1 退職自衛官の就農促進施策について 2 特定地域づくり事業協同組合について 3 パークロード周辺のまちづくりについて
───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第十七号まで 議長(柳居俊学君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第十七号までを議題とし、質疑に入ります。 一般質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 藤生宰君。 〔藤生宰君登壇〕(拍手) 藤生宰君 おはようございます。自由民主党会派の藤生です。通告に従い一般質問します。 本日の質問は三項目ですが、最初の二つは、縦割りで考えると難しい課題も、複数の課題を一緒に考えると糸口が見つかるのではないかという視点で質問いたします。 まず、退職自衛官の就農促進施策についてです。 農業と自衛隊がそれぞれ抱える課題を組み合わせることで解決策を探れないかということです。 農業の三K、すなわち高齢化、後継者不足、荒廃農地という問題は本県において深刻です。企業等で働いて定年退職した後に就農するという、かつて多かったライフコースは、定年する年齢が六十五歳、七十歳へと延びていくにつれて無理が生じ、農業の担い手不足に拍車をかけています。 一方、自衛官の抱える問題として不安定なセカンドキャリアがあります。自衛官の皆様には、我が国の安全保障にとってなくてはならない重要な務めを果たしていただいていますが、多くの方は五十六歳前後で定年を迎え、年間約五千九百人の方が定年退職されています。 自衛官の再就職は、家業があるなど個人の事情で進路を選んでいる方を除けば、ほぼ一○○%、外郭団体である自衛隊援護協会による紹介・あっせんで決まります。 その際、自衛官は、ほかの公務員と異なり誕生日に定年を迎えることから、定年時点で、援護協会に求人の出ている会社に再就職することになり、運に左右されるセカンドキャリアとなっていることが実態です。 希望する業種・職種ではないミスマッチというのは当然に発生し、私としても、再就職してすぐに辞められた自衛官の方を目の当たりにしていますし、再就職後、半年以内の離職率は約一○%という記事も目にします。 御承知のとおり、自衛官の採用については募集定員割れという状況が続いており、定年後のキャリアが描きにくいことも、募集活動の障壁の一つになっているものと思います。 そこで、かつての定年就農に限界があるのであれば、五十代で退職する自衛官を農業分野で積極的に受け入れていただくよう、促すことができないかと考えます。体力十分で機械、乗り物の扱いにたけておられる方もたくさんいらっしゃいます。 本年二月の農林水産委員会では、こうしたことを質問、提案させていただいて、委員会における御答弁の中では、本県農業大学校の研修において、希望される自衛官を令和二年度から既に受入れされているとの御紹介もいただきました。 今年六月には、国から各都道府県農林水産部長宛てに、農林水産業における退職予定自衛官の活躍促進についてという文書が出されており、その中に農業大学校による受入れ体制整備の要請がなされていますが、本県においては、先んじて取り組んでおられていたことに対し、大いに評価するところです。 しかしながら、本県農業大学校で実施している研修において、令和二年度から令和六年度までの間に現役自衛官を十五名受け入れているのですが、残念ながら研修を受けた自衛官の就農実績はゼロとのことです。このことについて、自衛官側の意識の問題なのか、農業サイドが求めていないのか、あるいは仲介などの中間支援に課題があるのか、その背景を探ることにしました。 まず、農業サイドですが、少なくとも本県においては、ほとんどの退職自衛官の再就職をあっせんする援護協会に対し、農業法人から求人票が提出されたことはないということでした。 県におかれては、自衛官募集を所管する地方協力本部に対し、農業大学校での研修の紹介や、退職予定自衛官も参加する就職フェアにおいて、農業関係のブースも出されていることは承知しております。ただ、こうした有意義にも思える取組も、自衛官が定年を迎える誕生日のタイミングで援護協会に求人票が出されていなければ、マッチングしようがないわけです。 一つ目の質問です。本県の農業法人から援護協会に対し求人票が出されていないことの原因や背景について、どのようにお考えか、また、現状の取組では足りないところもあると思いますので、その対応策について、お伺いいたします。 次に、自衛官の農業への意識や中間支援の実態について調べました。全国で年間約五千九百人の定年退職自衛官の一%未満しか農業に再就職していないというデータがあり、そもそもセカンドキャリアの選択肢に農業を思い描く自衛官は、どの程度いらっしゃるのか調査するため、自衛隊にアンケートの打診を行いました。 しかし、自衛隊として、一議員のアンケートに協力するのは、中立性・公平性の観点からお答えするのが難しいとのお返事を頂きました。これについてはごもっともと思いましたので、ヒアリング調査に切り替えることにしました。 まず、農業自衛隊という現役の自衛隊員の有志が、本年一月に千葉県多古町を拠点に発足させた団体をヒアリングしました。先週末も多古町のサツマイモ農家様のところで援農作業を共にさせていただきました。 その中で自衛隊員と農業の組合せは相性がよく、十分に発展可能性があるということや、定年退職前には大型特殊免許など、農業にも役立つ資格を取得できる仕組みもあることなどをお聞きしました。 ただ、通常は現役隊員が農業というものに関わりなくキャリアを重ねていくことから、家業が農家でなければ農業をやろうという発想が持てず、セカンドキャリアの選択肢に入ってこないそうです。 そこで、農業自衛隊では、農業技術や情報を提供し、休日には自衛官が農家から栽培基礎を学んだり、農機具操作の指導を受けたりできる場づくりをされており、SNSを通じての情報発信や担い手支援を行う県や町との関係づくりにも御尽力されています。 二○三○年までに年間百人の退職自衛官の就農という目標を掲げられており、まずは多古町に一拠点、行く行くは全国に拠点を設けながら、農作業繁忙期は拠点ごとにずれてくるため、桜前線のように北上しながら各拠点を支援する桜花機動隊をつくっていこうという意欲的な夢を語っておられました。 課題としては、私が自衛隊にアンケートをお願いできなかったのと同様に、組織の中にいても現役隊員でいる間は就職をあっせんすることは法律で禁止されているので動きにくいともおっしゃっており、自衛隊という枠組みの中だけで考えても変われないという状況がよく分かり、私としては、ほかの省庁や自治体側から側面的にサポートする必要性を強く感じました。 また、自衛官を定年前に退職し、自ら農業法人を設立されて御活躍されている方にもヒアリングを行いました。農業を始めるには莫大な初期投資もさることながら、農地が借りられない問題にも直面されておられました。 当初から栽培を始めた場所の近隣には、活用していない農地はたくさんあるものの、また、農地中間管理機構に相談したけれども、なかなか農地は借りられなかったそうです。それでも耕作放棄地解消の活動を地道に続けていたところ、拠点から片道九十分の地域の方の目に留まって声がかかり、まとまった農地をようやく借りられるようになったということで、一から農業を始めることは本当に強い気持ちがないとできないということを思い知らされました。 これらのヒアリングを通じ、金銭面とコミュニティー面で農業には参入障壁があると感じました。国の新規就農補助金のうち、経営開始資金の令和五年度の交付実績は、山口県は東京都に次いで全国で下から二番目の件数であり、県民に農業という選択肢がそもそも頭にない、また、頭にあってもコミュニティーが閉じられていて入っていけないという二段階の障壁があるのではないでしょうか。 なお、国の新規就農補助金については四十九歳以下を対象としており、自衛官の定年年齢から外れているわけですが、本県では、担い手支援日本一を掲げ、独自に五十歳以上でも法人に雇用される場合には同様の補助を行われています。 しかしながら、五十歳以上で独立する場合には、国でも県でも支援がなく、対象年齢の引上げということについては検討の余地があるように思います。 農地を借りる前段の農家コミュニティーへ溶け込むための支援ですが、これは一朝一夕にはできないと思います。農業自衛隊では地域の農家と結びついて、退職前から関係性をつくるための場づくりをされていたり、本県農業大学校では、現地研修を実施されていたりしますが、もう一段の発想が必要にも思います。 ある隊員の方からは、整えられた環境があると飛び込みやすいと言われました。例えば、既に農業大学校では、学生が構成員となる一般社団法人やまぐち農大がありますが、退職自衛官の受皿となる組織を公的にでも第三セクター的にでもつくり、耕作放棄地の解消の活動や人手不足な農家に対し援農を行う、そうした活動を通じて農家コミュニティーに溶け込む機会を提供してはいかがでしょうか。農業の三K──高齢化、後継者不足、荒廃農地、全ての問題に貢献できる提案です。 二つ目の質問です。山口県内には陸海空合わせて八か所の基地等があり、およそ四千名の隊員が働いておられるそうで、農業と自衛隊のマッチングは大きなポテンシャルを秘めていると思います。 一方で、再就職問題を抱えながらも自衛隊組織だけでは進められないことや、先ほど御紹介した農業への参入障壁もある中で、県として、もう一歩踏み出して取り組めることはないか、お伺いいたします。 次に、特定地域づくり事業協同組合について質問します。 特定地域づくり事業協同組合とは、人口急減地域において、繁忙期の異なる仕事を組み合わせて年間の仕事を創出し、組合で雇用した職員、複数の仕事をするという意味でマルチワーカーと呼びますけれども、マルチワーカーを事業者に派遣し、その人件費や事務局運営費に対し国と市町村から半額補助が出る、過疎地ならではの有利な仕組みです。 過疎地域では、農林畜水産業の一次産業が主である場合が多く、ほかにも交通、観光、医療や介護、小売など生活に欠かせない様々な産業がありますが、人口減少による需要の縮小と人手不足で事業を継続することに窮しています。各事業体単位では、人一人雇うほどの経営体力はなくて、雇用を諦めているところもあります。 そこで、組合ではマルチワーカーを雇用し、組合に参加する様々な業種の企業に対し繁忙期に応じて派遣する、言わば地域全体を雇用の場と捉え、複数の課題にチャレンジする地域経営とも言える取組を担うことになります。 特に、本県は中山間地が多く、農業においても大規模生産というよりは少量多品種での生産が多く、農業分野だけで考えても、繁忙期に応じて人材を補助金つきで派遣できる本制度は有効な策と言えます。 総務省によりますと、令和二年の制度開始から令和六年十月までに採用されたマルチワーカーは全国で六百五十三人、その約六割が地域外からの移住者であり、六百五十三人のうち二百三十八人が既に退職していますが、退職者の約半数が組合の所在する市町村でそのまま定住されています。さらに、退職して定住した方の半数以上が派遣先の組合員企業に直接雇用されているとのことです。 これらのことから、まずは組合が移住者の受皿となっていること、そしてマルチワーカーに対しては、地域や派遣先企業との相性をはかるお試し移住期間を提供していると言えるのではないかと思います。その意味で、特定地域づくり事業協同組合は、移住促進にも地域活性化にもつながる地域おこし協力隊に並ぶすばらしい制度と言え、普及させていかない手はないと考えます。 全国での認定組合数ですが、令和七年九月時点で百二十七組合あり、お隣島根県では十五組合、鹿児島県では十一組合と多い一方、山口県においては現在三組合にとどまっており、うち二組合は本年四月に認定されております。 山口県はすごく遅れているというわけではありませんが、地域によって行政の取り組み方が異なるということも聞いており、組合の設立数やその後の組合運営にも影響しているのではないかと思います。 このことをお示しするために、大きく五つの項目に分けて先進事例を紹介したいと思います。 一つ目は、資金面での支援です。 特定地域づくり事業協同組合において、人件費の半額補助は国と市町村で負担しますけれども、鳥取県や大分県では、市町村の負担額の半分を県が助成することとしています。これは組合を立ち上げた方、また、立ち上げたい方から聞くことでありますが、市町村に相談に行ってもなかなか前向きに動いてくれないことがあるそうで、その背景には、市町村も予算を確保しなければならない、負担が増えるということがあるようです。市町村の負担を和らげるとともに、県もバックアップする姿勢を見せることは重要だと思います。 また、兵庫県では、国のメニューではカバーされない部分への横出し施策として、組合を設立する前の構想検討支援段階に市町と折半して上限百万円を補助する制度を設けているほか、設立後の支援策として、時期によって派遣先が見つからないときなどに、組合自ら行う独自事業があると経営が安定するわけなのですが、この独自事業の立ち上げに対しても、市町と協調して補助する制度を設けています。 二つ目に、特定地域づくりのための専門員を設けての支援です。 熊本県では支援員、福島県ではコーディネーター、鹿児島県ではアドバイザーなど名称は異なりますが、予算化して専門員を配置し、説明会などを通じた特定地域づくり事業協同組合の普及啓発や発起人の掘り起こし、関係者調整、組合設立や交付金申請、労働者派遣法に規定される書類の作成支援、会計支援などサポートされています。 このうち関係者調整についてですが、とある組合では、設立前に森林組合やシルバー人材センターなど、派遣で競合しそうなところに対し説明する責任を課されたという話があり、もちろん説明しに行くと反対意見はなかったそうですが、大変御苦労されたということです。 他方で、そうした調整は、多くの場合は行政や中間支援機関がされているという話もあり、対応のばらつきを感じさせます。ぜひ、予算化してでも先進県のようなワンストップな支援を求めたいと思います。 三つ目に、都道府県の裁量による制度自体の弾力的運用です。 特定地域づくり事業協同組合の制度においては、人口急減地域内の事業所に派遣することを原則としていますが、過疎地域においては、農業が主産業である場合が多く、冬の仕事がなくて派遣先が確保できず、経営に窮するケースも多いと聞きます。 佐賀県では、派遣全体の五割以内であれば、組合が存する市内に限り市街地でも派遣を可とする独自の条件を付して組合を認定しており、これにより、例えば武雄市にある組合では、武雄温泉駅前の中心地にある事業者へもマルチワーカーを派遣しておられます。 このスキームが山口県にも適用されれば、例えば湯田温泉の旅館、ホテルにおいては、冬でも宿泊需要はあるけれども、人手が足りなくて満室にできないということを聞き及ぶわけですが、そうしたところへも派遣できるようになり、過疎地と中心地でウィン・ウィンの関係を築くことができるわけです。 四つ目に人材確保支援です。 マルチワーカーの確保というのも、過疎地域の一組合にとっては非常に難易度が高いものです。 福島県では、特定地域づくり事業協同組合のためのポータルサイト、ふくマルを公開して各組合を紹介するとともに、マルチワーカー募集のためのオンライン説明会を開催され、組合やマルチワーカーのお話を聞くことができる場を設けられています。 移住施策の一環でもあることから、オンラインによる情報発信だけでなく、県のネットワークの活用、例えば東京のアンテナショップやふるさと回帰支援センターの県相談窓口において、県内の組合が人材募集していることを周知されることも有効ではないかと思います。 最後の五つ目に、ネットワーキングの場の提供です。 鹿児島県や長崎県などでは、県内の組合が集まる場を設け、組合同士が課題を共有したり、先進組合の話を聞いたりすることで研さんされており、県にも生の声が伝わるようになっています。 以上の先進事例を踏まえまして、山口県でもできることはあると思います。本県では、この七月に山口県過疎地域持続的発展方針(案)を公表し、八月にかけてパブリックコメントを実施されたところです。 この案の概要文において、地域づくりや地域産業の担い手となる多様な人材の確保・育成、定着について拡充すると明記されてあり、その中で、特定地域づくり事業協同組合制度の取組支援についても触れられておりまして、今、申し上げた先進事例のような、一つギアを上げた支援策を期待しているところです。 そこでお伺いいたします。県では、特定地域づくり事業協同組合の有効性についてどのように認識され、先ほど御紹介したような他地域の支援策も踏まえ、どのように支援を拡充されていくのか、お尋ねいたします。 最後に、パークロード周辺のまちづくりについてです。 パークロードは、ここから程近い県庁前交差点から旧市役所前の早間田交差点までの通りです。パークロード沿いには、コンクリート打ち放しで著名な、各地に文化財も残る坂倉準三氏設計の県立山口博物館をはじめ、県立山口図書館、県立美術館など文化教育施設も立ち並び、山口県の歴史、文化を感じさせる地域となっています。 先月、県土木建築部主催でパークロードの清掃活動が実施され、夏真っただ中にもかかわらず、山口市内外から総勢約百七十名のボランティアが参加されました。私も参加させていただきましたが、初めからごみはほとんどなく、アスファルトから生えてきている草引きに終始したところです。それだけ、パークロードは、日頃から市民、県民に大事にされていることを実感いたしました。 そんなパークロード沿いには、県立の博物館、図書館、美術館などよりも古い県有建物があります。春日山庁舎とその西隣にある防長先賢堂のことでして、いずれも一九二八年竣工、築百年に近い建物です。県庁前の好立地に古いけれどもどこか趣があり、隣接する博物館に行くたびに気になっておりまして、実際に春日山庁舎の中を見学させていただく機会を得ました。 現在は倉庫としての活用が主であるようでして、目にするものの中には、一九八○年頃に実施した遺跡調査の出土品や県の文書が保管されてありました。三階は県警音楽隊の練習場所として活用されていますが、小荷物専用昇降機も機能しておらず、階段を上り下りされて楽器の持ち運びをされています。雨漏りや床、天井などの劣化も見受けられ、耐震性については調査されていないということでした。 春日山庁舎について文献などから調べてみると、もともとは東宮殿下行啓記念に県立山口図書館として昭和三年に竣工、ドイツ風セセッション式が採用され、県有施設としては初のRC造ではないかとされ、外壁の仕上げには徳山産御影石を混ぜてあるそうです。昭和四十八年に現在の県立図書館が完成した後は県の庁舎として使われていましたが、令和三年には庁舎機能も移転し、事務所としての利用はなくなっています。 防長先賢堂も春日山庁舎と同じ設計者で、春日山庁舎が洋風であるのに対し、こちらは和風で校倉造り風の鉄筋コンクリート造となっており、同種の近代和風建築には大正十年建築の明治神宮宝物殿が挙げられます。神聖さと格式高さを感じさせる外観で、現在は県立博物館の倉庫としてしか使われておらず、屋根からは木が生えているという現状でした。 そこでまずお尋ねしますが、築百年を間もなく迎える春日山庁舎並びに防長先賢堂の維持管理方針と利活用方策をお伺いいたします。 その上で、今の質問は個別の施設についての問いですが、パークロード全体を俯瞰的に見たときのエリア整備について、もう少し聞いていきたいと思います。 まちづくりは基本的には市町の所管とされますが、それでも県の役割はあると思っておりまして、特に先ほどの春日山庁舎のような県有財産が絡むことについては、広域的な視点も持って取り組まなければならないと思っています。 県土木建築部でも、持続可能なまちづくり集中支援事業という事業を令和五年度から実施されており、令和五年度は山口市が採択され、亀山周辺ゾーン、中心商店街ゾーンを対象に両ゾーンをより快適に歩いて回遊できる環境をつくるとしています。亀山周辺ゾーンというのは、まさにパークロード周辺です。 山口市役所では、新本庁舎が本年五月から供用開始され、今後も市民交流棟や立体駐車場の整備を計画されていると同時に、県に対してはパークロード周辺の都市機能の向上を要望され、市施設と県施設との連携強化等の検討に向け、意見交換の場を設けてほしいとしています。 私としても、公的施設が集中する県庁所在地ならではの県有地、市有地を一体的に捉えたまちづくりを進めていくべきであるという問題意識の下、御提案を申し上げます。 まず、施設の集約化。パークロード周辺には歴史文化施設が点在しておりまして、遺跡の出土品等を展示・公開されている築四十五年の山口県埋蔵文化財センター、そこから国道九号線を挟んだ向かいには、築四十四年の山口市歴史民俗資料館、また、県立博物館の一画においても考古・歴史展示室があり、主な展示資料として土偶、土器、大型石包丁が紹介されています。 それぞれの来館者数については、山口県埋蔵文化財センター及び山口市歴史民俗資料館はいずれも年間四、五百人程度、県立博物館は四万五千人強となっています。各施設連携・協力して展示していますが、徒歩で簡単に行き来できるこれらの施設の距離感であれば、観光客も含む利用者の目線に立てば、展示施設を集約したほうが来館者数の増加につながり、展示品もよりたくさんの人の目に触れることになるはずです。 その際、スクラップ・アンド・ビルドではなく、近年、大規模な改修を受けよみがえった京都市京セラ美術館や、山口県においても、旧県会議事堂などのように、近代公共建築をリノベーションすることで歴史を紡ぎながら活用するということも考えられ、先ほどの質問でも取り上げた春日山庁舎を活用することもあり得るのではないかと思います。 また、山口市民会館の話に変わりますが、山口市民会館も築五十年が経過しており、市民団体から建て替えの要望があることは承知しております。ただ、市が整備する立体駐車場は約三百台の収容台数で計画されていることから、駐車場のキャパシティーがネックとなります。 ここで御提案したいのは、市民会館の利用客は主に土日であることから、県庁の駐車場とこれから整備の進む山口市役所の立体駐車場の間に新たな会館を立地させ、土日に駐車場を開放することで会館へのアクセスを改善させるとともに南北からの歩行者を創出、そして、休日の行政機関の駐車場の有効活用をしてはいかがかと思います。 県有地と市有地を一体的に考えれば、県有地も立地の候補となるでしょうし、県民会館ということも見据えていいのではないかと思います。 と言いますのも、かつて新山口駅周辺には県民会館の構想もあったと聞いておりますが、そちらには山口市がKDDI維新ホールを整備されて高い稼働率で利用されており、市民会館とのすみ分けも議論されることになります。 参考までに、秋田県では県民会館と秋田市文化会館を集約して、県・市連携文化施設、あきた芸術劇場ミルハスを整備されており、集約化・合築という発想も改めて申し上げておきたいと思います。 そこでお尋ねします。山口市の要望を受けて、県としてパークロード周辺の都市機能向上に向けた情報交換の場を設けていかれることと思いますが、その上で、施設の集約化や利用者目線に立った施設配置、さらには既存施設のリノベーション活用など、先ほど御提案申し上げたことも踏まえていただきまして、県庁所在地ならではの県と市一体となったパークロード全体のエリア整備の必要性についての御見解と、市との協議の場において、県として配慮される事項についてお尋ねいたしまして、私の一般質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)藤生議員の御質問のうち、私からは、特定地域づくり事業協同組合についてのお尋ねにお答えします。 県土の約六割を占める本県の過疎地域は、人口減少や高齢化が急速に進み、農林水産業をはじめ、商工業、サービス業など、地域の様々な業種で人手不足が深刻化しています。 一方で、個々の事業者単位では年間を通じた仕事がなく、一定の給与水準を担保して常時雇用者を確保することが困難であり、このことが人口流出や廃業の要因、UJIターンの障害ともなっています。 こうした中、令和二年度に創設された特定地域づくり事業協同組合制度は、地域の仕事を組み合わせて年間を通じた仕事を創出し、国と市町村の財政支援によって、派遣職員の安定的な雇用環境と一定の給与水準を確保できる効果的な制度であり、多様な人材の確保・定着にも有効と認識しています。 このため、県では、様々な機会を通じて、地域等に対して制度の活用を働きかけるとともに、組合の設立に向けた支援を行ってきたところです。 具体的には、国や市町、関係団体と連携して説明会等を開催し、先進事例の共有などを行いながら制度の普及啓発を図っています。 また、組合の設立を目指す団体に対しては、既に事業を開始している組合の責任者や社会保険労務士等の専門家を派遣するとともに、先進地視察に対する支援を行っています。 加えて、設立に際しては、市町や関係団体との連携の下、伴走型の支援を行っており、人材確保の面においても、東京や大阪の移住相談窓口で派遣職員の募集情報の提供などの支援を行っています。 取組の結果、現在、県内三地域で特定地域づくり事業協同組合が設立されており、地域のニーズに応じた事業活動が展開されています。 いずれの組合にも地域外の方が雇用されており、移住者の受皿にもなっています。 こうした中、実際の運営に当たっては、派遣に関する様々な制約や人材確保、派遣調整など、全国的に同様の課題を抱える傾向があり、県内の組合についても、持続可能な組合運営に向けて課題を乗り越えていく必要があります。 このため、市町や関係団体と連携して課題の解決に向けた助言を行うとともに、お示しの他の自治体による事例も参考にしながら、関係者間のネットワークづくり等、さらなる支援策の必要性について検討してまいります。 また、国に対しては、組合からの意見等を踏まえ、本県も参加する全国協議会を通じ、財政措置の拡充など制度の改善に向けた要望を行っていきます。 私は、今後とも、市町や関係団体と緊密に連携しながら、特定地域づくり事業協同組合の取組を支援し、過疎地域の活性化と多様な人材の確保・定着に取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)岡本農林水産部長。 〔農林水産部長 岡本章生君登壇〕 農林水産部長(岡本章生君)退職自衛官の就農促進施策についてのお尋ねにお答えします。 本県農業を持続的に発展させていくためには、多様な担い手の確保・育成が重要であることから、県では、都市部における就農フェアの開催や、農業大学校における研修内容の充実等に積極的に取り組んできたところです。 こうした中、お示しのとおり、近年の定年延長制度の普及により、これまで以上に定年帰農者の確保が困難となっていることから、就農希望者の掘り起こしに向け、退職自衛官等に対する取組の強化が必要と考えています。 まず、二つの御質問のうち、自衛隊援護協会に求人票が出されていない原因や背景、対応策についてです。 求人票が出されていない原因等については、法人において、地域出身の定年帰農者や、農業大学校の卒業生など即戦力となる若い人材を望む傾向があるためだと考えています。 この対応策としては、退職予定自衛官の就職希望地域等を法人等に情報提供するなど、採用側の求人票の提出を促すとともに、定年退職前に即戦力となる専門研修が受けられるよう、土日を主体とした新たな研修コースを設置することとしております。 次に、金銭面やコミュニティー面での農業への参入障壁がある中で、県としてもう一歩踏み出して取り組めることはないのかとのお尋ねについてです。 金銭面への対応としては、就農開始時の初期コストを低減するため、機械や施設等の導入経費の一部を補助するとともに、安価な中古ハウスのあっせんなど、遊休資産の活用を一層推進します。 なお、御指摘のとおり、五十歳以上で就農した場合の給付金については、国制度の対象外となるため、これまでも制度の柔軟な運用を要望してきたところですが、引き続き、国に対して強く要望してまいります。 次に、コミュニティー面への対応として、農業士協会等で構成する、新規就農サポーターズや市町とも連携し、引き続き、経営や生活面も含めた、きめ細かな支援を行います。 また、就農希望のある退職自衛官の受皿づくりについては、現在JA等が運営する農業専門求人サイト、アグポンを活用し、希望する地域での事前の就農体験を通じて、就農後においても農家の方々との円滑なコミュニケーションが図られるよう支援します。 県としては、市町や関係団体等と緊密に連携し、将来にわたって持続可能な本県農業の実現に向け、退職自衛官をはじめ、意欲ある多様な担い手の確保・育成に一層取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)大川総務部長。 〔総務部長 大川真一君登壇〕 総務部長(大川真一君)パークロード周辺のまちづくりに関する御質問のうち、春日山庁舎の維持管理方針と利活用方策についてのお尋ねにお答えいたします。 春日山庁舎は、議員お示しのとおり、昭和三年に県立山口図書館として建設され、その後、県庁舎の事務所に転用し、現在は埋蔵文化財センターの収蔵庫や文書館の書庫として利用するなど、これまで貴重な県有財産として適切に維持管理し、有効活用を図ってきたところです。 県としましては、当面は必要な修繕等を行いながら、収蔵庫や書庫等として利用することとしていますが、経年による劣化が進んでいることから、この地域の特性も踏まえつつ、今後の在り方について検討してまいります。 議長(柳居俊学君)仙石土木建築部長。 〔土木建築部長 仙石克洋君登壇〕 土木建築部長(仙石克洋君)パークロード周辺のまちづくりに関する御質問のうち、エリア整備の必要性に係る見解と山口市との協議の場で県として配慮する事項についてのお尋ねにお答えします。 県では、人口減少下にあっても活力を維持・創出し続ける持続可能な地域づくりを推進しており、持続可能なまちづくり集中支援事業により、まちづくりの主体である市町が地域と共に目指す、まちの将来像の実現に向けた取組への支援を行っているところです。 この事業へは、令和五年度に山口市から、山口都市核亀山周辺・中心商店街ゾーンについて、県都の顔としてふさわしいまちの都市空間の形成を図りたいとして応募があり、県では、これを支援対象地区に選定の上、まちづくり計画の策定などの支援を行うこととしました。 計画の策定に当たり、市では、学識経験者や地元商工会議所などで構成するアクション会議を設置し、県の関係課や民間アドバイザーからの助言等を得ながら、まちづくり計画を取りまとめたところです。 この計画の中には、お示しの亀山周辺ゾーンについて、アクション会議等のメンバーから示された、老朽化した公共施設の集約化やリニューアル、市役所広場と沿道の一体的な活用等の様々なアイデアや取組が掲げられており、今後、実現に向けた検討が行われることとなります。 県としても、パークロードを含む亀山周辺ゾーンは、文化教育施設が一体となった、県都山口のシンボル的文化ゾーンを形成する重要な地域であると認識しており、引き続き、山口市が目指すまちづくりの実現に向け、パークロード全体のエリア整備を支援してまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)パークロード周辺のまちづくりに関するお尋ねのうち、防長先賢堂の維持管理方針と利活用方策についてお答えします。 防長先賢堂は、春日山庁舎の西隣、県立山口博物館北側の春日山の中腹にあり、昭和三年に竣工し、今年で築九十七年を迎えます。 建物は平家で、校倉造り風の珍しい建築様式が用いられ、主要部は木造ではなく鉄筋コンクリート造となっており、専門家から高い評価を受けている、貴重な近代建築物です。 昭和二十年頃からは、議員お示しのとおり、博物館の一部として資料等の保管に利用されていますが、現在のところ、天井の雨漏りや壁などの著しい損傷も確認されておらず、その外観は今も保たれており、県教委では、今後、一層、その価値にふさわしい維持管理に努めることとしています。 また、利活用方策についても、防長先賢堂を多くの方々に知っていただけるよう、博物館が県民向けに実施している教育普及講座において、見学コースに組み込み、建物の文化的価値を紹介するなど、新たな取組を検討したいと考えています。 県教委といたしましては、当時の山口県の歴史や人々の思いを伝える貴重な建物をしっかりと未来へ引き継ぐため、今後、施設の維持管理やその利活用に鋭意取り組んでまいります。