1 新たな地方創生に向けて 2 南海トラフ地震への準備について 3 山口県立総合医療センターについて 4 警察力の強化について
───◆─・──◆──── 午後一時開議 副議長(河野亨君)休憩前に引き続き会議を開きます。 ───◆─・──◆──── 日程第二 代表質問 日程第三 議案第一号から第九号まで 副議長(河野亨君)日程第二、代表質問を行い、日程第三、議案第一号から第九号までを議題とし、質疑の議事を継続いたします。 小田村克彦君。 〔小田村克彦君登壇〕(拍手) 小田村克彦君 やまぐち県政会の小田村でございます。会派を代表して質問をさせていただきます。 質問に先立つ前に、一言申し上げたいというふうに思います。 今月の十日から十三日までの四日間、大阪万博のEXPOメッセに「ふくの国、山口」として、食や観光などを発信するため出展をされました。 村岡知事をはじめ多くの県関係者が参加をし、あいにくの雨ではありましたけれども、多くの方に御来場いただき、知事のトップセールスで、本県の食や観光などのすばらしさを紹介され、微力ながら、私も議連の議員の一人として参加をさせていただきました。 山口県では、二○〇一年七月から九月までの七十九日間でしたけれども、地域の元気を発信する場として、山口きらら博が「いのち燦めく未来へ」をテーマに、二井知事のときでしたけれども、開催をされ、県職員もたくさん会場に応援に参加をし、そして盛り上げてきたことを懐かしく思い出します。 当時は、同じ時期に開催をされました北九州博覧祭二〇〇一に人が流れて、きらら博には人が来ないのではないかというふうに心配もされましたけれども、終わってみれば、来場目標者数を大きく上回る二百五十一万人が来場され、県民の皆さんの心が一つになって盛り上げていただいたおかげで、大成功を収めたものと思います。 そして、今は山口きらら博記念公園として整備をされ、村岡知事は中国地方最大級のフラワーガーデンや大型複合遊具広場など、交流人口の拡大と子育て世代にも喜んでもらえる施設づくりが着実に進んでいます。 ぜひ、この成果が結ばれ、人口減少に少しでも歯止めがかかることに、会派としても引き続き取り組むことを申し上げて、質問に入ります。 一番目に、新たな地方創生に向けてということで、若者・女性の定住施策についてお尋ねをいたします。 二〇二〇年十月の国勢調査人口から、二〇二四年十月の推計人口での減少率でいけば、全国で十一番目の減少県で、減少率は四・六五%、四年間で六万二千四百五十八人の減少となっています。 また、厚生労働省が六月四日に発表した二〇二四年の日本人の出生数は、前年から四万一千二百二十七人減り、六十八万六千六十一人で、統計を取り始めた一八九九年以来、過去最少となり、初めて七十万人の大台を割り込みました。 あわせて、一人の女性が生涯に産む子供の数であります合計特殊出生率も、前年比〇・〇五ポイント減の一・一五で過去最低を更新し、出生数から死亡数を差し引いた人口の自然増減数は九十一万九千二百三十七人の減少であり、これも過去最大の下げ幅となったと報道をされています。 山口県では、二〇二四年に県内で生まれた子供の数は六千七百七十七人、二〇二三年より四百十二人の減少で、合計特殊出生率は一・三六、これも〇・〇四ポイント低下をし、二〇〇三年、二〇〇四年と並び過去最低となっています。 ただ、全国の合計特殊出生率の一・一五と比較をすれば、〇・二一ポイント高く、都道府県の中では十一番目に高い数値となっています。 山口県は、令和六年度当初予算で、若者や女性の意識・ニーズを捉えた、新たな施策を構築し、社会環境の変化や新たな課題に対応した、人口減少の克服と本県のさらなる発展に確かな道筋をつける予算と位置づけて編成をされ、若者や女性の意識・ニーズを反映した施策を積極的に展開し、少子化対策や若者の定着や移住促進のため、初任給の引上げを支援をする企業への奨励金や、奨学金返還支援制度創設企業への支援、また、本県職員が率先する形で導入された男性の育休取得、企業への導入促進のための奨励金制度や、中小の企業に対しても子育てしやすい職場環境づくりを支援する施策等も取り組んでこられました。 これらの施策により、若者や女性の県内定着が進み、地域の活性化につながることが期待をされ、若者の価値観に合った労働環境の整備や移住支援策の充実が、県外流出の抑制に寄与するものと期待をしています。 先般、政府は、地方創生二・〇基本構想を示し、人口減少が進行する現実を受け止めた上で、強い経済を実現するため、強い地方経済を生み出すことを目指して、その実現に向けパッケージで取り組むとしています。 その一つとして、安心して働き、暮らせる地方の生活環境の創生については、人口減少が進行する中でも若者や女性が安心して働き、暮らせる地域にすることを目指しており、これまで若者や女性の流出要因への取組が不足をしていたことや、ベンチャー企業や若者・女性に求められる企業など、地域に魅力的な職場がなかったこと、地方に根づいているとされるアンコンシャス・バイアス、例えば男性は仕事、女性は家庭といった固定的な性別による役割分担意識など無意識の思い込みが、若者や女性の当事者にとって息苦しく感じたという声があったことも紹介をされています。 安心して働き、暮らせる地方の生活環境の創生において、若者や女性にも選ばれる地域づくりを政策の基本姿勢、視点として重視をしておりますけれども、本県はどのように今後取り組まれるのか、御所見をお伺いをいたします。 次に、地方自治体の人材確保についてです。 この地方創生を進める上では、地方公務員は重要な役割を担っております。 かつての公務員は、社会に貢献をし、人々の暮らしを支えるという使命感が大きなやりがいにつながり、責任ある仕事として捉えられてきましたが、昨今では財政難などから人件費の抑制により定数削減や退職不補充、業務の委託化が進められてきました。 しかし、行政サービスは多様化し、業務量は増大、結果として一人当たりの業務負担は増加をし、恒常的な時間外労働が常態化する中、ブラック企業とやゆされ、若者から敬遠される職種となっていったというふうに思います。 また、働く環境では、公務員特有とされる法律や規則に基づいた仕事であるために、民間企業と比較をすれば自由に意見を出したり、業務の改善・改革をするような余地が少なく、変化や柔軟性のない職場環境と受け止められています。 また、給与面でも民間企業と比較をしますと給与水準が追いついておらず、特に最近ではIT企業などスキルや成果に応じた昇給あるいは経歴が与えられ、その成果が評価に直結する民間企業に魅力を感じる若者が増えていると言われています。 しかし、近年は働き方改革も進み、テレワークやフレックスタイム制の導入など、柔軟な働き方が可能になり、職員のウエルビーイングへの取組も進み始め、業務のデジタル化やAIの活用による負担軽減も進められてきました。 また、昨年の人事院勧告を反映し、約三十年ぶりとなる高水準のベースアップが行われ、初任給の大幅な引上げなど、若年層に特に重点を置いた俸給表の改定が行われるなど、改善も進んできてはいるものの、人材確保はいまだ困難な状況が続いています。 山口県人事委員会もこれまで、職員採用に向けて試験方式の変更や募集職種の拡大、試験内容の見直し、職務経験者採用試験の変更など、より多くの方が受験できるよう努力をされ、大学卒業程度試験では試験制度が大きく見直される前の令和元年度と昨年度の採用試験受験者数を比べますと倍増してきておりますけれども、まだまだ積極的に公務を選ばれているという状況にまでは至っていないというふうに思います。 人事院は六月六日に年次報告書を国会と内閣に提出し、採用手法の多様化・見直しと魅力の発信を強化する公務のブランディング、働く環境や処遇改善など、採用対策と公務の魅力向上に取り組むことをまとめていますけれども、本県として今後職員の確保に向けてどのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いをいたします。 また、業務の円滑な遂行のためには、業務量に見合ったマンパワーは必ず必要ですけれども、山口県では業務量から割り出した定数に満たない、欠員とも言える状態が多くの職場で散見をされます。 先ほども申し上げたとおり、一人当たりの業務量は増大をし、欠員分をそのほかの職員でカバーするということとなることから、業務量がますます大きくなることは安易に想像できる問題です。欠員状態の解消に向け積極的に対応すべきですけれども、御所見をお伺いをいたします。 あわせて、若年層に対する処遇改善は、昨年の人事委員会勧告から進んでまいりましたけれども、しかし、これまで同じ公務員として全面で強風を受けてきた中堅層から上の、今を支える年齢層では、若干の給与改正があったのみで、若年層の重視の必要性は理解できるものの、格差が大きく広がっていると認識をしています。一番責任と負担が大きい中堅層から上の世代の賃金改善も必要と認識をいたしますけれども、併せて御所見をお伺いをいたします。 次に、南海トラフ地震への準備についてお尋ねします。 まずは、山口県の対応についてです。 二〇二四年八月には日向灘でマグニチュード七・一の地震が発生し、気象庁は初めて巨大地震注意を発表したのは、まだ記憶に新しいと思います。 そもそも南海トラフ地震とは、地球の表面を覆うプレート、いわゆる岩盤がぶつかり合い、海側のプレートが陸側のプレートの下に沈み込む場所がありますけれども、その溝のような海底地形をトラフと呼び、駿河湾から宮崎沖の日向灘にかけて広がっているのが南海トラフと呼ばれるものです。 プレートの沈み込みによる蓄積したひずみが開放されると、海中の陸側のプレートが跳ね上がり、大きな地震が発生するとともに、海水が押し上げられ津波が発生をします。 これまで古文書などでの記録では、六八四年の白鳳地震から一九四六年の昭和南海地震まで少なくとも十二回確認をされており、マグニチュード八級の巨大地震が、おおよそ九十年から百五十年の間隔で繰り返されています。 二〇二五年三月には、中央防災会議の南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループにより、十三年ぶりに被害想定など改定され、最悪のケースでは直接死が二十九万八千人、全壊・焼失建物が二百三十五万棟とする、新たな被害想定が公表されました。 主な課題として、ハザードマップの活用や全員避難など、命を守る行動の趣旨が住民にいまだしっかりと伝わっていないということや、高齢者など支援が必要な人たちへの避難確保が難しいこと。人口減少に伴う行政職員の不足、在留外国人の増加を踏まえた情報伝達など、近年の災害から得られた課題に対し、避難の理解力の向上とともに全員避難、命を守る最善の行動など、改善策が示されています。 この検討グループの被害想定では、山口県でも前回おおよそ二百人とされてきた死者数も二・五倍の五百人に増加をし、主に津波によるものが前回から三百人増えて、およそ四百人を占めています。これは前回より、より現実に近い地形データを利用したことにより、津波の浸水する範囲が広がったことが挙げられています。津波の高さも下関市が四メートルから五メートルに、岩国市が三メートルから四メートルに引き上げられています。 山口大学名誉教授の三浦房紀さんは、山口県地震・津波防災対策検討委員会の会長もされておられ、今、精力的に南海トラフ地震への備えを各地で御講演をいただいております。 三浦先生も阪神・淡路大震災以降、西日本は地震活動期を迎えていると考えられ、過去の歴史や地形の隆起データなどから、南海トラフ地震はそう遠くない未来に起こると警鐘を鳴らされており、室戸岬の隆起データに基づく予測では、二〇三三年頃には大きな地震が発生する可能性があるとされ、このXデーは十年足らずでやってくると言われています。 三浦先生によると、地震の揺れは、東日本大震災と同様に周期が長く、三分から四分間続くタイプになると考えられており、震度四では、ほとんどの人が驚く揺れで、据わりの悪い置物が倒れるなどが起こる。震度五弱になると大半の人は恐怖を感じ、棚の食器類や本が落ちたり、固定していない家具が移動・転倒する可能性があり、物的被害が出始め、液状化現象で地盤が緩み、海沿いでは堤防が倒れて浸水する可能性もあると言われています。 これらを踏まえて、本県では緊張感を持って、行政だけでなく、あらゆる主体が総力を結集し、県民一人一人が自らの命は自らが守るという意識を持って、自立した防災対策を進めていくことが求められますが、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 また、中央防災会議の中では、行政職員の減少に伴う資質向上や人材育成強化のほか、自治体間応援、受援体制強化など、国・自治体間の支援体制の重要性も言われています。 総務省は、被害が想定される自治体に対して応援職員を派遣する即時応援県の組合せをして、事前に支援体制を整えているほか、地域によっては応援に入る市町を事前に割り当てる仕組みを導入しているところもあります。 いずれにしても、常日頃から自治体間の連携を図ることは重要ですけれども、この南海トラフ地震への対応について、中国地方ブロック及び九州地方ブロック、四国地方ブロックなど近隣の自治体との連携の強化について、御所見を伺います。 次に、教育現場での対応についてでありますけれども、学校の対応も非常に重要であります。 本県でも、第三次山口県学校安全推進計画において、事件・事故・災害による被害を未然に防ぎ、子供たちのかけがえのない命を守ること、子供たちが自らの命を自らが守るために主体的に行動できる力を育成すること、自分の安全を確保した上で、周囲の人や社会の安全に貢献できる力を育成すること──これが学校安全の目標とされています。 危機管理や防災教育テキスト「自然災害から自分の命を守るために」として、子供たちが主体的に防災学習に取り組めるよう作成をされていますけれども、令和三年に避難情報に係る警戒レベル等について一部修正をされ、それ以降のものが反映されていないという状況だと思います。 文部科学省のホームページを見てみますと、都道府県・政令市教育委員会作成の資料などが出されており、小学生用・中学生用、防災教育副読本として「南海トラフ地震に備えて 命を守る防災BOOK」という、高知県教育委員会が作成したものが例示をされています。 今からでも南海トラフ地震に特化をした、子供が見やすい、興味を持てる副読本やパンフレットを改めて作成すること、学校在校時間中に発生することをまず前提として、今次の中央防災会議の求める、自らの命は自らが守るとの観点で、訓練を繰り返すことなどが重要というふうに思いますけれども、教育長の御所見をお伺いをいたします。 あわせて、学校施設は住民の避難場所としても活用されることが想定され、受入れに対する準備も必要です。 これまでも年に数回、防災訓練の一環として児童生徒を保護者へ引き渡して下校する引渡し訓練が行われていますけれども、学校によっては進入路が狭隘なため、擦れ違いが困難な学校もあります。災害発生時には多くの保護者でごった返すことは容易に想像できると思いますが、例えばグラウンドから直接隣接道路に出入りができるような出入口、あるいはゲートの新設など、できる限り事前に対応しておくことが必要だというふうに考えますが、御所見をお伺いをいたします。 次に、山口県立総合医療センターについてお尋ねをします。 山口県立総合医療センターは、一九四九年に山口県立防府総合病院として設立をされ、一九五三年に山口県立中央病院へ改称し、一九八三年に現在の地に移転をしています。 県立病院として開設以来、山口県の高度専門医療を担う中核的な基幹病院として、県民の安心・安全に直結する質の高い医療を提供してまいりました。 昨今の少子高齢化による疾病構造の変化や医療技術の進歩、ニーズの多様化などのほか、築四十二年が経過をし、老朽化・狭隘化が進む中、抜本的な機能強化が必要とされました。 そして、令和四年五月に学識経験者など外部有識者で構成される、県立総合医療センター機能強化基本構想検討委員会が開かれ、令和五年十月には基本構想が出されました。 基本構想では、全面的な建て替えを基本に機能強化を図ることや最先端技術の導入、県内唯一の第一種感染症指定医療機関として新たな感染症等に対応可能な設備整備や人材の確保・育成を図ること、県内全域の僻地医療支援を中核的に担う体制、そして高度専門医療人材の確保・育成に取り組むとしています。 また、目指す機能・役割として、がんや脳卒中、心疾患など五疾病の機能強化と、救急医療、災害医療、僻地医療、感染症医療などの六事業に取り組むとされています。 そして、令和七年三月に県立総合医療センター施設整備基本計画が取りまとめられました。 その中では、事業収支計画も示され、病院事業の収支は、診療報酬の改定や地域の医療提供体制の状況など、様々な外部要因の影響を受けるため、将来の正確な収支予測は非常に困難としながら、事業の収支についてシミュレーションが行われており、開院後六年目以降には経営が安定する見込みとされています。 厚生労働省が二年に一度実施をします医療経済実態調査によりますと、二〇二三年度において調査対象となった一般病院の約六五%が赤字経営となっており、圧迫原因として、医療従事者の人件費の増加や診療報酬改定による入院医療の評価、人員配置基準の見直し等のほか、コロナウイルス感染症の影響から、一般病床の利用率の低下が見られ、感染症対応の費用が増加をした一方で、補助金が段階的に縮小されたことなどから、経営負担が増加をしていると言われています。 県立総合医療センターの経営状況も厳しさを増しており、令和五年度の決算状況では、収益は百八十五億六千百万円、費用は百八十七億六千四百万円となっており、経常損益は一億八千八百万円の赤字、純損益としては二億三百万円の赤字と発表がされています。 新たに移転する県立総合医療センターも持続可能な病院経営にしっかりと取り組んでいかれることを期待したいと思います。 コロナ禍を経験したからこそ、第一種感染症指定医療機関として感染症対策はもちろんのこと、山口県はがん患者が全国的に多い状況やがん検診受診率が低いなど、山口大学との連携で最先端の医療技術の導入や知見を深めるなど、県民の健康と命を守るために満足度の高い医療を提供し、県民のとりでとして本県医療の中核的役割を担っていただきたいと考えます。 そこでお尋ねいたします。公立の中核的病院として、僻地医療や災害医療、感染症医療などのほかの医療機関では対応困難な医療の維持、そして最先端医療の導入等による高度専門医療などの取組を、今後どのように進めていかれるのか。また、機能強化の中には患者満足度の向上や、病院を支える人材の確保・育成と職員の働きやすい環境づくりも重要な取組ですけれども、知事の御所見をお伺いをいたします。 次に、警察力の強化についてです。 一番には、高度化する犯罪対策についてお尋ねをします。 令和六年の白書を見ますと、山口県警察は県民の期待と信頼に応える強い警察、安全・安心な社会の実現を基本に活動されていますけれども、刑法犯認知件数は四千七百七十件、近年多発するSNS等を通じたうそ電話詐欺は百十一件で被害額は約四億三千万円、SNS型の投資やロマンス詐欺については百二件、秘匿性の高い通信アプリを用いた強盗の検挙など、被害総額は約十一億円となっています。 殺人や強盗、放火などの重要犯罪の認知件数は五十七件でしたけれども、検挙件数は五十七件、検挙率一〇〇%という、まさに県警の警察力を示した数値だというふうに思います。 その他、窃盗犯罪や子供や女性の安全確保、匿名・流動型犯罪グループに対する対策、身近な地域住民の安心・安全確保の取組、組織犯罪や薬物・銃器対策、近年増加傾向にある交通死亡事故などの安全確保。そしてテロ対策や要人警護・警備対応など、まさに県民の安心・安全を守る活動を、昼夜を問わずに取り組まれていることに、心から敬意を表したいというふうに思います。 さて、それだけ多くの対応を抱える中ではありますけれども、昨今の社会情勢により人口減少や少子高齢化などの社会変化、警察マンパワーの確保の課題、サイバー空間上の脅威や特殊詐欺や人命のかかる諸案件など、限られた人や財政の中で警察力を今以上に発揮をするためには、高度化するAIやICTの活用など、先端技術の導入の積極的な活用が必要不可欠ではないかと感じています。 海外では、AIを活用した様々な取組が進められており、アメリカは犯罪予測AIを導入し、過去の犯罪データを分析をし、犯罪発生の可能性が高い地域を特定をし、パトロールの効率化を図ったり、警察官のボディーカメラから収集した音声データを基に、迅速に報告書を作成するAIツールも導入されるなど、警察官の業務負担軽減にも貢献をしているとされています。 また、先般、大阪万博のほうの会場にも行かせていただいたときに見させていただきましたけれども、配置をされていましたけれども、民間企業との協業、支援を受けながら、警備力や治安維持など、安定化に取り組む必要性も感じています。 山口県警においてもウエアラブルカメラの映像記録による分析利用など、AIやICTなどのデジタル技術を活用した警察力の向上と業務の効率化を両立させることは、重要な取組だと考えます。 また、限られたマンパワー、財政の中で県民の安心・安全を守るために、企業や団体などとの連携や協力も必要不可欠だと思います。 そこでお尋ねをいたしますが、企業や団体等との連携を含め、デジタル化に向けて今後どのように対応されていくのか、県警本部長の御所見をお伺いをいたします。 終わりになりますが、ストーカー対策についてお尋ねをします。 川崎市に在住の女性が二〇二四年十二月二十日から行方不明となっていましたが、これが二〇二五年四月三十日には、元交際相手の自宅から遺体で発見されるという、痛ましい事件が起きました。 これまでも、幾つとなくストーカー行為の延長線上から殺人事件にまで発展していく事例を見ていますけれども、またも悲惨な事件が繰り返されてしまったというふうに思います。 神奈川県警の対応にも不備があったのではないかとの疑念も持たれています。 ストーカー規制法は二〇〇〇年に施行され、これまでも改正がされてきておりますけれども、山口県内では絶対に起こってほしくないと強く感じております。 山口県警においては、適切な対応を取られ、未然防止に全力で対応されているというふうに考えますけれども、御所見をお伺いをして、会派を代表しての質問と代えさせていただきます。 御清聴いただきました。大変ありがとうございました。(拍手) 副議長(河野亨君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)小田村議員の代表質問にお答えします。 まず、若者・女性の定住施策についてのお尋ねです。 本県では、女性を中心とする若者の転出が、人口減少の大きな要因となっており、そのことが少子化にも拍車をかけています。その克服に向けては、当事者である若者や女性に焦点を当て、ニーズに応える取組を展開していくことが重要であると考えています。 このため、若者等の考えを伺うアンケートや、県の取組等に対する実感を捉える調査を行い、その結果も踏まえ、若者や女性の県内定住につなげる施策の充実強化を図っているところです。 若者に魅力ある職場づくりに向けて、半導体等の成長分野の企業やデジタル関連企業、サテライトオフィスの誘致に取り組むとともに、賃金の引上げや従業員の奨学金返還支援に取り組む企業を支援しています。 また、ワーク・ライフ・バランスを重視する若者の志向も踏まえ、共働き・共育ての定着に向けて、男性の育児休業の取得を推奨する企業を支援するとともに、子供のために休暇を取得することが当たり前の社会を構築する、こどもや子育てにやさしい休み方改革等の取組を進めています。 さらに、女性の働き方の希望をかなえるため、柔軟な働き方を実現しやすいデジタル分野におけるスキルの習得と就業の支援などにも取り組んでいます。 加えて、若い世代が安心して子供を産み育てることができる環境づくりに向けて、保育料等の経済的負担の軽減を図るとともに、産後ケアの全県的な提供体制の構築などの支援にも取り組んでいるところです。 こうした中、国においては、地方創生二・〇基本構想を閣議決定され、基本姿勢の一つとして、若者や女性にも選ばれる地域づくりが示されました。 また、政策の柱の一つに、安心して働き、暮らせる地方の生活環境の創生が掲げられ、その中で、若者や女性にも選ばれる地方となるための社会変革・意識変革や魅力ある働き方・職場の創出等の方向性が示されたところです。 今後、国において、この方向性に沿った政策が具体化されることから、国の取組とも連携し、本県がこれまで進めてきた、若者や女性のニーズに応える施策の充実を図っていきたいと考えています。 私は、国の基本構想に呼応しながら、市町や企業等とも連携して、本県が若者にも女性にも選ばれ、さらに定住へとつなげていけるよう、地方創生の取組を進めてまいります。 次に、地方自治体の人材確保についてのお尋ねのうち、まず、今後の職員の確保についてお答えします。 人口減少が進行する中、本県が将来にわたって必要な行政サービスを安定的に提供していくためには、今後の県政を担う高い志を持った職員を確保することが重要となります。 このため、まず、職員の採用については、本年三月に策定した人材育成・確保基本方針の下、人事委員会等と連携し、県職員として働くことの魅力や、本県の多様で柔軟な働き方等を広く情報発信するとともに、課題となっている専門職の確保対策の強化を図ることとしています。 そして同時に、人材の定着に向け、職員がその能力を十分に発揮し、高い意欲を持って職務に従事できるよう、仕事に対してやりがいや成長実感を得られる人材育成や、職員の積極的なチャレンジを応援する組織風土の醸成など、働きやすい職場環境の整備に取り組んでいきます。 次に、欠員状態の解消についてです。 職員の配置に当たっては、これまでも組織のスリム化や業務量の削減等を適切に反映する一方、脱炭素化やデジタル化の推進等の主要課題に対しては重点的な配置を実施するなど、各所属における業務の量や性質等を踏まえた上で、適正に行っているところです。 こうした中、近年、早期退職者が増加傾向にあることや、専門職の採用が困難となるなど、職員配置をめぐる環境が厳しくなっていることから、人材確保の取組を一層強化するとともに、限られた人員で様々な行政ニーズに的確に対応できるよう、業務のさらなる効率化や生産性の向上を図っていきます。 私は、今後もこうした取組を通じ、本県が魅力ある就職先として若者に選ばれるよう、人材の育成・確保、そして職場環境の整備を総合的に図るとともに、各職場の業務実態を踏まえた適切な人員配置に努めてまいります。 次に、南海トラフ地震への準備に関するお尋ねのうち、山口県の対応についての二点の御質問にお答えします。 まず、県民の自立した防災対策を進めるため、今後どう取り組むかについてです。 南海トラフ地震については、昨年八月、特別な注意を呼びかける臨時情報が初めて発表され、また、依然として発生確率も高いことから、県として危機意識を強めています。 こうした中、南海トラフ地震に係る県独自の被害想定の見直しを進めていますが、国が三月に公表した被害想定では、本県の死者数の多くは津波によるものとされ、人的被害を軽減するためには、津波からの早期避難が極めて重要です。 このため、県では、適切な避難行動の礎となる県民の防災意識のさらなる向上や、自力での避難が困難な要配慮者を地域で支える体制づくりを強力に推進しているところです。 具体的には、防災行動を分かりやすく解説した動画の配信や、災害体験VRを活用した研修、小学校への出前講座等により、県民一人一人が自らの命を守る自助意識の普及啓発に取り組んでいます。 また、県と市町が一体となって、専門的な知識を有する自主防災アドバイザーを養成・派遣することにより、地域住民が相互に協力して避難行動を取る共助の体制づくりも支援しているところです。 私は、引き続き、南海トラフ地震における逃げ遅れゼロの実現を目指し、自助・共助の取組を推進するとともに、県独自の被害想定の見直し結果も踏まえ、防災・減災対策を強化し、地域防災力の充実を図ってまいります。 次に、近隣自治体との連携強化についてです。 広域的な被害が想定される南海トラフ地震に備え、近隣県と機動的で実効性のある連携体制をあらかじめ構築しておくことが重要です。 このため、県単独では災害対応が困難な場合に、効率的に広域での応援が実施できるよう、中国、四国及び九州の各ブロックにおいて、災害時における応援協定を締結しています。 具体的には、被災県を支援する県を事前に定めるカウンターパート制の導入や、包括的な支援調整を行う県の指定などにより、連携・協力体制を構築しており、発災時には、応援職員の派遣や物資の提供等を迅速に行うこととしています。 さらに、こうした体制の実効性を高めるため、国と各県等が合同訓練を定期的に実施するとともに、各種マニュアルを適時適切に見直すなど、平時から連携を図っているところです。 私は、今後も、大きな被害が想定される南海トラフ地震に備え、県民一人一人の防災力の向上をはじめ、近隣県や市町等との一層の連携強化を図り、災害に強い県づくりに取り組んでまいります。 次に、山口県立総合医療センターについてのお尋ねにお答えします。 医療ニーズが高度化・多様化する中、県立総合医療センターが将来にわたって本県医療の中核的な役割を果たしていくためには、その機能の抜本的な強化を図り、県民誰もが安心できる医療提供体制を構築することが重要です。 このため、私は、機能強化に関する基本構想の中で、高度専門医療や感染症医療、災害医療、僻地医療などの拠点として目指す機能・役割を明確化するとともに、その実現に向け、本年三月に策定した施設整備基本計画に基づき、新病院の整備を進めているところです。 まず、高度専門医療については、重篤な患者に対し集中的に質の高い医療を提供できるよう、救急専門病棟の新設やICU・HCUの増床を行うなど、高度急性期医療のさらなる質の向上を図ります。 また、低侵襲治療などの先進的医療に対応した手術室を拡充するとともに、山口大学との連携の下、がんにおける最先端医療を行うがん治療センターを設置し、より専門性の高い医療を提供することとしています。 次に、感染症医療については、本県唯一の第一種感染症指定医療機関として、新興感染症の発生時に必要な医療を迅速に提供するため、感染症対応へ移行可能な一般病棟の整備や、環境保健センターの併設による初動体制の連携強化などを通じて、感染症への対応力を高めてまいります。 また、災害医療については、本県唯一の基幹災害拠点病院として、大規模災害時に多数の傷病者へ二十四時間体制で高度専門医療を提供できるよう、隣接する防府市広域防災広場と連携し、医療救護活動が迅速に行える施設を整備します。 さらに、県全体における僻地医療の充実強化を図るため、5Gを活用した遠隔診療等に対応できるオンライン診療室を整備するなど、僻地医療拠点病院として体制の強化に取り組みます。 加えて、患者の心身の負担を和らげ、安心して治療が受けられるよう、一般病棟の全室個室化や緩和ケア病棟の新設、小児科病室への家族付添いスペースの確保など、患者満足度の向上につながる療養環境を整備します。 こうした機能強化を実現するためには、お示しのように、医療提供を担う人材の確保・育成や、職員の働きやすい環境づくりも重要です。 このため、研修医や実習生を含む多くの医療人材が最新の技術と専門的な知識を習得できるよう、教育・研修棟を新設するとともに、山口県看護協会を併設し、研修の質のさらなる向上を図ります。 また、病院へのアクセスを考慮した職員公舎や院内保育所等の整備を通じて、子育て世代をはじめ全ての職員が働きやすい環境づくりを進めます。 私は、今後とも、県立総合医療センターが将来にわたって本県医療の中核的役割を果たせるよう、建て替えによる機能強化を進め、県民の命と健康を守る医療提供体制の充実強化に取り組んでまいります。 副議長(河野亨君)上野人事委員長。 〔人事委員長 上野清君登壇〕 人事委員長(上野清君)地方自治体の人材確保に関し、中堅層から上の世代の賃金改善についてお答えをいたします。 人事委員会では、毎年、民間給与の実態調査等を基に、社会情勢や国との均衡などを総合的に勘案し、給与等に関する報告及び勧告を行っております。 こうした中で、人事院におきましては、昨年の勧告で、人材の確保や職員の働き方などの、社会と公務の変化に応じた給与制度の包括的な見直し、いわゆる給与制度のアップデートを打ち出し、初任給の引上げや、職務・職責重視の俸給体系の整備など各般にわたる取組を進めております。 本県でも、有為な職員の確保や魅力ある職場環境の整備は喫緊の課題でありますことから、人事委員会としては、この見直しの方向に即し、二年連続して、初任給や若年層の給料に重点を置いた上で、上位の各等級の改定率を順次逓減させながら、全ての階層での給料の引上げを行いました。 また、お示しの年齢層の職員については県政を担う重要な役割を有しており、職務・職責に見合った所要の給料表の改定を勧告するとともに、併せて、職員の能力・実績の的確な把握と任用・給与等への適切な反映を報告の中に盛り込んだところです。 人事委員会といたしましては、今後とも若年層、中堅層等を問わず、全ての職員が意欲を持って働くことができるよう、国の給与制度の見直しの動向等も注視しながら、適正な給与水準の確保や処遇の改善等に努めてまいります。 副議長(河野亨君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)南海トラフ地震への準備に関するお尋ねのうち、教育現場での対応についてお答えします。 近い将来、南海トラフ地震の発生が懸念される中、児童生徒の命を災害から守るためには、災害時に、子供たちが適切に判断し、主体的に行動できるよう、防災教育を一層推進していくことが重要です。 このため、県教委では、子供たちの発達の段階に応じた防災学習や専門家等との連携による実践的な防災訓練の充実に取り組んでいるところです。 具体的には、まず、防災学習については、授業等において、学年に応じて、自然災害に関する知識等を身につけるための防災教育テキストや、災害時の危険を予測し、回避する方法を考えるための危険予測学習資料等を活用することにより、子供たちの主体的な学びを深めています。 こうしたことから、南海トラフ地震に特化した副読本等については、今後、最新の知見等を踏まえ、必要に応じ、テキスト等の見直しを検討してまいります。 また、防災訓練については、災害時に適切な避難行動が実践できるよう、定期的に繰り返し実施するとともに、防災士の資格を有する学校防災アドバイザーを学校へ派遣するなど、訓練の実地指導や危機管理マニュアルの見直し等の助言を行っているところです。 さらに、災害の発生は予測困難であることから、不測の事態を想定した、日時等を事前に告げない避難訓練を促進することにより、教職員や児童生徒の危機対応能力を高めてまいります。 次に、お尋ねの引渡し訓練に係る課題等については、県教委、市町教委、県警、地域の団体等で構成する協議会等において情報を共有するとともに、必要な改善策を協議していくこととしています。 県教委といたしましては、今後とも、市町教委や関係団体、専門家等と連携し、南海トラフ地震等による災害から、子供たちのかけがえのない命を守ることができるよう、防災教育の充実に積極的に取り組んでまいります。 副議長(河野亨君)熊坂警察本部長。 〔警察本部長 熊坂隆君登壇〕 警察本部長(熊坂隆君)県警察のデジタル化への対応についてお答えいたします。 技術革新や少子高齢化等が進行する中、警察活動の高度化・合理化を図るためには、デジタル化施策の推進による先端技術等の導入が不可欠です。 そのため、県警察では、警察本部長を長とする山口県警察デジタル化施策総合戦略本部を設置し、デジタル技術の実装を推進しているところです。 最近のデジタル化の取組としては、令和五年四月に、デジタル業務の集約を図るため、情報技術推進課を発足させ、また、本年二月には、全国警察に先駆け、山口県総合交通センターで、AI技術を活用した山口県警察AI電話自動応答サービスを開始したところであります。 さらに、企業・団体との連携の取組としては、サイバー空間の脅威への対処能力強化を図るため、民間のサイバー人材を山口県警察サイバーテクニカルアドバイザーに委嘱しているほか、本年六月十二日には、日本マイクロソフト株式会社と、都道府県警察では全国初となる、DXの推進に関する連携協定を締結しました。 県警察としましては、警察業務のデジタル化に向けた施策等を強力に推進し、県民の期待と信頼に応える強い山口県警察の実現に向けて取り組んでまいります。 次に、県警察におけるストーカー事案の現状等についてお答えいたします。 山口県におけるストーカーの現状につきましては、昨年、二百八十七件の相談を受理し、そのうち、禁止命令を三十七件発出するとともに、ストーカー規制法をはじめとする法令違反で三十九件を検挙するなど、その取扱いは高水準で推移しております。 具体的な検挙事例を申し上げると、本年三月には、知人女性に対するストーカー行為により禁止命令が発出されていた男が、その女性の勤務先に押しかけるなどしたため、禁止命令違反で逮捕しております。 また、本年四月には、知人女性の車両のタイヤをパンクさせた事実により男を器物損壊罪で逮捕し、その後、ストーカー規制法違反で再逮捕しております。 これらストーカーをはじめとする人身安全関連事案につきましては、認知した段階では危害が加えられる危険性や切迫性を正確に把握することが困難である一方で、事態が急展開して重大事件に発展するおそれが極めて高いと認識しております。 また、これらの事案の中には被害者が加害者との関係を絶つことや避難することをちゅうちょしたり、さらには、違法行為があっても被害の届出をちゅうちょしたりする場合も散見されます。 このため、被害者等に危害が加えられる危険性を十分に説明した上で、被害の届出の働きかけや説得を行い、場合によっては被害の届出がなくても、加害者の逮捕をはじめとした強制捜査を行うことを積極的に検討しております。 加えて、被害者に対する避難措置や身辺の警戒、加害者とのつながりの遮断に向けた説得などを行い、被害者の保護を徹底しております。 県警察といたしましては、引き続き被害者やその関係者の心情に寄り添いつつ、被害者と加害者の双方に取り得る措置を確実に講じて、被害者等の安全確保を最優先に対処してまいります。 副議長(河野亨君)これをもって代表質問を終わります。 ───◆─・──◆──── 副議長(河野亨君)以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 本日は、これをもって散会いたします。 午後一時五十四分散会