1 お米の安定供給に向けた基盤整備について 2 地域包括ケアシステムについて 3 避難所について 4 部活動改革について 5 少子化に対応した学校づくりについて
副議長(河野亨君)林直人君。 〔林直人君登壇〕(拍手) 林直人君 自由民主党の林直人です。通告に従いまして一般質問をさせていただきます。 まず、お米の安定供給に向けた基盤整備について質問いたします。 今年四月、お米の価格は昨年の二倍を超える五キロ四千二百十七円となりました。多くの消費者は困惑し、子供を育てる親世代は、育ち盛りの子供におなかいっぱい御飯を食べてもらいたいのに、お米が高くて買えないと話されました。 食料自給率九九%のお米は、日本の主食であり、私たちの体はお米でできていると言っても過言ではありません。炊きたての御飯は特においしく、子供たちが頬に御飯粒をつけながらうれしそうに頬張る姿は、私たちに幸せを運んでくれています。 日本人にとって大変重要なお米が、供給不安定になったのはなぜでしょうか。 一九四二年、第二次世界大戦中、食糧不足が深刻となったことから、主な食糧を政府が管理統制する食糧管理制度が発足されました。この制度は、主食であるお米の生産を増やし、国民に安定してお米を供給し続けられるように、政府が生産者からできるだけ高い価格で買い入れ、消費者にできるだけ安い価格で売り渡す仕組みでした。 一九四六年、GHQは、戦後の民主化政策の一環として地主制を解体。小作農の多くが農地改革によって自作農となり、日本農業の構造改革が実施され、食糧不足は解消されました。 農家の生産力は向上し、お米の供給量が増える一方で、食糧管理特別会計の赤字がどんどん増えていきました。政府は、一九七〇年より減反政策によってお米の生産量を調整し、赤字であった食糧管理制度を一九九五年に廃止。新たにお米の流通を自由化する食糧法を成立させ、誰でも自由にお米を販売したり流通させたりすることができるように改革されました。 一方で、食生活の欧米化や単身世帯の増加によって、お米の消費量が減り続ける中、生産者は比較的高価な銘柄米の生産にかじを切り、何とかお米の生産コストを守ろうと努力しましたが、大型スーパーが個人の米穀店に代わり販売の主役となり価格競争は激化、総じて米価は年々下落しました。 二〇二五年、水稲作付面積は、食糧管理制度が廃止された三十年前の二百十三万ヘクタールから四割減の百三十三万ヘクタールと見込まれています。一昨年の全国的な猛暑と大雨の影響によりお米の量と質が低下し、二年連続の作付面積増加が見込まれてはいますが、二〇二三年までの直近十年間では三十万ヘクタールが減少し、需要の低下と担い手不足による供給力の低下が顕著となっています。 加えて、一昨年の猛暑のような極端な高温は、お米の収穫量の減少や品質の低下など安定供給に影響を及ぼします。そのため、私は地球温暖化した未来へ、環境に合った技術も必要だと考えています。 例えば、私の地元である下関市菊川町でも取り組んでいる再生二期作があります。これは、一度田植をした稲を収穫後、高く切り残された切り株から再び芽を伸ばさせて、二回目の収穫を行う栽培方法で、従来の二期作とは異なり、苗を植え直す必要がありません。 福岡県筑後市にある試験圃場では、二期作目の収量は十アール当たり三百キロを超え、一期作との合計で九百四十四キログラムを記録しました。通常一期作十アール当たりの平均が五百四十キロほどであるため、少ない労力で大幅な生産量増加を実現したことになり、生産性の向上によるお米の安定供給につながるものと期待しています。 他方、県では、産地の維持・拡大に向けた基盤整備と防災力の強化に努め、生産性を高める基盤整備事業を推進しています。農地の利用集積と集約を加速化するために、農地の大区画化や水田高機能化を進めるとともに、地域の特性に応じた区画整理や獣害防止柵設置などのきめ細やかな整備を着実に行っており、新たな農業の担い手となる若い従事者が未来地図を描き、効率的な農業経営が可能となるように環境を整えています。 単位面積当たりの労働時間、労働費及び燃料費、全算入生産費は、作付面積が大きい農家ほど効率的であることから、基盤整備は人口減少した未来への投資であると考えます。 そこでお伺いします。本県は持続可能な農業を推進されていますが、お米の安定供給に向けた基盤整備について、今後どのように進めていかれるのか、お伺いいたします。 次に、地域包括ケアシステムについて質問いたします。 現代日本では、二〇二五年、国民の四人に一人が七十五歳以上となり、増大する社会保障費が現役世代の大きな負担である、高齢者割合が増えることは社会問題だと警告をしています。 今年、七十五歳の後期高齢者となる方は一九五〇年生まれになりますが、当時の生活は貧しく、高価なテレビは限られた家に集まって見るものでした。 一九七〇年、大阪万博で携帯電話や電気自動車が未来の暮らしと展示された年に二十歳を迎えた若者たちは、海外より働き蜂とやゆされるほど、労働時間が長く、休みもほとんどない苛酷な生活を耐え忍んできました。 そんな時代に日本を支えた先輩方に、我々現役世代が社会問題などと言える権利はどこにあるのでしょうか。高齢となられた皆さんが、人生の最後に幸せだったと思える社会にすべきだと考えます。 高齢者介護や福祉に携わる皆さんは、高齢者の方が幸せな日々を過ごせるよう願い、介護技術の研さんと心の施しを学び、実践をしています。 訪問介護ステーションでは、支援先から戻ってきたヘルパーさんが、ほかのヘルパーさんらと情報共有を行います。「花子さんが仏さんの座布団を出して待っとってくれたんよ、旦那さんの思い出話をしてくれて涙が出た。」「太郎さんが帰るときありがとうって言ってくれたんよ、初めて言われてうれしかった。」など、連絡事項に加え、利用者の心の変化も引き継ぎます。 まさに心への支えが動機づけとなり、自立した生活を促しているプロフェッショナルな仕事であり、これが地域包括ケアなのだと考えます。 地域包括ケアの原点は、広島県御調町、現在の尾道市にある病院が寝たきりゼロに取り組んだものの、うまくいかなかったことでした。退院した患者さんがすぐに病院に戻ってきてしまう。家での生活を見直さなければ寝たきりは防げないと理解し、医療と行政の連携を呼びかけました。その後、二〇〇〇年に介護保険制度が開始され、住み慣れた地域をベースに医療と介護、生活支援を充実させようと取り組んでいるものです。 さて、現在の地域包括ケアはどうでしょうか。まず、ベースとなる住み慣れた地域での住まいが自宅のほか、有料老人ホームなども加わっています。また、施設扱いの特別養護老人ホームや、介護老人保健施設のユニットケアと何ら変わらない居住スペースである有料老人ホームやサービスつき高齢者住宅は在宅扱いとなっています。 住み慣れた地域での住まいとはどこなのか。当事者の多くは我が家であることを望み、在宅扱いの有料老人ホームやサービスつき高齢者住宅ではありません。 実際に厚生労働白書でも、年を取って生活したい場所が自宅であると約七二%の方が答えています。地域包括ケアは、住み慣れた我が家での安心した生活を保障することが大前提にあります。 しかしながら、核家族化の進行や介護人材が不足する今日では、老老介護など高齢者を在宅介護できず、有料老人ホームなどへ入居することもあります。ただ、当事者の幸せと思う気持ちも大事にされ、誰もが当たり前に安心して暮らしていける地域包括ケアシステムの構築を期待します。 有料老人ホームやサービスつき高齢者住宅が、介護ニーズの受皿となっている状況について触れましたが、今年二月、有料老人ホームを運営する石川県の会社が、訪問看護事業において二十八億円もの診療報酬の不正請求を行ったと公表されました。 この施設は、難病の高齢者が終末期を過ごす場として生活する、ホスピス住宅という在宅扱いの施設であり、数秒、モニターデータを確認しただけで、三十分以上の訪問看護と記録して請求していました。 四月には、大分県の有料老人ホームにおいて、介護事業所が、基準を満たさず介護報酬を過大に請求、加えてサービス提供の記録がないにもかかわらず、介護報酬を不正に受け取っていたと公表されました。高齢者はもうける道具なのかと怒りが湧き起こります。 そこでお伺いします。高齢者の多くは、医療や介護が必要になっても、可能な限り住み慣れた自宅や地域での生活を望んでいます。また、入居する高齢者も多い有料老人ホームなどの不正な運営についても不安を抱えており、こうしたことが起こらないように対策も必要です。 こうした状況を踏まえ、県では今後、高齢者誰もが安心して暮らしていける地域包括ケアシステムの推進にどのように取り組んでいかれるのか、お伺いをいたします。 次に、避難所について質問いたします。 昨年一月の能登半島地震では、避難者数がピーク時に五万人、今年三月のミャンマー地震では百五十五万人と報道されています。カナダ・ブリティッシュコロンビア州の森林火災では三万六千世帯に避難勧告、今年二月の岩手県大船渡市の山林火災でも、一時的に四千三百十人が避難をしました。 災害によって人は、安住の地を離れざるを得ない状況に陥りますが、そのようなときに人間の安全欲求を満たしてくれるのが避難所だと思います。 令和六年三月、内閣府は、避難所における生活環境の確保に向けた取組事例集を作成していますが、トイレ、食事、体制づくりなど、きめ細やかな調査報告がなされています。 避難所における生活環境の整備については、災害対策基本法第八十六条の六と七に規定されていますが、災害応急対策責任者は、被災者の生活環境の整備に努めなければならないとされています。 避難所の開設等は、市町村が行う自治事務であり、内閣府は取組指針に基づくガイドラインを作成し助言を行っています。大規模災害が発生した場合は、まず市町村が第一次的に応急対策を実施しなければなりません。 一方、都道府県の役割も、度重なる震災などの教訓を踏まえた制度改正に伴い、順次拡充されています。東日本大震災後の改正では、市町村が被害状況の報告ができなくなった場合において、都道府県自らが情報収集等すべきであること、市町村、都道府県の区域を超える地方公共団体間の被災住民の受入れに関する調整規定が創設されました。 このように、都道府県は、市町村を包括する広域自治体として、市町村の支援・補完、広域調整、国等との連絡調整などの面で、極めて大きな役割を果たすことが求められています。 平成二十八年の熊本地震では、最大避難者数十八万三千八百八十二人の状況下で避難生活は大混乱となりました。被災した当該自治体の行政職員は、本人たちも被災しているにもかかわらず、他市、他県からの応援職員と共に避難所運営を担いました。 しかしながら、地元職員でなくては分からない業務が集中し、なかなか応援職員を生かすことができなかったと伺います。ヒアリングでは、県が応援の受皿となり、主体となってくれたとの意見が多くあり、県が派遣要請調整することによって、当該自治体の職員が業務運営体制を指揮できるのだと感じました。 避難所には、大きく分けて体育館などの生活基盤が整った指定避難所と、お年寄りの方や体に不自由のある方などが利用しやすい福祉施設を利用した福祉避難所が指定されていますが、被災直後には指定されている避難所も被災していることもあり、すぐに開所できないこともあります。 熊本地震の際には、在宅で生活している障害者と高齢者など福祉ニーズの高い方々が、熊本学園大学に開設された避難所に集まりました。 実は避難所を一般と福祉に分けることによって、残念ながらすみ分け意識や、世間からの排除が生まれてしまいます。 それを解決したのが、管理はしないが配慮はする運営方針の熊本学園モデルの避難所です。ルールや名簿はつくらず、体調が悪そうな方への目配りに力を入れたこのインクルーシブ避難所は、最大七百五十人を受け入れ、うち障害者は六十人。ペットも禁止せず、四十五日間の運営をトラブルなしで終えました。 多様なニーズが混在する現代社会の中で、厳格なルールを形成し、秩序を守ろうと努力しますが、多くの方が生きづらさを感じてしまいます。器質的な要因によって、社会が決めたルールを守れないことへの配慮をすべきだと考えます。 本県でも山口県災害派遣福祉チームDWATを組織しており、大規模災害時に避難所等において、要配慮者に適切な福祉支援と、二次被害の防止につながる心のケアを期待しています。 そこでお伺いします。災害時の避難について、広域自治体として、都道府県に様々な役割が求められ、避難所の生活環境の改善や要配慮者への支援など、誰も取り残されることなく安全欲求を満たすことが重要だと考えますが、県は被災した際、どのような役割を果たしていかれるのか、御所見をお伺いいたします。 部活動改革について質問いたします。 本県の部活動改革のスケジュールでは、今年度までに休日の部活動の地域移行等に向けて取り組むこととされており、平日の部活動の在り方も順次検討されることとなっています。 部活動は長年、十分な報酬がないまま、教員の善意と生徒への熱い思い、奉仕の心で継続されてきました。朝練から放課後練習、土日の休日も返上して部活動に労力を注いだ分、やはり他の教員が校務分掌や受験指導などをカバーしているのが現状であったと伺います。 学校現場の当たり前が生んだひずみは深く、制度疲労を起こしました。部活動の地域移行は、子供たちの教育を担う、教員を守る改革の一つであり、今後も現場の声に耳を傾け、是正すべきものと考えます。 文部科学省は、学校における教育課程の基準となる学習指導要領を定めますが、社会の変化や教育状況の変化に対応するために、十年程度ごとに改訂を行っています。 昭和四十三年の改訂では、小中学校の特別教育活動と学校行事等を統合し、新たに特別活動が新設され、高等学校は各教科以外の教育活動とされ、学校行事が含まれるようになりました。小学校は四年生以上が週一時間のクラブ活動、中学・高等学校では必修クラブが設置され、これまでクラブ活動と言われた、自主的で希望参加による放課後や休日を中心とした活動は必修クラブとは区別され、平成元年の改訂で部活動と呼ばれるようになりました。 とはいえ、部活動のクラブ活動代替可の措置により、必修クラブはすぐに廃止されるなど、学習指導要領の改訂によって、クラブ活動と部活動の位置づけは影響を受けてきました。 平成十年の改訂によって、中学・高等学校ではクラブ活動に関する規定が削除され、これらの活動は教育課程外の部活動だけになりました。 平成二十年の改訂では、部活動は学校教育の一環として、教育課程との関連が図られるように留意することと記述され、教育活動として示されています。 要するに部活動は、教育課程外などで地域に移行するが、生徒を指導する地域クラブ活動の指導者には、今まで教員が子供に施してきたように指導すべきというものとなっています。 これまで教員が積み上げた教育活動である部活動を、地域の誰が担えるのか。ハードルの高さゆえに、なかなか進展できないのが課題だと考えます。 部活動の意義は人間教育であり、非認知能力である忍耐力や協調性、行動力などが育まれると言われますが、部活動の歩みは、日々子供のもがきに寄り添う学校教員だからできる教育だと考えます。 部活動は、楽器のスキル向上や、試合に勝利することだけにあるものではありません。目標を共にする仲間やライバルと、真剣にぶつかり合う経験によって生まれるシンパシーが人生の宝となり、実社会を生きる力となっていることは、誰もが感じていることではないでしょうか。 令和四年十二月、スポーツ庁と文化庁から示された、学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドラインでは、新たな地域クラブ活動を整備するために必要な対応が提示され、運動部・文化部ともに早期の移行を推進できるものとなっています。中でも地域スポーツ・文化振興担当部署、関係団体、学校等の関係者を集めた協議会などの体制整備や、学校と地域が協働、融合した形での環境整備、意欲ある教師等の円滑な兼職兼業や、日本中体連への地域クラブ参加などが示され、期待をしているところです。 そこでお伺いします。現在、県内における部活動の地域移行の進捗はどのような状況なのか。また、取組が進んでいる市町があると思いますが、学校にとってどのような効果があり、課題があると認識しておられるのか、そして、今後どのように取り組まれていかれるのか、お伺いいたします。 最後に、少子化に対応した学校づくりについて質問いたします。 令和五年十月から令和六年九月までの一年間に、山口県で出生した赤ちゃんの数は六千九百二十五人となり、昨年二十歳の祝いを迎えられた皆さんが生まれた二十年前の一万二千四十八人と比較すると四三%の減少、今後、山口県の学校に通う子供たちは、現在の半分程度になると推定されています。 そして、学校数は、小学校が二百九十三校、中学校が百六十校、高等学校全日制・定時制・通信制合わせて七十七校、中等教育学校一校、特別支援学校十四校となっており、毎年のように少しずつ減少しています。 しかしながら、高等学校全日制・定時制に絞り、他県と比較すると、生徒数三万四百四十四人の愛媛県が学校数六十五校で本県より十校も少ないこと、学校数七十五校と本県と同じ栃木県には生徒が四万六千二百四十二人おり、本県より一万六千六百四十九人も多いことが報告されています。 地形や近隣の経済状況等の異なる他県を、一概に比較することは乱暴とは存じますが、本県の生徒人数に対する学校数が飛び抜けて多いことは事実だと考えます。 愛媛県は人口、面積ともに山口県と似ている県で、瀬戸内海沿いの東西にJR予讃線と内子線が走っているところも、山陽本線と似ている印象を受けますが、その愛媛県の南予地方、佐田岬半島の端に愛媛県立三崎高等学校があります。生徒数約百五十三人のうち十五府都県から四十四人が県外生徒で、九十名を超える寄宿舎生が登校。通学生も最寄りの八幡浜駅からは車で一時間以上かかることから、スクールバスが運行されています。校舎内に公営塾を設置し、地域の方々が講師として受験指導するなど、アイデアにあふれた学校運営戦略が評価され、五年間で二倍の生徒数になっています。 このように学生や保護者のニーズにマッチした、前例にとらわれない学校づくりは、地域活性化にも寄与するものであり、本県でもチャレンジすべきものではないかと考えます。 本県では、令和八年度より岩国高校及び下関西高校に併設型中学校を設置し、中高一貫教育を開始します。六年間の効果的な学びによって、大学での高度な学習につながる高い学力とリーダーシップを育成すると計画されていますが、各校説明会も好評で、保護者の方は、「子供がチャレンジしたいと自ら言ってきた。説明会で親が気になっていたことも知れたのでよかった。頑張ってもらいたい。」「私は中学校から県外の学校に行き医者になりましたが、登校できる範囲で、志望する大学への学びができれば親としてもうれしい。」と話されました。 県立高校の適正規模・適正配置が推進されることによって、未来のビジョンを指し示し、子供たちが高い目標に向かって歩み出す動機づけをすることは極めて重要であると考えます。今後ますます規模を拡大し、制限を設けない全国募集などに発展していくことを期待します。 高等学校の全国平均では五〇%が大学等への進学、専修学校・各種学校への進学が二三%、就職が一六%となっています。しかしながら、本県では、高等学校卒業者数に占める就職者の数が二八%と高く、全国一位となっており、専門に関する知識・技術を身につけられる専門学科が多いのが特徴です。これは、本県の産業構造である第二次産業の構成比率が高いことも要因の一つですが、近年では、工業系に加え、看護系も人気となっています。 私は、子供たちが将来なりたい職業を早期に見つけることが大切だと考えます。高等学校学習指導要領にも、社会に開かれた教育課程の実現が明記されていますが、企業や地域との連携・協働した教育活動によって、子供たちが強く社会を意識し、探求したいと創造力を膨らませるのだろうと期待します。 そこでお伺いします。県立高校における特色ある学校づくりや適正規模・適正配置によって、未来の活力ある学校づくりがイメージできると考えます。本県では、どのような未来地図を描いておられるのか、お伺いします。 以上で、私の一般質問を終了させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) 副議長(河野亨君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)林議員の御質問のうち、私からは、避難所についてのお尋ねにお答えします。 災害発生時の危険から県民の生命や身体を守るためには、被災者の安心・安全のよりどころとなる避難所が、良好な生活環境の下で、円滑に運営されることが必要です。 私は、お示しのように、県が、市町の支援や補完、そして広域調整の役割を果たし、避難所運営を積極的に支援していくことが重要と考え、被災市町におけるマンパワーの確保や避難所環境の改善、要配慮者のニーズに対応した福祉的支援などの取組を進めています。 まず、被災時におけるマンパワー不足への対応として、県と各市町が締結している相互応援協定を活用し、被災地への応援職員を受け入れる受援の調整を行いながら、現場のニーズに応じた職種や人員を速やかに派遣することにより、円滑な避難所運営等を支援することとしています。 また、避難所の良好な生活環境の確保に向けては、今年度、簡易ベッドやパーティションなど、より質の高い資機材を新たに整備し、県内八か所に分散備蓄することとしており、発災時には市町が保有する資機材と一体的に活用することで、避難所の環境改善につなげていきます。 さらに、福祉的支援を行う体制づくりに向けては、要配慮者に応じた、きめ細かな支援が行えるよう、有識者や市町、関係福祉団体等による検討組織を新たに設置し、多様な視点から避難所運営に係る指針等を見直すこととしています。 加えて、DWATが、その専門性を生かして、要配慮者一人一人に寄り添った福祉的支援を行い、生活機能の低下や要介護度の重度化などを防止できるよう、隊員の確保や研修会の開催による資質向上を図るなど、その体制強化に取り組んでまいります。 私は、広域自治体としての県の役割をしっかりと認識し、市町や関係機関等と緊密に連携しながら、要配慮者も含め、誰もが安心・安全に過ごせる避難所の実現に向けて、全力で取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 副議長(河野亨君)岡本農林水産部長。 〔農林水産部長 岡本章生君登壇〕 農林水産部長(岡本章生君)お米の安定供給に向けた基盤整備についてのお尋ねにお答えします。 担い手の減少や高齢化が進む中、主食である米を将来にわたって安定的に供給していくためには、意欲ある担い手に農地を集積するとともに、効率的な農業経営が可能となる生産基盤の整備が重要です。 このため、県では、農地中間管理機構による担い手への農地集積と、水田の大区画化や高機能化などの基盤整備を一体的に進めてきたところです。 こうした中、県内では、基盤整備を契機として、若手就業者による、スマート技術等の導入により、経営規模の拡大が図られている地域が増加するなど、未来に向けた次世代型の農業経営が着実に進んでいます。 また、国は、本年四月、新たな食料・農業・農村基本計画を策定し、徹底的な生産コストの低減や、品質の安定化等を通じ、農業経営の収益力向上を図ることとしています。 このため、県としては、米の安定供給に向け、新たな農業の担い手となる若手の農業者が、将来に希望を抱き、生産性の高い農業経営を継続していけるよう、農地集積とともに、農作業の効率化や、作物の品質確保に資する基盤整備を進めていくこととしています。 具体的には、まず、農作業の効率化に向けては、大型機械やスマート農機等の導入効果が最大限発揮できるよう、水田の大区画化や、移動・旋回がスムーズに行える農道の拡幅など、機械作業の効率性を高める区画整理を推進します。 加えて、維持管理の負担軽減を図るため、リモコン式草刈り機の活用や泥上げが容易となる、畦畔やのり面の整備等を進めます。 次に、作物の品質確保に向けては、高温が続く気象条件下においても、安定した品質や収量が確保できるよう、水温や水位のコントロールが可能な水管理システム等の導入を促進します。 さらに、大区画化された水田で栽培される米や畑作物の品質・収量の安定化が図れる地下水位制御システムの整備等、水田の高機能化に引き続き取り組みます。 県としては、米の安定供給に向け、次代の担い手が将来にわたって持続可能な農業経営を実現できるよう、市町や関係団体と連携し、計画的・効率的な基盤整備を積極的に進めてまいります。 副議長(河野亨君)石丸健康福祉部長。 〔健康福祉部長 石丸泰隆君登壇〕 健康福祉部長(石丸泰隆君)地域包括ケアシステムについてのお尋ねにお答えします。 高齢化が進行し、医療や介護の需要の増大・多様化が見込まれる中、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けるためには、医療、介護、予防、住まい、生活支援を一体的に提供する地域包括ケアシステムを推進していくことが重要です。 このため、県では、高齢者がその有する能力や希望に応じ、住み慣れた自宅や地域で安定した住生活を送ることができるよう、在宅医療・介護サービス、生活支援サービスの充実や、有料老人ホーム等の高齢者向け住まいの質の確保に取り組んでいるところです。 まず、在宅医療・介護サービスの充実については、訪問診療を行う医療機関や介護サービス事業所の整備を計画的に進めるとともに、事業所の経営基盤の安定が図られるよう、研修等を通じて、介護報酬の加算制度の活用や業務効率を高めるICTの導入等を引き続き促進してまいります。 また、生活支援サービスの充実については、外出支援や見守りなど、地域に必要なサービスの創出とその担い手の確保等を行うコーディネーターを養成し、市町等と連携して、高齢者が自宅や地域で自立した日常生活を送ることができる体制の整備に取り組んでいるところです。 次に、高齢者向け住まいの質の確保については、高齢者が安心して入居できるよう、有料老人ホームや介護事業所に対する定期的な立入検査等を通じて、人員配置や入居者に対するサービス提供の状況を確認し、必要に応じて指導を行っています。 県としましては、こうした取組を通じ、市町や関係団体等と連携しながら、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けていくことができるよう、地域包括ケアシステムの推進に積極的に取り組んでまいります。 副議長(河野亨君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)教育に関する二点のお尋ねのうち、まず、部活動改革についてお答えします。 少子化の中にあっても、将来にわたって、子供たちがスポーツ・文化芸術活動に継続して親しむことができる機会を確保することは重要であることから、県教委では、観光スポーツ文化部と一体となって、市町等と連携し、中学校における部活動の地域移行を進めているところです。 現在、多くの市町で方針策定や保護者・関係団体等への説明会が開催されるなど、各市町の実情に応じた取組が進められており、特に、防府市、長門市、美祢市の三市においては、今年度末までに、平日を含めて移行を完了する見込みです。 このように地域移行の取組が進む中、例えば、先行する三市の学校では、生徒数の減少により、存続が厳しくなった部活動を継続できたり、地域によっては、これまで部活動になかった種目や分野を経験できたりするなどの効果が現れてきています。 また、教員にとっては、部活動指導の負担軽減が図られることにより、学習指導や生徒指導などの時間の確保が進んでいるところです。 その一方で、お示しの人間関係の構築や連帯感の涵養など、これまで部活動が担ってきた教育的意義や役割が失われることが懸念されており、新たな地域クラブ活動へしっかりと継承できるよう、学校と地域クラブとの連携促進を図ることが課題であると考えています。 このため、県教委では、市町教委と連携し、コミュニティ・スクールの連携・協働体制を生かしながら、学校と地域クラブとの間で、活動方針や生徒の活動状況等の情報共有を促進するなど、地域全体での取組となるよう、支援することとしています。 また、教員等が、これまで部活動指導で培ってきた知識や経験が、地域クラブ活動においても継承されるよう、希望者を対象とした説明会の開催などにより、人材バンクへの登録等の働きかけを積極的に行っているところです。 県教委といたしましては、今後とも、観光スポーツ文化部と一体となって、市町等と連携し、学校部活動の教育的意義や役割の継承・発展を図りながら、部活動の地域移行を着実に進めてまいります。 次に、少子化に対応した学校づくりについてのお尋ねにお答えします。 生徒数の減少に伴う学校の小規模化が進む中、新しい時代に対応し、活力ある教育活動を展開するためには、特色ある学校づくりと学校・学科の再編整備を推進し、高校教育の質の確保・向上を図ることが必要です。 このため、県教委では、十五年先を見据えた第三期県立高校将来構想において、探究活動や教科等横断的な教育活動の推進など、大学進学等の進路実現や、高度な専門性を持った産業人材の育成などに向けた高校改革に取り組むこととしています。 この方針に沿って、まずは、令和八年度末までの五年間を期間とする前期実施計画を策定し、進学指導に重点を置いた中高一貫教育校や、学科間連携による教育活動を推進する高校の設置等を進めてきたところです。 また、各学校の特色化・魅力化に向けては、スクール・ミッションに基づき、社会全体のDX化に対応し、AI等の先端技術を活用できる力や、地元企業が求める、新たな価値を創造する力を育む教育を行うなど、多様化する生徒の進路希望に対応できる学校づくりを推進することとしています。 さらに、今後も少子化の進行が見込まれる中、こうした教育を生徒が切磋琢磨する環境の中で展開していくため、現在策定中の令和九年度以降の後期実施計画において、お示しの適正規模・適正配置を目指した再編統合等をさらに推進し、普通科や工業科等の教育機能を持つ学校を、それぞれ県内にバランスよく配置することとしています。 県教委といたしましては、こうした方向性の下、中長期的な視点に立って、活力ある学校づくりに向けて、さらなる高校改革の推進に全力で取り組んでまいります。 副議長(河野亨君)本日の一般質問及び提出議案に対する質疑は、これをもって終了いたします。 ───◆─・──◆──── 副議長(河野亨君)以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 本日は、これをもって散会いたします。 午後二時四十二分散会