1 地震・津波による被害想定の見直しについて 2 治水対策の更なる推進について 3 若者の県内就職の促進について 4 多文化共生の推進について 5 新たな山口県の観光の発展について 6 特別支援教育の充実に向けた取組について
───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第十七号まで 議長(柳居俊学君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第十七号までを議題とし、質疑に入ります。 一般質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 山手康弘君。 〔山手康弘君登壇〕(拍手) 山手康弘君 皆様、おはようございます。自由民主党の山手康弘です。令和七年九月定例会一般質問の最初の登壇者として、通告に従い順次質問をさせていただきます。 初めに、地震・津波による被害想定の見直しについてお伺いいたします。 近年、日本列島においては、自然災害が頻発化・激甚化をしてきています。 中でも記憶に新しいのは、令和六年一月一日に発生した、石川県を中心とした能登半島地震はマグニチュード七・六、最大震度七と非常に大きな揺れを観測し、その被害は甚大なものとなりました。 半島で発災した地震ということもあり、山間地域をつなぐ道路は土砂災害や地割れで分断され、陸路での災害派遣、復旧は困難を極めました。 また、元日に発生したこともあり、都市部からの帰省者の増加により人的被害が拡大したほか、家屋の倒壊や火災の発生、電気や上下水道などのライフラインが寸断され、被害は甚大となりました。 その後も余震が頻繁に発生するなど、被災者の方々におかれましては、復興の兆しがなかなか見えず、日々大変な御苦労をされたことと推察するところであり、一日も早い復興をお祈り申し上げます。 さて、災害は、いつでもどこでも誰にでも起こり得ることであります。山口県におきましても、南海トラフ地震や県内活断層による地震・津波の被害が想定されています。 私が居住する岩国市におきましても、岩国断層帯の大竹断層があり、その動向が注目をされてきたところであります。玖西地区から旧市内をつなぐ県道十五号欽明路道路は、建設当初に活断層が動き、トンネル内の躯体にひびが生じ、コンクリートを巻き直した経緯や、県道一号関々バイパスは活断層を避けて建設したため、トンネル内での線形にカーブが生じているなど、道路インフラにおいても、活断層を考慮した設計となっております。 また、岩国市においては、地表に出ている活断層を見れる箇所もあるということであり、断層地図を拝見すると、その延長線上が我が家の後方まであることに驚きを感じました。 そのような中、国においては、今年三月に南海トラフ巨大地震に係る全国の被害想定を公表されたところであり、県におかれましては、これも踏まえて被害想定の見直しを進められています。 去る八月二十五日の第五回山口県地震・津波防災対策検討委員会においては、昨年度から着手されている南海トラフ地震に係る被害想定について、地震動や津波浸水予測などに係る経過報告を行われるとともに、今年度から着手する県内活断層地震に係る被害想定について、平成二十年三月に行った現行の被害想定を基本に、想定地震の候補として、防予諸島沖の海底活断層など六つの地震を追加することとされました。 地震・津波の被害想定は、防災計画の策定や防災・減災対策の基礎となるものであり、地域ごとの災害リスクを具体的に把握できるような内容とすることが重要です。 また、県民の防災意識の向上や避難行動の促進につなげていくためには、被害想定の内容を県民に分かりやすく伝えていくことも必要と考えます。 そこでお尋ねいたします。現在、県で進められている地震・津波の被害想定の見直しについて、県独自データを取り入れることなどにより精緻なものにするとともに、その内容を住民にしっかりと理解してもらうため、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、治水対策のさらなる推進についてお伺いいたします。 夏も終わりを告げ、秋の気配がしてきた今日この頃ですが、今年も大変残念なことに、全国各地で豪雨災害が発生しています。特に、八月上旬に九州や本県などを襲った豪雨では、本県では河川堤防の決壊といった被害はなかったものの、県中西部を中心に道路の冠水などの水害が発生しました。 今年は、初夏の頃は全国的に降雨量が少なく、各地のダムの貯水率が低下し、他県では自主節水を余儀なくされた自治体もあり、本県においても、自主節水まではいかずとも、水稲などの農作物においては水不足が懸念されるところまでになった矢先の出来事であり、改めて大雨災害の脅威を感じたところです。 このように、近年、線状降水帯の発生による局地的な豪雨の増加などにより、水害リスクが高まっていますが、県におかれては、従前より、河川整備計画に基づくハード対策や河川維持管理、近年では、国の進める流域治水の考え方に基づき、従前の対策とソフト対策を一体化させた治水対策に、国の対策予算も活用しながら積極的に取り組んでおられます。 ハード対策としては、令和五年に梅雨前線による豪雨により河川が氾濫して起きた水害が記憶に新しいところですが、厚狭川の美祢市区間では、目下、川幅の拡幅や堤防の整備などの河川改修事業が着実に進められるなど、その取組には感謝を申し上げる次第です。 また、昨年三月には、私の地元岩国市で平瀬ダムが竣工し、流域の洪水調整能力が大きく向上しており、現在、県西部でも木屋川ダムのかさ上げ事業が進められるなど、下流域の住民や企業等を守るための取組が行われています。 また、維持管理としては、国の緊急浚渫推進事業債なども活用しながら、堆積土砂の撤去などを計画的に行っておられます。 そして、ソフト対策としては、県管理河川の洪水浸水想定区域図を作成されており、令和五年度からは、これを全ての県管理河川で作成する取組なども進められています。 これまで、私は何度も治水対策の重要性を訴えてきており、申し上げた県の取組は、水害の防止や被害の軽減に着実に効果を発揮していると考えますが、本県も御多分に漏れず、全国各地で水害が激甚化・頻発化する昨今、その被害を可能な限り軽減するためにも、現在進められている河川改修事業のハード整備をさらに推し進め、適宜の維持管理も行いつつ、洪水浸水想定区域図といった住民避難の一助となる情報をさらに充実させる取組も進めていただき、さらなる県民の安心・安全につなげていただきたいと思います。 そこでお尋ねいたします。県民の生命・財産を守り、安心・安全な生活を確保するため、治水対策のさらなる推進について、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、若者の県内就職の促進についてお伺いいたします。 全国的に人手不足が止まりません。とりわけ本県はその傾向が顕著で、有効求人倍率は、就業地別で一・六から一・七倍と、全国的に見ても高い水準で推移しています。 そうした人手不足の影響もあり、県内大学生の就職内定率は、ここ数年九五%を超えて非常に高い水準にはありますが、県内就職率は三割にも満たない、大半が県外に流出してしまっている状況が続いています。私の地元岩国市も、広島市など大都市に近接しており、その深刻さを肌で感じています。 若者の大手企業志向や大都会に憧れる気持ちは根強く、先日も山口市内で開催された企業合同就職フェアでは、大学生の姿はまばらで、学生よりも企業の採用担当者のほうが多いとの報道を目にしました。私は、未来の山口を担う若者の県外流出に歯止めがかからない状況に、強く危機感と歯がゆさを覚えているところです。 さて、県が、県内大学生を対象に実施した調査では、県内企業を六社以上知っている学生が二割に満たず、大半が県内企業をそもそも認知していないことが浮き彫りになりました。 一方で、県内に就職したい魅力のある企業がある学生は約三五%おり、県内企業の存在や魅力がしっかり伝われば、今後、就職先として選択する若者が拡大することが期待できます。 また、この調査では、就職先の選択に当たり、インターンシップの重要性を訴える学生が九割近くにも上ったことも併せて指摘しておきます。 県では、これまでも企業の魅力発信などに努めてきたところですが、若者の県外流出は一朝一夕に解決できるものではなく、中長期のスパンで対策を講じなければならない大きな課題であります。 激化する人材獲得競争を勝ち抜き、本県経済の活力の維持向上を図るためには、今の若者たちの特性や視点を十分踏まえた総合的・戦略的な施策展開が求められます。 具体的には、まず、県内企業の魅力の底上げや働き方改革の一層の推進を図るなど、若者に選ばれるための県内企業の一層のブラッシュアップを図る必要があります。 次に、本県で生まれ育った若者たちに、年少時期から県内企業の魅力を浸透させ、憧れや愛着心を醸成するなど、就職の動機づけとなるよう中長期的な視点から地道に取り組んでいかなければなりません。 デジタルを活用した認知度や関心向上の取組に加え、県内企業と触れ合い、体験し、身近に感じることにより、将来の就職先として活躍する姿を具体的にイメージできるようにすることが肝要です。 そして、就職段階の若者に対しては、SNS等を活用した重点的なプロモーションの展開やインターンシップの充実など、企業と若者をつなぎ、県内企業に誘引する具体的な仕組みづくりも重要です。これは、県外の若者を県内に引き込む有効な手段にもなり得ると思います。 そこでお尋ねいたします。現下の深刻な人手不足の中、県内外の若者たちを一人でも多く県内企業へ誘引できるよう、その特性や視点を十分踏まえた総合的・戦略的な取組を展開していただきたいと思いますが、県は、今後どのように取り組むのか、御所見をお伺いいたします。 次に、多文化共生の推進についてお伺いいたします。 近年、地方においても外国人を多く見かけるようになりました。岩国市内においては、米軍岩国基地が所在することもあり、軍人軍族を含めその家族、また、シビリアンと呼ばれる軍関係以外の学校の先生やその家族など、約一万人の米国人が居住しています。 最近では、政府によるビザ申請取得の緩和などで、留学生や技能実習生など多くの方々が山口県内各地に居住しています。 かく言う私も、約五年海外生活していた経験がある一人です。他国に赴いてまず不安なのは言語の問題、日々の生活での買物や、体調不良等の緊急時や事件・事故に遭遇した場合など、自国の生活とは全く違う環境に置かれることです。 特に日本は、私も海外に出て初めて感じることができたのですが、他の国とは文化が全く異色であることです。 まず初めに日本語ですが、平仮名、片仮名、漢字から成り、文法も独特で、最後の言い回しで、それまで肯定していたことが全くの否定になってしまうこともあります。例えば、何々のようなこともあることは否定できなくもない可能性がある、などの言い回しは、まさに混乱をしてしまうでしょう。そして何よりも、異国の地で居住するということは、自身以外の民族の中に身を置くことであり、文化や習慣に慣れるまで不安が付きまとうこととなります。 また、外国人が意図せず間違った行いをしてしまっても、日本人ははっきりと否定や注意助言をしにくい気質であり、そのうち外国人に対して批判的な行動に出てしまうこともあるかもしれません。 それぞれの国において、育ってきた言語、文化や風習が違うのはやむを得ませんが、せっかく来日してつらい思いをして暮らすのは残念です。 そして、一番大変なのは、病気などにかかった際です。私も海外で病気になってしまった経験がありますが、町なかの診療所に駆け込みましたが回復せず、会社の職員に市内の病院に連れて行ってもらって事なきを得たことがありました。いざというときに、誰か頼れる人がいるかいないかでは、安心感が全く違うところです。 そこで、県民と外国人が地域の中で共存し、安心・安全な生活を送ることができるように、生活相談をはじめ、きめ細やかに対応できる体制を構築するとともに、外国人の目線に立った適時適切で分かりやすい情報発信を行うことが不可欠であると考えます。 また、外国人やその家族が、職場や学校など地域の中に溶け込み、円滑なコミュニケーションを図っていけるような、日本語能力の向上につながる環境づくりも欠かせません。そして、地域や関係機関が一体となった連携体制を構築し、多面的な支援を行っていく必要があるのではないでしょうか。 そこでお尋ねいたします。来県された外国人が安心・安全に暮らすためには、文化の相互理解など多文化共生による地域づくりが必要だと考えますが、多文化共生の推進について、今後どのように取り組んでいくのか、御所見をお伺いいたします。 次に、新たな山口県の観光の発展についてお伺いいたします。 昨年は、アメリカのニューヨークタイムズ紙において、今年行くべき五十二か所に山口市が選出され、同市が脚光を浴びました。 記事の中では、西の京と呼ばれる山口市が紹介をされ、昔ながらの情緒や地域の方々のおもてなし、そしてオーバーツーリズムのような観光公害がなく、身近に日本の地方を感じられることから、外国人観光客が多く訪れました。 ただ、残念なことに香山公園にある国宝瑠璃光寺五重塔の改修時期と重なったため、その雄大な姿を旅人の目に収めることができませんでした。 余談ではありますが、私の所属する委員会で先日、富山県富山市に県外視察に行ってきたところ、ニューヨークタイムズ紙の今年行くべき五十二か所に富山市と大阪市が選ばれていたそうです。 私は初めて富山市を訪れましたが、駅構内には多くの外国人ツーリストであふれていました。ちょうど富山市の伝統行事である風の盆の開催時期と重なったこともあったでしょうが、ニューヨークタイムズ紙に選ばれたということで、市全体が大きな期待感にあるのを感じ取ることができました。 旅や観光は非日常を味わえるだけではなく、行く先々での人々の文化や特産品や食事を直接感じ取ることで、自分自身の見聞や経験を広めるだけでなく、人間性の涵養と、また日常に戻った際の心の充電と活動のエネルギーになるものだと思っています。 来年、令和八年には山口デスティネーションキャンペーン、通称山口DCが始まり、それに先立ち、来週十月一日からはプレキャンペーンも幕を開けます。JRとタッグを組んでのキャンペーンは、平成二十九年に行われた幕末維新やまぐちDCから九年ぶりの開催となります。 私の地元岩国市においては、日本酒ブームから始まり、作家宇野千代をモチーフにした朝ドラ「ブラッサム」の放映が決定され、錦帯橋の世界遺産登録に向けた取組も進められるなど、観光資源に対しての大きな期待感が生まれようとしているところです。 今まで県東部の観光は最終宿泊地が広島県になるなど、通過型の観光ぎみであったのを、県内宿泊型にシフトさせていくことが重要だと考えております。 昨年ニューヨークタイムズ紙に選ばれた山口市の熱を消すことなく、継続的に山口県の魅力を発信し、山口県の観光交流人口の拡大・発展につなげていくことが必要だと思い、観光事業関係者も期待をしているところではないでしょうか。 そこで、こうした一連の好機を捉え、他の地域に負けることなく、観光客を呼び込むためにJRや市町、地域などとも連携を図りながら、積極的かつ戦略的なプロモーションを打ち出して、県内全域を観光客が駆け巡るような人の流れを生み出していただきたいと、強く願っています。 そこでお尋ねいたします。県におかれましては、新たな観光県やまぐち創造プロジェクトと題し、様々な取組を進めておられますが、観光客を取り込み、本県の観光の発展につなげていくため、どのようにプロモーションを展開していくのか、御所見をお伺いいたします。 最後に、特別支援教育の充実に向けた取組についてお伺いいたします。 近年、少子化により学齢期の児童生徒が減少する中、特別支援教育に関する理解や認識の高まり、障害のある子供の就学先決定の仕組みに関する制度の改正等により、特別支援学校だけでなく、小・中・高等学校においても、特別支援教育を必要とする児童生徒は増加しています。 文部科学省の調査によれば、令和五年度の義務教育段階の全国の児童生徒は約九百四十一万人で、十年前からおよそ一割減少している一方で、義務教育段階の特別支援学校の在籍者は八万五千人で、十年前の一・三倍、小中学校の特別支援学級の在籍者は三十七万三千人で二・一倍、通級による指導を受ける児童生徒は十八万二千人で二・三倍となっており、特別支援教育を受ける児童生徒は、この十年間で倍増しています。 この傾向は、山口県においても同様で、特別支援教育を受ける児童生徒は年々増加しており、全国平均と比較してもかなり多い状況にあるなど、本県教育においても特別支援教育の重要性がますます高まっています。 また、令和四年十二月に文部科学省が公表した調査結果では、通常の学級に在籍し、学習面または行動面において著しい困難を示すとされた児童生徒の割合は、小中学校で八・八%、高等学校において二・二%とされ、全ての通常の学級に特別な教育的支援を必要とする児童生徒が在籍している可能性があることが明らかになりました。 こうしたことから、障害のある児童生徒を含め、多様な児童生徒が通常の学級に在籍していることを前提として、全ての児童生徒に対し高い学習効果が得られるよう、全ての教員が特別支援教育に関する理解を深め、分かりやすい授業づくりを進めていくことが求められています。 特別支援教育は、従前より、障害のある子供一人一人の教育的ニーズに応じて子供たちの可能性を引き出し、持てる力を最大限度まで高めるための、個に応じたきめ細やかな学習の工夫や実践を積み重ねてきた教育であり、教育の原点であると認識しています。 こうした特別支援教育に関する知見や経験は、特別支援教育だけにとどまらず、また障害の有無にかかわらず、教育全体の質の向上に寄与するものであると考えます。 そのためにも、管理職のリーダーシップの下、教員一人一人の特別支援教育に関する専門性の向上が、これからの学校教育を支えていくための鍵となり、特別支援教育の視点に基づく児童生徒理解や指導・支援が浸透することで、全ての子供たちが、学校における学びの主人公として自分らしく学校生活を送ることができると考えています。 そこでお尋ねいたします。特別支援教育を必要とする児童生徒が増加する中、特別支援教育に関する教員の専門性の向上を含め、山口県の特別支援教育のさらなる充実に向けてどのように取り組まれるのか、教育長の御所見をお伺いいたしまして、私の一般質問を終わります。 御清聴、誠にありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)山手議員の御質問にお答えします。 まず、地震・津波による被害想定の見直しについてです。 昨年の能登半島地震では、震度七の揺れと津波により甚大な被害が発生し、今後は、南海トラフ地震の発生も懸念されるなど、地震・津波災害はいつでもどこでも起こり得ることから、地域ごとに効果的な防災・減災対策を講じられるよう、その基礎となる被害想定を適時見直すことが必要です。 このため、私は、昨年四月、能登半島地震の発生を契機に、有識者からなる地震・津波防災対策検討委員会を設置し、現行の被害想定の見直しを行っているところです。 具体的には、高い確率での発生が懸念されている南海トラフ地震から見直しに着手し、三月に公表された国の被害想定を基に、県独自のボーリングデータや河川の測量データなどを取り入れ、より精度が高まるよう、地震動や津波の影響等について詳細な解析を進めています。 また、県内活断層地震については、本県への影響を考慮し、前回の被害想定以降に国の長期評価が出された五つの断層と、産業技術総合研究所が昨年公表した防予諸島沖の海底活断層を新たに対象に加え、解析に必要なデータの収集をはじめとした見直し作業を開始したところです。 いずれの見直しにおいても、地域ごとにきめ細かな対策を講じられるよう、人的・建物被害の想定については、旧五十六市町村単位で示すとともに、能登半島地震の教訓を踏まえ、災害関連死の推計についても行ってまいります。 こうした作業を進めつつ、検討委員会での議論や最新の知見を踏まえた上で、南海トラフ地震については今年度中に、県内活断層地震については来年度中に、被害想定に関する報告書を公表することとしています。 また、議員お示しのとおり、見直しの効果を発揮させるためには、県民に内容をしっかりと理解していただき、防災意識の向上や避難行動の促進につなげていくことが重要です。 このため、被害想定結果を分かりやすく伝えるパンフレットや、津波の到達を視覚的に確認できるシミュレーション動画、地震発生後、県民一人一人や地域が取るべき行動を時系列で示したタイムラインを作成し、これらを活用して県民理解の増進を図り、地域の防災力を高めていきます。 私は、いつでも、どこでも起こり得る災害から県民の命と暮らしを守るため、市町や関係機関との緊密な連携の下、地震・津波による被害想定の見直しを着実に進め、実効性の高い防災・減災対策を一層推進してまいります。 次に、若者の県内就職の促進についてのお尋ねにお答えします。 少子高齢化の進行や若者の県外流出等により、生産年齢人口が減少する中においても、本県経済が持続的に成長・発展していくためには、県内企業における次代を担う若い人材の確保・定着が極めて重要です。 このため、私は、若者の県内就職の促進に向け、若者の視点を取り入れた県内企業の魅力向上や、小学生など早い時期からの県内企業とのつながりの創出、若者への効果的な情報発信など、総合的かつ戦略的に施策を展開することとしています。 具体的には、まず、企業の魅力向上に向け、従業員の賃上げや奨学金返還支援に取り組む企業を支援するとともに、経営者が学生と一緒に自社の魅力を引き出す具体策を考えるセミナーに加え、新たに、若手社員が働きやすい職場環境を経営者に提案するワークショップも開催したところです。 また、ワーク・ライフ・バランスを重視する若者の志向も踏まえ、時間単位年休制度やテレワークなど時間や場所にとらわれない柔軟な働き方の導入を支援するなど、若者に選ばれる企業となるよう、魅力の底上げを図ってまいります。 次に、企業とのつながりの創出に向けては、新たに、小学生を対象にドローンパイロットや菓子職人など様々な仕事体験ができる、こどもシゴト博を開催するとともに、中学生向けに県内企業等を巡り、仕事の魅力を体感するバスツアーを実施し、千人を超える多くの参加をいただいたところです。 また、高校生向けには、企業との協働による新商品開発等を行う課題解決プログラムを実施するほか、大学生向けとして、学生が主体となって企画・運営する企業紹介イベントを開催するなど、小学生から大学生まで一貫した県内企業の認知度の向上に取り組んでまいります。 さらに、就職先の決定に当たって重要性が高まっているインターンシップについて、一人でも多くの学生に参加いただけるよう、受入れ事業所の拡大・充実を図るとともに、今年度、参加学生に経済的負担がかからないよう、旅費助成を最大十二万円まで拡充したところです。 次に、効果的な情報発信に向けては、本県からの転出超過が最も多い福岡県に移住や就業の相談拠点を新設するとともに、二十歳未満の転出先の約四割を占める広島・福岡にキャリアコンサルタントを新たに配置するなど、体制強化を図ったところです。 また、今年度創設した就職活動等に係る旅費支援制度や、県内外での就職イベント情報などをデジタルマーケティングの手法を活用して、広報のエリアやターゲットを最適化し、若者に訴求力の高いSNS広告やショート動画等により発信しています。 私は、人手不足が続く中にあっても、県内企業が激化する人材獲得競争を勝ち抜き、持続的に成長できるよう、若者の特性や視点を十分に踏まえながら、若者の県内就職の促進に総合的かつ戦略的に取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)仙石土木建築部長。 〔土木建築部長 仙石克洋君登壇〕 土木建築部長(仙石克洋君)治水対策のさらなる推進についてのお尋ねにお答えします。 近年、気候変動に起因する記録的な集中豪雨等による災害が、全国で激甚化・頻発化している中、こうした災害から県民の生命・財産を守るためには、お示しのとおり、河川整備などの治水対策を進めていくことが極めて重要です。 このため、県では、国の防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策の予算も活用し、河床掘削等の即効性のある対策を実施してきたところであり、本年八月の記録的な豪雨の際には、河川の氾濫による被害が抑えられるなど、一定の効果があったものと考えています。 また、今後、これまで以上に水害リスクの増大が予測されていることから、河川管理者がこれまで実施してきた対策に加え、流域全体のあらゆる関係者が協働して水害を軽減する流域治水の考えに基づき、ハード・ソフト両面からの取組も進めているところです。 具体的には、まずハード対策として、過去に甚大な浸水被害を受けた厚狭川や島田川等における河川改修や、木屋川ダム等の整備を着実に実施しています。 また、既存ダムの効果をより高めるため、県が管理する二十のダムについて、利水者との協定の下、事前放流の基準を定め、適切に運用することにより、浸水被害の防止や軽減を図っているところです。 こうした取組に加え、今回の補正予算にも計上した緊急浚渫推進事業により、今後の出水で被害が発生するおそれのある箇所の土砂を除去するなど、適切な維持管理に努めています。 次に、ソフト対策として、水害リスク情報の空白域を解消するため、全ての県管理河川で洪水浸水想定区域図の作成を進めてきており、今年度末までに完了させることとしています。 また、雨量や河川の水位、河川監視カメラによる河川の状況等、危険度を判断するために必要な情報が、県民の皆様により的確に伝わるよう、山口県土木防災情報システムの改良を検討しており、引き続き、住民の確実な避難行動に資する情報提供に取り組んでまいります。 こうした対策を進めていくに当たって、本年六月に閣議決定された第一次国土強靱化実施中期計画の予算も積極的に活用することとしており、必要な予算の確保について、政府要望等あらゆる機会を通じて国に強く訴えていく考えです。 県としては、県民の安心・安全の確保のため、引き続き、ハード・ソフト両面から治水対策のさらなる推進に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)木安観光スポーツ文化部長。 〔観光スポーツ文化部長 木安亜紀江さん登壇〕 観光スポーツ文化部長(木安亜紀江さん)多文化共生の推進についてのお尋ねにお答えいたします。 県内の外国人住民数が増加する中、県では、山口県多文化共生推進指針に基づき、相談体制の充実や、円滑なコミュニケーションができる環境づくりを進めるなど、多文化共生による地域づくりに向けた取組を積極的に推進しているところです。 具体的には、まず、相談体制の充実に向け、やまぐち外国人総合相談センターにおいて、専門の相談員による多言語での情報提供や、お示しの病気の際の対応をはじめ、労働や教育など、生活全般に係る幅広い相談にきめ細かく対応してまいります。 さらに、外国人住民と地域や行政等との橋渡し役を担う、やまぐち多文化共生推進パートナーを通じて、意見やニーズ等を把握し、外国人の目線に立った必要な情報を適時適切に提供してまいります。 次に、円滑なコミュニケーションができる環境づくりに向けては、外国人やその家族が、職場や学校など地域の中に溶け込むために必要な日本語を取得する機会を確保するため、オンラインを活用した日本語教室の開催や、市町における地域日本語教室の運営を支援してまいります。 また、地域や関係機関が一体となって多面的な支援を行うため、市町や関係機関で構成する協議会を設置し、先進事例の共有や施策推進に当たっての検討を行うなど、連携体制の構築を図っているところです。 県としては、今後とも、市町や関係機関等と緊密に連携しながら、外国人住民が安心・安全に生活し、地域社会の一員として共に活躍できるよう、多文化共生の推進に積極的に取り組んでまいります。 次に、新たな山口県の観光の発展についてのお尋ねにお答えいたします。 お示しの山口DCの開催や朝ドラの放映決定など、観光交流人口の拡大・発展に向け、今、本県には大きなチャンスが到来しています。 この絶好の機会を逃すことなく、本県の豊かな自然や歴史・文化、多彩な食などの魅力的な観光資源を生かしながら、「万福の旅 おいでませ ふくの国、山口」の下、戦略的なプロモーションを展開してまいります。 具体的には、まず、誘客の基盤となる観光素材の磨き上げに取り組むこととしており、世界遺産登録を目指す錦帯橋の橋守ガイドツアーをはじめ、県内全域で二百を超える観光コンテンツの創出を図ってまいります。 また、首都圏や関西圏等の重点誘客エリアにおいて、PRイベントを集中的に実施するとともに、全国の旅行会社等を本県に招き、観光素材を売り込む全国宣伝販売促進会議を開催し、新たな旅行商品の造成につなげるなど、DCの機会を捉えた誘客拡大に取り組みます。 さらに、こうした誘客効果を県内全域に波及させるため、日本酒や古地図に着目した周遊イベントや、在来線の乗り放題と観光施設の入場券等をセットにしたデジタルパスの造成などにより、県内周遊を促進します。 加えて、大手オンライン旅行予約サイトに山口県特集ページを設け、宿泊者向けのレンタカー割引キャンペーンを展開するなど、個人旅行者をターゲットとした県内宿泊の促進にも取り組みます。 県としては、引き続き、JRや市町、関係事業者等と緊密に連携しながら、新たな観光県やまぐちの創造に向け、戦略的な観光プロモーションに積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)特別支援教育の充実に向けた取組についてのお尋ねにお答えします。 特別な支援を必要とする児童生徒が増加する中、多様な教育的ニーズに応じた指導・支援を充実させるためには、全ての学校において、管理職のリーダーシップの下、特別支援教育の専門性向上につながる取組を推進していくことが重要であると考えています。 このため、県教委では、全ての教員を対象に、特別支援教育の視点を取り入れた授業づくりを学ぶセミナーを開催するとともに、基礎的・基本的な内容をまとめた手引、教員の学び方ガイドを作成するなど、教員の指導力の向上を支援しています。 また、発達障害を含め、障害のある児童生徒の学習指導の充実に向けては、特別支援学校教諭免許状の取得が重要かつ効果的であることから、講習会を長期休業中に集中的に開催するなど、短期間での免許取得の促進に取り組んでいるところです。 さらに、今後は、地域における特別支援教育推進のセンター的な役割を担う特別支援学校の教員が、小・中・高等学校等への訪問・支援を行う際には、これまで以上に理学療法士や言語聴覚士等の外部専門家と連携・協働し、障害等の状態を的確に把握することにより、児童生徒への指導・支援の一層の充実につなげていきたいと考えています。 また、こうした取組を進めるためには、管理職が、学校経営方針に特別支援教育の推進を位置づけ、校内体制を充実させるとともに、教員の専門性の向上を計画的・継続的に進めることが不可欠であると考えています。 このため、特別支援教育の視点を踏まえた学校経営を学ぶことができる動画の活用による研修の充実を図るとともに、人材育成に関する効果的なアイデアや手だてを掲載したリーフレットを新たに作成し、全ての学校に配付することにより、管理職がリーダーシップをさらに発揮し、適切に学校経営ができるよう支援してまいります。 県教委といたしましては、今後とも管理職のリーダーシップの下、教員の専門性向上のための取組を着実に進め、全ての子供たちの持つ力や可能性を最大限に伸ばし、自分らしく学校生活を送ることができるよう、特別支援教育のさらなる充実に努めてまいります。