1 地域公共交通計画について 2 国定公園の持続可能な保全と活用について 3 伝統文化の継承について
副議長(河野亨君)中本喜弘君。 〔中本喜弘君登壇〕(拍手) 中本喜弘君 皆様、こんにちは。自由民主党の中本喜弘です。通告に従い、順次質問させていただきます。 最初に、地域公共交通計画についてお尋ねします。 地域公共交通計画とは、地域の実情に合った公共交通、いわゆるバス、鉄道、デマンド交通などを持続的かつ効率的に運行、維持していくための総合的な計画であり、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律、通称地域公共交通活性化再生法に基づいて、市町村や都道府県が中心となって策定します。 この法律の目的は、地方の公共交通を維持・再生し、地域の活性化や住民の生活を守るために、自治体や交通事業者などが主体的に地域公共交通計画を立てて実行することです。 令和五年に法が改正され、その主なポイントは、ローカル鉄道の再構築協議会の創設、地域の実情に合わせた多様な交通サービスの連携促進、まちづくりとの一体的な推進、データに基づいたPDCAサイクルの強化、そして協議運賃制度の導入であり、公共交通を持続可能なものにし、利用者の利便性を向上させることを目指しています。 山口県内では、一町を除く十八市町が策定しています。しかし、県土の約七割が中山間地の我が県の現状を見ますと、市町域単独や隣接市町と連携したとしても、計画策定や実行、補助金申請には多くの困難があり、今後もその傾向はさらに強まっていくと想像できます。 このたび、JR美祢線のBRT化での復旧については、山口県が山陽小野田市、長門市、美祢市の沿線三市と共に広域的に法定協議会を立ち上げられ、地域公共交通計画の策定に主導的に関わることは大きな前進と言えます。 全国的には既に多くの都道府県が主導し、全域もしくはブロックに分けて、地域公共交通計画を策定していますが、山口県による計画はいまだに策定されていません。 そこで、都道府県全域で作成する主なメリットを挙げて、その必要性を説明していきたいと思います。 まず一番に、広域交通ネットワークの最適化が行えることです。 市町村をまたぐ交通、幹線バス・鉄道などを県が調整でき、県全体として、都市間・地域間のつながりを整理し、路線の重複や空白を防げます。 その例として、県境を越える幹線バス・鉄道路線の維持方針を県が一括で定められるとして、鳥取県では県を三ブロックに分け、幹線系統を県で調整しており、地域間の連携が向上したとのことです。 次に、市町村の計画づくりを支援できることが挙げられます。小規模自治体では、職員・ノウハウ・予算不足で単独策定が困難であり、県が全域計画をつくることで、共通方針、テンプレート、データなどの提供を行い、各市町村の個別計画づくりを後押しできます。 また、市町村間での計画内容のばらつきを防ぐ効果もあり、青森県では県が全域計画を策定し、各市町村計画の基礎資料、方向性を共有しています。 次に、財政支援や国の補助金申請が円滑になることが挙げられます。国交省の補助金、例えば地域公共交通確保維持改善事業は、法定計画に基づく施策を優先支援する仕組みであり、県計画があれば、市町村単位の計画や実証実験が国の補助対象に乗せやすくなります。 複数自治体の連携プロジェクト、共同運行、複数の交通手段を移動ニーズに合わせ、一括で検索、予約、決済が行えるMaaS導入なども、県が代表して申請が可能となります。熊本県では、県計画に基づく幹線系統維持事業で、複数市町村の補助採択を実現しています。 次に、交通データの一元管理・分析が可能となります。県単位で計画をつくると、人口、利用実態、運行データを統一フォーマットで集約でき、交通の現状把握や、再編効果の検証が科学的、効率的に行えます。 これにより、将来的なデジタル交通政策、先ほどお話ししたMaaSやAIオンデマンド交通への展開が容易になります。奈良県では、県全域のデータを可視化し、エリアごとに運行改善を検討しています。 最後に、交通、福祉、防災などの分野連携が進むとして、県レベルの計画なら福祉施策、観光施策、防災輸送計画などとの横断的な整合が取りやすいことが挙げられ、高齢者の移動支援や避難時輸送など、複数分野の連携を交通政策と一体で進められるメリットがあります。愛媛県では、地域交通と医療・福祉の移動支援ネットワークを連携させた計画を策定しています。 このように、県全域で地域公共交通計画を作成することは多くのメリットがあり、中山間地域が県土の約七割を占め、人口減少や少子高齢化が進行する我が県にあっては、部門横断的に県民福祉の向上に取り組むことは、行政経営の合理性・効率性を向上させ、さらに観光客を県全域で迎え、県内周遊を力強く促す、県全域を視野に入れた二次交通網の整備は、裾野の広い観光産業の振興による経済発展と人流による地域活性化を目指すことができます。 山口県を訪れる多くの外国人観光客も、長期休暇で時間的余裕があるためか、バスなどの公共交通を利用して移動しており、インバウンド客の県内周遊対策にもつながっていくと考えます。 県全域の地域公共交通計画を策定することは、このように多くのメリットがあり、早急に山口県として取り組むことを提案いたします。 そこで、知事の御所見と、今後、どのように取り組んでいかれるのかをお伺いいたします。 さきに述べたJR美祢線のBRT化に伴う法定協議会である美祢線沿線地域公共交通協議会は、山口県の主導の下、山口県、長門市、美祢市、山陽小野田市等で構成、十月七日に設置、十月二十日に第一回会議が行われました。このことは、今後、地域公共交通政策を県全域で考えていく上で重要な一歩であると考えます。 御案内のとおり、この地域は山陽小野田市の新幹線停車駅JR厚狭駅がゲートウェイとなり、秋吉台に代表される観光地の美祢市を通り、北浦の観光を担う長門市へと向かう山陰・山陽、県の南北を結ぶ重要なルートであることは、村岡知事や、この法定協の会長である平屋副知事のそれぞれの発言からも、十分御認識いただいていると思います。 二次交通の再構築は、県民の利便性の向上はもとより、観光振興にも重要な意味を持ちます。来年秋のJRと連携して開催される山口デスティネーションキャンペーン「万福の旅 おいでませ ふくの国、山口」等で観光客誘致を図ることは入り口であり、その後、県内を戦略的にどう周遊してもらうか、県全域で移動手段の選択肢を増やし整えていくことが重要であり、県の積極的なリーダーシップの下、進めていただきたいと思います。 さきの自由民主党山口県連の移動政調会で、この三市の新年度要望の中でも、新規重点要望、継続要望として、それぞれ説明がありました。 要点を説明しますと、早期開通、復旧に係る沿線三市への国・県の財政支援、厚狭川の河川改修と定期的な河川しゅんせつ等の適切な維持管理、観光ルートとしての未来感、刷新感あるBRT化、駅周辺のまちづくり等への運行事業者であるJR西日本の応分負担、厚狭駅への新幹線さくら等の停車などがその内容です。 他県の復旧事例を簡単に紹介しますと、平成二十三年の豪雨災害で甚大な被災を受けた只見線、福島・新潟二県では、復旧費については国制度を活用し、補助対象外工事分は県が大半を負担し、運営費についても県が七割を負担し、令和四年に全線復旧しています。 令和二年の大規模災害で被災した肥薩線、熊本・宮崎・鹿児島三県では、復旧費を県と市町村の割合を一対一としていましたが、県が二十五億三千万円を全額負担、運営費については地元市町村負担を年五千万円とする方針で、全体では七億四千万円かかる見込みとし、長期的な復旧に取り組んでおられます。 これらの事例は、県、国、JRが復旧費用を負担し、被災自治体単独では到底負担し得ない復旧費用を、県の強力な関与と国の財政措置を引き出すことで、鉄道、地域交通インフラを守り抜いた事例です。 また、BRT(バス高速輸送システム)で注目を集めているのは茨城県日立市で、BRTで国内初の一部区間中型バスによる自動運転レベル四での営業を開始しているように、先進的なBRT導入事例も全国に増えつつあります。 そこでお尋ねします。村岡知事は、将来的な山口県全体の地域公共交通政策の重要性に鑑み、どのような姿勢で臨まれ、県として地元自治体の早期開通、復旧に係る沿線三市への国、県の財政支援、厚狭川の河川改修と定期的な河川しゅんせつ等の適切な維持管理、観光ルートとしての未来感、刷新感あるBRT化、駅周辺のまちづくり等への運行事業者であるJR西日本の応分負担、厚狭駅への新幹線さくら等の停車等、それぞれの要望にどう応えていかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、国定公園の持続可能な保全と活用についてお伺いいたします。 山口県には、本県を含む十県にまたがる瀬戸内海国立公園があり、そのほか三つの国定公園があります。それぞれが独自の自然景観や地形を有し、観光や自然探訪に適したスポットで、瀬戸内海国立公園は多島美が魅力の自然公園です。 国定公園は、昭和三十二年に国立公園法が廃止され制定された自然公園法の対象で、この法では優れた自然の風景地を保護するとともに、その利用の増進を図ることにより、国民の保健、休養及び教化に資するとともに、生物の多様性の確保に寄与することを目的としています。国立公園に準ずる国定公園はもとより、都道府県立自然公園も対象に含まれます。 山口県では、昭和三十年に北長門海岸国定公園が指定され、平成九年に旧西長門海岸県立自然公園が編入され、約九十キロにわたる海岸線が続き、萩市、阿武町に下関市、長門市の海岸線は、透明度の高い海と白い砂浜が特徴で、ドライブや海水浴に人気のスポットです。 同年指定された秋吉台国定公園は、日本最大のカルスト台地で、広大な石灰岩の台地が広がり、秋芳洞などの鍾乳洞もあり、特色ある景観で有名です。秋芳洞は国内第二位の長さを誇る鍾乳洞で、年間を通じて安定した温度、約十七度で観光することができます。 そして、昭和四十四年に西中国山地国定公園が指定され、特徴として中国山地の西側に広がる山岳地帯で、寂地峡、三段峡、匹見峡に代表される豊かな自然と多様な動植物が生息しています。山口県、広島県、島根県と三県にまたがる自然公園で、登山やハイキングに適したコースが多く、四季折々の自然を楽しめます。 そのほか、羅漢山、石城山、長門峡、豊田の四つの県立自然公園があり、合わせると八か所となります。国立公園と国定公園の違いとして、国立公園は国が管理し、国定公園は都道府県の管理とされています。 そこでまず、県として、国定公園の保全と活用にこれまでどのように取り組まれているのか、お尋ねをしたいと思います。 次に、秋吉台国定公園について、具体的に質問いたします。 さきに述べたように、秋吉台は、その景観の特異性と県中部に位置し、多くの観光客が訪れ、山口県の観光振興にも大きく貢献しています。また、文化財保護法により学術上価値が高いとして、秋芳洞は昭和二十七年、秋吉台は昭和三十九年にそれぞれ国の特別天然記念物にも指定されています。 平成十七年には、秋吉台地下水系としてラムサール条約湿地に登録され、さらに本年九月、山口県の多大なる御支援もあり、Mine秋吉台ジオパークがユネスコ世界ジオパーク・カウンシル会議で承認勧告が決定し、来春には美祢市の長年の夢が実現し、ユネスコ世界ジオパークに認定される見込みです。 カルスト台地である秋吉台は、毎年行われる山焼きによって景観が保全されており、ほかの自然公園とは保全の方法が大きく異なっています。山焼きは伸びた雑草を燃やして、新芽を育て、家畜の餌や水田の肥料のための採草や放牧の目的のため、約六百年前から行われていたとされ、集落単位で火入れを行ってきました。 現在では、秋吉台国定公園の景観を守るため、また、学術的価値の高い特別天然記念物秋吉台・秋芳洞を次世代に引き継ぐため、毎年二月に約千百三十八ヘクタールに火を入れています。この山焼きにより、草原の維持、森林化防止、貴重な植物や昆虫等の生息環境の保全、倒木等による石灰岩の毀損を防止しています。 秋吉台のすばらしい景観は、こうした人の手によって守られてきました。しかしながら、山焼きの前に延焼防止のため、五メーター幅以上、延長約十七キロ、急傾斜や石灰岩が突き出た場所等で防火帯を作る火道切りに、多数の人手を介して草刈り等の大変な作業を行う必要がある上、その後の天候に左右されて火入れが何度も延期になる場合も含め、苦労を重ねて山焼きを実施しています。 この作業も人口減少と高齢化により、地域住民にとっては大きな負担となり、年々対応が困難になっています。火道切りボランティアとして、地元小・中・高校生を含め、多くの皆さんが支援してくださり、何とか持ちこたえていますが、このような状況が進んでいけば、このすばらしい秋吉台の自然景観を次の世代に残していくことはできなくなります。その解決策として、別の手だてを考えていくことが急務と思います。 先日、ラジコン草刈り機での火道切りの実証実験が行われたと報道されましたが、刈り取った草の除去、急傾斜や石灰岩の露出など対応が難しく、課題も多いとのことでした。 しかしながら、課題解決に向けてあらゆる手法を実証し、善処していかなくてはならないと思います。自然公園法や文化財保護法等の関係法令に加え、学術的見地等からの検討が必要と思いますが、合併前の秋芳町の時代には、県の御協力も頂きながら、関係省庁との協議などを行い、周辺地区から秋吉台の火道切りの作業箇所まで車で乗り入れるための作業連絡道等を設置した経緯もあります。例えば、常設の防火帯の設置などにより山焼きの負担軽減を図ることで、持続的な保全と活用につなげることができるのではないかと思います。 私が美祢市教育長時代に、特別天然記念物を所管する文化庁の指導の下、県の御協力も頂き、特別天然記念物としての秋吉台の価値を維持しながら、観光振興や地域づくりなどにも活用することを目的に、特別天然記念物秋吉台保存活用計画を策定しました。このときに国の方針も、自然保護一辺倒の施策から活用も含めた施策に大きくかじを切ったことを実感し、持続可能な保全策の確立へ希望が湧きました。 今年二月の定例会で、自然公園のさらなる魅力向上について質問いたしましたが、県におかれては、現在、秋吉台ビジターセンターのアップデートに取り組んでおられます。 さらに、アウトドア拠点施設整備への財政支援、村岡知事、篠田市長、インフルエンサーと共に、私も体験した秋芳洞未公開エリアのケイビングツアー、Eバイクによる台上ツアーなど付加価値の高い商品造成やその周知に対する支援など、積極的に魅力向上に取り組んでおられ、雄大な秋吉台の保全とさらなる活用を期待しているところです。 そこでお尋ねします。世界に認められる国民の財産であり、山口県の観光資源としても大切な秋吉台を未来へ継承していくため、県では、今後、どのように秋吉台国定公園の保全と活用に取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 最後に、伝統文化の継承についてお尋ねします。 日本の伝統文化と聞いて思い浮かぶのは、華道、茶道、書道、能、歌舞伎、和食、祭りや伝統工芸など、私たちの暮らしの中には、長い歴史の中で受け継がれてきた多くの伝統文化が息づいています。 今議会も、昨年十二月に国の無形文化財に登録された華道では、山口県いけばな作家協会、松原会長ほか先生方の御協力により、議会棟一階ロビーにすてきな生け花の作品が展示され、心和むすてきな空間を醸成してくださっています。こうした伝統文化は、長年にわたり日本人の美意識や礼儀、自然との調和の心を育んできました。 しかし、現代ではその継承が大きな課題となっています。 まず、現状として、国や自治体では文化庁を中心に様々な取組が行われています。例えば、文化庁の伝統文化親子教室では、子供たちが華道、茶道や和太鼓などを体験する教室を全国三千か所余りで開催され、学校教育の中でも和楽器や書道等が取り入れられるようになっています。また、SNSや動画を通じて伝統文化を紹介する若者も増えており、少しずつ関心が広がっています。 しかし、その一方で、深刻な課題もあります。最大の課題は、後継者不足です。伝統芸能や伝統工芸の世界では、収入の不安定さや厳しい修業環境のため、若い人がなかなか継ごうとしません。地方では、担い手がいなくなり、何百年も続いた祭りが途絶える例もあります。 さらに、生活の洋風化やデジタル化が進み、着物を着たり、和室で暮らしたりする機会が減ったことで、日常生活から伝統文化に触れる機会が減ってしまいました。また、多くの保存会や職人が資金難や活動場所の確保に苦しんでいるのも現実です。 こうした中で、まず、若い世代が伝統文化に触れる機会を増やすことが必要です。学校や地域で体験学習を行い、文化を教わるだけでなく体験することで、興味を持つきっかけになります。 私の中学校時代を振り返ると、当時は華道、茶道、書道、将棋等が正課クラブ活動として行われ、日本文化を学び、体験する機会になっていました。 次に、デジタル技術の活用も重要です。伝統芸能の映像を配信したり、VRで体験できるようにしたりすることで、国内外に広く魅力を伝えることができます。日本の伝統文化は、ただ古いものではなく、今の私たちの心を豊かにし、世界に誇れる文化です。守るだけではなく、新しい形で伝えていくことが、これからの時代の継承だと考えます。 山口県にも、古くから地域に根差した伝統芸能や伝統工芸が多く存在し、私たちの暮らしや郷土の誇りを支えてきました。しかし、近年、それらを次の世代に引き継ぐことが難しくなっており、継承の仕組みづくりが大きな課題となっています。 まず、地域に伝わる伝統芸能についてです。山口県には、岩国の岩国南条踊や山口市の鷺の舞、そして周防大島の久賀のなむでん踊、地元美祢市でも別府弁天様の別府念仏踊など、山口県無形民俗文化財に指定され、地域ごとに特色ある行事や踊りが受け継がれています。 例えば、周防大島町では、地域の人々が保存会をつくり、小学生を対象にした伝承教室を開いています。子供たちは地域の指導者から直接、踊りや太鼓のリズムを学び、地域の祭りで発表しています。このように地域と学校が協力して、次の世代に伝える取組が広がりつつあります。 一方で、課題もあります。担い手の高齢化が進み、指導できる人が減少していること、また、地域の人口減少により、祭りや行事を続けるための人手や資金が不足していることです。やりたい人がいても、指導者も場所もないという地域も少なくありません。つまり、伝統芸能の継承には、地域の思いと継続できる体制の両方が必要だと言えます。 次に、伝統工芸についてです。山口県を代表する工芸品には、萩焼、大内塗、赤間硯などがあります。いずれも長い歴史と高度な技術を持ち、県内外にファンが多い伝統産業です。 しかし、現状を見ると、後継者不足や需要の減少が深刻です。例えば大内塗では、現在活動している事業者が僅か五軒、後継者がいるのは、そのうち二軒だけとされています。生活スタイルの変化や安価な代替品の普及により、漆器は高価で扱いにくいと敬遠される傾向もあります。 一方で、新しい試みも生まれています。若手職人がデザインを工夫して、現代の食卓に合う商品を開発したり、クラウドファンディングで資金を集めたりと、伝統技術を守ろうとする動きも出ています。また、工芸体験教室や展示販売の機会を増やすなど、地域全体で工芸の魅力を再発信する取組が進んでいます。 それでも、課題は、安定した後継者の育成と市場づくりです。伝統文化を生活の中の文化としてどう位置づけていくかが、今後の鍵となります。 こうした中で重要なのが、学校教育との連携です。県教育委員会では、山口県伝統・文化教材集やふるさと学習カリキュラムを整備し、学校で地域文化を学ぶ機会を増やしています。また、山口県学校芸術文化ふれあい事業では、伝統芸能団体が学校を訪れて実演や体験授業を行う取組も進められています。 このように、教育現場が地域文化を学ぶ場となることで、子供たちが地元文化を知り、誇りを持つきっかけになります。ただし、実施できる学校とそうでない学校には地域差があり、指導者の確保も課題です。今後は、地域、学校、行政が連携して、より持続的に学びを続けられる仕組みづくりが求められます。 これからの伝統文化の継承には、次の三つの視点も大切です。 見学や体験で終わらせず、子供や若者が継続的に関われる場をつくる体験型から参加型への移行。映像やVRで技術を記録し、オンラインで学べる環境を整えるデジタル技術の活用。職人や保存会、教育現場、行政が協働し、地域ぐるみで文化を守る地域・産業・学校の連携の視点が重要と考えます。 山口県の伝統文化は、芸能も工芸も、地域の人々の努力によって今も息づいています。 しかし、後継者不足や地域の衰退といった課題を乗り越えるには、地域の力と教育の力の両方が必要と考えます。県民一人一人が、地元の文化に興味を持ち、関わっていくことこそが、未来への継承につながります。 こうした観点から、県と県教育委員会の双方に、山口県における華道や茶道、書道、能、和食、祭りや伝統工芸など、私たち日本人のアイデンティティーを形成する伝統文化を次の世代に継承する上で、現状の取組と課題、横断的連携についての御所見と今後の取組についてそれぞれお伺いし、私の一般質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 副議長(河野亨君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)中本議員の御質問のうち、私からは、伝統文化の継承についてのお尋ねにお答えします。 本県において古くから受け継がれてきた伝統芸能や伝統工芸は、県民が長い年月をかけて築き上げてきた共通の財産であることから、次の世代に確実に継承することが重要です。 しかしながら、お示しのように本県においても、過疎化や少子高齢化等により、後継者不足は深刻な課題であることから、地域と共に行政や教育、関係団体等が横断的に連携して取り組む必要があります。 このため、私は、やまぐち文化芸術振興プランに、やまぐちの文化芸術を担う人材の育成と活躍支援を位置づけ、伝統文化伝承者等の活躍支援や、未来の地域文化の担い手育成、伝統工芸の魅力発信等に取り組むこととしています。 具体的には、まず、伝統芸能については、国・県指定の団体が行う公演の開催経費や、国民文化祭等に参加する団体に対する旅費等を支援することにより、伝統芸能団体の能力発揮の機会や活躍の場を広げてまいります。 また、県内の小中学校、高等学校等の要望に応じ、狂言などの文化財に関する出前講座を実施し、次世代を担う子供たちが、地域の誇りである文化財への理解を深め、文化財を大切にする心を育む取組を進めています。 次に、伝統工芸については、地元市が行う地域おこし協力隊を活用した人材確保の取組への支援などにより、後継者の育成につなげるとともに、市場づくりに向けて、有名百貨店での展示会等への出展支援や、リニューアルした物産ECサイトを通じた魅力発信に取り組んでいるところです。 さらに、デジタル技術の活用については、県立美術館で萩焼などの収蔵品をデジタルで鑑賞できるギャラリーを設置するとともに、代表的な収蔵品をオンライン上で公開するなど、伝統文化に気軽に親しめる機会を提供してまいります。 私は、今後とも、国や県教育委員会、市町、関係団体等と横断的に連携し、担い手の確保・育成などにより、本県の伝統文化の継承に積極的に取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 副議長(河野亨君)木安観光スポーツ文化部長。 〔観光スポーツ文化部長 木安亜紀江さん登壇〕 観光スポーツ文化部長(木安亜紀江さん)地域公共交通計画についての二点のお尋ねにお答えいたします。 まず、県全域の地域公共交通計画の策定についてです。 県では、令和三年三月に、地域公共交通活性化再生法の趣旨に沿った法定計画の役割を担うものとして、新たな地域交通モデル形成に関する取組方針を策定し、その後、適宜、改訂を行ってきたところです。 この取組方針には、法定計画に定めるべき地域公共交通の活性化及び再生に関する基本的な方針としての内容を盛り込んでおり、県内市町とその内容を共有しながら、持続可能で利便性の高い地域公共交通の実現に向けて取り組んでいます。 県内市町においても、広域幹線バス路線を有しない和木町を除く全市町で計画が策定され、国の補助金等も活用しながら、地域の実情を踏まえた取組が進められています。 また、複数市町をまたがる移動や、福祉、観光、防災対策など複数分野に関連する事案について、関係者間の協議により必要な調整が図られており、県としても、全ての市町の地域公共交通会議に委員として参画し、広域的な見地から、情報提供や助言等に努めているところです。 県としては、地域公共交通を取り巻く環境変化に的確に対応しながら、引き続き、この取組方針が法の趣旨に沿った法定計画としての機能を十分に果たしていくことを基本に、今後とも改訂や検討を行ってまいります。 次に、JR美祢線のBRT化についてです。 JR美祢線は、沿線住民の日常生活や本県の観光振興に重要な役割を果たしていることから、復旧までの期間や利便性等を総合的に勘案し、バス高速輸送システム、いわゆるBRTによる復旧を目指すこととしています。 このため、県と沿線三市の共同で法定協議会を設置し、美祢線沿線の地域公共交通計画の策定に向けて議論を開始したところであり、今後、国支援制度の活用も見据えながら、具体的な整備内容の検討等を行っていきます。 こうした中、お示しの地元自治体からの要望については、県の広域自治体としての役割を踏まえながら、可能な限り意向に沿えるよう対応していくこととしています。 具体的には、早期復旧に向け、沿線三市の財政負担の軽減を図るため、国の財政支援を求める要望活動や、JRとの役割分担に関する交渉などを県が中心となって進めていきます。 また、BRTの整備に当たっては、観光ルートとしての位置づけや、沿線自治体が行うまちづくりとの調和なども十分勘案しながら、利用者に被災前よりよくなったと実感していただけるものとなるよう、検討していきます。 さらに、駅周辺のまちづくりに関する応分の負担や、新幹線さくら等の県内駅の停車本数の増加などについては、状況を踏まえながら、JRへの働きかけや助言等を行っていきます。 なお、厚狭川については、地域住民の安心・安全が確保できるよう、現在実施している河川改修を着実に進めるとともに、河川しゅんせつなどの適切な維持管理に努めていくこととしています。 県としては、沿線自治体等と緊密に連携しながら、美祢線を沿線住民の日常生活や本県の観光振興に不可欠なBRTとして、一日も早く復旧できるよう、今後とも、整備に取り組んでまいります。 副議長(河野亨君)山本環境生活部長。 〔環境生活部長 山本毅君登壇〕 環境生活部長(山本毅君)国定公園の持続可能な保全と活用についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、国定公園の保全と活用に係るこれまでの取組についてです。 本県の国定公園は、日本海の浸食海岸や日本最大級のカルスト台地、県内最高峰の寂地山など、変化に富んだ特色ある自然を有するとともに、県内有数の景勝地として県民の休養や健康増進等にも資することから、その保全と活用促進の両面に取り組むことが必要と考えています。 まず、保全については、自然公園法に基づき開発行為に対する規制を講じるとともに、自然公園管理員による巡回や適切な利用に関する利用者への指導等を通じ、優れた自然環境や貴重な動植物の保護に取り組んでいます。 さらに、活用促進に向けては、豊かな自然を体験できるビジターセンターやキャンプ場の設置、雄大な景色を楽しめる展望台、遊歩道等の施設整備を行い、多くの県民が快適に自然に触れ合える機会を提供しています。 また、国が進める、自然を保護しつつ活用することで地域資源としての価値を高める保護と利用の好循環推進の観点から、市町や関係団体と連携した自然観察会の開催や自然資源を活用したエコツーリズムの取組等を通じ、環境保全への意識向上と公園の魅力向上の両立を図っているところです。 県としましては、こうした取組を通じて、引き続き、国定公園の保全と活用の一層の向上を図ってまいります。 次に、秋吉台国定公園の保全と活用についてです。 秋吉台は、カルスト特有の自然景観や生物多様性が維持された固有の生態系を有しており、ラムサール条約湿地に登録されるなど学術的価値も高いことから、まずは自然環境を守り、次世代に伝えていくための保全対策に取り組むことが重要と考えています。 このため、県では、地質や生物等の有識者からなる秋吉台学術専門家委員会を設置し、土地の形状変更等に対する環境保全上の意見や、希少種の保護の在り方への見解を聞くなど、独自の維持・保全策を講じています。 さらに、貴重な自然環境が、国内外から多くの人々を引きつける観光資源にもなっていることから、利用促進に向けた魅力向上にも取り組んでいます。 具体的には、来春予定される世界ジオパーク認定を好機と捉え、秋吉台ビジターセンターのアップデート事業に取り組んでおり、県と美祢市、観光協会や環境保全団体等と連携し、インバウンドも見据え、多言語に対応した展示計画等を検討しています。 さらに、保護と利用の好循環の推進に向け、豊かな自然を生かした新たな体験学習プログラムの創設等にも取り組んでいます。 こうした中、秋吉台の自然環境を維持・保全する上で重要な役割を担っている山焼きについては、地元住民の人口減少や高齢化等により地域の負担が増してきており、その軽減を図ることが必要と認識しています。 このため、県としては、引き続き、美祢市秋吉台山焼き対策協議会に参画し、経費負担などの支援を行うとともに、アップデート事業において山焼きの展示や火道切りの体験プログラムの創設を検討しており、地域が担ってきた保全活動への理解や支援が広がるよう取り組んでいきます。 また、持続可能な山焼きとするための解決策については、自然環境の保全と活用のバランスが重要となるため、市や地元住民、有識者、関係団体等と共に、御提案のあった手法も含め、対策について検討していきたいと考えています。 県としましては、今後とも市や有識者、関係団体等と緊密な連携を図り、秋吉台の豊かな自然の保護と魅力向上の両立に向け、持続可能な保全と活用に積極的に取り組んでまいります。 副議長(河野亨君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)伝統文化の継承についてのお尋ねのうち、教育委員会の取組等についてお答えします。 地域における伝統文化等を次の世代に引き継いでいくためには、伝統や文化に触れる体験を通して、児童生徒に豊かな人間性や、ふるさとへの誇りと愛着を育むことが重要です。 このため、県教委では、児童生徒が、能楽や邦楽などの公演を鑑賞したり、関係団体による実演指導やワークショップに参加したりするなど、本物の伝統文化に直接触れることができる教育活動を推進しているところです。 また、各学校では、例えば、家庭科の学習において、地域の方から、伝統的な食文化や郷土料理について学んだり、総合的な学習の時間において、地域の伝統芸能を継承する方と一緒に、楽器演奏等の体験活動に取り組んだりしています。 こうした中、お示しのように、伝統文化を学ぶ機会に地域差があり、指導者の確保にも課題があることから、持続的に学び続けられる仕組みづくりに向けて、コミュニティ・スクールの強みを生かし、学校・家庭・地域の連携・協働体制を一層強化することが必要であると考えています。 今後は、学校と地域が連携・協働する教育活動を体系的に整理した学校・地域連携カリキュラム、こちらに伝統文化に関する学習活動を確実に位置づけ、小中学校の九年間を通して展開していくことで、児童生徒が伝統文化に親しみ、その魅力を感じる取組を進めてまいります。 さらに、ふるさと山口の地域づくりに主体的に参画しようとする心意気を、やまぐちPRIDEという言葉で表し、郷土への誇りと愛着を育む教育活動を推進しているところであり、こうしたやまぐちPRIDEの醸成に向けても、児童生徒が、伝統文化を継承している人々の思いや願いに触れる機会を増やしていきたいと考えています。 県教委といたしましては、伝統文化の継承・発展につながるよう、国や知事部局、市町、関係団体等と連携しながら、児童生徒に、地域の伝統文化を大切にする心や態度を育む教育の充実に取り組んでまいります。 副議長(河野亨君)本日の一般質問及び提出議案に対する質疑は、これをもって終了いたします。 ───◆─・──◆──── 副議長(河野亨君)以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 本日は、これをもって散会といたします。お疲れさまでした。 午後二時四十三分散会