1 防衛省冊子の小学校への配布について 2 個人情報保護の姿勢について 3 鳥獣被害対策について 4 原発と地域振興及び環境破壊について
───◆─・──◆──── 午後一時開議 副議長(河野亨君)休憩前に引き続き会議を開きます。 ───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第十七号まで 副議長(河野亨君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第十七号までを議題とし、質疑の議事を継続いたします。 中嶋光雄君。 〔中嶋光雄君登壇〕(拍手) 中嶋光雄君 お疲れさまです。社民党・市民連合の中嶋です。通告に従い質問します。 一問目、防衛省が子供版防衛白書「まるわかり!日本の防衛」を全国の小学校に配付していることが分かりました。我が社民党との交渉で、防衛省は、二〇二一年度から冊子の作成が始まり、小学校に配付したのは二四年度が最初、防衛省は都道府県教育委員会に相談し、調整が整った小学校約二千四百校に対して計約六千百冊を送付したという。青森、秋田、栃木、長崎各県に配ったことは明らかにしたが、その他については相手方との関係があり公表できないとしました。 冊子の中には、ロシア、中国、北朝鮮を名指しして、日本が位置する地域は安全とは言えないと説明する箇所や、ウクライナは抑止力不足のためにロシアに攻め込まれたとして、他国に対して日本を攻撃するのはやめておこうと思わせるために、戦争を起きないようにするために抑止力を強くすることが自衛隊にとっての一番の勝利と記述する箇所がある。 こうした冊子の内容を文科省は了解しているのかとの質問に対する回答は、教育機関への資料配付を希望する団体は多数あり、判断は各自治体に委ねていると回答。また、防衛省の冊子は授業の中で教材として使うものではなく、図書館に置いて閲覧に供するものだと認識していたと。 しかし、防衛省が送付先の小学校に行っているアンケートの中には活用実績に関する質問があり、「総合的な学習の時間に使用」との選択肢が設けられていることも明らかになった。 さらに、冊子には、二〇二四年度まで憲法と自衛隊との関係や専守防衛、非核三原則に関する記述があったが、二〇二五年度の冊子では削られ、自衛隊の災害派遣を初めに掲げ、自衛隊の生活やキャリアコースの記事を増やしています。 多様なルーツを持つ子供たちがいる学校で、このような冊子を授業で用いるのは不適切として、文科省は冊子の使われ方を確認すべきと思います。結局、政府の政治的見解を大人への発達段階の途中にある子供に一方的に押し込む内容で、「軍事力には軍事力であり、平和のための戦争」の見解に引き込んでいます。 国民の中にも様々な考えもあります。憲法の「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」との規定もある中で、教育現場に混乱をもたらすものです。 そこで、まず、本県教委での防衛省冊子の小学校直接送付への対応状況をお聞かせください。あわせて、子供が公平な立場から政治や社会について学ぶことができるためにも、本冊子を義務教育の学校図書館なども含めて活用しないことを県教委として明らかにすべきだが、見解をお聞かせください。 二問目です。今年四月一日に、県の情報セキュリティー対策の基本指針である山口県情報セキュリティポリシーの最新版が公表されました。セキュリティポリシー自体はかなり前から策定されているもので、その都度改定されてきましたが、懲戒処分という項目に、「情報セキュリティポリシーに違反した職員等及びその監督責任者は、その重大性、発生した事案の状況等に応じて、地方公務員法による懲戒処分の対象とする」と明記されています。 数年前ですが、本県では、前副知事が主導した公選法違反事案がありました。このとき、県職員に関する個人情報が後援会の勧誘に使われました。しかし、県が個人情報の関係で刑事告訴または懲戒処分を行ったという話は聞いたことがありません。 また、県税事務所に勤務していた男性が、二一年四月から二三年三月の間、税務システムを使って百四人分の同僚らの個人情報を興味本位で不正閲覧していたとして、二年前の令和五年八月二十一日付で訓告の内部処分を行いました。 読売新聞の記事によると、県は、外部への漏えいや二次利用が確認されなかったという理由で、法令に基づく懲戒処分ではなく訓告としたと説明しています。より軽微で公表対象ではない処分としたということです。個人情報に係る不正行為があったとしても、外部への漏えいまたは二次利用が確認できなければ、懲戒処分の対象ではなく、内部処分として公表せずに処理するという県の運用実態も明らかになりました。 全国の自治体では、業務目的外で個人情報を不正閲覧等した場合、外部への漏えいや二次利用の有無に関係なく懲戒処分とする事案が相次いでいます。本県において、公選法違反事案及び県税事務所の事案が前例となって、今後の処分の基準となってはなりません。さきに述べたセキュリティポリシーの懲戒処分に関する記述部分は、事実上、形骸化しているおそれがあり、不祥事に対する抑止効果がなかった点は残念です。 このほか、本県では個人情報の漏えいも相次いでいます。昨年四月、NPO法人が県に提出した事業報告書等で非公開とすべき五十八法人、三百八十七名の個人情報を誤って漏えい、または漏えいし得る状況にあったことを公表しました。今年一月には、学事文書課で審査請求に係る審査会の答申を公表した際に、関係者の氏名を誤って公開しました。つい最近の七月には、教育委員会で教員採用セミナーの参加者十一人分の個人情報が漏えいしました。ほかにも漏えい事案があるようです。 そこで、今後、職務上の権限を逸脱した個人情報等の不適切な取扱事案が生じた際は、山口県情報セキュリティポリシーで明記されているとおり、地方公務員法に基づく懲戒処分を前提に関係者の処分が確実に検討・実施されるのでしょうか。また、今後、個人情報保護に係る職員の処分の判断基準の見直しを検討すべきと考えますが、御所見を伺います。 二点目は、相次ぐ個人情報の漏えいは、いずれの事案も初歩的なミスが原因ですが、セキュリティポリシーが現場で徹底されていないのではないでしょうか。漏えいが生じた部署だけでなく、全庁挙げて取り組むべき具体的な再発防止策をお尋ねします。 三点目、本県の令和六年度有害鳥獣による農林業被害額は三億四千八百万円で、これは二十年前の平成十七年の七億六千三百万円に比べて四五・六六%に減っています。 しかし、全国的に鳥獣被害は営農意欲の減退、耕作放棄・離農の増加、さらには森林の下層植生の消失等による土壌流出、希少植物の食害等の被害ももたらしており、被害額として数字に表れる以上に農山漁村に深刻な影響を及ぼしています。 今年度当初予算において、鳥獣害と戦う強い集落づくり事業として四億一千三百二十万円が計上され、野生鳥獣による農林業被害を低減させるため、地域ぐるみ活動を支援するとともに、総合的な鳥獣被害防止対策を推進するとしています。 まず、これらの通年の取組の成果と反省も踏まえ、現状をどのように認識されているのか、今後の対策をお聞かせください。 また、やまぐちジビエ利用加速化事業が新規事業として三千九百九十六万円計上され、ジビエ利用のさらなる促進を図るため、有害捕獲個体のジビエ処理施設への広域搬入体制整備や狩猟捕獲個体の搬入など、野生鳥獣をジビエとして安定的に供給する体制を整備するとともに、ペットフードへの活用や学校給食での食育など、利用拡大に向けた取組を推進するとしています。 被害防止のために捕獲を進めるだけでなく、捕獲鳥獣を地域資源、ジビエなどとして利用し、農山村の所得に変えるような、有害鳥獣をマイナスの存在からプラスの存在に変える取組が重要になっています。 そこで、出口戦略としてのジビエ活用に関して、ジビエ処理加工施設の実態把握及び育成支援について、どのような認識なのかお聞かせください。 令和五年度に野生鳥獣の食肉処理を行った処理加工施設は、全国で七百七十二施設、県内には十五施設ありました。令和五年度野生鳥獣資源利用実態調査報告によると、イノシシ及び鹿など、全鳥獣の解体頭・羽数規模別施設数の割合は、五十頭・羽以下施設が四六・八%、五十一から百頭・羽が一五・五%、百一から三百頭・羽が一九・七%で、この三区分の施設が全体の八二%を占め、家族経営ないし小規模経営がほとんどを占めています。参考資料一をおつけいたしました。 今回の質問に当たり、創業五年、解体が百一から三百頭・羽規模で販路拡大など順調に経営が安定しつつあったところ、食品衛生法の改正等による行政の指導が厳しくなり、一転、操業、経営が困難になったとの切実な窮状をお聞きしました。 この施設で五十キログラムのイノシシを食品加工する場合、十キログラムは食肉製品、一キログラム単価三千五百円、五キログラムはペットフードやミンチ肉、一キログラム単価千円に商品化でき、三十五キログラムの食肉加工残渣が出る。売価は、十掛け三千五百の三万五千円と五掛け千円の五千円の四万円になる。これは直売の場合で、問屋を介すと六掛けが相場で、売上げは四万円から二万四千円になる。 一方、捕獲個体の搬入料が一万円、食肉加工残渣の産廃処理費が三十五キロ掛け三百円の一万五百円で、設備減価償却費や電気料に人件費などの固定費もかかるので、到底採算が合わなくなったと嘆いておられました。 この方は、創業から五年間は、残渣は市の一般廃棄物処理施設での処分でよかったのですが、この施設の事業形態が直接店売りよりレストラン等への卸売、通信販売、ふるさと納税品などの売上げが上回っているとの行政指導が入り、捕獲個体を食品加工後の処理において内臓等の解体残渣の産業廃棄物処理費、一キログラム三百円がかかることになり、食品加工施設の経営が立ち行かなくなったのです。 確かに、食肉等として事業者が利活用のために加工した際に生じる残渣については、各自治体の解釈にもよりますが、基本的には産業廃棄物として事業者の責任で処理しなければなりません。しかし、産業廃棄物の処理に相当程度の費用がかかる。 そこで、捕獲活動による農林業への被害防止や食品加工業の育成による地域振興の観点から、食品加工残渣をあわせ産廃として一般廃棄物処理施設で安価で受けることができれば、経済的にメリットが大きく、廃棄物処理法では、産業廃棄物は事業者が自ら処理しなければならないが、市町村は処理が必要であると認める産業廃棄物を一般廃棄物と併せて処理することができるとされており、食品加工残渣は動植物性残渣、食料品製造事業等から生ずる骨や内臓等の固形状の不要物として、熊本市などでは受け入れています。資料二を御覧ください。 そこで、有害鳥獣捕獲事業は、農林水産部が鳥獣被害防止計画を基に進め、処理事業も農林水産部が担うことがほとんどのようですが、廃棄物の専門知識を有した環境生活部と協力、連携し、捕獲事業と処理事業が一体となった有害鳥獣捕獲の事業計画を策定していくことが望ましい姿ではとの観点から、食肉加工残渣をあわせ産廃として市町の焼却施設で受入れができるよう、県が率先して推奨すべきでは。ぜひとも検討願いたく、御所見をお聞かせください。 四点目です。一、中間貯蔵施設と地域振興。 中間貯蔵施設について、上関町議会が五年前から非公開で重ねていた秘密協議会の内容を、中国新聞さんが情報開示請求で判明したものを報道し、そして、中国電力が、「上関原発の建設に時間を要する中、二三年二月、上関町長から、まちづくりのための財源確保につながる新たな地域振興策を喫緊の課題として検討するよう御要請を頂きました」と検討に至った経緯などを説明したことから、この問題が一気に表面化しました。 二四年二月定例会で、私は、原発交付金で上関町の振興が図れるのかと、阿武町と高知県東洋町との財政状況と人口減少率の比較表を示し見解を尋ねましたが、答弁は、市町におけるまちづくりについては、地域の実情や住民のニーズ等を踏まえながら、その財源も含め、各市町において主体的に判断し、実施されるべきものですと、素っ気ないものでした。 原発は立地地域を豊かにする、経済活動上の利益が得られるとの主張がある。しかし、新潟県柏崎刈羽原発の柏崎市の産業への影響という点で検証した二〇一五年から二〇一六年の新潟日報の報道及び新潟大学経済科学部の藤堂史明教授の考察によると、一九七〇年代から追跡した事実で、建設業のみ顕著な生産増で、卸売・小売業やサービス業など他産業への波及なしです。 さらに、二〇二四年二月七日の同じく新潟日報は、利益が得られるという主張と矛盾するのが、建設業以外の不振、個人所得は他市と差は僅かとの検証結果を報道しています。その上、四十年以上、原発を立地させてきた結果、新潟県の財政は、令和五年度の実質公債費比率が一八・四%で、都道府県の財政ワースト二に悪化しています。 したがって、二三年十一月定例会、二四年二月定例会でもお尋ねしましたが、関電は、使用済核燃料の中間貯蔵施設の候補地探しで、これまで管内の二百十自治体に理解活動を続けてきたが、名のりを上げる自治体はなく、それどころか京都府宮津市は、ふるさと宮津を守り育てる条例を施行し、地域の自然や生活環境の保護をうたう条例の理念にそぐわぬものとして原子力関連施設を明記。その宮津市は、二〇一九年度の将来負担比率は二四三・〇となり、夕張市に次ぐ全国ワースト二位にランクされていた。二〇二一年度には財政再建団体に指定される可能性もあったが、この深刻な財政危機の中でも電源三法交付金の誘惑などには惑わされず、中間貯蔵施設を頑として拒んでいます。 そこで、一時の金に目がくらみ、未来の子孫たちへの迷惑を顧みない政治とは決別するためにも、中間貯蔵施設建設拒否の表明をすべきです。知事にお尋ねします。 二、核燃料サイクル破綻の矛盾の押しつけです。 中国電力が上関町や県に中間貯蔵施設建設は可能だとする調査結果を伝えたことについて、早速、島根原発が立地する松江市の市長は、今月二日の定例の会見で、国が責任を持って核燃料サイクルを確立していく必要があると述べました。その上で、島根原発に核廃棄物がとどめおかれることがないように国に要望を続けると述べ、上関町の状況を注視する考えを示しています。 つまり、原発を受け入れている地元市長として、国、事業者が責任を持って、使用済核燃料は必ず市外、県外に搬出してほしいとの手前勝手な表明です。 国に要望を続けると言うが、そもそも核燃料サイクルが破綻しているからこそ、原発再稼働を進めるために出てきたのが中間貯蔵施設です。 しかし、世界では使用済核燃料再処理から撤退する動きになっている。フィンランドだけでなくスウェーデンも処分地を決めて安全審査中。そして、イギリス政府も再処理するなどして保有する百トン超の民生用プルトニウムについて、地層処分を前提に固定化を進めると発表。プルトニウムが核兵器に転用されないようセラミックにして閉じ込める方法などが検討されている。イギリス原子力廃止措置機関が固定化の研究開発を続け、十年内に核物質の処理などに向けた新たな施設を建設する方針だという。さらに、フランスも精密調査をスタートしており、海外の場合は核燃料サイクルではなく直接処分に向かっている。 つまり、世界ではプルトニウムを分離することによって核兵器に転用されるという危険性について気づいて、アメリカを中心に再処理の計画は中断しています。そしてまた、MOX燃料の経済性のなさにも気づいています。 直接処分、最終処分は、地下深く閉じ込めようとすることですが、再処理をしたとしても危険な高レベル放射性廃液が出ますので、結局同じような処分をしなきゃいけないわけです。そういう意味では、長期的に管理することを考えると、再処理などのような余計なことをせずに、そのまま直接処分したほうがいいだろうという世界の考え方になっている。 したがって、まずは政府が、これまでの核燃料サイクル計画、その過ちを正直に認めて謝罪することです。そうすれば、恐らく国民は安心して、そしてまた、信頼性も上がると思います。その上で、現実的に合った計画を再構築すれば、賛成とか反対といった二項対立ではなく、冷静な議論が可能になるのかと思います。 そこで、再処理や高速増殖炉の未来が見えないのに原発再稼働だけ進めて、日々、新たに使用済核燃料を作り続ける矛盾に対する県の認識をお聞かせください。 その上で、原子炉等規制法には中間貯蔵施設の建設に町や県の同意を必要とする規定はないが、実際には同意なく建設するのはむつ市の例からしてできるはずがない。 そこで、究極の迷惑施設を山口県に押しつけようとする上関中間貯蔵施設計画に、山口県知事としてきっぱりと反対表明をされるべきだが、お尋ねです。 三、瀬戸内海国立公園の普通地域を核のごみ捨て場にするのですか。 今回の報告は立地可能性調査に関するもので、施設の事業計画が示されていません。貯蔵計画量を含む事業計画を示すと、施設が主として関西電力のためであることが浮き彫りになるのを避けたいためでしょうが、県の認識をお尋ねします。 また、重点調査項目である地盤においては、ボーリング調査とともに文献調査も行われています。しかし、昨日の山手県議の質問に知事は、地震被害想定を見直し、国東半島沖から周防大島町付近の活断層などを調査すると答弁されましたが、国立研究開発法人産業技術総合研究所が昨年度実施した最新の海底活断層調査結果が反映されていません。この調査によれば、国東半島沖から周防大島に連続的に延びる活断層があり、その長さは少なくとも六十キロメートル、延長部まで含めると七十から七十五キロメートルとされ、最大でマグニチュード七・八から七・九の規模の地震が起きる可能性があるという。この点が含まれていない報告書は、調査が不十分であることを示すものでは、お尋ねします。 さらに、施設に必要な港湾の計画地域に該当する海岸や海域の調査は行われていません。中国電力は、上関原発の環境影響評価で海岸部の生物調査の見落としを指摘され、追加調査を余儀なくされた教訓を忘れたのでしょうか。温暖化が進行するなど環境の変化がある中で、当時の調査結果をそのまま採用することはできません。港湾を含む事業計画を明らかにし、その施設配置計画に必要な調査も行わずに、立地の支障となる技術的に対応できない問題はないものと評価し、立地は可能であると結論づけています。 加えて、計画地周辺の海域が、生物多様性条約に基づき政府が生物多様性の保全を目的として国連に登録した海洋保護区であるとの環瀬戸内海会議の指摘をも全く無視しています。海洋保護区での埋立てや港湾建設は生物多様性の低下をもたらす可能性があり、そのことに言及がない報告書は立地可能性の検証として全く不十分です。 しかしながら、非公開の上関町議会全員協議会で、中電からの中間貯蔵適地判断説明を受けた施設建設に肯定的な町議は、「中電の安全性の調査は信じられる」との発言報道や、十八日のNHKなどの、上関町長、「中間貯蔵施設、国・事業者・町が分担し町民に説明」、その上で、「最終的な判断は議会を尊重し、町長が判断すべきだ」と述べたとの報道には驚きを禁じ得ません。「上関町は議会と町長で判断する」とする傲慢を許してはなりません。 そこで、環瀬戸内海会議の指摘に真摯に向き合うこと、そして、いたずらに判断を先送りしないことこそ肝要だが、知事の御所見をお尋ねし、一回目の質問とします。 副議長(河野亨君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)中嶋議員の御質問のうち、私からは、鳥獣被害対策の現状認識と今後の対策についてのお尋ねにお答えします。 有害鳥獣による農林業被害は、経済的な損失にとどまらず生産者の営農意欲の減退や耕作放棄地の増加など、農山村地域の活力を損ないかねない大変深刻な課題です。 このため私は、市町や関係団体等と連携して、防護柵等の整備や有害鳥獣の捕獲を計画的に進めるなど、防護と捕獲の両面から総合的な鳥獣被害対策に取り組んできたところです。 こうした取組により、有害鳥獣による農林業被害額は、平成二十二年度の約八億円から令和六年度は約三億五千万円と大きく減少していることから、これまでの対策の成果は大いにあったものと認識しています。 しかしながら、本県の農作物被害額は全国で十五位と依然として高い水準にあり、また、鹿や猿、特定外来生物などによる被害が広域に拡大し増加するとともに、地域における捕獲従事者等の高齢化も深刻な状況となっており、これまでの取組に加え、より効果的・効率的な対策が求められています。 このため、地域ぐるみ活動等による総合的な被害防止対策を引き続き推進するとともに、今後も被害地域の拡大や被害額の増加が懸念される鹿や猿、特定外来生物に対して、新技術の導入等による、さらなる対策の強化を進めます。 具体的には、まず、ドローン技術を活用した鹿や猿への対策として、昨年度の実証試験により効果が認められたハンティングドローンによる鹿の巻き狩りを推進するとともに、今年度から猿の追い払い技術の開発・実証も行っているところです。 また、ヌートリアやアライグマといった特定外来生物への対策として、農林総合技術センターが作成した外来種特有の生態や行動等に応じた被害対策マニュアルに基づく取組を徹底し、より効果的な捕獲・防護を推進します。 私は、引き続き市町や関係団体等と連携しながら、有害鳥獣による農林業被害の軽減対策に取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 副議長(河野亨君)大川総務部長。 〔総務部長 大川真一君登壇〕 総務部長(大川真一君)個人情報保護の姿勢に関する御質問のうち、個人情報保護に係る職員の処分についての二点のお尋ねにまとめてお答えいたします。 山口県情報セキュリティポリシーにおいては、違反した職員等は、「その重大性、発生した事案の状況等に応じて、地方公務員法による懲戒処分の対象とする」とされています。 このため、これまでも事案に応じて行為の原因や内容、結果をはじめ情報が流出した場合は、その規模や社会的影響等を総合的に勘案した上で、地方公務員法による懲戒処分とするかも含め処分内容を決定してきたところであり、引き続きこの考えの下で適切に対応してまいります。 したがって、処分の内容の判断に関して、今後何らかの見直しを行うことは考えていません。 副議長(河野亨君)池田総合企画部長。 〔総合企画部長 池田博之君登壇〕 総合企画部長(池田博之君)個人情報保護の姿勢に関して、個人情報の漏えいに係る再発防止策についての二点のお尋ねにまとめてお答えします。 県が保有する情報資産は、その取扱いを誤ると県民生活や県政運営に大きな影響を及ぼすことから、適切に管理を行うため山口県情報セキュリティポリシーで必要な対策を定め、全職員に周知するとともに、毎年遵守すべき事項に係る研修や緊急時を想定した訓練を実施しているところです。 また、情報漏えいの事案が発生した際には、速やかに原因の調査・分析を行い、その結果に基づいて講じた対策についても全職員に周知して再発防止を図っており、今後もこうした取組を継続してまいります。 副議長(河野亨君)岡本農林水産部長。 〔農林水産部長 岡本章生君登壇〕 農林水産部長(岡本章生君)鳥獣被害対策についての御質問のうち、ジビエ処理加工施設の実態把握と育成支援の認識についてのお尋ねにお答えします。 ジビエ処理施設の設置数については、平成二十八年度の十施設から十五施設に増加しており、処理量は、全施設で十二トンから二十八トンに増加しているものの、全国平均の五十八トンには届いていない状況です。 さらなるジビエの利用拡大に向けては、新規需要の開拓や品質確保に向けた取組の強化が必要です。 このため、まず新規需要の開拓については、道の駅等における特産品イベントでの販売促進を行うとともに、ジビエ加工品等の新商品開発に加え、県庁内食堂や学校給食におけるジビエ料理の提供に対する支援を行っているところです。 また、品質の確保については、国産ジビエ認証の普及に向けた研修会の開催など、関係団体に対し、衛生管理等に関する意識啓発を進めるとともに、処理施設の保冷車等の導入に対して支援を行っています。 副議長(河野亨君)山本環境生活部長。 〔環境生活部長 山本毅君登壇〕 環境生活部長(山本毅君)鳥獣被害対策についての御質問のうち、野生鳥獣の食肉加工残渣の処理についてのお尋ねにお答えします。 廃棄物処理法では、ジビエ処理加工施設などの食料品製造業者から排出される食肉加工残渣は産業廃棄物に該当するため、事業者自らの責任において適正に処理することが必要です。 このため、県では、産業廃棄物の適正処理とジビエの利用拡大の両立が図られるよう、関係部局が連携して、食品加工残渣の取扱いに関する事業者からの相談等に対応するとともに、国事業により処理費用の一部を支援しています。 なお、あわせ産廃については、例えば、地域で適正に産業廃棄物を処理できる民間施設がない場合に、廃棄物処理法において、市町村の判断により一般廃棄物処理施設での受入れができると規定されたものであり、あくまでも各市町が法の趣旨を踏まえ実施するものと考えています。 副議長(河野亨君)椛谷産業労働部理事。 〔産業労働部理事 椛谷和男君登壇〕 産業労働部理事(椛谷和男君)原発関連の御質問のうち、まず、中間貯蔵施設と地域振興、施設計画への意思表明、環瀬戸内海会議の指摘に関する認識についての三点のお尋ねにまとめてお答えします。 使用済燃料中間貯蔵施設については、中国電力が、上関町から新たな地域振興策の検討要請を受けて提案し、町がその調査検討について了承し、調査が実施され、今般、立地可能性調査の結果が報告されたものです。 上関町は、施設設置については、事業者から具体的な計画が提示された後に判断することとしており、現時点、その是非を判断しているものではありません。 このたび上関町に対し、立地可能性調査報告書が提出され、今後、町において調査結果の確認等の取組が行われていくものと認識しており、県としての見解や対応を申し上げる状況にはないと考えています。 次に、核燃料サイクルに関する認識についてです。 エネルギー政策は国家運営の基本であることから、核燃料サイクルをどうするかについては、国の責任において判断されるべきものであり、県として独自に見解を述べることは考えていません。 次に、事業計画についてです。 事業計画は事業者である中国電力が作成するものであり、県として見解を述べる立場にはないと考えています。 次に、産業技術総合研究所の活断層調査結果の反映についてです。 中国電力は、上関原子力発電所原子炉設置許可申請書において、お示しの活断層をF3断層群、F4断層群として評価しており、今回の調査結果に反映しているとしています。 副議長(河野亨君)根ケ山副教育長。 〔副教育長 根ケ山耕平君登壇〕 副教育長(根ケ山耕平君)防衛省冊子の小学校への配付についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、防衛省冊子の対応状況についてですが、県教委に対して配付等の依頼はなく、対応はしていません。 次に、この冊子を学校図書館なども含めて活用しないことを県教委として明らかにすべきとのお尋ねですが、学校で使用する教材や資料等については、各学校において適切に判断し、活用されるものと捉えています。 副議長(河野亨君)中嶋光雄君。 〔中嶋光雄君登壇〕(拍手) 中嶋光雄君 再質問します。 まず、防衛省冊子についてですけども、山口県では、防衛省から直接配付がない、相談もなかったということでよろしかったでしょうか。 まず、この防衛省冊子についてですけども、問題になっているのは、今まさにないということですけれども、山口県だけないということが少し考えられないのでお尋ねなんですけども、今、熊本市の健軍駐屯地を皮切りに国産で開発された長射程ミサイルの配備が行われています。開発・配備の根拠となるのは、二二年十月に閣議決定した安保関連三文書だそうです。我が国への侵攻を阻止する上で鍵となるのが、スタンドオフ防衛能力を活用した反撃能力であるとされておりまして、長射程ミサイルを保有するということになっています。 当時の岸田政権は、専守防衛に徹すると強調しましたが、阪田元内閣法制局長官は、専守防衛の真髄は自衛隊が攻撃的兵器を持たず、敵国の領域を直接攻撃できる能力を持たない。すなわち、役割と機能を盾に徹するというのがこれまでの専守防衛だったはずだと指摘をしております。 こういうことですけれども、抑止力を強くすることが自衛隊にとっての一番の勝利だなどと一方的に小学生に刷り込むことが許されてよいはずがありませんので、ぜひ、山口県に配付をする防衛省は、一応各県教委に相談をするということですので、もし相談があれば、こういうことがないように、ぜひお願いをしたいと思いますがいかがでしょうか、お尋ねです。 次に、知事から鳥獣被害について御回答を頂きましたので、ぜひお願いを申し上げたいと思います。 ただ、私がお尋ねしたかったのは、今年四月現在のジビエ処理加工施設名簿によれば、山口県は確かに十五施設になっていますが、私が今回取り上げた方に話を伺った施設は破産、廃業されましたので、現在は十四施設に減っています。私の質問の段階では最新の調査で全国で七百七十二施設でしたけれども、事務局で最新の調査を調べてお聞きしたところ、最新では六百二施設に減っているそうです。これは産廃処分の影響に違いないと思っております。 私がお尋ねした施設の方は、やまぐち創業総合ポータルサイト「創業の窓」で創業者紹介にも取り上げられ、お話のありましたように県内各地のイベントに出店をされ、ジビエの普及活動や山口農業高校で臨時講師や山口東京理科大学での狩猟部創設に尽力された、意欲あふれる若手創業者でした。そうにもかかわらず、産廃処理費がかかるということで断念をされました。残念でなりません。 県として、創業者支援、育成の観点から何とかやりようがあるのではないか、そういう方向の中で、あわせ産廃という制度があります。これはぜひ、県が推奨していただかなければ道が開けない。このことをやっていただければ、この方の再起の道は必ず開けると思っておりますので、重ねてお願いをしたいと思います。 そして、知事は、原発と中間貯蔵施設の二つの計画が同じ地区にあるのは、全国どこにもない過大な負担だと言われながら、判断を先送りされ続けています。 そして、上関周辺自治体での中間貯蔵施設反対の住民の声は日増しに高まっていることから、田布施町議会で田布施町長は、建設に対する賛成、反対の専門家を招いてシンポジウムを開催したい意向を表明され、シンポジウムや住民アンケートを町としての対応の参考にする考えも示されています。 そこで伺います。まず国は、電源立地等初期対策交付金相当分として一・四億円を立地可能性調査の開始年度から県知事の同意年度まで、立地県または市町村に交付するとなっています。このことで間違いないかお尋ねです。 その上で、上関町だけの判断にこの問題を委ねるのではなく、知事の再三の表明及び上関周辺市議会での首長発言を踏まえれば、県がこの交付金を申請し、県内各地での賛成、反対の専門家による公開シンポジウムの開催経費に活用すべきではないかお尋ねをして、再質問といたします。 副議長(河野亨君)山本環境生活部長。 〔環境生活部長 山本毅君登壇〕 環境生活部長(山本毅君)野生鳥獣の食肉加工残渣の処理についての再質問にお答えします。 創業者支援や育成の観点から、あわせ産廃のような方策を検討できないかとのお尋ねであったかと思います。 食肉加工残渣等の産業廃棄物の処理は、廃棄物処理法により事業者自らの責任において行うことが求められており、県としては、産業廃棄物の適正処理とジビエの利用拡大の両立を図る観点から、事業者への相談対応や国の事業により処理経費の一部を支援しているところです。 なお、あわせ産廃の実施につきましては、繰り返しになりますけれども、あくまでも各市町が産業廃棄物を受け入れる民間施設がないなど、地域の実情に応じて法の趣旨を踏まえ判断するものと考えています。 副議長(河野亨君)椛谷産業労働部理事。 〔産業労働部理事 椛谷和男君登壇〕 産業労働部理事(椛谷和男君)中嶋県議の再質問にお答えします。 まず、電源立地等交付金制度についてですが、初期対策として、対象電源が設置される地点をその区域に含む県または市町村に対し、立地可能性調査の開始年度から知事の同意年度まで、一・四億円が上限として交付されます。 次に、国交付金を活用した県のシンポジウム開催についてです。 このたび、上関町に対し、立地可能性調査報告書が提出され、今後、町において調査結果の確認等の取組が行われていくものと認識しており、県としての対応を申し上げる状況になく、現時点、県として交付金を活用して事業を行うことは考えていません。 副議長(河野亨君)根ケ山副教育長。 〔副教育長 根ケ山耕平君登壇〕 副教育長(根ケ山耕平君)中嶋県議の再質問にお答えします。 まず、相談はなかった、依頼はなかったのかということでありますけれども、今年度、県教委に対して依頼はございません。 それから、抑止力を強くすることが自衛隊にとっての一番の勝利などと、一方的に小学生に刷り込むことが許されてよいのかという視点で、相談があればその対応は、ということであったかと思いますけれども、依頼があった場合には、趣旨や内容等を踏まえて、適切に判断してまいります。 副議長(河野亨君)中嶋光雄君。 〔中嶋光雄君登壇〕(拍手) 中嶋光雄君 再々質問します。 上関町長は、立地可能性調査報告書を、第三者を入れた精査を、町が大きな金や時間をかけて行うのは困難と議会答弁されています。上関町は多額の広報・調査等交付金をもらい続けておられるにもかかわらず、このていたらくです。だったら、先ほどの交付金を活用して、県がやるべきではありませんか。 以上で質問を終わります。(拍手) 副議長(河野亨君)椛谷産業労働部理事。 〔産業労働部理事 椛谷和男君登壇〕 産業労働部理事(椛谷和男君)中嶋議員の再々質問にお答えします。 上関町の広報・調査等交付金に係る御質問でございましたが、町における調査報告書の確認等の取組については、町において判断されるものであり、県として見解を述べる立場にはないと考えています。