1 移住・定住の促進について 2 副業・兼業の促進について 3 付加価値の高いツーリズムの推進について 4 発達障害グレーゾーンの支援について 5 金融教育について
議長(柳居俊学君)猶野克君。 〔猶野克君登壇〕(拍手) 猶野克君 おはようございます。公明党の猶野克でございます。 まずは、村岡知事、御当選おめでとうございます。このたびの知事の選挙戦の訴えに、県民の皆様は真摯に耳を傾け、強い共感と賛同が得られた結果だと確信をしております。四期目となる県政運営に心より期待を申し上げております。 それでは、通告に従いまして質問をさせていただきます。 初めに、移住・定住の促進について、若者の定住促進についてお尋ねいたします。 今議会の冒頭、村岡知事より、学生のインターンシップ参加や就職活動に伴う旅費の全額補助並びにインターンシップの受入れプログラム構築支援やAIを活用した企業と学生マッチング対策等、若者の県内就職について、るる御説明がありました。 若者の定住につながる大変意義ある新しい取組であり、今後の成果を期待しております。私からは、若者の定住促進につながる県内進学という観点で、質問させていただきます。 都道府県や市区町村では、Uターン、Iターンを含む若者の地元定着を促進するため、大学等在学中から奨学金を貸与し、卒業後に県内に就職、定住すると返還が免除、補助される奨学金返還支援制度が数多く実施されております。 さらに、最近では、各自治体が独自の就活支援を行う就活交通費助成や社会人向けの募集枠など、定住に向けた自治体独自の支援策も増えてまいりました。本県でも、奨学金返還支援制度創設奨励金や大学の地域枠推薦、山口県ひとづくり財団と連携した定住促進奨学金等を実施しており、学びたい学生を応援するとともに、本県への定住を促進されていることに高く評価しております。 さらにこの取組を加速するため、奨学金や奨励金を受給していない学生や移住を考えている若者など、幅広い若者層への定住に向けた県内進学の促進を行う必要があると考えます。 県内大学等で学ぶことで、地域特有の文化や価値に触れる機会が増え、同時に地域産業を支える人材を育成することができ、それが県内就職や定住につながっていくのではないでしょうか。 日本国内には約八百校の大学がありますが、志願者数がトップの大学はどこか、皆様は御存じでしょうか。志願者数が十一年連続でトップを守ってきた近畿大学を抑えて、昨年二〇二五年、堂々の一位となったのは、千葉工業大学であります。 千葉工業大学は、千葉県習志野市にあり、全国的な知名度が高いとは言い難い、私立理系単科大学ですが、実に十六万人を超える志願者数となりました。その理由は、何といっても共通テスト利用入試の受験料を無料にしたことであります。物価高騰や経済的理由で進学を諦める受験生を支援するため、受けやすい大学を目指した改革が後押しした結果となりました。 現在では、各地域で奨学金制度も充実し、大学進学しやすい世の中となりましたが、いまだ受験料や受験会場への交通費や宿泊費もままならず、経済的な理由で、修学が難しい御家庭もたくさんあります。 例えば、卒業後、本県に定住する意思のある方に対して、県内大学の受験料無償化や入学金免除等、有能な若者を支援する取組も重要であり、若者の定住に向けた県内進学促進を進めていただきたいと考えます。 そこでお尋ねします。若者の県内定住に向け、県内外から県内進学の促進にどのように取り組まれるのか、県の御所見をお伺いいたします。 次に、移住促進についてお尋ねします。 移住に関する意識調査から分かった若者が移住をためらう理由に、移住先での給与や人間関係などを挙げられる方が多く、また、移住に際し、引っ越し費用の助成や家賃補助など、住宅関連の補助を望む方も多い調査結果となっています。やはり生活を示す住と、仕事を示す職の二つの不安を解消することが、移住希望者の背中を押す要因となっていることが分かります。 しかし、どの自治体も人口減によって地域の力や税収に影響がある中で、持続可能な施策として打ち出すことに苦戦しているのが現状であります。 こうした中、本県は、より精力的に移住政策を行っていることを高く評価しております。職の面でいえば、移住に関心のある民間企業とのマッチングが重要と言われていますが、本県では、やまぐち移住就業のマッチングサイトを立ち上げ、移住支援金とも連動し、本県への移住促進を図られています。 非常に効果的な取組ですが、今、どの産業分野も働き手が不足している中で、よりマッチングサイトに登録する企業が増えてもよいと感じております。 先日、私のところに、都市部から移住を考えている御家庭から御相談を頂きました。その方は、保育士と幼稚園教諭免許の両方の資格をお持ちのようですが、本県移住就業のマッチングサイトには、こうした分野の求人情報が少なく、移住の準備金がなく悩んでおられました。 そもそも事業者が求人を必要としていなければ、問題はありませんが、山口しごとセンターでは募集しているけれども、こうした制度を知らず、登録をしていない企業や事業者も多いのではないでしょうか。 企業に対しても、より積極的に登録を呼びかけ、こうしたサイトも活用していただければ、移住を希望する方々への選択肢も広がり、双方がウィン・ウィンになると考えます。 もう一つの事例を御紹介すると、埼玉県ではAIを活用し、県内企業と県内就職を希望する学生のマッチングを支援するサイト「AI(あい)たまキャリア」を開発されました。 AIによる適職診断や企業検索が行え、企業側・学生側の双方が、無料で利用できるそうであります。民間の就職支援サービスでは、掲載料を多く支払った企業が上位に表示されるケースが多いですが、県のサイトでは各企業が公平にPRできる特徴があり、県が運用する信頼感と企業の求人への投資も抑えられ、相乗効果が生まれています。 こうしたツールの活用により、UIJターンを考える学生の幅も広がっていくと考えます。 これらは一例ですが、県外在住者に対するチャンネルを拡充し、本県の魅力情報の発信とともに県内企業との接点を拡大していく。さらに実際に移住就業につながるまでの資金面のサポートも充実させるなど、県内へのUIJターン就職を総合的に支援していくことが必要であります。 一方、住の面では、生活を具体的にイメージしてもらうための取組や移住相談会・セミナーの開催、さらにセミナー参加への手厚いフォローが移住の成果につながると言われています。 また、女性など、特に住居や就労など様々な面で不安を抱かれることが多い方への支援は重要であり、移住を検討するきっかけづくりや移住へのハードルを段階的に下げていく取組など、よりきめ細やかな支援が求められます。 岡山県では、海外に住む外国人パートナーを持つ日本人から移住相談を受け、県と市町が共同でセミナーを実施しています。実際に岡山県に暮らす海外移住者の声を紹介するセミナーを開催したり、チャットでの質問やオンライン相談も受け付けています。これも移住希望者に応じたきめ細やかな支援の一例ですが、こうした顔の見える地道な取組が、実を結んでいるようであります。 そこでお尋ねします。本県でも積極的に移住政策に取り組んでおられますが、職と住の不安を解消し、さらなる移住促進に向け、今後どのように取り組んでいかれるのか、県の御所見を伺います。 次に、副業・兼業の促進についてお尋ねします。 令和四年九月定例会でも取り上げさせていただいたテーマでありますが、副業・兼業を認める動きは、働き方改革の一環として急速に進んでおります。政府の推進の下、人手不足に苦しむ企業にとっては、スキルの高い人材を外部から獲得しやすくなるほか、自社の従業員に対して副業・兼業を認める企業にとっては、人材流出防止、スキル向上が期待されるなど、多くの企業が制度の見直しを進めています。 他方、労働者側の立場に立つと、自律的なキャリア形成、社外の知識や技術を取り入れたイノベーションの創出も期待されます。また、これまで一企業から得ていた収入がツーウエーになることで、必要以上に一つの企業に依存することなく、パワハラや失職するリスクに対する心的負担が軽減され、心のゆとりも生まれるなど副次的な効果も期待されます。 このように、副業・兼業は、労使双方がウィン・ウィンの関係になる可能性が秘められており、私は、現下の人手不足社会を乗り切る有効な手段の一つと考えております。 最近では、公務員の副業・兼業を認める自治体も増えてきました。公益性が高い活動について許可したり、地域貢献度の高い職員などを表彰したりと、兼業の許可基準を新設し、兼業が認められる範囲を明確にすることで、職員の県庁外での活動を後押しし、人手不足の緩和も図っています。 一方、メリットばかりではなく、デメリットも留意しなければなりません。長時間労働による健康への悪影響や本業のパフォーマンス低下、副業先へのノウハウ流出や情報漏えいなどであります。 しかし、待ったなしで人手不足が深刻な時代を迎える中、副業・兼業人材の健康管理や情報セキュリティー意識の涵養等、必要な対策を取りながら、その活用促進に向けた取組を進めていかなければなりません。 本県では、首都圏等プロフェッショナル人材還流促進事業において、副業・兼業を含めた内容を追加し、プロフェッショナル人材と県内中小企業のマッチング等を行っていますが、まだまだ広がりを欠いている感があります。 国の調査による副業・兼業の割合は、二〇年度の一〇・一%から二四年度は二九%まで伸びました。これは、都市部の人材が地方の企業と契約する人の流れが強まっていることを意味します。加えて、本県への年間移住者数は八年連続増加中であり、県外からの注目度が高まっているところであります。本県もより多くの人材を呼び込み、必要な人材を確保するチャンスを逃してはならないと考えます。 そこで、副業・兼業を一層促進する観点から、人手不足に苦しむ中小企業が、大都市圏から有為な人材を確保できるよう積極的に支援するとともに、社内に対しても多様な働き方の一つとして副業・兼業が可能な職場環境づくりを促進し、副業・兼業にポジティブな機運を醸成していただきたいと思います。 一方で、副業・兼業に起因する安易な離職や情報流出、本業の業績低下等を招かないよう、企業と従業員のエンゲージメントを高め、従業員が仕事に意欲的で誠実に向き合うよう、職場としての魅力の底上げを図ることも必要であります。 私は、中小企業や労働者が抱える多種多様な課題に向き合い、副業・兼業の促進を通じて、企業も成長し、よりよい職場環境が整備され、労働者も仕事に邁進できる社会を実現したいと考えています。 そこでお尋ねします。副業・兼業の促進について、どのように取り組んでいかれるのか、県の御所見を伺います。 次に、付加価値の高いツーリズムの推進についてお尋ねします。 近年の観光は、特定の地域が持つ景色や場所の魅力だけではなく、その地域ならではの体験や物語が観光価値を高める要素として重要視されています。地域が持つ自然、歴史、文化、食、温泉などの資源が、観光客に訪れたい、体験したいと思わせ、消費行動となります。 さらに最近の観光トレンドは、単なる観光だけではなく、深い体験や知的インスピレーションを得られる旅と言われています。保有資産一・五億円を超える富裕層の人口が、今年一億六百万人に達するとの予測もあり、一人当たり一回の旅行で百万円以上の消費旅行者も増え、旅行体験の充実を目指す高付加価値旅行市場のニーズは、さらなる高まりが期待される分野であります。 観光庁によると、高付加価値旅行者は、旅行による様々な体験を通じて自身の知識を深め、インスピレーションを得られることを重視する傾向にあるとされており、その地域ならではの特色を物語として魅力的に伝えられるようなコンテンツや人材の整備が必要とされます。この取組は、単純に旅行消費額の拡大を目指すだけではなく、地域の経済活性化や持続可能な地域づくりにもつながるのではないでしょうか。 観光資源についても、本県は、自然や食だけではなく、世界中のファンを集める素材が多くあります。例えば、SLやまぐち号やレトロな橋梁など、鉄道ファンにとって山口県は聖地そのものであります。 特に、日本初の道の駅がある山陰本線の惣郷川橋梁、山口線では、渓谷沿いの緑や紅葉の長門峡周辺、リンゴ畑が広がる徳佐駅から船平山駅間、山陽本線の島田駅間は貨物列車や特急列車を直線区間で撮影できるそうであります。 また、我が町宇部市には、映画「シン・エヴァンゲリオン」の舞台となった宇部新川駅があり、多くの鉄道ファンが訪れる定番の撮影スポットであります。 さらに本県は、今触れた、エヴァンゲリオンなどを筆頭に、数々のアニメや映画等の聖地でもあります。宇部市のエヴァンゲリオンは言うまでもなく、防府市の「マイマイ新子と千年の魔法」をはじめ、山口市湯田温泉のアニメ「ざつ旅」、岩国市「リーンの翼」、萩市や下関市は「名探偵コナン」がアニメ映画化され、話題となりました。 そのほか、山口県を舞台とした文芸作品は百作品を超え、大河ドラマ八作品、テレビドラマは二十二作品、実写化された映画三十一作品、加えて音楽、ラジオドラマ、漫画など、数え切れない作品で山口県が登場してまいります。 アニメ巡礼マップがあるだけでも、一日ではとても回り切れないぐらい山口県の観光舞台がありますが、残念ながら、こうした案内情報や現地の目印、ホームページ等がなく、個人的にファンが調べて行くだけで、広く整備がされていないのが現状であります。 本県では、アウトドアツーリズムを創出するため、山口ならではの特別な体験創出支援事業として、一昨年、美祢市観光協会と宇部市COCOLANDで補助事業が採択されました。 特に宇部市COCOLANDでは、今月三月一日に恐竜の森アドベンチャーがオープン。全長六十メーターのジップラインや高さ四メーターのアドベンチャーサークルは、子供だけではなく、大人も夢中になれるアスレチック施設となります。 支配人に話を伺ったところ、何といっても、国内初の恐竜卵化石を発見した下関市にちなんで恐竜に関わる施設をオープンさせたということで、まさに、山口県が全体でつながりを持ち、ロマンや体験、そして知的好奇心を沸き立たせる今の観光トレンドにマッチした施設だと話を伺い、感動いたしました。本年、勝負となるデスティネーションキャンペーンと合わせて、相乗効果で大きな成果が生まれるよう願っております。 また、昨年八月には、山口県観光連盟による、若者活躍による観光力パワーアップ事業として、本県の高校生が各地から集まり、プランを作成し、新しい観光資源の掘り起こしを目指すという報道も目にしました。こちらも若い視点や知恵を結集して、産官学連携のすばらしい成果を期待しております。 本県には、今、申し上げたとおり、鉄道、アニメ、映画、恐竜、若者等をキーワードに、たくさんの観光資源がまだまだ眠っておりますが、現時点では、それぞれのファンが景色や場所に行くだけの観光にとどまっているように感じます。それらの物語を分かりやすく観光客に提供し、地域を連携して体験を生み出す。そして知的インスピレーションを得られるものにできるよう、山口観光の付加価値を高めていただきたいと考えます。それが、ひいては県全体の経済活性化や持続可能な地域づくりにつながると信じるからであります。 そこでお尋ねします。付加価値の高いツーリズムの推進について、今後どのように取り組まれるのか、県の御所見を伺います。 次に、発達障害グレーゾーンの支援についてお尋ねします。 発達障害グレーゾーンとは、診断基準には達しないものの特性を持つ状態であり、約十人に一人がいるとされています。発達障害と医師に診断された場合、障害の特徴や当人の特性、必要なサポートの内容が明確になれば、周囲からの合理的な配慮や公的支援を受けやすくなります。 発達障害グレーゾーンの方は、学業や仕事、人との会話や生活の中で、何となく違和感を感じながら生活を続けていたり、発達障害の方と同じような困り事や生きづらさを感じたりしますが、普通に見られるがゆえに周囲の配慮を得られにくく、正式な診断がないことで障害者手帳や福祉サービス、教育制度などの支援のはざまに取り残されやすい存在となっています。 相談先や支援先が分からない、特性に対する理解や配慮を求めづらい、変わったところがある人と見られてしまうなど、不登校やひきこもりとなる多くの原因は、こうした方々が、自分の心と体を守るためのやむにやまれぬ自己防衛の行動の表れであります。 グレーゾーンの方は、障害レベルの重い方に比べれば軽く、自助努力でどうにかなる問題でしょうか、決してそうではなく、自分の力で生きづらさを克服するどころか、時には、より深刻な困難を生む状態になると考えます。 先ほど申し上げたとおり、障害レベルではないため、合理的配慮や支援が届きにくく、健常者と対等に競わされる立場に置かれやすい。つまり周囲からの期待値の高さとのギャップに苦しむことになり、その積み重ねで生きづらさや困難が生まれてきます。 私もこのテーマについては、長年ずっと県議会で取り上げていますが、サポート側も幅広い知識や様々なケースに対応できる経験とノウハウが必要になるため、発達障害グレーゾーンの方々への支援をどこまで社会課題として構築していけるのか、本当に難しいテーマだと感じています。 ただ、この間にも、自分でも原因が分からない生きづらさに、苦しんでいる教室の子供たちや家に閉じ籠もっている若者、働きながらも、自分はこんなはずではないと自問自答している方々に、苦しまなくていい、一人で悩まなくていいと声をかけたい気持ちでいっぱいになります。 グレーゾーンの子供の進学先を考えるとき、どのような観点に注意すれば、子供に合った高校を選べるのでしょうか。これらの受験情報や受験校の選択肢は少ないのではないでしょうか。働きたくても、グレーゾーンだから公的な就労支援は受けられないと悩んでいる方に、どのような手が差し伸べられるでしょうか。 もしかしたら、自分は人と違うのかもと悩んでいる人、生きづらさの原因を求めて診断や検査を受けたのに、障害というほどでもないという曖昧な結果に苦しんでいる人に、どのような支援が可能でしょうか。 そこでお尋ねします。支援制度のはざまにある発達障害グレーゾーンの方々に対して、できる限り寄り添って支援していただきたいと願いますが、県及び県教委として、今後どのように取り組んでいかれるのか、御所見を伺います。 最後に、金融教育についてお尋ねいたします。 二〇二二年四月から実施されている学習指導要領により、日本の高校家庭科において金融教育が必修となりました。成年年齢の十八歳引下げにより、高校生が親の同意なしにクレジットカード契約やローンを組むケースもあり、さらに家計管理、資産形成、金融トラブル防止などを学ぶそうであります。 老後二千万円問題や少子高齢化による年金財政の懸念などを背景に、iDecoが創設され、NISA、いわゆる少額投資非課税制度においても、来年からゼロから十七歳を対象としたこどもNISAが開始予定となります。高市総理も、貯蓄から投資に向けた資産運用立国の取組を深めると、今国会の施政方針演説で述べられておりますが、未成年から投資や資産運用の知識を身につけることがとても重要な時代に入ってきました。 一方、投資や資産運用にはリスクは付き物であります。お金を適切に管理・運用する判断力はもちろんのこと、預貯金、株式、債券、投資信託などの特徴や金融商品の知識、さらには経済の仕組みを理解し、社会的な諸課題に対応する力を身につける必要があります。 高校生の金融教育はスタートしましたが、今の大人たちは金融の知識を体系的に教わっておらず、学校や家庭での知識をきちんと教えていく環境が整っていないことは大きな課題と言えます。八割を超える人が、老後に不安を感じると答える老後不安大国の日本で、その上位に位置するのが老後の備えであります。 金融庁が二〇二五年十一月に公表した都道府県別のNISA口座開設状況は、最大二倍以上の地域間格差が存在し、本県は、全国平均を下回る低い地域であります。実際の口座利用者は、さらに半減すると言われておりますので、県民のほとんどの方が、これら制度を利用していない状況と推察されます。 現在日本は、長期的なデフレを抜け出し、経済の正常化を目指した政府主導のインフレ誘導や、円安も相まって物価高騰が進んでいます。この物価上昇した分の賃金上昇もしくは投資リターンがないと手持ちの金融資産が目減りしていくのは、周知の事実であります。 三十年にわたるデフレ時代には、預貯金以外に、あまり必要性がなかった資産運用もインフレに転換し、自分たちの資産をどう守るのか、一人一人が考えていかなければならない重要なテーマだと考えます。 しかし、先ほど述べたとおり、高校の金融教育がスタートしたばかりで、多くの県民は金融教育を受けておらず、決して金融リテラシーが高いとは言えません。 私は、高校生に限らず、小中学生や一人暮らしを始める大学生、初めて収入を得る新社会人、ファミリー世代、そして高齢者世代など、各ライフステージの特徴や課題、家族構成や収入支出の変化、生涯の賃金や働き方、社会保障制度など、必要な知識やノウハウを学ぶことができる機会を行政が積極的につくることが重要だと考えます。 高校生はもちろんのこと、私たち大人が正しい理解を得ることで、家庭での学びや社会経済に対するより深い見識にもつながっていくと考えます。 そこでお尋ねします。金融教育が高校で必修化され、改めてお金の知識の必要性が見直されています。ライフステージに応じて、必要な知識やノウハウを習得できる学びの機会を創出することが必要であると考えますが、今後どのように取り組まれるのか、県の御所見をお伺いいたしまして、私の一般質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)猶野議員の御質問のうち、私からは、移住促進についてのお尋ねにお答えします。 本県の最重要課題である人口減少は厳しさを増しており、この現状を打開していくためには、県内に人をとどめるとともに、本県への人の流れを創出していくことが重要です。 このため、県では、市町や関係団体等と組織する県民会議を中心に、仕事と暮らしの相談対応や受入れ支援など、様々な移住・定住対策に取り組んでまいりました。 その結果、本県への移住者数は八年連続で増加し、また、移住希望地ランキングでは、新規の相談者数が三年連続して西日本で二位となるなど、着実に成果が現れています。 一方で、依然として若者や女性を中心とした県外転出による社会減が拡大していることから、移住希望者の仕事や暮らしの不安に寄り添い、移住促進に向けた取組を強化していきます。 まず、移住者の円滑な就労に向けて、実績を伸ばしている移住就業支援金がさらに活用されるよう、山口しごとセンターの企業サポーター等による企業訪問や関係団体を通じた周知等に加え、登録手順を示す手引書を新たに作成するなど、マッチングサイト登録企業の一層の充実を図ります。 また、就職フェアや県内企業との交流会を開催するとともに、就職活動等に係る手厚い旅費支援制度をはじめとした効果的な組合せ事例を、デジタルマーケティングの手法を活用し、戦略的に発信するなど、県内企業との出会いの場の創出や資金面でのサポート等を強化してまいります。 暮らしの面では、今年度東京、大阪に加え、福岡県にも設置した相談窓口におけるきめ細かな対応をはじめ、来県時の交通費支援や、お試し暮らし住宅を活用し、現地の環境を体感していただくなど、引き続き手厚いサポートを行うことにより、相談者の希望に寄り添い、確実な移住につなげていきます。 また、来年度から新たに、移住先での生活がイメージできる情報を発信するユーチューブチャンネルを開設するとともに、女性や家族連れも参加しやすい移住フェアを福岡県で開催するなど、女性をターゲットとした情報発信や相談対応を強化します。 さらに、女性移住者のスキルアップや居場所づくりに向けた市町の取組を支援することにより、女性の移住に対する安心感を醸成し、女性移住者の拡大・定着を図ります。 私は、今後も、市町や企業、関係団体等と緊密に連携しながら、移住希望者の職と住の不安を解消し、本県へのさらなる移住の促進に積極的に取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)大川総務部長。 〔総務部長 大川真一君登壇〕 総務部長(大川真一君)若者の県内定住に向けた、県内外からの県内進学の促進についてのお尋ねにお答えいたします。 本県では、進学や就職に伴う若者の県外流出が続き、今後も少子化による学生数の急速な減少が見込まれており、地域社会を支える人材を確保・育成していくためには、県内外から多くの学生を県内大学等へ呼び込み、地域への理解を深めることで、県内定着につなげていくことが重要です。 このため、県では、高等教育機関や経済団体等で構成する大学リーグやまぐちを中心に、関係者が一体となって、県内進学の促進等に取り組んでいるところです。 具体的には、各大学等の特色や進学のメリット等を掲載したガイドブックの配付に加え、来年度からは、県内進学・仕事魅力発信フェアについて、卒業後の県内就職につなげていくため、企業の出展数を増加するなど、高校生を対象とした県内進学の取組を強化することとしています。 また、県内の大学等では、学生の修学費用の軽減などを図る観点から、独自に入学金、授業料の減免や奨学金の支給等を行っており、県では、こうした各大学等が実施する支援制度を一元的にまとめ、広く発信をしているところです。 さらに、大学等での学びにおいても、地域や企業と協働して取り組む実践的な課題解決型学習を全ての大学が実施できるよう、アドバイザーによる伴走型支援を充実し、学生の地域への愛着やつながりを深めることで、県内定着を促進してまいります。 こうした中、依然として、進学に伴う若者の県外流出に歯止めがかからず、学生が大都市に集中する現状は、全国的な課題となっています。 このため、全国知事会等を通じ、大学卒業後に地元へ就職する意思のある高校生に対して入学金減免等のインセンティブを与える制度の創設や、地方大学が大都市の大学より低廉な学費とするための財政措置等について、国に働きかけているところです。 県としては、引き続き、大学リーグやまぐちと緊密に連携しながら、県内大学等の魅力発信などに取り組むとともに、地方大学に進学する学生への支援を国へ要望するなど、若者の県内定住に向けて、県内外からの県内進学を積極的に促進してまいります。 議長(柳居俊学君)永田産業労働部長。 〔産業労働部長 永田明生君登壇〕 産業労働部長(永田明生君)副業・兼業の促進についてのお尋ねにお答えします。 人手不足が深刻化する中、地域経済の主役である中小企業が持続的に成長するためには、それを支える幅広い産業人材の確保が不可欠であり、その有効な対応策の一つとして、スキルの高い人材を外部から確保できる副業・兼業を促進することが重要です。 このため、県では、やまぐち産業振興財団のプロフェッショナル人材戦略拠点において、企業の経営課題の解決に必要な人材の確保に向けて、副業・兼業など多様な形態での首都圏等の専門人材の活用を促進しています。 具体的には、拠点において、企業と副業・兼業希望者とのマッチングを進めるとともに、企業の負担軽減を図るため、仲介手数料や旅費に加え、初めて活用する企業に対しては報酬も支援しています。 さらに、副業・兼業人材の活用を一層促進するため、拠点のコーディネーターによる企業や商工会議所等への訪問、ホームページ等を通じた情報発信に加え、新たに拠点に専任の統括マネジャーを配置し、支援体制を強化するなど、利用企業の拡大を図ることとしています。 また、副業・兼業は、社外から新たなスキルや人脈を取り込めるため事業拡大につながるなど、企業にとって大きな効果が見込めるだけでなく、従業員にとっても離職せずに別の仕事に就くことが可能となるため、収入の増加や主体的なキャリア形成が実現できるなど、大きなメリットが見込めます。 このため、その促進に向け、テレワークなど時間や場所にとらわれない多様で柔軟な働き方の導入を支援するとともに、企業と従業員の双方が安心して副業・兼業に取り組めるよう、労働局等関係機関と連携し、国のガイドラインを活用しながら機運醸成を図っているところです。 一方で、お示しのように、副業・兼業は、離職や本業の業績低下等を招くおそれもあり、働きがい等を高める職場づくりが重要であることから、新たに従業員のモチベーションの把握を支援するとともに、専門家の伴走支援等により、従業員が意欲的に働ける職場づくりを後押しします。 県としては、国や関係支援機関と連携し、副業・兼業を活用した企業の人材確保への支援や、副業・兼業につながる多様な働き方が可能な職場環境づくりを通じて、県内企業の持続的な成長・発展につなげてまいります。 議長(柳居俊学君)木安観光スポーツ文化部長。 〔観光スポーツ文化部長 木安亜紀江さん登壇〕 観光スポーツ文化部長(木安亜紀江さん)付加価値の高いツーリズムの推進についてのお尋ねにお答えいたします。 観光ニーズが多様化する中、本県誘客の一層の拡大を図るためには、山口ならではの体験や物語の提供により、来訪する観光客の満足度を高めていくことが重要です。 このため、県では、豊かな自然や歴史、文化など多彩な観光資源も活用しながら、特色ある切り口から本県の魅力を体感できる、付加価値の高いツーリズムの推進に積極的に取り組むこととしています。 具体的には、まず、幅広い世代から人気のある鉄道による旅の魅力を高めていくため、SLやまぐち号をはじめ、様々な観光列車において、乗客限定の周遊キャンペーンの実施や、学生アテンダントによる車内でのおもてなしなど、観光客の心をつかむ体験を提供していきます。 また、お示しのとおり、本県は数多くのアニメや映画、ドラマの舞台となっており、作品にちなんだ周遊ルートや制作エピソード等を、SNSをはじめ、様々な媒体で発信するなど、聖地巡礼につながる効果的なプロモーションを展開してまいります。 さらに、恐竜や洞窟など話題性の高い観光資源と、魅力あるアクティビティーを効果的に融合した、アウトドアコンテンツの開発や磨き上げを支援することにより、自然豊かな山口のポテンシャルを生かした本県への誘客促進を図っていくこととしています。 こうした取組に加え、高校生や大学生など、若者の発想力や行動力による新たなツーリズムの創出を図ることとしており、若者と観光事業者、DMO等が連携した観光資源の掘り起こしや旅行商品の造成を通じて、若者目線による魅力ある観光地域づくりを進めています。 県としては、今後とも、市町や観光関係団体等と緊密に連携しながら、本県誘客のさらなる拡大に向け、付加価値の高いツーリズムの推進に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)石丸健康福祉部長。 〔健康福祉部長 石丸泰隆君登壇〕 健康福祉部長(石丸泰隆君)発達障害グレーゾーンの支援についての御質問のうち、県の取組についてのお尋ねにお答えします。 発達障害の特性があるものの診断基準には至らない、グレーゾーンといわれる方を含め、発達障害のある方の支援については、一人一人の障害の特性に合わせ、関係機関の連携による一貫した支援体制の整備が重要です。 このため、県では、発達障害者への支援を総合的に行う拠点である発達障害者支援センターを中心に、乳幼児期からの早期支援をはじめ、就学期の教育支援や、成人期の就労・生活支援等、発達障害のある方の成長過程に応じた支援に取り組んでいるところです。 こうした中、グレーゾーンといわれる方が、発達障害と診断された方と同様に、生きづらさや困難を感じて悩みを抱えたときには、気兼ねなく、相談窓口として利用してもらえるよう、発達障害者支援センターや市町等の相談先について、ホームページやパンフレット等で幅広く周知を図っています。 就労面での相談に対しては、本人が、自分の不得手なことは何かを十分に理解し、働く上での配慮点などの希望事項を周囲の方に伝えられるよう、寄り添った対応に努めており、今後も、ハローワークや障害者職業センター等の就労支援機関と連携し、円滑な就業に向けて支援してまいります。 また、四月の発達障害啓発週間における市町と連携した、名所旧跡のブルーライトアップや、県政ラジオ放送の活用、県民向け公開講座の開催などを通じた啓発活動を行い、これからも、幅広く、発達障害に対する社会全体の理解促進を図ることとしています。 さらに、多様な障害の特性を理解し、必要な配慮を実践するあいサポート運動の担い手である、あいサポーターの養成や、運動の趣旨に賛同するあいサポート企業・団体の認定等の取組をより一層推進してまいります。 県としましては、今後とも市町や関係機関と連携し、発達障害グレーゾーンといわれる方々の生きづらさが解消され、能力や適性に応じて働き、自立した生活を実現できるよう、支援の充実に努めてまいります。 議長(柳居俊学君)山本環境生活部長。 〔環境生活部長 山本毅君登壇〕 環境生活部長(山本毅君)金融教育についてのお尋ねにお答えします。 金融・経済情勢が目まぐるしく変化する中、県民一人一人が生涯にわたって経済的に自立し、より豊かな生活を送るためには、お金に関する必要な知識や判断力、いわゆる金融リテラシーを身につけることが重要です。 このためには、金融に関する幅広い観点からの取組が必要となるため、県では、県教委や財務事務所のほか、日銀下関支店等の県内金融機関や証券業協会などで構成する山口県金融広報委員会により、各ライフステージに応じた金融教育を実施しているところです。 具体的には、まず、金融に関する研究や実践活動に積極的に取り組む小・中・高校を研究校に指定し、児童生徒による学びを深めるため、買物でのお金の使い方やクレジットカードの利用等に関する体験授業、金融の専門家による出前講座等の実施を支援しています。 さらに、多くの学校において金融教育の取組が進むよう、小・中・高校の教員を対象としたセミナーを開催し、研究校による事例発表や専門家による実践形式のワークショップ等への参加を通じて、教員の指導力向上を図っています。 また、一般の方に向けても、金融や経済、ライフプラン等に関する講演会や、親子でお金や経済について楽しく学び、身近に感じてもらう、おかね教室を開催するなど、幅広い県民の金融リテラシー向上に取り組んでいます。 こうした中、国は、資産運用立国としての取組を深め、国民による安定的な金融資産形成を促すとしており、本県においても、国の対応に即した学習内容の充実が必要と考え、今年度、研究校で投資に関する体験授業を開催したほか、一般向け講演会についても資産形成をテーマとしたところです。 今後は、教員向けセミナーにおいても、投資や資産運用に関する事例を取り上げるとともに、国の認可法人である金融経済教育推進機構と連携し、大学や企業、地域で実施している出前授業やセミナーでも、こうした内容を盛り込むなど、時代のニーズに合った金融教育の拡充に取り組んでまいります。 県としましては、今後とも、県民の皆様に、豊かさと幸せな生活を実感していただけるよう、国や県教委、金融機関等との連携を一層緊密にしながら、ライフステージに応じた金融教育の推進に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)発達障害グレーゾーンの支援についてのお尋ねのうち、教育委員会の取組についてお答えします。 発達障害グレーゾーンを含む、特別な配慮や支援を必要とする全ての子供たちが、安心して自分らしく学校生活を送ることができるようにするためには、一人一人の教員が、子供の不安や困難さに気づく力を高めるとともに、支援の在り方についての理解を深めていくことが重要であると考えています。 このため、県教委では、特別支援教育の視点を踏まえ、子供の適切な実態把握と授業づくりを学ぶ教員研修を通じて、教員の指導力の向上を図り、特別な配慮や支援を必要とする児童生徒についても、分かる、できるを実感できるように取り組んでいるところです。 また、学校全体として組織的に対応するためには、管理職のリーダーシップが重要となることから、このたび県教委が作成した校内支援体制充実ガイドを活用した研修等を行い、一人一人の教育的ニーズを踏まえた適切な学校経営を推進していくこととしています。 こうした取組に加え、学校においては、生活アンケートなどの様々な方法により、児童生徒が自ら不安や悩み事等を発信しやすい仕組みを整えるとともに、特別支援教育コーディネーターやスクールカウンセラーとの連携を強化し、児童生徒や保護者からの相談にも、寄り添って対応できるよう支援してまいります。 また、高校進学に向けては、生徒一人一人の特性や、生徒、保護者の思いを踏まえた丁寧な進路相談が行われるよう、市町教委と連携して進路指導体制を充実させるとともに、本県ならではのキャリア教育を一層推進することとしています。 県教委といたしましては、特別な配慮や支援を必要とする児童生徒が夢や希望を持ち、安心して学校生活を送ることができるよう、児童生徒や保護者に寄り添った、きめ細かな指導や支援を行うことにより、誰一人取り残されることのない教育を推進してまいります。 ───◆─・──◆──── 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩をいたします。再開は、午後一時の予定でございます。 午前十一時三十七分休憩