1 デジタル実装の更なる推進について 2 誰もが活躍できる共生社会の実現について 3 産業イノベーションの推進について 4 幹線道路網の整備について 5 文化財の保護と継承に向けた取組について 6 米軍岩国基地問題について 7 教育行政について
───◆─・──◆──── 日程第一 代表質問 日程第二 議案第一号から第十七号まで 議長(柳居俊学君)日程第一、代表質問を行い、日程第二、議案第一号から第十七号までを議題とし、質疑に入ります。 代表質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 友田有君。 〔友田有君登壇〕(拍手) 友田有君 皆さん、おはようございます。自由民主党の友田有でございます。 令和七年九月定例会に当たり、自由民主党会派を代表して、県政の諸課題について、知事及び教育長に質問します。 質問に先立ち、一言申し上げます。 本日、自民党総裁選挙が告示され、今、この時間に候補者の届出が行われております。今、国政では、衆参両院で政権与党が過半数を割るという大変厳しい状況にあります。 私ども自由民主党は、昨年の衆議院議員総選挙、そして、今年七月の参議院選挙で国民・県民の皆様から頂いた多くの厳しい御意見、民意を真摯にかつ厳粛に受け止め、党の信頼回復、そして再生へと歩みを進めていかなければなりません。 その第一歩として、九月二日に行われた両院議員総会において、解党的出直しを図り、国民の皆様の負託に応える真の国民政党として再生を果たしていく決意を新たにしたところであります。 今、我が国は、物価高等の国民生活に関わる課題、人口減少や地方の活力の衰退、不安定な経済情勢や安全保障環境など、幾多の国難に直面しております。 こうした中で行われるこのたびの自民党総裁選挙は、党の再起をかけた出発点になるものであり、我が国が未来に向かう新たな道筋を切り開いていく存在となる、新たなリーダーを決める場でもあります。 野党からは、総裁選により政治空白が長期にわたるという批判ありきの声も出ていますが、そうではありません。今回の総裁選は、昨年から続いてきた政治の停滞から脱却するためのものです。 今回の総裁選には、山口県選出の林芳正内閣官房長官も、不退転の覚悟を持って立候補されます。総裁選期間中に行われる公開討論会等を通じて、候補者間の議論が深まり、我が党の国政に対する責任と覚悟をしっかりとお伝えすることができ、多くの皆様にいま一度共感と信頼を持っていただけるよう、党県連といたしましても最善の努力を尽くしてまいる所存であります。 私どもは、我が国の将来、そして山口県勢の一層の発展のために、これまで以上に一致団結し、その責任をしっかりと担っていく覚悟であることを改めて申し上げ、通告に従い質問をいたします。 まず、デジタル実装のさらなる推進についてお尋ねいたします。 知事が、やまぐちデジタル改革基本方針を策定され、本県の課題解決と新たな価値創造につながるDXの創出や、市町と一体となった行政サービスの利便性向上などに取り組まれてから、五年目を迎えられました。 この間、推進拠点「Y─BASE」による専門的なサポートや、多様な主体と協働したデジタル実装等による、やまぐちDXの創出、行政サービスの利便性向上に取り組む、デジタル・ガバメントやまぐちの構築、デジタル人材の確保・育成等による、デジタル・エリアやまぐちの形成の三つの柱により、デジタル改革を精力的に進めてこられましたが、県民の皆さん一人一人がその豊かさと幸せを実感できる段階には、まだ至っていないのではないでしょうか。 コロナ禍がもたらした社会変化から本格化したこのデジタル改革ですが、我が国が直面する人口減少や労働力不足、産業力の強化、自然災害への備えや公共インフラの安全性の確保など、様々な課題を解決するための鍵となる欠かすことのできないものであり、特に課題による影響が深刻な地方においてこそ、改革の取組を深化・加速化していかなければなりません。 先日、国が公表した、デジタル社会の実現に向けた重点計画には、AIの社会実装の進展やデジタルをめぐる情勢が示されており、こういった課題や変化に対応するためにも、本県のデジタル改革の一層の深化・加速化が必要です。 また、その際、可能な限り共通の課題を一体的に解決し、市町間のデジタル改革の取組に差が生じないよう、例えば、県・市町で共同のプラットフォームを設けて、県民サービスを展開するなどの視点も大変重要です。 これまで、全国に先駆け、様々な先進的・挑戦的な取組を基にデジタル改革を進められ、また、人にやさしいデジタル社会を目指されている知事だからこそ、県政のあらゆる分野や各地域において、地に足のついたデジタル実装をこれまで以上にきめ細かく、力強く進めていただきたいのです。 そこでお尋ねします。知事は、デジタル実装のさらなる推進に向け、今後、どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、誰もが活躍できる共生社会の実現についてお尋ねいたします。 障害のある方が、住み慣れた地域で自立し、安心して生活を送り、社会参加できることは、御本人はもとより、その御家族の願いであり、そのためには、誰もが障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現を図ることが重要となります。 本年十一月には、聴覚障害者の国際スポーツ大会であるデフリンピックが日本で初めて開催されることとなっており、それに合わせて今年六月には、手話に関する施策を総合的に推進するための手話施策推進法が施行されました。 こうした状況を契機に、障害への理解促進や共生の意識が高まることを期待するとともに、その高まりをいかにして持続させるのか、継続的な取組が必要であると考えます。 県では、令和四年に、障害のある人もない人も共に暮らしやすい山口県づくり条例を新たに制定され、あいサポート運動や障害者スポーツ・文化芸術活動への参加を促進するなど、積極的に共生社会の実現に向けた取組を進めておられます。 しかしながら、近年、障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法や医療的ケア児支援法など新たな制定に加え、障害者差別解消法や障害者総合支援法の改正も実施されるなど、障害のある方とその御家族を取り巻く環境は大きく変化しております。 特に、障害のある方が様々な分野の活動に参加するためには、情報の十分な取得利用や円滑な意思疎通が必要であり、先端的な技術をはじめとする情報通信技術の活用も含め、多様な意思疎通に係る手段について利用しやすい環境づくりを推進していく必要があります。 また、医療技術の進歩を背景として、医療的ケア児が本県でも増加傾向にあり、介護を担う御家族の心身の負担を軽減するためにも、支援体制の充実を図ることが急がれるべきだと考えます。 これまでの取組に加え、こうした新たな課題解決への取組を推進していくことを通じ、障害のある方が、地域において自立した日常生活や社会生活を営むとともに、住み慣れた地域で自分らしく自己実現を図り、社会参加できるよう支援していくことが重要ではないでしょうか。 そこでお尋ねします。誰もが生き生きと活躍できる共生社会の実現に向け、今後、どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、産業イノベーションの推進についてお尋ねいたします。 米国の関税措置や物価高、ロシアによるウクライナ侵略や米中対立など、本県は先行きが見通せない、不確実性の高い経済情勢にさらされています。 こうした中、豊かで平穏な県民生活を守るためには、関税措置や物価高など当面のリスクに対応し、成長と分配の好循環による成長型経済を実現しなければなりません。そして、その鍵となるのは、世界経済情勢に翻弄されることのない足腰の強い産業力であり、すなわち本県産業の強みに立脚した成長産業の育成・集積であります。 県では、これまで、やまぐち産業イノベーション戦略に基づき、本県最大の強みであるものづくりを中心とした高度技術や産業集積を生かした産業戦略の取組を推進してきました。 瀬戸内産業の競争力強化に資する港湾、工業用水道、道路など産業インフラの充実のほか、環境・エネルギーや医療・ヘルスケア、バイオ、半導体・蓄電池など本県が伸ばすべき重点成長分野を中心に、県内企業の技術力や研究開発力の向上、企業誘致の推進等を図ってきたところであり、その結果、数々の有為な事業化案件や新規設備投資、大規模研究開発プロジェクトが芽吹き、花を開きつつあります。 そして、今、国は、今後の経済成長や社会機能の維持向上の鍵となる、地方創生二・○の実現に向け、国家戦略特区制度等を活用してGX産業立地を推進しています。 さきの六月定例会において、村岡知事は、GX戦略地域への選定を目指して積極的に取り組むと強い意思を示されました。このGX戦略地域では、ディープテック・スタートアップをはじめGX技術を活用した新規事業の創出など、脱炭素をきっかけに産業構造の転換や新たな投資の促進が期待されるものであります。 私は、県が、これまで取り組んできた産業イノベーション創出の取組の成果に立ち、新たな課題にも的確に対応しながら、さらに取組を加速化させ、本県産業を新たなステージへと押し上げてほしいと強く願っています。 そこでお尋ねいたします。現行のやまぐち産業イノベーション戦略が計画期間の後半へ突入しようとする中、県は、山口の未来を担い、世界的な経済の荒波に揺らぐことのない骨太かつ強靱な産業力の構築と、県経済の持続的な成長・発展に向け、今後、産業イノベーションの推進にどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、幹線道路網の整備についてお尋ねします。 幹線道路網は、企業の国際競争力強化及び生産性向上や交流拡大を支える礎であり、その整備促進は、本県のさらなる発展のためには必要不可欠です。 また、昨年の能登半島地震や先月の九州・山口での豪雨災害など、近年、各地で大規模な自然災害が頻発しており、こうした非常時において救急活動や緊急物資の輸送等を円滑に行うためには、信頼性の高い道路ネットワークの構築が極めて重要です。 そのため、これまでも我が会派が率先し、議会、執行部及び関係団体と一丸となり、山陰道の全線開通や、下関北九州道路の早期事業化、岩国大竹道路の事業促進など、幹線道路網の整備促進を国へ強く訴えてきました。 そうした活動もあり、山陰道については、現在県内五区間で事業着手され、先月の豪雨で通行止めとなった国道百九十一号の代替となる木与防災や、私の地元下関を通る俵山・豊田道路では、工事が目に見えて大きく進み、その他の区間でも工事に向けた調査等が着実に進んでいます。 しかしながら、現在県内の供用率は二割弱にとどまるなど、他県と比べるといまだ整備が遅れています。 この七月には、議連としても、長門─下関間の地元期成同盟会と連携し、ミッシングリンクの早期解消等を強く求める国への要望も行いましたが、引き続き、未着手区間の早期事業化や事業中区間の事業促進を働きかけていく必要があります。 また、関門地域はもとより、本県の発展に不可欠な下関北九州道路については、事業化に向け都市計画等の手続が着実に進められるなど、大詰めの段階にあります。 先日、私も、議連の副会長として、地元の関係者約四百人が参加する、整備促進大会に出席しましたが、これまで以上に早期実現に向けた地元の機運の高まりを感じ、地元の熱い思いをより一層力強く国に訴えていく必要があると痛感いたしました。 さらには、これらの道路と密接に関連する、国道二号印内─山の谷間や、県東部や県央部において県域を越えた交流を促進する岩国大竹道路、国道九号木戸山峠付近の阿東─宮野間など、他の幹線道路についても、事業促進に積極的に取り組み、全県的な幹線道路網の構築を全力で進めていくべきです。 そこでお尋ねします。本県のさらなる産業力強化や交流人口の拡大につながり、国土強靱化にも寄与する幹線道路網の整備に、今後、どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、文化財の保護と継承に向けた取組についてお尋ねします。 本県には、豊かな自然風土や歴史的な背景などにより築き上げられ、受け継がれてきた、世界に誇る文化財が多く存在しています。こうした県民の財産とも言える文化財の数々は、県民の文化的素養を涵養し、観光客誘致においても欠かせない大切な資産であります。 その中でも、萩市見島で日本古来の純血種として、日本海に浮かぶ離島の豊かな自然の中、大切に保護され、受け継がれてきた幻の和牛、見島牛は、昭和三年に「見島ウシ産地」として、国の天然記念物に指定され、二○二八年には百周年を迎えようとしています。 見島牛は、これまで紡がれてきた歴史の重みや、その希少価値、魅力、関係者のたゆまぬ努力により守られてきた貴重な文化財です。国の天然記念物への指定から百年という節目の年に向け、大切に守っていくための保護と継承の取組を進めていただくことを期待しております。 また、目下のところ、国指定の名勝である錦帯橋の世界遺産登録の実現に向け、これまで県、地元、県議会が一丸となって、悲願の達成に向けた取組に邁進していますが、こうした文化財の保護に向けた機運が、今まさに高まりを見せているところです。 こうした中、冒頭申し上げたような見島牛や錦帯橋に代表されるような、本県の先人たちが思いをはせながら後世につないできた伝統的な文化財を、この歴史的な重みや文化的な価値をも含め、余すことなく次の世代へ引き継いでいただきたいと思うのです。 そこでお尋ねします。これまで長い歴史の中で受け継がれてきた本県が誇る伝統的な文化財の数々を守り、これから先も末永く後世へとつないでいくため、県としてどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、米軍岩国基地の問題についてお尋ねいたします。 台湾周辺における中国の軍事活動の活発化や、北朝鮮の核ミサイルの開発の進展など、戦後、最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中、在日米軍は、我が国のみならず、アジア太平洋地域の平和と安定に重要な役割を果たしており、本県に所在する岩国基地もその一翼を担っていると理解しています。 本県においては、地元に様々な意見がある中で、長年にわたる議論を経て、平成二十九年に岩国基地への約六十機の空母艦載機の移駐という大きな負担を受け入れるなど、我が国の平和と安全に大きな貢献をしてきたところです。 このような中で、今月十二日、国から、米空母艦載機の着陸訓練(FCLP)を、岩国基地において今月十七日から実施するとの通告がありました。 我が会派としても、日米同盟の抑止力・対処力の強化のため、FCLPが必要な訓練であることは理解しますが、市街地と隣接する岩国基地において、FCLPのような激しい騒音被害をもたらす離着陸訓練の実施は容認できません。 そのため、今月十五日、直ちに、県及び二市二町の基地議連で構成する岩国基地問題議員連盟連絡協議会において、防衛省に対し、今回のFCLPを岩国基地において実施しないよう強く要請し、その翌日には、県と岩国市においても防衛省及び外務省に対する要請を実施されたところです。 こうした地元の強い訴えにもかかわらず、今月十七日から空母艦載機の訓練が強行され、基地周辺地域に激しい騒音が鳴り響いております。 今回の訓練により、日常的に航空機騒音に悩まされている基地周辺の住民に、さらなる負担を強いることは、到底許すことはできず、県と地元市町が一体となって、国や米側に対し、断固たる姿勢で臨んでいただきたいと思うのです。 そこでお尋ねします。県として、今も続く岩国基地でのFCLPにどう対応し、そして、今後二度と実施されないよう、どう取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 最後に、教育行政についてお尋ねいたします。 AIなどの情報技術の急速な進化や社会構造の変化などで生き方や働き方が多様化していることに伴い、誰もが将来を見通せない先行き不透明な時代になったと言われています。 教育の分野においても、子供たちが自分の将来像を描きにくい時代となる中、職業教育だけではなく、キャリア教育により、自分で未来を切り開く力を身につけ、主体的に自分の進路を選択できる子供を育成することが求められています。 県教委においては、山口県教育振興基本計画において、未来を拓くたくましい「やまぐちっ子」の育成を掲げ、その中で、全ての公立小・中・高等学校・特別支援学校等に導入したコミュニティ・スクールの仕組みを生かし、学校と家庭、地域、社会が連携・協働しながら、子供たちの豊かな学びや育ちを支える地域連携教育を推進しています。 こうした取組は、子供たちが柔軟な知識や生きた経験を学ぶ重要な機会であると同時に、地域を大切に思う心の醸成などに寄与してきたと考えています。 しかしながら、少子高齢化や若者の県外流出により、住民同士のつながりの希薄化や地域活動の担い手不足などが問題化する中、本県の将来を担う人材の確保は喫緊の課題であり、こうした課題を打破するためにも、故郷への郷土愛を超えて、地域に誇りを持ち、その地域をよくするために貢献しようとする自負心を根づかせるよう、本県の強みである地域連携教育とキャリア教育を、これまで以上に関連づけるなど、もう一歩先に進める取組が今まさに必要ではないかと思います。 自分が住んでいる地域を深く知り、生まれ育った地域に貢献したいという気持ちを醸成することができれば、若者がその地域に住み続け、少子高齢化にも歯止めをかけられるとともに、進学や就職で一度は地域を離れてしまった若者たちが、戻ってきてくれることも期待できるのではないでしょうか。 人口減少に伴う高等学校のさらなる再編整備やICTを活用した教育の進展など、本県の子供たちを取り巻く環境が目まぐるしく変化していく時代の中、明治維新から連綿と受け継がれてきた本県教育の底力を取り戻し、本県の将来を担う人材の育成のため、我が党としても、今こそ一丸となって、子供たちの教育の充実に本気で取り組んでいく所存です。 そこでお尋ねします。ふるさと山口の将来を担っていく子供たちの教育について、新たな時代に対応した人材の育成に、県教委として今後どのように取り組んでいかれるのか、教育長の御所見をお伺いして、自由民主党会派を代表しての質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)友田議員の代表質問にお答えします。 まず、デジタル実装のさらなる推進についてのお尋ねです。 人口減少の影響が年々深刻さを増す中、県民生活を支える公共サービスを維持し、地域経済の活性化を図っていくためには、デジタルの活用を積極的に進め、その可能性を最大限引き出していくことが極めて重要です。 このため、私は、県政の様々な分野で、デジタル実装の取組をスピード感を持って進めており、その結果、中山間地域で通信端末や診療機器等を備えた車両を巡回させる新たな医療提供体制モデルの構築や、市町における書かない窓口の普及など、目に見える成果が現れています。 しかしながら、多くの県民に、デジタルによって社会や暮らしが変わったと実感していただける社会を実現していくためには、県民ニーズを起点にした、デジタル実装の取組を、デジタル実装推進基金を活用しながら、さらに強力に進める必要があります。 今年度は、自動運転の実証において、障害物の自動回避や車両と信号との連携などの機能を新たに取り入れ、レベル四での運行を目指す段階へとステップアップさせていきます。 また、遠隔診療の技術を用いて、中核病院の医師が、中山間地域の病院での夜間当直を代行する実証や、潮位や降雨の情報を基に、AIが川の水位を予測して樋門を管理するシステムの実証など、新たな取組も開始します。 こうした中、お示しのように、国において社会全体へのAI実装を促進する方向性が示され、課題を多く抱える地方でこそ、率先して取組を進めていかなければなりません。 このため、県では、「Y─BASE」にAIの専門人材を配置し、生成AIを活用した課題解決の先進モデルの創出に取り組むとともに、生成AIを使いこなせる人材の育成を進めていきます。 また、庁内においても、新たな生成AIサービスを利用して、業務におけるAI活用の幅を広げる実証に着手しており、生産性向上につなげてまいります。 さらに、県全体で、デジタルを活用した共通課題の解決やサービスの底上げを図っていけるよう、専門家派遣による市町支援の取組を開始するとともに、AI議事録作成ツールや電子申請システム等の市町との共同利用を進めているところであり、今後は、取組の高度化や拡大に努めていきます。 私は、本県が抱える様々な課題をデジタルの力を使って乗り越え、県民誰もが豊かさと幸せを実感できるよう、AIの活用をはじめとするデジタル実装のさらなる推進に全力で取り組んでまいります。 次に、誰もが活躍できる共生社会の実現についてのお尋ねにお答えします。 私は、誰もが障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現していくことが重要であると考えています。 このため、やまぐち未来維新プランにおいて、誰もがいきいきと輝く地域社会実現プロジェクトを掲げ、障害のある方の地域生活の支援と社会参加の拡大に積極的に取り組んでいるところです。 まず、地域生活の支援については、障害に対する県民の理解を促進し、障害のある方へのちょっとした手助けや配慮を実践する、あいサポート運動を幅広く展開するとともに、手話通訳者や要約筆記者を養成・派遣するなど、意思疎通支援の充実に努めています。 また、社会参加の拡大については、障害のある方の経済的自立等に向けた一般就労への移行支援などを行うとともに、本県の障害者スポーツの祭典であるキラリンピックの開催やトップアスリートへの支援など、障害者スポーツの推進にも取り組んでいます。 こうした中、お示しのとおり、最新の情報通信技術も含めた多様な意思疎通手段の活用の促進や、医療的ケア児とその家族の負担を軽減する環境の整備など、新たな課題への対応が求められているところです。 このため、障害のある方がデジタル機器を活用して暮らしの利便性を享受できるよう、県内二か所にICTサポートセンターを設置し、機器の利活用に関する相談への対応や講習会の開催などにより、障害特性に応じて日常で役立つ情報を入手できる環境の充実に取り組むこととしています。 また、聴覚に障害のある方が、手話により必要な情報を獲得し、意思疎通を円滑に行うことができるよう、山口県手話言語条例に沿って、手話の普及や習得機会の確保に努めており、このたびの手話施策推進法の施行を契機に、県民の理解と関心を深めてまいります。 さらに、医療的ケア児とその家族が安心して生活できるよう、医療的ケア児支援センターにおいて、養育に関する家族からの相談に応じ、きめ細かな支援につなげるとともに、身近な地域で利用できるレスパイト施設等の増加を図るなど、支援体制のさらなる充実に努めてまいります。 私は、今後とも、市町や関係団体等と連携しながら諸施策を総合的に推進し、障害の有無等にかかわらず、誰もが活躍できる共生社会の実現に向け、全力で取り組んでまいります。 次に、産業イノベーションの推進についてのお尋ねにお答えします。 米国の関税措置や物価高など、経済の不確実性が高まる中、県経済の持続的な成長を実現するためには、ものづくりを中心とする高度技術や産業集積など、本県産業の強みを生かし、地域の活力源である強い産業力をつくることが重要です。 このため、私は、やまぐち産業イノベーション戦略に基づき、重点成長分野である環境・エネルギーや医療、半導体・蓄電池等関連産業の育成・集積に積極的に取り組んでいるところです。 まず、関連産業の集積に向けては、私自らが先頭に立って誘致活動を展開した結果、設備投資額が二年連続で過去最高となったほか、本年は、過去最大の投資となるマツダ株式会社の新工場の建設が決定されるなど、大きな成果が生まれています。 次に、新事業創出に向けては、まず、環境・エネルギー分野において、県内の水素関連企業が産業技術センターと協働し、県が開発を支援した製品・技術を組み合わせた低コストな水素サプライチェーンの構築に取り組んでおり、先日、国の大規模な実証事業に採択されたところです。 また、県の補助制度等を活用して、医療分野では、山口大学を中心にがん免疫細胞療法や細胞培養関連技術など、最新の研究開発が進展しているほか、半導体分野においても、新たな素材を用いた次世代の半導体基板の開発など、最先端の研究開発プロジェクトが始動しています。 県としては、企業や大学、関係機関等との緊密な連携の下、重点成長分野における研究開発・事業化に向けた動きをしっかりと支援するとともに、企業誘致活動を積極的に展開し、関連産業の育成・集積を強力に推進していきます。 こうした取組に加え、産業分野の脱炭素化に向けて、お示しのGX戦略地域において、GX経済移行債による予算措置と特区制度を活用した規制改革が一体的・集中的に行われるとされており、その選定が起爆剤となり、本県経済を大きく伸ばす絶好の機会になると考えています。 このため、現在、金融機関や投資会社と共に、新事業創出・育成タスクフォースを立ち上げるなど、選定に向けた準備を鋭意進めているところであり、他地域との競争に打ち勝つことのできるGX型コンビナートへの転換に向け、積極果敢に取り組んでまいります。 私は、本県産業の強みを生かし、新たな課題にも的確に対応しながら、産業力の一層の強化と県経済の持続的な成長・発展に向け、産業イノベーションの推進に全力で取り組んでまいります。 次に、幹線道路網の整備についてのお尋ねにお答えします。 私は、安心で希望と活力に満ちた山口県を実現するためには、お示しのように、企業の国際競争力の強化や生産性の向上、交流の拡大に資する幹線道路網の整備が必要不可欠と考えています。 また、先月の豪雨の際には、中国道をはじめ、幹線道路が長時間にわたり通行止めとなったことに伴い、県民生活や経済活動に大きな影響が生じたことも踏まえ、大規模災害時にも機能する、信頼性の高い道路ネットワークの構築は極めて重要と考えています。 このため、私は、やまぐち未来維新プランに、強みを伸ばす産業基盤の整備や、防災・危機管理対策の強化を掲げ、地元期成同盟会等と連携し、幹線道路網の整備に積極的に取り組んでいるところです。 具体的には、山陰道については、政府要望等あらゆる機会を通じて、俵山・豊田道路などの事業中区間の整備促進と、豊田─下関間などの未着手区間の事業化を国に求めているところであり、引き続き、全線の早期整備に向け、精力的に取り組んでいく考えです。 また、下関北九州道路については、都市計画や環境影響評価の手続のうち、現在、最終段階に当たる評価書の確定に向けた調整を行っており、大詰めの段階を迎えています。 こうした中、先月、北九州市で開催した整備促進大会では、地域の代表の方々から、当該道路がもたらす関門地域の魅力の高まりに期待する意見が述べられ、私としても、沸き上がる地域の期待に応えるため、早期事業化に向けた取組を、一層力強く進めていく必要があると感じたところです。 このため、私は、一日も早い都市計画決定を目指すとともに、切れ目なく事業化へとつながるよう、当該道路では初となる東京都内での整備促進大会を十一月に開催し、一人でも多くの国会議員や国土交通省幹部に対し、地域の熱い思いを直接訴えてまいります。 さらに、国道二号印内から山の谷間については、事業中の印内地区交差点改良の早期完成や、都市計画手続中の長府トンネル四車線化の早期事業化、また、岩国大竹道路や国道九号木戸山峠道路改修などの整備促進を国へ強く働きかけていく考えです。 私は、本県の活力の源となる産業力の強化や交流の拡大、さらには、安心・安全な地域社会の構築に向け、引き続き、県議会の皆様方のお力添えを頂きながら、その基盤となる幹線道路網の整備に全力で取り組んでまいります。 次に、文化財の保護と継承に向けた取組についてのお尋ねにお答えします。 文化財は、地域の歩みとその中で醸成された伝統や文化の象徴であるとともに、県民の誇りであり、過去と未来をつなぐかけがえのない財産であることから、これを保護し、次世代に確実に引き継いでいくことが重要であると考えています。 このため、私は、文化財を保存・活用するための総合的な指針である、山口県文化財保存活用大綱に基づき、文化財に関わる方々と連携・協力しながら、地域一体となって、文化財の保護と継承に向けた取組を推進しているところです。 具体的には、まず、文化財の調査や指定を進めるとともに、国や市町等と連携して、指定文化財等の適時適切な保存修理を実現するため、経費の補助や技術的助言等を行っており、国宝瑠璃光寺五重塔の改修への支援など、文化財の保護を進めています。 また、お示しの天然記念物「見島ウシ産地」については、貴重な血統を守り続けるため、萩市と保存団体が連携し実施している牛の飼育や健康管理などを引き続き支援するとともに、指定百周年の節目を控え、見島牛の魅力や生産者の取組について広く情報発信を行うなど、保護と継承に向けた機運醸成等を図ってまいります。 さらに、文化財をそれぞれの特徴を生かした観光コンテンツとして造成し、それによって生み出される収益を修復等に還元する持続可能な仕組みづくりを、下関市など県内六か所で進めているところです。 次に、文化財への理解促進を図るため、次世代を担う子供たちをはじめ、県民に対してその価値や魅力を分かりやすく伝える出前講座や修理体験講座等を実施するとともに、ウェブサイト等により、国内外へ向けた幅広い情報発信を行ってまいります。 加えて、世界遺産を目指す錦帯橋については、県議会や地元岩国市等と一体となって、登録の実現に向けた国への要望活動を行うとともに、国際シンポジウムの開催等により、歴史的・国際的価値のさらなる理解増進を図っていくこととしています。 私は、今後とも、国や市町、関係団体等と連携しながら、本県の伝統や文化の象徴であり、県民の宝である文化財の保護と継承に積極的に取り組んでまいります。 次に、米軍岩国基地問題についてのお尋ねにお答えします。 私は、岩国基地に関わる諸問題に対して、国の外交・防衛政策を尊重し、これに協力する一方で、県民の安全で平穏な生活を確保する立場から、国に対して言うべきことは言うとの姿勢で対処しているところです。 こうした中、お示しのように、今月十二日、国から、空母艦載機による着陸訓練(FCLP)を、今月十七日から二十六日までの間、岩国基地で実施するとの説明がありました。 県では、航空機のタッチ・アンド・ゴーの繰り返しにより、基地周辺住民に激しい騒音被害をもたらすFCLPについて、岩国基地での実施は認められないことを基地問題に対する基本姿勢としており、これまで、あらゆる機会を通じて、岩国基地でFCLPを実施しないことや、予備施設に指定しないことを国や米側に求めてきたところです。 国から、硫黄島の噴火により、岩国基地で実施せざるを得ず、騒音の影響を最小限とするよう米側に申し入れたとの説明がありましたが、日常的に航空機騒音に悩まされている基地周辺住民に、一層の負担を強いるものであり、到底容認できません。 このため、県では、今月十六日、直ちに地元岩国市と共に、防衛省や外務省等を訪問し、各大臣に直接、FCLPを岩国基地で実施しないよう、強く要請したところです。 しかしながら、地元からの強い要請にもかかわらず、今月十七日から訓練が実施されていることは、大変遺憾であります。 県では、岩国市と連携して、訓練回数や騒音状況等の把握に努めるとともに、繰り返し、国に対して、米軍に訓練中止を求めるよう、強く要請しているところです。 私自身、先週、現地に赴き、FCLPの状況を確認し、激しい騒音を実感したところであり、基地周辺住民が強いられている、この大きな負担を、国や米側にしっかりと伝え、岩国基地で二度と実施しないよう強く求めていく考えです。 私は、引き続き、地元市町や基地議連と一体となって、県民の安全で平穏な生活の確保に向けて、全力で取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)教育行政についてのお尋ねにお答えします。 生成AIによるデジタル分野の急速な技術革新など、社会が大きく変化し、将来の予測が困難な時代を迎えている中、高い志を持ち、多様な人々と協働しながら、主体的に自分の進路を選択できる児童生徒の育成は、重要であると考えています。 このため、県教委では、児童生徒が夢や目標を持ち、一人の社会人として自立できるよう、小・中・高等学校等の連携による体系的・系統的なキャリア教育を推進してきたところです。 また、郷土への誇りや愛着を育むとともに、子供の豊かな学びや育ちを実現するため、コミュニティ・スクールの強みを生かして、学校と家庭、地域、社会の連携・協働による地域連携教育を、全国に先駆けて展開してきました。 こうした中、お示しのように、少子化の進行や、若者の県外流出により、地域の担い手不足が深刻化しており、郷土への誇りと愛着を一層育み、本県の未来に貢献したいという気持ちを持つ児童生徒を、ふるさと山口の創り手として育成していくことが、ますます重要となっています。 このため、県教委では、今年度から、児童生徒がふるさと山口を大切にする気持ちを持って、主体的に地域づくりに参画しようとする心意気を、やまぐちPRIDEという合い言葉で表し、その下でキャリア教育と地域連携教育を一体的に推進することにより、地域との関わりの中で、自己の在り方や生き方を考えさせる教育活動を展開しているところです。 具体的には、小中学校では、高校や地域産業等と連携・協働した探究的な活動や、職場体験学習を通して、児童生徒が、高校生の学びに向かう姿や、地元企業等で働く方々の生き方などの魅力に触れることで、憧れの連鎖が生まれる取組の充実を図っています。 また、県立高校では、県内の大学、企業等と連携し、各地域の活性化をテーマとした探究学習や、カーボンニュートラルに取り組む企業での研修・現場実習などを実施し、高度で専門的な知識・技術の習得とともに、地域課題や地元企業の活動に理解を深める取組を推進しています。 今後は、やまぐちPRIDEの合い言葉の下、子供たちが主体的に地域課題の解決に向けた取組に参画し、大人たちに自分の思いや考えを伝えたり、ふるさと山口の未来に向けた提案をしたりするなど、社会参画や地域貢献の意識を高める教育活動を充実させていきたいと考えています。 県教委といたしましては、知事部局や市町教委、産業界等と緊密に連携しながら、小・中・高等学校等の縦のつながりと、学校と地域、社会との横のつながりを一層強化することで、新たな時代に対応できるふるさと山口の創り手の育成に全力で取り組んでまいります。