討論
────────────────────── 討 論 議長(柳居俊学君)これより討論に入ります。 討論の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 河合喜代さん。 〔河合喜代さん登壇〕(拍手) 河合喜代さん 日本共産党の河合です。党県議団を代表して、討論を行います。 本会議に提案された九つの議案のうち、議案第二号及び三号、八号及び九号の四議案に反対し、その他の議案には賛成しますが、うち議案第一号については意見を述べます。 議案第一号は、二〇二五年度県一般会計九月補正予算です。 総額四十一億八千四百万円の九五%、三十九億七千二百万円は、今年八月の大雨災害対策関連事業に充てられています。復旧事業と同時に、再度災害防止にも万全が尽くされるよう要望するものです。 また、訪問介護等サービス提供体制確保支援事業に五千七百万円計上されたことは評価します。人材確保や経営改善に対する支援も大切ですが、今、訪問介護サービス事業所から最も待たれているのは、昨年の介護報酬改定で引き下げられた訪問介護サービスの報酬の引上げです。県内でも、当面の危機を乗り越えるため、減収に対する支援を行う自治体が出てきています。ぜひ、県としても検討されることを要請します。 また、全国では少なくない都道府県が、九月補正予算に物価高騰対策や賃上げ支援策を盛り込んでいますが、山口県では、県内酒造会社への支援のみです。物価高騰は、必然的に消費税の税収増につながることを考えれば、財源はあるはずです。ぜひ、十一月補正予算編成では、県民の苦しみに寄り添う姿勢を示されるよう要望いたします。 反対する議案のうち、第二号は、県建設事業に係る市町負担金を定めるものです。本議案でも三十九事業で三十一億五千百万円の負担をさせられています。市町負担金制度は廃止されるべきものであり、反対をいたします。 議案第三号は、マイナンバーの利用に関する条例改正です。 我が党は、政府が国民一人一人に生涯変わらない番号をつけ、多分野の個人情報をひもづけして利用できるようにすること自体、プライバシー権の侵害の危険を持つ重大な問題だと指摘し続けてきました。よって、この条例改正も反対します。 議案第八号及び九号は、県立周防大島高校を山口県立大学の附属高校に移管することに伴うものです。 県立大学附属周防大島高等学校の設置については、久賀校舎にあった福祉専攻科が廃止されること、大学キャンパスと高等学校の所在地が遠隔となることなどの問題点が指摘されてきました。 加えて、看過できないのは、現時点で六十八人おられる教職員の身分、処遇が明らかになっていないなど、開校に向け、明らかにすべき課題が残されていることです。 よって、開校時期は延期も含めて検討すべきであり、両議案に反対いたします。 次に、意見書についてです。 一号は、岩国基地における空母艦載機の着陸訓練に関する意見書です。 岩国基地でのFCLPは到底容認できず、二度と実施されることがないよう、米側に求めるとともに、そのためのあらゆる手段を講じることには、全く異存はありません。意見書の採択には大賛成です。 ただ一点、岩国基地への空母艦載機の移駐受入れは、我が国の平和と安全に多大な貢献をしてきたとの認識は、共有できないことを申し述べておきます。 次に、請願についてです。 第一号は、「日本政府に核兵器禁止条約の調印・批准を求める意見書」の国への提出を求める請願です。 九月二十六日、ニューヨークの国連本部で開かれた核兵器全面廃絶国際デーに当たってのハイレベル会合で、日本原水爆被害者団体協議会、いわゆる日本被団協の田中聰司代表理事が、被爆者からのメッセージと題して、大要、次のように発言されました。 「核を持つ国の戦争を止められず、第三次世界大戦の感があります。人類は全滅の瀬戸際です。被爆者が十年たったらいなくなると、若者たちからしばしば心配されます。そのたびに私は答えます。被爆者の余命を心配する前に、自分たちの命のほうが短いことを心配しようと。ここにいる全ての皆さんが被爆者になるのではないかという危機感です。人類最後の日までの時間を示す終末時計は八十九秒しかなくなりました。日本被団協へのノーベル平和賞の授与は、被爆者の声に耳を傾けようとの世界への発信であり、危機感の薄さへの警鐘なのです」と切々と訴えられました。 本請願は、昨年、不採択となったのに続き、山口県原爆被害者団体協議会(山口県被団協)から提出された、山口県の被爆者の皆さんの命の訴えです。被爆者自身が、このような請願を唯一の被爆国である日本政府に出さなければならないこと自体、本当に情けない思いだと思います。 政府とそれに追随する政党、政治家、勢力は、日本は唯一の戦争被爆国であり、核兵器禁止条約が目指す核兵器廃絶という目標を共有していると言いながら、危険で無意味となった核抑止論を盾に、被爆者の命の訴えに背を向け続けています。被爆者の命の声は、自分たちのためではありません。人類を守りたい、全ての人々とその家族、友人を守りたい、その一心の声です。 様々な立場や思想信条を乗り越え、人類を滅亡から救う、この一点で心を一つにして、原爆の生き証人である被爆者の人々の命の声に応えようではありませんか。 ここにおられる全ての山口県議会議員の皆さんに心からの賛同を呼びかけ、不採択とした委員長報告に反対をいたします。 第二号は、使用済核燃料「中間貯蔵施設」の上関町への建設に反対することを求める請願です。 中国電力は八月二十九日、同社が実施していた立地可能性調査の結果について、立地の支障となる技術的に対応できない問題はなく、立地は可能と結論づけました。 しかし、請願者が指摘するように、同施設の立地には、建設予定地である山林の尾根を削り、沢を埋め立てるなど、大規模な造成工事が必要となり、崖崩れや地滑り、土石流のリスクもあり、固い岩盤の上の造成物は、かえって地震動が増幅されると指摘する科学者もおられます。 また、気候危機によって苛酷な自然災害が頻発している現在、使用済核燃料を保存するキャスクが土砂に埋まり、冷却できなくなり、重大な事態を招く可能性も否定できません。 よって、同請願は採択すべきであり、不採択とした委員長報告に反対いたします。 第三号は、山口宇部空港の特定利用空港への指定に反対することを求める請願です。 知事は、民生利用が主と指定を了承されましたが、請願者も指摘するように、国の説明資料を通じて、国、自衛隊は同空港の利用策として、地対空誘導弾ペトリオットPAC3部隊の輸送、日米共同演習での米軍の使用、戦闘機や輸送機による離着陸訓練なども想定していることが明白になりました。 よって、山口宇部空港の特定利用空港指定に反対の意思を示し、撤回させることは急務であり、同請願を不採択とした委員長報告に反対して、討論といたします。(拍手)