1 防災・減災に向けた取組について 2 中小企業支援策の充実について 3 女性の活躍推進に向けた環境整備の促進について 4 観光振興について 5 行政DXの取組について 6 高齢者の交通事故防止対策について
───◆─・──◆──── 午後 一時開議 副議長(島田教明君)休憩前に引き続き会議を開きます。 ───◆─・──◆──── 日程第一 代表質問 日程第二 議案第一号から第七十五号まで 副議長(島田教明君)日程第一、代表質問を行い、日程第二、議案第一号から第七十五号までを議題とし、質疑の議事を継続いたします。 氏原秀城君。 〔氏原秀城君登壇〕(拍手) 氏原秀城君 皆様、こんにちは。やまぐち県政会の氏原秀城です。 通告に従い、令和七年二月定例会に当たり、会派を代表して質問をさせていただきます。 まずは、防災・減災に向けた取組についてお尋ねいたします。 近年、気候変動の影響により、全国各地で記録的な豪雨が頻発し、大規模な洪水被害が相次いでいます。 本県においても、線状降水帯による集中豪雨や台風の大型化による河川の氾濫、土砂災害のリスクが高まっており、住民の生命と財産を守るための防災・減災対策が喫緊の課題となっています。 従来の治水対策は、主に堤防の整備やダムの建設、河川の改修といったハード対策が中心でした。しかし、降雨量の増加や地形の制約などにより、これらの対策だけでは対応し切れないケースが増えています。 近年の豪雨災害の状況について振り返りますと、例えば、二○一八年の西日本豪雨では、全国で約二百名を超える貴い命が奪われ、広範囲にわたる浸水や土砂災害が発生いたしました。 また、二○二○年の熊本豪雨では、球磨川流域において大規模な氾濫が発生し、多くの住宅やインフラが破壊されました。 これらの災害に共通するのは、従来の河川整備やダム建設といった治水対策だけでは災害を防ぎ切れなかった点です。 従来の治水対策では、河川管理者である国や自治体が河道掘削や堤防強化、ダム・遊水地の整備などを進めてきましたが、それだけでは近年の異常気象に対応するには限界があるということが明らかになったということです。 こうした実態を踏まえ、国や自治体は流域全体で水を管理するという新たな視点を導入し、流域治水の推進を図っています。 流域治水とは、河川管理者のみならず、自治体、企業、住民が一体となって、流域全体で洪水リスクを軽減する取組です。例えば、土地利用の見直しにより浸水被害を抑えるまちづくりによる治水、森林整備や農地の適切な管理を通じて雨水を適切に貯留・浸透させる緑の流域治水、企業や個人が自らの敷地内に雨水貯留施設を設ける民間の取組、さらには住民避難の円滑化を含めたソフト対策の組合せなど、多様な手法を組み合わせることで、治水の効果を最大限化するものです。 しかし、この流域治水の実現には幾つかの課題があります。 第一に、関係者の連携体制の構築が求められる点です。 従来の治水対策は、主に国や自治体の事業として進められてきましたが、流域治水では住民や民間企業の協力が不可欠です。 そのため、各地域において、行政と民間が連携しながら計画を策定し、持続可能な対策を講じる必要があります。 第二に、財源の確保と効率的な活用です。 流域治水では、インフラ整備といったハード対策と避難計画の策定、土地利用規制などのソフト対策を組み合わせるため、多方面にわたる予算が必要となります。 限られた予算の中で、どのように優先順位をつけ、効果的な対策を進めるのか、国の指導と財政支援が不可欠です。 第三に、住民の意識向上と行動変容です。例えば、ハザードマップの活用や、自助・共助の取組の強化が求められますが、そのためには、地域住民への啓発活動や訓練の実施が欠かせません。 流域治水は、一朝一夕で実現するものではなく、長期的な視点で取り組む必要があります。 そこでお尋ねいたします。気候変動による水害リスクが高まる中、本県においても、これまで以上に流域治水の理念を踏まえた持続可能な防災・減災対策を進めることが求められています。 県が現在取り組んでいる流域治水の進捗状況や今後の計画について、市町や企業、地域住民の協働を促進するための取組や、防災意識向上のための施策等を含め、どのように進められているのか。 また、こうした取組においては、県管理の水門・樋門の自動化・遠隔化による迅速かつ安全な運用も必要と考えられますので、こちらにつきましても、県としての御所見をお伺いいたします。 次に、中小企業支援策の充実についてお尋ねします。 本県の経済を支える中核的な存在である中小企業は、地域の雇用を生み出し、経済の活性化に貢献しています。 しかしながら、近年の経済環境の変化により、中小企業を取り巻く環境はますます厳しさを増しています。 特に、原材料価格やエネルギーコストの上昇、人手不足、さらには新型コロナウイルス感染症の影響からの回復途上にある中で、多くの企業が経営の持続性を問われています。 こうした課題に対し、県としてどのような支援策を講じていくべきか、より議論を深める必要があります。 まず、価格転嫁の問題についてですが、中小企業が適正な価格で取引できる環境を整備することは喫緊の課題です。昨今の物価上昇の影響により、原材料費や物流コストの負担が企業に大きくのしかかっています。 しかし、中小企業と取引先との力関係により、十分な価格転嫁ができず、利益率の低下や経営の圧迫につながっているような状況が続けば、従業員の賃上げや設備投資が難しくなり、ひいては地域経済全体の活力が低下することが懸念されます。 こうした状況を改善するために、国はパートナーシップ構築宣言を推進し、大企業と中小企業の共存共栄を目指す取組を強化しています。 県内の企業にも、この宣言への参加を促し、公正な取引慣行の定着を図ることが重要です。 また、県としても、公正取引委員会や関係機関と連携し、価格転嫁が適正に行われるよう監視・指導を強化するとともに、中小企業が取引条件の改善を求めやすい環境を整えることが求められています。 次に、取引の適正化についてですが、下請企業が不利な契約を強いられるケースや、支払い遅延などの不公正な取引が依然として課題となっています。 これらの問題を解決するためには、事業者間の交渉力の格差を是正し、適正な契約を促進する仕組みが必要です。 特に、デジタル技術を活用した取引の透明化や、専門家による取引条件の相談窓口の充実が求められます。 県としても、こうした取組を積極的に支援し、中小企業が不利な立場に立たされないよう、適正取引の推進に取り組むべきと考えます。 また、近年、経営者の高齢化が進む中、後継者不足に悩む企業が増えていることから、中小企業の継続的な成長には、事業承継の円滑化も欠かせないと考えます。 帝国データバンク山口支店の二○二四年の調査によると、県内企業の後継者不在率は五六・四%と前回調査より三・九ポイント下回ったとはいえ、依然として高い水準にあります。 事業承継が進まなければ、地域経済の担い手が減少し、企業の技術やノウハウが失われるおそれがあります。 そのため、親族内承継や社内承継に加え、第三者承継の選択肢を広げることが重要です。 近年、M&Aによる事業承継も増加はしていますが、その一方で、M&A後に当初の合意と異なる条件が提示されるケースや、買収先企業の経営方針が従業員の雇用や待遇に悪影響を及ぼすケースなどが報告されるなどトラブルもまた発生しています。 これらの問題を防ぐには、M&Aのマッチング支援だけでなく、適正な契約交渉をサポートする専門家の関与を促進し、トラブルを未然に防ぐ体制の構築が必要です。 県としても、事業承継・引継ぎ支援センターや商工会議所などと連携し、M&Aの適正な実施に向けた相談体制をより強化することが求められます。 例えば、M&Aを活用して地元企業同士のマッチングを支援し、地域経済の活性化につなげるとした、地域内での企業継続を促す施策を推進することも重要と考えます。 また、東京商工リサーチ下関支店によると、新型コロナウイルス禍の手厚い支援が終了し、事業継続の再考が促されたことや代表者の高齢化もあって、二○二四年に休廃業や解散した県内企業は五百七十件と前年比約二六%増加、過去最多となったと調査結果も示されました。 そこでお尋ねいたします。中小企業を取り巻く課題は多岐にわたり、価格転嫁の適正化、取引の公正性確保、事業承継の円滑化など、多方面にわたる対応が求められている中、こうした課題に対し、県がどのような支援策を講じるのか、また国の施策と連携しながらどのように効果的な対策を進めていくのか、御所見をお伺いします。 次に、女性の活躍推進に向けた環境整備の促進についてお尋ねします。 近年、社会全体で女性活躍の推進が重要な政策課題として位置づけられています。 本県においても、労働力人口の減少が進む中、女性が活躍できる環境を整備することは、持続可能な地域社会の形成に不可欠です。 しかし、依然として出産・育児・介護といったライフイベントにより、キャリアを中断せざるを得ない状況があるほか、女性特有の健康課題が働き方に影響を及ぼすケースも少なくありません。 特に、本県においては少子化が進行する中で、女性が自らの希望に沿った働き方を選択できる環境整備が求められています。 そのためには、単に雇用機会を増やすだけでなく、健康面への配慮を含めた包括的な支援策が必要です。 まず、女性の健康課題について考えますと、生理や更年期障害、不妊治療、妊娠・出産といったライフステージごとの健康課題が、仕事の継続に大きな影響を与えることが明らかとなっています。 特に、生理痛やPMS(月経前症候群)による体調不良が業務に支障を来すケースも多く、これらの問題に対する理解が不足している職場では、適切な対応がなされていない現状があるともされています。 こうした背景から、従来の休暇要件を拡充するとともに、取得しやすいよう生物学的な分類における女性を示すFemaleの頭文字を取ったF休暇などに名称を変更する企業も増えつつあります。 また、女性の健康課題に関連して、プレコンセプションケア、妊娠前の健康管理の普及も重要です。 近年、晩婚化・晩産化が進む中で、不妊症の増加や妊娠・出産時のリスクが高まる傾向にあることから、男女ともに若いうちから自身の健康管理や妊娠・出産に関する知識を得ることは、将来的な健康維持につながるだけでなく、ライフプランの選択肢を広げることにもなります。 こうした中、女性の健康課題に積極的に取り組んでいる企業においては、男女合同による職場研修として取り入れているところもあります。 県自らもこうした取組を積極的に進めるとともに、企業に対する啓発活動を行い、女性が将来のライフプランを見据えながら健康を維持できる環境づくりを支援することが求められています。 そして、このように職場や男性の理解を含め、女性が働きやすい環境を整えることは、企業の生産性向上や労働力の確保にもつながります。 事実、先般、国による女性の健康課題や働き方に対する理解が不十分なことによる社会全体の経済損失額は年間三兆円を超えると試算されました。 これは、単なる福祉施策ではなく、経済施策の一環として捉えるべき課題です。 働く女性の増加や労働力希少社会の到来を踏まえ、県としても、企業が女性の健康課題に配慮した施策を実施しやすいよう支援策を拡充するとともに、社会全体での意識改革を進めることが求められています。 そこでお尋ねします。このように女性の活躍を推進するためには、健康面のサポート、職場や男性の理解促進など多角的な視点が必要です。 県として、これらの女性活躍の推進に向けた課題に対し、どのように対応していくのか、御所見をお伺いします。 次に、観光振興についてお尋ねします。 本県は、豊かな自然、美しい景観、そして歴史的な文化遺産を有し、観光資源に恵まれている中、二○二四年には、山口市がニューヨークタイムズの二○二四年に行くべき五十二か所に選出され、国内外から注目を集めました。 この選出により、二○二四年は県全体として大きなインバウンド需要による経済効果が期待されたところです。 山口大学の推計によると、欧米の観光客の増加をはじめとしたインバウンドによる湯田温泉の宿泊客数は前年より三千人を超える実績と示された中、直近の試算による経済効果では約五十四億円と、当初見込みの約八十九億円から下方修正されました。 この下方修正の主な要因として、国宝瑠璃光寺五重塔の大改修と重なってしまったことによる観光客の減少、宿泊施設の不足とともに人手不足によるインバウンド対応への温度差などが、低迷の要因の一つとして挙げられました。 一方、山口宇部空港では、本年一月から二月に約六年ぶりとなった韓国・仁川国際空港との双方向のチャーター便では二千七十人が利用。 利用率は九九・一%と高く、訪日韓国人客へのアンケートでは、旅行満足度が九一・九%、再利用希望も八四・五%と高評価を得たところであり、また先月二十一日からの台湾桃園国際空港との双方向チャーター便でも予約率一○〇%と、大変人気を得ており、今後が期待されるところです。 しかし、これらの取組だけでは、山口県の観光振興の持続的な効果を得るには不十分です。 二〇二五年には大阪・関西万博が開催され、会場と国内外との交流人口の大幅な拡大が予想されます。 この機会を生かし、本県への誘客を図るためには、さらなる施策が必要と考えます。 具体的には、一つ目として、人手不足への対応として、観光業界の人材確保と育成の強化によるサービスの質の維持向上。 二つ目は、観光資源の魅力向上として、既存の観光地の魅力を再評価し、新たな観光コンテンツの開発やプロモーションの充実。 三つ目は、交通アクセスの充実として、山口宇部空港のチャーター便の充実や定期化などによるアクセスの利便性向上。 四つ目は、二〇二六年に予定されているデスティネーションキャンペーンを効果的に活用した、広域的な観光誘致が挙げられます。 特に、宿泊施設の人材確保や交通アクセスの充実は、観光客の満足度向上に直結します。また、地域住民と連携した観光地づくりも重要な課題です。 さらに、観光情報の発信力強化も不可欠です。 デジタルマーケティングの活用や、多言語対応の情報提供を充実させることで、海外からの観光客にも魅力を伝えることができます。 特に、SNSやオンラインプラットフォームを活用したプロモーションは、若年層や海外の潜在的な観光客へのアプローチとして効果的です。 そこでお尋ねします。さらなる観光振興に当たって、これらの課題に対し、県としてどのような具体的施策を講じていくのか、県の御所見をお伺いいたします。 次に、行政DXの取組についてお尋ねします。 近年、デジタル技術の進展に伴い、行政の効率化や住民サービスの向上を目的としたDXが全国の自治体で推進されており、本県においても、デジタル改革を推進し、行政の業務改善や市民の利便性向上に向けた取組が進められています。 しかし、自治体ごとにシステムが異なり、業務の非効率化やコスト増加を招いている現状、アナログ規制の残存、職員のデジタルリテラシーの向上など、解決すべき課題は少なくなく、本県のデジタル改革の現状と今後の対応について、さらなる取組が必要と考えます。 まず、本県においても、庁内業務の効率化として、電子決裁システムの導入やデータ活用による政策立案の高度化など、また、県民向けサービスには、行政手続における各種申請手続のオンライン化や、AIを活用した問合せ対応の導入などが行われていますが、これらの取組が十分に機能しているのか、さらなる改善の余地があるのか、検証が求められます。 また、職場環境の改善に向けたDXについては、紙ベースの業務や複数システム間でのデータの二重入力といった非効率な作業を削減するため、業務効率化に資するデジタルツールの導入により、職員の業務負担を軽減し、より効率的な住民サービスの提供に向けた業務プロセスのさらなる洗い出しや見直しも不可欠です。 さらに、リモートワークやフレックスタイム制度の積極的活用など、デジタル技術を活用した柔軟な働き方の促進も、職員の生産性向上や人材確保の観点から重要であり、本県においても、こうした働き方改革を進めるためのDX推進がより求められています。 加えて、自治体システムの標準化・共通化については、国が推進する自治体情報システム標準化、ガバメントクラウドへの対応が急務となっています。 これまで、各自治体が独自にシステムを構築していたため、コストの増加や、異なるシステム間でのデータ連携の困難さが課題となっていました。 しかし、全国の自治体が標準準拠システムを利用することで、運用コストの削減や業務の効率化が期待されます。 本県においても、この標準化の取組を積極的に進めるべきですが、一方で、既存システムの移行に伴う課題や、現場での運用面での不安を解消するための支援策も必要です。 さらに、行政のデジタル化を阻む要因の一つとして、アナログ規制の存在が挙げられます。 書面提出や対面手続の義務、押印文化の継続など、デジタル化を妨げる規制が依然として残っており、これらの見直しも必要です。 特に、民間企業では既にオンライン化が進んでいる手続において、行政のみが従来の方法を維持しているケースも多く、県民の利便性を損なう要因にもなり得ることから、こうした規制を見直し、積極的にデジタル化を進めることが求められます。 一方で、デジタル化を進める上で、職員のデジタルリテラシー向上も重要な課題です。 新たなシステムを導入しても、十分に活用されなければ意味がありません。 特に、デジタルツールの操作に不慣れで、ITに対する苦手意識を持つ職員に対する支援は不可欠です。 そのため、職員向けの研修の充実など、デジタルリテラシー向上に向けた取組を強化することが求められます。 そこでお尋ねいたします。本県のデジタル改革を推進するためには、こうした多方面からのアプローチがまだまだ必要であり、その検証が求められます。 これらの課題に対し、県がどのような具体策を講じているのか、また、これらの取組が十分に機能しているのか、さらなる改善の余地があるのか、そしてさらなる推進に向け、今後どのように取り組むのか、御所見をお伺いいたします。 最後に、高齢者の交通事故防止対策についてお尋ねいたします。 残念ながら、二〇二四年の交通事故による死者数は五十一人と、前年の三十五人から約一・五倍に増加しました。 特に、六十五歳以上の高齢者が全体の約七五%に当たる三十八人を占めており、高齢者の交通事故防止が喫緊の課題と考えます。 また、高齢化の進展に伴い、高齢者の運転者数も増加する中、高齢者が加害者となった死亡事故も二〇二四年は二十四人と、前年の十三人から約一・八倍と増加するなど、被害者・加害者側ともに、高齢者が関係する事故が増加した結果となりました。 こうした現状を踏まえ、交通事故の被害者・加害者双方の観点から、高齢者の事故防止対策を強化する必要があります。 高齢者が被害者とならないための対策としては、夜間の視認性向上のための、さらなる反射材着用の普及促進をはじめ、横断歩道の整備や信号機の改善、道路環境の整備を進めることが求められるとともに、高齢者向けの交通安全教室の充実などは、事故リスクの低減につながることができると考えます。 また、加害者とならないための対策としては、高齢ドライバーの運転特性として、判断力や操作能力の低下が事故の一因と指摘されていることから、高齢運転者の安全運転を支援するための対策として、安全運転支援車、いわゆるサポートカーの導入促進が挙げられます。 このサポートカーは、急発進抑制機能や自動ブレーキなどの先進技術を備え、高齢者の運転ミスによる事故を防ぐ有効な手段とされています。 国も二〇二二年五月からサポートカー限定免許を導入し、高齢者が安全性の高い車両を使用することで、事故リスクを低減できると期待されていますが、このサポートカー限定免許の取得については、全国的に普及が進んでいないのが現状とのことです。 その理由として、実質的にサポートカーのみ運転するということでサポートカー限定免許と同じ結果が得られる中、限定免許の取得にメリットがないことが原因と言われています。 であれば、本県としては、サポートカーの購入補助や、利用促進に向けた啓発活動を強化し、より多くの高齢者が安全運転支援技術の恩恵を受けられるよう取り組むべきとも考えます。 また、運転免許の自主返納を促進することも重要な課題です。 しかし、運転免許を返納した高齢者の移動手段が確保されていなければ、生活の利便性が大きく損なわれる可能性があることから、市町と連携した多様な移動手段の確保に向けた施策の強化が必要だと考えます。 高齢者の交通事故防止に向けては、多角的な取組が求められています。 そこでお尋ねいたします。県警察として、二〇二四年の交通事故状況を受け、二〇二五年の交通事故防止対策、とりわけ高齢者の安全を守る施策をどのように進めていくのか、お伺いいたします。 以上で代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 副議長(島田教明君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)氏原議員の代表質問にお答えします。 まず、防災・減災に向けた取組についてのお尋ねです。 近年、気候変動に起因する記録的な集中豪雨等による災害が、全国で激甚化・頻発化をしている中、本県においても、令和五年梅雨前線豪雨などにより、甚大な被害が発生しました。 私は、こうした災害から県民の生命・財産を守るためには、河川管理者がこれまで実施してきた治水対策に加え、流域全体のあらゆる関係者が協働して、水害を軽減する流域治水の考えに基づき、取組を進めていくことが重要であると考えています。 このため、県と市町が連携して、主要な二級水系において、浸水被害対策などの具体的な取組を取りまとめた流域治水プロジェクトを策定し、河川改修や下水道施設の整備などのハード対策や、住民への的確な情報提供等のソフト対策を進めているところです。 具体的には、ハード対策として、過去に甚大な浸水被害を受けた河川等において、河川整備計画を策定し、中長期的な視点で川幅の拡幅、堤防の整備などを進めるとともに、短期的に効果を発現する河床掘削等の対策を実施しているところです。 また、県管理の二十のダムで事前放流の基準を定めており、引き続き、適切に運用することにより、治水機能の強化を図ってまいります。 あわせて、河川管理者以外が実施主体となる下水道施設や砂防堰堤の整備、治山対策や森林整備・保全等についても、着実に進むよう連携して取り組んでいます。 次に、ソフト対策としては、住民の確実な避難行動につながるよう、雨量や水位、監視カメラによる河川の状況等、危険度を判定するために必要な情報をリアルタイムで提供しているところです。 また、水害リスク情報の空白域を解消するため、昨年度から、全ての県管理河川で洪水浸水想定区域図の作成を進めてきており、来年度からは、市町による洪水ハザードマップの作成を支援するなど、市町と連携し、住民の避難行動に資する情報提供に取り組んでいく考えです。 さらに、市町や企業、地域住民の協働の促進や、防災意識の向上を目的として、自主防災アドバイザーの派遣や出前講座等を行っているところです。 こうした流域治水プロジェクトにおける取組については、定期的なフォローアップや、関係者による進捗状況の共有、新たな取組の追加なども行いながら、着実に進めていくこととしています。 また、県管理の水門・樋門については、県としては、迅速かつ安全な運用のため、一定の予算の下、まずは電動化・無動力化に取り組んでおり、お尋ねの自動化・遠隔化に当たっては、監視体制におけるリダンダンシーの確保などの課題もあることから、国や他県等の動向を注視しているところです。 私は、県民の暮らしの安心・安全は、あらゆることの基本であるとの認識の下、市町や関係機関と連携し、流域治水プロジェクトに掲げる対策を進め、ハード・ソフト両面から治水対策の推進に取り組んでまいります。 次に、中小企業支援策の充実についてのお尋ねにお答えします。 私は、原材料価格やエネルギー価格の高騰が続く中、本県の経済と雇用を支え、産業力の源泉となる中小企業が、現在の厳しい経営環境においても、円滑な価格転嫁や事業承継の促進等により、持続的に発展していくことが重要と考えています。 このため、まず、円滑な価格転嫁に向けては、国の取組を踏まえ、毎年三月と九月の価格交渉促進月間に、県内の経済団体に対し、サプライチェーン全体での価格交渉と価格転嫁の促進を図るよう文書要請を行うとともに、賃金引上げ・価格転嫁支援資金による金融支援も行っています。 また、取組の適正化については、お示しのパートナーシップ構築宣言の普及や、国の委託を受けて、やまぐち産業振興財団が設置している下請かけこみ寺において、元請企業による価格交渉拒否などの取引に関する相談に対応するほか、取引条件の改善に関する講習会も開催しているところです。 こうした中、民間調査会社が昨年七月に実施した調査によると、県内の価格転嫁率は四五%で、前回調査から三・四ポイント改善したものの、五割強の企業がコストの上昇分を自社で負担する状況であり、引き続き、取引適正化に向けた取組を強力に進めることが必要です。 このため、先般の国の総合経済対策等において、下請法の法改正の検討に加え、労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針の遵守の徹底等が示されたことから、国が講ずる具体的な対策の周知を図るなど、的確に対応してまいります。 次に、円滑な事業承継に向けては、国や市町、商工会議所等の関係機関で構成する事業承継支援ネットワーク会議を核として、八月・九月の集中支援期間における普及啓発や、経営課題診断員による三千件を超える巡回訪問、経営者保証の解除に向けた相談対応等を行っています。 また、M&Aに関する知識や経験がない経営者の理解促進を図るため、税理士等の専門家を企業に派遣したり、金融機関等と連携して、オンラインによるマッチング支援を行うなど、後継者不在の場合に、M&Aによる第三者承継を事業承継の一つの選択肢とする取組も進めているところです。 こうした取組に加えて、来年度予算において、事業承継の準備着手のきっかけとするため、新たに、自社株評価試算の普及啓発を行い、併せて、事業承継計画の作成を促すなど、地域内での企業継続につながるよう、事業承継のさらなる促進を図ることとしています。 私は、本県経済の重要な担い手である中小企業が、着実に持続的な成長が図られるよう、円滑な価格転嫁や事業承継促進の取組など、国や関係支援機関と緊密に連携をしながら、中小企業支援に一層取り組んでまいります。 次に、女性の活躍推進に向けた環境整備の促進についてのお尋ねにお答えします。 人口減少が進行する本県において、地域経済が持続的に成長・発展していくためには、働く女性が持てる能力を十分に発揮して活躍し続けることができるよう、希望に沿った働き方ができる環境づくりが重要です。 このため、私は、やまぐち未来維新プランの重点施策に、女性の「働きたい」を応援する取組の強化を掲げ、女性のライフイベントに応じた多様で柔軟な働き方の実現や、女性の働きやすい職場環境づくりに向けて取り組んでいます。 まず、多様で柔軟な働き方の実現に向けては、仕事と子育てを両立できるよう、やまぐち″とも×いく″応援企業登録制度や育休取得を促進するセミナー等を通じ、企業や男性の意識改革を図り、企業の自主的な取組を促進しています。 次に、女性の働きやすい職場環境づくりに向けては、働き方改革支援センターのアドバイザーが直接、企業を訪問し、テレワークや有給休暇を時間単位で取得できる制度など、時間や場所にとらわれない働き方の導入に係る助言等を行っています。 こうした取組に加え、働く世代の女性特有の心身の健康について、社会的理解を促進するため、市町等と連携し、ホームページ等による健康情報の発信や、女性の健康づくりに関する講演会の開催などにより、啓発に取り組んでいるところです。 また、職場での健康づくりを推進するため、企業の健康管理担当者に向け、従業員の生活習慣の改善や、子宮頸がんや乳がん等の検診の重要性に関する研修会の開催等により、組織的に従業員の健康増進に取り組む、やまぐち健康経営企業の拡大に努めています。 さらに、万が一病気を患った場合、安心して治療と仕事を両立できるよう、労働局が主体となり山口県地域両立支援推進チームを設置し、事業場における環境整備や個別の労働者への支援の進め方等について、周知啓発に取り組んでいます。 一方、自らの希望に応じたキャリアを構築するためには、男女ともに若い世代が、早い時期から将来のライフプランを考えて、日々の生活や健康と向き合えるようサポートしていくことも重要です。 このため、来年度から、新たに労務担当職員も対象に、女性の健康管理や妊娠・出産に関する研修を行い、企業におけるプレコンセプションケアの推進に向けて支援をすることとしています。 こうした中、国の労働政策審議会において、令和八年三月末に期限を迎える女性活躍推進法について、十年間の期限延長や、企業に対し、女性特有の健康課題への配慮を促すことが適当であると答申されるなど、法改正に向けた動きが見られるところです。 私は、こうした国の動きも注視しながら、女性が自身の健康課題と向き合い、ライフイベントに応じて希望に沿った働き方により活躍できるよう、働きやすい環境づくりに取り組んでまいります。 次に、観光振興についてのお尋ねにお答えします。 交流人口の拡大や地域経済の活性化に大きく寄与する観光の振興は、活力ある県づくりを進める上で、極めて重要な役割を果たすものです。 このため、新たな観光県やまぐち創造プランに沿って、これまで、県内各地における魅力ある観光地域づくりをはじめ、国内外に向けた戦略的なプロモーションや、本県に直接観光客を呼び込む国際線の誘致などに積極的に取り組んできました。 その結果、観光客数の回復や新たな観光コンテンツの造成、韓国・台湾を結ぶチャーター便の再開など、多くの成果を得たところであり、私は、今後、さらなる誘客の拡大を図っていくため、本県観光力の強化に向けた取組を集中的に進めていくこととしています。 具体的には、まず、誘客の基盤となる観光地の魅力向上を図るため、市町や観光事業者、地域住民等と一体となって、本県が世界に誇る文化財や豊かな自然を生かした新たなツーリズムを創出していくとともに、地域の多彩な食を取り入れたコンテンツの開発等を進めていきます。 また、こうした観光地を支える人材の確保や育成は大きな課題であることから、宿泊施設の業務効率化など、働き方改革に資する取組を支援するほか、若者に向けた観光業界の魅力発信や中核人材を育成するフォーラムの開催等により、引き続き、サービスの質の維持向上を図ることとしています。 加えて、本県観光の認知度を大きく高めていくため、万博や山口DCの機会を捉えたプロモーションを展開することとしており、大都市圏で本県の魅力を広く発信するとともに、旅行会社や交通事業者と連携し、そのネットワークを生かしながら、広域旅行商品の造成に取り組みます。 また、国内外に向け、SNS等による観光客のニーズに即したターゲティング広告を効果的に配信し、若年層をはじめ、潜在的な観光客となり得る層にもアプローチしていくことで、本県への誘客を促進していくこととしています。 こうした取組とともに、海外からの交通アクセスの充実に向け、これまでのチャーター便の実績等を生かしながら、空港利用促進振興会や海外に配置している観光プロモーターと連携し、引き続き、国際線の誘致・定着を図っていきます。 私は、今後とも、市町や関係団体等と緊密に連携しながら、観光力の強化に向けた幅広い施策の展開を図り、本県の魅力を誘客拡大につなげる観光振興に取り組んでまいります。 次に、行政DXの取組についてのお尋ねにお答えします。 行政DXの推進は、県民の利便性の向上とともに、行政の業務効率化やコストの削減にもつながるもので、非常に重要な取組だと考えています。 このため、県では、これをデジタル改革の柱の一つに位置づけ、全国に先駆けて、生成AIの活用などの取組を迅速に進めるとともに、データに基づいた取組内容の検証等も行いながら、その改善を図っています。 さらに、デジタルで職場環境を進化させ、生産性の向上等につなげる、行政DX・新たな価値を創出する働き方改革による取組も開始しており、今後も、本県の行政DXの推進に向けた様々な取組を着実に進めることとしています。 具体的には、まず、行政手続のオンライン化については、県独自の手続は実施が困難なものを除き、令和四年度にオンライン化を全て完了し、こうした手続にワンストップでアクセスできる総合案内サイトも開設しており、その結果、オンライン申請の件数は年々増加しています。 今後も、手続の手数料等に係るキャッシュレス化の拡充やマイナンバーカードの活用等を進めることとしており、こうした取組を通じて、さらに利用の拡大を図っていきます。 業務改革や働き方の見直しについては、行政DXと働き方改革の取組の中で、ペーパーレス化やデジタルツールによる定型的業務の自動化・省力化など、業務プロセスの改善を進めており、RPAの活用による年間一万二千五百時間を超える業務時間の削減効果も生まれています。 これに併せて、情報システムの最適化によるコストの削減を進めるとともに、コミュニケーションツールの活用による、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方の促進などにも積極的に取り組んでいるところです。 書面提出や対面手続の義務づけなどのアナログ規制の見直しにも既に着手をしており、県で対応が可能な約三百八十件の規制について、規程の改正や運用の改善などの見直しを進めています。 また、国が進める標準準拠システムへの移行については、全国知事会のデジタル社会推進本部長として、国に適正な移行費用の算定や運用面での課題解決に向けた要請を行い、移行経費支援に係る基金への積み増しなどが行われたところであり、今後も、地方の実情を踏まえ、必要な対応を行っていきます。 県内の市町に対しては、「Y─BASE」に市町の取組を支援する窓口を設置し、システムの導入やベンダーとの調整など、様々な課題への対応を支援しており、引き続き、県内市町の円滑な移行に向けた支援を行うこととしています。 最後に、職員のリテラシー向上に向けては、これまでも職員一人一人のスキルを高めるための様々な研修を行っており、今後も、絶えず進化を続けるデジタル技術の動向なども踏まえ、内容の充実を図ってまいります。 私は、本県のデジタル社会の構築に向けて、デジタル技術を最大限に活用し、行政サービスの維持と強化を図る、行政DXの取組を今後も着実に進めてまいります。 副議長(島田教明君)熊坂警察本部長。 〔警察本部長 熊坂隆君登壇〕 警察本部長(熊坂隆君)昨年の交通事故発生状況を踏まえた、高齢者の交通事故防止対策についてお答えいたします。 昨年の交通事故死者五十一人のうち、高齢者は前年比十八人増加の三十八人、重傷を負われた高齢者も前年比三十三人増加の百九十二人となりました。 また、歩行中の死者・重傷者を年代別に見ると、人口十万人当たりでは約九割が六十五歳以上の高齢者であり、八十五歳以上になると道路横断中の事故の増加が顕著となっております。 一方、原付以上の車両の運転者は、免許保有者十万人当たりでは、約七割が六十五歳以上の高齢者であり、中でも八十五歳以上の運転者の割合が三五%と最も高くなっております。 こうした交通事故の分析を踏まえ、県警察では、あらゆる高齢者が、加齢に伴う身体機能の変化が行動に及ぼす影響等を理解し、自ら納得して安全な交通行動が実践できるよう各種施策に取り組んでおります。 まず、歩行者に対する取組では、高齢者の事故が午前と夕方の時間帯、自宅近くの道路を横断中に多いという実態を踏まえ、交通安全教育や戸別訪問指導では、各地域で発生した交通事故現場等の写真など身近な危険を示しつつ、安全な交通行動を促すための指導に取り組んでまいります。 また、シルバー人材センターなど高齢者と関わりの深い団体や高齢者の利用が多い施設等と連携した広報活動により、多くの高齢者に事故の実態等を周知してまいります。 一方、高齢運転者では、年齢が上がるにつれて事故率が高く、八十五歳以上になると、発見の遅れを原因とする人対車両、車両単独の事故が多く発生しております。 このため、一定期間に複数回の交通事故を起こした者を対象に指導を実施するAPサポートプログラムの対象者について、一回の交通事故でも事故原因等から指導が必要と認める者に重点を置き、交通事故の実態や身体機能の変化が運転に及ぼす影響等について、家族も含めて指導してまいります。 その上で、運転に不安を感じられる方には、サポートカー限定免許や運転免許証返納後の生活を支援する運転卒業証制度を教示するなど、きめ細やかな指導に努めてまいります。 なお、議員お示しのとおり、サポートカーは、交通事故を防ぐ上で有効な手段の一つであると認識しており、その普及に向け、県警察では、団体、自動車販売店の協力の下、各地域で体験試乗会を開催し、先進技術を紹介するなど、啓発活動に努めております。 また、市町や関係事業所等の協力を得て、運転卒業証制度の支援内容の拡充を図っているほか、各市町で実施している交通関係の助成事業の周知にも努めております。 県警察といたしましては、関係機関・団体等と連携し、高齢者が安心して利用できる交通環境の整備や、高齢者の交通安全意識の醸成につながる情報・教育の提供を積極的に行うなど、高齢者を交通事故の被害者にも加害者にもさせないための取組を推進してまいります。 副議長(島田教明君)これをもって代表質問を終わります。 ───◆─・──◆──── 副議長(島田教明君)以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 本日は、これをもって散会いたします。 午後一時五十三分散会