1 クラウドファンディング型ふるさと納税の活用について 2 情報系人材の県内定着について 3 養殖業の成長産業化について 4 インフラマネジメントのあり方について 5 学校体育館における空調設備の整備について 6 警察官の熱中症対策について
議長(柳居俊学君)上岡康彦君。 〔上岡康彦君登壇〕(拍手) 上岡康彦君 公明党の上岡康彦でございます。通告に従いまして一般質問をいたします。 初めに、クラウドファンディング型ふるさと納税の活用についてお尋ねいたします。 山口県は、県内の犬猫の殺処分数の約半数を占めている子犬・子猫の譲渡を促すため、動物愛護センターに収容された離乳前の犬猫をボランティアに預け、譲渡が可能となるまでの間、飼養管理を行ってもらう、ミルクボランティア事業を令和八年度から実施する予定ですが、本事業の財源確保と周知を目的に、クラウドファンディング型ふるさと納税による協力を依頼しております。 集まった寄附金で、ボランティアの募集・育成、預かり期間中に必要なミルクやペットフード、ペットシーツなどの購入費用に充てられ、体調不良時の動物病院での診察費用にも活用する予定だと説明を伺っております。 御案内のとおり、クラウドファンディング型ふるさと納税は、地方自治体がプロジェクト資金をクラウドファンディングで募る方法です。この仕組みは、税収だけでは賄えない特定の事業やイベント資金を調達するために利用されますが、単に財政的な課題を解決するだけではなく、住民の参加意識を高め、地域社会を活性化させる手段としても活用されております。 その意味では、このたびのミルクボランティア事業への御協力は、まさに社会課題の解決に資する取組でもあり、大いに期待を寄せております。 手続は、ふるさと納税ポータルサイト、ふるさとチョイスにアクセスしていただき、少し分かりづらいのですが、ガバメントクラウドファンディングページの「小さな命を守るっちゃ!やまぐち犬猫支援プロジェクト」を探していただき、今月三十日までの間、受付しております。 さて、税収に頼らないクラウドファンディング型ふるさと納税という資金調達方法は、今後、県の様々な事業の資金調達に活用できると考えます。 例えば、老朽化した公共施設の改修費用であったり、文化財の保護という観点では、文化遺産を未来に残すため、歴史的建造物や貴重な文化財の保全・修復に係る費用をクラウドファンディング型ふるさと納税で広く集めるのも、一つの手だてだと思います。 また、観光客を呼び込むための観光資源の整備や、新しい観光スポットの創出に必要な資金を募ったり、桜並木の植樹や、遊歩道の整備などにも活用できるのではないでしょうか。 さらに、学校教育の充実にもぜひ活用していただきたいと思います。ICT教育機器の導入費用や、理科の実験設備、工業科の古くなった実習機械のリプレース費用を募るのもよし、生徒たちに質の高い教育が提供できると思います。 そこでお尋ねいたします。県は、クラウドファンディング型ふるさと納税を活用した事業実施について、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、情報系人材の県内定着についてお尋ねいたします。 山口県内でDX(デジタルトランスフォーメーション)を学べる主な学校・学科として、山口大学では、学部・学科を問わず、全学生がDXの基礎を学べるカリキュラムがあり、文系・理系を問わず、DXの知識やスキルを身につけ、社会で活躍できる人材育成を目指しているそうです。 山口県立大学では、国際文化学部情報社会学科が本年四月に新設され、データやデジタル技術を活用し、地域や社会の課題解決に貢献できる文系DX人材の育成を目指すとされております。 また、山口学芸大学では、文系DX教員養成プログラムを二○二四年度から開始しており、将来、DXを推進できる子供たちを育てるための新しい教員養成プログラムが始まっております。 さらに、私の地元の周南公立大学でも、来年四月に西日本の公立大学では初となる情報系専門職大学院が開設されます。 現在、山口大学をはじめとする県内の高等教育機関では、DXやAI等を学べる学部・学科が新設されるなど、将来を担う情報系人材の輩出が大いに期待されています。 しかし、問題はここからであります。せっかく育成した人材が、待遇やキャリアパスの不確実性から、県外に流出するリスクも懸念されており、高度な技能を習得した卒業生に山口県内で就職・定着してもらうためには、県内企業にはもっとDXの推進を図っていただき、専門性が生かせるDX関連求人数を増加させ、併せて魅力的な労働環境の整備が重要だと考えます。 具体的には、まず情報系人材が活躍できる場を県内に確保するために、もっと県内企業が積極的にAIを導入するなど、DXを推進することが不可欠であります。 現在、多くの県内企業が人手不足や生産性向上といった課題を抱えており、AI導入等がこれらの課題を解決する有効な手段であることは言うまでもありませんが、AI導入等を検討している企業に寄り添い、技術的な専門知識を持った人材がアドバイスやコンサルティングを行う支援が必要です。特に中小零細企業にとっては、AI導入等を促すための国や県の具体的な補助制度についても知らないケースが考えられます。 二点目には、魅力的な労働環境とキャリアパスの整備であります。 賃金やキャリアアップの機会など、魅力的な労働環境が必要です。都市部の企業にも引けを取らない待遇や賃上げ、キャリアパスを提示できるか。また、卒業後も継続的にスキルアップできるよう、AI分野等の高度な研修や資格取得を支援するプログラムはあるのか。テレワークやリモートワークなど柔軟な働き方の制度はあるのかなど、職場環境の魅力アップにつなげる支援も重要です。 三点目に、情報系人材が定着し、さらに新たな人材を呼び込むためには、県・企業・学校が相互に連携し合い、効果的に結びつくことが不可欠であります。 県が主導する、情報系人材を求める県内企業と卒業生をマッチングさせるための定期的な合同企業説明会や、県外から山口県へのUIターンを希望する情報系人材に対しても、スムーズにマッチングできるよう、人材情報や求人情報の一元化を図るなどの連携が大切だと考えます。 以上を踏まえてお尋ねいたしますが、即戦力たる情報系人材の県内定着に向けては、今後どのような取組をお考えなのか、お尋ねいたします。 次に、養殖業の成長産業化についてお尋ねいたします。 今や世界の魚介類消費量の半分以上を養殖物が占めるほど、養殖業は大変重要な役割を担っております。 山口県の養殖業も、様々な課題に直面しながらも、近年、取組が進められており、現在では主要な養殖魚種として、トラフグ、ヒラメ、アユ、クルマエビなど多岐にわたります。中でもトラフグは、山口県といえばフグと言われるほどブランド化されており、全国的にも有名であることは言うまでもありません。 そのうち、本県ならではの新たな取組として、山口県の地酒の酒かすを餌に混ぜて養殖する、やまぐちほろ酔い酒粕養殖魚は、令和元年から開発を進められており、令和三年十一月には、ブランド養殖魚第一弾としてほろ酔いさばの初出荷と至り、長門市の道の駅センザキッチンと阿武町の道の駅阿武町での販売開始となりました。 以後、ほろ酔いさばのほかにも、ほろ酔いうまづらはぎやほろ酔いあゆといったユニークなブランド養殖魚が誕生しています。 また、先月八月には、トラフグをやまぐちほろ酔いシリーズに追加することがやまぐち型養殖業推進協議会にて決定されたところであります。 県内養殖魚と地酒の酒かすのコラボによる地域資源の活用により、うまみ、甘みが強くなり、臭みもない良質な養殖魚が収穫できるという、やまぐちほろ酔い酒粕養殖魚の取組については、私の地元周南市でも評判であります。 ある居酒屋経営者から、「ほろ酔いさばは本当においしい魚で、仕入れて店で提供したいのだが、仕入れ自体が困難だ」と話してくださいました。さらに、「ほろ酔い養殖魚を山口ブランドとしてもっとアピールしたいのに提供できない。コロナ禍を経て、ようやく客足が戻りつつあるのに、山口県自慢のほろ酔いさばが提供できないのは全く残念でならないし、海に囲まれた山口県のおいしい海の幸のPRにつなげられないのが歯がゆい」ともお聞きしています。 県のホームページには、ほろ酔い養殖魚シリーズのPR動画が掲載されています。動画の最後のナレーションは、「体感してほしい──この上質な一口を」であります。個人的には非常にセンスのよいPR動画だと感じました。 しかしながら、県民ですらなかなか口にできないようでは、山口ブランドって何、となってしまってはなりません。山口県を盛り上げるため、ほろ酔いシリーズに大きな期待を寄せてくださる方々の思いに応えていただきたいのであります。 確かに、漁業全体として就業者の減少と高齢化が深刻な課題となっております。これは養殖業にも共通しており、スマート水産業の推進や担い手・事業者確保が喫緊の課題であります。 また、地球温暖化による海水温の上昇が魚種組成の変化など、漁場の不規則化を引き起こし、こうした環境の変化は養殖業にも影響を与えています。さらに、燃油価格や飼料、資材価格の高騰によるコスト増も大きな課題であります。 しかし、こうした課題を乗り越えて、もっと山口ブランドのおいしい養殖魚を、県内をはじめ、全国に流通させるためには、事業者の確保や設備投資、供給量の増大、さらに販路拡大が必要だと考えます。 そこでお尋ねいたします。山口県の養殖業は、厳しい状況にありながらも、技術革新や地域資源を活用したブランド化によって成長産業への転換を図ろうとしています。県として、養殖業の成長産業化に向けて、どのように取り組まれるのかお伺いいたします。 次に、インフラマネジメントの在り方についてお尋ねします。 本年二月議会の代表質問で、私はインフラの老朽化対策についてお尋ねいたしました。 村岡知事は、積極的にデジタル技術を活用し、道路や河川、橋梁やトンネルに加え、港湾施設なども含め、各施設の点検結果や補修履歴等のデータをシステム的に一元管理し、異状箇所の早期発見・早期対応につなげるとした上で、国におけるインフラ全体の老朽化対策の強化に呼応し、維持管理の高度化を推進していくことを答弁されました。 さらに、限られた人員や財源の中では、効率的に老朽化対策を進めていかねばならず、地域のインフラメンテナンスを担当する職員の育成を図りながら、県が開発した橋梁の点検・診断システムを提供するなど、市町の取組を支援し、計画的かつ効率的に老朽化対策を進めていくとの答弁でありました。 ここで知事がおっしゃられた維持管理の高度化の推進は、二月議会と時同じくして、総務省から通知のあった、広域連携による市町村事務の共同実施モデル構築事業の委託団体の決定を受けた、維持管理事務の効率化・高度化システムも含むだろうと受け止めております。 この広域連携による市町村事務の共同実施モデル構築事業とは、人口減少に伴う市町村の人材不足や行政需要の高度化に伴い、市町村単独では実施が困難な事務が生じることも想定されますが、その場合に、持続可能な形で行政サービスを提供していくため、関係省庁の協力の下、個別の行政分野ごとに都道府県の補完による市町村事務の共同実施をモデル化しようとするものであります。 人口減少・高齢化を考えたとき、財源や人材不足に加え、進行するインフラの老朽化や災害の激甚化に向き合う技術系職員、いわゆる行政エンジニアの負担や責任はますます増大してきております。 その意味において本モデル構築事業は、全国のインフラメンテナンスにおける極めて重要な発想だと私も考えておりますし、技術系職員が自治体の垣根を越えてつながりを保ち、情報交換しながら公共インフラの面的な維持管理や修繕等の実施に当たって、お互いに助け合う体制を県がリードしていく必要が、今後不可欠になっていくと考えております。 今年五月二十八日にまとめられた、下水道等に起因する大規模な道路陥没事故を踏まえた対策検討委員会での第二次提言の中で、インフラマネジメントを推進する体制や関係機関の連携の在り方としてポイントに挙げられていることは、自治体間の広域連携とPPP(官民連携)の推進、そして人の群マネの積極的な導入であります。 国交省が公表する、人の群マネの定義について申し添えておきますと、人の群マネとは、広域・複数・多分野のインフラを群、群れとして捉えてマネジメントする地域インフラ群再生戦略マネジメント、いわゆる群マネを進める上で、技術職員も群となって広域的に連携し、束になってインフラメンテナンスに関わることが重要であるという考え方を打ち出しています。 そこでお尋ねいたします。インフラの老朽化対策は、損傷が起きてから対処する事後保全から、不具合が生じる前に修繕する予防保全への転換へとフェーズは変化しています。そうした変化に広域的に対応し、人の群マネを推進する上でも、現場サイドのエンパワーメントも必要だと考えます。行政エンジニアの役割も進化していく中で、今後のインフラマネジメントの在り方について、県の御所見をお伺いいたします。 次に、学校体育館における空調設備の整備についてお尋ねいたします。 文科省は昨年十二月、令和六年度の補正予算に総額九千六十七億円を計上し、教育DXの推進には四百五十六億円を計上。GIGAスクール構想第二期に向けた一人一台端末の着実な更新や、通信ネットワーク速度の改善、あるいは学習系と校務系データを連携するための次世代校務DX環境の整備などを進めています。 公立学校施設の整備には二千七十六億円を盛り込み、計画的・効率的な長寿命化改修を図るとともに、避難所としての防災機能強化、非構造部材の耐震対策や洋式トイレへの改修などがメニューであります。 中でも一番のトピックスは、大規模災害時に避難所となる学校体育館へのエアコンの整備を進めようと力を入れており、公明党の強い主張で補正予算のうち七百七十九億円が計上され、空調設置を国が支援する空調設備整備臨時特例交付金が新設されました。その概要は、学校施設の避難所機能を強化し、避難所となる全国の学校体育館に空調を整備促進する目的に新設された特例交付金です。 公立の小中学校や特別支援学校等の体育館や武道場が対象で、空調設備の新設と断熱性確保に係る工事について、その費用の二分の一を国が支援をするというものです。 対象期間は二十四年度から三十三年度までの十年間で、文科省は学校体育館のエアコン設置率を現在の二三%から九五%に引き上げようと必死であります。 記録的な猛暑が続く今日、空調設備のない学校体育館は、夏場は蒸し風呂のような暑さになり、体育や部活動での利用すら控える学校が増え、教育活動にも支障が生じていると仄聞しております。 実際、私が訪問した学校では、夕方の体育館のうだるような暑さの中で、子供たちがバスケやバレーの練習に励んでいました。教室と比べ、体育館への空調は大きな財政負担を伴うことは承知しておりますが、一刻も早く子供たちの健康確保に努めなければならないと思います。 また、前文科省大臣官房文教施設企画・防災部長の笠原隆氏によれば、いつどこで起こるか分からない大規模災害に備え、学校体育館に避難されてきた被災者の方に少しでも安全・安心な環境を提供することは、地域コミュニティーの拠点ともなる学校が持つ役割として重要だと指摘されております。 さらに、令和六年初頭に起きた能登半島地震の際、多くの学校が体育館ではなく、空調が設置されている教室棟を被災者の生活拠点に切り替えたという事実がありました。 速やかな学校再開に当たっても、子供たちの学習スペースを確保するためには、体育館に空調を準備して、避難者の方には教室から体育館に移っていただく必要がありました。 被災された避難者の方の生活環境の確保ももちろん大事ですが、学習スペースが確保できず、学校再開が遅くなれば、子供たちの心身に支障が生じるおそれもあります。 このため、体育館空調の設置が進むことで、子供たちの学校生活を一日でも早く取り戻すことにもつながると重ねて指摘されています。 七月三十日に発生したカムチャツカ地震による津波の避難者の多くは、冷房のない避難場所に身を寄せ、結果、熱中症の救急搬送者が相次いだとの報道も目にいたしました。 石破総理は、八月七日の熱中症対策推進会議において、避難所となる学校体育館へのエアコン設置の促進など五項目を関係省庁に指示され、できることは全て実行してほしいとも述べられました。 そこでお伺いいたします。さきに紹介した空調設備整備臨時特例交付金について、山口県内で、昨年度末に手を挙げた自治体はなかったと聞いております。各自治体にも、それぞれ異なる状況があろうと思いますが、この臨時特例交付金はチャンスだと捉え、各市町教委が積極的に活用できるように、県教委としてリードしていただきたいと思いますが、教育長の御所見をお伺いいたします。 最後に、警察官の熱中症対策についてお尋ねいたします。 二○二五年の夏は、日本だけでなく、世界的に見ても記録的な暑さに見舞われた異常な夏でした。気象庁の発表によると、二○二五年夏の日本の平均気温は平年を二・三六度も上回り、一八九八年の統計開始以来で史上最も高い記録を更新しました。これは、二○二三年と二○二四年の記録をさらに上回る、三年連続の更新記録となりました。 東京都心でも猛暑日が三十日を超えたり、群馬県桐生市で歴代最高気温の四十一・八度を観測したほか、県内でも七月三日に、萩市で三十七・四度で日本一、同じ日、岩国市広瀬で三十六・八度、全国六位を記録するなど、全国の多くの地点で観測史上最高の気温を記録しました。 今年の異常な暑さの背景には、地球温暖化の進行と併せ、ラニーニャ現象への移行やダブル高気圧構造という気象現象が指摘されておりますが、こうした特定の気象条件が重なり合うことで、日本や世界各地でもこれまでにない極端な暑さをもたらし、まさに殺人的な暑い夏となったわけであります。 西日本では六月下旬に平年より約三週間も早く梅雨が明けたり、九月に入っても猛暑日が続いたため、全国で二百五十地点以上が猛暑日を記録するなど、残暑も厳しく秋の訪れが例年より遅れるだろうと、早過ぎる梅雨明けと猛暑の長期化が指摘されています。 気象庁の有識者検討会においても、私たちがこれまでに経験してきたことのない事態が起こりつつあるとして、今後の対策の必要性を訴えているところであります。 私は、八月に国交省のヒアリングのため、衆議院の議員会館を訪問しました。途中、国会周辺の警備に就く警察官の様子をうかがっておりました。大粒の汗を拭いながら、腰にぶら下げたペットボトルの水を一気に飲み干す姿に、こんな炎天下にあっても約五キロにもなる装備を身にまとい、警備に当たられる警察官は、何と大変な仕事かと頭の下がる思いでした。 後日、この話を警察関係の知人に話すと、警備・警ら関係だけでなく、事件・交通事故の処理をされる方々も同様で、時には長時間にわたって現場で職務に当たられる警察官の大変さも教えていただき、記録的な猛暑の中、熱中症対策の改善について苦慮されておりました。 そのような折、我が党の機関紙である公明新聞に、神奈川県警が取り組む熱中症対策について紹介記事が掲載されました。とある地域住民からの声をきっかけに、公明党神奈川県議団が推進してきたもので、重装備を着用しながら屋外で活動する警察官の熱中症対策として、特注の空調ベストを配備したというものであります。 これまでは、警察官が炎天下に屋外で勤務する場合には、首につけるネッククーラーや冷感タオルなどを使用している例はあるものの、その効果が長続きしないことがまさにネックだったわけであります。 それでなくても酷暑の中、制服の上に鉄板が入った耐刃防護衣を着用し、尋常ではない暑さが加わり、無線機や警棒・拳銃など総重量約五キロの重装備です。苛酷な環境下で、実際に熱中症になったという事例もあるそうですが、無理もありません。 正直申し上げますと、活動しやすいように考えられた身なりになっているのに、素人が安易に警察官の装備や服装に口出ししてはいけないと思っておりましたが、しかし、地域の安全・安心を守ってくれる警察官が、熱中症で倒れることのほうが地域にとっては大変です。 そこでお尋ねいたします。警察官の熱中症対策については、付け焼き刃的な対策ではなく、きちんと予算措置を考えて対応を検討すべきと考えますが、警察本部長の御所見をお伺いいたしまして、私の一般質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)上岡議員の御質問のうち、私からは情報系人材の県内定着についてのお尋ねにお答えします。 企業の人手不足が進む中、県内大学では情報系学部等の新設が相次いでおり、今後輩出される多くの情報系人材の県外流出を食い止め、人材を確保するためには、こうした人材の活躍の場を創出・拡大していくとともに、県内就職・定着につなげていくことが極めて重要です。 このため、私は、企業のDX化の取組等を積極的に支援し、情報系人材の新たな雇用を創出するとともに、若者等に魅力的な労働環境の整備や、情報系人材と県内企業のマッチングの促進に取り組んでいるところです。 まず、企業のDXの推進に向けては、専門家による経営課題診断をはじめ、「Y─BASE」でのDXコンサルや、デジタル化の段階に応じた設備導入支援を行うとともに、これら支援策の活用に向け、関係支援機関や産業振興財団のDXコーディネーター等を通じて幅広い周知に努めています。 また、雇用の創出に向けた新たな取組として、先月、首都圏等から本県への進出を検討しているデジタル関連企業に対する企業誘致セミナーを開催し、私自ら、本県の豊富な情報系人材や優れた立地環境をPRするとともに、企業と県内教育機関・参加学生との交流会を実施したところです。 次に、若者等に魅力のある労働環境の整備に向けては、従業員の賃金の引上げや奨学金返還支援などの待遇改善に取り組む企業への支援や、テレワークなど時間や場所にとらわれない柔軟な働き方の導入を支援しています。 また、若者の就職決定においては、キャリアアップの可能性や実現できる将来像の提示が重要となっていることも踏まえ、コンサルティングや経営層向けセミナーの実施を通じ、キャリアパスの明確化に資するリスキリング等の研修計画の策定を支援してまいります。 次に、情報系人材と県内企業のマッチングに向けては、今年度から新たに、大学教授等と企業の採用担当者との個別面談会を県内五大学で実施するとともに、新設の学科生が三年生を迎えた山口東京理科大学において、デジタル職種に特化した学生向け企業紹介イベントを開催します。 こうした面談会等の開催に当たっては、大学ごとの人材の特色や企業の人材ニーズを、県がきめ細かく把握し、その情報を速やかに企業、大学と共有するなど、産学公が連携して、効果的な取組となるよう進めることとしています。 私は、県内大学における情報系学部の新設を好機と捉え、大学、企業、関係支援機関等と緊密に連携して、情報系人材の県内定着に全力で取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)大川総務部長。 〔総務部長 大川真一君登壇〕 総務部長(大川真一君)クラウドファンディング型ふるさと納税の活用についてのお尋ねにお答えします。 クラウドファンディング型ふるさと納税、いわゆるCF型ふるさと納税は、寄附金の使途を事業として具体的に明示し、目標金額も設定することから、寄附者は自身の思いを直接形にすることができ、寄附への動機づけを高めることができる有効な手段と考えています。 また、自治体の財政運営は、税収などの安定した収入の下で行うことが原則ですが、多くの方に共感や賛同が得られる取組については、この手法の活用により、寄附を財源として事業を実施することが可能となります。 このため、県では、通常の歳入の範囲では対応が困難な新規の取組や内容の充実を図る事業について、新たにCF型ふるさと納税を活用することとし、本年度から取組を開始しました。 具体的には、お示しのとおり、県が保護した子犬・子猫を譲渡可能となるまでの一定期間、飼養管理を行っていただき譲渡につなげるミルクボランティア事業について、来年度からの実施に向けて、寄附を募っているところです。 今後、今回の取組による成果や課題を検証し、他県の取組状況も参考にしながら、多くの方に本県を応援したい、寄附したいと思っていただける事業や、目標金額を達成できる訴求力のある取組に活用できるよう、CF型ふるさと納税の運用方法を構築していくこととしています。 県としましては、CF型ふるさと納税の手法を活用し、寄附の確保とともに、本県への興味関心を喚起し、寄附者との継続的なつながりを生み出せるよう、関係部局と連携しながら積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)岡本農林水産部長。 〔農林水産部長 岡本章生君登壇〕 農林水産部長(岡本章生君)養殖業の成長産業化についてのお尋ねにお答えします。 近年の気候変動による海洋環境の変化に伴い、漁獲量の減少等、水産資源の不安定化が進む中、付加価値の高い魚種を、質・量ともに計画的に安定生産できる養殖業の振興は、極めて重要です。 このため、県では、養殖現場におけるICTを活用した自動給餌システムの導入等、スマート水産業の振興による生産性の向上や、お示しのほろ酔いさば等、新たな山口ブランドの創出を積極的に進めてきたところです。 こうした中、養殖業界においても、高齢化等に伴う人手不足や、近年の大幅な資材価格等の高騰に伴う生産コストの増加は大きな課題となっています。 このため、本県の地域資源を活用した特色ある養殖業の推進に向け、スマート技術等の活用による生産性の向上とほろ酔いシリーズによる養殖魚の付加価値向上に向けた取組を一層強化することとしています。 具体的には、まず、スマート技術等の活用による生産性の向上については、養殖環境の数値化等による見える化を行い、品質のよい魚体を安定的かつ効率的に生産・管理する養殖管理システムの導入を促進します。 加えて、養殖業への新規参入や規模拡大を強力に後押しするため、生けすや、餌の保管用冷蔵庫等、新たに必要となる施設や設備などの整備に対する支援を行います。 次に、ほろ酔いシリーズによる付加価値向上については、酒かすの効果により、うまみや甘み成分が増して、魚特有の臭みが抑えられるという、ほろ酔いならではの特徴や、お勧めメニューやレシピ等によるおいしい食べ方の提案など、SNS等を活用し、その魅力を全国に向けて情報発信します。 また、地域の飲食店や道の駅などと連携した、消費拡大キャンペーンの実施など、県民の皆様はもとより、県外から来られる多くの観光客の方々にも、知って、味わっていただける企画を広く展開し、ほろ酔いシリーズブランドの確立を図ります。 さらに、お示しのとおり、県の魚に位置づけられているトラフグを、本年八月からほろ酔いシリーズに新たに追加し、現在、ブランド名の公募・選定を行っているところです。 今後、フグが旬の時期を迎える年末に向けて、お披露目会等のPRイベントを実施し、ほろ酔いトラフグを山口県のプレミアムブランドとして、新たに育成することとしております。 県としては、今後とも、市町や漁業関係団体等と緊密に連携し、技術革新や地域資源を活用した新たなブランドの創出等により、養殖業の成長産業化に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)仙石土木建築部長。 〔土木建築部長 仙石克洋君登壇〕 土木建築部長(仙石克洋君)インフラマネジメントの在り方についてのお尋ねにお答えします。 道路や河川等のインフラが、県民生活や経済活動を支える重要な社会基盤として、恒常的に機能を発揮することが求められる中、本県においても、高度経済成長期に整備した施設の老朽化が進み、今後一斉に更新時期を迎えることから、その対策が喫緊の課題となっています。 このため、県では、やまぐち未来維新プランの重点施策に、日本一の安心インフラやまぐちの実現を掲げ、常日頃から適切に維持管理を行うとともに、施設ごとに策定した長寿命化計画に基づき、着実に老朽化対策を推進しています。 また、これらの取組をより効率的・効果的に進めていくため、デジタル技術を活用したインフラメンテナンスの高度化・効率化にも、積極的に取り組んでいるところです。 こうした中、お示しのように、今後懸念される技術者の減少や、進行するインフラの老朽化、災害の激甚化に適切に対応するためには、県と市町が連携し、総力を挙げて地域のインフラマネジメントに取り組む必要があると考えています。 このため、道路の維持管理について、総務省の広域連携によるモデル構築事業を活用し、周南地域の三市と共に、それぞれが抱える課題を把握し、その解決を図るため、道路の異状に関する通報などの情報を一元的にデジタル化して蓄積する、新たなシステムの構築を進めているところです。 これにより、異状箇所の正確な把握や速やかな補修など、維持管理業務の効率化が図られるとともに、蓄積した補修履歴等を分析することで、修繕計画の策定などの基礎資料としての活用が期待されます。 今後は、このモデル構築事業を着実に実施し、システムの活用方法や効果等について検証を進めることとしています。 また、広域・複数・多分野のインフラを群として捉え、効率的・効果的にマネジメントしていく群マネについては、現在、国において、具体的な実施プロセス等を解説した手引の作成や、自治体を支援する体制の検討が行われているところです。 今後、こうした国の取組に呼応しながら、市町と連携し、技術職員の育成や支援を行うなど、お示しの人の群マネについても推進していく考えです。 県としては、日本一の安心インフラやまぐちの実現に向け、デジタル技術を積極的に活用し、市町との連携も図りながら、公共土木施設の適切な維持管理や老朽化対策を推進するなど、インフラマネジメントに着実に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)学校体育館における空調設備の整備についてのお尋ねにお答えします。 近年、記録的な猛暑が続く中、児童生徒の良好な学習環境を確保する上で、学校に計画的に空調を整備することは重要であると考えています。 また、学校体育館については、災害時における避難所機能の強化の観点からも、空調整備が求められているところです。 こうした中、昨年度、国は、補助率が原則三分の一のこれまでの交付金とは別に、新たに、補助率を二分の一とする空調設備整備臨時特例交付金を設け、避難所となる公立小中学校や特別支援学校等における、体育館の空調整備を促進する方針を打ち出しました。 しかしながら、議員お示しのとおり、本県では、昨年度中に、この臨時特例交付金を申請した自治体はなく、その理由について、各市町教委に聞き取りをしたところ、大きく三つの課題が確認されました。 まず、一点目は、臨時特例交付金の創設が令和六年度末であったため、令和七年度当初予算編成などでの対応が難しかったこと、二点目は、普通教室に続いて、理科室などの特別教室の空調整備を計画的かつ集中的に進めていることから、現在は対応が難しいこと、三点目は、多くの体育館は老朽化が進んでおり、空調の整備とともに、断熱化の工事も必要となるため、多額の工事費を要すること、これらが主な理由となって、交付金の活用が進んでいませんでした。 このため、県教委では、市町と構成する山口県公立学校施設整備期成会を通じて、本年八月、文部科学大臣に直接、空調整備に関する課題等について説明し、上限額及び補助率の引上げや、制度の延長、恒久化などについて、要望したところです。 こうした中、先日、防府市は、このたびの国の動きに呼応して、全ての小中学校の体育館に空調を整備する方針を発表されました。 もとより、市町立の小中学校の空調整備については、各市町の判断になりますが、このたびの臨時特例交付金の創設は、整備を促進する契機になるものと考えており、その活用について、今後も、市町教委に情報提供や助言などを行っていくとともに、あらゆる機会を捉えて、制度の拡充などを国へ要望してまいります。 県教委といたしましては、引き続き、体育館を含めた学校施設の空調設備の整備促進に向け、その役割をしっかりと果たしてまいります。 議長(柳居俊学君)熊坂警察本部長。 〔警察本部長 熊坂隆君登壇〕 警察本部長(熊坂隆君)警察官の熱中症対策についての御質問にお答えいたします。 警察官の熱中症対策は、街頭活動を行う警察官自身の命や健康を守るほか、暑さの中での警察活動を継続することで、県民の安全・安心の確保の観点からも重要であり、このような観点から、体を暑さに慣れさせるための暑熱対策に取り組んでおります。 具体的な取組としては、警察官の夏制服について、着用期間を気候に応じて柔軟に運用するとともに、今年度から従来のものと比較して通気性が一・六倍向上した新素材を採用しております。 また、高速道路交通警察隊員が着用する交通乗車服について、背中の折り返しや脇下の部分を通気性の高いメッシュ素材に仕様変更したものを導入しております。 さらに、街頭活動中の警察官が必要な水分補給ができるよう飲み物の携行を指示するとともに、制服着用時でもドリンクホルダーが装着できるよう規定を整備しております。 そのほかにも、熱中症発生リスクを抑えるため、暑熱順化の推進や適正な勤務管理、職員に対する教養・啓発等の取組を実施しているところであります。 これらの取組を推進した結果、令和七年六月から八月末までの間における警察職員の熱中症発症者は、その疑いがある者を含めて三人と、前年同期に比べ七人減少するなど、一定の成果が見られております。 議員御指摘の熱中症対策に関する装備の充実・活用は、酷暑の中で活動する警察官の熱中症対策における課題の一つであると認識しております。 本年四月に、暑熱対策等を目的として、夏制服にポロシャツ型の仕様が追加され、他県警察において試行されております。本県におきましても、来年度から導入すべく準備を進めているところでございます。 県警察では、引き続き、現場のニーズや全国警察における取組状況等を踏まえ、各種装備の導入や警察官の服制の改正等の抜本的な対策に取り組むこととしております。 その上で、必要な財源につきましては、限られた予算の中での確保に向けた取組を推進しつつ、不足する予算は要求を検討するなど、予算措置も含めた総合的な対策を推進してまいります。 ───◆─・──◆──── 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩をいたします。再開は、午後一時の予定でございます。 午前十一時三十六分休憩