1 こどもまんなか社会の実現について 2 人口減少社会を支える人材確保・育成について 3 誰一人取り残されることのない教育の推進について 4 その他
議長(柳居俊学君)石丸典子さん。 〔石丸典子さん登壇〕(拍手) 石丸典子さん おはようございます。公明党の石丸典子でございます。通告に従い、一般質問を行います。 初めに、こどもまんなか社会の実現についてお伺いいたします。 まず、子育て世帯訪問支援事業についてお伺いいたします。 この事業は市町事業ですが、この事業の担い手の養成と確保の推進に当たり、県の役割を期待し、質問をさせていただきます。 令和五年四月、こども家庭庁が発足、こども基本法の施行により、これまでの母子保健と児童福祉の縦割りを超えた包括的な支援を目指し、新たに各市町に設置されるこども家庭センターの下、この子育て世帯訪問支援事業は昨年スタートいたしました。 国のガイドラインによると、家事・子育てなどに対して不安や負担を抱える子育て家庭、妊産婦、ヤングケアラー等がいる家庭の居宅を訪問支援員が訪問し、家庭が抱える不安や悩みを傾聴するとともに、家事・子育て等の支援を実施することにより、家庭や養育環境を整え、虐待リスク等の高まりを未然に防ぐこととあり、これまで妊娠期から子育て期には、母子保健法と児童福祉法による支援が別々にしか行えず、ニーズに対応できていないケースも見られましたが、今回の児童福祉法改正により、訪問支援員が一体的、包括的に支援提供できる画期的な事業となりました。 そこで重要なのが、事業の担い手となる訪問支援員のスキルです。 先ほどのガイドラインでは、要保護世帯を訪問し、妊産婦や子育て世帯の不安や悩みを傾聴するとともに、食事の準備や掃除、また育児や養育支援など実施することにより虐待リスクを未然に防ぐなど、大変重要な役割を担いますが、訪問支援員のその要件は、市町長が適当であると認めた者とした上で、市町が適当と認める研修を修了した者となっており、現在のところ、市町によってその取組や研修に差が生じることが懸念されます。 ここで、この事業の誕生の裏には、現東京都助産師会会長の、産後ケアが母子の愛着形成の上から最も重要であるとの強い思いがあったことを紹介させていただきます。 現在、中野区で助産院をされている宗会長は、これまで数千人の赤ちゃんを取り上げるとともに、出産直後の母親が育児と家事に疲れ果てる姿を見てこられ、産後のショートステイや産後デイケア事業などにも取り組んでこられました。しかし、本当に大変なのは自宅での日常の生活であり、育児支援だけではなく、家事や生活支援が大事であるとの考えに至り、二〇一二年(平成二十四年)、産後の母親に寄り添い支える、一般社団法人ドゥーラ協会を創設されました。 ドゥーラとは、ギリシャ語が語源で、経験豊かな女性という意味だそうです。約八十時間の家事・育児に関する様々な研修を受け、認定された産後ドゥーラさんが東京都を中心に全国で活躍され、今回の国の事業のモデルとなりました。 私自身、このたび初めて、産後ドゥーラの取組を学ばせていただき、四十年前の自身の体験から、その必要性を共感するとともに、現代の子育て環境、育児に関する情報の違いを痛感し、改めて訪問支援員の養成と質の担保に研修の重要性を実感したところです。 冒頭述べましたように、補助率は国、県、市町が三分の一で、実施主体は市町ですが、宇部市や山陽小野田市、萩市、長門市などは、まだ実施されておらず、その司令塔となる、こども家庭センターもまだ未設置のところもあり、市町の事業の取組の進捗や研修の開催、担い手の養成・確保など課題も聞かれます。 残念ながら、山口県にドゥーラ協会のメンバーはまだおられませんが、お隣の北九州市では活躍されておられます。厚生労働省が認めるドゥーラ協会等と連携した市町の研修が効果的と考えますが、いかがでしょうか。 そこでお伺いいたします。これまでの児童福祉法と母子保健法の縦割りの枠を超え、妊産婦・子育て世帯、子供に一体的な支援を行う、子育て世帯訪問支援事業の推進に向け、県はその担い手の養成と確保にどのように取り組まれるのか、御所見をお聞かせください。 次に、五歳児健診についてお伺いいたします。 これも市町の事業になりますが、専門医の育成、医療関係の体制整備が必要であり、県の支援に期待し、質問をさせていただきます。 発達障害によるコミュニケーションに困難を抱えた我が子への虐待などが懸念されることから、五歳児健診は、子育て支援において、またスムーズに学校生活をスタートさせる上で最も大事な取組です。 本県では、発達障害等の疑いのある幼児を対象にした、発達相談事業として行われており、その障害のあるなしの判断等、保護者との関係性において、現場の先生方の御苦労は計り知れないものがあります。 また、国は、一歳半と三歳児健診に加え、発達障害の早期発見に向け、全ての五歳児を対象にした発達障害等のスクリーニングを主目的とする、五歳児健診の補助額を令和六年度から引き上げ、各自治体の取組に期待していますが、導入している自治体は僅か一四%にとどまり、本県においては阿武町のみとなっているため、県内でも医師や心理担当職員の確保を図り、五歳児健診の実施体制の整備を進めていくことが必要です。 そこでお伺いいたします。各市町による五歳児健診の実施体制の整備に向け、県はどのように取り組まれるのか、御所見をお聞かせください。 最後に、子育てしやすい職場環境づくりについてお伺いいたします。 子育てには社会の理解が不可欠であり、共働きが増える今、男女ともに職場の理解は重要です。昨年、不妊治療の末、妊娠された女性の方からマタニティーハラスメントの御相談を頂き、解決に向けて動く中で、令和の時代でも、女性が妊娠し働き続けることの困難さを改めて学びました。 彼女は三十五歳、一年半前、勤める際に、雇用保険があるのを確認し、一日五時間、週四日のパート勤務をしていました。産休・育休について会社に相談すると、何かあったら責任が持てないと辞めることを促されていました。 私は、心身ともに疲れていた彼女に寄り添い、ハローワークや労働局、社会保険労務士事務所などに伺い、その対処の仕方を教えていただきましたが、出産後、職場への復帰を願う彼女には、申請主義は大変難しいと感じました。幸い、職場のパートの仲間たちが彼女を支え、配置転換や休みの間のフォローなどを申し出てくれ、これまで辞めるのが当然の雰囲気だった会社側も前向きに認めてくださり、無事に産休に入り、一月一日、岡山県の実家で女の子を出産されました。このような成功事例はまだまだ少ないのが現状だと思います。 また、深刻な人手不足の中、このような就業意欲のある女性が第一線に戻って活躍していただけるような対応も重要です。 そして、子育てしやすい職場環境づくりについては、男性の育児休業取得率も一つの目安になります。国の二〇二五年、三〇%達成の目標に対し、本県では、令和五年度働き方改革推進実態調査によると、二〇一七年の四・八六%から二〇二二年三一%と、五年間で六倍に伸びるなど、男性の育児休業の取得実績に応じ、企業等へ奨励金を出す県の取組に効果が見られますが、中小企業におけるさらなる人手不足や事業主、従業員の意識改革、制度の周知など、中小企業の努力だけで解決することは困難と感じます。そのため、県には、女性の多様な就業ニーズを踏まえ、企業の取組をしっかり後押ししていただきたいと思います。 そこでお伺いいたします。女性も男性もともに働きながら、子育てしやすい職場環境づくりに向けて、県はどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、人口減少社会を支える人材確保・育成についてお伺いいたします。 初めに、女性デジタル人材育成の取組についてお伺いいたします。 人口減少が進む中、女性の活躍は大変期待されていますが、出産や育児、子育てと仕事の両立に困難さを感じ、仕事を辞める女性は多くいます。 先ほど紹介させていただいたマタハラのケースのように、社会の理解は必要ですが、女性自身のスキルアップを図り、子育て等で時間的制約を受ける女性が柔軟に働くことができ、経済的自立を促進することは大変重要なことであり、私は、これまでも女性のデジタル人材育成の推進を訴えてまいりました。 県が、令和五年度、一般社団法人女性活躍委員会などにこの事業を委託し、どこからでも学べるeラーニングによる受講も可能にし、定員をはるかに超える応募に驚くとともに、ニューメディアプラザ山口で行われていたプログラミング講座を視察させていただき、熱心に学ぶ様子に感銘いたしました。 参加されておられる五十代の方にお話をお聞きしましたが、仲間と新しいことを学ぶのは楽しく、就職に向けても、起業も含め大変前向きな言葉に、年齢に関係なく夢を実現できるのがデジタル社会であることを改めて教えていただきました。 また、ある事業主の方は、うちのような小さな会社は求人を出してもなかなか人が来てくれない。パソコンができる人が欲しいと、この事業に関心を持ち、御相談に来られていました。 山口県の企業が求めるスキルを身につけ、確実に就労に結びつけ送り出す、この身の丈に合った、そしてきめ細かな取組は大変意義のあるもので、全国に誇れる山口版女性デジタル人材育成事業を高く評価し、さらなる拡充に向けて期待するものです。 そこでお伺いいたします。女性デジタル人材育成事業は、子育てなど、女性の事情や希望に寄り添いながら、企業側のニーズが高いデジタル関連業務への就業を促す事業であり、引き続き積極的に取り組んでいただきたいと思いますが、今後の取組について、県の御所見をお伺いいたします。 次に、介護人材確保対策についてお伺いいたします。 昨年九月の一般質問において、外国人介護留学生の支援を通して数点要望させていただきましたが、団塊の世代が七十五歳を迎える二〇二五年に入り、新年度どのように取り組まれるのか、改めて質問をさせていただきます。 私も六十六歳となり、前期高齢者の一員になりましたが、九十六歳と九十五歳の主人の両親を介護しながら、老老介護の現場を日々体験しているところです。 九十五歳のしゅうとめは、昨年、自宅で転倒し股関節を骨折、四か月の入院後、車椅子となり、現在特養に入所しております。九十六歳のしゅうとは、何とか身の回りのことはできますが、最近、認知が進み、夜になると幻覚、幻聴が起こることが増えてきています。 高齢社会を迎え、仕事をしながら、どこまで在宅で見守り、介護ができるのかと考えるとき、最後に頼れる施設があることは、家族にとって大変心強く、介護現場の皆様に改めて心から敬意を表するものです。 そこでまず、外国人介護人材確保についてお伺いいたします。 昨年十二月、村岡知事をはじめとする行政訪問団と守田県議を議会代表とする議会訪問団が、友好・協力に関する覚書締結十周年を迎えたベトナム・ビンズン省を訪問され、今後ますますの発展を期待するものですが、令和七年度、さらなる外国人介護人材の安定的な確保に向け、外国人介護留学生マッチング支援事業にどのように取り組まれるのか、改めて県の御所見をお伺いいたします。 次に、働きやすい環境整備についてお伺いいたします。 介護現場のICT化は、職員の負担軽減、外国人の確保対策にも重要な整備です。県はこれまで介護現場のICT化や介護ロボット導入支援、通信環境整備など、介護テクノロジー導入支援事業に六千百三十万円を計上し、多くの介護事業者へ拡充してまいりましたが、施設設置者からは、Wi─Fi通信環境整備などには少額過ぎると厳しい声が寄せられ、九月、一般質問では、ICT機器の導入ができない介護現場の様子を御紹介させていただきました。 改めて、外国人も含め、介護人材が働きやすい環境整備について、県はどのように取り組まれるのか、御所見をお聞かせください。 最後に、誰一人取り残されることのない教育の推進についてお伺いいたします。 まず、本県の教育目標、未来を拓くたくましい「やまぐちっ子」の育成を目指し、少子化による定員割れ、いじめや不登校、インクルーシブ教育、新たな時代に生きる確かな学び、安心・安全な教育環境など、一人一人の多様な学びの確保に向け、教育長にお伺いいたします。 今国会において、皆様御承知のように、高校授業料の無償化が実現する見通しとなりました。現在、通信制課程を含めて進学率が九九%となった高等学校の在り方は、新たな段階を迎えようとしているように思います。 先日、現在、小学校の特別支援学級に在籍する軽度知的障害のあるお子様を持つお母様から、県立高等学校に特別支援学級はつくれないのでしょうか。小学校、中学校のように、高校も普通に通わせたいと、あまりにストレートな御相談を頂き、私は、高等学校は義務教育ではなく、公正・公平な選抜試験があり、誰か一人を優遇することはできないと、これまで何度も県教委から聞いてきた説明をしながら、今の若いお母さんたちが、これまでの当たり前に対し、しっかりと声を上げることに新鮮な感覚と諦めない力強さを感じました。 その後、続けて三件、特別支援教育に関する御相談を頂きましたが、障害の種類や程度が多様化し、一人一人違う中で、高等学校が義務教育ではないことを理由に、県立高校に特別支援学校以外の選択肢はありません。 今年の全日制県立高校の志願倍率は、一・〇一倍、二・〇倍以上はなく、二十九校三分校五十学科が定員割れを起こす中、私は改めて、県立高校の役割は、同じ物差しで公正・公平に選抜することではなく、県立だからこそ、誰一人取り残されることのない教育、誰一人諦めさせない教育を実現することができると確信したところです。 発達障害の生徒で、学習に偏りがあり、選抜試験を諦めていた生徒にも、芸術、農業、畜産、水産やものづくりなど、その特性に驚くべき才能があるかもしれません。 本年、山口松風館高校定時制の志願倍率は、午前部二・〇倍、午後部一・七倍と、ともに夜間部の一・〇倍を大きく超えています。一方、徳山高校や下松工業高校の定時制は、定員四十に対して、志願倍率がそれぞれ〇・一倍、〇・二倍など、これからの定時制高校の在り方も、全日制・定時制ともに、義務教育ではないからこそ、これまでの決まった形に押し込むのではなく、自由な新たな視点が、未来を拓くたくましい「やまぐちっ子」の育成に求められているのではないでしょうか。 全国の高等学校生徒数約三百二十万人、そのうちの約三分の一の約百二十四万人が私立高校生です。私立高校のカリキュラムには独自性があり、特進コースやスポーツ文化芸術コース、語学力を伸ばすグローバルコースなど、多種多様な学びが用意され、同じ物差しで学力だけをはかるのではなく、個性や可能性、やる気を尊重しているように思います。また、経営面から一人でも多くの生徒の獲得に向け、公立高校の選抜から漏れた生徒の受皿になってきたことも事実です。 県は、令和五年度より、周防大島高校、山口高校徳佐分校、防府高校佐波分校、宇部西高校、山口農業高校西市分校、下関双葉高校、萩高校奈古分校に特別支援教育の高い専門性を有する教員を配置し、各学校の通級による指導をはじめとした指導・支援の充実を図っています。 このような教員が全ての県立高校に設置されることを期待いたしますが、通級による指導は、あくまでも教科の学習を補充するためのものではなく、入学後のその先にあるものです。 以前、佐賀県立太良高校や私立星槎高校など御紹介させていただきましたが、多様な学びの取組は、不登校対策だけではなく、形も大きく変わろうとしています。 愛知県では、この四月から多様な学びができる学校、全日制・昼間定時制・通信制の三課程を置く、県立フレキシブルハイスクールを県内四校に開校されることを御紹介させていただきます。 また、文部科学省から通知の公立高等学校入学者選抜における志願者数が定員に満たない場合の対応等、いわゆる定員内不合格について、当該受験生に対して、その理由が丁寧に説明されること、一方で学ぶ意欲を有する生徒に対して、学びの場が確保されることは重要であり、定員内不合格を出さないよう取り扱っている例を含め、ほかの教育委員会における入学者選抜の実施方法等を参照することをお願いしますと書かれています。 本県は、新たな県立大学附属高校の設置や分校の閉校など、少子化や新たな学びのニーズに対応した様々な取組を展開されることを否定するものではありませんが、様々な理由、障害により、今の形に行き場のない悩みを抱えた親子がいること、そして、このたびの高校授業料無償化の方向性を踏まえ、多様な学びの確保に向けて、県立高校の在り方、目指す方向に新たな視点が求められるのではないでしょうか。 そこで、県教育長にお伺いいたします。県立高校に求められる、誰一人取り残されることのない教育の実現に向けて、御所見をお聞かせください。 最後に、総合支援学校における教育環境の充実についてお伺いいたします。 教育環境については、今国会の高校教育授業料無償化に伴う審議の中でも、我が公明党から公立高校のトイレの洋式化や学校体育館等への空調整備事業などについても、石破総理に要望させていただいたところです。 さて、文部科学省が令和三年に特別支援学校の教室不足に対し、抜本的な改善を図るため、一学級の人数上限を幼稚部五人、小学部・中学部六人、高等部八人とする設置基準を初めて制定したことにより、全国で三千七百四十室の不足が明らかになるなど、本県もこの十年で在籍者数が二百九十二人、学級数が四十八増加し、老朽化だけではなく、在籍者数増加への対策が喫緊の課題となっています。 加えて、令和四年六月の代表質問でも要望させていただいております、防府総合支援学校の整備については、一九六八年(昭和四十三年)の開校から、本年五十七年を迎え、当時、肢体不自由児のために設立されたことから、広い廊下やスロープなど、車椅子での移動に配慮されている反面、立地は、大字浜方とあるように、海と川に面した平屋造りの校舎は、災害時の避難場所の確保、災害対策も大きな課題となってきました。 私も、小学部で臨時教諭をさせていただいたこともあり、その整備を強く訴えてきたところであり、合理的配慮の努力義務や障害者雇用率が引き上げられる中、社会の大事な担い手として、障害者の活躍はますます期待され、その教育環境の整備は、ソフト・ハードともに重要な取組です。 先日、萩総合支援学校へ視察に伺い、分身として動くtemiを遠隔で操作したり、高度なパソコン操作を民間技術者から学んだりする生徒の姿を拝見し、改めて特別支援教育において、ICT教育の推進と一人一人特性を伸ばす教育の大切さを強く感じたところです。 そこでお伺いいたします。防府総合支援学校の整備を含む総合支援学校における児童生徒の自立に向けた教育環境の充実にどのように取り組まれるのか、御所見をお聞かせください。 以上で一般質問を終わります。 御清聴、誠にありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)石丸議員の御質問のうち、私からは、子育てしやすい職場環境づくりについてのお尋ねにお答えします。 若者の多くが人生設計の前提とする共働きのできる就業環境を実現するためには、共働き・共育てを定着させるための第一歩である男性育休が当たり前となり、男女ともに仕事と子育ての両立を可能とする環境整備が重要です。 このため、私は、次世代の主役となる子供たちを社会全体で育てる″とも×いく″を推進しており、企業における育休の取得促進や働きやすい職場環境づくりに重点的に取り組んでいます。 まず、育休の取得促進については、育休取得を推奨する企業の登録制度を創設し、奨励金の支給により、登録企業の取組を支援するとともに、男性が育休を取得しやすい職場風土づくりを進めるため、セミナーを開催し、企業の経営者や管理職の意識改革を図っています。 また、登録百社目、五百社目の節目となる企業には、私から直接、登録証を交付したほか、保育園児と一緒に私も出演した″とも×いく″のプロモーション動画を作成し、県内全域に幅広く情報を発信するなど、積極的に″とも×いく″の周知を図っているところです。 次に、働きやすい職場環境づくりについては、テレワークの導入など、共育てしやすい環境づくりを推進する企業や子連れコワーキングスペースの設置・運営など、子育てをサポートするサービスを提供する事業者を支援することにより、仕事と子育てを両立できる環境整備を促進しています。 こうした取組により、登録企業数は制度創設後一年余りで九百社を超えるなど、県内への広がりに大きな手応えを感じているところであり、今後、″とも×いく″がさらに広がるよう、女性が働きやすい環境づくりを充実強化してまいります。 具体的には、来年度予算において、未就業女性等を対象に、企業見学や業務体験、就業後のフォローアップ等を行うお試し就業を実施するとともに、柔軟な働き方導入に向けた専門家の助言等により、企業の職場環境の整備を支援します。 また、結婚や出産等を理由に、やむを得ず離職した女性を対象に実施する就活準備講座によりスキルを向上した女性と、短時間勤務から段階的にフルタイム勤務に移行するなど新たな雇用を創出した企業とのマッチングイベントを県内二地域で開催し、女性の希望に応じた就業を促進します。 私は、″とも×いく″が県内全域に浸透し、女性も男性もともに働きながら、子育てしやすい職場環境を実現できるよう、育休の取得促進や働きやすい職場環境づくりに全力で取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)國吉健康福祉部長。 〔健康福祉部長 國吉宏和君登壇〕 健康福祉部長(國吉宏和君)こどもまんなか社会の実現に関するお尋ねにお答えします。 まず、子育て世帯訪問支援事業についてです。 近年、児童虐待の相談対応件数が増加傾向にある中、児童虐待の防止や児童の健全な育成を図るためには、児童が育つ家庭環境や養育環境が深刻な状況となる前に、その実態を把握し、適切な支援につなげていくことが重要です。 このため、改正児童福祉法において、訪問支援員が家事や育児、養育支援等を行う子育て世帯訪問支援事業が創設され、市町において、社会福祉協議会や児童養護施設、訪問介護事業所等への業務委託等により、地域の実情に応じた支援が行われているところです。 一方で、お示しのように取組が進んでいない市町もあることから、県としても、事業の担い手となる訪問支援員の養成・確保や資質向上など、事業の推進に向けた市町の取組を支援していく必要があると考えています。 具体的には、訪問支援員の研修等について、児童虐待防止に向けた189サポーターの養成やヤングケアラーの支援など、県が行う研修等の活用や市町が行う研修への講師派遣等に取り組んでまいります。 また、お示しの取組も含め、他県の状況など、効果的な事業や研修の実施に関する情報等について、市町に情報提供していくこととしています。 県としては、子育て世帯訪問支援事業の一層の推進を図るため、担い手の養成・確保等に向けた市町の取組を積極的に支援してまいります。 次に、五歳児健診についてお答えいたします。 五歳児健診は、言語の理解能力や社会性が高まり、発達障害が認知される時期に実施される健診であり、子供の特性を早期に発見し、一人一人に応じた適切な支援や指導につなげ、その後の健やかな成長・発達を促す有意義な取組です。 こうしたことから、県といたしましては、全ての子供に対して、就学後も視野に入れた、よりきめ細やかな支援が行われるよう、現在、全市町において実施されている五歳児発達相談が、五歳児健診に早期に移行されることが重要であると考えています。 このため、健診を行う医師や保健師等の専門人材の確保・育成に向けて、市町の保健師等を対象にした、子供の発達に関する研修を実施しているほか、先般、県小児科医会に対し、全市町での五歳児健診実施に向けた協力を要請したところです。 また、より多くの医師が五歳児健診に従事できるよう、来年度新たに小児科医に加え、内科医等も対象とした発達の評価・診断等に関する専門的な研修を実施することとしています。 県としましては、全市町において五歳児健診が円滑に実施されるよう、市町や関係団体等と連携し、その実施体制の整備に努めてまいります。 次に、介護人材確保についてのお尋ねのうち、外国人介護人材確保についてお答えします。 高齢化の進行に伴い、介護ニーズのさらなる増加が見込まれる中、安定的な介護人材の確保に向けては、外国人も含めた多様な人材の参入促進が必要です。 このため、県では、外国人留学生の経済的負担の軽減に向け、介護福祉士修学資金の貸付けに加え、介護施設等が留学生に対して給付する日本語学校の学費や介護福祉士養成施設在学時の居住費を助成する支援事業を実施しています。 お示しの外国人介護留学生マッチング支援事業については、ビンズン省との友好交流を背景に、一昨年の九月に締結した介護分野における協力に関する覚書に基づき、県内の介護福祉士養成施設等で介護の技術を学び、県内介護施設で働くことを希望する留学生の受入れ促進に取り組んでいます。 具体的には、昨年六月の県内施設等を対象とした事業説明会や、ビンズン省における十月の現地説明会の開催に加え、十二月の本県訪問団による訪越時には、ビンズン医療短期大学において、留学希望者に対して、知事から改めて支援の内容や本県の魅力を伝えたところです。 現在、ビンズン医療短期大学において、本県への留学を希望する学生に対する意向確認等が行われており、来年度は、留学希望者と受入れ施設とのマッチングや、来日に向けた準備に対する支援を進めることとしています。 県としましては、こうした取組を通じ、外国人介護人材の確保に積極的に取り組んでまいります。 次に、介護人材が働きやすい環境整備についてお答えします。 介護テクノロジーを活用して業務改善等を進めることは、職員の負担軽減や介護サービスの質の向上、さらには外国人を含む介護人材の確保・定着につながることから、介護現場のICT化は重要な取組であると考えています。 このため、お示しのとおり、これまでも介護テクノロジーの導入支援を行ってきたところですが、生産年齢人口が減少し、介護人材の不足が深刻化する中、今後、重点的に介護テクノロジーの導入・定着に取り組むこととしています。 具体的には、現場の実情に詳しい関係団体等との緊密な連携の下、ワンストップ窓口となる総合相談センターを新たに設置・運営し、ICT化など、働きやすい環境整備に関する様々な相談に対応するとともに、現場の推進役となるリーダーの育成、専門家による伴走支援等に取り組んでまいります。 さらに、こうした支援体制の整備に加えて、介護現場のICT化を重点的に進めるため、介護テクノロジーの導入・定着に向けた補助制度を拡充することとしています。 県としましては、こうした取組を通じ、関係団体等と連携しながら、介護人材が働きやすい環境整備に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)高林産業労働部長。 〔産業労働部長 高林謙行君登壇〕 産業労働部長(高林謙行君)人口減少社会を支える人材確保・育成に関するお尋ねのうち、女性デジタル人材育成についてお答えします。 人口減少が進み、県内企業の人手不足が深刻化する中、女性のデジタル人材を育成し、デジタル分野等への好条件での就業を促進することは、人手不足の解消に向け、また、女性のライフスタイルに合わせた多様な働き方やキャリアアップの実現を支援する上で極めて重要です。 このため、県では、昨年度、産学公により設置した、やまぐち女性デジタル人材育成コンソーシアムの下で、未就業等の女性に対して、プログラマー養成講座を通じたデジタルスキルの習得と能力や希望に応じた就業や待遇改善を支援する女性デジタル人材育成事業を開始したところです。 初年度は、三十三名の方が講座を修了して、うち二十四名が情報通信業をはじめ様々な分野に就業し、デジタルスキルを生かした業務に従事しており、また、他県からも視察や照会を受けるなど、大変効果が大きく、注目度も高い事業となっています。 さらに、本年度は新たに岩国会場を追加し、より多くの方が受講しやすい環境を整備したところであり、講座修了者は四十三名となり、また、県東部のコンソーシアム参加企業が増加するなど、女性のデジタルスキルの向上意識、及びこうした人材の育成・就労支援の機運はさらに高まっています。 こうした機運を捉え、来年度はさらに西部地域で受講会場を開設し、県内全域で女性デジタル人材育成を図るとともに、人手不足に悩む同地域の企業にも本事業を積極的に周知し、コンソーシアム参加企業をさらに掘り起こすことで、取組を強化していくこととしています。 県としては、今後とも、県内企業等と連携して、女性デジタル人材の育成・確保を通じた県内企業の人材不足の解消や、女性のさらなる活躍促進に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)誰一人取り残されることのない教育の推進に関する二点のお尋ねのうち、まず、県立高校における多様な学びの確保についてお答えします。 近年、特別な支援を必要とする生徒や不登校経験のある生徒が増加しており、こうした生徒の多様なニーズに対応し、自己の持つ力や可能性を最大限に伸ばす教育を推進していくことが重要です。 このため、県教委では、これまでも入学者選抜において、障害の状況等に応じた合理的な配慮を行うとともに、目的意識や学習意欲を持った生徒については、各学校・学科で学ぶための能力や適性等を適切に判断した上で、積極的に受け入れるよう努めているところです。 また、障害のある生徒が入学した際には、通級による指導が受けられるよう、各地域に拠点となる高校や、組織的・継続的な指導に取り組む推進校を設けることなどにより、全ての県立高校における特別な教育的支援の充実に取り組んでいます。 こうした取組とともに、不登校を経験した生徒や義務教育段階での学習内容が十分に身についていない生徒、自分のペースで学習したい生徒などの多様なニーズに対応していく多部制定時制高校を拡充するため、従来の岩国商業高校東分校に加え、平成三十一年に下関双葉高校を、令和四年に山口松風館高校を開校したところです。 このうち、お示しのあった、県内初の三部制定時制課程を持つ山口松風館高校では、午前部や午後部で志願倍率が高い状況が続くとともに、周南地域など、幅広い地域から生徒が通学しており、県内においても、様々な入学動機や学習歴を持つ生徒が引き続き増加することが見込まれます。 このため、多部制定時制高校における生徒の状況や、他県の先進的な事例も踏まえ、今後、生徒の多様なニーズに対応した、柔軟な教育活動が展開できる学校づくりや、生徒の受入れの在り方について検討してまいります。 県教委といたしましては、引き続き、県立高校における多様な学びの場の充実に努め、誰一人取り残されることのない教育の推進に取り組んでまいります。 次に、総合支援学校における教育環境の充実についてです。 総合支援学校においては、児童生徒の持つ力や可能性を伸ばすための教育の基盤として、教室不足や老朽化などの喫緊の課題に対応するための施設整備と、一人一人の障害の状態に応じた学習機会の確保が必要です。 このため、施設整備については、児童生徒数の増加等に伴う教室不足の解消に向けて、集中的な取組を進め、令和元年度に七十五あった教室不足が、今年度末には解消できる見込みであり、引き続き、児童生徒数の推移を見ながら、必要な対策を進めてまいります。 また、老朽化対策についても、各学校の実態や緊急度・優先度を踏まえて計画的に改修、改築を進めており、施設全体の老朽化が進んでいる防府総合支援学校の建て替えに向けて、来年度、基本計画の策定に着手いたします。 具体的には、計画の中で、立地条件に配慮して建物の構造などを定めることとしており、避難場所の確保や災害対策についても、学校や防府市などの意見を踏まえながら検討してまいります。 次に、学習機会の確保に向けては、お示しの分身ロボットを介したリモート接客により、人とつながる体験やVR動画を活用した仮想空間での職場体験、高性能パソコンを活用してのデザイン制作など、児童生徒の可能性を広げるため、ICTを活用した学習環境の整備に取り組むこととしています。 県教委としましては、児童生徒の自立に向けて、一人一人の教育的ニーズに応えることができるよう、ハード・ソフト両面から総合支援学校における教育環境の充実に取り組んでまいります。 ───◆─・──◆──── 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩をいたします。再開は、午後一時の予定でございます。 午前十一時三十三分休憩