1 人手不足対策について 2 県職員の人材育成・確保について 3 産業脱炭素化の推進について 4 スポーツの推進について 5 不登校児童・生徒への対応及び支援体制について 6 その他
───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第七十五号まで 議長(柳居俊学君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第七十五号までを議題とし、質疑に入ります。 一般質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 森繁哲也君。 〔森繁哲也君登壇〕(拍手) 森繁哲也君 皆様、おはようございます。自由民主党会派の森繁哲也です。令和七年二月定例会、今議会も登壇の機会を頂きました。柳居議長をはじめ、議員諸兄姉の皆様に心から感謝を申し上げ、通告に従い一般質問を行います。 まず初めに、人手不足対策についてお尋ねをいたします。 先日、厚生労働省から二〇二四年の出生数が発表をされました。九年連続で減少し、外国人を含む速報値で過去最少の約七十二万人となっており、日本人に限ると七十万人を割る公算が大きいとのことです。八十万人を切ったのが二年前の二〇二二年でしたので、改めて少子化の進行は危機的な状況にあると痛感をしています。 特に本県は、全国に比べて早いペースで人口減少と少子高齢化が進んでおり、進学や就職による若者の県外流出がそれに拍車をかけています。 人口減少による弊害は、消費者の減少による景気後退、医療や年金など社会保障制度に対する打撃等様々ありますが、私が最も懸念することは、これまでも質問で指摘してきておりますとおり、人手不足による企業活動の停滞、すなわち本県の経済への影響であります。 さきに我が自民党会派の代表質問で畑原議員が指摘したとおり、我が国経済は、今、まさに成長局面に転じる分岐点にあります。 日銀下関支店の調査では、二期ぶりに全産業で業況判断が改善するなど、県内景気は緩やかに回復をしているところですが、逆に人手不足は全産業でマイナス幅が拡大をいたしました。 企業の活発な事業活動を支えるのは、人であり、円安や物価高など厳しい経営環境に置かれている県内企業が、これらの課題に的確に対処し、さらなる成長につなげていくためには、産業人材をいかに安定的に確保できるかが鍵となります。 こうしたことから、私は、若者の県内就職・定着を着実に進めるとともに、外国人材を含め、国内外から幅広く人材を獲得する、実効性の高い取組を戦略的に展開していただきたいと考えています。 まず、県外流出の著しい若者に対しては、県内企業の魅力や認知度、エンゲージメントを高めるとともに、県外に向けた重点的な情報発信や支援制度の充実等により、山口県で働いてみたい、あるいは一度県外に出ても、また山口県に帰って働いてみたいと思っていただける環境づくり、関係づくりが重要となります。 そして、新たな労働力として期待される外国人材については、これまで県議会との連携の下培った、ASEAN諸国をはじめとした諸外国との強固な関係性を生かし、他県との人材獲得競争に打ち勝ち、本県を就労先として選んでいただけるよう、積極的に取り組まなければなりません。 また、令和九年に開始が予定されている国の育成就労制度では、転籍が認められ、地方から大都市圏への人材流出につながる懸念もあることから、就労だけでなく就労後も地域社会に愛着を持ち、継続して本県産業を支えていただけるよう、確保から定着まで万全の対応が求められます。 本県が将来にわたって生き生きと活力ある地域であり続けるため、その源となる産業力の維持・発展に向けて、産業人材の確保は待ったなしの課題であります。 そこでお尋ねします。人口減少による深刻な人手不足の中、若者や外国人材の確保・定着に戦略的・効果的に取り組むことが重要ですが、県は今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、県職員の人材育成・確保についてお尋ねをいたします。 人口減少が進展し、若年労働人口が減少する中にあって、昨今、優秀な人材を獲得するため、大手企業を中心に、新入社員の初任給を大幅に引き上げる動きが相次いでいます。 民間の信用調査会社のデータによると、本年四月に入社する新入社員の初任給を引き上げる予定と回答した企業の割合は、七割を超えており、こうした事例を見ても、今、若年層の人材確保は大きな課題となっています。 人材確保は、本県職員にとっても大きな課題となっており、例えば、今年度の県職員の採用試験の結果を見ると、SPI方式により、春に早期実施した、やまぐち型の志願者数は、先進的な内容への見直し等もあり大幅な増加となる一方、通常型では、行政職の最終競争倍率が、近年三倍台で推移していたものが一・八倍に落ち込み、一部の技術職では、受験者がゼロ人となった職種もあるなど、厳しい状況となっています。 そして、もう一つの課題が、若年退職者の増加です。県職員の早期退職者は年々増加傾向となっており、とりわけ二十代、三十代が多くなっている状況にあります。退職理由は、結婚やキャリアアップに向けた転職など、個人の事情で様々あるとは思いますが、ミスマッチや仕事に対する意欲の低下など、本来望んでいない形での退職は防がなければならないと思います。 これらの背景には、民間企業の旺盛な採用意欲はもとより、コロナ禍を契機としてテレワーク等の多様な働き方が広まり、ワーク・ライフ・バランスがより重要視されていることや、官民問わず社会人経験者の採用が定着をし、人材の流動化が進んでいることなどがあると考えられます。 こうした状況を踏まえ、県は先般の行財政改革総括本部会議において、山口県人材育成・確保基本方針の案を公表し、デジタル人材まで含め、職員の育成に加え、人材確保、そして職場環境の整備の取組を一層強化する考えを示されました。 県政の最大の課題である人口減少問題への対応をはじめ、将来に希望を持って暮らし続けることのできる山口県を実現していくためには、その取組をそれぞれの現場で担う県職員の皆さんが、自身の成長のビジョンを描き、しっかりと能力を伸ばしていくことが重要であり、同時に、引き続き県で働きたいと思ってもらえるような働きやすい職場環境であることが求められると思うのです。 そこでお尋ねします。このたびの人材育成・確保基本方針に込めた知事の思い、そして今後の人材育成・確保の取組をどのように進めていくのか、御所見をお伺いいたします。 次に、産業脱炭素化の推進についてお尋ねいたします。 二〇五〇年カーボンニュートラルが世界的な潮流となる中、県では、県議会からの要請を踏まえ、令和五年三月に、やまぐち産業脱炭素化戦略を策定し、官民連携による取組を開始いたしました。 同年七月には、目まぐるしく変化する環境や課題に的確に対応するため、県議会は、産業脱炭素化推進特別委員会を設置し、以来、約一年半にわたり調査研究活動を行ってまいりました。 そして、昨年十二月、本県産業の脱炭素化を一層推し進めるための取組の方向性などについて取りまとめ、柳居議長、河野委員長、岡副委員長から村岡知事に対し、産業脱炭素化推進に関する要請が行われたところです。 この間、私も特別委員会の委員の一人として、ほかの委員の皆様と共に、県内企業等に対する調査視察や意見交換、報告書の取りまとめなどに汗を流してまいりました。 瀬戸内地域のコンビナート企業、自動車メーカー、中小企業など、現場における厳しい現状をお聞きするとともに、他県の先進事例などにも触れ、カーボンニュートラルに向けた県内企業の果敢な挑戦を後押しし、産業競争力の強化につなげていかなければならないと決意を新たにしたところです。 さて、本県経済は、申し上げるまでもなく、屋台骨として瀬戸内地域のコンビナート企業群に支えられています。特に、私の地元下松市では、西日本エリアの次世代エネルギー供給拠点港として、今後のさらなる発展が期待される徳山下松港を有しており、背後地にある周南コンビナート等と一体となって、二〇五〇年カーボンニュートラルを原動力とした国際競争力の維持・強化が期待をされているところです。 今回の要請の中でも、ファーストムーバーとして世界に先駆け、アンモニアサプライチェーンの構築に挑戦する周南コンビナートや、製造工程で大量のCO2が発生するセメント産業の脱炭素化に取り組む宇部・山陽小野田コンビナート等、瀬戸内地域のコンビナート企業群に注目し、その先導的な取組に対する支援の拡充や、カーボンニュートラルポート形成の加速化などを求めております。 加えて要請では、太陽光発電など再生可能エネルギーの普及拡大、CO2の吸収源として期待される森林、林業の活性化をはじめとした農林水産業の振興など、幅広い分野でさらなる対応の必要性を訴えております。 また、発生するCO2排出量が我が国全体の約二割を占める運輸部門は、一方で我々の生活や事業活動を支える、欠かすことのできない業種ですが、現下の深刻な人手不足の中で、脱炭素化とともに持続可能な物流体制の構築が急務であると指摘しているところです。 産業脱炭素化は、本県の経済と雇用に深く結びついており、その対応いかんによっては、県民生活に大きな影響を与えかねない困難な課題ですが、同時に本県産業を成長させる好機にもなります。 私は、来る脱炭素社会において、本県が産業競争力を失うことなく、さらなる発展、成長を遂げることができるよう、産業界のニーズを丁寧に聞き取り、世界情勢や国の動向をしっかりと踏まえ、着実に取組を進めていただきたいと願っています。 そこでお尋ねします。二〇五〇年カーボンニュートラルを契機とした産業力の強化に向けて、県は今後、産業脱炭素化の推進にどのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いをいたします。 次に、スポーツの推進についてお尋ねいたします。 二〇二五年は、三十四年ぶりに東京で世界陸上が開催をされます。昨年夏に行われたパリオリンピック・パラリンピックでは、多くの山口県ゆかりのアスリートが躍動したことが思い起こされますが、世界を魅了するトップアスリートが、我が国を舞台に再び熱戦を繰り広げる風景を想像すると、期待感に今から胸が高まります。 本県においては、世界や国内のトップレベルがしのぎを削る舞台で、県民に夢や希望、そして感動を与えられるような活躍を見せるアスリートを輩出するために、トップアスリートの育成や指導者の人材養成をはじめ、競技力を底上げするための施策を展開されています。 こうした中、昨年十月に佐賀県で開催された国民スポーツ大会では、チームやまぐちは天皇杯が二十八位、皇后杯が二十位という成績を収められましたが、アスリートの才能を引き出し、競技に取り組む環境を整えるため、それぞれの競技団体は、地域や学校などと連携しながら、競技力の強化や競技の普及に向けて日夜邁進をされています。 しかし、運営面の担い手不足や高齢化といった人的な問題のみならず、財政的な面からも、様々な制約を抱えながら強化活動を行っている団体は多いと聞きます。 アスリートが集中して競技に向き合い、その能力を高めていく上で、競技団体からのサポートは欠かせないことから、競技団体が円滑に強化活動を進められるように、県の取組として、それぞれの団体が抱える課題やニーズを把握し、側面支援をしっかりと行っていかなければなりません。 さらに、本県にゆかりのある選手が第一線で活躍することで、郷土のアスリートを応援する機会が増え、県民のスポーツに対する関心や理解の向上にもつながると考えます。 昨今、高齢化が進む中で、誰もが健康で文化的な生活を送ることができるように、日常的に体を動かす機会を増やし、スポーツに取り組むきっかけづくりとして、運動習慣の形成に結びつけることが重要なのではないでしょうか。 近年、スケートボードやBMXなどのアーバンスポーツや、子供から高齢者まで、誰もが気軽に楽しめるニュースポーツといった新しいジャンルが確立されています。 こうした中、多種多様なスポーツを通じて、県民誰もが健やかで豊かな、心身ともに充実した生活を享受できるような地域活力の創出に向けて、時流を捉え、その機運を醸成し、スポーツを楽しむ環境を整える取組を進めていただきたいのです。 そこでお尋ねします。スポーツを通じて本県の地域活力を創出させるため、県として、競技力の向上をはじめとしたスポーツの推進にどう取り組むのか、御所見をお伺いをいたします。 最後に、不登校児童生徒への対応及び支援体制についてお伺いをいたします。 この問題について、私はこれまで二度取り上げ、増加の一途をたどる不登校児童生徒への支援体制の拡充を訴えてまいりました。しかしながら、不登校児童生徒の数は、減少どころか増加が止まらないのが現状です。 昨年の十月に文科省が発表した、令和五年度に全国で不登校だった小中学生は三十四万六千四百八十二人で、前年から約四万七千人増加をし、過去最多を更新をしています。本県においても三千五百七十人であり、前年度より五百三十七人増加し、過去最多となりました。 データによると、全国の児童生徒千人当たりの不登校児童生徒数は、小学校で二十一・四人、中学校で六十七・一人に上っており、少子化が進む中で不登校児童生徒数が増加をし続けている現実を突きつけるものとなっています。もはやこの不登校の問題は、特定の子供、親子の問題ではなく、広範にわたる社会問題であると認識すべきと考えます。 不登校の原因は様々あると言われていますが、令和五年度の調査では、不登校児童生徒の約三割が、学校生活に対してやる気が出ない、約二割強の児童生徒が、不安や抑鬱、生活リズムの乱れと学校に相談しており、心理的な要因が大きなウエートを占めていることが分かります。子供たちが日常の生活や学業のプレッシャーを感じ、自己肯定感が低下していることを示唆しているのではないでしょうか。 また、学校環境自体の変化も一因と考えられます。教員の負担が増え、個別対応が難しくなっている状況において、学校側における初期対応が重要な不登校の問題に対して、子供の心のケアを十分にできていないこともあると考えられます。 では、どのように対応していけばよいのでしょうか。 毎年行われる調査を基に危機感を持った文科省は対策を練り、不登校児童生徒への支援体制を年々拡充しており、本県の不登校児童生徒への支援体制の拡充も確実に図られてきています。 しかし、私は前回の質問において、当時の文科省が予算要求をしている内容は、あまり効果の出ていないこれまでの支援策の延長で、教員の人員不足が深刻さを増している現状では効果に疑問がある、またこれまでの対症療法のみでは限界があるのではないかと指摘をさせていただきました。 様々な対策を実行しているにもかかわらず、なかなか効果が現れない状況が続いており、さらなる不登校児童生徒の問題は、教員の成り手不足に拍車をかける可能性もあります。やはりこれまでの取組や拡充している支援策が本当に効果的なものなのか、早期に再検討する必要があると考えます。 例えば、先ほども申し上げましたとおり、初期対応が最も重要であると言われていることから、初期対応を強化するなどの取組の検討や、不登校児童生徒を支援するための学校での居場所づくりなども重要なのではないでしょうか。 いずれにいたしましても、このままの状況を放置することは許されず、成果が現れている他の自治体を参考にするなどして、新たな取組の検討・実施も含め、今まで以上に強い覚悟でこの問題に取り組んでいただきたいと思います。 そこでお尋ねをいたします。増加の一途をたどる不登校児童生徒の対応及び支援体制の拡充について、今後どのように取り組まれるのか、教育長の御所見をお伺いし、私の一般質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)森繁議員の御質問にお答えします。 まず、人手不足対策についてです。 少子高齢化の進行と若者を中心とする県外への人口流出により、人口減少が一段と厳しさを増す中、地域産業が持続的に成長・発展をしていくためには、これを支える企業における人材の確保・定着に向けた施策を、スピード感を持って強力に推進していくことが極めて重要です。 このため、私は、企業活動が将来にわたり継続・発展できるよう、まずは、県内企業における新卒者をはじめとする若い人材の確保が必要不可欠であると考え、来年度、若者の県内就職・定着に向け、様々な施策を講じていくこととしています。 具体的には、若い世代の県内還流を一層促進するため、本県からの転出超過が最も多い福岡県に移住や仕事の相談拠点を設置するとともに、大学や学生へのアプローチ強化に向け、二十歳未満の転出先の約四割を占める広島、福岡にキャリアコンサルタントを配置いたします。 また、若者に経済的負担がかからないよう、インターンシップ等参加学生への旅費助成を最大十二万円まで拡充するとともに、県外在住の新卒・第二新卒者が県内で行う就職・転職活動に伴う交通費を最大六万円補助する制度を創設し、県内就職につながる若者の活動を後押ししていきます。 さらに、県内企業の認知度向上のため、今年度実施した大学生が主に企画・運営する企業紹介イベントのほか、新たに、小中学生向け仕事体験イベントや普通科に通う高校生向けの企業課題解決プログラムを実施し、小学生から大学生まで一貫して、県内企業とのつながりを創出してまいります。 加えて、こうした支援制度や就職・企業情報などを若者等に効果的に届けられるよう、デジタルマーケティングの手法を活用して、広報のエリアやターゲットを最適化するとともに、SNS広告やショート動画等により、訴求力の高い戦略的な情報発信に取り組んでいきます。 一方、外国人材の活用についても、令和九年からの新たな育成就労制度への移行により地域間競争の激化が予想されることから、私は、来年度予算において、選ばれる山口県となるよう、外国人材の確保と定着に向けた取組を一層強化していくこととしています。 具体的には、まず、昨年、産業人材の送り出しと受入れの協力に合意をしたベトナム及び若年人口が豊富なインドネシアに現地サポートデスクを設置して、受入れ機関と現地人材の円滑なマッチングを支援していきます。 また、受入れ機関や教育機関等、幅広い関係機関で構成する協議会を創設し、産業界における外国人材の受入れと共生のための環境づくりの取組を県全体で一体的に支援する体制を整備します。 さらに、受入れ企業等の外国人材の確保と定着をサポートするため、紹介手数料や日本語能力向上、文化・地域交流等に対する様々な支援メニューの中から選択可能な補助制度を新設し、これにより外国人材雇用のモデルを創出して、受入れ企業等の拡大を図っていくこととしています。 私は、本県経済の持続的な成長を確かなものとし、活力に満ちた山口県が実現できるよう、大学や企業、国内外の関係機関等と緊密に連携し、人手不足対策に全力で取り組んでまいります。 次に、県職員の人材育成・確保についてのお尋ねにお答えします。 私は、職員には、県民の皆様の思いに寄り添いながら、常に問題意識を持って、新たな課題に積極果敢にチャレンジをしてほしいと思っており、こうした考えの下、山口県人材育成基本方針に基づき、総合的かつ計画的に職員の育成に取り組んできました。 また、限られた人員で行政サービスの維持・向上を図るためには、職員の働き方を不断に見直すことが必要なことから、県庁働き方改革やデジタル化の進展を踏まえた、やまぐちワークスタイルシフトの取組を進めてきたところです。 こうした中、現在、本県職員の採用をめぐる環境は厳しい状況となっており、また、仕事や生活に対する職員の価値観の多様化を背景として早期退職者が増加しているなど、人材確保の取組とワーク・ライフ・バランスを実現できる職場環境づくりの強化が一層求められています。 そして同時に、本県の新たな行財政改革において掲げる、レジリエントな行政体制の強化を実現するためには、職員一人一人の持つ力をさらに伸ばし、より質の高い県民サービスを提供できる組織を目指していかなければなりません。 こうしたことを踏まえ、従来の人材育成に加え、人材の確保、そして職場環境の整備を総合的に図るという観点から取組を強化するため、新たに、山口県人材育成・確保基本方針を策定することとしました。 新たな方針では、全ての職員が私の目指す山口ならではの豊かな未来の実現に向け、高い志と情熱を持って働いてほしいとの思いを込め、目指すべき職員像を、生き生きと働きながら、自身の能力を最大限発揮し、県民のウエルビーイング向上を目指して行動する職員としたところです。 今後、この職員像を実現するため、職員のキャリア形成支援の強化等、仕事に対して、やりがいや成長実感を得られるような人材育成に取り組むとともに、有為な人材の確保に向け、人事委員会と連携した採用試験制度のさらなる見直しや、課題となっている専門職の確保対策の強化を図ります。 加えて、デジタル人材に関しても、必要とする人材像のレベルに応じた育成・確保を進めるとともに、市町のデジタル人材の確保の支援を拡充します。そして、ワーク・ライフ・バランスの実現と働きやすい職場環境の整備に向け、働き方に関する各種制度の見直しやハラスメント対策の一層の充実等に取り組むとともに、職員のエンゲージメントを把握することにより、個人の意欲や組織力の向上、人材の定着につなげてまいります。 私は、県民誰もが豊かさと幸せを感じられる、ウエルビーイングにあふれる山口県の実現に向け、職員が日々やりがいを持って生き生きと働くことができるよう、新たな方針の下で、職員の育成・確保に全力で取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)高林産業労働部長。 〔産業労働部長 高林謙行君登壇〕 産業労働部長(高林謙行君)産業脱炭素化の推進についてのお尋ねにお答えします。 県では、令和五年三月に策定した、やまぐち産業脱炭素化戦略に基づき、二〇五〇年カーボンニュートラルを原動力とした、本県産業の成長・発展を目標に掲げ、積極的に取組を進めています。 こうした中、県議会特別委員会において、その後の環境変化や新たな課題に対応するため、熱心な調査研究と貴重な政策提言を頂いたところであり、県としてもこれを踏まえ、産業分野の脱炭素化の取組を一層加速させていく考えです。 まず、本県産業の屋台骨であるコンビナートについては、CO2排出削減や次世代燃料・素材の供給基地化につながる企業間連携事業の創出を支援しており、県独自の補助制度の活用により、これまで世界初となる、セメント製造におけるアンモニア混焼の実証事業を後押ししてきたところです。 来年度は、この補助制度に、連携創出支援枠を創設し、個社の研究開発の段階にまで支援を拡大することで、連携事業の創出をさらに促進することとしております。 また、コンビナートと密接に関係する港湾については、昨年三月に港湾脱炭素化推進計画を策定した徳山下松港において、アンモニア等次世代エネルギーの供給拠点化に向けて、港湾機能の高度化等に取り組むとともに、宇部港及び小野田港の計画策定を進めます。 こうした取組には、国による大規模な経済的支援や規制緩和等が不可欠であることから、引き続き、関係する事業者等のニーズを丁寧に聞き取りながら、国に対して十分な措置を要望してまいります。 次に、再生可能エネルギーの普及拡大については、太陽光等で発電された環境価値を取引できる、非化石証書を一括調達することで、購入希望事業者の負担軽減等を図る取組を新たに開始することとしています。 また、農林水産業については、林業分野において、デジタルツールの活用や協働出荷による需給調整体制を構築することにより、木材の県内自給率の向上を図るとともに、本県独自の竹材の集荷体制の整備等に取り組みます。 さらには、新たに運輸部門の対策として、物流事業者や荷主等が一体となった物流効率化の取組を支援し、労働力不足にも対応した持続可能な物流体制の構築や輸送の効率化等を通じたCO2排出削減を図ります。 県としましては、今後とも県議会と連携を密にし、国内外の動向を的確に捉えながら、県内企業の産業力強化に向けた脱炭素化の取組を後押ししてまいります。 議長(柳居俊学君)道免観光スポーツ文化部長。 〔観光スポーツ文化部長 道免憲司君登壇〕 観光スポーツ文化部長(道免憲司君)スポーツの推進についてのお尋ねにお答えします。 全国大会や世界大会等での本県ゆかりの選手の活躍は、県民に夢や感動を与え、県全体の活力を生み出すことから、県スポーツ協会を中心に、競技団体等と連携しながら、計画的な選手の育成・強化など、競技力の向上に取り組んでいるところです。 こうした取組を進める上で、選手強化を担う競技団体の役割は重要であることから、担い手不足や財政面など、団体の抱える課題やニーズを踏まえ、競技団体が行う取組への支援を強化することとしています。 具体的には、県スポーツ協会と連携し、新たにトップレベルのプレーを肌で感じられる全国レベルの大会誘致や、トップアスリートが参加する競技普及イベントの開催等、競技人口の裾野を広げる取組を支援します。また、子供たちのスポーツ環境の整備に向け、新たにジュニアクラブの設立や研修等による優秀な指導者の確保を支援するとともに、選手の強化活動への支援を充実させていきます。 こうした競技力向上の取組と併せ、幅広い世代のスポーツ実施率の向上に向けて、県民誰もが日常的に体を動かす機会を増やしていくことも必要です。このため、人気の高まっているアーバンスポーツや、誰もが気軽に楽しめるニュースポーツを通じて、運動習慣の形成につなげていくため、来年度、新たに普及啓発と実施環境の整備を進めることとしています。 具体的には、市町と総合型地域スポーツクラブ等が連携して実施するアーバンスポーツ等のイベント開催を支援し、県内への普及につなげていきます。また、下関武道館等の県内五か所の県立施設に、ピックルボールやモルックなどの用具を設置し、多くの県民がニュースポーツを楽しめる環境を整備していきます。 県としては、スポーツを通じた地域活力の創出に向け、県スポーツ協会や競技団体、市町等と連携しながら、競技力の向上をはじめとしたスポーツの推進に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)不登校児童生徒への対応及び支援体制についてのお尋ねにお答えします。 本県における不登校児童生徒数は、お示しのとおり、昨年度、過去最多と増加に歯止めがかかっておらず、これまで以上に強い危機感を持って、不登校対策に取り組むことが必要と考えています。 このため、県教委では、来年度予算において、不登校対策を重点施策に掲げ、従来の取組を抜本的に見直し、未然防止から早期発見・早期対応に向けた取組の充実や、教室に入りづらい子供の居場所づくりの促進など、一連の支援策をパッケージとして再構築し、取組を強化したところです。 まず、未然防止や早期発見に向けては、特に入学前後の子供の心の状態の把握が重要であることから、これまでの中学校及び高校に加え、新たに小学校入学前の健診において、教育相談を実施することとしています。 また、学校生活においても、教員による積極的な声かけやアンケート等の実施に加え、今年度モデル校に導入した心の健康観察アプリを来年度、全ての県立学校に拡大することにより、子供の不安や悩みの早期把握に努めてまいります。 さらに、こうした取組を早期対応につなげるため、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置時間を大幅に拡充するとともに、家庭訪問など、アウトリーチ型の支援を積極的に進めることにより、小学校から高校までの切れ目ない支援体制を整備してまいります。 次に、教室に入りづらい子供の居場所づくりに向けては、小中学校に、校内教育支援センターを新たに設置する市町に対し、相談支援等を行う人材の配置に係る補助制度を創設して、その設置を強く働きかけてまいります。 また、公立中学校において、専属教員を中心に、個に応じた学習支援等を行うステップアップルームについては、利用生徒の半数以上が教室に復帰するなどの効果があることから、今年度の二十五校から来年度は三十五校へ拡大することとしています。 さらに、こうした施策の効果的な推進には、市町との連携が重要であることから、県・市町教委による協議会において、取組の効果や課題を共有し、対策の実効性を高めていくとともに、全国の好事例を踏まえ、さらなる支援策を検討してまいります。 県教委といたしましては、市町教委等と緊密に連携し、子供たちが誰一人取り残されることなく、安心して学ぶことができるよう、強い覚悟を持って、不登校対策にしっかりと取り組んでまいります。