1 企業誘致における人材確保も含めた戦略について 2 徳山下松港国際物流ターミナル整備事業の進捗状況と将来展望について 3 カスタマーハラスメント防止に向けた事業者へのさらなる支援対策について 4 少子化対策について 5 大雨洪水対策など防災の視点に立った水田整備について 6 いじめ防止の取組みについて
───◆─・──◆──── 午後一時開議 副議長(河野亨君)休憩前に引き続き会議を開きます。 ───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第九号まで 副議長(河野亨君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第九号までを議題とし、質疑の議事を継続いたします。 大内一也君。 〔大内一也君登壇〕(拍手) 大内一也君 皆さん、お疲れさまです。やまぐち県政会の大内一也です。通告に従いまして一般質問いたします。よろしくお願いします。 初めに、企業誘致における人材確保も含めた戦略について伺います。 本県における企業誘致の設備投資額は、二年連続で過去最高となりました。 二〇二四年の実績は、半導体関連の企業誘致が実現するなど件数で二十七件、設備投資額で約一千四百八十億円、計画雇用人数も六百七十名を超えるなど、着実に成果を上げています。 企業誘致が好調な要因としては、本県が地震の少ない場所であり、工業用水や港湾などのインフラが整っていることなどが挙げられますが、加えて県担当者の売り込みなどの日々の努力が実を結んでいるのではと推察いたします。 しっかりと成果を出している企業誘致ですが、一方で立地企業が人材確保に苦労しているという話も伺います。 こうした中、県においても、県内企業において深刻化する人手不足に対応するため、今年度の予算ではしっかり踏み込んだ支援の事業を盛り込んでいます。 大きなところでは、山口の暮らしと仕事の新たな相談拠点を、転出超過が著しい福岡県に今年度から設置することとされています。 移住と仕事の相談に部局横断的な相談窓口としてワンストップで対応し、キャリアコンサルタントの配置、また大学との連携を強化することで、県外からのUターン、Iターンにつなげていく事業です。 また、県内人材確保については、より踏み込んだ事業を今年度は行っています。 県内大学においては、情報デジタルを学ぶ学部が増えており、私の地元周南公立大学においては、昨年度、情報科学部を新設し、データサイエンティストやシステムエンジニアといった高度デジタル人材の育成に努めています。 こういった企業ニーズの高いデジタル人材と企業をつなぐ事業として、大学、学生と企業の交流を図り、県内大学から輩出されるデジタル人材の県内企業への就職を促進する、大学と企業をつなぐデジタル人材確保応援事業や、本県独自のプラットフォームを構築し、県内のデジタル関連企業同士や異業種間の連携強化を促進する、やまぐち情報関連企業等連携促進事業など、企業が人材確保できる事業を行っています。 このほか、雇用のミスマッチを防ぎ、安定した人材確保につなげるインターンシップの促進など、本県産業の実態に合致した就業構造となるよう、きめ細やかな施策を展開しています。 このように県はかなり踏み込んだ人手不足の対策に今年度取り組んでいますが、魅力的な企業の誘致が人材獲得競争に拍車をかけ、立地企業はもとより、既存の周辺企業、特に中小企業の人材不足に拍車をかける懸念もあります。 ですが、魅力的な企業、産業が山口県に増えるからこそ、山口県に興味を持ち、Uターン、Iターンなどにより、人材確保につながっていくとも考えられます。 特に若者にとって魅力的な企業、産業を誘致する産業政策と人材確保の政策、この両輪をしっかり回し、投資と雇用の好循環を生み出すことが、県経済の発展にもつながると考えます。 そこでお尋ねします。県の発展に不可欠な企業誘致における人材確保も含めた全体の戦略について、御所見をお伺いします。 次に、徳山下松港国際物流ターミナル整備事業の進捗状況と将来展望について伺います。 五月二十五日に行われました、国際バルク戦略港湾徳山下松港下松地区桟橋(マイナス十九メートル)完成式典に出席いたしました。 二〇一一年に徳山下松港・宇部港の二港が、国際バルク戦略港湾に選定され、二〇一六年に共同輸送の進展に対応した港湾施設の整備事業である、徳山下松港国際物流ターミナル整備事業が新規事業を採択されてから約十年がたち、関係者の皆様の大変な御苦労と御尽力により、水深十九メートル、長さ三百九十メートル、公共桟橋としては日本一深い桟橋が完成しました。 式典の際にも三百メートル近い大きさのケープサイズ級の船舶が桟橋に着岸しており、圧巻の光景でした。 徳山下松港の石炭取扱量は、二〇二三年で一千百九万トンと全国最多であり、日本有数のバルク港湾ですが、本整備事業により物資の安定的かつ安価な輸送の実現と、山口県のみならず、日本の産業の国際競争力の強化、雇用と所得の維持・創出に貢献するものとして、大変期待されています。 本整備事業は、今回の下松地区の桟橋に加え、周南市の二か所、徳山地区の水深十四メートルの岸壁の延伸、新南陽地区の水深十二メートルの岸壁の延伸の工事も進められています。 国土交通省の資料によると、徳山地区においては、地盤特性等を考慮し設計を行い、大型のケーソンの設置などを行うことにより、岸壁の延伸を図ることとされています。 また、新南陽地区においては、徳山地区と同種の構造形式により、岸壁の延伸を行うこととされています。 その他、大型の船舶の就航を可能とする、航路や泊地のしゅんせつなども行われることとされています。 これまで主にパナマックスサイズ級以下の船舶により、下松地区、徳山地区、新南陽地区、それぞれの地区で積荷調整を行う単独輸送を行ってきました。 そうした中、本事業の完成により、ケープサイズ級の大型船舶による一括大量輸送が実現するなどにより、年間約六十七億円の海上輸送コストの削減、またCO2は約一三%、NOxと呼ばれる窒素酸化物は約二八%削減するとされています。 その他、輸送コスト削減による安価で安定的な電力供給により、地域産業の国際競争力の強化や産業の安定と発展への貢献、耐震強化岸壁が整備されることにより、震災時においても物流機能の維持が図られるなど、多様な効果が期待できます。 このような効果への期待から、本事業の一日でも早い完成を待ちわびる声を地域でも数多く聞きます。 そこでお尋ねします。このように多くの効果と期待を集める、徳山下松港国際物流ターミナル整備事業の進捗状況や完成予定時期、また将来展望についてお伺いします。 次に、カスタマーハラスメント防止に向けた事業者へのさらなる支援対策について伺います。 これまで私の一般質問で二度ほど取り上げましたカスタマーハラスメント、いわゆるカスハラですが、今国会では、カスハラ防止のための法律、事業主に雇用管理上必要な措置を義務づける、改正労働施策総合推進法が可決されました。 また、都道府県や市町、そして企業においても、この一年で防止対策がより一層取られるようになりました。 まず、大きなところでは、東京都、群馬県、北海道で条例が制定され、この四月一日よりそれぞれ施行されています。 現状は、ウェブサイトやセミナーでカスハラの防止についての普及啓発に努めている状況ですが、東京都においては、マニュアルの整備や実践的なカスハラ防止対策を行った企業や防止対策の体制を整備するなどした団体に奨励金の支給、顧客等との接点を効果的に活用し、防止対策と条例の普及に都と連携して取り組む団体に対して補助金を支給するなど、具体的な事業を進めています。 また、各市町村においても対策が進められており、カスハラ対策相談ナビによると、カスハラ対策として名札のフルネーム表示をやめた自治体は、都道府県で十八、市町村で三百九十を超えるようです。 県内においては、十三の市全てにおいてフルネーム表示を取りやめたとのことで、加えて顔写真の掲載をやめたり、職員個人への不当な攻撃を防止する対策を取っている市もあるようです。 企業においても、航空会社やバス・タクシーなど交通機関、保険会社、銀行など金融機関、病院など数多くの企業がカスハラの防止のため、様々な取組をしています。 山口県の企業では、例えば、山口フィナンシャルグループが対応指針を設け、カスハラの定義や対象行為、対応を明記しています。 特に対応については、社内対応、社外対応に分け、社内対応では、マニュアルの制定、社員への教育・啓発や相談窓口の設置、また社外対応では、事案が発生した場合、その行為がカスタマーハラスメントに該当するかどうかを慎重に判断するとともに、合理的な解決に向けて取り組むことや悪質なカスタマーハラスメントが継続する場合は、取引を断ることがあることを明記しています。 私も、労働者の皆さんから御意見を頂くことが多いのですが、例えば、県内のあるスーパーでは、飲酒された方から電話にて商品についてのクレームを二時間近くされ、従業員が苦痛を受け、業務が滞ったなどの事例も伺いました。 また、労働組合であるUAゼンセンが、山口県内の外食、介護などの企業に御協力いただき調査をしたところ、高圧的な態度で暴言を言われた、あるいは商品を投げつけられたなどの迷惑行為が確認できました。 山口県内の企業での取組は進みつつありますが、県内のカスハラ被害者の方々の声を受け、県としてもカスハラ防止に向けてしっかりと企業をバックアップすることが必要ではないかと切に感じます。 昨年十一月の代表質問で、職場におけるあらゆるハラスメントの防止対策の必要性の認識を尋ねた際、知事は、ハラスメントは、働く人が能力を十分に発揮することの妨げとなることはもちろん、個人としての尊厳や人格を不当に傷つけるなどの人権に関わる許されない行為であると御答弁されました。 その許されないハラスメントの一つであるカスタマーハラスメントを山口県においても防止するためのさらなる取組が必要ではないかと考えます。 そこでお尋ねします。カスハラについて、県による事業主への啓発等の対応状況と被害者の声に応えるため、カスハラ防止に向けた事業者へのさらなる支援について御所見をお伺いします。 次に、少子化対策について伺います。 昨年、二〇二四年の出生数が初めて七十万人を下回り、六十八万六千六十一人となったことが先日の報道で大きく取り上げられました。 出生数の減少は九年連続であり、全ての都道府県で減少するなど深刻さが増しています。 国立社会保障・人口問題研究所が二〇二三年に公表した将来予測では、出生数が六十八万人台になるのは二〇三九年と推計されており、想定より十五年ほど早く少子化が進行しています。 山口県の出生数も、初めて七千人を下回り、六千七百七十七人になりました。前年と比較すると四百十二人減少したとのことで、厳しい状況が続いています。 また、合計特殊出生率も一・三六と前年より減少しておりますが、全国平均の一・一五よりも高く、全国で十一番目に高い数字となっています。 これは、国の子育て支援に加えて、県独自の取組、第二子以降の保育料無償化、不妊治療に係る経済的負担軽減、保育士の独自加配支援や企業向け育児休業取得奨励金の支給を行うなど、きめ細やかな対策の効果だと考えます。 また、結婚をしないことが少子化につながるとのことから、結婚の支援も積極的に行い、結婚応縁センターの会費の無料化や大規模婚活イベント拡大などにより、令和七年五月末でセンター会員同士の成婚数が二百五十二組となるなど、こちらも一定の成果を出しています。 国においては、年少扶養控除の復活や給食費無償化など、お子さんがいらっしゃる世帯のさらなる負担軽減の取組が課題として残っていると考えられるものの、国も県もここ数年、かなり踏み込んだ対策を行っています。それでも少子化を食い止めたと言えるまでの効果が十分に出ていません。 こういった制度や補助など金銭的支援による御家庭の負担軽減は、少子化対策においてもちろん重要ですが、加えて若者が結婚や子育て等のライフイベントも踏まえ、自分の将来を考えられるよう支援することも重要なのではないでしょうか。 県では、中学校や高等学校内に、未来を担う若い世代が、家庭や子供を持つことの楽しさやすばらしさを感じる機会を創出する、学校内子育てひろばの開設推進に取り組んでおり、令和六年度は四十三の中学校と二十一の高校で、中高生と乳幼児親子との触れ合い体験が実施されました。 私は、昨年十一月に、周南地域子育て支援ネットワーク 虹色ねっとが学校と連携して開催した、高校生と乳幼児親子との触れ合い体験会を見学させていただきました。 この体験会は、家庭科の授業を活用し、ライフプランを考えてもらうことを目的に開催しているとのことですが、高校生が乳幼児と触れ合うだけでなく、乳幼児のお母さん、お父さんから子育ての喜びや大変さなどの声を聞ける大変貴重な体験会でした。 乳児をだっこしたり、幼児と遊ぶ学生がいる一方、おなかにいるときのエコー写真や日常の子育てのポイントのメモを見せてもらいながら、子育ての様子を真剣に聞く学生がいるなど、楽しみながら子育てのリアルを肌で感じられる機会を提供していました。 私も参加している学生に、お子さんを授かりたいと思いましたかと質問したところ、中にははにかみながら、まだちょっとといった声もありましたが、多くの学生は、授かりたいといった反応でした。 乳幼児も高校生に遊んでもらえて大はしゃぎでしたし、お母さん、お父さんも、日頃の子育ての大変さと楽しさを共有できてうれしそうでした。参加者全員にとって、とても有意義な体験会でした。 県は、この事業をさらに推進するため、今年度、やまぐち子ども・子育て応援ファンドに、学校内子育てひろば特別枠を設けています。 私も三年半前に息子を授かりましたが、日々喜びと生きがいを感じながら子供と接し、成長を見守っています。 こういった体験会を通じて、学生や二十代のときに子育てのリアルに触れ、ライフデザインを形成することはとても大事だと感じました。 子育て支援については、金銭的負担軽減などの支援に加えて、こういった若者のライフデザイン形成を支援することも重要だと考えます。これら二つの支援を両輪で回すことが少子化対策に大きな効果を発揮するのではないかと考えます。 そこでお尋ねします。県の出生数低下の受け止めと少子化対策における若者のライフデザイン形成への支援について、御所見をお伺いします。 次に、大雨洪水対策など防災の視点に立った水田整備について伺います。 ここ数年、地球温暖化の影響を受け、山口県でも大雨洪水の被害が各地で起きています。 そのような中、県も河川のしゅんせつや河床の掘削、護岸整備などの河川改修をはじめ、大雨や洪水の対策を行っています。 昨年度は、十一月定例会において二百四十一億二千二百万円の補正予算が追加で提案されましたが、そのうち防災・減災、国土強靱化や産業基盤の整備を推進するため、農林水産関係で六十五億八千三百万円、土木関係で百六十三億六千六百万円、合わせて二百二十九億四千九百万円を計上しています。 農林水産関係の予算は、主にため池の整備や河川の水を農業用水として水路に引き入れるための頭首工の改修、また排水機場の改修などの防災・減災機能の強化に使われています。 こういった様々な対策が進められていますが、近年、田んぼが大雨洪水災害の対策として注目されています。その一つが田んぼダムです。 田んぼそのものにも一定の貯水機能がありますが、この機能をさらに高め、洪水被害やその下流域の湛水被害などから守る仕組みです。 田んぼダムの始まりは、二〇〇二年に新潟県の旧神林村(現村上市)とのことですが、現在では、農林水産省が流域治水の一環として、田んぼダムの取組を推進しています。 田んぼダムは、排水ますに流量調整板と呼ばれる板を設置して、水田の排水量を調整する仕組みですが、この調整により、大雨などの被害防止に一定の効果を発揮します。 加えて、排水路の水位上昇を抑えて溢水を防ぐため、小麦や大豆などの湿害に弱い作物の浸水被害を抑制することや、実施地域だけでなく、その下流域の浸水被害も軽減するので、周辺圃場や果樹園の保護にもつながるなど、農業そのものにもメリットがあります。 このように大雨洪水の被害への対策として効果の高い田んぼダムを県でもしっかり推進することが重要と考えます。 また、農家の方のお話を伺うと、こういった田んぼダムはもちろん、耕作放棄地になれば貯水機能が薄れる、また田んぼの排水路に不具合があり、うまく水が流れなければ、大雨などの際、排水などの調整が十分機能せず、被害を受けやすくなるといった話も伺います。 そのため、水田の整備・保全を通じて、できる限り耕作放棄地にしないこと、また排水路を維持管理すること、さらに言えば排水路の幅を広げたり深くすることも対策として重要だと考えます。 田んぼダムの整備はもちろん、田んぼそのものの機能維持こそが大雨などの被害防止につながると考えます。 そこでお尋ねします。大雨洪水対策など防災の視点に立った水田整備についての御所見をお伺いします。 次に、いじめ防止の取組について伺います。 本県の令和五年度のいじめの認知件数は、国公私立の小・中・高・特を合わせて、全体で四千二百四十七件に上り、令和四年度と比較して三百八十件の増加となっています。 ただ、いじめは早期発見が大事だと言われております。平成二十五年に施行された、いじめ防止対策推進法以降、小さな芽のときに早期にいじめが認知されているとの見方もあり、認知件数が高いこと自体が問題であるとは一概に言えないと考えます。 問題は、いじめの重大事態です。いじめの重大事態とは二つの規定があり、第一号は、「いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき。」、第二号は、「いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき。」と定められています。 どちらも被害を受けた児童生徒にとっては本当につらい、取り返しのつかないことにもつながる事態です。 本県の令和五年度の重大事態の発生件数は二十二件、児童生徒千人当たりの発生件数は〇・一七件、これは全国で五番目に高い数値です。 令和四年度は、発生件数十六件、児童生徒千人当たりの発生件数は〇・一二件で、こちらも全国的に見て高い数値となっており、この状況は、大変憂慮すべき問題であると考えます。 私は、いじめ被害者の保護者の方とお話を伺う機会が今年に入り何度かありました。深い悲しみと喪失感をお持ちであることはもちろんですが、私たちが受けた被害をこれ以上出したくないという強い気持ちでお話をされていました。 どういったいじめが起きたのか、また寝屋川市をはじめ、他県の対策事例など様々なお話を伺いましたが、いじめ防止のポイントは、早期発見と事例の共有、そしていじめ加害者の行動ではなく、いじめ被害者の状態、特に心が破壊されている、そういった精神状態を把握することとのことでした。 早期発見については、これまでアンテナを高くするといった考えもありましたが、子供のSOSを受け身ではなく、アンケートやヒアリングを行うなど、見えないいじめを探知しに行くことが重要とのことです。 また、子供の「大丈夫」は大丈夫ではない。その言葉が出ること自体が黄色信号。「もう無理」という言葉が一度でも出れば赤信号。すぐに対策を取らなければ取り返しのつかないことになる。こういったお話を伺い、当事者の方々の声を無駄にせず、いじめを防止し、これ以上被害を出さない取組をより一層進めていけるよう、私自身も力になりたいと強く思いました。 県も今年度、いじめ防止のための取組をさらに進めていくとのことで、誰一人取り残されないいじめ不登校対策事業を取り組みます。 アウトリーチ型支援による教育相談体制の充実を掲げ、スクールカウンセラーの配置拡充や心の健康観察アプリの導入など進めていくとのことで、受け身ではなく、支援する側が直接的に働きかける、こういった対策は、まさに私が伺ったいじめ防止のために必要とされる対策だと言えます。 また、個別のいじめ事案への直接的な対応を行ういじめ対策マイスターの教育委員会への配置など、ありとあらゆる手段でいじめを防止し、被害者を出さない強い意志を感じます。 そこでお尋ねします。いじめの問題認識と防止のための取組、特に重大事態を減少させる取組について、お伺いします。 以上で、私の質問を終わります。 御清聴、誠にありがとうございました。(拍手) 副議長(河野亨君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)大内議員の御質問のうち、私からは、企業誘致における人材確保も含めた戦略についてのお尋ねにお答えします。 少子高齢化等により、生産年齢人口が減少する中においても、持続的な県経済の発展のためには、産業の活性化に多面的な効果をもたらす企業誘致と、若者や女性の県内就職・定着の促進による人材確保の両面から取り組んでいくことが重要です。 まず、企業誘致については、成長が期待される半導体や蓄電池など、やまぐち産業イノベーション戦略に掲げる重点成長分野の企業を対象とした戦略的な誘致活動に取り組むとともに、若者や女性に魅力ある雇用の場となる、IT関連企業やサテライトオフィスの誘致活動を積極的に展開しています。 とりわけ、県内大学における情報系学部等の新設に伴い、今後、多くのデジタル人材が輩出されることを好機と捉え、その受皿となるデジタル関連企業の誘致を強化していくこととしています。 具体的には、本県への進出を検討している首都圏のデジタル関連企業に特化したPRイベントを新たに東京で開催し、私自らが本県の豊富な人材や優れた立地環境等をアピールするとともに県内学生との交流会も実施するほか、企業による県内大学などへの訪問ツアー等も実施します。 また、人材確保に向けては、本県からの転出超過が最も多い福岡に、移住や就業の相談支援拠点を新設するとともに、二十歳未満の転出先の約四割を占める広島、福岡に、大学や学生への情報提供や就業支援を担うキャリアコンサルタントを新たに配置したところです。 加えて、新卒・第二新卒者が県内で行う就職・転職活動やインターンシップに伴う旅費を実質的に全額支援するほか、企業に対して採用力の強化に向けたセミナーを開催するとともに、採用活動の効率化への支援も行うこととしています。 私は、引き続き、企業誘致と産業人材の確保の両面から実効ある施策を展開し、投資と雇用の好循環による本県経済の発展に取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 副議長(河野亨君)仙石土木建築部長。 〔土木建築部長 仙石克洋君登壇〕 土木建築部長(仙石克洋君)徳山下松港国際物流ターミナル整備事業の進捗状況と将来展望についてのお尋ねにお答えします。 県では、石炭等の一括大量輸送による安価かつ安定的なエネルギー供給に向け、徳山下松港において、国等と連携して、国際物流ターミナル整備事業による施設の整備を行うなど、国際バルク戦略港湾の施策を進めているところです。 お尋ねのうち、まず、事業の進捗状況について、下松地区では、先月、大水深桟橋の運用を開始するなど、おおむね事業が完了し、現在、徳山地区では、岸壁の延伸や航路・泊地のしゅんせつの工事が、また、新南陽地区では、工事着手に向けた調査等が行われているところです。 次に、事業の完成予定時期について、事業主体である国からは、現時点ではお示しすることは困難であるが、現在、鋭意事業を行っており、引き続き、着実に進めていくと聞いています。 最後に、将来展望について、こうした施設の整備に併せ、企業間連携による共同輸送のさらなる促進を図るなど、ハード・ソフト両面から港湾の機能強化に取り組むことにより、県内企業の国際競争力の強化につながるものと考えています。 副議長(河野亨君)永田産業労働部長。 〔産業労働部長 永田明生君登壇〕 産業労働部長(永田明生君)カスタマーハラスメント防止に向けた事業者へのさらなる支援対策についてのお尋ねにお答えします。 カスハラは、労働者の尊厳や心身を傷つけ、健康不良や精神疾患を招くことに伴い、貴重な人材の損失につながるおそれや、職場全体の生産性にも影響を及ぼす可能性があるなど、見過ごすことのできない問題です。 このため、県では、全ての労働者が安心して働くことのできる環境を整備し、充実した職場生活を送ることができるよう、企業が自主的にカスハラ対策に取り組むことが重要であると考えており、企業に対しその周知啓発に取り組んでいるところです。 具体的には、まず、各県民局の中小企業労働相談員による年間約千二百件の事業所訪問や、山口県労働協会との共催による労働セミナーにおいて、職場におけるカスハラ対策の必要性や企業における対応事例等の周知啓発を行っています。 また、山口労働局に設置された職場のハラスメント等に関する専門相談窓口の周知を図るとともに、県においても、各種労働問題に電話でお答えする、労働ほっとラインで相談に応じています。 加えて、国が作成した企業において取り組むべき対策を示したマニュアルを県のホームページにより周知するなど、企業がカスハラ防止措置を講ずることができるよう支援しており、県内企業においても、カスハラ対応方針の策定など、組織的な対応に向けた環境整備が進められています。 こうした中、カスハラ対策の事業主への義務づけなどを内容とする、労働施策総合推進法の改正が行われ、今後、企業が取り組まなければならない具体的な内容等の指針が示される予定であることから、指針が示され次第、速やかにその内容についてセミナー等を通じ周知を図ることとしています。 県としては、今後とも国と連携しながら、労働者が安心して働き、能力を十分に発揮できる環境づくりに向けて、企業において適切な取組が進むよう、カスハラ対策に取り組んでまいります。 副議長(河野亨君)石丸健康福祉部長。 〔健康福祉部長 石丸泰隆君登壇〕 健康福祉部長(石丸泰隆君)少子化対策についてのお尋ねにお答えします。 本県の年間出生数は、二〇二四年には過去最少の六千七百七十七人となり、減少ペースも加速していることから、本県の少子化の厳しい現状に強い危機感を持っています。 こうした中、県では、若い世代が自分の価値観に基づき自分らしい生き方が実現できるよう、自身の将来について考えるライフデザインの形成を支援し、若い世代が結婚・子育てを身近に感じられる機会を創出しているところです。 具体的には、中高生が乳幼児親子と交流し、家庭や子供を持つことのすばらしさを身近に感じられる、学校内子育てひろばを開設する子育て支援団体等を支援しており、参加した生徒からは、自分の将来について考えるよい機会になったなど、前向きな声があったところです。 こうした声を踏まえ、今年度から、民間資金を活用した、やまぐち子ども・子育て応援ファンドに特別枠を新たに設け、学校内子育てひろばの取組が県下全域にさらに広がるよう、新規開設する団体等への手厚い支援を行ってまいります。 また、ライフデザインの形成には、性や妊娠に関する正しい知識を身につけ、自身の健康管理を行うことが重要であることから、若い世代に対する、プレコンセプションケアを推進するため、新たに、SNSによる情報発信や、学校での助産師等による出前講座への支援をすることとしています。 県としましては、若い世代が自身の将来について考え、その希望をかなえられるよう、今後とも、学校や関係団体等と連携し、ライフデザイン形成への支援をはじめとした、少子化対策に取り組んでまいります。 副議長(河野亨君)岡本農林水産部長。 〔農林水産部長 岡本章生君登壇〕 農林水産部長(岡本章生君)大雨洪水対策など防災の視点に立った水田整備についてのお尋ねにお答えします。 水田は、米や麦、大豆などの生産に加え、雨水を一時的に貯留し洪水被害を防ぐなど、多面的な機能を有しており、県では、この機能の維持・発揮に向け、水田の計画的な整備を進めてきたところです。 あわせて、水田の持つ多面的機能を十分発揮させるため、地域ぐるみで行われる水路の維持管理等の保全管理活動に対する支援を行っています。 また、近年、各地で大規模な水害が頻発する中、多面的機能の重要性は一層高まっており、お示しの田んぼダムについても、県内の一部の地域において取組が始まっています。 この取組を進める上においては、農業者の理解と下流域の住民自治体の協力が不可欠であり、市町や土地改良区などを含めた流域全体の関係者が相互理解の上で協働していくことが必要です。 このため、田んぼダムの取組については、効果的な治水対策となるよう、引き続き、水田の計画的な整備を進めながら、地域ぐるみの保全管理活動に取り組む地域を中心に進めてまいります。 県としては、農業者や地域の関係者等と連携し、引き続き、水田の持つ多面的機能の維持・発揮に努めてまいります。 副議長(河野亨君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)いじめ防止の取組についてのお尋ねにお答えします。 いじめは、いじめを受けた児童生徒の心身の健全な成長や人格の形成に重大な影響を及ぼすおそれがあり、県教委では、いじめは絶対に許されないとの認識の下、これまで様々な対策を講じてきたところです。 しかしながら、本県における令和五年度のいじめ重大事態の発生件数は、過去最多と深刻な状況であり、今年度、受け身ではなく、学校等が児童生徒や保護者に直接働きかけるアウトリーチ型の取組などにより、未然防止や早期発見・早期対応の強化を図っています。 具体的には、未然防止・早期発見に向けては、いじめの兆候を見逃さないよう、教員による積極的な声かけやアンケート等の実施に加え、昨年度、モデル的に導入した心の健康観察アプリを、今年度は、全ての県立学校に拡大したところです。 また、こうした取組を早期対応につなげるため、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置時間を大幅に拡充するとともに、家庭訪問などの支援を積極的に進めています。 さらに、重大事態の発生防止に向けては、事案の迅速かつ適切な初期対応が重要であることから、今年度、警察OB等の専門家を、いじめ対策マイスターとして県教委内に配置し、学校に派遣するなどの伴走型支援を行うこととしています。 加えて、学校での困難事案等に対して、法律的な観点から助言等を行うため、弁護士を県教委内に配置することとしており、事案の早期解決を図り、重大事態の減少につなげてまいります。 県教委としましては、今後とも、市町教委をはじめ、学校、家庭、関係機関等と一体となって、いじめ防止等の対策に積極的に取り組んでまいります。