1 海洋環境の変化を踏まえた水産業の発展について 2 部活動の地域移行について 3 未来の教員像と育成支援体制について 4 医療問題について 5 公共工事の入札制度の適切な運用について 6 脱炭素社会の実現に向けた水力発電の安定供給について
───◆─・──◆──── 午後一時開議 副議長(河野亨君)休憩前に引き続き会議を開きます。 ───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第十七号まで 副議長(河野亨君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第十七号までを議題とし、質疑の議事を継続いたします。 岡生子君。 〔岡生子君登壇〕(拍手) 岡生子君 自由民主党会派の岡生子でございます。通告に従いまして質問をさせていただきます。 初めに、海洋環境の変化を踏まえた水産業の発展についてお尋ねをいたします。 本州の最西端に位置し、三方を海に開かれている本県は、四季折々の多種多様な水産物に恵まれ、県民の重要な食料として、私たちの食卓を彩ってきました。 私の地元の阿武・萩地区は、日本海に面し、岩礁帯の変化に富んだ海岸線や島嶼部、さらには阿武火山群などにより形成された天然礁など好漁場となり、マフグや瀬つきあじ、ケンサキイカ、アマダイなど高品質な魚介類に恵まれ、水産業は地域の主要な産業の一つです。 加えて、県の魚であるトラフグをはじめ、新たな養殖ブランドであるほろ酔いさばなどの養殖業も脚光を浴び、どこで買えるのかといった質問も、度々寄せられているほどです。 漁業者の方々が安心して漁を続けられること、養殖が安心して成り立つこと、そして海の環境が豊かであり続けることは、県民の食卓や地域経済などに直結する大切な問題であり、人々の地域での暮らしと深くつながっています。 そのため、これまで県は、新規漁業就業者の確保・育成をはじめ、計画的で実効性のある漁獲可能量制度、すなわちTAC制度による水産資源の管理強化、漁業の効率化等に向けたスマート水産業等の推進、漁業生産力の強化に向けた藻場の再生保全、栽培漁業の推進による漁獲量の維持・拡大などに取り組まれてきました。 加えて、本県の水産研究の拠点である水産研究センターは、顕在化してきた海洋環境の変化に伴う漁業への影響など社会情勢の変化を踏まえ、水産資源の調査・評価や、漁場予測の提供、新規栽培魚種の開発などの試験研究により、本県水産業の発展に大きく寄与してきました。 一方、近年、地球温暖化などによる海洋環境の変化に伴う漁獲量の減少や主要魚種の不漁、水産資源の増殖やブルーカーボンに大きな役割を持つ藻場の減少、さらには安定した生産・供給につながる養殖業における夏期の高水温対策など、新たな課題への対応も必要ではないかと考えています。 実際に、地元の漁業者の方々の話では、資源管理はもとより、魚が捕れにくくなっていたり、養殖で夏の暑さで魚が弱ったり、藻場が減って海の環境が変わってきたりと、将来が心配だという声を多く聞きます。 そこでお尋ねいたします。地球温暖化などによる海洋環境の変化が本県水産業に大きな影響を及ぼす中、より一層、生産性と持続性を両立した水産業の発展が重要と考えますが、水産研究の成果の普及、展開を含め、今後、県はどのように取り組んでいくのか、御所見をお伺いいたします。 次に、部活動の地域移行についてお尋ねいたします。 世界トップレベルのアスリートによる国際スポーツの祭典、東京二〇二五世界陸上が幕を下ろしましたが、最高峰の戦いを目の当たりにして、改めてスポーツのすばらしさを実感いたしました。 スポーツは身体能力の向上だけでなく、精神面の成長や人間関係の構築など、子供の成長過程に大きな影響を与えると言われています。それはスポーツに限らず、文化芸術も同様ですが、今、成長の源泉とも言えるスポーツ・文化芸術活動をめぐる環境は、部活動の地域移行という大きな流れがある一方、熊本市のように部活動を継続する方針を取る自治体もあるなど、まさに変革の最中にあります。 県では、子供の活動の場を守るため、国の動向を見極めながら、指導者の確保や地域クラブ活動の充実に向け、市町や教育委員会、地域と連携し、前向きに取り組んでこられました。 こうした中、地理的な要因や人材の問題により、地方と都市部の格差が生じる部分もあり、私の地元萩市でも、中山間地域の広がる旧町村を中心に、送迎の問題や場所、用具の確保など、同様の問題を抱えています。そこで、子供たちが安心して全力で活動に打ち込める環境を整えることは、我々大人の責務です。 まずもって、部活動の地域移行を考える上で、指導者の確保・育成は、一丁目一番地の重要な課題ですが、中山間地域をはじめとする指導者不足に悩む地域に向け、人材バンクの整備や指導者研修等を行い、必要な人材を確保し、育成するための取組や支援策を進めなければなりません。 また、冒頭触れた世界陸上等のステージに本県出身者を輩出するため、可能性ある若き才能の芽を育めるような質の高い指導力の確保も重要です。 そして、他の地域の参考となる地域クラブ活動の成功例やモデルケースがあれば、県が中心となり、市町等へ情報提供を行うなど、積極的に横展開してほしいと思います。 るる申し上げましたが、こうした課題に対し、市町や教育委員会、地域団体等と緊密な連携の下、広域自治体である県として、引き続き主体的に取り組んでいただきたいと考えています。 そこでお尋ねいたします。県内全域におけるスポーツ・文化芸術活動の場を充実させるため、指導者人材の確保・育成をはじめとした環境整備など、部活動の円滑な地域移行に向けて、県はどのように取り組むのか、御所見をお伺いいたします。 次に、未来の教員像と育成支援体制についてお尋ねいたします。 教員不足が叫ばれる中、本県においても採用試験の倍率が過去最低となるなど、教員の確保は喫緊の課題となっています。 業務の多忙化による教員の長時間勤務が指摘される中、働き方改革の推進は重要であり、私としても、しっかりと取組を進めてほしいと考えています。 教員の働き方改革を進めるにおいては、業務の削減や効率化の一方で、子供と向き合う時間はしっかりと確保しなければならないと思います。 なぜなら、授業だけでなく、様々な環境で見つめる教員だからこそ分かる、子供のよさや課題があるからと思うからです。 教員の魅力は、子供たちに寄り添いながら、社会で生き抜くための力が備わるよう指導・サポートすることや、感動や喜びを共有することで、大きなやりがいや達成感を味わい、子供たちとも深く接していく中で、自分自身も一緒に成長できることにあると思います。 公教育は、机上での勉強にとどまらず、掃除や給食の配膳、部活動、体育祭や委員会活動、そして合唱コンクールや修学旅行といった学校行事など、その多岐にわたる教育が世界的に非常に高い評価を受けてきました。 しかしながら、こういった業務が削減や効率化されれば、教員の質やモチベーションの低下につながらないかと危惧しています。 私の地元、萩・阿武区では、規模の小さい学校が多く、教員の数も相対的に少ない中、若手の教員が経験豊富なベテラン教員の知見に触れたり、出張や研修の調整が難しくなっているというお話も聞きます。 そのような環境では、教員の質も向上しづらく、さらには、トラブルなど直面した際に、うまく対処できずに自信を失ってしまうことになるのではないかと思うのです。そのような教員の不安を解消し、自信を持って教員生活を送ることができるようなサポートも重要だと考えます。 そこでお尋ねいたします。教員が学校の先生になったときの情熱を減退させることなく、教師としての幸せを感じながら働いていくことが大切だと考えますが、県教委は、これからの教員像をどのように描き、そのような教員を増やすために、どのような育成支援体制を整えていかれるのか、お伺いをいたします。 次に、医療問題に関して、萩市の医療問題についてお尋ねいたします。 萩市の医療問題とは何か。具体的には、都志見病院と萩市民病院の統合による中核病院の形成であり、私は、これまでも本会議や委員会などで県の考えをお尋ねいたしました。 その結果としては、県は、病院統合の前提である萩市と都志見病院の間の基本合意の締結は、萩市の責任で進めなければならないものであること、病院統合に当たって、国や県からの財政支援である地域医療介護総合確保基金を活用するためには、令和八年度末、具体的には令和九年四月一日から、統合後の新体制で診療がスタートしていることが必要なことが示されるとともに、田中市長就任以降、萩市からの報告、相談等は一切ないこととの実態も繰り返し示されたところです。 また、去る六月議会環境福祉委員会で、基金活用には時間的な余裕はないことも示されたため、私は、同僚議員の笹村議員や、病院統合の必要性を真摯に訴えている萩市議会議員有志の皆様と共に、八月八日、萩市に対して基本合意や統合目標時期などに関する市長の見解や責任を問う公開質問状を提出いたしました。 その結果は、県から基本合意の締結は当事者間の取組が基本であると言われている、県知事には財政支援などを要望するとともに、当事者のみでは進展しにくい状況を説明しているなど、県とは連携して対応しているとも受け取られるものもありますが、それならば、なぜ病院統合が進まないのかという疑問を強くする回答でした。 萩市は、中核病院は赤字が必至。予定される新病院の建設費の高騰もあり、慎重に検討するとの考えを示す一方で、八月の中核病院形成調査特別委員会で、統合に向けて一番重要な基本合意の締結目標時期を問われた際には、「今年、遅くても今年度末」と答えた市長は、公開質問状では、「この時期は目標」とし、さらには今月の市議会本会議においては、「願望」とトーンダウンしています。 加えて、市長は、「中核病院を造ったら、三次救急も全て萩市でやれるようになると考える市民がいたから、一旦、ゼロベースに戻して、もう一度検討することにした」というような問答も示しています。 市民からそういう話を聞かれたのなら、その当時は、市長は県議会議員であったはずであり、その見識の下に、高次医療の三次救急は県全体の対応と伝え、理解を求める立場ではなかったのか、長年、県議会議員を務め、地域医療の二次救急と三次救急の違いも分からないのはいかがなものかと思われる答弁に疑問を抱きます。 そして、そういう誤解の下に政策を考えたのでは、住民の暮らしの安心・安全が守られない結果ともなりかねないことに、非常に不安を抱いています。 さて、県内八保健医療圏の中で、萩保健医療圏と他の七保健医療圏の医療体制の大きな違いは、地域の医療を担う拠点となる中核病院があるか否かです。他の七保健医療圏は、国や県、各自治体の運営する公立病院、あるいは柳井市や長門市のようにJAが運営するなどの公的病院が中核病院の役割を果たし、二次救急をはじめとした地域医療を支えています。 萩保健医療圏唯一の公立病院は萩市民病院ですが、もともとが結核・感染症隔離病棟に源を発するもので、中核病院の役割を前提として整備されたものではなく、中核病院の役割を果たす公立・公的病院がないまま、長年にわたり、民間病院である都志見病院がその役割を果たしてきました。 しかし、一民間病院の努力に頼る医療体制は、既に限界に来ていると言わざるを得ません。 このような中で、萩市において、五年前に、藤道健二前市長の下で、萩市民病院と都志見病院を統合して、中核病院を形成する構想が示され、国からも病院統合の重点支援区域として選定され、安心できる医療体制がようやく構築されると期待した人も多かったと思います。 また、病院統合による中核病院形成は、萩保健医療圏の地域医療構想に基づく調整会議の方針でありますが、現行の地域医療構想は、今年度末が計画の終期であり、来年度の検証・検討を経て、令和九年度から新たな構想がスタートすることになっています。現行構想の目標である中核病院形成がかなわなければ、次期地域医療構想にも大きく影響すると懸念します。 るる申し上げましたが、何よりも強く感じるのは、萩市の当事者意識の欠落、その結果としての中核病院形成を含む、今後の萩保健医療圏の医療体制の構築が危機的状況にあると言っても過言ではないことです。 さらには、誤解の下に、この先の萩保健医療圏の医療体制が構築されることがないよう、そして、県と市町がきちんとした役割分担と責任の下に、萩保健医療圏の医療を確保しなければならないと考えますので、現状を踏まえて五点のお尋ねをいたします。 まず、地域医療における県と市町の責任について、県の考え方をお伺いいたします。 二点目は、地域医療における県と市町の責任を具体的に示したものが、地域医療構想の各保健医療圏の方針と理解してよいか、県の考え方をお伺いいたします。 三点目は、中核病院が唯一存在しない萩保健医療圏の医療体制の在り方について、県の考え方をお伺いいたします。 四点目は、田中市長は市議会において、県要望の機会で知事に病院統合について説明している、知事も理解しているという趣旨の答弁をしています。この答弁や、公開質問状に対する回答に対して、県はどのように受け止めているのか、見解をお伺いいたします。 最後に、萩保健医療圏の今期計画の核をなす、萩市の病院統合の可否に対する県の見解と、否とならざるを得ない場合の次期計画への受け止めについてお伺いいたします。 公共工事の入札制度の適切な運用についてお尋ねいたします。 建設産業は、地域のインフラの整備や維持管理を支えるとともに、大地震や豪雨災害などの自然災害の発生時には、応急復旧の中核を担うなど、地域の守り手として、大変重要な役割を果たしています。 しかしながら、昨今の建設産業の状況は、大変厳しいと言わざるを得ません。県内の建設産業の就業者数は、平成七年のピーク時に約九万人から、令和二年には約五万五千人へと四割程度減少しており、有効求人倍率は、全産業平均と比較して著しく高い値で推移するなど、人手不足が深刻な状況です。 また、その県内の企業数は、平成十一年の約九千社から、令和三年には六千社へと、三分の二程度となっており、大きく減少しています。 これらの課題は、平時における地域のインフラ整備等の遅れはもとより、近年、本県も御多分に漏れず、私の地元の萩市においても、平成二十五年に大規模な災害が発生しており、全国各地で自然災害が激甚化・頻繁化する状況がある中で、地域の災害対応力の低下にもつながるおそれがあります。 こうした建設産業の課題を少しでも解消し、業界の発展・育成につなげていくためには、私は、地域の建設工事のうち、一定の割合を占める県の公共工事が果たす役割も大きいと考えており、その発注のルールを定める入札制度の適切な運用が必要と考えています。 制度の運用には、工事の品質を確実に確保するとともに、建設業者の技術力の向上や人材の育成を促進したり、建設業者に幅広く受注の機会を与えることによって、地域の守り手である業界の活性化につなげていくことが非常に重要です。 入札制度の適切な運用に関して、私が重要と考える視点が二つあります。 まずは、技術力や地域貢献度の評価についてです。県では、従前より、簡易型総合評価方式や標準型総合評価方式など、原則として一般競争方式により発注する全ての工事に総合評価方式を適用しており、この中では、これらの項目を評価することとされています。こうした方式の適切な運用により、地域の建設業者の技術力や提案力を育てるとともに、地域における災害時の対応力の強化等を図る必要があると考えます。 一方で、特に地域の建設業者が、健全な維持・発展ができるよう配慮も必要です。比較的規模が小さい工事については、地域に精通した業者に受注の機会を与えるよう努めることにより、損傷箇所が多い大規模災害の発生時において、迅速かつ円滑な応急復旧を可能とする、地域の災害対応力の維持・向上につなげていくといった視点も重要と考えます。 そこでお尋ねいたします。以上申し上げた点を踏まえ、県として、地域の実情等も考慮しながら、公共工事の入札制度の適切な運用にどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 最後に、脱炭素社会の実現に向けた水力発電の安定供給についてお尋ねいたします。 国は、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向け、本年二月にGX二〇四〇ビジョンの策定やエネルギー基本計画の改定を閣議決定し、エネルギーの安定供給確保と経済成長、脱炭素の同時実現を目指すGXを加速させる方針を示しました。 さらに、令和八年度から、いわゆるカーボンプライシングの一つである、排出量取引制度が本格的に始動します。これにより、大規模事業者の非化石価値取引が新たなビジネスの形として展開され、CO2を排出しない再生可能エネルギーが大きな注目を集めています。 このような中、安定性に優れた脱炭素電源として私が注目しているのは、本県の豊かな水資源を活用した水力発電です。水力発電は、運転コストが低く、安定供給に優れている上、純国産のエネルギーという特徴を持ちます。この点で、エネルギー資源の多くを海外からの輸入に頼る日本にとって、非常に重要な役割を果たしていると考えます。 本県には三十二か所の水力発電施設が設置されており、このうち県企業局は、私の地元萩市にある企業局最大規模の新阿武川発電所を含め、十三か所の水力発電を保有しています。最大出力は、これら十三か所の合計で約五万三千キロワットに及び、一般家庭約五万世帯分の消費電力に相当します。これは、県内の水力発電供給の約半分を占める規模です。 企業局では、これまでも発電事業者として、電力の安定供給に向けて積極的に取り組んでこられたことは承知していますが、脱炭素社会の実現に向けては、今後も水力発電は大きな役割を持つことと考えます。 また、発電された電気を県内で消費することで、県内企業の環境意識の向上につなげることが大事であると私は考えており、そうした意味で、県産CO2フリー電気として販売するやまぐちぶちエコでんきの取組も大変意義あるものだと考えます。 そこでお尋ねいたします。CO2を排出しない再生可能なクリーンエネルギーとして注目される水力発電について、現在、多くの期待が寄せられています。企業局として、脱炭素社会の実現に向けた水力発電の安定供給について、今後、どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 以上で、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 副議長(河野亨君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)岡議員の御質問にお答えします。 まず、海洋環境の変化を踏まえた水産業の発展についてです。 地球温暖化等により漁獲の不安定化が進む中、新鮮な水産物を安定的に供給するためには、生産性と持続性を両立した強い水産業の育成が重要です。 このため、私は、新規就業者の確保・育成や、TAC制度に基づく資源管理を推進するとともに、漁業者の所得向上を図るため、水産研究センターにおいて、全国に先駆けて開発したアジやケンサキイカ等の漁場予測技術や、本県ならではのブランド養殖魚等の研究に取り組んできたところです。 しかしながら、近年の海洋環境の変化に伴い、魚の分布や回遊変化による不漁、藻場の減少、養殖業における夏期の高水温対策など、新たな課題への対応が求められており、本県水産業の成長産業化を一層、進めていくためには、水産研究センター等で得られた研究成果の早期実装が必要です。 このため、まず、キジハタやアマダイ等の主要魚種の漁獲の安定化に向け、高性能機器を搭載した漁業調査船による海洋資源調査を充実強化し、魚群の分布状況等を見える化した情報を漁業者に提供するとともに、着実な資源の増大につながる効果的な種苗放流を推進します。 次に、水産生物の産卵や生育の場として重要な役割を持つ藻場の回復に向けては、ドローンを活用して海藻の繁茂状況を広域的に調査し、その分析結果や対応策を漁業者にフィードバックするなど、藻場再生活動の効率化を図ります。 また、海藻を食べ尽くすムラサキウニへの対応として、本県特産の夏ミカン等とのコラボにより、駆除・採取したウニに独自の風味付けをする新たな養殖技術の開発に取り組んできたところであり、今後、この技術を県内各地に普及、展開することにより、持続的な藻場回復の取組を後押しします。 さらに、必要な調査分析機器の更新・導入による水産研究の機能強化を図るとともに、ICT技術を活用した養殖現場におけるモニタリングシステム等の開発を加速化するなど、海洋環境の変化に的確に対応した漁業技術の高度化を進めます。 私は、水産大学校や国の研究機関等との共同研究を推進するとともに、市町や漁業関係団体と緊密に連携し、生産性と持続性を両立した力強い水産業の実現に全力で取り組んでまいります。 次に、医療問題に関して、萩市の病院統合に対する見解と次期計画への受け止めについてのお尋ねにお答えします。 私は、県民が生涯を通じて、健康で安心して暮らし続けていくためには、効率的で質の高い医療提供体制の構築が重要であると考えています。 このため、県では、地域にふさわしいバランスの取れた医療機能の分化と連携を推進するため、地域医療構想を策定し、市町や医療機関、受療者の代表者等で構成する地域医療構想調整会議における議論を通じて、その実現に向けて取組を進めているところです。 萩保健医療圏においては、課題とされる二次救急医療への対応や医療従事者の高齢化・不足等に対応し、当該圏域に求められる医療提供体制を確保するため、萩市民病院と都志見病院の統合による中核病院の形成に向けて検討することが、令和二年一月に、調整会議で協議の上、合意されています。 その後、萩市においてゼロベースの見直しが行われましたが、令和四年二月の調整会議で、市から二病院統合に必要となる基本合意を進めるとの説明があり、既に合意された当初の方針に沿った取組を再開することとされ、萩市長も、病院統合による中核病院の形成を行うことを明言されたところです。 しかしながら、三年六か月が経過した現時点においても具体的な進捗は見られず、萩保健医療圏における医療体制の整備が急がれる中で、その遅れを懸念しています。 病院統合の可否は、萩保健医療圏における医療体制の将来を大きく左右するものであり、その役割を担う萩市の責任において、病院統合による中核病院形成を確実に実現していただくことが必要です。 そのためには、目標達成のための具体的な時期の明示や行動が重要と考えますが、現時点で、基本合意の締結時期は不透明となっており、また、県に状況報告や協議はなく、現実に病院統合が進んでいないことから、県としても、統合の実現性に疑念を抱いている状況です。 次期地域医療構想の検討が始まっていない現段階で、次期構想に向けた県の見解をお示しすることは適当ではありませんが、萩市において、統合に向けたスケジュールの明確化や関係者間の調整を行うなど、中核病院の形成について、早急に具体的な取組をしていただきたいと考えています。 なお、病院統合を進めるためには、県と国、市、山口大学医学部など関係機関の連携が不可欠であり、県といたしましては、萩市から求められれば、必要な助言等は行いたいと考えています。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 副議長(河野亨君)木安観光スポーツ文化部長。 〔観光スポーツ文化部長 木安亜紀江さん登壇〕 観光スポーツ文化部長(木安亜紀江さん)部活動の地域移行についてのお尋ねにお答えいたします。 少子化が進展し、学校単位での部活動の継続が困難な状況が生じる中、子供たちが持続的に多様な活動ができる環境を整備するため、県では、市町と連携しながら、部活動の地域移行を進めています。 こうした中、お示しの地理的な要因や人材の問題にかかわらず、中山間地域を含む県内全域におけるスポーツ・文化芸術活動の場を充実させるため、その担い手となる指導者の確保や質の高い指導力を備えた人材の育成に取り組むこととしています。 具体的には、まず、指導者の確保については、指導者と地域クラブを結びつける人材バンクの一層の活用に向け、希望する教員やスポーツ・文化芸術関係団体等の関係者に加え、新たに民間企業や大学生など、幅広く登録を進めていきます。 また、質の高い指導力を備えた人材の育成については、初心者向けの基礎から、専門性の高い公認指導者の資格取得まで、段階的な指導力の強化を目的とした研修会の開催を通じ、指導者の資質や子供たちの競技力等の向上を図っていきます。 こうした取組に加え、防府市など地域移行が進んでいる三市の取組や全国の成功例を積極的に市町などへ情報提供し、専門コーディネーターによる支援も活用しながら、広く横展開を図ることにより、全県への普及につなげてまいります。 県としては、今後とも、県教育委員会と一体となって、市町や関係団体等と連携しながら、県内全域での部活動の地域移行が円滑に進むよう、指導者人材の確保・育成をはじめとした環境整備に取り組んでまいります。 副議長(河野亨君)石丸健康福祉部長。 〔健康福祉部長 石丸泰隆君登壇〕 健康福祉部長(石丸泰隆君)医療問題についての数点のお尋ねにお答えします。 まず、地域医療における県と市町の責任についてです。 地域医療の確保については、適切な役割分担の下、県、市町が連携して取り組むべき課題であり、県においては、医療法に基づく、地域医療構想を含む保健医療計画の策定など、広域的な医療体制の整備について責任を有しています。 また、各市町においては、二次救急輪番等の二次医療圏における医療体制の確保について責任を有していると考えています。 次に、地域医療構想の各保健医療圏の方針についてです。 地域医療構想の各保健医療圏の方針は、県が保健医療圏ごとに設置し、市町が主体的に参画する調整会議において、当該圏域における課題及び対応について協議の上、策定されているものであり、お示しのとおり、市町の責任に基づき各保健医療圏における具体的な方針を表したものです。 次に、中核病院が唯一存在しない萩保健医療圏の医療体制の在り方についてです。 中核病院は、一般的に急性期医療や二次救急医療について圏域内で完結できる医療機能を有する病院とされており、まさに地域の医療の中核をなすものです。 中核病院が唯一存在しない萩保健医療圏においては、二次救急医療への対応や医療従事者の高齢化・不足等の課題を抱える中、調整会議の合意に基づき、病院統合による中核病院形成に向けて取り組むことは非常に重要であり、地域の医療を確保するためにも、この実現に向けた萩市の責務は大きいと考えています。 次に、県要望や萩市議会での質疑応答、公開質問状への回答に対する県の受け止めについてです。 萩市から県への重点要望事項の中に、病院統合による中核病院への協力要請があることは承知しており、萩保健医療圏における中核病院の形成は、地域医療構想を所管する県としても重要な課題と認識していることから、当然、最優先する政策課題に位置づけ、積極的に取り組むこととしています。 しかしながら、萩市長の主張される県への要望は、県内全市町からの要望をお聞きするものであり、時間的にも制約がある中で、個々具体的に聞くことは困難です。 喫緊の課題の二病院統合の件について、これまで、萩市から、知事や各部局に詳細を伝えられたことはなく、公開質問状での回答である、当事者のみでは進展しにくい現状を説明されているということも含め、萩市が主張されるような認識はありません。 県や国と具体的な連携や協議の取組をしない、萩市の現在の対応には、中核病院が本当に進むのか、県としては危機感、大きな懸念を感じているところです。 副議長(河野亨君)仙石土木建築部長。 〔土木建築部長 仙石克洋君登壇〕 土木建築部長(仙石克洋君)公共工事の入札制度の適切な運用についてのお尋ねにお答えします。 本県の建設産業は、インフラの整備や維持管理、災害発生時の応急対応などを担う中核的な存在であり、地域経済や雇用の下支え役としても重要な役割を果たしています。 とりわけ、大規模災害時には地域の守り手として大きな役割を担っており、お示しの平成二十五年の山口北部の豪雨災害の際には、地域の建設業者が中心となって、国道三百十五号や須佐川、田万川などの応急対応や復旧工事に御尽力いただいたところです。 しかしながら、近年、建設産業は中山間地域を中心に就業者数の減少や高齢化の進行といった課題に直面しており、近い将来、こうした災害対応等に支障を来すおそれがあります。 このため、県では、やまぐち未来維新プランの重点施策に持続可能な建設産業の構築を掲げ、担い手の確保・育成や就労環境の改善、生産性の向上に加え、適正な競争環境の整備に積極的に取り組んでいるところです。 お尋ねの入札制度の運用については、工事の品質確保や地域の建設業者の健全な維持発展にも配慮しつつ、地域内の業者数や工事量などの実情を勘案した工事発注に努めています。 具体的には、一定規模以上の工事においては、技術力と価格の双方を評価して落札者を決定する総合評価方式による一般競争入札を適用しており、技術力の評価に当たっては、入札参加者に施工計画の提案や、災害応急活動等の地域貢献に関する実績の提出などを求めているところです。 これにより、工事の品質確保が図られるとともに、建設業者の技術力・提案力の向上、さらには災害対応力の強化が期待されます。 また、比較的小規模の工事においては、地域に密着した工事の指名を当該地域内の業者に限定して行う地域活力型指名競争入札や、複数の工事を同時発注する際に、同一業者が複数の工事の落札者とならないよう条件を付す先抜け方式等の運用を行っているところです。 これにより、受注機会が確保され、地域の建設業者の健全な維持発展が図られ、地域の災害対応力の維持・向上にもつながるものと考えています。 県としては、こうした取組を進めることにより、本県の基幹産業であり、地域の守り手である建設産業が、将来にわたってその社会的役割を担っていけるよう、引き続き、入札制度の適切な運用を行ってまいります。 副議長(河野亨君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)未来の教員像と育成支援体制についてのお尋ねにお答えします。 変化が激しい時代にあって、学校が直面する教育課題が複雑化・多様化する中、これからの教員には、自ら学び続ける姿勢や、子供たちに寄り添い、一人一人の学びを引き出す力が求められています。 このため、県教委では、これからの時代に求められる教職員像として、山口県教職員人材育成基本方針において、「変化を前向きに受け止め、自己研鑽に努める意欲とチャレンジ精神をもっている人」「児童生徒を共感的に理解し、深い教育的愛情をもっている人」など、八つの姿を示しています。 このような資質能力を持った教員を育成するためには、日々の教育実践を通して、教員が子供たちと成長していく環境づくりを進めるとともに、教員一人一人が夢や情熱を持って働き、学び続けることができるよう、教員の育成に向けた体制を整備することが重要です。 まず、環境づくりについては、コミュニティ・スクールの強みを生かし、地域全体で子供たちの学びを支える協力体制を構築することにより、教員が、多様な人々と関わる中で、教職が創造的で魅力ある仕事だと再認識し、自身の士気を高めることができる機会を増やしています。 また、お示しのように、子供としっかりと向き合う時間を確保することが大切なため、教員が専門性を生かした質の高い教育活動に専念できるよう、学校における働き方改革加速化プランに基づき、業務の精選や効率化等を図っているところです。 次に、教員の育成に向けた体制の整備については、今年度から新たに運用を開始した研修管理システムを活用し、教員がこれまでの学びを振り返り、管理職が教員に対して、今後の資質能力向上のための指導・助言を行うなど、教員の主体的な学びにつながる取組を始めたところです。 また、各学校では、お示しの若手教員の育成に向けて、採用から三年目までの教員の現状や課題、育成方針について管理職を中心に多くの教員で情報共有するなど、組織的な体制を整えて育成や支援につなげています。 さらに、県教委では、市町教委と連携し、各学校における若手教員の育成状況の確認や指導・助言を行うなど継続的な支援を行っているところです。 県教委といたしましては、教員が教育活動を通じて、子供たちの成長に関わることの喜びや、やりがいを実感し、教職人生を豊かなものとできるよう、環境整備の推進と育成支援の充実に全力で取り組んでまいります。 〔繁吉教育長の発言中、河野副議長に代わり、柳居議長が議長席に着く〕 議長(柳居俊学君)弘田公営企業管理者。 〔公営企業管理者 弘田隆彦君登壇〕 公営企業管理者(弘田隆彦君)脱炭素社会の実現に向けた水力発電の安定供給についてのお尋ねにお答えします。 国においては、二〇五〇年カーボンニュートラルに向け、再生可能エネルギーを主力電源とし、最大限活用するとしており、中でも水力発電は、電力の安定供給を支える重要な脱炭素電源とし位置づけられています。 こうした中、企業局では、第四次経営計画の基本方針に、安定供給体制の強化や、地域・環境への貢献を掲げ、水力発電の供給力の向上や、再生可能エネルギーの地産地消の推進に向けた取組を進めているところです。 まず、水力発電の供給力の向上については、県内十三か所目となる平瀬発電所を新たに建設し、本年三月から、最大出力千百キロワット、一般家庭約千五百世帯分の電力の供給を開始したところです。 また、既設の発電所においても、発電効率を高めるリパワリング等を計画的に進めることとし、お示しの企業局最大規模の新阿武川発電所において、現在、リパワリング工事を実施しており、約三百世帯分に相当する増電を見込んでいます。 さらに、水力エネルギーを最大限発揮できるよう、新たな取組として、最新の気象予測技術に基づき、治水容量を水力発電等に活用する、いわゆるダム運用高度化について、関係部局と連携し、令和九年度からの本格導入に向け、取組を進めているところです。 次に、再生可能エネルギーの地産地消の推進については、昨年度、本県の独自ブランド、やまぐちぶちエコでんきを創設し、企業局の水力発電による県産CO2フリー電気の供給を通じて、県内企業の脱炭素化の取組を後押ししています。 現在、県内六十一事業所に御加入いただくなど、加入企業数は年々増加しており、企業からは、脱炭素化に貢献でき企業価値の向上につながっているなどの声を頂いています。 今後、より多くの県内企業にやまぐちぶちエコでんきを活用いただけるよう、これまで以上に効果的な周知に努めるとともに、利用企業のニーズに応じた契約プランのさらなる充実も進めてまいります。 企業局といたしましては、今後とも、供給力の向上などに全力で取り組み、水力発電の安定供給を通じて、脱炭素社会の実現にしっかりと貢献してまいります。 議長(柳居俊学君)これをもって、一般質問及び提出議案に対する質疑を終結いたします。