1 県と市町との広域連携の取組について 2 市街地でのクマの出没への対応等について 3 戦略的な誘客対策によるインバウンドの拡大について 4 不登校の児童・生徒の居場所づくり等について
───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第十七号まで 議長(柳居俊学君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第十七号までを議題とし、質疑に入ります。 一般質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 笹村直也君。 〔笹村直也君登壇〕(拍手) 笹村直也君 皆様、おはようございます。自由民主党の笹村直也です。本定例会最終日、トップバッターで登壇をさせていただきます。四回目の一般質問となります。昨年十一月定例会以来、各地で様々なお話を伺い、自分なりに調査研究を行ってきた問題意識をまとめました。通告に従い質問させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。 最初に、県と市町との広域連携の取組についてお尋ねいたします。 総務省が発表した今年一月一日時点の本県の人口は百二十九万二千九百五十六人と、十二年連続で減少し、初めて百三十万人を割り込みました。今後も減少傾向が続き、二〇五〇年には約九十二万六千人となると見込まれています。 国の経済財政諮問会議の下に設置された国と地方のシステムワーキング・グループの昨年末の資料では、都道府県と市町村の広域連携について、あくまで市町村の自主性・自立性を尊重するとしつつ、「地方公共団体には、持続可能な形で住民生活を支えていくため、それぞれが有する資源を融通し合い、共同で活用していく視点がますます求められることになる」と明記されています。 私は、ここでいう資源というのは、大きく分けて二つあると考えていて、一つは人材、もう一つは公共施設等のいわゆるインフラです。 まず、人材の観点から検討します。人口減少の局面に入った二〇〇〇年代後半以降も、基本的にはそれぞれの自治体の責任において専門人材の確保・育成に取り組み、市町間、あるいは県、市町間による補完や支援によって人材を確保する取組はほとんどありませんでした。 しかし、加速度的に増す人口減とそれに伴う人手不足により、規模の小さな自治体を中心に専門人材を確保することが難しくなっています。今後、その傾向は強まると予想される中、各市町が専門人材を確保・育成する努力を継続することに加え、県がイニシアチブを取り、こうした課題を抱える市町と認識を共有した上で、連携して専門人材を確保・育成することが求められると考えます。 国においても昨年度から、都道府県等が政令市、中核市、県庁所在地を除く市町村と連携協約を締結し、当該市町村が必要とする専門性を有する人材を確保し、派遣する場合の募集経費と人件費について、特別交付税措置を講ずるなど、こうした連携を後押ししています。 例えば奈良県では、二〇二一年から奈良県フォレスターアカデミーを開校し、森林・林業を担う専門人材を養成。卒業した県職員を奈良県フォレスターに任命し、同一の市町村に長期間派遣し、県が市町村から受託した事業などに従事しています。ちなみに、開校翌年の二〇二二年度には、定員二十人に対し、四倍超の八十三人の応募があったといいます。 こうした不足が見込まれる専門人材は、森林・林業、農業、水産、土木、電気など多岐にわたり、いずれも地場産業を支える重要な役割を果たしています。 岩手県では今年度から、県内市町村の保健師と土木職の採用に関し、県が一体的に募集の情報発信や試験会場の運営を担うなど、市町村間の共同採用の実施に踏み切りました。 さらには今後、地方自治体においては、デジタル技術の活用により、住民の利便性を向上させるとともに、業務の効率化を進めることが求められます。 一方、デジタル人材は、官民を問わず不足している状況であり、小規模な市町を中心に独力で人材を確保していくことが極めて困難な状況にあります。デジタル人材に関しては、限られたリソースを効率的に活用するという観点から、民間の力をどう活用するかという取組も必要でしょう。 国は、今年度中に全都道府県に対して推進体制を構築するよう求めており、デジタル人材も新たに広域連携の対象となる専門人材に包含されると考えます。 次に、公共施設等の集約化・複合化の分野で、広域連携の在り方について検討します。 高度経済成長期以降に整備された施設・インフラの老朽化が課題となる中、各自治体の取組だけでなく、県やほかの自治体と連携して、公共施設の集約化、共同利用や長寿命化に取り組むことが効果的であり、時代の要請であるというふうに考えます。 水道事業を例に挙げます。本県における水道事業の概要を見ると、二〇二〇年度末現在、水道普及率は九三・九%、管路の老朽化率は二六・一%、耐震化率は二六・八%、浄水施設の耐震化率は一五・六%と、いずれも全国平均と同程度か、悪い水準にあります。 また、地理的な条件や施設配置状況により、事業者間で水道料金に三倍程度の差があるほか、一部では給水にかかる費用を料金収入で賄えていない事業者も見られます。 こうした現状から、県では、二〇二三年三月に策定された山口県水道ビジョンの広域連携シミュレーション編で、将来にわたり持続可能な水道事業経営を確保するための選択肢の一つとして、水道事業の広域連携を挙げています。 本県の水道事業を取り巻く課題について、一、人口減による収益の減少、二、老朽化による更新需要の増加、三、人材不足などと指摘。本県の給水人口は、今後四十年で約三四%減少、それに伴って収益も約三五%減る一方、老朽化や耐震化などで更新需要が増加するとし、今後四十年間について、統合範囲では、一、全県で統合、二、東部・中部・西部の三圏域で統合、の二つのパターン、事業範囲では、一、事務の広域的処理、二、施設の共同利用、三、経営統合、の三つのパターンで試算しています。例えば、全県で経営統合した場合、約七十四億円の削減効果が見込まれるとしています。 こうした費用面のメリットに加え、私がもう一つメリットだと考えるのが、さきに課題として挙げた技術職員の相互補完です。統合により、管理体制や人員体制の強化、ノウハウの共有、技術継承が可能になります。 他県でも、本県と同様に人口減少が進む中、県と市町村間の連携を強化することで、サービスを継続すべく努力しているところがあります。 水道事業とはやや異なる下水道事業ではありますが、約五千三百キロメートルの下水道管が通る秋田県では、県と全二十五市町村が下水道事業等で連携しており、二〇二三年に県と各自治体、公募の民間事業者の出資で株式会社を設立。下水道事業の経営戦略や工事の積算等を担う仕組みを整えました。 また、自治体間で下水処理施設の統廃合も進め、人口約三十万人の秋田市では、今後五十年間で少なくとも約百二十億円の費用削減効果を見込んでいるといいます。 この県内全域における高度な連携は、秋田モデルと呼ばれ、県と市町村の行政機能の一本化の先進事例として注目されています。 国は、将来にわたり水道サービスを持続可能なものとするためには、人材の確保や施設の効率的運用、経営面でのスケールメリットの創出等を可能とする広域連携の推進が重要で、都道府県に推進の義務があるとしており、まずは県がリーダーシップを発揮し、各市町と合意形成を図りながら、広域連携を着実に進めていくべきだと私は考えますし、この取組は待ったなしの課題であるというふうに認識をしています。 こうした施設の集約化・複合化は、施設の廃止等に踏み込む場合もあり、地域を超えて取り組む場合の利害調整には困難さを伴います。そこで、県には、県と市町間の集約化や共同利用の検討だけでなく、市町間での連携が進むよう、調整や事務局機能といった役割を担うことを期待します。 そこでお尋ねいたします。人口減少が急速に進行し、様々な行政サービスの展開において、今後、具体的な支障が生じる可能性が高まっている中、県と市町の広域連携について、どのように取り組まれていこうとされるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、市街地での熊の出没への対応等についてお尋ねいたします。 本年七月、衝撃的なニュースが全国を駆け巡りました。北海道で新聞配達中の男性がヒグマに襲われて死亡し、その後もごみをあさる姿が市街地などで目撃されたというものです。その後も熊が人間を襲い、死亡やけがに至ったニュースが度々報道されています。 実際、熊による人への被害は、二〇二三年度、全国で過去最多の二百十九人に上り、二四年度も百九十八人と高止まり、本県でも三人でした。人と熊の生活圏を隔てていた里山が人口減少で荒廃し、熊が人の生活圏に近づきやすくなっているとされることが主な要因と考えられています。そして、この傾向は今後も続くと見られます。 先ほどの事例は北海道の話ですが、近年、本州の市街地でも熊が現れる事例が相次いでいます。私の地元の萩市では、熊の目撃情報が防災メールで配信されます。ほとんどが里山での目撃情報でしたが、今年七月末と八月初旬に市街地の市営団地近くの田で目撃されるなど、市中心部に住む住民にとっても他人事とは言えない状況です。県内各地で、住宅近くや市街地での目撃情報が寄せられています。 今月、改正鳥獣保護管理法が施行され、その中で緊急銃猟の制度が設けられました。これにより、自治体の熊対応は大きく変わる可能性があります。 これまでは、住宅密集地での発砲を原則禁止しており、熊が市街地に現れてハンターが出動しても、発砲できるのは警察官の命令を受けた場合に限られました。そのため、捕獲のタイミングが遅れ、被害が生じるといったケースもありました。 法改正により、一、日常生活の場に侵入するか、そのおそれがある。二、人に弾丸の到達するおそれがないなど、幾つか条件はあるものの、市町村長の責任で緊急銃猟として市街地での発砲が認められるようになりました。 しかし、本県を含む西中国地域では、国が一九九四年から熊猟を禁止していることから、基本的には熊に慣れていない地域であり、ハンターが実際に熊と対峙したという経験に乏しいとも言えます。市町の担当者も、実際に発砲要件に該当するような事態が生じたとしても、市町だけで発砲判断するのは難しいと、その対応の難しさを吐露しています。 さきに述べた緊急銃猟には、実際の発砲に加えて、ハンターの要件として、一、過去一年以内に二回以上射撃している、二、過去三年以内に緊急銃猟で使うものと同種の銃器で熊、イノシシなどを捕獲した、などがあります。 一方で、ハンターの不足、高齢化も深刻な課題です。本県における散弾銃などを扱える第一種銃猟免許を持つハンターは、二〇〇八年度までは二千人を超えていましたが、二〇二四年度は千九十二人に半減。六十歳以上が六割を占めています。 また、熊が現れるケースが多い中山間地では、特にその傾向が深刻であり、私の地元の萩市旧須佐町弥富地区のある猟友会員は、六十歳代の自分が最若手で、あと十年もすれば、とてもじゃないが組織がもたず、地域の荒廃が進んでしまう、と嘆かれていました。 村岡知事におかれても、本年六月の定例記者会見で、担い手が非常に減った、国の支援が必要と述べられるなど、国からの支援を引き出しつつ、県が主体になった対策が必要であると考えます。 そこで、二点、お尋ねいたします。 一点目に、緊急銃猟の担い手となるハンターの減少と高齢化という課題に対して、県は、これまで資格取得補助などを行ってきていますが、今後、どのように取り組まれるのか。 二点目に、熊の行動範囲が市街地に及ぶような事例が見られる中、法改正の趣旨も踏まえた対応策について、どのように検討されているか、御所見をお伺いいたします。 次に、戦略的な誘客対策によるインバウンドの拡大についてお尋ねいたします。 今年度、県におかれては、インバウンドのさらなる拡大を図るため、ビジットやまぐち推進事業を拡充されました。 具体的には、海外市場に向けた戦略的なプロモーションの展開について、県が重点五市場と位置づける韓国、台湾、香港、中国、タイやシンガポールをはじめとするASEANについて、各市場に一人ずつ、観光プロモーターを配置。旅行会社とのコネクションを活用した旅行商品の造成や現地でのプロモーションなどを展開されています。 また、海外の旅行会社を招いた県内視察ツアーや商談会を開催し、県内観光地等の魅力をより深く理解してもらい、現地でのプロモーションにつなげる取組を継続的に実施されています。 二〇二三年、本県を訪れたインバウンドは約二十五万人で、国・地域別に見ると、韓国が全体の三〇%、台湾が一五%、中国、香港がそれぞれ五%と、ここだけで半数を占めています。 昨年十一月定例会の一般質問で、私は県や各市町の友好・姉妹都市のコネクションを活用した観光戦略の立案、また、昨年、中東ヨルダンを訪問し、本県への関心が高い、けれども、まだ本県とあまり接点がない国・地域があるということを体感したことから、中東、アフリカなど、これまであまり本県と接点がなかった国・地域へのアプローチの必要性について触れたところです。 県が重点市場に位置づける国・地域への継続的なアプローチに加え、今後の市場拡大に向け、こうした視点も持ち合わせて取組を強化していただきたいと思います。 ここで、インバウンド拡大について、二つの視点から検討します。 一つは、新型コロナウイルス感染拡大後のインバウンドの旅行形態についてです。コロナ禍を経て、インバウンドは団体旅行が減少し、個人旅行が増加しています。個人旅行客は、訪日前に航空券や宿泊先を手配し、およその日本での訪問先を決める場合が多いというデータがあることから、県は、大手旅行サイト「エクスペディア」と連携し、山口県の特設ページを設け、元乃隅神社等の観光地を紹介するターゲティング広告を展開。認知度を高める取組を行っています。 二つ目は、インバウンドのニーズに対応したプロモーションです。今年六月末から七月初旬には、重点五市場の旅行会社が県内の観光地を視察するツアーを開催。担当者によると、私の地元である萩市でいえば、台湾の方は、旧むつみ村に位置し、猫寺として有名な雲林寺が人気だったということです。一方で、欧米の方は、着物を着ての城下町の散策が人気だったということで、国・地域によっても微妙に志向が異なる点にも留意が必要です。 どちらも重要な視点ではありますが、今後は新たに、先般、我が会派の中本議員も提唱した美食と観光を掛け合わせたガストロノミーツーリズム、温泉などでのリラクゼーション体験や自然体験を通じたリフレッシュなどのヘルスツーリズムなど、拡大する市場の需要の取り込みにも俊敏に対応していただきたいと思います。 県としては、今年度、現在開かれている大阪・関西万博を契機とした誘客拡大、また、来年度にはデスティネーションキャンペーン、いわゆるDC、来月からはプレDCを控えており、このような大型イベントを起爆剤に、様々な取組を行ってこられたと承知をしています。 また、これまでも一般質問等で各議員の皆様が、こうした契機を捉えた観光振興等についても質問をされてきたところですが、私は、これまで述べてきた点を踏まえ、二点、お尋ねをいたします。 一点目に、県は、これまでもインバウンドのニーズの変化に対応しつつ、戦略的な誘客拡大に取り組んでこられましたが、一層の拡大に、今後、どのように取り組まれますか。また、プレDCやDCを目前に控える中、この契機を誘客拡大にどうつなげられるでしょうか。 二点目に、まだ開催期間中ではありますが、大阪・関西万博を契機とした誘客拡大について、県としてどのように総括をされているか。今後の誘客への課題や得られた知見等について、御所見をお伺いいたします。 最後に、不登校の児童生徒の居場所づくり等についてお尋ねをいたします。 本県内の不登校の子供の数は、二〇二三年度に三千九百五十七人と、過去最多となりました。内訳を見ると、小学校が千二百八十四人、中学校が二千二百八十六人、高校が三百八十七人で、前年度より五百七十九人増えています。令和五年に文部科学省がまとめた、誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策では、不登校の児童生徒全ての学びの場を確保し、学びたいと思ったときに学べる環境を整えることの重要性が示されており、各自治体に対応が求められています。 今回取り上げるのは、近年、全国的に広がり、注目を集めている校内教育支援センターの取組です。校内教育支援センターとは、主に不登校や学校になじめない子供たちに対し、個別最適な学びの場を提供するものです。通常の教室とは異なり、空き教室等を利用して運営され、例えば学習内容は子供自身が設定。登下校の時間も自由で、通常の授業に一時間だけ参加して、残りは校内教育支援センターで学習するといったようなことも可能です。 広島県では、県教育委員会の主導で二〇一九年度、十一の指定校に集団での学びになじみにくい子供でも通いやすいようにスペシャルサポートルーム、いわゆる校内教育支援センターを設置しました。 私も、そのうちの一つを拝見いたしましたが、玄関を通らずに教室に入ることができ、カラフルな家具が設置されていて、非常に通いやすい雰囲気であるなど、およそ教室とは思えないつくりに驚きました。 また、愛知県岡崎市では、FIT(適応)、FREE(自由)、FUN(喜び)、FUTURE(将来)の頭文字を取ったF組を市内の学校に展開し、設置校は非設置校よりも長期欠席者の増加率が抑制されているというデータもあります。 下関市では、不登校等の子供のための、学びの多様化学校を来年四月一日に開校する予定で、これが校内教育支援センターに類似の事例かと思いますが、県教委では、ステップアップルームの設置に取り組まれている中、不登校の児童生徒数は増加傾向にあり、子供が学ぶための居場所づくりは喫緊の課題であると認識をしています。 一方、不登校の子供を抱える保護者への支援も重要であると考えます。民間の調査では、不登校の子供を抱える保護者の二人に一人が孤独を感じており、体調不良になったのは二六%、精神科を受診したのは一五%、一九%は望まない離職を余儀なくされたとのことです。 つい先週も、不登校の子供を持つ親御さんからお話を伺う機会がありました。その中で、「当日急に学校に通う気になった場合や、民間のフリースクールに通う際の送迎が負担になっている」「多くの不登校の子を持つ保護者が同じような悩みを抱いている」というお話を聞き、私はその場で、「行政が循環バスを回すとか、親御さんの負担軽減ができるといいんですけどね」と答えると、「笹村さん、それはちょっと違います」と言われました。学校に通う気が起きるのも突然である場合が多く、送迎の時間が仮に設定されていても、その時間にちゃんと間に合うかどうかは保証できないということでした。私は、当事者に寄り添った回答をしたというふうに考えましたが、実態はやはり少し違っていて、きちんと悩みを抱えている人の声を聞いて答えていかなければいけないなというふうに反省をしたところです。 結局、行政からの支援は、期待はしているけれども、当面は不登校の子を持つ母親のコミュニティーで送迎を分担するなどしたいとのことでした。この親御さんはテレワーク可能な仕事に転職をされましたが、収入が減り、現在は貯金を切り崩して生活をされているということでした。 文部科学省は、自治体による相談窓口の設置を後押しするなど、保護者への支援体制を強化しています。保護者の安定は子供の安定にもつながると考えられ、県としても不登校の子供への支援はもとより、保護者への支援を考える段階に来ているのではないかと考えます。 そこで、二点お尋ねをいたします。一点目は、校内教育支援センターの設置を含めた不登校の子供たちが学ぶための居場所づくりについて、どう取り組まれるか。二点目は、相談支援体制の充実など不登校の子供を持つ保護者への支援について、それぞれ県教委として、どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 以上で、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)笹村議員の御質問のうち、私からは、県と市町との広域連携の取組についてのお尋ねにお答えします。 我が国全体が人口減少局面にある中、高度経済成長期に整備した公共施設等の老朽化の進行や、デジタル化、脱炭素化等の社会変革への対応など、行政を取り巻く環境は大きく変化しています。 こうした状況においても、行政サービスを持続的・安定的に提供していくためには、各自治体がそれぞれの強みを生かしたサービスを提供するとともに、互いの資源を融通し合うなど、地域の枠を超えた連携が重要です。 本県においては、連携中枢都市圏を形成する複数市町による交流人口の拡大や圏域経済の活性化の取組のほか、消防やごみ処理業務の広域化など、地域の将来ビジョンや危機感を共有する自治体同士による、自主的・主体的な連携が広がっています。 こうした中、県内市町に共通する課題として、自治体における専門人材の確保や、老朽化が進む公共施設等への対応が求められており、安定した行政運営を進めるためには、これまで以上に、県と市町が連携した取組が必要です。 このため、人材については、本年三月に策定した人材育成・確保基本方針の下、大規模災害時等における市町への派遣を見据えた、土木や林業等の技術職員の採用や共同研修の実施、県と市町間の職員派遣などに取り組んでいます。 とりわけ、都市部への人材の集中が著しいデジタル分野においては、今年度、専門的知見を有する人材を県で確保し、希望する市町に派遣することで、住民の利便性向上と職員の業務効率化を実現するフロントヤード改革等につなげるなど、市町のニーズを踏まえた支援に取り組んでいます。 また、公共施設等については、市町が策定する総合管理計画に基づく管理を基本としつつ、お示しの水道事業に関しては、広域連携による基盤強化が必要であるとの考えの下、県と水道事業者で構成する協議会において、持続可能な水道事業経営の実現に向けた具体的な議論を進めています。 先行して広域連携の検討を行ってきた地域において経営統合が実現した事例もあり、県としては引き続き、経営の安定化や施設・設備の合理化等に向けて必要な支援を行っていきます。 今後は、こうした連携事例を広げていくため、市町との連携会議の場も活用しながら、先進事例や国等の支援策の情報提供、適切な助言など、きめ細かな支援に努めていきます。 私は、今後とも、市町の自主性や自立性を尊重しながら、県が広域自治体としての役割をしっかりと発揮し、広域連携の推進に向けて、積極的に取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)山本環境生活部長。 〔環境生活部長 山本毅君登壇〕 環境生活部長(山本毅君)市街地での熊出没への対応等についてのお尋ねにお答えします。 全国的に日々、市街地等への熊出没が報道されており、本県では、こうした切迫した状況にはないものの、本年度の出没・捕獲件数は、過去最高であった昨年度にも迫ることから、熊出没に対する速やかな体制の整備が必要です。 こうした中、今月、改正鳥獣保護管理法が施行され、市町の判断による市街地等での緊急銃猟が可能となったことから、県では、熊生息域外にあり対応の経験が少ない市町の状況も踏まえながら、県全体で緊急銃猟に対応できるよう支援を行っているところです。 具体的には、国が示す緊急銃猟ガイドラインにおいて、市町に対応マニュアルの作成が求められていることから、県が地域の実情に即した独自のマニュアル案を作成し、これを活用した市町向けの研修会を、今月実施したところです。 さらに、来月には、県警察や猟友会と連携して、市街地等での熊出没を想定した机上訓練を、県内で最も出没が多い岩国市において実施することとしており、これをモデルとして、各市町での実効性の高い体制づくりを支援していきます。 また、緊急銃猟の実施に当たり、市町が狩猟免許所持者に対応を依頼することとなりますが、免許所持者の減少、高齢化が課題となっており、新たな担い手の確保が求められています。 このため、多くの方に狩猟や免許取得に関心を持っていただくため、今年度から、商業施設での広報やSNSを活用した情報発信を行った結果、今年度の試験合格者は昨年度の百八十八人から三百八人に、そのうち銃猟の合格者は四十八人から六十八人に増加するなど、一定の成果が得られたところです。 さらに、若い世代による狩猟等への関心を深めるため、農業大学校においてその魅力を伝えるための授業を行うなど、大学等と連携して周知を図っており、幅広い担い手の確保にも取り組んでいきます。 こうした取組に加え、緊急銃猟に必要となる盾やプロテクター、通信機器などの初期装備や、熊猟が禁止されている本県の実情に即した技能研修の実施に当たり、国による財政的・技術支援が必要であるため、引き続き、政府要望等を通じて強く求めてまいります。 県としましては、今後とも、国や市町、県警察、猟友会等と緊密に連携し、県民の安全・安心の確保に向けて、緊急銃猟をはじめとした熊出没対策等に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)木安観光スポーツ文化部長。 〔観光スポーツ文化部長 木安亜紀江さん登壇〕 観光スポーツ文化部長(木安亜紀江さん)戦略的な誘客対策によるインバウンドの拡大についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、一層の誘客拡大について、県では、重点五市場をターゲットとして、国際旅行博や旅行会社による視察の機会を捉え、お示しのガストロノミーツーリズム等の視点も交えながら、食や歴史、温泉などの魅力を複合的にPRするなど、新たなニーズにも対応したプロモーションを展開しています。 また、昨年のニューヨークタイムズ紙の記事掲載を契機に、新たに欧米豪市場に向けて、大手旅行サイトと連携した個人旅行者向けのプロモーションや、海外メディアを活用した情報発信等、本県の認知度を高める取組を強化しているところです。 今後とも、変化する外国人観光客のニーズや誘客の対象となる市場の拡大に的確に対応し、山口DCなどの本県の注目度が高まる絶好の機会も活用しながら、一層の誘客拡大を図ってまいります。 次に、万博を契機とした取組の総括については、六月に実施した万博会場における山口県催事において、お示しのこれまで本県と接点がなかった国や地域からの来場者との交流を通じて、市場の実態やニーズに関する知見を得るとともに、本県の魅力を直接伝えることができたと考えています。 さらに、万博の開催期間に合わせて、世界各地から外国人観光客が訪れる関西圏において、大阪駅でのPRイベントの開催や関西国際空港におけるリーフレットの配布、大阪モノレールへの広告掲出など、集中的な情報発信を行い、本県の認知度向上に取り組んでいるところです。 こうした取組の成果を確実に本県誘客の拡大につなげていくことが課題であり、今後、大手旅行サイトや航空会社と連携した、予約に直結するプロモーションや、JRや近隣自治体と連携した広域周遊の促進などを図ってまいります。 県では、引き続き、市町や観光事業者等と連携し、戦略的な誘客対策によるインバウンドの拡大に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)不登校の児童生徒の居場所づくり等についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、校内教育支援センターの設置を含めた不登校の子供たちが学ぶための居場所づくりについてです。 本県における不登校児童生徒数は、令和五年度に過去最多を記録するなど、深刻な状況であり、お示しのとおり、不登校の児童生徒全ての学びの場を確保し、学びたいと思ったときに学べる環境を整えていくことが重要であると考えています。 このため、県教委では、学ぶための居場所づくりに向け、今年度、小中学校内に校内教育支援センターを新たに設置する市町に対し、相談支援等を行う支援員の配置に係る補助制度を創設したところであり、その設置を促進しています。 また、公立中学校においては、専属教員を中心に、個に応じた学習支援等を行うステップアップルームの設置については、利用生徒の半数以上が教室に復帰するなどの大きな効果があることから、昨年度の二十五校から今年度は三十五校に拡大したところです。 さらに、学びの多様化学校については、授業時間を柔軟に設定できるなど、学校に行きづらい児童生徒にとって、有効な学びの場の一つであることから、来年度の開校を計画する下関市に対して、子供たちのニーズに合った教育課程の編成や教職員の配置など、組織・体制づくりを支援しています。 次に、相談支援の充実など不登校の子供を持つ保護者への支援についてですが、議員お示しのように、保護者が悩みを抱え込むことがないよう、相談体制の充実を図る必要があると考えています。 このため、県教委では、保護者等に対して、電話による二十四時間の相談窓口等を設置するとともに、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーによる相談支援を行っているところであり、引き続き、保護者の不安を和らげることができるよう、寄り添った対応に努めてまいります。 また、本県の強みであるコミュニティ・スクールの仕組みを生かし、子育ての悩みを抱える家庭を訪問して相談対応などを行う家庭教育支援チームと、学校等との連携による支援体制の構築にも取り組んでいるところです。 県教委といたしましては、今後とも、市町教委等と緊密に連携し、不登校の児童生徒の学びの場の確保やその保護者等への支援の充実など、不登校対策にしっかりと取り組んでまいります。