1 ガストロノミーツーリズムについて 2 Mine秋吉台ジオパークのユネスコ世界認定について 3 自然公園の更なる魅力向上について 4 地域包括ケアシステムの推進について 5 道路交通安全対策について 6 その他
議長(柳居俊学君)中本喜弘君。 〔中本喜弘君登壇〕(拍手) 中本喜弘君 皆様、改めましておはようございます。自由民主党の中本喜弘です。移籍後、初登壇の機会を頂き、柳居議長はじめ、会派先輩諸氏に感謝いたし、通告に従い一般質問をさせていただきます。 まず、ガストロノミーツーリズムについてお伺いいたします。 山口県では、観光立県を目指し、インバウンドを含めた交流人口を拡大し、観光産業を含めた地域振興に力を入れ、多様な施策を展開していることは承知しております。昨今のインバウンドのトレンドは、都市部や有名観光地から、より日本が感じられる気候風土や歴史、また、地方色豊かな食や文化等へ興味・関心が移り、地方への来訪が増えてきています。そのトレンドの獲得に力を入れている都道府県や市町村が増えつつあります。 まさに山口県もそうした流れをしっかりとつかみ、より多くの人々を山口県へと誘客し、新たなファンを増やしていくことが必要と考えます。その中で、トレンドの先端を行くガストロノミーツーリズムの視点は大変重要ではないでしょうか。豊かな自然や食文化や歴史にも秀でた山口県には大きな可能性があると感じています。 まず、ガストロノミーツーリズムとは、その土地の気候風土や歴史、習慣、伝統によって育まれた食や食文化に触れ、楽しむことを目的としたツーリズムです。 ガストロノミーはフランス語で美食学、美食術を意味し、特定地域の料理や調理スタイルを指すこともあります。ガストロノミーツーリズムでは、本格的、伝統的、革新的な料理体験のほか、地域の産地訪問などを行うのが特徴です。 ガストロノミーツーリズムは、二〇〇〇年代に入ってから学問として、また、メディアにも取り上げられるように世界で注目されています。世界の市場規模は百兆円に上る可能性もあると試算されています。 世界の中で、日本はコンパクトな国土に多様な食文化が集まり、世界の美食家たちからは聖地と呼ばれるまでになっており、地域に想定外の経済効果を生むなどと、国も注目し、新時代の日本の観光の可能性を示唆しています。 NHKでも昨年十月二十二日のクローズアップ現代で、美食が地方を救うとして、富山県の南砺市の過疎の村、利賀村の地元で取れた熊肉と山菜、地元契約農家が育てた生後九十日のひな鳥などの食材を使ったレストランを紹介しています。そのレストランを訪れる食のインフルエンサーの中国人女性を取材し、彼女らのSNSでの発信により海外富裕層の美食家たちへ情報が伝わり、海外から年間千人が訪れるとの事例を紹介しています。 また、駿河湾に臨む静岡県焼津市に、前田さんという鮮魚店のオーナーが行う神経締めを魚の鮮度を保つ日本の水産業の神業として、わざわざその魚を扱うレストランに海外観光客がこぞって食べに来ている事例を挙げています。そうしたインバウンド観光客それぞれが、渡航費、日本国内の移動費、宿泊費、食費など数十万から数百万円の経費をかけて地方に観光に訪れていることになります。 このトレンドをしっかり経済、地域振興につなげるために観光庁も二〇二二年度から地域一体型ガストロノミーツーリズムの推進事業を開始し、この事業は、地方公共団体、観光地域づくり法人──いわゆるDMO、農業、漁業、飲食業、宿泊業等の様々な関係団体等が連携し、ガストロノミーツーリズムに取り組むことで、観光分野の経済波及効果を地域全体で最大化することを目的とした調査事業です。各地域の実証事業においては、申請団体が地域の様々な関係団体等と連携し、優良事例の創出を図るとともに、地域課題の把握や、今後、必要な対策の検討を行います。 また、食に関する専門家を派遣し、付加価値の高い新たな地産地消メニュー・コンテンツ、食体験造成、磨き上げ等に取り組んでもらうとして、地域公募を開始し、外国人旅行者からの需要が高い、日本の食について、魅力的なガストロノミーツーリズムコンテンツを造成し、インバウンド誘客を高めるとともに、地方誘客を促進する取組を推進しています。 昨年度の採択事例は石川県小松市の株式会社小松まちづくり、世界を魅了するジャパンクタニと石川の海山の幸の美味しいフュージョン歴史ある日本遺産を発信し五感で味わうガストロノミーツーリズム事業、また、京都府宮津市の、天橋立ガストロノミー?神が育んだ海底湧き水の恵を食す?、岡山県井原市の、星空×シェフ×地域ブランド食材×伝統工芸五感で匠を楽しむ世界認証の饗宴「美星アーティザン・ツーリズム」など六事業が採択されています。 そこでお尋ねします。山口県でも観光立県を目指す中、交流人口や関係人口の拡大に向けてこうした取組が重要と考えますし、本県の数ある観光資源、食、文化も十二分にガストロノミーツーリズムに対応できると思いますが、そうした資源の掛け算で新たな観光需要を掘り起こすことが必要と思いますが、ガストロノミーツーリズムの現状認識と今後の取組についてお尋ねします。 次に、Mine秋吉台ジオパークのユネスコ世界認定についてお伺いいたします。 昨年十月、Mine秋吉台ジオパークのユネスコ世界認定に向けた国内推薦が決定しました。県の御支援もあって、令和元年に続く二度目のチャレンジによって、ようやくかなった朗報であり、地元美祢市では新年度から本格化する審査に向けて力が入ります。 我が会派の畑原議員の代表質問でも触れられた錦帯橋の世界遺産登録のように、本県固有の優れた文化、自然を適切に保全しながら後世につなぎ、その価値を全世界に発信・アピールしていくことは、本県の知名度の向上に加え、これを核とした様々な地域振興策を可能にします。例えば、周辺地域への観光やワーケーションなどの交流・周遊の促進をはじめ、県内の農作物や海産物、特産品の消費拡大など、減少する人口の中でも、広域的に様々な分野で活力を生み出すことのできる大変有意義かつ波及効果の高い取組などです。 こうしたことから、これまでも県から美祢市に対してジオパークの世界認定に向けて御支援を頂いてきましたが、このたび発表された県の当初予算案において、新たに予算が措置されたことは地元議員としても大変喜ばしく感じています。 今後、美祢市において着実な成果を上げ、全県的な効果として波及させるとともに、県内各地域が持つ様々なポテンシャルが相乗効果として引き上げられていくことに大きな期待を寄せています。 しかしながら、実際の現場に足を運んでみると、地域資源が持つ華やかな印象の裏には、切実な課題が実在することも事実です。秋吉台でいえば、トイレや歩道、サインなどの施設・設備の老朽化に対応する財源不足、担当セクションのノウハウやマンパワーの不足といったような様々な負担が生じています。 こうした課題は美祢市に限ったものではなく、また、各地域のシンボルを高める取組が県内の活性化につながっていく可能性を踏まえると、基礎自治体のみでは解決できない課題に対し、広域自治体の責務として、県が寄り添い、共に解決を目指し、支援していく必要性を強く感じているところです。 令和八年度に結果が示されるジオパークの世界認定は、まさに今後一、二年に正念場を迎えますが、各国の有力地との競争は極めてハードルが高く、新たにクリアしなければならない課題も生じてくるように聞いています。審査が進む年度の途中でも、これらに迅速かつ的確に対応していかなくてはなりません。 また、県をはじめ、自治体間の広域的連携も評価の重要なポイントになってくることから、県による積極的な参画と全体調整機能などの必要性がますます高まってきます。 秋吉台が全県活性化に向けた総有財産と位置づけられるのであれば、人材も予算も臨機応変に持続的に投資していかなくてはならないと考えます。 県と美祢市の協働によって、世界ジオパークの認定を本県の活性化につなげていただきたいと思うのであります。 村岡知事には、秋吉台ジオパークの世界認定に向けて、引き続き、御支援をお願いするとともに、今後どう取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 次に、自然公園のさらなる魅力向上についてお尋ねします。 山口県は、中央部を東西に中国山地が走り、日本海、響灘、瀬戸内海と三方が海に開かれ、多彩で豊かな自然を形成しています。この雄大な自然を背景に、私の地元、美祢市の秋吉台国定公園をはじめ、県内八か所の自然公園を有しており、これまでも多くの人々に自然との触れ合いをもたらしてきました。 県では、昨年七月に改定した、生物多様性やまぐち戦略において、生物多様性に対する理解促進と行動変容を促すため、自然との触れ合いや体験できる機会を提供する拠点として自然公園やビジターセンターを位置づけているところです。 しかしながら、県が設置したビジターセンターは、新しいものでも開設から二十年以上が経過し、施設の老朽化や設備の故障、展示の陳腐化などにより、利用者は減少傾向、伸び悩みの状況にあります。 例えば、秋吉台ビジターセンターでは、広大な秋芳洞の全体像を再現した大型模型や洞内の雰囲気を味わえる展示エリアなどがありますが、案内パネルの情報が古いままであったり、日本語のみの説明になっていますし、屋外ステージは、長年の雨風により床板が破損し利用禁止になるなど、残念ながら本来の魅力を発揮できておらず、また、多言語化など時代に対応できていないのではと感じています。 ビジターセンターを含む自然公園は、優れた自然を保護するとともに、生物多様性の保全に対する意識を醸成することにより、豊かで貴重な自然財産を将来の世代に引き継いでいくことが本来の目的であると理解しておりますが、それと同時に、アウトドアツーリズムといった観光コンテンツとしての利用を促進することで、地域の活性化に向けた拠点にもなり得るものと考えます。 本県においては、令和八年度のデスティネーションキャンペーンの開催が、また、先ほども申し上げたとおり、Mine秋吉台ジオパークのユネスコ世界ジオパーク認定に向けた国内推薦が決定しているところです。 国内外における本県の注目度が高まり、多くの来訪者が期待されている今こそ、ハード・ソフトの両面から、自然を学び体験できるコンテンツのブラッシュアップを図ることで、本来の魅力を取り戻し、さらに高めていくことが必要なのではないでしょうか。 そこでお尋ねします。人々の自然に対する意識の涵養や地域の活性化に向け、今後、県では、ビジターセンターを中心とした自然公園のさらなる魅力向上にどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、地域包括ケアシステムの推進についてお尋ねします。 二〇二三年九月三日の山口新聞の記事で、「訪問介護二百二十カ所休廃止」との見出しで、全国の市区町村社協が運営する訪問介護事業所が過去五年で約二百二十か所が休廃止され、一三%減と報じられていました。 都市部では、民間事業者との競合を理由に撤退するケースもあるようですが、多くはヘルパーの高齢化や人手不足、さらに地方においては、訪問先への移動距離が長く、事業の効率化が難しいため、事業収支の悪化などが響いているのが現状です。 採算面で民間が受けたがらない事業から、公的な性格を持つ社会福祉協議会などの社会福祉法人が撤退すると、支援を必要としている方にサービスが行き届かなくなることが心配されます。 私の地元、美祢市の社会福祉協議会の訪問介護事業についてお話をお聞きすると、以前は訪問介護事業の赤字補?を他事業で賄えていたが、今は基本財産を切り崩し補?しているとのことで、訪問介護利用者の最後のとりでとして踏ん張っている社会福祉協議会が、事業からの撤退も考えざるを得ないと、切実な状況にあるとのことでした。 こうした中、今後、さらなる高齢化の進行により、様々な医療・介護ニーズを有する高齢者や、高齢単身世帯、認知症の方などの増加が見込まれており、訪問介護事業をはじめ、介護サービス事業全般で需要が増大している一方で、介護人材不足が喫緊の課題であり、いかにして高齢者を支えるサービスを必要な方に届けるかが重要になっています。 二〇〇〇年に開始された公的介護保険制度の創設により、家族に代わって社会全体が介護を担う、介護の社会化が進みましたが、今後、人手不足などによる供給不足で必要なサービスを利用できない状況が発生した場合には、家族介護への逆戻りの状態に陥りかねません。親の介護を理由に早期に労働市場から離脱、いわゆる介護離職をすることは、今後ますます生産年齢人口が減少していく我が国にとって大きな損失となります。 こうしたことも見据え、国は、二十年ほど前から、地域包括ケアシステムと銘打って、公的なサービスだけでなく、地域の力を活用しながら高齢者を支える体制を構築し、要介護状態になっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるようにすることを目指してきました。 本県においても、これまで、やまぐち高齢者プランに基づき、いわゆる団塊の世代の方々が全員七十五歳以上となる今年、さらに団塊ジュニア世代の方々が六十五歳以上となる二〇四〇年を見据えて、医療、介護、予防、住まい、生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムを構築されてこられました。 本県は、高齢化の進行具合や社会資源の多寡において地域特性があり、それぞれの地域特性に応じた対応がなされていると思いますが、高齢化が大きく進行し、医療や介護といった生活に必要な社会資源が乏しい中山間地域や僻地こそ、地域包括ケアシステムの役割が重要であると考えます。 人手不足が深刻化する中でも、訪問介護事業所はじめ、介護サービス事業所は、今後とも、地域における介護ニーズに応える基本的な基盤であり続ける必要がありますが、少子高齢化が加速し、介護の担い手がますます不足する現代において、地域で一体的に高齢者を支援する体制は、さらに充実させていかなくてはなりません。 もちろん高齢者自らも介護予防や重症化予防に積極的に取り組んでいく必要があると思いますが、元気な高齢者がボランティアなどで地域包括ケアシステムに参画することで、社会とのつながりを深め、地域の中で役割を持ち、自分らしく生きるための一助となるのではないでしょうか。 そこでお尋ねします。今後、さらなる少子高齢化の進行により、医療・介護の複合的なニーズを有する高齢者が増加する中、高齢者が可能な限り住み慣れた地域で安心して暮らしていけるよう、また、医療や介護などの必要な支援を受けることができるよう、県は地域包括ケアシステムの推進にどのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 最後に、道路交通安全対策についてお尋ねします。 交通安全対策は、歩行者や運転者の安全を確保し、事故を減らすために大変重要です。 主な対策として、カーブミラーの設置や見通しの悪い交差点の改良、歩道やガードレールの整備により歩行者と車両を分離し安全性向上を図ること、また、横断歩道や信号機の設置を行い歩行者が安全に渡れるようにする、交通標識や路面標示を適正化することで視認性を向上させ適切な注意喚起を促すなど、道路のインフラ面の整備が挙げられます。 それから、制限速度の設定と見直しや、住宅街や学校周辺では速度制限を強化すること、また、一方通行や右折禁止の設定を適切に行い、事故を減らすための交通流の最適化を図ること、駐車規制の徹底により違法駐車を減らし見通しを確保する、交通規制と管理ではITS(高度道路交通システム)、AI、IoTを活用し、リアルタイムで交通状況を管理する、また、通行者検知信号で歩行者がいるときにのみ信号を変えるシステムの導入や、自動運転技術の導入支援を行い交通事故のリスクを低減するなどの技術を活用した安全対策があります。 また、学校での安全教育により子供たちに交通ルールや安全な歩行方法を指導し、高齢者向け講習では交通ルールの再確認や運転能力のチェックを行い、また、企業向け安全運転講習を実施することにより業務用車両を使用する企業への安全教育を行うなど交通安全教育の徹底が挙げられます。 それから、スピード違反や飲酒運転の厳罰化による事故の原因となる違反行為を防ぐこと、警察のパトロールを強化し交通違反の抑止効果を高めること、ドライブレコーダーの活用を推奨することで証拠を確保し、危険運転を抑止するなどの取締りの強化が対策となります。 最後に、住民参加型の安全対策として地域住民が危険箇所を報告し行政と協力して改善、また、スクールゾーンの設置など通学路の安全を確保するための取組、交通ボランティアの活用など地域社会との協力体制などが挙げられます。 県警察や土木建築部では、所管ごとにこうした多面的な取組を積極的に推進されており、大変感謝しております。 年々公共交通ネットワークが先細りしていることもあり、高齢者が運転免許返納をちゅうちょしてしまう場合が多いのが現状ではないでしょうか。高齢者が多い本県では、歩行者や自転車の安全確保や高齢ドライバーの安全対策などが重要な課題と言えます。 こうした安全対策の中で、県民、市民から私の事務所に最も多く寄せられるのがインフラ整備に関しての要望です。例えば、県警察の所管では、横断歩道や規制の黄色い中央線、一時停止の道路標示が消えていること、土木建築部の所管でも同様に、中央線や外側線が消えて視認できないとの要望などです。標識についても、草木が邪魔して視認できない箇所も散見されます。 私も還暦を迎え、加齢により徐々に運転中に怖いなと思うことが増えてきました。特に、薄暮や夜間、それに降雨が加わると、なおさらです。当然、高齢ドライバーも同じように感じているとお話をお聞きします。あわせて、なかなか改善が追いついていないとの声も聞かれます。 もちろん予算にも限りがあり、危険度が高い箇所から優先的に改善していくことに異論はありません。しかしながら、なかなか改善が進まない箇所も存在しており、住民の中には不安を覚えていらっしゃる方もいらっしゃいます。県警察も土木建築部もそれぞれ警察署や事務所がありますが、管轄内の整備の必要な箇所を把握し、常に情報を更新していかなければ、住民の不安に応えられないと考えます。 そこでお尋ねします。課題箇所の調査や全体把握、順位づけの見直しを適切に行い、計画的に交通安全対策に資するインフラ整備に取り組んでいくべきと考えますが、御所見をお伺いします。 以上で私の一般質問を終わります。御清聴、誠にありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)中本議員の御質問のうち、私からは、Mine秋吉台ジオパークのユネスコ世界認定についてのお尋ねにお答えします。 Mine秋吉台ジオパークは、約三億五千万年前に誕生し、地球と生命の記憶を今にとどめる、世界的にも貴重な地質遺産であり、日本最大級の美しいカルスト台地、秋吉台や、日本屈指の大鍾乳洞、秋芳洞をはじめ、様々な見どころにあふれた、本県の誇る観光資源でもあります。 昨年十月には、その地質遺産としての価値とともに、地域の保全活動や学術研究・教育分野での活用、国内外からの来訪者にその価値を伝える取組などが高く評価され、ユネスコ世界ジオパークの認定に向けた国内推薦が決定されました。 来年度は、ユネスコ審査員による現地審査などが行われる予定であり、非常に重要な時期を迎えることとなります。 世界ジオパークへの認定は、地元美祢地域の振興はもとより、インバウンドの拡大など、県全体への高い波及効果が期待できることから、私は、美祢市や関係団体等と連携を図りながら、その実現に必要となる取組を積極的かつ集中的に進めてまいります。 具体的には、現地審査等に係る経費負担への支援に加え、県内外における知名度向上に向けた山口宇部空港へのPRブースの設置や、Mine秋吉台ジオパークが持つ国際的・歴史的価値を伝えるための市の歴史民俗資料館等の展示内容の充実など、美祢市が進める様々な取組を支援していきます。 また、Mine秋吉台ジオパークの新たな魅力の創出にもつながる、アウトドアツアーのワンストップサービス拠点の整備や、ジオツアー、ケイビングツアーの企画・販売などの取組に対しても、重点的な支援を行ってまいります。 さらに、ジオパークを本県のワーケーションの重要なコンテンツにも位置づけ、ジオをテーマとする親子ワーケーションなどを展開するとともに、ジオパークのエリア内にある県有施設・設備の機能強化や改修などの取組も進めることとしています。 加えて、お示しのように、今後、ユネスコの審査等の過程で、新たな課題への対応が必要となることも想定されることから、引き続き、美祢市とも情報共有を図りながら、昨年新たに庁内に設置した支援組織等により、認定に向けてしっかりと対応してまいりたいと考えています。 私は、今後も、美祢市や関係団体等と緊密に連携をしながら、本県が誇るMine秋吉台ジオパークが、世界的に価値あるものと認められ、それを国内外からの誘客拡大など、美祢地域、そして、本県のさらなる発展の起爆剤となるよう、ユネスコ世界認定の実現に向けて、積極的に取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)道免観光スポーツ文化部長。 〔観光スポーツ文化部長 道免憲司君登壇〕 観光スポーツ文化部長(道免憲司君)ガストロノミーツーリズムについてのお尋ねにお答えします。 本県に多くの観光客を呼び込み、インバウンドを含めた交流人口の拡大を図るためには、地域ならではの歴史や文化に関わりの深い、食をテーマとしたプロモーションは非常に有効であり、お示しのガストロノミーツーリズムは本県観光にとって重要であると考えています。 このため、県では、山口DCに向けて県内各地域で磨き上げを図る食文化体験が、ガストロノミーツーリズムを志向する方に観光目的として選ばれるものとなるよう、地域の特性を生かした付加価値の高いグルメコンテンツの創出と、本県の誇る食の魅力発信に取り組むこととしています。 まず、地域の特性を生かしたグルメコンテンツの創出については、庭園を眺めながら室町時代の料理を味わうプランや、重要文化財の家屋での抹茶体験など、食に歴史や文化を掛け合わせて付加価値を高めたコンテンツを各地域で磨き上げることとしています。 また、高級食材のウニをふんだんに使った海鮮うにしゃぶや、県内のブランド鶏を様々なアレンジで味わうチキンステーキなど、特色ある御当地グルメを次々に開発しているところであり、今後は全県的な展開を図り、山口の新たな食文化としての定着を目指します。 次に、食の魅力発信については、SNS等を活用した情報発信をはじめ、旅行会社への旅行商品造成の働きかけ、海外メディアを招いた視察ツアーの実施など、本県の食文化体験の認知度を高め、国内外からの誘客につなげていきます。 県としては、今後とも、市町や関係団体等と緊密に連携し、食や歴史、文化など本県の観光資源を掛け合わせながら新たな観光需要を掘り起こし、観光立県に向けた交流人口や関係人口の拡大を図ってまいります。 議長(柳居俊学君)近藤環境生活部長。 〔環境生活部長 近藤和彦君登壇〕 環境生活部長(近藤和彦君)自然公園のさらなる魅力向上についてのお尋ねにお答えします。 自然公園は、国や地方を代表する優れた自然の風景地が指定されたものであり、県では、自然公園法に基づき、保護と利用の増進を図るため、開発行為に対する規制を講じるとともに、利活用のための公園施設の整備を行っています。 とりわけ、公園施設の中核である県内四か所のビジターセンターにおいては、自然に関する博物展示や環境学習会などを通じて自然保護の啓発に取り組んでいますが、お示しのとおり、施設・設備の老朽化が進むとともに展示内容が古くなり、利用者数も減少傾向にあります。 こうした課題に対応するため、ビジターセンターの役割である自然との触れ合いの機会の提供機能を充実させることに加え、観光振興など地域活性化も目指して、施設の特徴に応じた対策を進めることとしています。 まず、秋吉台と角島のビジターセンターについては、生物多様性保全の機運醸成に向けた拠点施設と位置づけ、来年度予算において、ハード・ソフトの両面からのアップデートに着手することとしています。 具体的には、秋吉台の鍾乳洞や角島の豊かな海など、それぞれの自然環境を生かし、VR体験設備の導入や多言語化に対応した展示施設を整備するとともに、子供から大人まで楽しめる体験プログラムを構築するなど、多くの人が自然に親しみを持ち、快適に触れ合えるよう施設の充実を図ります。 特に、両施設は県内有数の観光地に位置することから、新たな展示内容等を検討するワーキンググループに観光関係者を加え、観光振興の視点も取り入れたコンテンツのブラッシュアップに取り組んでまいります。 また、市のキャンプ施設に併設している豊田湖と須佐湾のビジターセンターについては、県と地元市相互の施設の一体的な運営が期待できることから、市への移管に向けて、老朽化した施設の改修内容や、さらなる利活用方策の検討を進めてまいります。 さらに、ビジターセンター以外の展望台や公衆トイレなどの公園施設についても計画的に改修を行い、安心して気軽に訪れることができる自然公園づくりを進めることで、人々の自然に対する意識の涵養と地域の活性化を図ってまいります。 県としては、国内外の多くの人々に山口県の自然をこれまで以上に、知って、発見して、楽しめる機会を創出できるよう、今後とも市町や関係団体等と緊密に連携を図りながら、ビジターセンターを中心とした自然公園のさらなる魅力向上により一層積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)國吉健康福祉部長。 〔健康福祉部長 國吉宏和君登壇〕 健康福祉部長(國吉宏和君)地域包括ケアシステムの推進についてのお尋ねにお答えします。 高齢化が進行し、医療や介護の需要の増大・多様化が見込まれる中、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けるためには、医療、介護、予防、住まい、生活支援を一体的に提供する地域包括ケアシステムの推進に取り組んでいくことが重要です。 とりわけ、お示しの中山間地域等においては、人口減少や高齢化の急速な進行により、医療や介護などの必要なサービスやその担い手の不足が生じていることから、限られた事業者による効果的な医療・介護サービスの提供や、生活支援サービスの充実が必要となっています。 このため、まず、効果的な医療・介護サービスの提供については、訪問看護と介護サービスを一体的に提供する事業所の設置を計画的に進めるとともに、中山間地域等における介護報酬の加算制度や事業所の人員・設備基準等の緩和制度を活用し、市町と連携して介護サービスの確保に努めています。 こうした取組に加え、介護事業所が持続可能で充実したサービスを提供できるよう、来年度から新たに、ICT等の介護テクノロジーを活用して業務の効率化やサービスの質の向上に取り組む事業所への支援を重点的に行うこととし、そのための補助制度を大幅に拡充することとしています。 次に、生活支援のサービスの充実については、地域で不足しているサービスの創出等を行うコーディネーターや担い手を養成するとともに、市町や老人クラブ等と連携し、元気な高齢者が地域を支える担い手となる取組を支援してまいります。 県としましては、こうした取組を通じ、市町や関係団体等と連携しながら、中山間地域をはじめ、県内全域にわたり、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けていくことができるよう、地域包括ケアシステムの推進に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)大江土木建築部長。 〔土木建築部長 大江真弘君登壇〕 土木建築部長(大江真弘君)道路交通安全対策についてのお尋ねのうち、道路管理者の取組についてお答えします。 県では、全ての人が安全に安心して移動できる環境を確保するため、道路の維持管理について、地域の課題やニーズを踏まえ、一定の予算の中で、効果的・効率的に行っているところです。 このうち、道路管理者が設置している区画線については、日々のパトロールや道路利用者からの情報提供等により、摩耗や劣化の状況を把握した上で、交通量の多い箇所や歩道のない通学路など、現地の状況を踏まえ、緊急性や重要性の高い箇所から、順次更新しています。 こうした中、AIによる画像処理により摩耗等の状況を判定するシステムを導入し、点検作業の効率化を図るとともに、点検結果を踏まえ、昨年三月に策定した、山口県区画線維持管理計画において、区画線更新の方針を定めています。 現在、この方針に基づき、計画的に区画線を更新しているところであり、今後は、AIによる点検・診断を定期的に実施し、現地の状況を正確に把握することで、より効率的な区画線の維持管理に取り組んでまいります。 また、草木の繁茂への対応については、道路巡視のほか、土木建築事務所に寄せられる道路利用者からの情報や、毎年、学校や警察などと合同で実施する通学路点検等により、危険度や優先度の高い箇所を適切に把握した上で、こうした箇所の草刈りなどを重点的に実施しています。 さらに、秋吉台など主要な観光地ヘアクセスする道路等においては、地域住民の方に加え、県外からのドライバーなどの安全にも配慮し、関係市町等からの要望を聞きながら、必要に応じて、複数回の草刈りなどを行っています。 県としては、引き続き、道路利用者の安心・安全の確保のため、所要の予算を確保し、交通状況や地域の実情等を踏まえ、交通安全対策にも資するインフラ整備に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)熊坂警察本部長。 〔警察本部長 熊坂隆君登壇〕 警察本部長(熊坂隆君)交通安全対策に資するインフラ整備に関するお尋ねのうち、横断歩道など道路標示の維持管理について、お答えいたします。 横断歩道や一時停止をはじめとした交通規制の道路標示につきましては、交通の安全と円滑を図り、交通事故を防止する上で重要な役割を果たしており、適切な維持管理を行っていく必要があります。 横断歩道につきましては、昨年末現在、県内に七千九百九十七か所あり、令和五年度は五百八十か所を補修しております。 また、黄色実線の追越しのための右側部分はみ出し通行禁止規制につきましては、昨年末現在、県内に五百三十一区間、距離千二百五十二キロメートルあり、令和五年度は、五十三区間、距離約三十九キロメートルを補修しております。 なお、本年度は、いずれも昨年度と同程度の補修を予定しているところでございます。 御指摘の道路標示の補修を要する箇所につきましては、日々の警察活動のほか、道路管理者等からの情報提供、地域住民の方々からの御要望などにより把握しております。 また、県警察では、専門の保守業者と委託契約を締結し、横断歩道や一時停止などの標識、これらに附帯する停止線などの標示について、年間で一巡する点検を行う中で、道路標示の摩耗箇所を把握しているほか、標識柱の傾きや標識が草木で隠れて見えづらいなどといった異状があれば、必要な措置を講じているところであります。 こうして把握した補修を要する箇所については、必要に応じて現地調査を行い、摩耗の程度、交通事故の発生状況、交通量等を総合的に勘案し、通学路をはじめ、子供、高齢者、障害者の方々が利用する施設付近など、優先度の高いものから順次補修を行っております。 しかしながら、日々の摩耗により補修を要するものが生じているところであり、優先度はもとより、摩耗状況によっては部分的に補修するなど、予算の効率的な執行によってより多くの箇所の補修を進めているところであります。 県警察としましては、安全・安心な道路交通環境の構築のため、横断歩道をはじめとした交通安全施設の計画的な整備及び不断の見直しを行うとともに、必要な予算の確保に努めてまいります。 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩をいたします。再開は、午後一時の予定でございます。 午前十一時四十一分休憩