1 物価高騰対策について 2 女性の働きやすい環境づくりについて 3 持続可能な地域公共交通の確保について 4 多文化共生の環境づくりについて 5 災害時の「福祉」の充実について 6 教育環境の整備について
議長(柳居俊学君)前東直樹君。 〔前東直樹君登壇〕(拍手) 前東直樹君 皆さん、おはようございます。公明党の前東直樹でございます。それでは、公明党を代表いたしまして質問をいたします。どうぞよろしくお願いをいたします。 最初に、喫緊の課題であります、物価高騰対策についてであります。 近年の物価高騰の原因は、新型コロナ後の集中した経済活動の再開とロシアのウクライナ侵攻による世界的な原材料価格の上昇、円安による輸入コストの増加、そして、人手不足による人件費上昇や物流コストの増加とともに、輪をかけてトランプ米大統領による高関税政策の影響等も加わり、経済の不安定要素による厳しさを増す中、公明党が訴える生活支援と経済の好循環を創出するためには、まずもって生活の安定を図っていかなければなりません。 そのためにも県には、当面する物価・エネルギー価格の高騰に対し、国の取組に呼応してスピード感を持って対処していただきたいと念願するものであります。 また、我が国経済に大きな影響を与えているトランプ関税問題については、現在、国において米国と粘り強い折衝が行われておりますが、徐々に地元中小企業・小規模事業者の中でも不安が広がりつつあります。 現在、三十年続いたコストカット型経済は終えんを迎えつつあり、五%を上回る賃上げが二年連続して実現するなど、着実に賃上げ・設備投資が進展しつつありますが、トランプ関税による先行きへの不安から、今後、抑制マインドが働くことも懸念されています。 県におかれましては、県内中小企業に対する影響をしっかりと分析し、その不安の声に寄り添い、適時的確にニーズに応じた実効性のある対策が求められます。 物価高騰に対処するためには、こうした当面の課題に対処した上で、物価上昇を上回る持続的な賃上げを実現しなければなりませんが、そのためには、本県企業の多数を占める中小企業の経営改善、経営力の底上げを図りながら、賃上げ原資の確保、稼ぐ力の強化が必要です。 そこで、まずは、先日成立した改正下請法も踏まえ、価格転嫁対策をより強力に進めなければなりません。そのためにも官公需から率先して価格転嫁を徹底し、民間企業に対して範を示していただきたいと思います。 また、省力化投資、生産性向上などの取組も重要であり、人手不足が深刻化する中にあっても活発な企業活動を促すため、企業におけるデジタル化や省力化、情報系人材の確保などについても着実に支援をしていただきたい。 加えて、政労使による協力体制や奨励金の交付など、中小企業が賃上げしやすい環境づくりも忘れてはならない重要な課題であります。 このように、県内中小企業を取り巻く様々な課題が山積する中、県は今後、物価高騰対策にどのように取り組むのか、お伺いいたします。 あわせて、このたびの物価高騰に対する生活者の不安の中には、主食である米の急激な価格高騰が大きな問題となっております。 米の安定供給と価格抑制に向けては、公明党の高橋光男参議院議員が、昨年十二月の参院農林水産委員会で政府備蓄米を不作時のみならず、流通の円滑化などにも活用できるよう訴えた結果、政府備蓄米の運用が見直され、新たな制度の導入が決まりました。 今般、これまでの取組に加えて、備蓄米の売渡し方法の見直しや、これまでの売渡しで生じた差益分を活用した流通経費等の支援を新たに要請し、価格の下がった備蓄米が流通し始めました。 この点、県におかれましては、水田農業の持続的発展に向けて、昨年度から実需者ニーズに柔軟に対応できる水稲生産構造への転換を促進する、需要に応じた水稲作付拡大促進事業に取り組んでおられます。 これは、重要な生産基盤である水田が減少する中、県産米の高い需要を踏まえ、新たに作付を増やしていく地域の水田を守る取組であり、現下の米不足を考えますと、非常に先見性の高い事業であると高く評価しているところであります。 米の安定供給は、国において決すべき非常に難しい問題であることは承知しておりますが、地方においても、その実態を踏まえ創意工夫できることはあると考えます。 公明党では、引き続き国民が対策の成果を十分に実感できるよう、あらゆる手だてを講じて米の価格高騰対策に取り組むとともに、来年度以降こうした事態が起こらないよう、生産者への支援を含めた抜本的な対策に取り組んでまいります。 次に、女性の働きやすい環境づくりについてお伺いをいたします。 人口減少、そして、少子高齢化という社会課題に直面する中、改めて全ての女性が個性と能力を十分に発揮して活躍できる社会を実現していくことが重要であり、政府が取りまとめる、女性活躍・男女共同参画の重点方針二〇二五(女性版骨太の方針)に対しても、公明党として女性の経済的自立に向けた取組の強化とともに、仕事と育児・介護の両立や女性の健康課題への支援充実、固定的な性別の役割分担意識の解消などに取り組むよう申し入れたところであります。 本県においては、特に若年女性の県外流出による社会減が大きな課題となっており、人口流出の顕著な十五歳から二十九歳の若年層について見てみると、若年女性の転出超過は若年男性の転出超過を継続的に上回っており、特に二〇二三年は、前年の約一・三倍から約一・七倍に増大。こうした若年女性の県外流出傾向は、山口県の少子化をさらに加速させる要因の一つともなっています。 このような傾向に歯止めをかけるためにも、地方から出ていく若年女性の意識、行動原理をもっと深く掘り下げて理解するべきではないか。 例えば、山梨県在住の山本蓮さんが立ち上げた地方女子プロジェクトは、山本さんが、地方出身・在住の女性のリアルな声を集めて動画コンテンツで紹介したものですが、SNS上で、地方で生きる女性の本音を浮き彫りにした取組が話題となり、報道でも大きく取り上げられました。 本年三月には、石破総理大臣や関係閣僚が、地方女子プロジェクト参加者から、生まれ育った地方を離れた理由・背景、どのような地方になれば住みたいと思えるかなどについて意見を伺いました。 若年女性たちが働き、暮らしたくなる地方がどういうものか。地方における女性の働きづらさという根本的な理由も真正面から見据え、そのニーズの把握と、それに的確に対応した働く環境づくり、県内企業の魅力発信を行っていくことが重要となると考えます。 また、女性に大きく依存している課題として、ワーキングケアラーの問題があります。 高齢社会に直面し、ワーキングケアラーは年々増加する一方、介護により離職する人も後を絶ちません。介護離職をする人の多くは、年代的に四十代、五十代で、社会の中核を担っている人材と想定されます。仕事と介護の両立の困難な状況は、ワーキングケアラー本人だけでなく、企業にとっても、さらに日本社会全体にとっても大きな損失であります。 こうした中で、介護負担の男女差は、国の様々な調査でも明らかになっています。例えば、令和四年就業構造基本調査によると、介護・看護のために過去一年間に前職を離職した方の数は二〇二二年、男性有業者の〇・五万人に対し、女性有業者は一・八万人と、女性が全体の八割近くを占めており、女性の負担が大きくなっていることがうかがえます。 家族と共に、結婚や出産、介護など、人生の様々なライフステージを迎える中で、女性もまた自身の望むライフプランを描き、生き生きと活躍できる雇用の場を確保していくことが本県の発展にとっても重要であると考えます。 以上、大きく二つの観点から問題提起をいたしました。人口減少、少子高齢化とともに人手不足が深刻化する中、県内で一人でも多くの女性が活躍できるよう、働きやすい環境づくりを進める必要があると考えますが、県は国や企業と緊密に連携しながら、今後どのように取り組むのか御所見をお伺いいたします。 次に、持続可能な地域公共交通の確保についてお伺いいたします。 地域住民の暮らしを支える地域公共交通については、少子高齢化が進展する中、厳しい状況が続いています。 長期的な利用者の減少、新型コロナの影響により、公共交通事業者の経営環境は悪化し、コロナ後も利用者数が以前の水準までには回復しておりません。 また、路線バスやタクシー、鉄道は、多くの事業者が赤字となっており、昨今の燃油価格の高騰が追い打ちをかけているとともに、さらには運転手の人手不足が深刻化。 このような業績の悪化や人手不足により、路線バスの休廃止が拡大しつつあり、その代替交通手段の確保も困難な状況にあります。 さらには、JR山陰線や美祢線に代表されるように、災害によって被災し運休を余儀なくされている鉄道の復旧も簡単な課題ではありません。 こうした公共交通サービスの提供が危ぶまれる一方で、近隣のスーパー等の減少、学校の統廃合等の問題もあり、買物や通学など日常生活における移動の問題が深刻化しており、全ての県民が住み慣れた地域で、安心・安全に暮らし続けるためにも、地域公共交通に対する期待は大きいと言えます。 地域公共交通は、地域住民の生活に密着していることから、地元市町や民間企業の主体的な取組によるところが多いものの、私は、県においても広域自治体として、国や市町の取組と緊密に連携を図りながら、地域公共交通を取り巻く課題を解消し、その維持・確保を図るよう積極的な取組を期待しているところであります。 また、二〇二六年秋には、JRグループ六社と県内の自治体、観光事業者等が一体となって実施する国内最大級の大型観光キャンペーン、デスティネーションキャンペーンが控えており、本年十月からプレイベントがスタートいたします。 本県観光振興を図る絶好の機会であるとともに、これを一過性にとどめることなく、JR在来線を含め、県内のバス・タクシーなど二次交通の利用促進、経営基盤の強化につなげていただきたいと願っております。 以上を踏まえ、県は持続可能な地域公共交通の確保に向けて、今後どのように取り組むのか、お伺いをいたします。 次に、多文化共生の環境づくりについてお伺いいたします。 山口労働局の調査では、昨年十月末時点の県内の事業所で雇用されている外国人労働者数は一万二千七百五十四人となり、二〇〇八年の集計開始以降、三年連続の過去最多更新となりました。 この背景には、昨今の深刻な人手不足があり、産業人材の確保に苦慮する中小企業においても外国人労働者の確保が進展しつつあると思われます。 外国人労働者は、人手不足の解消に資することはもちろん、海外市場への展開や新たな視点での製品開発など、企業活動の活性化につながるほか、地域コミュニティーの担い手としての役割も期待されます。 また、大阪・関西万博の開催もあり、インバウンド需要が活気づく中、訪日観光を通じて地域の魅力や暮らしやすさに触れていただくことで、本県のブランド価値がさらに高まり、県内での就労につながっていくと考えます。 昨年六月に、改正入管法及び育成就労法が成立し、二〇二七年からの新たな育成就労制度のスタートを控え、外国人労働者は今後さらに増加し、国内でも地域間競争が激しくなっていくことが予想される中、本県を安心して訪問し、働くことのできる環境をつくることが選ばれる県にとって重要であります。 そこで、インバウンド観光の振興を通じて、本県の魅力を強力に発信するとともに、本県を選んでくれた外国人労働者を単なる労働者としてのみ捉えるのではなく、同じ地域に住まうよき友人として互いに支え合える環境づくりが必要です。 そのためには、インバウンド観光に係る情報発信ツールの充実や、政府観光局との連携はもとより、お互いの文化や価値観を尊重しながら、日本の生活習慣や社会規範、教育環境等の十分な理解を促進するとともに、地域文化の学習や地域行事への参加など、円滑に地域コミュニティーに溶け込めるよう配慮していかなければなりません。 また、私が何より懸念していることは、緊急時の支援に係る多言語対応であります。 傷病や災害の発生時、犯罪に巻き込まれたときなど、外国人に対して迅速かつ円滑な対応ができるのか、しっかりと準備をしておかなければなりません。 例えば、他県の事例では、警察や消防だけでなく、私どもも積極的に推進してまいりました救急医療電話相談#七一一九を多言語化対応とした例もあります。 今後、外国人労働者の増大が予見される中、本県を就労先として選び、末永く本県で活躍していただけるよう、円満で安心・安全な多文化共生社会を実現していく必要があると考えますが、県は今後どのように取り組むのか、御所見をお伺いいたします。 次に、災害時の福祉の充実についてお伺いいたします。 このたび、災害時の福祉的支援を充実させるための災害対策基本法などの改正法が成立をいたしました。 今回の法改正は、公明党の主張を反映し、災害法制に福祉の視点を初めて取り入れ、より多くの避難者に必要な支援を届けられるようにするため、災害救助法で定める救助の種類や、災害対策基本法に、福祉サービスの提供を明記したのが大きな特徴であります。 福祉の法的な裏づけができたことにより、避難所を中心に高齢者ら要配慮者の体調管理や相談支援に当たる福祉専門職の災害派遣福祉チームDWATの活動範囲が広がり、在宅や車中泊の避難者に対してもニーズに応じた支援を届けられるようになります。 過去の災害では、避難生活の長期化により、疲労やストレスのために心身に不調を来して命を落とす災害関連死が課題となりました。 昨年一月の能登半島地震では、関連死が地震の死者全体の約六割に上っており、法改正を機に一人一人に寄り添う支援体制を整え、貴い命を守ることにつなげてまいりたい。 また、在宅で避難する高齢者や障害者など、避難所にいない人への福祉的支援が遅れるケースもあり、公明党としても現場の声を基に要配慮者の個別避難計画の作成や、被災者が抱える個別の課題に合わせて伴走支援する災害ケースマネジメントの実施などを推進し、災害法制に福祉の視点を取り入れるよう繰り返し訴えてきたところであります。 改正法は、七月一日に全面施行となります。県においては、市町と連携しながら、防災・減災対策に万全を期していただいているところではありますが、福祉的支援を担う人材の育成・確保に加え、災害対応に当たるマンパワーの不足を補う防災技術の高度化など、各地での備えが進むよう、県には今回の法改正を機に、より一層の力強い後押しをお願いしたい。 とりわけ、高齢者、障害者、子供など、災害時に配慮を要する方々に対して、特に入念な準備、支援が必要であるところ、介護福祉士や社会福祉士などの福祉専門職で構成される災害派遣福祉チームDWATについても、平時はそれぞれの業務・活動がある中で、より多くの皆さんに協力を頂くためには、平時からの相互の連携に加えて、緊急時に日常業務を調整できるサポート体制づくりの支援も必要であると考えます。 また、洪水ハザードマップの周知啓発など、平素から災害に対する意識を高め、迅速な避難につなげていただくことが重要でありますが、こうした取組にも高齢者や障害を持つ人を含む全ての人が平等に利用できる状態、アクセシビリティーを確保することが課題であります。 例えば、視覚障害者がハザードマップの内容を理解できるよう、地図面の情報を音声で提供するサービスである、聴くハザードマップの取組など、導入が進んでいるものもあります。 さらには、今回、県においても、県内避難所の環境改善支援のほか、発災時には市町の開設する避難所に加えて、広域的支援をするための広域避難所の開設を準備するなどの取組を行っていただいておりますが、ここにも災害要配慮者への支援の観点から、事前に障害福祉団体とも連携し、それぞれの課題に特化した避難所の在り方も含めて、よりきめ細やかな避難、支援の在り方について検討をお願いいたします。 以上、災害時の福祉的支援を充実させるため、様々な視点からの課題について取り上げましたが、今回の法改正の趣旨を踏まえ、災害時の福祉の充実に、県はどのように取り組むのか、御所見をお伺いいたします。 最後に、教育環境の整備についてお伺いをいたします。 少子高齢化が進展する中、県教委では、中学校卒業者数の減少に伴う学校の小規模化の進行に対応しつつ、生徒の興味・関心や学ぶ意欲、目的意識等のニーズの多様化を踏まえ高校教育の質の確保・向上を図るため、高校再編に取り組んでいるところであります。 私の地元、下関市でも、今年度、田部高校が厚狭高校と再編統合し、新たに厚狭明進高校としてスタートいたしました。これまで培った両校の伝統を受け継ぎ、未来を切り開き、地域、社会の発展を担う人材を育成、輩出することを期待しております。 このように教育環境が大きく変わっていく中で、私は、子供たちがそれぞれ置かれた環境において、誰一人取り残されることなく、自らの希望する進路に向けて思う存分チャレンジできる教育環境の整備が何よりも重要であると考えます。 この点、私ども公明党の念願でありました教育の負担軽減については、このたび高校授業料の無償化として前進。本年度から先行措置として、原則、公立・私立を問わず高校に通う子のいる全世帯を対象に、公立高校の授業料相当額を助成。来年度からは、私立の上限額を全国の私立高校授業料の平均である年四十五万七千円に引き上げられることになりました。 さらに、家計の経済力による教育格差を是正する観点から、中間層への支援を一層充実させるため、公明党の提案で、教材費や学用品費などに充てられる低所得世帯向けの高校生等奨学給付金について、低中所得層への拡充を行うと盛り込まれるとともに、私立高校への無償化拡充により公立離れが進む懸念があることから、公立高校への支援と併せて、とりわけ地域の産業を担う人材育成の機能も果たしている農業や工業、水産高校といった実業系の専門高校への支援の強化が盛り込まれました。 あわせて、石破総理は、先日、公立高校の受験の障壁を減らすため、単願制の見直しに向けた検討を関係省庁に指示。入試でのデジタル技術を活用した併願制について検討するとされました。 本県を含め多くの県で採用されている単願制では、入試で一人一校しか受験できず、経済的余裕がない世帯にとっては、公立の合格を最優先にするため、確実な合格を目指して志望校を下げ、本来の希望や学力に見合った学校を選べない弊害が指摘されるほか、併願制の採用により、選択肢の一つとして公立難関校への受験を尻込みせずにチャレンジでき、より子供たちの希望に沿った高校教育を提供できるメリットが指摘されています。 これは、私自身、昨年度、我が子の高校受験を経験した親の実感としても痛切に感じたところであります。 また、選択に当たっては、豊富で正しい情報が不可欠であります。 例えば、専門高校は、地域や学校の特色に応じた多種多彩な教育活動が展開されておりますが、その取組が十分に認識されていないという課題があり、一般に専門高校イコール就職と見られがちではありますが、文科省の令和六年度学校基本統計によれば、専門高校の大学、専修学校等への進学率は合わせて五〇・二%に上り、多様な選択肢があることが分かります。 目的意識等のニーズの多様化に合わせながら、専門学科を有する高校も、より高度で時代に即した専門的な知識や技能を習得できるよう、施設整備も含めた環境の充実も必要であると考えます。 そして、高校再編に伴う遠距離通学支援についても、大いに検討を要する課題であります。 現在、県教委では、高校再編により居住地域に県立高校がなくなり、遠距離通学が必要となった生徒のために通学費の支援を行っているところであり、該当する生徒にとっては非常に支えになる制度であります。 しかしながら、これは募集停止から五年間の時限措置となっており、居住地域に高校がなくなった後も、新たな子供たちが育っていく以上、住み慣れた地域で暮らし続けながら、子供たちの学習機会をどのように確保していくのか。また、学区制を廃止して、県内全ての公立高校への選択を可能とした趣旨を実質化するという観点からも、今後とも高校再編を進めていくことと併せて重要な検討課題であると思います。 以上、るる述べてまいりましたが、生徒の興味・関心や学ぶ意欲、目的意識等が多様化する中、生徒一人一人が自らが希望する進路の実現につながるような教育環境の整備に向けて、どのように取り組まれるのか、教育長の御所見をお伺いいたします。 以上、公明党を代表しての質問とさせていただきます。 御清聴大変にありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)前東議員の代表質問にお答えします。 まず、物価高騰対策についてのお尋ねです。 エネルギー価格や物価高騰の長期化に加えて、米国関税措置の影響が危惧される中、県民生活や円滑な企業活動の維持発展に向けて、ニーズに応じた実効性の高い対策を的確に講じることが極めて重要です。 このため、現に厳しい状況にある事業者の負担軽減と収益の回復・増加に向け、今年度も商工会議所等が実施するイベント等の経費を補助するとともに、県内事業者がECサイトで商品を販売する際の送料を支援しているところです。 また、今回の補正予算において、国の電気・ガス料金支援に呼応し、特別高圧を受電する中小企業者等の電気料金やLPガス料金の高騰分を支援するなど、機動的な対応に努めていきます。 さらに、米国関税については、直ちに庁内連絡会議を立ち上げるとともに、県や支援機関等の特別相談窓口の設置や県制度融資による支援を行っており、引き続き国や関係機関等と連携し、対応に万全を期してまいります。 こうした当面の課題にしっかりと対処しつつ、持続的な賃上げを実現し、経済の好循環を創出するためには、地域経済と雇用を支える県内中小企業が、適正な価格転嫁や、デジタル化等による生産性の向上を図ることが不可欠です。 まず、適正な価格転嫁に向けては、毎年三月と九月の価格交渉促進月間に、経済団体に対し文書要請を行うほか、やまぐち産業振興財団の下請かけこみ寺での相談対応や、取引条件の改善に関する講習などに取り組んでいきます。 また、県の公共調達においても、物価上昇等を適切に反映した予定価格を基に契約を締結するとともに、スライド条項の適用等により、契約締結後も適切に価格転嫁できる仕組みを導入しているところです。 次に、生産性の向上については、中小企業のデジタル化に向けた専門家によるきめ細かな経営課題診断の実施や、「Y─BASE」におけるDXコンサル、デジタル化の段階に応じた設備導入支援など、企業のデジタル化や省力化への取組を積極的に支援していきます。 こうしたデジタル化を進めるためには、人材の確保が不可欠であることから、新たに大学教授等と企業の採用担当者との個別面談会や、デジタル職種に特化した学生向け企業紹介イベントの実施により、県内大学から輩出される情報系人材の県内就職も促進することとしています。 また、企業の賃上げしやすい環境づくりに向けて、今年度も若年従業員の賃金引上げを実施した中小企業等に対し奨励金を支給するとともに、私も参加した、やまぐち政労使会議での共同宣言を踏まえ、オール山口での取組を進めていきます。 私は、中小企業が適正な価格転嫁や生産性の向上により、物価高騰を乗り越え、持続的な賃上げを実現できるよう、関係支援機関と緊密に連携し、必要な支援に全力で取り組んでまいります。 次に、女性の働きやすい環境づくりについてのお尋ねにお答えします。 少子高齢化の進行と、若者や女性の県外流出により、人口減少が一段と厳しさを増す中、本県経済が持続的に成長・発展していくためには、誰もが自らの意欲と能力を生かして活躍できるよう、働きやすい環境を整備し、女性にも選ばれる地域づくりを推進していくことが極めて重要です。 このため、女性等のニーズを捉えた雇用の場の創出や県内企業の魅力向上とともに、誰もが希望に応じたキャリアを構築できるよう、家庭において共に家事や育児、介護に取り組むための機運醸成や、ライフステージに応じた柔軟な働き方ができる職場環境づくりに取り組むこととしています。 まず、女性に魅力のある雇用の場を創出するため、企業の事務・研究開発部門等の本社機能の移転や、仕事と家庭の両立が図りやすいIT関連企業、サテライトオフィス等の誘致を進めるとともに、女性起業家の育成に向けたセミナーや交流会を開催し、起業による就業機会の拡大を図っていきます。 また、女性等のニーズを的確に捉えた企業の魅力向上に向け、企業の経営者が学生と意見交換しながら、自社の魅力を引き出す具体策を考えるセミナーに加え、新たに若手社員が架空の会社を設定し、働きやすい職場環境を経営者に提案するワークショップを開催します。 次に、家庭において共に家事や育児、介護に取り組むための機運醸成に向けては、男女共同参画推進月間での普及啓発や男女の役割分担意識解消に向けたセミナーを開催するとともに、共家事・共育児についても、好事例をSNS等により効果的に発信し、県民の行動変革につなげてまいります。 さらに、仕事と家庭生活の両立が可能な柔軟な働き方の実現に向けて、男女ともに希望どおり育休を取得できるよう、県と市町が一丸となって″とも×いく″の取組を推進するとともに、支援制度を紹介する出前講座の開催やアドバイザーによる企業へのアウトリーチ支援等を行っています。 また、国における仕事と介護の両立支援の強化等の動きを踏まえ、山口労働局と連携して、改正育児・介護休業法の周知を図るとともに、新たに、介護離職防止のための雇用環境整備に向けたセミナーを開催するなど取組を強化してまいります。 こうした取組に加えて、女性や若者の流出防止や還流促進に向け、インターンシップや就職活動への旅費の助成を拡充するとともに、これらの支援情報をターゲティング広告や、新たに広島・福岡に配置したキャリアコンサルタントによる大学との連携強化等により県内外に的確に発信していきます。 私は、今後とも、国や企業等と緊密に連携しながら、県内企業の人材確保に向け、女性が自身の望むライフプランを描き、生き生きと活躍できるよう働きやすい環境づくりに全力で取り組んでまいります。 次に、持続可能な地域公共交通の確保についてのお尋ねにお答えします。 バスや鉄道などの地域公共交通は、県民が住み慣れた地域で安心・安全に暮らし続けるために欠かすことができない基盤として、買物や通学などの日常生活はもとより、地域の経済活動や観光振興においても重要な役割を果たしています。 しかしながら、人口減少や少子高齢化の進行等による利用者の減少や運転士不足、さらには、これらに起因する路線の廃止等、地域公共交通を取り巻く環境は極めて厳しく、その維持・確保は重要な課題であると認識しています。 このため、私は、地域の実情を把握し、まちづくりの主体でもある市町や交通事業者と連携しながら、地域公共交通の維持と活性化の両面から、様々な取組を積極的に推進しています。 具体的には、まず、広域自治体としての立場から、県も委員として参画する市町地域公共交通会議の場で情報共有や意見交換を行うとともに、複数市町にまたがる幹線バス路線への運行支援や、原油価格の高騰等の影響により大きな負担となっている燃料費に対する補助などを行っているところです。 また、AIデマンド交通など、デジタル技術を活用した新たなモビリティーサービスの導入を目指す市町に対し、ノウハウを有する専門家を派遣し、地域の実情に応じた利便性の高い交通体系への転換を促進するなど、次世代の公共交通の形を見据えた取組を進めています。 さらに、運転士不足の解消に向け、大都市圏で開催される就職イベントへのブース出展などにより、県外から運転士を確保する取組を進めるとともに、事業者に対し、今年度新たに創設した短時間勤務職員の第二種免許取得に係る支援制度を活用した積極的な採用を促していくこととしています。 また、お示しのデスティネーションキャンペーンでは、県内外から多くの観光客の来訪が見込まれることから、これを好機と捉え、観光振興はもとより、地域公共交通の活性化に向けた取組を進める必要があると考えています。 このため、鉄道やバスの乗り放題と、海峡ゆめタワーをはじめとする県内各地の観光施設の入場券等をセットにしたデジタルパスを造成するなど、JRやバス事業者等と連携した取組を展開し、二次交通のさらなる利用促進や事業者の経営基盤の強化につなげていきます。 私は、今後とも、市町や交通事業者等と連携しながら、こうした取組を着実に推進することにより、持続可能な地域公共交通の確保に全力で取り組んでまいります。 次に、多文化共生の環境づくりについてのお尋ねにお答えします。 人口減少や少子高齢化の進行により、深刻な人手不足が続く中、県内の外国人労働者数は、過去最高となっているものの、今後の外国人労働者の確保をめぐる地域間競争は、一層厳しくなっていくことが予想されています。 こうした中、専門的な知識・技能を持った外国人労働者に、選ばれる県となるためには、お示しのとおり、インバウンド観光を通じて本県の魅力や暮らしやすさに触れていただくとともに、外国人労働者が、安心・安全に暮らすことができる環境整備を進めていくことが重要と考えています。 このため私は、政府観光局やウェブサイト、SNS等を通じて、食や観光など本県の魅力を発信するとともに、外国人労働者の受入れ・定着に向け、山口県多文化共生推進指針に基づき、相談体制の充実や地域における交流・社会参画の促進に向けた取組を積極的に進めているところです。 具体的には、まず、相談体制の充実に向けては、やまぐち外国人総合相談センターにおいて、労働や医療、教育など、生活全般に係る幅広い相談にきめ細かく対応していくこととし、相談者に寄り添った支援の充実に努めているところです。 次に、地域における交流・社会参画の促進に向けては、円滑に地域コミュニティーに溶け込むために必要な日本語を習得する機会を確保するため、オンラインを活用した日本語教室の開催や市町における地域日本語教室の運営を支援します。 さらに、外国人住民と地域や行政等との橋渡し役を担う、やまぐち多文化共生推進パートナーを通じて、暮らしに必要な情報を提供するとともに、意見やニーズ等をきめ細かく把握することにより、外国人住民が地域社会に参画しやすい環境づくりを推進していきます。 とりわけ、お示しの緊急時支援に係る多言語対応については、県国際交流協会内に配置している専門の相談員による対応や、六か国語で作成した防災ハンドブックの周知、大規模災害時に避難所でのコミュニケーションの確保を担う災害時外国人サポーターの養成・登録を進めてまいります。 加えて、外国人旅行者に通訳サービスを提供している多言語コールセンターも活用し、公共交通機関の運行状況や宿泊施設等に関する各種相談に対応することとしています。 私は、今後とも、市町や関係機関等と連携しながら、山口県が外国人労働者に選ばれ、継続的に本県で活躍していただけるよう、相談体制の充実や社会参画の促進に向けた環境整備を進め、多文化共生社会の実現に積極的に取り組んでまいります。 次に、災害時の福祉の充実についてのお尋ねにお答えします。 災害時に、高齢者や障害者等、要配慮者の災害関連死を防ぐとともに、生活機能の低下や要介護度の重度化などの二次被害を防止し、早期の生活再建につなげていくためには、避難所において適切な福祉的支援を行うなど、誰一人取り残さない体制を整えることが重要です。 このため、県では、これまで要配慮者への福祉的支援に必要となる様々な専門職種の人材を災害発生時に円滑に確保できるよう、関係福祉団体との間で協定を締結し、広域的な協力体制を整備してきました。 さらに、災害福祉支援センターにコーディネーターを配置し、関係福祉団体等との平時からの顔の見える関係づくりや人材育成を進めるとともに、DWATの募集や研修を行うなど、災害福祉支援体制の強化を図っているところです。 こうした中、お示しのとおり、このたび、能登半島地震の教訓を踏まえ、自宅等へのDWATの活動範囲の拡充や、避難所の環境改善に向けた取組などが、災害対策基本法等に新たに盛り込まれたことを受け、県としても、要配慮者に対する福祉的支援を充実させていくこととしています。 具体的には、災害時にDWATを迅速に編成し、被災地へ円滑に派遣できるよう、能登半島地震での実践活動を振り返る研修会を開催し、DWATの活動意義や施設間連携の重要性について関係者の理解を深め、派遣元施設が業務継続できる相互支援体制を構築してまいります。 さらに、被災者の自立・生活再建に向けては、被災者一人一人の課題の解決を図る災害ケースマネジメントが重要であるため、この取組を県の地域防災計画に反映させたところであり、今後、支援スキル等に関する説明会を実施するなど、市町の体制整備を促進してまいります。 また、今年度進めている避難所の環境改善や広域避難所の設置に向けた取組において、要配慮者に対する福祉的支援の観点も取り入れるため、有識者や市町、関係福祉団体等による検討組織を新たに設置し、避難所運営に係る指針やガイドライン等の見直しを行っているところです。 このほか、要配慮者の確実な避難に向けた個別避難計画の作成や、ハザードマップのアクセシビリティーの確保が着実に進むよう、全市町にヒアリングを実施し課題を共有するとともに、課題解決につながる先進事例の紹介や研修会を行うなど、今後も市町の主体的な取組を伴走支援してまいります。 私は、被災者一人一人に寄り添い、早期の生活再建につなげられるよう、市町や関係福祉団体と連携しながら、災害時の福祉的支援の充実に向け、今後とも積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)教育環境の整備についてのお尋ねにお答えします。 社会が大きく変化し、生徒の興味・関心や学ぶ意欲、目的意識等が多様化する中、生徒一人一人の個性を伸ばす教育の提供や、生徒の学びたい意欲に応える教育環境の整備は、大変重要であると考えています。 このため、県教委では、第三期県立高校将来構想に基づき、高校教育の質の確保・向上に向けて、一定の学校規模の確保を目指した学校・学科の再編整備を推進しているところです。 また、今年度設置した文理探究科や、来年四月に開校する併設型の中高一貫教育校など、特色ある学校づくりを進めるとともに、探究的・教科等横断的な学びや、地元企業と連携した実践的な教育活動の充実に取り組んでいます。 加えて、県立高校の入学者選抜については、生徒の目的意識や主体性をより重視した選抜方法とするため、出願に中学校長の推薦が必要であった、これまでの推薦入学に代えて、各高校が発信している特色や魅力を基に、生徒が行きたい学校に積極的にチャレンジできる特色選抜を、今年度から導入することとしています。 一方、お示しのように、国においては、高校無償化の実現に向けた検討が進められていますが、全国的に普通科を希望する中学生の割合が高い中、私立高校への支援の拡充により、農業高校や工業高校など、専門高校への入学者の減少が予想され、地域産業を支える人材育成への影響も懸念されています。 こうした中、本県では、今後も中学校卒業者数の継続的な減少が見込まれ、これから高校に入学する子供たちに質の高い教育を提供し続けていくためには、引き続き、県立高校の再編整備に取り組んでいかなければなりません。 このため、県教委では、現在、県立高校再編整備後期実施計画の策定に向けて、地域の課題や魅力に着目する実践的な学びを重視した学科の設置など、特色ある学校づくりや、全県的な視点に立った学校・学科の再編整備について検討を進めており、今年度中の計画策定を目指しています。 こうした取組に併せ、今月実施した政府要望においては、専門高校等の教育内容の充実や校舎の老朽化等に対応するための施設・設備の整備に向けた支援とともに、居住する地域周辺に高校が少ない中山間地域等から遠距離通学する生徒に対する支援制度の創設も国に求めたところです。 県教委といたしましては、今後とも、社会の変化に対応し、生徒の学ぶ意欲に応えられるよう、特色や魅力のある学校づくりを推進し、教育環境の整備に取り組んでまいります。 ───◆─・──◆──── 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩をいたします。再開は、午後一時の予定でございます。 午前十一時四十八分休憩