1 防災減災への取組について 2 女性活躍の推進について 3 こども誰でも通園制度について 4 児童虐待防止対策について 5 令和7年度全国学力・学習状況調査結果について
───◆─・──◆──── 午後一時開議 副議長(河野亨君)休憩前に引き続き会議を開きます。 ───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第十七号まで 副議長(河野亨君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第十七号までを議題とし、質疑の議事を継続いたします。 氏原秀城君。 〔氏原秀城君登壇〕(拍手) 氏原秀城君 皆様、こんにちは。やまぐち県政会の氏原秀城でございます。 それでは、通告に従い一般質問をさせていただきます。 まずは、防災減災への取組について、お尋ねいたします。 近年の気候変動の影響により、線状降水帯による集中豪雨は、もはや想定外ではなく、全国各地で毎年のように大規模災害を引き起こしています。 本県においても、八月に発生した豪雨災害では、複数の市町で線状降水帯が観測され、記録的な降水量をもたらしました。 例えば、下関では、累計雨量五百十二ミリ、宇部市で三百七十六ミリ、東厚保で三百六十六ミリを記録、また、最短一時間当たりの最大雨量は、下関で五十二・五ミリ、宇部市で四十九・五ミリ、油谷で四十八ミリと、極めて短時間に集中豪雨が発生し、県としても八月十日十八時に災害対策本部を設置し、対応に当たられたところです。 この豪雨災害により、本県では人的被害として軽傷者一名が確認され、住家被害も半壊二十二棟、床上浸水二十一棟、床下浸水七十九棟に上りました。 特に、下関や宇部市に被害が集中し、市街地を中心に深刻な浸水被害が発生、宇部市においては災害救助法が適用される事態になるほど、本災害で顕著だったのが内水氾濫の被害ではないかと考えております。 河川の氾濫が発生していない地域においても、都市部で排水能力を超える雨が集中し、大規模な浸水が発生するこの内水氾濫、私の地元であります宇部市においても、新たな場所でこの内水氾濫が発生したところです。 今回の大雨では、市街地の排水施設の限界が明らかになったことから、今後は下水道や排水ポンプ場の能力増強、雨水貯留浸透施設の整備など、内水氾濫対策についても強化する必要があると思っております。 国土交通省中国地方整備局の報告によると、佐波川流域で八月の平均月降水量を大幅に超える大雨があったものの、これまでの治水事業により被害軽減効果が見られたことも示されています。 今後、市町が進める排水施設等の整備に当たっては、くみ上げ等を行った雨水を排出する河川の流下能力を向上させるための河川整備等、県と市町が治水・排水施設整備の効果と限界を検証し、整備等に向けての連携が必要であるとともに、国の対策予算の活用等を図っていく必要があると考えます。 また、土砂災害については、土砂災害警戒区域・特別警戒区域の指定が進められているものの、指定箇所の多さに対し、住民への周知には依然として課題が残されていると考えます。 県の発表によれば、八月十二日七時時点で、避難対象世帯、対象者は約二十四万八千世帯、約四十九万三千人に達した一方で、実際に避難所に移動した避難者数は三十四世帯、四十七人にとどまりました。 市町が、避難指示等を発令した際に、しっかりと住民避難につなげていくためには、土砂災害警戒区域・特別警戒区域の周知徹底も重要だと考えます。 そして、発災後の対応の一環として、住宅の被害状況を正確に把握しデータ化することは、国や県の復旧予算を確保していく上でも欠かせません。 近年は、ドローンやAIを活用した被害調査が進められておりますが、専門士業との連携により、より信頼性の高い調査体制を確立することが可能となります。 特に、住家被害認定調査においては、市町の職員不足が課題となる中で、外部専門家との協働は今後不可欠と考えます。 例えば、熊本地震や令和二年七月の豪雨災害には、鑑定士が被害認定調査や罹災証明発行に関与し、自治体の負担軽減と被災者支援の迅速化に大きく貢献、熊本地震では、発災後二年間で約四百件以上の鑑定調査が行われたとの報告もあります。 本県においても、今後の大規模災害に備え、不動産鑑定士をはじめとした専門士業団体との協定締結や協力体制の整備が必要と考えます。 県民の命を守り、災害に強い山口県を築くため、ハード・ソフト両面での対策が急務であります。 そこでお尋ねいたします。まずは、このたびの内水氾濫被害を教訓とし、県として内水氾濫対策として排水施設や雨水貯留浸透施設整備を図る市町と今後どのように連携していくのか。そして、土砂災害警戒区域・特別警戒区域の周知をどのように進めていくのか。さらに、被災後の迅速かつ適切な支援につなげていくため、住家被害認定調査等に関し、どのような取組を実施していくのか。また、不動産鑑定士をはじめとした専門士の団体等と連携してどのように進めていかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、女性活躍の推進についてお尋ねいたします。 女性活躍の推進は、人口減少と人材不足が深刻化する本県にとって、もはや避けては通れない最重要課題の一つであります。 政府は、女性活躍推進法の改正や女性版骨太の方針を掲げている中で、本県においても女性活躍推進計画を策定し、管理職に占める女性比率の向上や、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた企業支援を行っていることは高く評価するところであります。 さて、本県における女性活躍の現状を統計から見ますと、例えば、帝国データバンク二〇二四年の調査によると、県内企業の女性管理職の割合は約九・一%にとどまっており、全国平均を下回る状況にあります。 また、令和四年の就業構造基本調査によれば、管理的職業従事者に占める女性割合は一五・五%と低水準であり、国が掲げる二〇二〇年代に三〇%という目標との差はまだまだ大きく、採用段階では一定の女性が就業しているにもかかわらず、昇進・登用の過程での壁が存在し、キャリアの継続性が阻まれている現状が浮き彫りとなっています。 加えて、非正規雇用の高さも見逃せません。同調査では、県内雇用者の全体のうち三五・九%が非正規雇用であり、特に十五歳から三十四歳までの若年層においても二七・六%が非正規雇用という実態であります。非正規雇用は、賃金や待遇、キャリア形成において不安定さを伴い、女性にとっても長期的に働き続ける上で大きなハードルとなると思います。 一方で、女性の就業意欲自体は高まっております。未就学児の育児をしている方の有業率及び育児休業等制度を利用した者の割合を見てみますと、女性の有業率は七三・七%、前回平成二十九年の調査より一〇ポイント程度近く上昇しているとされております。 こうしたことから、仕事と家庭の両立をしながら働きたいと願う女性は確実に増えていると思っております。 ただ、しかしながら、育児休業等制度の利用率は三七・九%にとどまり、全国平均の四〇・八%を下回る状況であります。つまり、企業において制度そのものが整っていないのか、あるいは、整っていても利用しにくい雰囲気が存在するのではないかと推察されます。 また、男性育児休業等制度の利用率も一四・一%と、性別役割分担意識、出産・育児に伴うキャリア中断など、構造的課題が依然として横たわっているとも感じております。 以上、女性活躍を阻む様々な課題、現状分析について指摘をさせていただきましたが、国や県においては、これまで女性管理職の増加や性別役割分担意識の解消、育児休業の取得促進や、共育てしやすい職場環境づくりに取り組まれ、着実に成果も上がりつつあるとも思っております。 今後とも、さらなる取組を期待しているところではありますが、私はそうした環境整備に加え、女性活躍を阻む諸課題を実際的に解決する観点から、女性が結婚・出産にかかわらず正規雇用として就業し、キャリアを重ねることができるよう、特に人材育成に力を入れていただきたいと考えております。 そこで、注目しているのが、デジタル分野での女性人材不足であります。 DXが急速に進展する中で、県内企業においてもデジタル人材の確保は喫緊の課題となっております。しかし、女性の理工系分野への進学率は依然として低く、デジタルスキルを持つ女性人材の層は極めて薄い状況にあります。 こうした中、県では、女性の就業促進や待遇改善、柔軟な働き方の実現を目指して、女性デジタル人材の育成に取り組んでおられます。これは、大変有望な取組とも思っておりますが、県内の労働力規模全体から踏まえれば、取組のさらなる拡充が求められるところではないかと思います。 また、県には、東西二地域に高等産業技術学校があり、地域産業と経済の発展に貢献する専門的・実践的技能を持ったスペシャリストの養成を行っておられます。こうした施設や民間企業の力もしっかり活用しながら取組を進めていきたいと思っております。 そこでお尋ねいたします。未就職はもとより、再就職を希望する女性や、育児・介護等で離職した女性等に対し、デジタルの視点からの人材育成を一層強化していただきたいと思っておりますが、人口減少と人手不足が進む中、女性活躍を推進するに当たり、県は女性デジタル人材の重要性についてどのように認識し、そして、今後その育成にどのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、こども誰でも通園制度について、お尋ねいたします。 少子化は、本県にとっても喫緊の課題であり、県が策定した総合戦略においても合計特殊出生率の向上等が重要課題として位置づけられているとともに、県内の各市町における取組状況をまとめた報告でも、経済的不安や子育て環境の整備、仕事と子育ての両立支援が課題として指摘されているところです。 そうした中、令和六年の本県の合計特殊出生率は一・三六と過去最低、年間出生数も六千七百七十七人と、統計開始以来初めて七千人を下回るなど、本県の少子化が一段と深刻化しています。 課題は、経済的不安と、仕事と子育ての両立の困難さが、依然として出生意欲を抑制しているとの指摘がある中、より具体的な課題は人それぞれ多岐にわたることから、県としても、妊娠・出産支援、子育て世代の包括支援、手当・助成、保育所整備等様々な施策を執り行っていただいているところですが、短期的に出生数を回復させる即効性は限定的であり、これまでの施策について出生率の改善や子育て世代の実感としての利便性向上に結びついているか検証し、今後の施策の追加や転換、市町とのさらなる連携強化を図る必要もあるのではないかと考えます。 県としても、共働き世帯の割合が高まり、女性が子育てとキャリアの両立を望む中で、家庭内で女性に家事・育児が集中する、いわゆるワンオペの実態があり、それが少子化の要因の一つとなっていることから、目指すべき姿として、男性育休の取得は共働き・共育てを定着させるための第一歩、男性育休が当たり前となる社会を実現するとして、男性育休の取得促進の取組強化に向け、県庁として、男性職員の長期育休の取得率を全国トップレベルの水準に引き上げるため、令和七年度までに男性職員による二週間以上の育児休業の取得率と、子の出生後一年までの一か月超の育児関連休暇等の取得率をともに一〇〇%を目指す取組。あわせて、デジタル技術を最大限に活用して業務の効率化等を図り、職員が育休を取得しやすい職場環境づくりを推進。 また、県内企業に対しても、仕事と育児・家事の両立可能な社会の実現を図るため、やまぐち″とも×いく″応援企業登録制度を創設し、育休取得や共育て職場環境づくりに取り組む事業者に対し補助金や奨励金を交付するなど、男女で育児・家事の分担をし、ともに希望に応じてキャリア形成と育児・家事の両立が可能となる社会を目指して、男性、女性ともに希望どおり、そして、育児休業を取得することが当たり前となり、働きやすい職場環境づくりに積極的に取り組んでおられるところです。 こうした中、国においても全ての子育て家庭に対して、様々な働き方やライフスタイルにかかわらない形での支援を強化するため、就労要件を問わず一定時間保育等を利用できる乳児等通園支援事業、通称こども誰でも通園制度が、この令和八年度から全国で実施されることになりますが、この国の制度の変更は地域ごとの事情に大きな影響を与えてまいります。 現在、先行の市町で試行されており、本県においては、令和六年の七月から防府市が先行的に取り組んでおられるところであり、この防府市の試行において得られた知見、例えば、実施施設、認定・予約の手続運用状況、利用申請の件数、そして実際の利用回数、利用者の属性、利用する園の負担、保護者からの声、キャンセル・待機の実態など、運用面での事例は、この令和八年度からの本格実施に向け、各市町においては大変重要かつ貴重な情報になると考えます。 そして、県としても、市町との緊密な連携、先行事例の知見吸収、保育士や事業者の声を反映した財政・運営支援を早急に設計し、子育てと仕事が両立できる地域社会の実現を図るべきと考えます。 そこでお尋ねいたします。まず、こども誰でも通園制度の本格実施に向けた防府市での試行状況について、県としてどのように捉えられているのか。 そして、この試行状況を踏まえ、県独自の財政支援や単価の上乗せの検討などは考えられておられるのか。 特に、かねてより人材不足とされている保育士の確保に関し、処遇改善や業務軽減策の具体的な施策、基金や人材あっせん、ICTの導入支援等、こうした具体的支援について、どのように進められるのか。 加えて、小規模園、過疎地域における受皿維持のための支援策はどのように考えられているのか、御所見をお伺いいたします。 次に、児童虐待防止対策について、お尋ねいたします。 児童虐待は、子供の生命や心身の健全な発達を著しく損なう重大な人権侵害であり、社会全体で解決すべき最重要課題の一つであります。 しかしながら、全国的に児童相談所での虐待相談対応件数は年々増加しており、令和五年度には二十二万件を超え、過去最多を更新したところです。 類型別では、心理的虐待が全体の六割を占め、警察や学校などの関係機関からの通告に基づく件数が大幅に増えていることが特徴とされています。 背景には、家庭内暴力や親の精神的ストレスの増加、独り親家庭の生活困難、そして社会全体の虐待に対する感度向上があると指摘されています。 本県の状況を見ますと、令和五年度の児童虐待相談対応件数は増加傾向にあり、直近の統計でも市町への相談件数が顕著に伸びているところです。特に、心理的虐待の割合がやはり高止まりしていること、そして、警察からの通報件数の割合が最も高いと報告されています。 こうした動向を踏まえれば、本県においても児童虐待は、もはや一部の家庭に限られた問題ではなく、社会全体での早期発見と迅速な対応が求められる段階に至っていると言えます。 虐待の深刻化を防ぐには、通報受理から初期訪問、アセスメントに至るまでの迅速かつ的確な対応、児童相談所と市町、警察、医療機関、学校などの関係機関との間で情報共有などの連携体制が不可欠とされます。厚労省やこども家庭庁では、原則四十八時間以内の安全確認を求めています。 そして、虐待を受けた子供の安全を確保することは第一ではありますが、同時に可能な場合には、家族の再統合や親子関係の再構築を支援することも重要な課題とされています。 国は、こども家庭センター等における人員体制の強化や専門的な支援員の配置を推進しているところであり、本県においては、今年度から親子関係再構築支援員を配置しているところです。 本県が、未来ある子供の生命と権利を守るため、虐待発生の予防、早期発見、初期対応、そして、家族との再統合支援に至るまで、切れ目のない包括的な体制の整備が不可欠であり、それに向けては、国の施策や他県の先進事例も踏まえつつ、本県にふさわしい児童虐待防止対策の実効性のある取組を一層加速していく必要があると考えます。 そこでお尋ねいたします。まずは、学校、警察、医療機関からの通報があった後の初期対応体制について、厚労省やこども家庭庁は、原則四十八時間以内の安全確認を求めていますが、本県ではその基準をどの程度達成しているのでしょうか。 また、児童相談所の二十四時間三百六十五日体制の現状と課題についてもお伺いいたします。 あわせて、本県では今年度より、親子関係再構築支援員が配置され、その役割として、親子面接や家族療法的アプローチ、同行支援、家庭訪問における継続的な見守りなどが期待されるところでありますが、その配置と勤務状況、対応事例と課題、そして今後の親子関係再構築支援員の育成計画等について御所見をお伺いいたします。 最後に、令和七年度全国学力・学習状況調査結果についてお尋ねいたします。 まず、事実関係の確認として、県内公立校の教科別平均正答率は、小学校で、国語が六八%、全国が六六・八%、算数五八%、全国も同数値の五八%、理科が五八%、全国五七・一%、また、中学校では、国語が全国平均を上回る一方、数学・理科はおおむね全国と同程度と、国語の得点が比較的堅調である一方、算数・数学の基礎学力の定着や記述式問題への対応が引き続き課題であると示されています。 次に、全国の動向として、文科省が二○二四年度に、全国の国公私立の小中学校二千七百校の小学六年生と中学三年生を対象に行った学力の経年変化分析調査結果によると、小学校の国語と算数、中学校の国語と数学、英語の計五教科のうち四教科で、二○二一年度の前回調査から学力を示すスコアが大きく低下しているということが示されました。 この調査は、二○一六年、二○二一年度に続き三回目で、児童生徒が異なる問題を解答しても、正誤パターンから学力を推定し、経年で比較できるIRT(項目反応理論)スコアで表示。 これは、二○一六年度を五百点となるよう統計処理して、その後の変化を比較できるようにされているもので、ちなみに英語が前回比二十二・九点減の四百七十八・二点、最もスコアが下がり、次に、算数が二十・九点の減、以下、小学校の国語、中学校の国語の順で、ともに十点以上下がったと分析されています。 これは、基礎的な概念理解や定着が十分でない児童生徒が一定数存在することが示唆されており、専門家からも深刻な結果との指摘もあり、文科省は追加分析と教育施策の検討を進めるとしています。 また、別の角度からの調査ですが、東京大学の研究チームが千六十二人の大学生、大学院生、短大生に読み書きに関する実態調査を実施したところ、大学などでの講義内容をノートやデジタル端末にメモ・記録をしない学生の割合が約一割、また、本や新聞・雑誌を普段読まない学生が二割に上ったとされ、いずれも国語の読解問題の正解率は低く、図や文章の内容をほとんど理解できていない水準であり、成績が低い傾向にあるとも示されたところです。 さらに、読書などに費やす時間に関する調査では、紙の本を読む人は読書時間が一日当たり約四十分、一方、SNSやブログを読み物として読むと回答した人は約六十分などとの調査結果から、日常的なメモの取り方や読書習慣が文章の読解力や論理的な思考力に関係することが明確になったと示されるなど、近年のデジタル機器の急速な普及により、手書きや読書の習慣が失われ、大きな問題を及ぼしているおそれがあるとも指摘されているところです。 こうした教育環境におけるデジタル機器の負の側面に対し、教育現場において、デジタル機器を活用した教育の強みをしっかりと生かしつつ、アナログとの協調を図っていかなければならないのではないかと考えます。 そこでお尋ねいたします。学力は、子供たちの将来を左右する重要な指標であり、県教委は今回の調査結果を踏まえて、迅速かつ実効性のある施策を講じる責務があると考えます。 まずは、今回の公表資料に示された教科別正答率の全国との差異をどのように評価されているのか。特に算数・数学に関する基礎学力の定着状況並びに記述式問題の無回答・低回答率の背景等について、県教委としての分析結果についての御所見をお伺いいたします。 また、文科省においては、経年変化分析の結果を家庭学習時間の減少やスマートフォン等の使用時間の増加、コロナ禍の影響などを要因として挙げています。 一人一台端末やICT活用は、一定の学習効果をもたらす一方で、画面時間の増加や学習習慣の希薄化を懸念する声もある中、今後どのように対応していくお考えをお持ちなのか、県教委としての見解・今後の教育方針についてお伺いをし、私の一般質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 副議長(河野亨君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)氏原議員の御質問のうち、私からは女性活躍の推進についてのお尋ねにお答えします。 人口減少が進み、県内企業の人手不足が深刻化する中、時間的・場所的制約がある未就業等の女性の就業を促進し、ライフスタイルに合わせた多様な働き方やキャリアアップの実現等を通じて、女性活躍を推進していくことは不可欠です。 また、企業の生産性・付加価値の向上等を実現するDXの推進は、ますます重要となってきており、これを支える人材の確保に向けて、女性デジタル人材の育成に取り組むことは、極めて効果的であると考えています。 このため、県では、産学公により設置した、やまぐち女性デジタル人材育成コンソーシアムの下で、未就業等の女性に対し、企業のニーズを踏まえたデジタルスキルの習得支援と、能力や希望に応じた就業支援の両面から、女性デジタル人材の育成に取り組んでいるところです。 まず、デジタルスキルの習得支援については、コミュニケーションツールを活用して、講座修了まで受講者を丁寧にフォローする体制を整えた上で、プログラミングの基礎やセキュリティーリテラシー等を学ぶ講座を実施しています。 また、就業支援については、山口しごとセンターと連携して、受講者の条件や希望に対するきめ細かなキャリアコンサルティングを実施するとともに、県内企業との交流会の開催やコンソーシアム参加企業へのインターシップ受入れ促進を通じて、個別の事情に合った好条件での就業を支援します。 これまでの取組により、本講座を修了した七十六名のうち五十一名の方が、県内企業等に就業し、デジタルスキルを生かした様々な分野の業務に従事するなど、成果が着実に現れているところです。 本年度は、より受講しやすい環境を整備するため、県中部、東部に加え、新たに西部の下関会場を追加したところであり、今後はさらなるコンソーシアム参加企業の掘り起こしを図り、マッチング支援を強化することで、より多くの方の就業につなげていきます。 また、お示しの高等産業技術学校においては、女性の入校率が高い東部校のCAD関連科に加え、本年度から西部校に建築CAD・設計科を設置するとともに、民間委託訓練ではウェブデザインのコースを設定するなど、女性や企業のニーズを踏まえた職業訓練に取り組んでまいります。 私は、今後とも県内企業等と連携しながら、人手不足の解消や女性のさらなる活躍推進に向けて、女性デジタル人材の育成に取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 副議長(河野亨君)仙石土木建築部長。 〔土木建築部長 仙石克洋君登壇〕 土木建築部長(仙石克洋君)防災減災への取組についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、内水氾濫対策における市町との連携についてです。 県では、豪雨災害から県民の生命・財産を守るため、流域全体のあらゆる関係者が協働して水害を軽減する流域治水の考えに基づき、浸水被害の軽減に取り組んでいるところです。 お尋ねの内水氾濫対策については、市町が主体となって雨水貯留施設やポンプ場等を整備するとともに、住民の避難行動に資する内水ハザードマップの作成や周知等を行っています。 また、県では、河川の流下能力を向上させるため、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策の予算等も活用した河川改修やしゅんせつを実施するとともに、ダムによる洪水調節等も行っているところです。 こうした取組を県と市町が適切な役割分担の下で連携して行い、引き続き内水氾濫による被害の軽減を図ることとしています。 次に、土砂災害警戒区域・特別警戒区域の周知についてです。 土砂災害から県民の生命を守るためには、大雨により市町から避難情報が発令された際に、県民が迅速かつ的確に避難できるよう、適切に防災情報を提供することが重要と考えています。 このため、県では、山口県土砂災害ポータルを整備し、土砂災害警戒区域・特別警戒区域や避難場所の位置、リアルタイムの土砂災害危険度情報等を提供しています。 また、市町では、土砂災害警戒区域・特別警戒区域の情報を基に、土砂災害ハザードマップを作成し、周知を行っています。 加えて、県と市町が連携し、市報など様々な広報媒体や小学校での出前講座などを通じて、土砂災害に関する情報発信や普及啓発活動にも取り組んでいるところです。 県としては、引き続き、こうした取組を進めることにより、土砂災害警戒区域・特別警戒区域について、住民への一層の周知を図ることとしています。 副議長(河野亨君)大川総務部長。 〔総務部長 大川真一君登壇〕 総務部長(大川真一君)防災減災への取組についての御質問のうち、住家被害認定調査等に関する取組と専門士の団体等との連携についてのお尋ねにお答えいたします。 まず、住家被害認定調査等に関する県の取組についてです。 大規模災害が発生した際に、市町においては、多くの人員が必要な住家被害認定調査等に十分な人的資源を投入できないケースがあることから、県では、各市町との間で相互応援協定を締結し、状況に応じて応援職員を派遣することにより、市町の業務支援を行える体制を構築しているところです。 次に、不動産鑑定士をはじめとした専門士の団体等との連携についてです。 一部の市においては、住家被害認定調査を円滑に実施するため、山口県土地家屋調査士会など、専門士の団体と協定を締結していると承知をしています。 また、当該調査を行うに当たっては、住家の倒壊危険性を先行して調査するケースもあることから、県では山口県建築士会と応急危険度判定に関する協定を締結し、協力体制を整えています。 県としましては、民間の有するノウハウや人的資源を有効に活用することは重要と考えており、引き続き市町や専門士の団体と連携して、災害時における住家被害の調査等に適切に対応してまいります。 副議長(河野亨君)石丸健康福祉部長。 〔健康福祉部長 石丸泰隆君登壇〕 健康福祉部長(石丸泰隆君)こども誰でも通園制度についての数点のお尋ねにお答えします。 まず、防府市の試行状況について、県としてどのように捉えているかについてです。 県では、市内の実施施設を視察するとともに、利用状況や運営体制等について、事業者や市担当者と情報交換を行い、その中で利用した保護者からの「子供が同世代と遊べて、成長が感じられた」「引き続き利用したい」などの声を確認し、改めて制度の必要性を認識したところです。 一方で、事業者からは、安全に受け入れるための保育人材の確保や安定的に経営を行うための財政支援が必要との声があり、本年七月に開催した市町説明会に、こども家庭庁の職員を招き、試行状況を直接伝えるとともに、事業の円滑な実施につながるよう、市町とも知見の共有を図ったところです。 次に、試行状況を踏まえた県独自の財政支援や単価上乗せの検討についてです。 子ども・子育て支援法に基づく今後の公定価格については、国の責任において設定されるべきものであり、現行の補助単価の水準では、安定的な経営が難しいとの現場の意見も踏まえ、県では、円滑な実施に向け、十分な財政措置が講じられるよう国に要望しているところです。 次に、保育士の確保に関し、処遇改善や業務軽減策の具体的施策をどのように進めるかについてです。 県では、本制度の本格実施により、さらなる人材不足が懸念されることから、引き続き国に対して、人件費の引上げによる処遇の改善が図られるよう要望を行うとともに、業務軽減策については、ICT活用等を促す業務改善セミナーの開催や、アドバイザーによる相談支援等に取り組んでいます。 次に、小規模園や過疎地域における受皿維持のための支援策についてです。 地域の実情に応じた体制整備が進むよう、県内外の先進的な取組や好事例などについて、市町等に情報提供を行うとともに、引き続き保育士バンクを活用した保育人材の確保にも努めてまいります。 県としましては、来年度から本制度が県内で円滑に実施されるよう、市町や各事業者とも連携して取り組んでまいります。 次に、児童虐待防止対策についての数点のお尋ねにお答えします。 まず、通告があった児童の安全確認についてですが、県では国の児童相談所運営指針にのっとり実施しており、令和六年度では、明らかに緊急性に乏しい場合などの数件を除いて、全て四十八時間以内に安全確認を行ったところです。 また、二十四時間三百六十五日の相談体制についてですが、夜間や休日にも、中央児童相談所の児童支援相談員が電話による初期対応を行っており、その中で緊急性の高い事案があった場合においては、各児童相談所の職員に連絡をしてつなげ、着実に対応しているところです。 次に、お示しの親子関係再構築支援員については、今年度から、県内六か所の児童相談所それぞれに、児童福祉業務等の経験を持つ計十一名の会計年度任用職員を支援員として配置し、入所児童の家庭復帰に向けた面接の実施など、児童福祉司や心理司と共に親子への支援を行っています。 支援員には、様々な支援スキルが求められるため、支援員を対象に、良好な親子関係を築くスキルアップ研修の実施や、より実践的な研修への県外派遣などにより、支援員の育成に取り組むこととしています。 県としましては、今後とも、次代を担う子供が安心して健やかに成長できるよう、児童虐待防止対策の一層の推進に積極的に取り組んでまいります。 副議長(河野亨君)根ケ山副教育長。 〔副教育長 根ケ山耕平君登壇〕 副教育長(根ケ山耕平君)令和七年度全国学力・学習状況調査結果についての数点のお尋ねにお答えします。 将来を担う子供たち一人一人に、確かな学力を育成することは重要であり、県教委では、市町教委と連携して、学習指導の充実や学習状況の改善に取り組んできたところです。 まず、教科別正答率の全国との差異についてですが、各教科とも全国平均を上回るか、もしくは同程度の結果であり、これまでの学力向上に向けた取組の成果が現れたものと捉えています。 次に、算数・数学の基礎学力の定着状況については、国の分析と同様に、例えば、素数や関数などの用語の意味の理解に課題があると考えています。 また、記述式問題の無解答・低解答率の背景等は、児童生徒一人一人の実態や状況によって異なりますが、例えば、授業において自分の考えを説明することが苦手な児童生徒は、正答率が低い傾向があると捉えています。 最後に、ICT活用についてです。 ICTは、学びの充実に必要不可欠ですが、その使い方に偏りがあると読み書き等への悪影響も考えられることから、児童生徒の発達の段階に応じて、手書きの時間も確保しながら、バランスの取れた教育活動の充実を図ってまいります。 県教委といたしましては、今後とも市町教委と一体となって、本県教育の強みであるICT環境も生かしながら、全ての児童生徒の確かな学力の定着と向上に取り組んでまいります。