1 令和7年度当初予算について 2 DXの推進と社会実装の取組について 3 医療提供体制の充実について 4 中小企業対策について 5 インフラの老朽化対策について 6 交通安全対策について
議長(柳居俊学君)上岡康彦君。 〔上岡康彦君登壇〕(拍手) 上岡康彦君 公明党の上岡康彦でございます。公明党会派を代表して、県政の諸課題、新年度予算案に対する質問をさせていただきます。 質問に入る前に一言申し述べさせていただきます。 去る一月九日、村岡知事へ公明党山口県議団として、令和七年度予算編成に対する政策要望百二項目を申し入れさせていただいたところであります。 今回の予算案には、我が党の要望も随所に盛り込まれており、大変感謝しております。 本県としても、少子化や高齢化が加速度を増していく中で、社会減・自然減に伴う人口減少の流れはどこかで断ち切らねばなりませんし、一層DXを推進しながら、人手不足対策や子育て、若者への定住や所得向上に向けた支援などを拡充していかねばなりません。 公明党としても、希望と活力に満ちた山口県の実現のため、しっかり村岡県政を支えてまいります。 また、公明党は、今年三月中旬から党として新たな取組として、政策立案アンケート「We connect」をスタートさせる予定です。 この新たな取組については、デジタルを活用し、若い方々ももちろん、現役世代を中心に幅広い世代の皆様からのお声をお寄せいただいた上で、双方向でコミュニケーションを取っていくプラットフォームをつくり、ニーズを政策として練り上げていくという活動を展開してまいります。 つまり、公明党として小さな声を聴く力、声を聴く政治をアップデートするプロジェクトと位置づけているわけであります。 この取組をスタートさせる背景には、昨年二○二四年十月から十一月に実施された内閣府の社会意識に関する世論調査において、国の政策に民意が反映されていないと答えた三十代は九割弱に上り、四十代、五十代でも八割を超えたという実態を踏まえ、これまで以上に積極的にお声を伺い、社会が抱えている様々な課題解決へ向けて、公明党が先頭を切っていこうとの決意を現実の行動に起こすというものであります。 我々公明党山口県議団としても、現場第一主義に徹し、県勢発展のために全力を尽くすことを申し上げ、通告に従い、順次質問をいたします。 初めに、令和七年度当初予算についてお伺いします。 一般会計の予算規模で七千三百九十八億円、対前年比でマイナス○・六%、四十二億円のマイナス予算となっています。 落ち着いたとは思いませんが、新型コロナウイルスの関連事業費が減少した分、予算案の総額もマイナスとなってしまっているのは致し方ないとも思います。 しかし、知事がおっしゃっている、希望と活力に満ちた山口県を実現するためには、まだまだ多くの課題に積極果敢に挑戦し、その成果を現実の果実として積み上げていかねばなりません。 人口減や人手不足問題という大きなハードルが立ちはだかっています。社会減を食い止めるための施策が大変重要であることは論をまちませんが、少子高齢化がまだしばらく続くこれからの時代にあって、幅広い世代の方々から選ばれる魅力ある地方に変化していくことも、同時に重要だろうと考えております。 ちょうど一年前になりますが、公明党は、少子高齢化、人口減少への対応に関する自治体アンケートをお願いし、能登半島地震で被災した石川県以外で、本県を含む四十六都道府県と全国千三百四市区町村で御協力いただきました。 アンケート結果や頂いた声を要約すると、一、医療・介護サービスの供給不足への懸念と対策を求める要望、二、外国人材の受入れに関しては、地域住民の理解と協力に加え、やはり言葉、コミュニケーションを心配する声が多いこと、三、子育て、教育、少子化対策については、働き方改革や雇用環境の改善を求める声が最も多かったという結果でありました。 そこで、令和七年度当初予算案の概要を見ますと、誰もが安心と豊かさを実感できる県づくりの推進との政策の柱がありますが、各項目を見ると、まさに公明党がこれまで主張してきた内容が盛り込まれており、高く評価しております。 特に、若者が希望を持てる社会を実現するため、県内就労支援や県内定着に向けた住宅支援を行うほか、結婚、妊娠・出産、子育てなどライフデザインに関する相談支援を拡充し、母子のウエルビーイングを高める産後ケアや産科医療体制の維持・確保など、寄り添い型支援の環境整備メニューも新規に加えられております。 公明党は、子育て支援をはじめとする若者世代に対する支援とは、将来への可能性を開くための言わば未来への投資であると捉えており、人口減少を食い止めると同時に、社会保障の担い手を増やすことにもつながると考えています。 そこでお尋ねいたします。石破総理は、地方創生を看板政策に掲げられ、使い道の自由度の高い自治体向け地方創生関連予算も二千億円に倍増すると心強い話を伺っております。 こうした交付金も念頭に置いて、予算編成に当たられたことと思いますが、予算案で示された各種施策を実現するためには、社会全体で課題を受け止め、企業や民間団体とも連携しながら政策を総動員し、社会全体で施策を推進していくことが必要不可欠だと考えます。 村岡知事としては、誰もが安心と豊かさを実感できる元気な山口県づくりに向けてどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、DXの推進と社会実装の取組についてお尋ねします。 令和七年度当初予算編成方針の基本的な考え方として、安心と豊かさを実感できる県づくりの推進が掲げられ、安心して快適に暮らせる地域社会の実現に向けた施策が幾つも盛り込まれております。 人口減少に歯止めをかけたい本県にとって、行政の効率化と住民福祉の向上や防災・減災対策の充実強化など、行政のデジタル化推進は最重要な課題であります。 また、やまぐちデジタル改革基本方針にもあるように、自治体間の情報システムの共同利用や、二○二五年度までに国が提供するクラウドサービスを活用した基幹業務システムの統一・標準化についても、早急な整備が待たれるところであります。 その意味でいえば、国際大学グローバル・コミュニケーション・センター主幹研究員で情報システム学会会長の砂田薫氏が、公明党に寄せていただいた寄稿文の中で、高齢化が進み人口が減少し、特に生産年齢人口が減っていく時代に求められる全体最適の視点としては、社会福祉や教育などの行政サービスの水準を維持するために、社会全体での無駄をできるだけ減らし、直接的なサービスに予算を振り向ける必要性が高まることに言及された上で、人間中心のデジタル化で利便性と効率性を追求し、高福祉の維持とイノベーションの創出に投資を振り向けるという基本的な政策が重要であると述べられています。 最適化を進めるために、人間中心の視点でデジタル化や情報システムが企画、開発、運用されなければならないという至極当然でありながら、ともすると技術主導になりがちな危険性を的確に指摘されていると思います。 例えば、昨年十一月一日から十二月二十日の五十日間、周南市では自動運転EVバスの実証運行が行われ、延べ三千五百二十九名が実際に乗車されました。 御案内のとおり、山口県や周南市のほか民間企業とも連携し、住みよく活気のあるまちづくりと公共交通の運転士不足に対応するために、自動運転バスの実証運行が行われたわけであります。 かつてない経験に、皆様の関心を大きく集め、デジタル化社会の便利さや楽しさを味わっていただけたのではないかと思っております。どなたに伺っても、ほとんどの方が、将来、レベル四での完全無人運転バスがまちを走るなんて夢のようだとの期待感をわくわくしながら語られました。 また、医療機関のない地域で行われる遠隔医療も好評です。 周防大島町では、遠隔医療と行政手続に対応可能なマルチタスク車を派遣する取組がスタートしていますし、郵便局を利用した全国初のケースで周南市高瀬郵便局でのオンライン診療や、宇部市小野地区では、昨年八月から、県のデジタル実装推進事業の一環として、遠隔オンライン診療の実証実験が行われております。 オンライン診療後は、服薬指導もあり、薬は後日宅配便等で届けられます。時間と車代をかけずとも、病院と同等の診察を受けられた方や、無人運転バスに乗って、デジタル化の便利さを間近で見て肌で実感できた方も多いことと思います。そうした県民が便利さを実感する社会実装に向けた取組を、さらに加速させていく必要があると考えます。 そこでお尋ねいたします。今後、どのようにデジタル化を展開し、県民が身近で便利だと実感してもらえるような社会実装へと結びつけていかれるおつもりか、お伺いいたします。 次に、医療提供体制の充実についてお尋ねします。 厚労省が、昨年公表した医師数の統計によると、二○二二年末現在の全国の医師総数は約三十四万三千人であり、十年前の二○一二年末の統計数からいえば四万人増加したことになっています。 しかし、医師の総数が増えているにもかかわらず、医師不足を深刻な課題として抱える地域が拡大しており、大きな社会問題になっています。その要因が医師の偏在にあるとされています。 医師の偏在は、大きく地域の偏在と診療科の偏在に分けられます。地域偏在をめぐっては、厚労省が医療ニーズや医師の性別、年齢構成などを踏まえた医師偏在指標を公表しましたが、大都市を擁する地域に医師が集中する傾向が強く、都道府県格差は最大で一・九倍に上るとされています。 さらに、診療所においては医師本人の高齢化も進んでおり、例えば八十歳で引退し、承継や新規開業がないと仮定した場合、二○四○年までに東北地方や中国・四国地方では、診療所医師の医師数は半減すると見込まれているようです。 一方、診療科の偏在についても、外科や救急科など多忙を極める診療科などでは、やはり医師の確保がしづらい状況が続いているようであり、特に長時間労働の傾向が強い外科については、ここ十年以上にわたって医師数が横ばいとのことであります。 そこで、厚労省は、昨年十二月二十五日、医師が特定の地域や診療科に偏る医師の偏在を是正し、どこに住んでいても安心して必要な医療が受けられるという当たり前の環境整備に向け、対策パッケージを策定いたしました。 内容については、医師が少なく重点的に対策を進める区域の設定や、そこで働く医師への支援等を盛り込んだものになっております。 この医師偏在対策のポイントの一点目は、都道府県が医師が少ない地域に関して重点的に対策を進める、重点医師偏在対策支援区域を設定することになっています。 この区域は、医師偏在指標だけではなく、可住地面積当たりの医師数や住民の医療機関へのアクセスなども考慮した上で設定されます。重要なことは、こうした医師の少ない支援地域で働くことへの経済的インセンティブを通じて、医師が意欲を持って働ける環境を整備することになっている点です。 二点目は、診療所が密集している一定の区域内で開業を希望する医師に対して、地域に必要な医療機能を担ってもらうように都道府県が要請できる仕組みを強化した点にあります。 具体的には、夜間の初期救急や在宅医療など地域で不足している医療機能の提供や、医師不足地域での土日の代替医師として従事することなどを求めています。応じない場合、勧告、公表、補助金の不交付も可能とされており、地域での支え合いを積極的に促す狙いがあるそうです。 いずれにしても、厚労省は、この対策パッケージの実現に向けて動き出しており、今国会での必要な法改正については注視していきたいと思っております。 そこでお尋ねいたします。本県の医療提供体制の充実のため、地域や診療科の医師偏在是正に向けた医師確保対策について、県はどのように取り組まれるのか、お伺いいたします。 次に、中小企業対策についてお尋ねします。 先月十七日、日本の国内総生産GDPが、通年で初めて六百兆円を超えたとの報道に接しましたが、物価変動の影響を除いた実質GDPは、前年比僅か○・一%増の横ばいですから、大台に乗ったとはいえ物価上昇が膨らんだ結果であり、実感なき成長と言われています。 確かに個人消費は緩やかな改善傾向は続いているものの、円安や物価高がおもしとなり伸び悩んでいます。 同日の林官房長官の記者会見でも、賃上げこそが成長戦略の要、所得向上と経済全体の生産性向上を図り、成長型経済への移行を確実なものにする、と経済の好循環の実現に意欲を示されました。 日本銀行の企業物価指数を確認すると、二○二二年以降の原材料価格は年平均五%以上上昇しているそうです。賃上げによる人件費に加えて、エネルギーや原材料の急激な価格高騰が、多くの中小企業にとって大きな負担となっております。 物流費やエネルギー、原材料などの高騰分を価格転嫁できる業種ならともかく、価格転嫁できない業種の企業にとっては死活問題であります。 また、こうした影響で十分な利益が出せておらず、賃上げへの対応が容易でない中小企業は多いはずです。しかし、賃上げを単なる負担として捉えるのではなく、むしろこのピンチを成長の機会と捉えて頑張る県内の企業を、県は後押ししなければなりません。 物価上昇を上回る賃金の引上げは従業員のモチベーションを向上させ、それが生産性やサービス品質の向上につながれば、よりよい報酬が提示でき、優秀な人材を確保するための有効な条件となり得ます。 賃上げを機会として、従業員にスキルアップを促すとともに、会社に貢献しようとの意欲を持ってもらえるような施策も必要です。 県内の中小企業が難題に立ち向かうためには、デジタル技術の活用が中小企業のコスト削減に有効だと考えております。デジタル技術を積極的に活用すれば、例えばRPAの導入などで業務の効率化を図り、需要予測にAIを駆使して生産、販売と在庫の最適化を図る。また、IoTを用いてエネルギー管理の徹底なども考えられます。 ところが、中小企業にとって最大の課題は、デジタル対応スキルの高い人材がいまだ不足している、またはいないという課題に頭を抱えています。 大多数の中小企業の経営には課題が山積みと言われております。賃上げを実現し、優秀な人材に恵まれるような企業を目指し必死に頑張って活動されていますが、取り巻く環境はますます厳しくなっています。賃上げをはじめ、DX化への対応など、直面する経営課題にしっかりと対策を講じて企業の稼ぐ力を向上させることは、物価高騰対策にも資する施策につながると考えます。 そこでお尋ねいたします。県は、中小企業対策としてどのような施策をお考えなのか、お尋ねいたします。 次に、インフラの老朽化対策についてお尋ねします。 一月二十八日、埼玉県八潮市で起きた県道交差点の陥没によるトラック転落事故では、周辺自治体も含め約百二十万人に節水や排水にも自粛が求められ、電話やインターネットもつながらず、暮らしや地域経済に多大な影響を及ぼしました。 さらに、インフラの老朽化や維持管理の問題を改めて浮き彫りにした、類を見ない大事故となりました。 埼玉県によれば、県が管理する下水道管は五年に一度の点検を行い、二○二一年度の点検でも、これほどの事故につながるような異常は見つからなかったとしています。 しかし、今回の事故を踏まえ、山口県としても、国土強靱化に向けた取組をいま一度点検する必要があるのではないでしょうか。 道路陥没事故発生の翌二十九日に、公明党は中野洋昌国交大臣に対し、人命救助と応急復旧を急ぐよう要請したのに続き、二月六日には、緊急提言を中野国交相に手渡しました。 緊急提言のポイントは、全国的に老朽化した上下水道の緊急点検のほか、地下空洞リスクの調査範囲を全国に拡大することや、インフラの点検手法や五年に一回以上とされている頻度の見直し、インフラの広域管理や非破壊検査、衛星・AIなどの最新技術の開発を推進することなどであります。 本県でも、かつて平成二十六年七月の土木建築委員会で、道路下の空洞調査を求める我が党の質疑に対する道路整備課長の答弁では、平成二十一年度から二十五年度までの五年間で、百八件の道路陥没、へこみが確認されたとの議事録が残っております。 これ以降、県内の各市町でも道路下の空洞調査が実施され、実際に空洞も数か所発見されたと記憶しています。 土木工学・地盤工学が専門の芝浦工業大学稲積真哉教授によれば、八潮市での道路陥没事故のような例は全国でも起こる可能性が高いと指摘されています。さらに、橋梁やトンネル、港湾などの目に見えるインフラには比較的大きな予算が充てられる一方、直接的には見えない地下に埋設された管や地盤に関しては意識がやや弱いと感じる、特に橋やトンネルを支えている地盤こそ一番のインフラと捉えるべきであり、予算をどこにつぎ込むべきか、配分などを見直すことが大切だともおっしゃっておられます。 こうした視点も大切にしつつ、県にはギアを一段上げ、老朽化対策に取り組んでいただきたいと思います。 そこでお尋ねいたします。下水道管に限らず、暮らしや産業を支える土台である様々な県内インフラは、ますます老朽化が進行していきますが、今後どのようにインフラの老朽化対策を進めていかれるのか、お伺いいたします。 最後に、交通安全対策について警察本部長にお伺いいたします。 まずは、去る二月七日の午後十一時半頃、岩国市周東町の国道二号線で発生した交通事故の対応中に、通りかかった別の大型トラックに自動車警ら隊所属の巡査長がはねられて死亡するという痛ましい事故が起こりました。 殉職された巡査長は、私の地元の旧徳山大学を卒業され、レスリングの選手としても活躍しておられ、報道等でその雄姿をうかがったこともありましたので、誠に残念でなりません。御冥福をお祈り申し上げますとともに、謹んでお悔やみを申し上げます。 昨年の山口県における交通事故発生状況について、対前年で比べますと、発生件数こそ百十七件減少しているものの、年間では二千百件以上発生し、死亡者数は五十一人でプラス十六人、重傷者数についても四百五十四人で五十八人の増加となっております。 そのうち交通死亡事故の特徴について言えば、死亡者数五十一人のうち状態別に分析すると、歩行中に事故に遭遇し亡くなるケースが約四割もあります。また、年齢層別では、高齢者が全死亡者の七五%の三十八人と、高齢者が犠牲になる傾向が高いことも分かります。 全国的に見ても、歩行中の事故による死亡者は、毎年三五%前後で、過去十年でも一貫して最も多い事故だそうであります。 昨年十二月に周南市富田で発生した死亡事故も、交通量の多い交差点で、四十九歳男性が運転する軽自動車が、歩行中の八十一歳の女性をはねて死亡させる事故が起こっています。 こうした中、警察庁が児童や高齢者などの歩行者を守るため、交差点で歩行者と車のタイミングを分ける歩車分離信号の積極的な導入を後押しするとの記事を目にいたしました。 警察庁は、導入を検討すべき交差点の条件を二十三年ぶりに大幅に緩和し、全国での整備を促すため、各警察本部に通達したとのことであります。 この歩車分離信号については、恐らく賛否両論あるだろうと思います。完全に歩行者と車の通行が分離されるため、事故の危険性についてはかなり低減されると考えられますが、一方で、歩車分離信号は待ち時間も長くなるため、通勤・帰宅時間帯などにおいては、かえって渋滞のもとにもなり得ます。 それゆえ、地域では反対される方もいらっしゃるのではないかと思いますし、設置地域にあっては、本当に丁寧な説明が必要だろうと考えます。 また、他県よりも信号機が多いと言われる山口県では、信号機や横断歩道をはじめとした交通安全施設の新設、更新、補修など、維持管理が課題となっている旨を伺っております。 実際に県警ホームページ上でも、一灯点滅式信号機については、現地の交通状況を踏まえ、撤去後に同等の規制効果が認められる一時停止規制とするなど、運用の見直しを順次行っているとも記載されております。 そこで、警察本部長にお伺いいたします。歩車分離信号の普及をはじめ、本県における歩行者の安全対策に関して、今後どのようにしていかれるのか、お伺いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)上岡議員の代表質問にお答えします。 まず、令和七年度当初予算についてのお尋ねです。 人口減少を克服し、安心で希望と活力に満ちた山口県を実現するためには、若い世代が将来に希望を持って働き、結婚し、安心して子供を産み育てることができる社会としていくことが、極めて重要です。 このため、今年度は、国のこども未来戦略に基づく様々な支援策に呼応し、第二子以降の保育料無償化や不妊治療の経済的負担軽減策など、全国トップ水準となる本県独自の支援策を講じたところです。 また、男性の育児休業取得や休み方改革の推進など、社会全体の機運醸成も図っているところであり、こうした取組により、若い世代からは、経済的・精神的な負担が軽減されているとの声も聞かれるなど、着実な成果が生まれています。 一方で、出生数が過去最低を下回る見込みとなるなど、人口減少が一層厳しさを増す中、私は、お示しのように子育て支援など、若い世代への支援に粘り強く取り組んでいくことが重要と考えており、来年度予算においても、引き続き、若者や女性のニーズに応えた施策を構築したところです。 まず、少子化対策については、今年度から実施している制度や施策を基盤として、来年度はさらにきめ細かな支援を充実していきます。 具体的には、やまぐち結婚応縁センターについて、会費の通年無料化や若い世代への広報の強化により、出会いの機会の拡大を図るとともに、母子への新たな取組として、宿泊施設を活用した全県的な産後ケアサービスの提供体制を構築します。 さらに、中高生を対象に、将来の妊娠を考えた体のケアの重要性を啓発する、プレコンセプションケアの普及を図るとともに、周産期医療体制の充実、維持・確保に向け、中リスク分娩を担う産科医療機関を支援します。 加えて、医療的ケア児の受入れ拡大に向けた環境整備や、子供・若者に多様な体験機会を提供する取組の促進など、当事者のニーズに寄り添った支援を行っていきます。 また、若者や女性が希望する就労環境の整備に向け、国の新たな地方創生関連交付金を活用し、企業の柔軟な働き方をサポートするとともに、賃上げや若い世代のための職場環境づくりを支援するなど、若者の県内就職・定着をしっかりと後押しいたします。 こうした施策を実効性あるものとするためには、県だけでなく市町や関係団体、民間と一体となって取組を進めることが重要です。 このため、市町連携会議などを通じ、施策の方向性を共有するとともに、引き続き、働き方・休み方改革の推進や、共家事・共育てに向けた社会全体の意識変容にも取り組んでいきます。 私は、来年度の施策を通じて安心と豊かさの実感を県民の皆様に届け、若い世代にとっても将来に希望を持てる山口県が実現できるよう、積極果敢に取り組んでいきます。 次に、DXの推進と社会実装の取組についてのお尋ねにお答えします。 人口減少が進む中、本県が抱える様々な課題を解決し、誰もが安心して豊かに暮らせる持続可能な地域社会を形成していくためには、デジタルの活用が不可欠です。 このため、私は、市町や企業・団体等と連携しながら、県政の各分野・各地域におけるDXの取組を迅速かつ強力に推進しており、その中で、将来のデジタル社会の実現を見据え、新たなデジタル技術の活用にも積極的に挑戦しています。 具体的には、県民のニーズを起点に、本県での生活をより便利で快適なものとする、デジタルの社会実装の実現に向けた実証実験を様々な分野で進めています。 まず、交通分野において、利便性の高い魅力ある地域づくりと運転士不足の解消等を目指し、今年度、周南市で自動運転EVバスの実証運行を実施したところ、利用者から高い満足度が示され、無人運転の実現を期待する声が数多く寄せられました。 これを踏まえ、来年度は、全ての運転操作をシステムが行う、レベル四での運行に向け、技術実証の内容などをステップアップするとともに、今回の先行事例で得たノウハウ等を中山間地域をはじめ、県内他地域での横展開へと生かせるよう取り組んでいきたいと考えています。 医療分野では、通信機器等を備えた車両の運用や、専用タブレットを備えた看護師による自宅訪問などにより、中山間地域などに暮らす高齢者等の通院負担を軽減するオンライン診療の実証を進めており、地域の実情に合ったサービスの提供を目指し、引き続き、市町と共に取り組んでいきます。 こうした取組に加え、今後も、デジタル実装推進基金を最大限活用し、県民の暮らしを支え、より豊かなものとするための社会実装に向けた取組を、さらに拡充していきます。 防災分野では、衛星インターネットの活用やドローンによる物資輸送体制の整備など、災害時に県民の生活を支える取組を進め、福祉分野では、介護現場や見守り体制へのDX導入により、現場の負担を軽減しながらサービスの向上を図る取組をしっかりと県下へ広げてまいります。 さらに、県民生活の利便性向上を図るための県有施設の窓口でのキャッシュレス決済の導入や、公立高校入試でのウェブ出願の環境の整備など、行政DXの取組についてもさらに強化を図ります。 このようなデジタル技術を社会に定着・拡大するためには、様々なルールをデジタルの時代に合った形に見直すことも必要です。 このため、私が構成員として参画をする、国のデジタル行財政改革会議において、自動運転などに係る規制や制度を、デジタル活用の視点で見直すよう強く求めたところであり、今後も、デジタル実装が速やかに進められるよう、地方を代表し、意見をしっかりと届けていきます。 私は、急速な人口減少など、厳しい状況を乗り越え、ウエルビーイングにあふれる、人にやさしいデジタル社会が実現できるよう、本県のデジタルの社会実装の取組を、今後も積極的に推進してまいります。 次に、医療提供体制の充実についてのお尋ねにお答えします。 全ての県民に良質な医療を持続的に提供できる体制を構築するためには、地域医療を支える医師を安定的に確保することが極めて重要です。 このため、私は、山口県医師確保計画に基づき、山口大学や県医師会等と連携して若手医師の確保を重点的に進めてきたところであり、近年、若手医師数は減少から増加に転じるなど、一定の成果が得られています。 しかしながら、お示しのとおり、医師の偏在については本県でも顕在化しており、県民誰もが住み慣れた地域において、必要な医療を受けることができる体制を確保するため、地域偏在の是正や診療科偏在の是正に向けて取り組んでいるところです。 まず、地域偏在の是正に向けては、僻地勤務を返還免除要件とする医師修学資金の貸付けを行い、その貸与を受けた医師や自治医科大学卒業医師を、県内の僻地に所在する公的医療機関等に配置しています。 また、山口大学等と連携し、多くの医学生や高校生を対象として、地域医療への理解を促進し、将来、県内の医療機関で働く医師を志してもらえるよう、僻地診療所など地域医療の現場を学ぶ、地域医療セミナー等を開催しています。 次に、診療科偏在の是正に向けては、将来、救急科など医師不足が顕著な診療科に従事する意向を持つ医学生に対し、特定診療科向けの修学資金の貸付けを行うとともに、専門研修プログラムを実施する医療機関や県医師会等と協働して、不足する診療科の専門医の育成等に取り組んでいます。 こうした中、国においては、将来にわたり地域で必要な医療提供体制を確保するため、医師偏在の是正に向けた総合的な対策を新たに示し、新たな地域医療構想や僻地におけるオンライン診療などと一体的に進めるとしたところです。 この中では、医療機関の減少や交通アクセスの状況等、地域の実情を踏まえ、医師偏在の課題への支援が必要な地域を、重点医師偏在対策支援区域として明確にした上で、十分な効果が出るよう、従来の僻地医療対策を超えて取り組むこととされています。 具体的には、重点区域において診療所を承継または開業する際の施設・設備整備支援や、区域内で働く医師の手当増額などの経済的インセンティブ付与など、先進的なメニューが幅広く示されています。 このため、県では、これらの国の対策を活用するとともに、今後、県地域医療対策協議会等での議論を通じて、これまでの取組との相乗効果も図りながら、本県の実情に応じた医師偏在是正の取組を強化してまいります。 私は、将来にわたり県民の皆様が安心できる医療提供体制の構築に向け、山口大学や県医師会などの関係団体、医療機関等と緊密な連携の下、国の医師偏在是正対策にも的確に対応し、地域医療を担う医師の確保に全力で取り組んでまいります。 次に、中小企業対策についてのお尋ねにお答えします。 本年二月の県中小企業団体中央会による労働事情実態調査では、直面している経営上の障害として、人材不足や光熱費・原材料・仕入れ品の高騰と答えた中小企業が、いずれも五割を超えており、これらの課題が足元の企業経営に大きな影響を与えています。 私は、このような厳しい経営環境において、地域経済と雇用を支える県内中小企業が持続的に成長していくためには、物価上昇に負けない賃上げの実現と、DXの促進などによる生産性の向上を図っていくことが重要と考えています。 まず、賃上げの実現については、国、県、労使団体で構成する、やまぐち政労使会議において、地域を挙げて賃上げの機運の醸成を図るとともに、円滑に価格転嫁が進むよう、経済団体に対し、取引適正化に係る文書要請や、国のパートナーシップ構築宣言の普及啓発を行っているところです。 また、下請法の法改正に向けた検討が進む中、やまぐち産業振興財団が国の委託を受けて設置している下請かけこみ寺において、価格交渉拒否などの取引に関する相談に対応するとともに、取引条件の改善に向けた講習会の開催や、国の指針の周知などの対策を講じております。 加えて、働きやすい職場環境づくりに向けた行動計画の策定に併せ、四%以上の賃上げを実施した中小企業等に対し、最大百万円の県独自の奨励金を支給することにより、賃上げを契機とした企業の魅力向上や人材確保・定着に向けた取組を積極的に後押しすることとしています。 次に、DXなどによる生産性の向上については、AIやIoT等のデジタル技術の活用による業務改善等の取組を促進するため、「Y─BASE」におけるDXコンサルや、デジタル化の段階に応じた設備導入支援など、中小企業のDX化に向けた取組を積極的に支援しています。 また、産業振興財団に設置している、生産性向上・人材創造拠点を中心に、経営革新による付加価値向上や、リスキリングによる人材育成等の一体的な支援も行っているところです。 一方、お示しのとおり、県内中小企業や関係団体から、DX化を進める上での大きな課題であるデジタル人材の確保を求められており、その対策が急務となっています。 このため、県内大学での情報系学部等の新設が続くこの機を的確に捉え、来年度予算において、大学教授等と企業の採用担当者との個別面談会や、デジタル職種に特化した学生向け企業紹介イベントの実施により、県内大学から輩出されるデジタル人材の県内就職を着実に促進してまいります。 私は、こうした取組により、本県経済の重要な担い手である中小企業が、賃上げの実現と生産性の向上を図り、稼ぐ力を着実に向上させられるよう、今後とも、関係支援機関と緊密に連携して、中小企業支援に全力で取り組んでまいります。 次に、インフラの老朽化対策についてのお尋ねにお答えします。 道路や河川等のインフラは、県民生活や経済活動を支える基盤として、恒常的に機能を発揮することが求められる中、本県においても、高度経済成長期に整備した施設の老朽化が進み、今後一斉に更新時期を迎えることから、その対策が喫緊の課題となっています。 このため、私は、やまぐち未来維新プランの重点施策に、日本一の安心インフラやまぐちの実現を掲げ、施設ごとに長寿命化計画を策定し、計画的かつ効率的に老朽化対策を推進しています。 お示しの道路陥没事故に関しては、これを受け、管理する下水道管路の緊急点検を行った結果、直ちに対応を要する異状はないことを確認したところです。 現在、国の対策検討委員会において、下水道管路の点検や管理の在り方等が検討されており、その結果を踏まえ、長寿命化計画を見直すなど、適切に対応していく考えです。 さらに、道路管理者として、下水道管などの道路占用者に対して、引き続き適切に維持管理するよう、指導監督を行うこととしています。 こうした中、インフラ全般の老朽化対策を、より効率的・効果的に進めていくことが重要であることから、デジタル技術を活用したインフラメンテナンスの高度化・効率化にも、積極的に取り組んでいるところです。 具体的には、来年度から、道路や河川などの各施設の点検結果や補修履歴等のデータを一元的に管理するシステムを運用し、蓄積されるデータを現場で活用することにより、異状箇所の早期発見・早期対応を図ります。 また、橋梁やトンネル等に加え、港湾施設などについても、AIやドローンによる点検・診断を進めるなど、デジタル技術の活用範囲を広げていくこととしています。 さらに、現在、国において、DX等によるインフラ全体の老朽化対策の強化について議論が進められており、県もこれに呼応し、最先端の技術を取り入れるなど、取組を充実してまいります。 一方、市町においても、多くのインフラを管理しており、限られた人員や財源の中で、効率的に老朽化対策を進めていく必要があります。 このため、県では、山口大学等と協働し、地域のインフラメンテナンスを担う職員の育成を図るとともに、県が開発した橋梁の点検・診断システムを提供するなど、今後も、市町の取組を積極的に支援してまいります。 これらの老朽化対策を着実に進めるため、六月を目途に策定される国土強靱化実施中期計画について、現行の五か年加速化対策を大きく上回る事業規模とするよう国に要望するなど、必要な予算の確保について、引き続き、あらゆる機会を通じて訴えていきます。 私は、県民の暮らしの安心・安全はあらゆることの基本であるとの認識の下、インフラの適切な維持管理を進めるとともに、デジタル技術を積極的に活用し、計画的かつ効率的に点検や補修を実施することなどにより、インフラの老朽化対策を着実に進めてまいります。 議長(柳居俊学君)熊坂警察本部長。 〔警察本部長 熊坂隆君登壇〕 警察本部長(熊坂隆君)歩行者の交通安全対策について、お答えいたします。 昨年県内で発生した人身交通事故のうち、歩行者に関するものは三百九件発生しております。このうち、横断歩道を歩行中の事故は百二十五件、信号機のある交差点の横断歩道では七十三件発生しています。 このような現状を踏まえ、歩行者の安全確保は重要課題であると認識しております。 議員お示しの歩車分離式信号機につきましては、信号交差点において、横断歩行者と車両との交通事故を防止するため、双方が交差しないように信号機の表示を制御するもので、県内では平成十三年から計画的に導入を進めており、昨年末現在、九十六か所の交差点において設置しております。 議員御指摘のとおり、歩車分離式信号機は、歩行者等の安全確保に効果が認められる一方で、車両の信号待ち時間が長くなり、新たな渋滞の発生などの影響が生じるところであります。 県内で過去十年間に歩車分離式信号機を設置した四十五か所の交差点において、設置の前後三年間の人身事故件数を比較したところ、設置前は五十三件であったものが、設置後には発生がないことから、高い設置効果が認められております。 一方、渋滞対策の観点として、歩行者が押しボタンを押した場合に限り歩車分離となる信号制御は、渋滞軽減に効果が認められることから、歩行者交通量が少ない交差点において導入を進めており、昨年末現在、四十六か所に設置しております。 これらの効果等や、本年一月に見直された警察庁指針を踏まえ、歩行者等の安全を一層確保するため、横断歩行者や車両の交通状況、通学路などの付近の環境などを総合的に勘案し、交通の安全と円滑のバランスに配意しながら、地域住民の方々への事前説明を通じて御理解を得た上、整備を推進していく方針としております。 このほか、道路管理者との連携により、ハンプやスムーズ横断歩道等の物理的デバイスを組み合わせたゾーン30プラスの整備や横断歩道のカラー化を進めていくほか、横断歩道の補修や高輝度化など、交通安全施設の維持管理に努めてまいります。 こうした取組に加えて、引き続き、横断歩道ハンドサイン運動をはじめとした広報啓発活動や交通安全教育に取り組むとともに、交通指導取締りを強化するなど、ハード・ソフトの両面から、歩行者の安全対策を一層推進してまいります。 ───◆─・──◆──── 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩をいたします。再開は、午後一時の予定でございます。 午前十一時四十七分休憩