1 食の安全への取組について 2 専修学校への支援について 3 県立美術館の役割と県美展について
───◆─・──◆──── 午後一時開議 副議長(河野亨君)休憩前に引き続き会議を開きます。 ───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第九号まで 副議長(河野亨君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第九号までを議題とし、質疑の議事を継続いたします。 合志栄一君。 〔合志栄一君登壇〕(拍手) 合志栄一君 新政クラブの合志であります。通告に従いまして一般質問を行います。 質問の最初は、食の安全への取組についてということで、二点お伺いいたします。 その一は、有機農業の推進についてであります。 食の安全を確保し、県民の健康な体づくりに寄与し、農業の持続可能性を増進していくために、有機農業を山口県政の重要な政策の柱の一つに位置づけ、その推進を図るべきだと考えます。 これまで農業は、時代の要請に応じて主要課題を変遷してきています。戦後は食糧の増産が求められ、農薬や化学肥料を活用した近代農法が推進されました。それが一九七〇年代になると、農薬事故や残留農薬が生態系、環境に及ぼす深刻な影響が問題となり、安全重視の農業が追求されるようになりました。 安全重視の農業は、一つは有機農業へとなり、もう一つは慣行農業における農薬使用を安全が確保される範囲内に低減化していく方向へとなりました。国の農政は、後者の慣行農業を推進しまして、それが我が国農業の主流となり現在に至っていることは、御案内のとおりであります。 そして、地球温暖化への対応が世界的課題となっている今日、環境負荷を低減し、地域内資源循環を促す持続可能な農業の確立が求められています。そういう時代の要請に応える農業の目指すべき姿として、農林水産省は令和三年に、みどりの食料システム戦略を策定し、二〇五〇年までに我が国の耕地面積の二五%を有機農業の取組面積にすることを提示しました。 しかし、みどりの食料システム戦略が目指す姿を実現する具体的な道筋は何ら見えていません。本県の場合、令和二年の経営耕地面積は二万五千三百三十ヘクタールですので、その二五%を有機農業の耕地にするとすれば、その面積は六千三百三十ヘクタールとなります。しかし、本県の現在の有機農業取組面積は百三十五ヘクタールで、これを二〇三〇年度までに二百ヘクタールにするとの目標が設定されています。この二〇三〇年度の目標が達成されたとしても、その後二〇五〇年までに有機農業の取組面積を六千三百三十ヘクタールまで三十倍強も拡大することは全く見通せず、夢のまた夢みたいな話であります。 しかし、みどりの食料システム戦略が目指す農業の姿は、これからの農業が進むべき方向であることは間違いなく、そのことを夢物語に終わらせてはなりません。 ただ、慣行農業がほとんどであった我が国の農業において、これから有機農業の割合を高めていくためには、政治の強力なリーダーシップが必要と思われます。さきに有機農業を山口県政の重要な政策の柱の一つに位置づけ、その推進を図るべきと申し上げましたのは、そういう意味からであります。 有機農業を重点政策に位置づけて推進している県の一つに群馬県があります。令和七年度の群馬県当初予算では、重点施策の三番目の柱が持続可能な成長の促進であり、サーキュラーエコノミー──肥料・飼料の地域内循環という意味だそうですが、サーキュラーエコノミーということで、有機農業の推進が一億七千六百十八万円措置されています。また、令和七年度の主要事業一覧を見ますと、農業を所管する農政部関係の筆頭事業が有機農業の推進となっています。こうしたことは、山本一太群馬県知事が有機農業の推進に力を入れているからだと思われます。 本県においては、村岡知事が有機農業の推進においてリーダーシップを発揮され、これからの農業の地域モデルを実現していかれることを期待します。 そこでお尋ねであります。まず、有機農業の推進を山口県政の重要政策に位置づけ、その実現を図っていくべきだと考えますが、このことにつき御所見をお伺いいたします。 次に、有機農業を実際に指導推進する県庁人材の育成が必要であります。現在、県庁職員で農業普及指導員として現場指導を行っている者は百七名ですが、有機農業の指導推進を担当する農業普及指導員の計画的な育成・確保に取り組むべきだと考えます。ついては、このことにつき御所見をお伺いいたします。 次に、本県の農業大学校の教育において、まずは有機農業の講座を設けることから始めて、順次その充実を図っていくべきだと考えますが、このことにつき御所見をお伺いいたします。 食の安全の取組についてのお尋ねのその二は、食品の収去検査についてであります。収去は、収め去ると書きます。 平成十五年、食品安全行政にリスク分析の考えを導入した食品安全基本法が成立し、新しい食の安全への仕組みが構築されました。このリスク分析という考え方を基本とした仕組みは、リスク評価の役割を担う機関とリスク管理の役割を担う機関とで構成されています。 リスク評価の役割を担う機関は内閣府に設置されました食品安全委員会で、どのくらいなら食べても安全かを評価します。その評価の基準となるのがADI(一日摂取許容量)でありまして、人が毎日一生涯食べ続けても健康に悪影響は出ないと考えられる残留農薬や添加物等の量を、科学的知見に基づいて示しています。そのリスク評価を踏まえて、リスク管理機関の役割を担うのが厚生労働省、農林水産省、消費者庁、環境省等で、食べても安全なようにルールを決め、監視を行います。 国内で生産され流通している農産物の食品としての安全性は、どのようにして確保されているかを見ますと、農林水産省は、農産物の残留農薬がADIの許容量を超えることがないよう農薬取締法で農薬使用を規制し、農産物の生産プロセスにおけるリスク管理を行います。一方、消費者庁は、食品衛生法に基づき、食品として流通している農産物において残留農薬の安全基準を策定し、厚生労働省は、それが守られているかを監視するリスク管理を行います。 このように食の安全に関するリスク評価を踏まえた生産、流通双方のリスク管理により、我が国の農産物の食品としての安全は確保されているとみなされています。 こうした食の安全を守る仕組みの中において、県が担っている役割が食品の収去検査であります。厚生労働省がリスク管理機関として担っている食品を監視する役割は、輸入食品以外はこの県の収去検査に委ねられています。 収去検査は、県内で生産、製造、加工される食品及び県内で流通する食品について、食品衛生法に基づき各保健所が計画的に収去し、保健所または環境保健センターが検査を実施するとともに、結果及び措置などをホームページなどで公表しています。 この収去検査の確実な実施は、安全基準を逸脱した食品の流通を阻止するだけではなく、食品の生産・流通に関係する人たちをおのずと安全基準遵守へと向かわせる力となります。 県が実施する収去検査は、食の安全を守る国の仕組みを構成する重要な業務であり、県民の食の安全を守るという観点からも大事な業務であり、収去検査が行われていること自体が県民の食の安全を担保していると考えられることから、収去検査は将来的にも一定の業務水準が維持されるべきだと考えます。 こう申し上げるのは、近年、本県の収去検査の年間検体数が減少してきているからであります。どれほどの年間検体数であれば収去検査の目的を果たしていると言えるかについては、国もガイドラインを示していませんし、その判断は県に委ねられています。 そこで、このことに関する私の見解ですが、私は、サンプル調査による統計が有意性を持つ、意味を持つということでありますが、そういう意味で有意性を持つためには、サンプル数は千以上あることが望ましいと一般的にみなされていることから、そうしたことにも鑑み、本県における食品の収去検査の年間検体数は、千の水準は維持していくべきだと考えています。 本県の収去検査の年間検体数は、平成二十九年度までは三千以上であったのが、令和六年度には千百六十五と三分の一まで減少し、さらに、令和七年度の収去検査は六百七十七まで減少する計画となっています。 そこでお尋ねです。まず、本県の食品の収去検査はどういう方針に基づいて計画しているのかお伺いいたします。 次に、収去検査の年間検体数は千以上の水準は維持すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 次に、質問その二、専修学校への支援についてお伺いいたします。 専修学校は、昭和五十一年に新しい学校制度として創設されたもので、学校教育法の中で専修学校は、「職業若しくは実際生活に必要な能力を育成し、又は教養の向上を図る」ことを目的とする学校であるとされています。 専修学校の設置には、都道府県知事の認可が必要で、授業時数、教員数や施設・設備などが一定の基準を満たしていることが求められています。 本県では現在、看護、福祉、理美容、情報ビジネス等多方面にわたる私立の専修学校が三十三校あり、三千六百名ほどの生徒がいまして、その九六%は十代、二十代の若者です。注目すべきは、本県の場合、令和六年度にこの専修学校を卒業して就職した人たちの七三%は県内に就職しているということであります。同年度、本県の大学卒業者の県内就職率は二七%ですので、専修学校が本県の産業と県民の生活を支える人材を育成しつつ、若者定着にも貢献しているということは大いに評価されていいのではないでしょうか。 そうした専修学校への公的な支援がどうなっているかに関心を向けて分かってきたことは、運営費補助がなきに等しいという現状であります。令和七年度の県予算ではどう措置されているかを見ますと、専門課程を設置する専修学校を専門学校と呼び、高等学校等卒業者を対象としていますが、この学校の場合、運営費補助は生徒一人当たり年間七百九十二円であります。 それから、高等課程を設置する専修学校を高等専修学校と呼び、中学校卒業者を対象としていますが、この学校への運営費補助は生徒一人当たり年間四百六十二円であります。この高等専修学校であっても、卒業者に大学入学資格が付与される学校であれば、生徒一人当たり年間九万八千円の補助がありますが、本県でそれに該当する専修学校は二校しかありません。大学入学資格の付与あるなしでの公的補助の格差が大きいことに愕然といたします。 さらに、専修学校で学ぶ生徒を年代別に見ますと十代が最も多いので、同世代の高校生が通う私立学校に対する運営費補助と比べますと、本県の場合、令和七年度は私立高校生徒一人当たりの運営費補助は三十六万六千五百円でありますので、専修学校の生徒一人当たり年間四百六十二円もしくは七百九十二円の運営費補助は、さきに申しましたようになきに等しいと言っても過言ではありません。 専修学校で学ぶ生徒への修学支援事業は、授業料等の減免など世帯の教育費負担の軽減が図られており、そのことは評価されていいとしても、学校への運営費補助が、大学入学資格付与のない多くの専修学校においては、ほとんどなきに等しい現状は、先ほど申し上げましたように専修学校が県政において果たしている役割に鑑み、改められるべきだと考えます。 御案内のように、私立の高校においては、令和八年度から生徒の授業料は無償化される方向で負担軽減が図られる見通しであります。 また、私立高校は、学校経営に対して手厚い運営費補助があり、それは当然継続されることから、言わば生徒の負担軽減と学校経営の運営費補助の両面から私立の高校は支えられ、学校存続が図られていると言えます。このことに関しましては、現在私立高校の経営に携わっている者として深く感謝しています。 ただ、思いますことは、専修学校に対しても生徒の負担軽減だけではなく、学校経営への運営費補助も含めた両面からの支援があってもいいのではないかということであります。 今後、経営上、行き詰まって閉校になる専修学校が生じて、そこで学ぶはずの若者たちが県外に流れるような事態は避けなければなりません。むしろ専修学校への運営費補助を充実することにより、本県の専修学校のレベルアップを図り、県外の若者を呼び込むことにつなげていくことを期待したいと思います。 ついては、本県の専修学校への支援は、運営費補助の面においても充実強化が図られるべきだと考えますが、このことにつき御所見をお伺いいたします。 お尋ねの第三は、県立美術館の役割と県美展についてであります。 本県の県立美術館の運営事業、なかんずく山口県美術展覧会、いわゆる県美展の在り方については、二つの点から、現状のままでいいのかその妥当性を検証し、見直す必要があるのではないかと思っています。その第一点は、優れた美術創作の才能を持った人材を見いだし育てる観点からであります。第二点は、広く県民の美的表現力の向上に資するという観点からです。 県美展は、山口県立美術館が開館した昭和五十四年には出品数が千七百三十あったのが、令和六年度は二百九十六と六分の一に減少しています。 県美展は従来、日本画、洋画、彫刻、工芸、デザイン等七部門制で公募し、審査を行っていましたが、平成六年からその部門別公募を完全に廃止し、作者の出自も作品のジャンルも問わず、全部門作品を一括して審査する方式に改められました。そのことがどう影響したのか分かりませんが、平成九年度頃からはおおむね県美展への出品数は四百台で推移し、コロナの影響があった令和四年度には二百四十六まで減少しました。その後少し回復傾向にあり、令和六年度は三百近い出品数になっています。 出品数が多いかどうかが県美展の評価を定めるものではないと思いますが、県立美術館による県美展である限り、多くの県民から出品があることが望ましいことは言うまでもありません。 そこで、私なりに県立美術館開館当時の県美展と比べて、現在出品数が大きく減少しているのはどうしてだろうかと考えて至った思いがあります。それは、今日の時代における先端的な美の表現を実現しているとみなされる作品が評価され、絵画、書道、陶芸等それぞれのジャンルにおいて、時代を超えて追求されてきた理想形もしくは完成形と目される美の表現を志向する作品は評価されないのではないか。例えば、日本画で言えば、東山魁夷の作品みたいなものは評価されないのではないか。また、書道で言えば、書聖と称された王羲之の書体に迫ろうとする書は評価されないのではないか、そういう県美展になっているのではないかということであります。 第七十五回、二〇二二年の県美展において審査員を務められた千宗屋氏は、審査講評において、萩焼など工芸にもゆかりの深い土地柄、そのジャンルの出品が少ないことが意外で、今後より積極的な参加を期待したいと述べておられます。山口県を代表する芸術文化である萩焼、陶芸からの作品出品が少ないというのも、その作家の方々が私と同様の見方を県美展に対してしているからではないでしょうか。 ジャンルをなくしての県美展審査は、今日の時代における、ある意味代表的な美術作家、美術批評家、美術館運営経験者等から三人を選任して、その審査員による公開審査として行われ、いろいろなしがらみなしに表現されている美、それ自体の価値を評価する審査方式ということで、そうしたやり方もありと思います。 ただ、問題は、三人の審査員がいかに優れた美に対する鑑識眼を持っているにせよ、全ての分野に通ずることは困難と思われることであります。 私は、現在の県美展の審査方式は、それはそれで継続されるといいと思いますが、併せて、それぞれのジャンルにおいて時代を超えて追求されてきた美の表現の方向性に沿った作品も評価される県美展にしていくことが必要と考えます。 数学者でありエッセイストでもある藤原正彦氏は、その著書「国家の品格」で、天才の出る風土の条件として美が存在する土地であることを挙げています。山口県は、これまで歴史上多くの偉大な人材を輩出してきましたが、今後もそうであり続けるためには、県民の美意識が豊かになり高められていくことも大事と思われ、そのことにおいて県立美術館が果たす役割に期待するものです。 そこで、三点お尋ねいたします。 第一点は、県立美術館が県政において果たす役割をどう考えておられるのかお伺いいたします。 第二点は、県立美術館は今後どういう方針の下、運営事業を行っていくお考えなのかお伺いいたします。 第三点は、県美展は、この質問の冒頭に申しましたように現在の在り方の妥当性を検証し見直す必要があると考えますが、このことにつき御所見をお伺いいたします。 以上で、一回目の質問を終わります。(拍手) 副議長(河野亨君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)合志議員の御質問のうち、私からは、有機農業推進の政策への位置づけについてのお尋ねにお答えします。 近年の地球温暖化の進行による大規模な自然災害が頻発する中、脱炭素化など地球環境への負荷低減の取組は急務であり、農業の自然循環機能を大きく増進し、農業生産に由来する環境への負荷低減が図れる有機農業の推進は、食の安心・安全はもとより環境保全の観点からも極めて重要です。 このため県では、これまでも化学肥料等の低減に取り組むエコファーマーの認定や、全国に先駆けてエコやまぐち農産物認証制度を創設するなど、環境への負荷低減につながる農業を推進してきたところです。 こうした中、国においては、持続可能な食料システムの構築に向け、令和三年にみどりの食料システム戦略を策定し、有機農業の取組面積の拡大などにより、食料・農林水産業の生産力の向上と持続性の両立を推進することとしています。 また、本県では、やまぐち産業脱炭素化戦略において、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、脱炭素化の取組を推進することとしており、農業分野においても、環境負荷低減に資する有機農業の取組を加速化していく必要があります。 このため私は、やまぐち未来維新プランに掲げる重点プロジェクトにおいて、脱炭素化を通じた持続可能な農林水産業を推進していく中で、有機農業に係る取組を強化することとしています。 この取組の具現化を図るため、山口県有機農業推進計画における令和十二年度末の目標面積である二百ヘクタールの早期達成に向け、生産と消費の両面からの取組を推進してまいります。 具体的には、まず生産拡大に向け、堆肥を活用した化学肥料の削減やスマート農機を活用した除草技術の確立等により、生産現場への環境負荷低減技術の普及に努めます。 また、消費拡大に向け、学校給食等における食育活動との連携や化学農薬・化学肥料の低減等により生産されたやまぐちグリーン農産物等の普及により、消費者の理解促進に係る取組を進めます。 私は、食の安心・安全や環境保全の観点から、市町や関係団体等と連携し、生産者及び消費者のニーズに即した有機農業を積極的に推進してまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 副議長(河野亨君)岡本農林水産部長。 〔農林水産部長 岡本章生君登壇〕 農林水産部長(岡本章生君)有機農業の推進について、二点のお尋ねにお答えします。 まず、有機農業の指導推進を担当する農業普及指導員の育成・確保についてです。 農業普及指導員は、各地域の農林水産事務所等に所属し、農家等に対する栽培技術や農業経営に関する指導を行うとともに、国や県の試験研究機関が確立した新たな技術の現場実証や農家への普及活動を行っています。 この中で有機農業については、各農林水産事務所に専門の担当者を配置し、地域の農業者に対して栽培技術等に係る相談対応や課題解決に当たっています。 また、農林水産事務所等の普及指導員を対象に、国や農林総合技術センターが実施する環境負荷低減技術の研修等を受講させるなど、専門の担当者に加えて有機農業の知見を有する職員を計画的に育成しています。 次に、農業大学校における有機農業に関する講座の設置、充実についてです。 農業大学校では、令和三年度から有機農業の理解促進や有機農業の認証制度に関する講義を実施しています。 また、有機農業における実際の農作業や農業経営に対して具体的なイメージが描けるよう、昨年度からベテランの生産者による実践的な講義を行っているところであり、引き続き学修内容の充実を図ってまいります。 副議長(河野亨君)山本環境生活部長。 〔環境生活部長 山本毅君登壇〕 環境生活部長(山本毅君)食の安全への取組についての御質問のうち、食品の収去検査についてのお尋ねにお答えします。 県民の食の安心・安全の確保は重要な課題であるため、県では、食の安心・安全推進基本計画に基づき、生産から消費に至る各段階での監視指導や食品の収去検査、食品表示の適正化などの対策を総合的に講じているところです。 このうち、食品の収去検査については、不適正食品の流通等を防止するとの基本方針の下、毎年度策定する監視指導計画に基づき検体数を決定し、保健所において製造所や販売店等で収去の上、その検査結果に基づき事業者への指導を行っています。 これまで、年間の検体数は、BSEの国内発生や中国産冷凍ホウレンソウの残留農薬問題など、食の安心・安全を脅かす事件を背景に、検査体制の強化も図りながら三千件以上を維持してきました。 こうした中、平成三十年の食品衛生法改正により、収去検査による従来の衛生管理に比べ問題のある製品の出荷を未然に防ぐことが可能となるHACCPによる管理手法が、原則、全ての事業者に対し義務化されました。 このため、県では、事業者自らによるHACCPの適切な運用が食品の安心・安全の確保において効果的と考え、保健所による指導を、従来の収去検査に基づくものから、HACCPの運用に関する実践的できめ細やかな指導助言等へ移行しているところです。 こうした衛生管理手法の進展を踏まえ、現在、収去検査の実施規模を段階的に見直しており、具体的には衛生管理レベルが向上する弁当、総菜等の加工食品を中心に検体数を減らしていますが、HACCPの運用に対する指導の一層の強化を通じ、県全体の食品の安全性を維持してまいります。 県としては、今後とも事業者に対する適切な監視指導等を通じて、県民の食の安心・安全の確保に取り組んでまいります。 副議長(河野亨君)大川総務部長。 〔総務部長 大川真一君登壇〕 総務部長(大川真一君)専修学校への支援についてのお尋ねにお答えします。 本県の人口減少が続き、若者の転出超過が大きな課題となる中、専修学校については、実践的な職業教育や専門的な技術教育を通じて、医療、商業、衛生など地域を支える多様な分野の人材を育成する教育機関として重要な役割を担っていると認識しています。 一方、専修学校は、学校教育法において第一条に定める高校や大学等と位置づけが異なり、設置基準等が緩やかで教育内容の自由度が高く、地方に対する国の財政措置も限定的なものとなっています。 本県においては、このような専修学校の重要性や位置づけ等を踏まえ、学校運営費等への必要な支援を行っているところです。 具体的には、急速なデジタル化や企業における即戦力人材のニーズの高まり等に伴い、求められる知識・技術が高度化・専門化していることから、専門学校が取り組む、企業等と連携した実践的な職業教育に対する補助を行うなど、学校の人材養成機能の強化に向けた支援を行っています。 また、県内高校生の進学先となる専門学校の認知度を高めるため、関係団体等と連携しながら、その魅力を発信するフェアの開催や県内進学ガイドブックの作成・配布等に取り組むなど、学生の確保を支援しているところです。 さらに、大学入学資格付与校に指定された高等専修学校については、高等学校等において不登校や中途退学等の生徒が増加する中、学びのセーフティーネットとしての役割が高まっていることから、運営費への支援を拡充してきたところです。 県としては、専修学校が地域に貢献する専門人材の養成機関として質の高い教育活動を継続できるよう、引き続き、全国知事会等を通じて国に財政措置の拡充を要望するとともに、学校教育法における位置づけ等も踏まえながら、運営費への必要な支援に取り組んでまいります。 副議長(河野亨君)木安観光スポーツ文化部長。 〔観光スポーツ文化部長 木安亜紀江さん登壇〕 観光スポーツ文化部長(木安亜紀江さん)県立美術館の役割と県美展についての三点のお尋ねにお答えいたします。 まず、県立美術館が県政において果たす役割についてです。 県では、やまぐち文化芸術振興プランに、文化観光の推進、人材育成と活躍支援、県民誰もが文化芸術に親しめる環境整備の三つの柱を掲げ、各種施策に取り組んでいるところです。 こうした中、県立美術館は、観光交流促進や文化振興の拠点施設として多彩な文化資源を生かした交流拡大をはじめ、作品等を鑑賞する場や発表する機会を提供していく役割を担っております。 次に、県立美術館は今後どのような方針の下、運営事業を行っていくのかについてです。 県立美術館は、今後とも県民が参加する開かれた美術館という方針の下、魅力ある展覧会を開催するとともに、地元商店街と連携したイベントやワークショップの開催、児童生徒を対象とした観覧体験学習など、美術館をより身近に感じ、親しんでいただけるような運営事業を行ってまいります。 次に、山口県美術展覧会、いわゆる県美展の現在の在り方の妥当性の検証についてです。 県美展は、昭和二十二年から続いている歴史ある展覧会であり、学識経験者や芸術家等で構成する運営委員会において、時代の変化などを踏まえ、適宜募集方法の検証・見直しを行っているところです。 現在の募集方法等につきましては、見直しの中で、ジャンルを区分することが難しい作品なども幅広く応募できるよう、平成六年にジャンルを問わない方式に改めたところですが、今後とも適時適切に検証し、必要に応じて見直しを行ってまいります。 県としては、県立美術館を核として、引き続き本県文化芸術の振興を図り、心豊かで活力ある地域づくりに取り組んでまいります。