1 新しい戦前の始まりについて 2 国民健康保険における資格確認書について 3 上関原発と中間貯蔵施設に関する諸問題について
副議長(河野亨君)中嶋光雄君。 〔中嶋光雄君登壇〕(拍手) 中嶋光雄君 社民党・市民連合の中嶋です。通告に従い質問します。 まず、新しい戦前の始まりについて。 物価高が暮らしを直撃しています。三月の消費者物価指数は、前年同月と比べ三・二%上昇、三%台の上昇率は四か月連続で、上昇は四十三か月連続です。他方で膨張続く防衛費。当初予算ベースで二○二一年度の五・三兆円が今年度は八・七兆円と過去最大を更新し続けています。 そして、台湾有事、中国の脅威が殊さらあおられ、石垣島、南西諸島に陸上自衛隊で一番新しい駐屯地が造られ、ミサイル部隊を配備する流れの中で、台湾有事の南西諸島波及を念頭にした沖縄県先島諸島からの住民避難初期計画策定を求められている。 また、山陽小野田市の宇宙監視レーダーが、県・市にも無通告で本格運用されたこと。米海兵隊が岩国基地にステルス戦闘機F35Bの部隊を県・市に事前通知なく新たに配備したこと。 さらに、昨今、各地の祭りなどの行事に兵器とともに自衛隊が参加するようになって危惧していたところ、さらに、山口宇部空港を防衛力の強化に向けて自衛隊の訓練などで円滑に使えるようにする、国が指定する特定利用空港の候補として検討されていることが公表された。 まさに新しい戦前を実感させるこの四件についての県の対応を伺います。 二つ、国民健康保険における資格確認書について。 先日、後期高齢者医療広域連合から、マイナンバーカード周知リーフレットの送付についての文書が私宛てに届きました。内容は、「七月末までに、全ての被保険者に八月から御利用いただける資格確認書をお届けする」で、釈然としないながらも安心しました。 マイナ保険証は国民の四人に一人くらいしか使っておらず、四人に三人くらいは既存の保険証や資格確認書を使っている。 六月六日の衆議院厚生労働委員会で、マイナ保険証の有無にかかわらず、国保加入者への保険証代わりの資格確認書を全員に交付するとした東京都渋谷区や世田谷区の対応を問われ、厚生労働大臣は、自治事務なので、最後は自治体の判断と答弁した。したがって、県としても、各市町にこのことを積極的に技術的助言すべきではないか伺います。 三つ目、上関原発と中間貯蔵施設に関する諸問題について。 一、今年は、広島、長崎の原爆被爆八十年、核時代の幕開けから八十年、被曝の過小評価を繰り返してきた八十年、旧ソ連のチェルノブイリ原発重大事故から三十九年、福島第一原発炉心溶融事故発生から十四年。一年六か月前の能登半島地震による甚大な被害は、三十年前の阪神・淡路大震災による直下地震の脅威や十四年前の東北大地震の地震・津波による福島第一原発重大事故と、今なお続く深刻な原子力災害を改めて思い起こさせました。震源地の珠洲市高屋地区に計画どおり珠洲原発が建設されていたなら、福島事故が繰り返されていたことでしょう。 にもかかわらず、第七次エネルギー基本計画では、原発の、可能な限り依存度を低減するが削除され、さらに、次世代革新炉への建て替えを、廃炉を決定した原子力発電所を有する事業者の原子力発電所のサイト内へと条件も緩められた。原発の六十年超への寿命延長など、原発の最大限活用も打ち出した。 しかし、日本原子力文化財団による二○二四年度世論調査の結果でも、原子力に対する態度(原子力発電の利用)の項目を見ると、今後の原子力の利用に関して、積極的な原発利用層である維持、増加はそれぞれ一三・二%、五・一%と少数派で、最も多い意見は、徐々に廃止が三九・八%、次いで、分からないが三三・一%、即時廃止が四・九%で、国民の大多数は原発の最大限活用には反対であり、国民の意識から完全に乖離している。 これらについて県としてはどのような認識なのか、まずお聞かせください。 二、データセンターや半導体産業などへの電力需要増に対応するために原発回帰が宣伝されているが、それは施設の立地地域に限定された話で、日本全体に占める割合は小さいもので、再エネの拡大、蓄電池や送配電網などで十分対応できる。第一、原発は安定した電源とは言えない。福島事故で全原発が突然止まったし、事故や定期検査で数か月間止まるのはざらにある。まして四十年超の老朽原発が増えるので、一層不安定になると考えるが、県は、日本原子力産業協会に高い会費を払って原子力発電関係の情報収集を図っているとの議会答弁だが、こうした点についての情報と県としての分析についてお尋ねです。 三、関連して、新たに原発を建てようと思っても、最新の原発では一基一兆円以上、工期遅延で三兆円にも跳ね上がる。建設中の利子負担や竣工後五十年から六十年かけての減価償却に追われ、利益が出ず、経営の重荷となるのは必至で、電力会社も、新設へのアドバルーンは上げても、具体化には二の足を踏んで、投資リスクを大きく低減させる国の制度が必要だと政府に求めている始末です。 英・仏両政府のように電気料金や税金をフル活用して、巨額の建設費を国民へ巧みに転嫁する支援制度の導入を求めているとの情報も県民に開示すべきではないか伺います。 四、さらに、三菱重工業は、関西・四国・九州・北海道電力四社と共同で百二十万キロワット級の革新軽水炉を開発中で、十年先の二○三○年代半ばの実用化を目指している。今はまだ設計段階で、新規制基準適合性審査に通る設計にするため、原子力規制委員会との設計内容すり合わせに励んでいて、建設費の見積りなどできないにもかかわらず、関電は、二○二四年十一月に最大三千七百九十四億円規模の公募増資を実施し、原発の新増設やリプレースを見据え、企業財務を強化し、次の原発に備えるという長期的な視点に立った判断。大きな投資に耐えられるようにすると宣言。九州電力も、二○二五年五月十九日公表した二○三五年度までの経営ビジョンに次世代型原子炉の開発と設置を検討と盛り込んだ。 経産省は、九州は、原発再稼働もいち早く受け入れてきた、安定した電力供給は半導体産業の誘致という地域振興に欠かせないとエールを送っているが、両電力とも具体的な立地点や立地計画は曖昧なままで、政府による支援策引き出しに余念がないという。 中電の上関原発については、こうした動きすら全くない状況だ。こうした点について、県はどのような認識なのか、お聞かせください。 五、上関原発の妨害予防訴訟で、地裁岩国支部の裁判長が原子力規制委員会に対し、原子炉設置許可申請の審査見通し等を問うた調査嘱託に対する回答──参考資料一を御覧ください。上関原子力発電所に係る設置許可申請に係る審査会合の開催は、申請者により、当該申請が新規制基準を踏まえた内容となるよう補正等がなされることが前提となるところ、現時点までに申請者から所要の補正等はなされていないことから、原子力規制委員会は、その時期等について承知しておらず、審査会合の予定ないし見通しについて述べることはできない、である。 つまり、法的にも制度上も、現時点で本体着工時期の見通しは全く立っていないことが明白になったわけだが、にもかかわらず、公有水面埋立期間伸長許可を出し続けていることの整合性が取れていないことをどう釈明されるのか、お尋ねです。 六、原発を運転すれば必ず出てくる使用済核燃料の処分問題は、めどが立つどころか、全くふん詰まり状態。原発から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分場に関する共同通信社の四十七都道府県知事アンケートで、処分場受入れや調査に賛成はゼロだった。中国地方五県では、調査・処分場受入れに反対が岡山、島根の二県、判断できないなど事実上のゼロ回答が広島、山口、鳥取の三県。村岡知事の回答は、国は、現時点で調査や処分場の受入れの判断を求めるものではなく、受入れに関し何らの見解もない、だったと報道にある。 そこで、現在、核燃料サイクルは事実上破綻している状況の中で、上関町への関電の使用済核燃料持込みが検討されているが、本県としての見解はどうかとどう問われても、上関町における使用済核燃料中間貯蔵施設については、現在、あくまでも施設が立地可能なのかどうか調査が実施されているところであり、県としての対応を申し上げる状況にないものと考えているとの繰り返しに終始しているが、核のごみの最終処分場に関しての見解についても同様の姿勢なのか、お尋ねです。 七、関西電力といえば、電力自由化の流れに反するカルテルを首謀しながら、違反していたことを公正取引委員会に最初に自主申告したため、独禁法の課徴金減免制度によって処分を免れ、さらに、送配電会社の顧客情報を不正閲覧して顧客奪還に活用するなど、人々の命・暮らしよりも自社利益を最優先させる関電の姿勢は目に余ります。 ちなみに、カルテルで七百七億円の課徴金の支払いを命じられた中電社長が島根県庁に出向き、島根県知事に謝罪。丸山知事は、関電の責任が一切問われないのは理解し難い。関電に対して賠償請求するよう強く求められたそうだが、中電の大株主たる本県として、怒りもせず、明日の中電株主総会を今回も白紙委任状で済ますのか。また、関電の核のごみの本県への持込みを成り行き任せで済ませてはならないが、それで県知事として県民への説明責任が果たせているとお思いなのか伺います。 八、六月十日の上関町議会で、使用済核燃料の中間貯蔵施設受入れの判断に周辺自治体の民意を考慮するかどうかを問われた西町長は、議会制民主主義のルールで判断されるべきだと述べ、受入れについては上関町で判断されるべきだとの考えを示した上で、周辺の自治体への説明は、国や中電が行っていくものだと答弁したと報じられている。この答弁は、事前に県に相談、調整があった上での答弁だったのか、お聞かせください。 なお、原発本体と他の原発の使用済核燃料が同時に同じエリアに存在することについて、こういう場所は日本中どこにもない、負担としては非常に過大だ、との二○二三年十二月二十六日定例記者会見での村岡知事発言を踏まえてのお考えもお聞かせください。 九、これに先立つ五月二十八日には、上関町周辺の四市町、柳井市、周防大島町、田布施町、平生町の首長が会議を開かれ、田布施町議会で、安全性への懸念などから建設に反対する決議が可決されたことや、周防大島町議会に、町が主体となって推進と反対の専門家を招き、確かな情報で判断するための住民説明会を求める請願書が提出されたこと、平生町では、賛否を問う民間の住民アンケートが行われていることなど、住民の関心が高まる中、一市三町の首長は、国の資源エネルギー庁をそれぞれ訪れ、中間貯蔵施設に関する説明会を求める声が出ている状況などについて、直接伝える方針を決められています。 なお、マスコミの取材で、複数の首長から、本音では来てほしくないなどと困惑されたり、県知事が周辺市町の立場を踏まえて判断してほしいとの意見であることが伝わっているが、このことを県としてどの程度認識しているのかお聞かせください。 十、本県にとって人口減少対策は一丁目一番地だ。この間の取組で、県内移住者は四千五百七十八人で、八年連続で最多更新という。NPO法人ふるさと回帰支援センターによると、移住希望地の都道府県ランキングで、山口県は二○二○年の二十位が二○二四年度は六位にまで上昇している。さらに、転出超過が最も多い福岡県に新たに相談拠点を設置する施策も講じられようとしている。 こうした中で、これらの努力に水をぶっかけているのが上関町の中間貯蔵施設計画であることが、六月三日に行われた「上関原発」建設計画に反対する二市四町議会議員連盟による県知事への申入れで、参加議員の訴えで鮮明になりました。 参加女性議員は、「柳井市では、子育て支援を通じて人口問題に取り組んでいる。中間貯蔵施設が建つと、息子は帰ってこんじゃろうとの話を聞かされる。」、「いざ避難の際、周防大島には本土への橋が一本しかなく、不安に思う声が多い。」、「安全・安心で自然豊かなところで子育てしたいので、平生町に移住してきて十年になる。平生町にはお試し住宅があって、関東からの家族がこういうところで暮らしたいと過ごされていたが、上関での件が起こり、こんな問題があるところでは暮らそうとは思わないと帰っていかれた。残念でならない。」、「田布施町地域おこし協力隊でやってきて、移住者キックオフミーティングで村岡知事に我が子をだっこしていただいた写真を今でも大事に持っている。三年間の任期を終え、人口が十八人に減ってしまった島に十二年。ずっと住み続けようと家、土地を買おうと思っていたが、中間貯蔵施設を調べれば調べるほどにショックで、買うのをやめた。自分だけでなく対岸で事業をされている方も、何で関電のごみを、あんな危険なものを、どうして美しい、人がいないところに持ってくるんだと怒っておられる。県と上関だけが決めないで。」などと。全ての市議・町議の皆さんの思いや意見を時間の制約で伝えられないのが非常に残念だが、こうした声を県知事はしっかりと受け止めておられるのか、お聞かせください。 十一、二月県議会での私の一般質問に対する答弁を、次の質問をするために引用します。答弁は、 国からは、上関原発の重要電源開発地点指定は引き続き有効であり、事情の変化がない限り解除する考えはないとの見解が示されている。こうしたことから、県としては、国のエネルギー政策における上関原発の位置づけが引き続き存続し、今後も存続する見通しであると認識しています。また、公有水面埋立免許の期間伸長許可により、中国電力は、法的には埋立工事を施行できる状況にあります。しかしながら、上関原発の原子炉設置許可申請に係る国の審査会合が開催されていない状況や、中国電力の電力供給計画において、上関原発の着工時期が未定とされている状況は変わっていません。このように、引き続き発電所本体の着工時期が見通せない状況にあることから、原発建設計画が存する県の立場からは、埋立工事のみを先行すべきではないと判断し、発電所本体の着工時期の見通しがつくまで埋立工事を施行しないよう要請しているものです。 でした。 そこで質問です。 県は、これまで三度、中国電力の申請に応じるままに、資源エネルギー庁の一課長の回答文書をもって許可しています。しかし、経産省は、事情の変化がないとの判断について、事業者、中電からの重要電源開発地点解除の申出がない中で、その指定を国自らが解除する必要はない──二○一七年五月十二日衆議院経済産業委員会における当時の世耕大臣答弁、としています。 これでは、中国電力は政府が解除していないことを根拠に、政府は中電から解除の申出がないことを根拠に、引き続き有効としていることになります。両者が相手を根拠にしている状態では、虚構の回答と言わざるを得ません。このような虚構を伸長の根拠にすることは、行政の不作為と言うほかありません。 県も、上関原発を位置づける重要電源開発地点の指定について、現時点に至るまで何ら変更はないとの主張の確たる証拠だ、正当な事由になるというのだから、何をか言わんやです。 重要電源開発地点の指定に関する規程──参考資料二をお届けをしています。第四条第五項の一に、「供給計画に記載がされていること」、四に、「電源開発の計画の具体化が確実な電源であること」、五に、「電力需給対策上重要な電源であること」、第七条、経済産業大臣は、「指定を行った重要電源開発地点が第四条第五項に掲げる要件のいずれかに適合しなくなったとき、その指定を解除することができるものとする」と定められている。 引用した二月議会答弁で、県自らが「中国電力の電力供給計画において、上関原発の着工時期が未定とされている状況は変わっていません」と認識しているのだから、るる言った要件に適合しなくなっているのは明白ではないか。付言すると、中国電力がOCCTO(電力広域的運営推進機関)に提出している供給計画において、上関原発は供給計画に入っていない。また、政府は、第七次エネルギー基本計画において、二○四○年時点の発電電力量における原子力の割合を二割程度としたが、この中に上関原発は含まれていないことは明白。 中国電力の経営計画では、着工時期や竣工時期は未定となっており、建設計画は具体的ではない。 OCCTOに提出した供給計画によれば、向こう十年間の需要予測は、二○○一年に国の電源開発基本計画に組み入れられた当時よりも大幅に減少している。この傾向は電力の自由化の進展の中で続くことになると考えられる。他方、供給力は島根二号炉の再稼働により大幅に増えることになる。もはや上関原発計画は需給対策上重要な電源ではなくなっている。 少なくとも上記三要件に既に適合していないのですから、本来なら指定解除すべきところ、経産省が解除しない理由は先に述べました。それは明らかに政府の不作為です。山口県知事として政府の不作為を追認し、公有水面埋立ての免許の期間伸長許可の正当な事由の根拠とすべきではないと思うが、改めて見解を伺います。 十二、二○二三年十一月八日の知事定例記者会見で、中電社長が知事と面会後、周辺市町に説明し、理解を求めるよう指示を受けたと発言したことに、知事は、そうした発言はしていない、あたかも県が施設建設を進める側の立場と取られかねないミスリードだと苦言。周辺市町から丁寧な説明を求める声があるので、情報提供と説明について十分お考えいただきたいと申し上げたが、理解を得てくれとは申し上げていない。ここは私の基本的な姿勢に大きく関わるので明確にしたいと強調されている。 つまり、村岡知事は、中間貯蔵施設について、あくまで中立という立場だということなんだろうが、二○二五年度予算で、経産省資源エネルギー庁は、山口県と上関町への電源立地地域対策交付金として約十三億五千万円を盛り込んだ。使用済核燃料の中間貯蔵施設の建設に対する県知事の同意まで手続が進んだ場合に備え、二四年度から約七億五千万円増やしている。 村岡知事は中立なんだと言われるが、国は着実に外堀を埋め始めているのは明白で、このままでは、何も表明されないままでは同意とみなされ、なし崩し的に国の原発最大限活用政策に飲み込まれるおそれ大だが、こうした懸念の声に対する見解をお尋ねし、一回目の質問とします。(拍手) 副議長(河野亨君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)中嶋議員の御質問のうち、私からは、国民健康保険における資格確認書についてのお尋ねにお答えします。 デジタル社会のパスポートであるマイナンバーカードのさらなる普及と利活用の拡大により、社会保障制度を含む多様な分野において国民の利便性向上を図るため、昨年十二月以降、健康保険証はマイナ保険証を基本とする仕組みへ移行しているところです。 このマイナ保険証は、過去の診療データ等に基づくよりよい医療の提供や救急現場における適切な応急処置などに活用され、様々なメリットがあることから、今後も、その普及及び利用促進が図られていくことが重要です。 お示しの資格確認書は、関係法令等に基づき、マイナ保険証による受診が困難な場合などに交付するものと定められており、国民健康保険については、様々な年代・属性の被保険者がいることから、全員一律に資格確認書を交付する状況にはないとされています。 こうしたことから、私は、お尋ねのあった市町への助言を行うことは考えていませんが、マイナ保険証の意義等について国民への普及啓発を進めるよう、引き続き全国知事会等を通じて国に要望してまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 副議長(河野亨君)大川総務部長。 〔総務部長 大川真一君登壇〕 総務部長(大川真一君)新しい戦前の始まりについての御質問のうち、二点のお尋ねにお答えします。 まず、沖縄県先島諸島からの避難住民に係る初期計画の策定を求められていることに対する県の対応についてです。 県では、国から沖縄県国民保護訓練の一環として計画作成の協力要請を受け、先島避難住民の受入れに係る初期的な計画を作成、提出し、三月に公表したところです。 次に、宇宙状況監視レーダーが県・市に無通告で本格運用されたことに対する県の対応についてです。 宇宙状況監視レーダーは、本年三月から運用開始されていますが、国からは県と山陽小野田市に、令和六年度内に運用開始する旨の事前説明があったところです。 県としては、当該レーダーは宇宙政策を推進する国の責任において適切に運用されるものと考えています。 次に、上関原発と中間貯蔵施設に関する諸問題に関する御質問のうち、株主総会の対応についてのお尋ねにお答えします。 株主総会への対応方針については、県は、株主の立場として、これまで一貫して株式の所有と会社の経営とを分離して考え、経営への関与・参画は行わないとの基本姿勢を堅持し、対応してきました。 このような基本姿勢の下、県は、株主として中立的な態度を明示するため、今年度も総会を欠席し、議決権行使書は白紙で提出することとしたところです。 副議長(河野亨君)田中総務部理事。 〔総務部理事 田中康史君登壇〕 総務部理事(田中康史君)新しい戦前の始まりについての御質問のうち、岩国基地へのF35B部隊の配備に関するお尋ねにお答えします。 お示しのF35B部隊の展開については、その飛来等が確認されて以降、展開目的や理由、滞在期間等について、岩国市と連携して、国に対し照会を行ってきました。 その後、国からの一連の回答等について、岩国市と共に評価した結果、今回の部隊の展開は、新たな部隊の追加配備ではなく、一時的なものであり、岩国基地を拠点として運用される航空機の数に大きな変更はないとのことから、基地周辺住民の生活環境に大きな影響を与えるものではないと考えられると判断しました。 その一方で、今回の部隊展開については、事前の情報提供がないなど、国から地元自治体への情報提供に課題があったことから、先日の政府要望において、国に対し、遺憾の意を伝えるとともに、迅速かつ適切な情報提供について強く要請したところです。 県としましては、引き続き、地元市町と連携して、基地周辺の騒音や運用などの実態把握に努め、問題があれば、国や米側に必要な対応を求めてまいります。 副議長(河野亨君)仙石土木建築部長。 〔土木建築部長 仙石克洋君登壇〕 土木建築部長(仙石克洋君)新しい戦前の始まりについてのお尋ねのうち、特定利用空港・港湾への対応についてお答えします。 国が進める特定利用空港・港湾の取組は、自衛隊、海上保安庁が平素から必要に応じて空港・港湾を円滑に利用できるよう、インフラ管理者との連絡・調整体制を設けるものです。 県としては、山口宇部空港について、地元、宇部市と情報共有を図りながら、国が進めている本取組の趣旨も踏まえ、空港管理者として適切に対応してまいります。 次に、上関原発と中間貯蔵施設に関する諸問題についての御質問のうち、埋立免許の伸長許可についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、本体工事着工時期の見通しが立っていないにもかかわらず、埋立免許の期間伸長許可を出し続けていることは、整合性が取れていないのではないかとのお尋ねです。 期間延長の申請については、国から、埋立地に建設する施設の着工時期が明らかでないことのみを理由として不許可とすることは適切でないとの見解が示されており、整合性が取れていないとの御指摘は当たりません。 次に、上関原発が重要電源開発地点の指定の要件に適合しておらず、埋立免許の伸長許可の正当な理由の根拠とすべきではないとのお尋ねです。 これまでの延長許可に当たっては、上関原発の重要電源開発地点の指定は引き続き有効であるとの国の見解が明確に示され、これは、実際に土地需要があることを示すものであり、期間延長の正当な事由の根拠となると考えています。 副議長(河野亨君)椛谷産業労働部理事。 〔産業労働部理事 椛谷和男君登壇〕 産業労働部理事(椛谷和男君)上関原発と中間貯蔵施設に関する諸問題についての十点の御質問にお答えします。 まず、原発の最大限活用に係る国民意識に関する県の認識、原発回帰に関する情報と県の分析についての二点のお尋ねにまとめてお答えします。 エネルギー政策は国家運営の基本であり、原子力をどのように活用するかについては、国の責任において判断されるべきものであり、県として独自の見解を述べることは考えていません。 次に、原発建設費に係る支援制度導入要請に関する情報開示についてです。 電気事業連合会から国に対し、円滑なファイナンスが可能となる資金調達環境整備も必要不可欠である等の意見を提出していることについては、経済産業省のホームページにおいて既に公表されています。 次に、上関原発計画に係る中国電力の動向に関する認識についてです。 上関原発は、事業者である中国電力が国のエネルギー政策に沿って進めてきたものであり、上関原発の建設をどうするかは、事業者自らが判断すべきものと考えています。 次に、高レベル放射性廃棄物の最終処分場に関する県の姿勢についてです。 高レベル放射性廃棄物については、最終処分の実現に向け、国が前面に立って取り組むこととされており、県としては、今後とも、国の責任において、この問題解決に向けた取組が進められるものと考えています。 次に、上関町長の議会答弁に係る県との事前相談、調整についてですが、上関町から県に対し、事前の相談等はありません。 なお、お示しの知事発言は、一つの市町村に原発と中間貯蔵施設が立地する事例は全国になく、そうした形で新たな施設が加わることで、一般的に様々な不安感や負担感が生まれるのではないかとの認識を示したものであり、施設の建設に関し、何らかの判断をしているものではありません。 次に、周辺市町の首長の意見に関する認識についてです。 上関町周辺一市三町の首長が国を訪問し、住民から説明会を求める声があることなどを伝える方針を決めたことは、報道等により承知していますが、お示しの意見については承知しておらず、県としての認識を申し上げることはできません。 次に、関電の使用済燃料の持込みに係る説明責任、国の政策に飲み込まれるとの懸念の声に対する見解についての二点のお尋ねにまとめてお答えします。 上関町における使用済燃料中間貯蔵施設については、現在はあくまでも、施設が立地可能なのかどうか、その調査が実施されているところであり、県としての対応や見解を申し上げる状況にはないものと考えています。 最後に、「上関原発」建設計画に反対する二市四町議会議員連盟申入れ時の声の受け止めについてですが、申入れについては真摯に対応し、お示しの声についても知事に報告しています。 副議長(河野亨君)中嶋光雄君。 〔中嶋光雄君登壇〕(拍手) 中嶋光雄君 再質問します。 原発最大限活用政策に飲み込まれるおそれに対する答弁がありました。しかし、二○五○年カーボンニュートラルに向けての長期脱炭素電源オークションの第一回は、石炭火力混焼分と島根三号など、原発リプレース推進が重要な目的だったのが、特に蓄電池の落札率の低さなどから明らかで、第二回オークションでは、既設原発の再稼働支援が重要な目的に加えられ、落札という既成事実を積み上げて原発の再稼働を促す、極めて政治的なオークションになっています。 このように、まさに原発最大限活用に邁進。したがって、使用済核燃料を上関町に押しつけようとする策動は必然で、県知事が何ら意思表明しないままなら強まる一方だと考えるのが自然だが、再度お尋ねをいたします。 上関原発を電源開発基本計画に組み入れる際の二○○一年五月十六日の総合資源エネルギー調査会電源開発分科会第一回議事録によると、委員から、この計画は十年間のローリングプランだと思うが、この計画の過去の達成率を問われ、事務局の資源エネルギー庁電力整備課長は、計画に計上され、組み入れられたものであっても、地元の状況、事業者の状況とか、電力需給の状況等を勘案し、計画から削除したものもあるが、数は非常に少なく、計画に組み入れられたものはほぼ一○○%達成していると答弁。 また、昨年、島根三号を認めたばかりなのに、プラス上関の二つの新規立地をどう説明するのかと問われ、一方、上関は全くの新規の地点ですから、準備等に時間がかかり、計画への組入れは一年しか違わないが、上関一号の運転予定が二四年度、二号機が運転予定二七年度になっている。そういう点から勘案し、運転予定時期に合わせてスケジュールを組みますと、やはり上関原子力発電所も今の時期で計画に組み入れていただきませんと、将来、電力需給に支障が出る可能性があるのではないかと考えていると答弁しています。つまり、上関一号炉運転開始予定は二○一二年、二号炉は二○一五年、そうしなければ電力需給に支障が出る可能性があるのではないかと考えていると述べています。 今から十三年前に既に過ぎ去ったスケジュールです。この電源開発基本計画組入れの審議に当てはめると、上関原発計画が国の電源開発に組み入れられていなくても、この国の電力需要は成り立ってきました。したがって、この審議会で出した結論は、もはや無効であると主張できるはずで、公有水面埋立許可を原子炉設置許可に先んじることができる事由としている、電源開発基本計画に組み入れて土地利用計画が確定しているという事項が消えますから、埋立許可も無効になるのが道理である。ましてや、重要電源開発地点の指定など無意味ではないか。見解を改めて伺います。 また、世耕大臣が、埋立工事の許可というのは、私の権限ではありませんとも答弁しているのは当然で、都道府県知事の権限であると法に明記されているのですから、二○二七年六月六日の竣功期限までに竣功できるはずもないので、次の埋立免許申請は受理しないと知事が表明すべきではないかお伺いし、再質問とします。(拍手) 副議長(河野亨君)椛谷産業労働部理事。 〔産業労働部理事 椛谷和男君登壇〕 産業労働部理事(椛谷和男君)上関原発と中間貯蔵施設に関する諸問題についての再質問にお答えします。 知事の意思表明についてのお尋ねですが、上関町における使用済燃料中間貯蔵施設については、現在はあくまでも施設が立地可能なのかどうか、その調査が実施されているところであり、県としての見解を申し上げる状況にはないものと考えています。 副議長(河野亨君)仙石土木建築部長。 〔土木建築部長 仙石克洋君登壇〕 土木建築部長(仙石克洋君)上関原発に係る公有水面埋立免許の二点の再質問にお答えします。 まず、土地利用計画の確定は意味をなさず、埋立許可も無効となるのが道理である。ましてや、重要電源開発地点の指定は無意味ではないかについてです。 先ほども答弁しましたとおり、これまでの延長申請については、上関原発の重要電源開発地点の指定は引き続き有効であるとの国の見解が明確に示され、これは実際に土地需要があることを示す具体的な根拠となるものであることから、期間延長に正当な事由があると認められ、延長を許可したものです。 次に、次回の埋立免許延長許可申請は受理しないと表明すべきについてです。 県としては、今後、免許延長の申請がなされた場合には、その時点において公有水面埋立法に従って厳正に審査し、適正に対処してまいります。 副議長(河野亨君)中嶋光雄君。 〔中嶋光雄君登壇〕(拍手) 中嶋光雄君 再々質問します。 県は、上関原発の位置づけが変わっていない証拠を示せと中電に要請。中電は、重要電源開発地点指定は引き続き有効と考えてよいかと国に照会。国は、貴見のとおりと文書回答。そこで、県は、正当な事由が認められたと延長許可しています。こんな堂々巡りで本当によいのかお尋ねいたします。 そして、国は、青森県を核のごみ捨場にしないと三十年前に約束。六ヶ所村は、三十年から五十年を期限として核のごみを預かることを承諾。約束の節目の三十年がたった現在も最終処分地は全く決まらず、核のごみを運び出せないままではないですか。 昨年十一月六日に操業開始をされたむつ市の中間貯蔵施設でも、覚書及び安全協定書で、使用済燃料の貯蔵期間五十年間を遵守し、貯蔵期間の終了までに施設から搬出すると記されているだけで、搬出先は結局明記されず、結局は補助金まみれで押しつけられているじゃないですか。上関町で同じことになってもよしとするのか、改めて伺います。 そして、最後に、四十三年間も上関住民を原発賛成・反対で分断してきた上関原発計画はやめる、上関住民でも反対が上回る関電との共同計画の中間貯蔵施設は受け入れられない、県知事の英断を最後にお願いし、ぜひ、知事自らのお答えを頂きたいとお願いをして、終わります。(拍手) 副議長(河野亨君)仙石土木建築部長。 〔土木建築部長 仙石克洋君登壇〕 土木建築部長(仙石克洋君)上関原発の埋立免許についての再々質問にお答えします。 繰り返しになりますが、国からは、上関原発の重要電源開発地点の指定は引き続き有効であり、事情の変化がない限り解除することは考えていないとの見解が示されています。 この国の見解は、実際に土地需要があることを示すものであり、期間延長の正当な理由の根拠となるものと考えています。 副議長(河野亨君)椛谷産業労働部理事。 〔産業労働部理事 椛谷和男君登壇〕 産業労働部理事(椛谷和男君)上関原発と中間貯蔵施設に関する諸問題についての再々質問にお答えします。 核燃料サイクルについてのお尋ねです。 エネルギー政策は国家運営の基本であり、原子力をどのように活用するかについては、国の責任において判断されるべきものと考えております。 また、上関原発については、先ほども申し上げましたが、事業者である中国電力が国のエネルギー政策に沿って進めてきたものであり、上関原発の建設をどうするかは、事業者自らが判断すべきものと考えています。 副議長(河野亨君)本日の一般質問及び提出議案に対する質疑は、これをもって終了いたします。 ───◆─・──◆──── 副議長(河野亨君)以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 本日は、これをもって散会いたします。 午後二時三十二分散会