参加させていただきました。 日本全国に専門学校等を展開する滋慶学園が主催となった催しでしたが、福岡県や福岡県教育委員会、福岡市教育委員会が後援となり、二日間で約三千名の小中学生、高校生など、県内外から若者が集う大きな体験型イベントを視察させていただきました。 会場には、ゲーム・CG・デザイン・イラスト・漫画・AI・ホワイトハッカー分野、音楽・ダンス・エンターテインメント分野、スポーツ・医療・福祉分野、動物・海洋・ペット・自然環境分野、美容師・ヘアメイク分野、製菓・パン・カフェ・調理分野、ブライダル・ホテル・エアライン・観光分野などの約五十種の仕事が一堂に会し、各ブースで直接働く人の話を聞いたり、物を作ったり、触ったり、進路相談したりと、イベントを通じて目を輝かせ、吸収する多くの子供たちや若者の姿がありました。 この催しを参加者側で捉えれば、こんなことも仕事にできるのか、とやりたい仕事の発見や憧れの仕事のイメージを持つことにつながります。 一方、専門学校や企業、自治体の立場でいえば、実は他県に出なくても、これだけの業界の仕事が、地元で学び、働くことができるというPR、地元や他県からの生徒の確保、そして若者の地元定着につながるという両側面のメリットがあります。 二○二二年度の調査データでは、二十六歳以下、いわゆるZ世代と呼ばれる若者の転職動向は、五年前の約二倍となりました。 若者の就業意識は、新卒の段階から、テレワークを活用したい、就業後もスペシャリストではなく、ゼネラリストとして、新しいことへのチャレンジをしつつ、プライベートも重視できる環境が欲しい等、旧世代にはなかった別の新しい価値観が生まれています。 一方、企業側は、多様化する選択肢の中で、変容する若者のキャリア観に向き合わなければ、離職につながってしまうリスクが高まります。 私たちが住む、愛する山口では、どんな仕事があるのか、どんな専門学校があり、何が学べるのか、そして山口で生まれ、選び住んだ若者は、今、何を考えているのか、もっと山口の若者を知ることが、未来の子供たちを育て、郷土の支えにつながるのではないか、その大きな意義を感じた催しでありました。 そこでお尋ねします。県では、多くの専門学校があり、企業、事業所がありますが、幅広いPRや若者のやりたい仕事の発見につなげる取組が重要であり、大型イベントの開催も有効な手段の一つとして、県内就職の促進につながると考えます。今後、県としてどのように取り組まれるのか、御所見を伺います。 最後に、県営住宅の弾力的な活用についてお尋ねします。 県営住宅をはじめとする公営住宅の目的は、居住の安定を通じて、入居者の生活を支え、高齢者や障害者、子育て世帯などの生活を支援する施策と連携し、福祉の向上に寄与しています。 さらに、自然災害などで住居を失った人の一時的な住まいとして活用されることもあり、安定した住環境を提供する役割を果たしています。 しかし近年、入居者の高齢化や空き住戸の増加などが公営住宅の課題となっており、入居者の減少に伴う家賃収入の減少や共益費の減少にもつながり、公営住宅の財政負担も増大しています。 こうした中、近年、国土交通省の通知により、地域における住宅に対する多様な需要に対し、当該地域における居住の安定を確保するため、本来の入居対象者の入居が阻害されない範囲内で、地域の実情に応じ、弾力的に公営住宅を活用できるよう措置が図られています。 全国的な事例では、若年単身世帯やUIJターンにより地域に居住する者、また中小企業の社宅利用や教育者、民間保育士資格者、外国人技能実習生の入居など、様々な活用事例があります。 山口県においても、このような取組は有効であり、ニーズも存在すると考えています。 最近では、大学と包括連携協定をし、公営住宅の学生入居事業に取り組む自治体が増えてきました。入居資格・条件は様々ですが、毎月一回程度のコミュニティー活動に参加することや、団地自治会に加入し、自治会活動に参加することなどを入居条件に加え、団地や地域コミュニティーの活性化を目的にしています。 大学の専門性を生かした講座を開き、学生たちと公営住宅の未来をつくる姿が各地で広がっています。 私が聞いている中では、薬学部の実務実習やインターンシップ等の要望もあります。 薬学生は、医療現場における実務実習が必要ですが、学生の実習先は、通うための移動時間や金銭的負担から、大学や自宅に近い場所に限定されるケースが多く、実習先に地域的な偏りが出てしまう傾向があります。一時的でも県内各地に住居が確保できれば、県内広範囲で、より魅力的な実務実習が可能となります。 県薬剤師会からも、五年生の薬局・病院実務実習を県内広範囲で受入れ可能とする環境整備の推進という要望が提起されております。 さらに、県外出身者の学生インターンシップ先の近くを滞在場所として提供いただけないかなどの要望も多く、県営住宅は県内各地に存在しており、弾力的な活用により、こうした事例での活用が可能となれば、今後、学生も選択先が増え、薬学部卒業生や県外学生などの確保や県内定着につながることも期待されます。 そこでお尋ねします。県営住宅においても、多様な需要に対し、地域の実情に応じた弾力的な活用を期待したいと考えますが、県の御所見を伺いまして、私の一般質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)猶野議員の御質問のうち、私からは、若者に選ばれ続けるウエルビーイングな地域づくりについてのお尋ねにお答えします。 少子高齢化と人口減少が急速に進む中、地域の持続可能性を高めていくためには、都市部等に暮らす若者を地域に積極的に呼び込むことが重要です。 そして、呼び込んだ若者の地域への定着を図る上からも、お示しのように、若者がやりがいを持って暮らし、自分が必要とされているという幸せを感じることができる、そうしたウエルビーイングな地域づくりが求められていると考えています。 私は、こうした考えの下、地方での仕事や地域づくりに関心を持つ若者を、本県に呼び込むための取組をさらに強化するとともに、若者が自らの力を発揮し、幸福感を得られる場を地域につくる取組も新たに進めてまいります。 まず、若者の呼び込み強化に向けましては、これまでも東京に設けた、山口つながる案内所等により、本県での暮らしの魅力や、地域との交流プログラムなどの情報を積極的に発信し、都市部の若者と地域とのマッチングを行ってきました。 その結果、東京や大阪の大学生が定期的に本県を訪れ、地域の住民と交流しながら、農作業に従事したり、空き家調査のフィールドワークを行う事例なども生まれています。 今後は、新たに設ける福岡での拠点も生かし、都市部の若者へのアプローチを一層強化するとともに、若者と地域のつながりを深め、継続的な関係の構築につながる、年間を通じて多頻度な来訪を促進する新たなプログラムも実施していきます。 こうした取組を、関係人口の拡大のみならず、将来の二地域居住や移住も視野に入れながら、一体的かつ効果的に推進してまいりたいと考えています。 また、若者の幸福実感につながる場づくりに向けては、現代の若者が、社会貢献ややりがいを求める意識が高いことを踏まえ、そうした若者が集い、仲間と共に活躍できる場を地域につくってまいります。 具体的には、来年度新たに、多様な若者が気軽に集まり、年齢や職業等の垣根を越えて交流する、サードプレイスのモデルづくりを進めます。 サードプレイスでは、若者自らが、様々な地域づくり活動やイベントなどを企画するほか、夏休みなどに、進学や就職で県外に暮らす若者と、地域の若手社会人が交流するプログラムも実施し、ここを若者の活躍の場にするとともに、ふるさと回帰の入り口にもしてまいります。 私は、こうした場が地域にあることは、若者が地域を選ぶ際のインセンティブとなり、また、同じ価値観を持つ若者が次の仲間を呼ぶ、そうした好循環をつくることにもつながると考えており、優れたモデルをつくり、それを県下各地に広げていけるよう取り組んでいきます。 私は、市町や関係団体と連携を図りながら、都市部の若者を関係人口等として本県に呼び込むとともに、若者が地域づくりに携わる新たな仕組みの構築を通じて、若者に選ばれ続けるウエルビーイングな地域づくりを積極的に進めてまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)國吉健康福祉部長。 〔健康福祉部長 國吉宏和君登壇〕 健康福祉部長(國吉宏和君)障害者支援に関する御質問のうち、就労選択支援についてのお尋ねにお答えします。 障害のある方にとっての就労は、単に経済的自立にとどまらず、生きがいや社会とのつながり、自己実現、地域での障害のない人との相互理解の促進などの観点からも重要です。 このため、県では、障害者いきいきプランに障害特性に応じた就労支援を重点施策として位置づけ、就労支援事業所における工賃向上や就労の場の拡充、一般就労への移行・定着に向けた支援に取り組んでいるところです。 こうした中、お示しのとおり、本年十月からアセスメントの手法を活用し、本人の希望、就労能力や適性等に合った選択を支援する就労選択支援が新たなサービスとして創設されます。 県では、これまで、事業者説明会等の機会を通じ、関係者に対し、新たな制度の概要等について情報提供に努めてきたところですが、今後、国から具体的な運用等が示され次第、速やかに周知を図ってまいります。 また、サービスの提供に際して不可欠となる人材の育成については、国が行う支援員養成研修への積極的な参加を促すとともに、関係機関との連携等について助言を行うなど、就労選択支援サービスの円滑な導入・実施に向けて取り組んでまいります。 県としましては、今後とも、障害者が積極的に社会参加し、地域で自立した生活ができるよう、市町や事業所等の関係機関と密接に連携しながら、就労支援の一層の充実に努めてまいります。 次に、子供の虐待防止についてのお尋ねにお答えします。 児童虐待は、子供の人権や生命に関わる重大な問題であることから、虐待を未然に防止するとともに、早期発見・早期対応につなげることが重要であると考えています。 このため、県では、お示しの児童福祉法の改正など、国の動向を踏まえ、児童相談所の体制強化や市町の取組促進、関係機関等との連携強化に積極的に取り組むこととしています。 まず、児童相談所の体制強化については、これまでも、児童福祉司等の専門職員の増員や警察官の配置等に取り組んできたところであり、さらなる体制強化に向け、来年度、新たに親子関係再構築支援員を配置し、親子関係の修復や再構築等の専門的な支援を実施することとしています。 また、市町の取組の促進については、こども家庭センターの設置促進に向け、その中核を担う統括支援員など市町職員等に対し、虐待対応等に関する専門研修を実施するなど、引き続き市町の取組を支援してまいります。 さらに、市町や警察、教育、医療等の関係機関との連携強化については、関係機関等の職員を対象とした実践的な研修の開催や、要保護児童対策地域協議会における情報共有等を通じ、関係機関等が緊密に連携を図りながら、虐待防止に的確に対応してまいります。 県としましては、次代を担う子供が安心して健やかに成長できるよう、児童虐待防止対策の強化に積極的に取り組んでまいります。 次に、RSウイルス感染症についてのお尋ねにお答えします。 RSウイルス感染症をはじめとする様々な感染症による健康危機のリスクが顕在化する中、お示しのとおり県民の感染症に対する意識の向上は、次の新たな感染症危機へ備える上で必要であると考えています。 このため、県では、昨年度改定した感染症予防計画に基づき、広く県民に対し、感染症についての正しい知識や情報を積極的に発信するとともに、その流行状況に応じ適切な行動を促すための周知啓発などに取り組むこととしています。 具体的には、まず、今年度、県感染症情報センターのホームページをリニューアルし、様々な感染症の病原性や感染経路などの正しい知識に加え、感染症ごとの県内各地域での流行状況や、感染症に向けて留意すべき取組などの情報を、分かりやすく発信しているところです。 また、来年度は新たに、県医師会等と連携し、特に注意すべき感染症について、その流行状況に応じて、特徴や必要な対策等についてSNSで動画配信するなど、効果的な手法により周知啓発を図ってまいります。 県としましては、関係団体等と連携し、RSウイルス感染症をはじめとした健康危機から県民を守るため、県民の感染症に対する意識の向上に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)高林産業労働部長。 〔産業労働部長 高林謙行君登壇〕 産業労働部長(高林謙行君)障害者支援についてのお尋ねのうち、就労パスポートについてお答えします。 障害者が希望する職につき、職業を通じた社会参加のできる共生社会を実現するためには、一人一人の特性や能力に応じて働くことができるよう、障害者雇用に対する理解促進を図ることが重要です。 このため、障害者雇用に関する知識や情報を掲載したガイドブックの配布や、障害者の雇用と定着を推進する職場リーダーを養成する講座などを通じ、障害者の雇用に向けた企業の取組を促進してきたところです。 特に、議員お示しの就労パスポートは、障害者が自身の特徴やアピールポイント、希望する配慮などをまとめ、事業主等に説明する際に活用できるツールであり、就労支援機関において、障害者の意向や特性に応じて活用されています。 こうした中、今年十月に開始される就労選択支援制度では、就労選択支援事業所が障害者本人と協同して、就労に関する適性や知識、能力の評価や就労に関する意向等の整理を実施することとされています。 このため、就職や職場定着に向けては、障害者が自分自身の理解を深め、その情報をしっかりと伝えていくことが重要であることから、円滑に情報共有のできる就労パスポートの活用がさらに進むよう、積極的にその周知に取り組んでまいります。 まず、企業に対しては、職場リーダーを養成する講座において、就労パスポートの活用事例の紹介等を行うとともに、各県民局の中小企業労働相談員による事業所訪問を通じて、就労パスポートの認知度向上を図ります。 また、就労支援機関に対しては、サポートを必要とされる方へ、より適切な支援を行えるよう、関係機関との連絡会議において、就労パスポートが障害者と企業をつなぐ有効なツールであることを周知するとともに、一人でも多くの障害者に活用を提案するよう、働きかけを行ってまいります。 県といたしましては、障害者の自己理解の促進と、その情報の円滑な共有により、特性や能力に応じ、希望する職で働き続けることができるよう、関係機関と連携し、就労パスポートの普及、利用促進に取り組んでまいります。 次に、若者の夢をかなえる県内就職の促進についてです。 県内企業の人手不足が深刻化する中、本県産業の将来を担う人材を確保していくためには、若者に県内の学校や企業を知ってもらい、将来のやりたい仕事の発見につなげていくことが極めて重要です。 このため、県では、大学リーグやまぐちや県専修学校各種学校協会等と連携し、高校生を対象に、県内の大学や専門学校に加え、仕事や企業の魅力を伝える、県内進学・仕事魅力発信フェアを開催しており、今年度は百三十三のブースを設け、来場者は約千九百人に上ったところです。 また、県内の様々な企業や団体による技術や製品を生かしたものづくりが体験できる、やまぐちJOBフェスタを開催し、今年度は子供やその保護者などの参加者が約四千人に上るなど、大きな成果を上げたところです。 さらには、多くの若者に県内企業の魅力が伝わるよう、若者に受け入れられやすい情報発信にも取り組んでおり、VR映像による企業見学では、累計四十五万回を超えるアクセス、また、メタバースを活用した企業紹介を昨年九月から先月末まで実施し、延べ十七万人を超える来場者となるなど、注目を集めています。 こうした中、今年度実施した若者や子育て世代に対する県民実感度調査等において、若者はあまり県内企業を知らない一方で、企業を知っているほど就職先として魅力を感じ、また、高校時代までに地元企業を知っている人ほど地元へのUターン希望が高いという結果が出ております。 このため、県では、来年度、多くの若者の参加が期待できる大型イベントの継続に加え、VR企業見学の企業数の拡大など、デジタルを活用した情報発信の強化とともに、小学生から高校生までの各年代に対応した新たな取組を展開していきます。 具体的には、小学生向けに様々な仕事体験ができる、こどもシゴト博や、中学生向けに友達同士や親子で参加して県内企業の魅力を体感してもらうバスツアー、普通科高校生向けに県内企業との協働による企業課題解決プログラムを実施し、若者と県内企業のつながりを創出してまいります。 県としては、今後とも、県内の学校や企業、関係団体等と緊密に連携し、若者の夢をかなえる県内就職の促進に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)大江土木建築部長。 〔土木建築部長 大江真弘君登壇〕 土木建築部長(大江真弘君)県営住宅の弾力的な活用についてのお尋ねにお答えします。 県営住宅をはじめとする公営住宅は、公営住宅法に基づき、住宅に困窮する低額所得者に提供するものです。 一方、本来の入居対象者の入居が阻害されない範囲内で、国の承認により、例えば、地域外から移住を希望する者等に対して、公営住宅を弾力的に活用することが認められています。 本県では、近年、県営住宅の応募倍率の低下や空き住戸が増加する中、弾力的に活用することは、県営住宅の有効活用が図られるとともに、地域における居住の安定の確保にも寄与するものと考えています。 このため、最重要課題である人口減少対策などに資する施策の推進に向けて、住宅の確保の観点から、県営住宅の利活用を検討することとし、昨年度から全庁的にニーズの把握を行ってきたところです。 こうした中、今年度、本県への移住を検討する若者・子育て世帯を対象に、お試し暮らし住宅として県営住宅の活用を開始し、県内三地域で提供しています。 今後は、全国の活用事例を周知するなどにより、さらにニーズの掘り起こしを行い、その上で必要に応じ、個別の事情に合致した県営住宅の活用ができるよう、取組を進めてまいります。 県としては、こうした取組を通じ、住宅に対する多様な需要に対応するため、地域の実情に応じた県営住宅の弾力的な活用を図ってまいります。 ───◆─・──◆──── 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩をいたします。再開は、午後一時の予定でございます。 午前十一時二十六分休憩