1 地域交通について 2 福祉施策の推進について 3 観光・物産振興に向けたプロモーションの強化について 4 産業脱炭素化の推進について 5 中山間地域の振興について 6 特定利用空港への対応について
───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第九号まで 議長(柳居俊学君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第九号までを議題とし、質疑に入ります。 一般質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 髙瀬利也君。 〔髙瀬利也君登壇〕(拍手) 髙瀬利也君 おはようございます。自由民主党の髙瀬利也でございます。それでは、通告に従いまして質問をさせていただきます。 まず、地域の交通手段の確保についてお伺いします。 高齢者による車の事故が絶えません。先日も高齢ドライバーによる高速道路の逆走事故がニュースで流れましたが、何より驚いたのが、ドライバーの方の年齢が九十九歳だったということです。 車がなければ生活に困る地域に住み、免許を返納したくてもできなかったという事情があったようで、こういった事故を防ぐためにも、テクノロジーの発展やデジタルの実装などが、一刻も早く広がることを願うばかりです。 同時に、現状の中で、誰もが安心して暮らすことのできる社会をつくっていくためには、代替交通の確保が困難という理由によって、本県でも免許返納をちゅうちょされている方が多くおられますので、その対策が求められます。 私は、議員になりまして十一年目となりますが、この間、一貫して地域から訴え続けられているのが、地域交通の確保に対する不安や不満であり、特に、高齢者の移動手段の確保は、解消すべき本県の大きな課題の一つと考えます。 また、子供の進学を機に、家族で通学が不便な地域から都市部に引っ越すという話は本当によく耳にしますし、毎年のように路線バスの廃止や、鉄道もダイヤ改正のたびに便が悪くなってきています。 実際、昨年、ようやく一部区間で再開したJR山陰線の小串から長門市駅間は、学生の通学時間帯の朝晩に集中した運行で、昼間の便が極めて少ない状況となっております。 お隣の島根県では、学生の下校時間に合わせ、テスト期間などで学生が早く下校するときは、鉄道やバスの臨時便が走っているそうですが、本県にはそうした配慮ある対応もありません。 路線バスについても、従来から県は、市や町をまたぐ広域の路線バスへの補助や運転手の確保対策などに取り組まれていますが、市町からは人口減少対策として、県に対してさらなる支援を求める声が上がっています。 かつて県は、観光客向けに、湯田温泉などで超小型モビリティーなどの新たな移動サービスの実証実験に取り組んだこともありますので、交通弱者向けに、県としてモデル的に取り組むといったことも、県民の声に応える上では必要と考えます。 ついては、地域の交通手段の確保に向け、県は今後どのように取り組むのか、御所見をお伺いいたします。 次に、JR美祢線の復旧についてお伺いします。 これまで日常生活に欠かせない重要な社会基盤として、通学や通勤など、地域住民の生活を、戦前から長きにわたり支え続けてきたJR美祢線と山陰線が、令和五年梅雨前線豪雨により被災し、はや二年が過ぎようとしています。 しかし、依然として美祢線は全線で、山陰線は一部区間で運休となっています。 これまで県では、JR西日本に対して、美祢線と山陰線の早期復旧や代行輸送の確立を要望するとともに、広域自治体として沿線市や関係団体等と連携し、復旧に向けての取組が進められているところです。 しかしながら美祢線は、JR西日本からは鉄道による完全復旧という方針が示されない中、復旧の議論を前に進める観点から、利用促進協議会において、復旧検討部会が設置され、鉄道での復旧と鉄道以外のモードによる復旧について、復旧費や工期、モードごとの特性等に関する整理・検討が進められてきました。 こうした中、先月開催された利用促進協議会総会の中で、復旧検討部会での検討結果が報告されましたが、JR西日本からは改めて、JR単独での復旧や復旧後の持続的な運行は困難とした上で、鉄道ではなく、BRTによる復旧が適当という見解が初めて表明されました。 また、委員からは、地域活性化のためにも一日も早い復旧を望むという意見も出されており、来月開催される予定の臨時総会の場で、意見集約が行われる運びとなっています。 現在、美祢線は、約二年にも及ぶ期間、地域住民が生活交通の足を制限された状態を強いられていますが、地域の方々の生活を足元から支える交通手段の一日も早い復旧と利便性の向上は、申し上げるまでもなく、至上命題であると考えています。 ついては、県は今後、地域住民の重要な生活インフラであるJR美祢線の復旧にどのように取り組んでいくのか、御所見をお伺いします。 次に、里親支援についてお伺いします。 先般、里親の方々にお会いしました。そのうちお一人の方は、高校生二名、中学生二名、小学生三名を同時に養育されているそうで、御本人は七十代となり、そろそろ引退したいが、里親の成り手不足と子供たちのためにと、里親登録を続けられていると言われておりました。 国は、子供の社会的養護は、できる限り家庭的な養育環境の中で、特定の大人との継続的で安定した愛着関係の下で行われる必要があるとし、原則として、里親などの家庭養護を優先する方針を示しています。 しかしながら、本県では養子縁組を求める里親は一定数いるものの、要保護児童を一定期間養育し、また児童相談所からの緊急預かり要請などに対応することができる、いわゆる養育里親の数は十分とは言えず、しかも地域ごとに偏りがある状況となっております。 里親に預ける子供が増えないことが何より大切ですが、それでも生じる社会的養護を必要とする子供たちのために、こうした里親の成り手を増やすことは、子供を守る上で不可欠と考えます。 県内には、児童福祉法に定める里親支援センターが一か所あり、ここを中心に、里親からの相談対応など、全県的な支援体制もしかれていますが、一方で、里親の確保や普及啓発などは県の責務とされており、県としても各児童相談所を中心に、それぞれ地域の実情に応じた里親支援に努めるべきと考えます。 ついては、里親の支援に向け、今後、県はどのように取り組むのか、御所見をお伺いします。 次に、介護サービス提供体制の充実についてお伺いします。 県では、今年度から新たに、介護サービスにおける生産性向上推進総合事業に取り組み、将来にわたり、持続可能なサービス提供体制の構築を強力に進められております。 しかしながら、今年、下関市豊北町内に二つある特別養護老人ホームのうちの一つが、施設の老朽化や職員が確保できないなどといった理由で事業休止となります。 地域の方々からは、この先、住み慣れた地域で、果たしてこのまま安心して暮らしていけるのかといった不安の声が上がるなど、まさに待ったなしの状況となっております。 さきの十一月定例会の一般質問でも取り上げたように、県には、生産性向上の取組はもとより、介護人材の確保・定着や、業務・経営改善など、事業者の直面する課題に、きめ細かく、かつ、スピーディーに支援策を打ち出すことが強く求められます。 とりわけ、人材不足が喫緊の課題となっている訪問介護等サービスについては、近くに通うことのできる施設がない方々にとっては、貴重な代替サービスであるため、早急に地域の実情に応じた実効性のある取組を図っていただく必要もあります。 ついては、介護サービス提供体制の充実に向け、今後、県はどのように取り組むのか、御所見をお伺いします。 次に、観光・物産振興に向けたプロモーションの強化についてお伺いします。 今月十日に、観光振興議員連盟として、議員団三十二名による大阪・関西万博の視察を行いました。 当日はあいにくの雨模様でしたが、多種多様なパビリオンには長蛇の列が並ぶなど、大勢の来場客による熱気に肌で触れ、五十五年ぶりに大阪で開催される国際博覧会に対する、国内外からの注目度と期待度の高さを改めて実感いたしました。 県も期間限定でブースを出展され、オープニングセレモニーでは、村岡知事自らがトップセールスを行うなど、精力的にプロモーションを行っておられました。 また、去る二月の日本橋三越本店における観光・物産展でも、私も参加いたしましたけれども、在京県人会をはじめ、本県ゆかりの方々も多数来場され、観光PRを行うとともに、日本酒をはじめ多くの特産品を手に取って味わっていただき、また故郷への懐かしさも感じていただけたよい機会となりました。 こうした中、本県の観光地や特産品に目を向けると、歴史や伝統に裏打ちされた素材や品質自体は高いレベルにあるものの、全国的な知名度が低い傾向にあると感じますし、実際、バイヤーからもそういった指摘を聞きます。 事業者自らが営業活動の質を高めることはもちろんですが、万博や山口DCといった起爆剤もあり、人の流れが活発化しているこの機を敏に捉え、県としても、特に首都圏や関西圏をターゲットに、本県の魅力を戦略的かつ効果的に発信していただきたいと切に願っております。 これは一案ですが、例えば、下関市であれば、関門海域を挟んだ北九州市と連携し、関門というブランディングを前面に打ち出したプロモーションを展開したり、近隣の自治体と連携を図るなど、点ではなく面的な広域連携という観点も、誘客拡大の可能性につながるのではないでしょうか。 全国的に見ても、観光誘客や観光地、特産品の売り込みは、自治体間競争の様相を呈しています。そこで工夫を凝らし、ほかに負けない訴求力を持たないことには、本県が誇る魅力的な資源や物産の数々も埋もれますので、県としても目に見える成果をつかみ取るべく、積極果敢にPRを行っていただきたいのです。 ついては、観光・物産振興に向けたプロモーションの強化に向け、今後、県はどのように取り組むのか、御所見をお伺いします。 次に、産業脱炭素化の推進についてお伺いします。 現在、県は、令和五年三月に策定した、やまぐち産業脱炭素化戦略に沿って、二○五○年カーボンニュートラルを原動力とした本県産業の成長・発展に向け、積極的な取組を進めています。 私の地元下関市でも、この二年間で随分取組が進みました。 下関港の港湾脱炭素化の検討やゼロエミッション船の建造に向けた取組のほか、地場の中小企業においても脱炭素化の芽が育ちつつあります。 とりわけ、昨年十二月に運転を開始した長府バイオマス発電所は、木質ペレット一○〇%を発電燃料とするバイオマス専焼発電所で、今後の下関における産業脱炭素化の大きな弾みになると期待しております。 さて、県全体に目を移しますと、これまでの国や県の支援が後押しとなり、コンビナートにおけるアンモニアサプライチェーンの構築や、セメント製造工程におけるCO2の排出削減、自動車の電動化、蓄電池や半導体をはじめ、脱炭素関連産業の集積促進など、本県産業における脱炭素化は着実に進んでいます。 一方で、国際紛争に起因する燃料価格の高騰や、不安定さを増すエネルギー供給などを踏まえ、県議会としても執行部に対して、さらなる対応を求める観点から、昨年十二月、産業脱炭素化推進特別委員会から知事に対して要請が行われたところです。 そして、国におきましても、国際情勢の緊迫化やDX等の進展による電力需要の増加、経済安全保障上の要請によるサプライチェーンの再構築等、将来見通しに対する不確実性の高まりを受け、GX投資の予見可能性を高めるため、新たに、GX二〇四〇ビジョンを策定したところです。 まさに、本県のカーボンニュートラルを取り巻く環境は、目まぐるしく変化し続けています。 脱炭素化に向けて世界が激動する中、本県産業が将来にわたって成長し、国際競争に勝ち抜いていくためには、様々な外的要因に的確に対応しながら、これまでの取組成果の上に立って、本県の産業脱炭素化の取組を、もう一段高いステージへ押し上げる必要があると考えております。 基礎素材から高付加価値の部素材までを供給するコンビナートは、本県経済の屋台骨であり、GX型のコンビナートへの構造転換が求められます。 また、本県の基幹産業である自動車産業は、世界の電動化トレンドに適応し、グローバル市場での競争力確保が必須であります。 そして、半導体・蓄電池は、電化・デジタル化の要として脱炭素社会の鍵を握る物資であり、国内製造基盤の強化も求められます。 ついては、来るGX時代を見据え、本県経済の成長・発展に向けて、産業脱炭素化を一層強力に推進していただきたいと考えますが、今後、県はどのように取り組むのか、御所見をお伺いします。 次に、中山間地域の振興についてお伺いします。 中山間地域は、農林水産物の生産や地域住民の生活の場であるだけでなく、県土の保全や県民の触れ合いの場としての機能など、実に多面的かつ公益的な機能を有しており、中山間地域が県土の多くを占める本県では、まさにその課題克服・振興が県全域を元気にしていく鍵となります。 これまで県では、様々な取組を通じ、中山間地域づくりビジョンに沿った総合的・計画的な中山間地域づくりに取り組まれていますが、我が国が本格的な人口減少社会に突入し、社会経済情勢が大きく変化している今、中山間地域を取り巻く状況はより一層厳しさを増しています。 県が今年度から取り組まれている、若者を対象とした住宅ローンの利子補給制度は、大変ありがたいと好評ですが、地域にお住まいの方からは、息子が帰ってきて実家の近くの耕作放棄地に家を建てようとしたら、農地転用の費用と時間がかかり、さらに進入路を広げる工事費もかさむ。田舎に家を建てるのはコストがかかる。都市部の住宅団地のほうがいいと言われました。 中山間地域には、こうした住宅購入に至るまでの土地取得や周辺環境の整備などに課題がある事例もありますので、事業効果を高めるためにも、市町などとの連携が不可欠だと思います。 国が様々な政策を用いて、地方創生二・〇を起動しようとしている今、この多様化・複雑化した状況にある中山間地域の課題を解決していくためには、県庁中山間応援隊の活用も図りながら、県がさらなるリーダーシップを取り、全庁一丸となって、部局横断的に市町や地域に寄り添った支援を行っていくべきと考えます。 ついては、中山間地域の振興に向け、今後、県はどのように取り組むのか、御所見をお伺いします。 最後に、特定利用空港への対応についてお伺いします。 先般、山口宇部空港が国の特定利用空港の候補として検討されているとの報道が流れました。 特定利用空港は、自衛隊や海上保安庁の航空機がふだんから訓練などで円滑に利用できるよう国が指定して、必要な環境整備を図る空港で、これまでに九州や北海道等の十一の空港が指定を受けているところです。 エネルギー資源をはじめとした多くの物資の輸入を海上輸送に依存する我が国にとっては、日米同盟を基軸としてシーレーンを自由で開かれたものとしておくことが重要であり、安全保障の確保と平和で安定した国民生活の維持は密接不可分であります。 しかし、残念ながら、我が国周辺には多くの課題や脅威が存在しており、そのリスクは年々増しております。 こうした状況を踏まえ、国は防衛力の抜本的な強化を図るなど、可能な限りの対策を打ち出し、その一つが、令和四年十二月に閣議決定されました国家安全保障戦略等に基づく、この特定利用空港の指定であります。 今日、世界各地で突如、紛争が勃発し、しかも、中国の軍事費は日本の四倍に達し、北朝鮮のミサイル開発や発射も繰り返されている中、理想論だけでは我が国の安全、ひいては国民の暮らしと生命を守ることは決してできません。 あわせて、昨年一月の能登半島地震では、自衛隊が能登空港等を使用し、孤立集落等からの被災者の輸送や支援物資の搬送などを行ったことも聞いております。 災害の激甚化や南海トラフ地震の発生も懸念される中、平素の訓練を通じて、自衛隊や海上保安庁のパイロットが、空港の構造や特性に習熟することは、住民避難や救援部隊の派遣がより効率的にできるようになることも期待されます。 当然ながら、県には、周辺住民の方々をはじめ、県民の皆様が不安や懸念を招くことのないよう、適宜適切に情報提供に努めていただく必要はありますが、近くでは、北九州空港や大分空港などが既に特定利用空港に指定されておりますので、山口宇部空港の指定も前向きに検討されるべきではないかと考えます。 ついては、国が進める特定利用空港への対応について、今後、県はどのように対応していくのか、御所見をお伺いし、私の質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)髙瀬議員の御質問にお答えします。 まず、地域交通に関するJR美祢線の復旧についてです。 鉄道は、通勤や通学など沿線住民の日常生活はもとより、地域の経済活動や観光振興などに大変重要な役割を果たしています。 このため、私は、被災直後から、JRに対し、沿線自治体と連携して、美祢線と山陰本線の早期復旧を要請し、また、国に対しても、県議会の皆様と共に、JRが行う復旧への十分な財政支援などの要望を行ってまいりました。 こうした中、山陰本線については、昨年三月、JRから復旧の方針が示され、本年中の全線運転再開を目指して、着実に工事が進められています。 一方、美祢線については、JR美祢線利用促進協議会の中に、鉄道での復旧と鉄道以外のモードによる復旧を整理・検討する、復旧検討部会が設置され、これまで議論が重ねられてきました。 具体的には、モードごとの復旧費用や復旧までに要する期間、モードが有する特性やメリット・デメリットなどについての整理・検討を行い、先月開催された利用促進協議会の総会において、その検討結果が報告されたところです。 この報告を受け、JRは改めて、JR単独での復旧や復旧後の持続的な運行は困難と説明するとともに、BRTによる復旧によって、公共交通としての利便性を高めることが適当との考えを示しました。 また、その他の委員からは、復旧検討部会での検討結果を踏まえ、どのような復旧モードであったとしても、地域住民の利便性を念頭に、具体的な議論が加速することを望むとの意見などが出されたところです。 今後、利用促進協議会では、七月に開催予定の臨時総会において、各構成団体の意見を集約し、復旧の大まかな方向性を整理することとされています。 私としては、美祢線に限らず、鉄道が被災した場合には、他の重要インフラと同様に、事業者の責任において速やかに復旧することが原則であると考えています。 一方で、美祢線の運休から間もなく二年となる中で、学生をはじめとした地域住民や観光客が代行バスによる不便な移動を余儀なくされている状況を長引かせることは望ましいものではなく、一日も早く解消する必要があります。 このため、美祢線の復旧方針については、これまでの議論やアンケート結果等を十分勘案するとともに、次の臨時総会での意見や沿線自治体の意向を最大限尊重しながら、総合的に判断してまいります。 私は、今後とも、沿線自治体と緊密に連携し、美祢線を地域にとって利便性の高い日常的な交通手段として一日も早く復旧できるよう、全力で取り組んでまいります。 次に、産業脱炭素化の推進についてのお尋ねにお答えします。 経済成長と脱炭素、エネルギー安定供給確保の同時実現を目指すGXの潮流が加速する中、県では、やまぐち産業脱炭素化戦略に基づき、県議会と両輪となって事業者の脱炭素化の取組を後押ししてきました。 これまで、コンビナート企業による世界初となるセメント製造におけるアンモニア混焼実証の開始や、相次ぐ半導体・蓄電池関連企業による工場新設など、来るべき脱炭素社会に向け、着実に成果を上げてきたところです。 一方、燃料等の価格高騰や次世代エネルギーの安定供給など、脱炭素化の課題は山積しており、私は、県議会特別委員会の政策提言や国の新たなビジョンを踏まえ、さらなる高みを目指した積極果敢な取組により、これらの課題を産業界と共に乗り越えていくことが重要であると考えています。 まず、本県経済の屋台骨であるコンビナートについては、県独自の補助制度により、企業が連携したCO2排出削減等の取組を支援してきたところであり、今年度からは、新たに、将来の連携を見据えた個社の研究開発を支援対象に加え、さらなる連携事業の創出を図ってまいります。 また、本県の基幹産業の一つである自動車産業については、マツダが岩国での車載用電池パック工場の建設や防府工場でのEV製造を決定するなど、グローバル市場も意識した電動化シフトの動きが加速していることから、サプライヤーに対する電動化や低炭素化に向けた研究開発等への支援を強化してまいります。 さらに、脱炭素社会に向けて成長が期待される半導体・蓄電池関連産業については、本県の優れた立地環境や優遇制度に加え、台湾との協力関係も活用した誘致活動を展開するとともに、企業や大学等の先進的な研究開発や事業化への支援を行うなど、本県のポテンシャルを生かした取組を進めます。 こうした取組を進める中、先般、開催された国の、国家戦略特別区域諮問会議において、新たに、GX戦略地域を設けて、GX経済移行債による設備投資等の支援と、特区制度等を活用した規制改革を一体で進め、新たなGX産業の集積を目指して集中的に取り組むことが打ち出されました。 この会議では、世界のGXを牽引する未来拠点の形成に向けた先進事例として、本県のコンビナートが取り上げられたところです。これは、本県のこれまでの取組やポテンシャルが、国に高く評価されたものと受け止めており、GX型の産業創出による本県経済の発展には、絶好の機会と考えています。 このGX戦略地域については、今後、国において詳細な制度設計が検討されることから、県としては、要件や手続等の情報収集や、企業との調整を直ちに開始したところです。 今後、GX型コンビナートへの構造転換が加速するよう、当該地域への選定を目指して、取組を積極的に進めてまいります。 私は、地元企業や関係市町、支援機関との連携をより一層密にし、国の制度も活用しながら、脱炭素化を原動力とした本県産業の成長・発展に全力で取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)木安観光スポーツ文化部長。 〔観光スポーツ文化部長 木安亜紀江さん登壇〕 観光スポーツ文化部長(木安亜紀江さん)地域交通に関する御質問のうち、地域の交通手段の確保についてのお尋ねにお答えいたします。 地域交通は、地域住民の日常生活に欠かせない重要な基盤であり、その維持・確保は人口減少対策にも資することから、県では、複数市町にまたがる幹線バス路線の運行やデマンド型交通など、地域の実情に応じた利便性の高い公共交通の導入等を支援しているところです。 また、鉄道に係る運行本数の維持・確保や、利便性向上に向けたダイヤ改善などについては、市町と連携し、JR西日本に対し要望を行っているところであり、今後とも、継続的に働きかけを行うこととしています。 こうした中、免許を返納した高齢者など、いわゆる交通弱者をはじめとした地域住民の多様な移動ニーズに対応していくためには、県や市町、交通事業者が連携し、さらなる業務の効率化や利便性の向上に資する先進的な仕組みを整備することが必要です。 このため、県では、AIデマンド交通など、デジタル技術を活用した新たなモビリティーサービスの導入を目指す市町に対し、ノウハウを有する専門家を派遣し、全国の先進事例を踏まえた助言や国の補助制度の活用など、実装に向けた支援を行っています。 今年度は、下関市が行う、事業者から路線バスの廃止の意向が示された地域における代替交通の検討をはじめ、交通弱者支援につながる公共ライドシェアの導入実証など、希望があった七市の取組について支援を開始しているところです。 また、今後、こうした取組で得られた成果や、お示しの湯田温泉における超小型モビリティーの導入などの先進的な取組について、市町や交通事業者等を対象にセミナーを開催し、各地域の実情に即した形で全県に広がるよう、取り組んでいくこととしています。 県としては、今後とも市町や関係団体等と緊密に連携しながら、交通弱者をはじめとした地域住民が安心して利用できる交通手段の確保に、積極的に取り組んでまいります。 次に、観光・物産振興に向けたプロモーションの強化についてのお尋ねにお答えいたします。 本県は、豊かな自然や歴史、文化に培われた魅力的な観光地や特産品を数多く有しており、こうした魅力を強力に発信し、地域間競争に打ち勝つためには、観光と物産の緊密な連携による相乗効果を図りながら、プロモーション力を高める必要があります。 このため、県では、大阪・関西万博から山口DCへと続く一連の好機を捉え、「万福の旅 おいでませ ふくの国、山口」の下、観光・物産振興に向けたプロモーションを一層強化し、本県の認知度向上を図ることにより、国内外からの誘客拡大につなげていくこととしています。 具体的には、まず、首都圏や関西圏の主要駅や百貨店等において、観光物産PRイベントを開催するとともに、山口DCを広く伝える五枚組の観光ポスターを全国主要駅へ掲示するなど、効果的な情報発信を実施してまいります。 また、十月には全国の旅行会社やマスコミを招き、知事自ら本県の観光素材を売り込む、全国宣伝販売促進会議を開催するなど、山口ならではの観光物産の魅力を強力に発信し、一層認知度を高めてまいります。 さらに、観光客のニーズに即したターゲティング広告を戦略的に配信するとともに、若者世代への訴求を目指し、新たにティックトックを活用した情報発信を行うなど、工夫を凝らしたプロモーションを展開することとしています。 こうした取組に加え、お示しの面的な広域連携も誘客効果が期待できることから、関門エリアの観光素材を生かした周遊ルートの造成や、SLやまぐち号を活用した津和野町との共同イベントの開催など、県域を越えた連携を図ってまいります。 県としては、引き続き、市町や関係団体等と緊密に連携しながら、認知度向上による本県誘客の拡大を図るため、観光・物産振興に向けたプロモーションの強化に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)石丸健康福祉部長。 〔健康福祉部長 石丸泰隆君登壇〕 健康福祉部長(石丸泰隆君)福祉施策の推進についてのお尋ねのうち、まず、里親支援についてお答えします。 保護者による虐待など、様々な理由で家族と暮らすことが困難となった児童が、家庭と同様の環境の中で安心して健やかに成長していくためには、児童を家族の一員として迎え入れ一定期間養育する養育里親の役割が非常に重要です。 このため県では、本年三月に策定した、やまぐち子ども・子育て応援プランにおいて、社会的養護の充実を掲げ、里親等による養育を推進するため、里親の確保、支援の充実を進めていくこととしています。 まず、里親の確保に向けては、里親制度への理解が進むよう、ラジオやポスター等を活用した普及啓発を行うとともに、里親になることへの不安を解消するため、里親に関心を持っている方に、施設入所児童との生活を短期間体験してもらう取組を行っています。 次に、里親支援に向けては、里親になった方をしっかりとサポートできるよう、アドバイザー登録した養育経験豊富な里親が、児童への関わり方等の助言を行うとともに、児童相談所に配置した支援担当職員が、里親支援センターと連携しながら、相談対応や家庭訪問などの援助を行っています。 こうした取組により、県内の養育里親は、令和元年度末の百六十三世帯から、昨年度末には二百七世帯になるなど、着実に増加していますが、様々な背景を持つ児童に的確に対応するためには、里親のさらなる確保と、その役割を継続できるよう支援の充実が必要です。 このため、今後は、児童支援の経験を持ち、里親制度にも理解のある施設職員OB・OG等に対して、重点的に新規開拓に取り組むとともに、児童相談所や里親支援センターの職員による、里親委託事例を踏まえた、よりよい支援手法の検討会を実施し、支援体制の充実を図ることとしています。 県としましては、今後とも里親支援センターと密接な連携の下で、困難な状況に置かれている児童の家庭養護の一層の推進に向け、里親支援に取り組んでまいります。 次に、介護サービス提供体制の充実についてのお尋ねにお答えします。 高齢化が進行し、介護の需要の増大・多様化が見込まれる中、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けるためには、必要な介護サービスを持続的に提供する体制を充実させることが重要です。 このため、今年度新たに実施する介護生産性向上推進総合事業において、全ての介護サービス事業所等を対象とした補助制度を大幅に拡充し、介護ロボットなどのテクノロジーの導入を通じた職員の負担軽減を進めることにより、人材の確保・定着を促進します。 また、事業所からの業務改善に関する相談等に、ワンストップで対応できる総合相談センターを新たに設置し、ICTの活用等に精通した専門家により、業務効率を高める助言を行うなど、業務・経営改善をきめ細かく支援する体制を整備します。 こうした中、お示しの訪問介護等サービスについては、事業者による人材確保や経営改善などの取組を支援する国事業の活用に向けて、現在、地域の実情を踏まえた効果的な事業内容とするためのニーズ調査等を実施しているところであり、速やかに事業化を進めてまいります。 県としましては、関係団体等と連携しながら、こうした取組を通じ、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けていくことができるよう、介護サービス提供体制の充実に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)池田総合企画部長。 〔総合企画部長 池田博之君登壇〕 総合企画部長(池田博之君)中山間地域の振興についてのお尋ねにお答えします。 中山間地域は、急速な人口減少や高齢化に伴い、集落機能の維持に支障を来す地域も生じるなど、大変厳しい状況にあり、その振興は重要な課題です。 このため、県では、中山間地域づくりビジョンの重点施策に、集落の枠を超えた広い範囲で集落機能や日常生活を支え合う、やまぐち元気生活圏づくりの推進を掲げ、市町や地域の主体的な取組を支援しているところです。 その結果、県内の八十二地域で推進方針が策定され、デマンド交通による移動手段の確保や地域資源の活用によるコミュニティービジネスの創出など、持続可能な地域づくりにつながる様々な取組が進められています。 その一方で、自然環境や地理的条件による様々な制約に加え、人口減少による地域の担い手不足など、多くの課題があります。 こうした状況に対応するため、今後、県民局を中心に、お示しの県庁中山間応援隊による支援活動も一層積極的に行いながら、市町や地域に寄り添い、課題やニーズの迅速かつ的確な把握に努めていきます。 支援を求める地域に対しては、課題に応じた専門家の活用も促しながら、生活支援機能の確保や地域資源の活用を図るための取組等を、ハード・ソフト両面から支援してまいります。 こうした取組に加え、庁内関係部局が連携し、AI・デジタルを活用したオンライン診療や高齢者の見守りサービスの提供、スマート農業の推進など、地域課題の解決や産業振興に向けた取組を進めていきます。 また、地域の担い手不足に対しては、県内での定着率が高い地域おこし協力隊員の一層の活用を市町に促すとともに、複数の事業を組み合わせて人材確保を図る、特定地域づくり事業協同組合の設立支援などにより、新たな人材の確保・育成を図っていきます。 さらに、若い世代を地域の新たな担い手として定着・還流させるため、市町と連携し、新たに創設した若者の住宅取得支援制度の活用を働きかけていきます。 県としては、今後も、県と市町で構成する連携会議などを活用し、市町や地域と緊密に連携しながら、元気で活力ある中山間地域の実現に向け、積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)仙石土木建築部長。 〔土木建築部長 仙石克洋君登壇〕 土木建築部長(仙石克洋君)特定利用空港への対応についてのお尋ねにお答えします。 国が進める特定利用空港の取組は、近年の我が国の安全保障環境を踏まえた対応を実効的に行うため、自衛隊、海上保安庁が、平素から必要に応じて空港を円滑に利用できるよう、空港管理者との連絡・調整体制を設けるもので、現在、全国で十一空港が対象とされています。 山口宇部空港については、国から、昨年十月、空港管理者である県に、近傍に自衛隊の部隊が所在していることなどを理由に、対象として検討しているとの説明があり、また、今年一月には、地元宇部市に対しても同様の説明があったところです。 その中で、国と空港管理者との連絡・調整体制において、具体的な訓練の時期や内容等の情報を共有し、意見交換や利用調整を行った上で、年数回程度、輸送機による国民保護のための訓練や、輸送機・戦闘機の離着陸訓練等の実施を想定していることなどが示されました。 また、この取組は武力攻撃事態のような有事の利用を対象とするものではなく、訓練等の実施に当たっては、民生利用を主としつつ、空港周辺の地域住民に及ぼす影響が最小限となるよう努めていくことも示されました。 さらに、地元へのメリットとして、平素から自衛隊、海上保安庁の航空機が訓練を行い、空港の構造や気象などの特性に習熟することにより、大規模災害発生時には、住民避難や災害派遣の効率的な実施が可能になるとされています。 こうした国の説明を受け、県と市では、訓練時の騒音等による空港周辺地域への影響が懸念されることから、国に対し、具体的な訓練内容や、発生する騒音の大きさなどについて確認を行ってきたところです。 国からは、現時点で具体的な訓練の計画がないため、一概に回答することは困難とした上で、他空港での訓練内容や騒音に関するデータ等の提供がありました。 その中で、自衛隊機による離着陸訓練が実施されたことや、一時的に高い騒音レベルを観測することはあるものの、航空機騒音に係る環境基準を下回っていることを確認しています。 また、国からは改めて、訓練の日程、時間帯、機数等は事前に調整し、周辺への影響は最小限にするとの説明があったところです。 このように、騒音等についての確認事項が整理できたことから、今月、市と意見交換を行い、市からは、国の取組について理解しているが、市民生活への影響に十分配慮してほしい。地元関係団体の意見を十分に聞いて対応してほしいとの意見を頂きました。 こうした状況も踏まえ、地元関係団体に対し、国の取組の概要や地域への影響等について丁寧に説明を行うとともに、県のホームページに、国の資料やこれまでの経緯等を掲載したところです。 当該団体からは、県の説明内容におおむねの理解を頂いたところですが、現在、団体内部において意見を集約中と聞いています。 県としましては、引き続き、市と情報共有を図るとともに、適時、ホームページ等を通じて情報提供を行いながら、国が進めている本取組の趣旨や地元関係団体の意見も踏まえ、空港管理者として適切に対応してまいります。