1 魅力ある産地づくりについて 2 子どもが安心して過ごせる環境づくりについて 3 山口県の畜産振興について 4 外部専門人材の活用によるキャリア教育・進路指導について 5 児童の交通安全対策について 6 県職員の働き方改革について
議長(柳居俊学君)高井智子さん。 〔高井智子さん登壇〕(拍手) 高井智子さん 皆様、おはようございます。自由民主党の高井智子です。通告に従い質問をさせていただきます。 初めに、魅力ある産地づくりについてお尋ねいたします。 本県は、三方を海に開かれ、中央には中国山地が走るといった起伏に富んだ地理条件となっており、その豊かな自然と多様な気候条件を生かして、多種多様な農業が営まれ、地域ごとに特色ある農産物が栽培されております。 その中でも、私の地元である宇部市の小野地区は、昼夜の寒暖差と冬に小野湖から湧き上がる霧が茶の育つ環境に適していることから、古くから茶の栽培が盛んな地域であり、地域農業として文化を支えてきた重要なエリアであります。 しかし、現在、小野地区の茶畑はほかの産地と同様に農家の方々の高齢化や担い手不足により、生産量が減少するとともに、耕作放棄地が増加傾向にあります。 また、茶の消費構造も大きく変化し、従来の煎茶中心から、より付加価値の高い抹茶や健康志向の製品の需要が高まっております。このような状況に対応するためにも、新たな発想での農業再生が求められております。 そこで、私が注目しておりますのが、より付加価値の高い作物として甜茶の栽培導入であります。甜茶は、甘みのある味わいが特徴で、中国では古くから健康茶として親しまれています。近年では、抹茶の風味を補完する素材としても注目されており、抗アレルギー作用などの機能性が期待される成分も含まれております。 この甜茶のように付加価値や収益性の高い農作物を新たに宇部小野地区の茶畑に導入することは、既存の産地の生産力強化や魅力ある産地形成につながるとともに、次のような可能性が見込まれます。 まず一つ目は、既存の茶畑など地域資源を有効活用できる点です。甜茶は寒冷地より温暖な地域での栽培に適しており、小野地区の気候にも適合する可能性があります。 二つ目は、魅力ある農作物の産地拡大に向けて、若い農業従事者や新規就農者の呼び込みにつながる点です。甜茶は加工品や健康食品としての市場展開が可能であり、新商品開発など六次産業化への展開にもつながり、新たなビジネスチャンスを創出できます。 三つ目は、観光と連携した地域振興への展開です。茶畑を整備し、甜茶を産地化することにより、新たな農業体験や収穫イベントを開催することで、地域外からの誘客も期待できます。 そこでお尋ねいたします。本県農業の大きな課題である農地の有効活用策、さらには担い手確保対策として、既存の茶畑などの産地に甜茶のような高付加価値のある新規農作物を導入することによる新たな魅力ある産地づくりが効果的と思いますが、県は今後どのように取り組まれるのか、お伺いいたします。 次に、子供が安心して過ごせる環境づくりについてお尋ねします。 近年、児童虐待や不登校、いじめなど、子供が直面する課題が複雑かつ複合化しており、子供たちの権利が侵害される事態が生じています。 子供は家庭を基盤とし、学校や地域など多様な場所において、安全・安心な環境の下、様々な大人や同年齢・異年齢の子供同士との関わりの中で成長する存在ですが、社会構造や経済構造の変化により、子供・若者が居場所を持つことが難しくなっています。 子供の居場所の確保に向けては、地域のNPOやボランティア団体等民間団体が、食事の提供や学習支援など様々な手段で子供・若者に寄り添った活動を展開し、支援の中心的な役割を担ってきました。 しかしながら、とりわけ厳しい家庭環境で育つ子供・若者は、居場所を持ちにくく、失いやすいと考えられることから、困難に直面する子供・若者が支援から取りこぼされることのないよう、子供・若者を支える民間団体同士が支援の連携を深め、さらに行政や学校等公的機関が連携することで、地域全体が一丸となって、きめ細やかな支援の網を張っていくことが重要です。 そこでお尋ねいたします。県は、民間団体等と一体となって、子供・若者を中心に考え、多様なニーズに対応した居場所づくりにどのように取り組まれるのか、お伺いいたします。 また、市町や社会福祉法人によって設置・運営されている児童館は、子供の居場所づくりの一翼を担っていますが、こうした県内児童館の指導等を担う拠点施設として、山口県児童センターが設置されています。 山口県児童センターは、県内児童館の指導や児童厚生員等研修の開催などの中枢的機能を担うとともに、発達段階に応じた遊びや体験活動を通じた、児童の健全育成の場として、多くの子供たちが活用するなど、県内唯一の大型児童館として大きな役割を担ってきました。 一方で、地域におけるつながりの希薄化などにより、家庭が孤立化し、子育てに不安や悩みを持つ親が増加するなど、子供と子育て世帯を取り巻く環境が大きく変化するとともに、昨年の本県の出生数が過去最低となるなど、少子化の急速な進行に歯止めがかからない大変厳しい状況にあります。 このため、山口県児童センターについては、こうした環境の変化に対応したさらなる機能強化や、官民連携に向けた総合的な拠点機能を高めていくことが必要ですが、建物等の老朽化が進んでおり、今後、十分な機能を発揮できなくなることが危惧されます。 そこでお尋ねいたします。山口県児童センターの今後の在り方について検討を進めていただきたいと考えますが、県の見解をお伺いいたします。 次に、山口県の畜産振興についてお尋ねいたします。 本県の畜産業は、県内農業産出額の約三割を占め、地域経済を支える重要な基幹産業の一つです。特に山口県産和牛の生産は、五年に一度開催される和牛のオリンピックと言われる全国和牛能力共進会でも好評価を受けるなど、その品質は高い評価を得ており、各地域で地元ブランド牛の育成にも力が入れられています。 中でも、宇部市を中心に取り組まれている宇部牛のブランド化は、地域畜産振興の一つのモデルケースとして注目されています。宇部牛は、地元生産者の手で丁寧に育てられた黒毛和種であり、肉質の高さや安全性に優れ、飲食店や消費者からも評価を受けつつあります。県や市も連携し、PR活動や流通ルートの確保、販路開拓支援などを行っており、地域資源の活用による畜産振興の好例と言えるでしょう。 実際に私も、宇部牛の生産から肥育まで一貫して取り組まれている農業生産法人の取組を視察しましたが、地域内の耕作放棄地で生産したトウモロコシを自社施設で加工した配合飼料を用いて、より安心・安全で付加価値の高い地域ブランド牛が育成されており、農業と畜産業の連携した資源の地域内循環による畜産振興が図られていました。 そのような中、生産者団体をはじめ、食肉関連団体、県などが連携し、最終肥育地及び全飼育期間の二分の一以上が県内であることや公益社団法人日本食肉格付協会による格付が肉質等級四以上であることなど、一定の基準をクリアした高品質な山口県産和牛のブランドとして、やまぐち和牛燦が創設されました。 これは、山口県産和牛の需要拡大と認知度向上、そして、さらには生産者の収益向上につながるもので、私としても大いに期待しているところです。 しかしながら、県内全体の畜産業を取り巻く環境は、畜産事業者の高齢化や後継者の不足等による生産基盤の減少に加え、国際的な穀物価格の上昇や輸送コストの増大により、飼料価格の高止まりや物価の高騰が続くなど、畜産農家の生産意欲の減退をもたらすような、依然として厳しい状況が浮き彫りとなっています。 そのため、宇部牛をはじめとする地域での県産和牛のブランド化や付加価値向上の取組は、畜産経営を持続可能にする上で非常に重要です。また、それが若手就農者や新規参入者のモチベーション向上につながっていくものと考えております。 県としても、こうした地域の努力を積極的に後押しし、畜産の魅力と価格をさらに高めていただきたいと思います。 そこでお尋ねいたします。品質の良さで高い評価を得ている地域ブランド牛の育成やその需要拡大に向けて、県は今後どのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、外部専門人材の活用によるキャリア教育・進路指導についてお尋ねいたします。 近年、社会構造や産業構造の変化が加速する中、子供たちにとって将来の進路選択や職業意識の形成は、ますます複雑かつ重要な課題となっております。 こうした背景を踏まえ、国はキャリア教育の充実に向けて、キャリアコンサルタントの養成、活用を推進しており、二○一六年には国家資格として制度化されました。 現在では、全国で約八万人のキャリアコンサルタントが登録されており、その活躍の場も徐々に広がっております。 特に注目すべきは、教育現場への導入事例です。例えば、長野県では高校にキャリアコンサルタントを派遣し、進路に悩む生徒への個別支援や、職業理解を深めるためのセミナーの開催を行っています。結果として、進路未定のまま卒業する生徒の割合が減少し、進学・就職のミスマッチ解消にも寄与したと報告されています。福井県でも、キャリアコンサルタントが学校現場で教員と連携しながら進路指導を支援しており、教員の負担軽減にもつながっているとの評価を得ています。 本県においても、キャリア教育は重要施策として取り組まれておりますが、現場の教員が学習指導に加え、進路指導、就職支援などを担うには限界があるのもまた事実です。教員が専門外である就職市場や産業動向まで把握するのは難しく、結果として、生徒に十分な進路情報を提供できないケースも見受けられます。 こうした課題を解決するために、キャリアコンサルタントの専門的知見と経験を活用し、学校と連携して生徒一人一人に応じたキャリア形成支援を行う体制の整備が求められます。 具体的には、中学校、高校にキャリアコンサルタントを定期的に派遣し、進路相談や職業体験、自己理解を深めるワークショップの実施などを通じて、子供たちの主体的な進路選択を後押しする取組が考えられます。 また、教員への研修を通じてキャリア教育の視点を育成し、学校内での役割分担や連携体制を強化することも重要です。 県内には既に国家資格を有するキャリアコンサルタントが多数存在しており、その人材資源を地域に生かすことは、地元雇用の促進や地域活性化の観点からも意義あるものと考えます。 そこでお尋ねいたします。他県のような外部専門人材によるキャリア教育支援モデルを参考に、本県でも学校とキャリアコンサルタントが連携する仕組みを構築するなど、進路指導や就職支援に、より専門的な知識や技術を活用することによって、多忙を極める教員の負担を軽減するとともに、生徒一人一人の実態に応じた進路実現を図ることにもつながると考えますが、外部専門人材を活用したキャリア教育や進路指導について、県教委の御所見をお伺いいたします。 次に、児童の交通安全対策についてお尋ねします。 新年度が始まり、希望に満ちた子供たちが入学し、毎日元気に登校しています。 その一方で、私たちは毎年のように悲惨な交通事故のニュースに胸を痛めております。特に、入学直後の小学一年生が犠牲となる、いわゆる魔の一年生事故は、全国各地で発生しており、本県においても決して他人事ではありません。 魔の一年生事故とは、小学校に入学したばかりの児童が、通学路や自宅周辺で交通事故に遭うリスクが急激に高まる現象を指します。これは、入学後の数週間から数か月の間に集中しており、児童が交通ルールや周囲の危険に対する認識が未熟であること、また、日々の通学に慣れていないことなどが要因とされています。 警察庁の統計によれば、二○一九年からの五年間で交通事故による小学生の死者・重傷者は全国で三千五百五人に上り、低学年ほど歩行中の割合が高い傾向にあります。また、歩行中の事故を目的別に見ると、登下校がおよそ三七%と最も高く、次いで遊戯という結果になっています。 また、県内では、山口県警の統計によると、二○二四年一月から八月末までに交通事故でけがをした子供は九十二名、そのうち登下校中の事故でけがをしたのは十八名に上ります。 こうした事故を未然に防ぐため、警察や学校、地域ボランティアによる見守り活動や安全教室の実施などが行われておりますが、通学路そのものの構造的な問題、例えば歩道の未整備や視界の悪い交差点、交通量の多い道路の横断など、ハード面での対策が追いついていない地域も少なくありません。 県内でも、通学路における危険箇所の点検は、各市町のPTA等学校関係者と共に随時行われていると承知しておりますが、特に魔の一年生が巻き込まれるおそれが高い、生活道路と幹線道路が交差する地点や、信号機のない横断歩道については、朝夕の交通量が集中する通学時間帯を中心に、引き続き、安全確保の徹底に向けた対応が必要です。 過去に発生した事例を踏まえ、特定の傾向や危険要因の抽出を行い、点検、その後の対策実施、そして、それらの対策が新入生の事故防止にどのように寄与しているかについて、具体的に分析していくことが重要であると考えております。 これからの社会においては、AIやICTを活用した通学路の危険予測や見守り支援など、ソフト・ハード両面からの先進的な取組を推進していくことも必要かとは思われますが、私は、殊のほか子供たち自身の危険察知能力の低下を心配しております。 かつての子供たちは、家の前などの生活道路で遊び、はしゃぎながらも、車の近づく音に耳をそばだて、視界の端に走行する車の姿を捉えれば、遊びを中断して、さっと道のそばによけ、また何事もなかったかのように遊びを続行するを繰り返し、日常の中で危険察知能力を培うことができました。 遊びの中で学ぶことが少なくなった、子供たちの危険察知能力をどのようにして身につけていくのかが、子供たちを守るキーポイントになるのではと考えます。 命を守る政策こそ、何よりも優先されるべきものです。子供たちが毎日安心して学校へ通うことができる環境を整えることも大切ですが、自分の命は自分でしか守れないときのほうが多いのに、命を守るための能力が備わっていない状態では、幾ら環境を整えても事故は減らないのではないでしょうか。 危険察知能力をしっかりと身につけさせるのも大人の責任であり、本来ならば、親御さんが大部分を担うべきところなのは承知してはおります。 その上でお尋ねいたします。児童が被害に遭う交通事故の発生が危険視される中、通学中における児童の交通安全対策に県警としてどのように取り組んでいかれるのか、警察本部長の御所見をお伺いいたします。 最後に、県職員の働き方改革についてお伺いいたします。 人口減少、若年労働力の減少によって、現在、あらゆる分野で人手不足となっています。公務員についても例外ではなく、民間の処遇改善の影響もあって、全国的に志願者の減少や若手職員の早期離職といった問題が生じています。 一方で、人口減少問題をはじめ、脱炭素社会に向けた取組や災害への備え、さらには現下の物価高騰への対応など、行政に求められる役割はますます多様化・複雑化しており、今後は公務員においても、人手不足下における生産性向上をどう実現していくかという点が大きな課題であると考えています。 県におかれましては、これまでも業務の見直しやICTの活用による効率化、テレワーク等の多様な働き方の導入など、様々な働き方改革の取組がなされてきたと承知しております。 一方で、業務を自律的にコントロールしにくいためか、県民サービスの第一線を担う現場の職員からは依然として、長時間労働が常態化している、休日でも電話対応に追われて気が休まらないといった声をお聞きするのも事実です。 例えば、時間外や休日に外部からかかる電話を自動的に留守番電話に切り替え、緊急を要しない問合せについては翌営業日以降の対応とすることも、職員のワーク・ライフ・バランスの確保につながるものと考えます。 他県でも、AIやRPA、スーパーフレックスタイム制の導入など様々な取組が進められています。 こうした長時間労働の縮減をはじめとした働きやすい職場づくりを進めると同時に、限られた人員で生産性の高い仕事をしていくためには、何よりも職員の皆さんが日々の業務に高い意欲を持って取り組むことが重要なことは言うまでもありません。 この点について、厚生労働省の令和元年版労働経済の分析においては、ワークエンゲージメントと労働生産性には、相関関係があるとされています。このことからも、これからの働き方改革においては、職員一人一人の仕事へのやりがい・働きがいといったワークエンゲージメントを高めていく取組が求められていると考えます。 そこでお尋ねします。人材確保が困難となる状況下にあっても、組織としての生産性を維持向上していくために、県職員の働き方改革に今後どのように取り組まれるのか、県の御所見をお伺いいたします。 以上をもちまして、私からの質問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)高井議員の御質問のうち、私からは、山口県の畜産振興についてのお尋ねにお答えします。 地域経済を支える基幹産業として、畜産業が持続的に成長・発展していくためには、地域ブランドとなる和牛等の生産振興を推進し、生産者の所得向上につなげていくことが極めて重要です。 本県においては、これまでも県内各地域の和牛生産者や関係事業者において、産地や育成方法等にこだわったブランド化の取組が進められ、全国の和牛共進会等においても高い評価を受けてきたところです。 こうした中、本県の優れた和牛を全国に広く売り込んでいくには、取扱数量や県外での認知度に課題があったことから、私は、県統一ブランド、やまぐち和牛燦を創設し、県産和牛のブランド力の強化を図ってきたところです。 これまでの生産者と食肉業者、行政等が一体となった取組の結果、県内の飲食店や販売店はもとより、大都市圏の高級スーパーやホテル等での取扱いも始まり、一昨年には台湾への初輸出が実現するなど、やまぐち和牛燦とともに、お示しの地域ブランド牛の評価も高まっています。 一方で、近年の物価高騰による消費の低迷など、畜産経営を取り巻く環境は依然として厳しい状況にあります。 このため、私は、より収益性の高い経営体の実現に向け、やまぐち和牛燦の取組と一体的に、地域ブランド牛の育成や需要拡大に、戦略的に取り組むこととしています。 具体的には、まず、県産和牛の高品質化や増頭対策として、受精卵移植技術等を活用した経済性に優れる繁殖牛群の整備や、ストレス軽減に資する快適な牛舎環境の整備を支援してまいります。 さらに、収益性の高い安定した畜産経営の実現に向け、輸入飼料と比べ、品質に優れ、価格の安定した県産飼料用トウモロコシや、県内の酒造会社から提供された酒かすなどの地域産飼料等の活用を推進します。 また、需要拡大に向けては、さらなる認知度の向上を図るため、今年度から新たに、ふるさと大使による情報発信を戦略的・効果的に実施するとともに、台湾チャーター便の運航に合わせ、日本酒をはじめとした県産品との一体的なキャンペーンを積極的に展開してまいります。 私は、今後とも、味や品質に優れた県産和牛の魅力と価値をさらに高めるため、関係団体等と緊密に連携しながら、やまぐち和牛燦をリーディングブランドとして、県産和牛の育成や需要拡大に全力で取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)岡本農林水産部長。 〔農林水産部長 岡本章生君登壇〕 農林水産部長(岡本章生君)魅力ある産地づくりについてのお尋ねにお答えします。 高齢化の進行や後継者不足等により、農業の担い手確保が大きな課題となっている本県の中山間地域においては、魅力ある産地づくりを進めていくことが極めて重要です。 このため、県では、JA等と連携し、多様な地形や気象条件を生かした収益性の高い品目の導入を進めてきたところであり、その結果、県オリジナルのはなっこりーやせとみ、リンドウに加え、ワサビやキウイフルーツなど、新たな品目による魅力ある産地が形成されています。 こうした中、宇部市小野地域においては、本年、新たな特産品として小野玉露が商品開発されるとともに、日照条件や排水性のよさを生かして、飼料用トウモロコシが新たに導入されたところです。 一方で、高温や豪雨などの異常気象、担い手の減少や高齢化、資材価格の高騰など、農業経営を取り巻く環境は大きく変化しています。 このため、県では、魅力ある産地づくりに向け、新たな担い手の確保・育成に併せ、甜茶のような付加価値の高い品目の導入や、新たな地域の観光資源としても期待できる商品の開発に一体的に取り組むこととしています。 まず、品目の導入については、希少性の高いオリジナル品目を中心に、適地適作の考え方に基づき、付加価値を高める栽培技術を組み立て、現地への普及を図ります。 また、商品開発については、専門家の派遣などにより、六次産業化・農商工連携の取組を一層推進し、新たなビジネスチャンスの創出や地域振興につなげます。 さらに、新たな担い手の確保・育成については、就業希望者が産地に定着できるよう、相談から定着までの一貫したきめ細かな支援を行うとともに、収穫体験や生産者との交流等により、産地への理解を深めることで新たな就業を促進します。 なお、お示しの甜茶については、苗の確保や栽培技術など多くの課題があることから、現時点では、県内産地への導入は難しい状況となっています。 県としては、今後とも、市町やJA等と連携しながら、本県の特性を生かした魅力ある産地づくりに積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)石丸健康福祉部長。 〔健康福祉部長 石丸泰隆君登壇〕 健康福祉部長(石丸泰隆君)子供が安心して過ごせる環境づくりについてのお尋ねにお答えします。 全ての子供・若者が、安全で安心して過ごせる居場所を持ちながら心豊かに成長していくためには、権利の主体である子供一人一人の人格や個性を尊重し、こどもまんなかの視点に立って、社会全体で子供たちを支えていくための環境づくりが必要です。 このため、県では、今年三月に策定した、やまぐち子ども・子育て応援プランに基づき、地域資源を生かした多様な居場所づくりを展開しています。 具体的には、県内九か所に配置する、居場所づくり推進コーディネーターとの連携の下、二百か所を超える子ども食堂の開設支援や、不登校の子供が、日中、安心して過ごせる居場所への支援など、地域の人的・物的資源を生かした子供の居場所づくりを促進しています。 こうした居場所を必要とする全ての子供たちにつなげていくためには、身近で支える民間団体など支援機関が連携し、子供の視点に立って、きめ細かく対応していくことが重要です。 このため、今年度から、県や民間団体等で構成する、こどもまんなか支援活動推進会議を立ち上げ、子供たちと居場所をつなげるための支援活動に向けた情報交換や協議を行うとともに、各地域において、支援機関が協働して、子供の主体性を発揮できる多様な居場所の創出に取り組みます。 次に、近年、少子化の進行や地域のつながりの希薄化によって、子供同士が遊び、育ち、学び合う機会が減少し、子供が地域の中で育つことが困難となる中、児童館については、子供の居場所づくりをはじめ、環境の変化に対応した機能強化が求められています。 こうした県内の児童館に対し、指導・助言や連絡調整等の中枢機能を担う、県内唯一の大型児童館としての山口県児童センターが果たす役割は、一層重要性を増してきています。 加えて、県政の最重要課題である少子化に歯止めをかけ、子育て支援のさらなる充実を図る上で、官民の連携・協働や情報共有等の強化は不可欠であり、総合的な拠点機能を高め、取組を広く県内に波及させることも必要です。 このため、県児童センターが、本県における子供の健全育成の象徴的な拠点施設となるよう、現施設の老朽化に伴う対応に当たり、今後、県が新たな施設の整備を行うことについて、具体的な検討に着手してまいります。 県としましては、本県の未来を担う子供たちが、心身ともに健やかに成長できるよう、市町や関係機関等と連携し、子供が安心して過ごせる環境づくりに積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)大川総務部長。 〔総務部長 大川真一君登壇〕 総務部長(大川真一君)県職員の働き方改革についてのお尋ねにお答えします。 人口減少等が進行し、県においても、人材の確保が困難になると見込まれる中、今後、限られた人員で、どのように行政サービスの維持向上を図っていくのかということが大きな課題となっています。 このため、令和五年度から、デジタルを活用して業務の効率化や新たな働き方の実現を図る、やまぐちワークスタイルシフトを開始し、職員の仕事に対する問題意識を業務改善につなげる職員提案の募集、実現や、職員アンケートによる働き方改革の効果測定等に取り組んでいるところです。 これまでの取組により、新たなデジタルツールの導入やペーパーレス化の推進、空調等の執務環境改善などの成果が上がっており、お示しの勤務時間外や休日の電話対応に関しても提案が寄せられていることから、課題となっているカスハラ対策の観点も含め、引き続き対応を検討していく考えです。 また、効果測定として、昨年度、職員アンケートを行い、働き方に対する職員の認識を初めて数値化し、その結果に基づき、ワーク・ライフ・バランス、業務の生産性、仕事へのやりがい、この三点に対する職員の実感を高めていくことを目標に設定したところでございます。 この目標の達成に向け、今年度は、多様で柔軟な働き方を一層推進するため、在宅勤務に係る要件の緩和と手続の簡素化を行うとともに、庁内の様々な業務のDX化を強力に進めていくための専門チームを新たに設置し、業務のさらなる効率化・高度化を加速させていきます。 さらに、職員の主体的なキャリア形成を支援するため、将来のリーダーを育成する新たな総合研修を開始するとともに、管理職との面談を通じて自らの将来像を考える機会を設けるなど、職員がこれまで以上に仕事に対するやりがいや成長実感を得られるよう、人材育成を進めていきます。 県としては、こうした取組を通じて、職員のワークエンゲージメントを高め、限られた人的資源の下で、今後も必要な行政サービスを安定的に提供していくことができるよう、職員の働き方改革に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)外部専門人材の活用によるキャリア教育・進路指導についてのお尋ねにお答えします。 子供たちが学校で学ぶことと、自分の将来とのつながりを見通しながら、これからの人生に必要となる資質・能力を身につけ、主体的に進路を考えて選択していくためには、各学校段階を通じて、体系的・系統的なキャリア教育を推進していくことが必要です。 このため、各学校では、家庭、地域、産業界等との連携を強化し、様々な学習や体験活動を充実させることにより、子供たちが社会や職業への理解を深め、望ましい勤労観や職業観を形成していくことができるよう取り組んでいるところです。 とりわけ、社会人・職業人としての自立が近づく高校段階においては、生徒の適性や能力に応じた進路選択に向けたキャリア教育が求められることから、インターンシップや、大学、企業等への訪問、卒業生による講話など、生徒が将来の職業について具体的に考える機会の提供に努めています。 こうした取組に加え、お示しのように、教員の負担軽減も図りながら、高校生等へのきめ細かな進路指導・就職支援を充実させていくためには、外部専門人材を効果的に活用していくことが重要です。 このため、県教委では、各高校等における、教育関連企業などによる進学に向けた講演会等の開催を支援するとともに、生徒の進路相談等に対応するため、キャリアコンサルタントなど国家資格保有者四名を含む、二十七名の就職サポーター等を配置しており、今後もこうした専門家を積極的に活用していくこととしています。 また、山口しごとセンターと連携し、県内の高校等にキャリアカウンセラーを派遣して、進路に関するセミナーや個別相談、面接指導の実施などを支援しており、令和六年度は、延べ九十七校において、約二千九百人の生徒がこの取組を活用しています。 県教委といたしましては、引き続き、外部専門人材の一層の活用に取り組み、生徒一人一人の進路実現に向けた、キャリア教育・進路指導のさらなる充実に努めてまいります。 議長(柳居俊学君)熊坂警察本部長。 〔警察本部長 熊坂隆君登壇〕 警察本部長(熊坂隆君)児童の交通安全対策についての御質問にお答えいたします。 本年五月末現在、歩行中に交通事故で負傷した小学生は八人で、前年同時期に比べ三人減少しておりますが、うち四人が重傷を負っております。 また、過去五年間の小学生の歩行中事故を学年別に見ますと、小学校一年生が負傷した事故は小学校六年生の約四倍、登下校中に限ると六倍発生しており、その七割近くが下校中であるほか、事故形態別では、横断歩道横断中に車と衝突する事故や、飛び出しを原因とする事故が多く発生しております。 こうした交通事故の実態から小学校一年生は、行動範囲が広がり子供だけで行動の機会が増える、いわゆる一人歩きデビューの時期であることや、お示しのとおり、一つのことに気を取られて周囲が見えなくなる、危険を予測する能力が未熟であるなどの要因が考えられます。 このため、県警察では、新入学児童等を対象とした参加・体験型の交通安全教室の開催や、主要交差点において交通指導員等のボランティアと連携した登下校時の保護誘導活動に取り組んでおります。 また、通学路における交通指導取締りも重点的に行っており、具体的には、登下校時間帯を中心に、可搬式オービスを活用した速度取締り、通行が禁止された場所に進入する車両、横断歩道横断中の歩行者を妨害する車両の取締りなど、歩行者保護に資する取締りを強化しているところであります。 さらに、学校関係者等と連携して把握した通学路の危険箇所については、児童の安全な通行を確保するための横断歩道等の塗り替え、パトロール強化等の対策を実施しているほか、道路管理者と連携したゾーン30プラスの整備にも努めているところであります。 今後もこうした取組を継続的に実施することに加え、児童の危険予測能力の向上に向けては、実際の交通事故事例等を紹介した資料を提供し、子供自らに交通事故に遭わないための行動を考えさせ、歩行者として必要な知識を習得させるほか、道路交通における危険を予測し、これを回避して安全に通行する意識及び能力を高める交通安全教育の提供に努めてまいります。 また、学校等で交通安全教育を実施する場合は、保護者の参加も呼びかけ、横断歩道ハンドサイン運動の実践など、親子で安全な行動について考えていただく教育の提供に努めるほか、中学・高校生がICT機器を活用して身近な危険を題材に作成した動画の活用にも配意してまいります。 県警察といたしましては、自ら安全を確保し得る子供を育成するため、創意工夫した交通安全教育の提供に努めるとともに、関係機関・団体との連携を一層強化し、通学中の児童の交通安全対策に全力で取り組んでまいります。 ───◆─・──◆──── 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩をいたします。再開は、午後一時の予定でございます。 午前十一時二十五分休憩