1 令和8年度当初予算について 2 防災・減災対策について 3 新たな地域医療構想について 4 児童虐待防止について 5 戦略的な企業誘致について 6 悪質化する詐欺への対策強化について
議長(柳居俊学君)上岡康彦君。 〔上岡康彦君登壇〕(拍手) 上岡康彦君 公明党の上岡康彦でございます。公明党会派を代表して県政の諸課題、新年度予算に対する質問をさせていただきます。 質問に入る前に、一言申し述べさせていただきます。 まず、村岡知事、四期目の御当選、誠におめでとうございます。今後とも、県勢発展のため、何とぞよろしくお願いを申し上げます。 また、同日に行われました衆院選におきましては、我々公明党は中道改革連合、略称中道を全面支援いたしました。新党として結党直後の選挙とあって、理念や政策についてまだまだ有権者に浸透し切れずに選挙戦が終わってしまい、残念な結果となってしまいました。しかしながら、中道として一千万票を超える比例票を頂いた事実は、中道に対する大きな期待とも言えます。生活者ファーストを政治の原点に据え、平和を守る人間中心の社会の実現を目指すという基本的考え方は、我々公明党が掲げる、大衆とともにとの不変の立党精神と同意であります。 今後、公明党として中道との一層の連携はもとより、さらに現場第一主義に徹するとともに、対話と包摂を重んじ、各党、各関係機関とも議論を重ねながら、人間主義の政治の実現に向け、邁進いたしますことをお誓いし、通告に従いまして質問をいたします。 初めに、令和八年度当初予算についてお伺いします。 令和八年度(二〇二六年度)は、村岡知事の四期目のスタートであり、村岡県政が掲げる総合計画、やまぐち未来維新プランの最終年度でもあります。 また、まだまだ道半ばである人口減少という構造的課題への積極果敢な攻めの姿勢も問われる極めて重要な一年であるとも考えます。物価高騰や深刻な人手不足が、県民生活や地域経済の根幹を揺るがしています。こうした中、編成される令和八年度予算については、本県の未来を切り開く基本指針である、三つの維新の締めくくりであると同時に、暗雲を打ち払い、県民に向けた一筋の希望の光たる強力なメッセージでなければならないと考えております。 令和八年度一般会計当初予算の総額は、村岡知事就任後二番目の大型予算となる七千八百六十二億九千五百万円となりました。物価高騰対策や賃上げ支援、また教育の無償化対策費用や職員の給与引上げに伴う人件費増が総額を押し上げ、前年度比六・三%に当たる四百六十五億円の増額となり、予算総額が三年ぶりに増加しました。 五十六の新規事業に九十五億円を計上するなどして直面する課題解決に充てたり、昨年十二月に決定した国の補正予算、重点支援地方交付金も活用しながらの予算編成でもあり、なおかつ二月の知事選直後からの本格的な予算編成作業だったことを考えると、知事のほか関係各位の大変な御苦労が目に浮かびます。 さて、当初予算概要を見ますと、人口減少が進む中にあっても、やまぐち未来維新プランに沿った積極的な県づくりに取り組んだ結果、成長につながる確かな成果が得られ、そうした成果の上に立って、さらなる飛躍を目指す予算だと位置づけられております。 さらに、予算における三つの柱を設定し、それぞれの施策がカテゴライズされています。このうち、成長と安心の好循環に向けた取組の始動においては、強い産業を実現し、その成果を四つの安心として県民に届けるとあります。 人生百年を支える四つの安心の確立とは、育ち、育てる安心、働ける安心、豊かに暮らせる安心、長く健やかに生きる安心となっております。この四つの安心の確立は、世代間の垣根を越えて山口県で長く住み続けるための施策と言えます。 公明党山口県議団としては、毎年、政策要望を行っておりますが、出産・子育て支援から若者の就職や県内定着などは一層の充実が必要だと訴えて続けてまいりましたが、まさに伴走型支援の充実として評価しております。 そこで令和八年度当初予算についてお伺いします。 成長と安心の好循環に向けた新たな挑戦を速やかにスタートさせ、強い産業を実現し、その成果を四つの安心として県民に届けるとありますが、どのような挑戦をいかにスタートさせ、県民に届ける安心の確立に向けてどのように取り組もうと考えておられるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、防災・減災対策について質問いたします。 先月二月二十七日、山口県地震・津波防災対策検討委員会より、南海トラフ地震の被害想定結果案が公表されました。最終報告は三月末に公表されるようですが、今回公表された数値によると、瀬戸内海沿岸を中心に最大震度六強の揺れ、そして最大三・七メートルに達する津波が予測されています。 人口減少等が要因として、死者数は十年前の前回値より一八%減の五百二人となっておりますが、全壊・焼失棟数は六四%増の九千七百三十八棟、経済被害額も前回値より五八%増の約一・九兆円と、莫大な被害が生じる予想です。 特に、本県の経済を支えるコンビナート地帯や高齢化が進む沿岸部、離島における被害は、県民の生命のみならず、本県の存立基盤をも揺るがす深刻な事態を招きかねないと危惧しております。 近年、全国各地で自然災害が頻発する中、国は昨年六月、二〇二六年度から五年間で二十兆円規模の投資を行う、第一次国土強靱化実施中期計画を閣議決定いたしました。 今後三十年以内に八〇%程度の確率で発生するとされる南海トラフ地震や激甚化する自然災害を見据え、人命保護と行政機能の維持を最優先に考え、これまでのおおむね五年ごとの見直しから中長期的な見通しに基づいた持続的な強靱化へとフェーズが移行されたことは、地方自治体にとって非常に大きな転換点であります。 この中期計画は、国土強靱化に向けた事業の継続性が担保された上に、今年度で終了する加速化対策を上回る二十兆円余りもの事業費を確保し、資材や人件費の高騰に応じて事業費を積み増すことも計画に反映された画期的な計画になっています。 本中期計画の施策の内容としては、主にハード対策として、防災インフラの整備・管理、ライフラインの強靱化が掲げられ、ライフラインの強靱化には最大級の予算十・六兆円が充てられております。 その意味において、本県では、瀬戸内沿岸には大規模な臨海工業地帯が形成されております。発災時の道路の寸断、液状化現象や、断水や停電、通信途絶といった、社会経済活動がストップしてしまうような致命的ダメージを最小限に抑えることを目指さなければなりません。 さらに、施設整備等のハード面だけでなく、避難所環境の改善(スフィア基準の準拠等)や避難体制の充実など、ソフト面の充実も強調しています。単に堤防を高くするだけでなく、DX導入を加速させ、ドローンによる被害状況の早期把握や、AIを活用した避難誘導など、デジタル新技術による地域防災力の質の向上も図り、テクノロジーで被害を賢く防ぐ・早く知るという、次世代型防災へのアップデートも一つの狙いであります。 そこでお尋ねいたします。大規模災害時に誰一人取り残さないことを理念とする新たな中期計画の意義を反映し、県として実効性ある防災・減災対策についてどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、新たな地域医療構想についてお伺いいたします。 我が国の社会構造が大きく変容する中、本県の地域医療は今、極めて重要な転換点を迎えています。 いわゆる団塊の世代が全て七十五歳以上となる二〇二五年を目途に進められてきた現行の地域医療構想は一つの区切りを迎え、今後は新たな地域医療構想により、医療と介護の複合ニーズを抱える高齢者等の増加と、生産年齢人口の減少が一層見込まれる二〇四〇年、また、さらにその先を見据えた医療提供体制を構築することが求められています。 これまでの構想では、病床機能の分化・連携が進み、急性期から回復期へのシフトに一定の成果が見られました。しかし、地域によっては依然として回復期機能の不足や、慢性期の需要について在宅医療や介護施設、療養病床を含めて、これを支える提供体制を構築する必要があります。 今後、複数の疾患を抱える高齢患者が急増する中で、単なる病床数の調整にとどまらず、入退院支援の強化や現行の二次医療圏を越えた広域的な連携をどう図っていくのかが大きな課題であります。 また、私は昨年の二月議会代表質問でも医療提供体制の充実についてお尋ねし、地域や診療科による医師の偏在是正や医師確保対策の推進について質問いたしましたが、医師不足に悩む僻地や中小規模病院の経営・診療体制に深刻な影響を及ぼしています。 特定の医師や医療機関に過度な負担が集中する現状を放置すれば、今後、地域医療は崩壊しかねません。医師確保対策や移動の負担を軽減するオンライン診療の普及、AIを活用した診断支援、電子カルテ情報の共有など、デジタル技術を駆使して限られた医療資源を最大化する方策についても対策を練らねばなりません。 さらに、今後、医療需要が質・量ともに変化する中で、治す医療と治し支える医療を担う医療機関の役割分担が重要であることから、在宅医療の抜本的強化が必要だとも言われています。 病院を退院した患者が、速やかに訪問看護やリハビリ、介護サービスを受けられる体制が不可欠ですが、訪問看護ステーションのさらなる整備や、薬局・薬剤師の多職種連携の要となるケアマネジャーとの情報共有のさらなる充実により、県内どこにいても、最期まで自分らしく生きるためのみとりまで含めた在宅医療体制の整備についても、避けては通れない課題ではないでしょうか。 そこでお尋ねいたします。本県においても、人口減少と少子高齢化は加速の一途をたどっており、特に八十五歳以上の超高齢層の増加に伴う医療ニーズの質の変化への対応は待ったなしの状況です。 二〇四〇年を見据え、都市部であろうが中山間地域であろうが住み慣れた地域で適切な医療を継続的に受けられる医療提供体制をいかに構築していくのかが問われています。県民の命と暮らしを守るため、新たな地域医療構想についてはどのようにお考えなのか、御所見をお伺いいたします。 次に、児童虐待防止についてお尋ねいたします。 次代を担う子供たちの健やかな成長を支えることは、県政の最重要課題の一つであります。しかし、本県における児童虐待の現状は、極めて深刻な事態に直面していると言わざるを得ません。 令和五年度の児童虐待相談対応件数は、全国で約二十二万五千件と過去最多を更新しましたが、本県においても同様に、過去最多の数値となる前年度比約二四%増となる八百五十二件を記録しました。 令和六年度においても、全国で約二十二万三千件、本県では七百四十二件と前年度からは減少したものの、依然高い水準となっています。この数字は、県民の意識向上や関係機関の連携強化による早期発見の進展という側面がある一方で、家庭内での虐待そのものが依然として根深く、増加し続けている実態を如実に示しています。 これまでの対策の延長線上では、この増加の波を食い止めることは困難です。今こそ、発生後の対応に追われるだけでなく、虐待を減少させ、未然に防ぐための実効性ある手立てへの転換が求められています。 本県の虐待種別において、約半数以上を占めるのが心理的虐待です。その多くは、子供の目の前で配偶者等に暴力を振るう、面前DVであり、相談対応件数も警察からの通告が主であり約四割となっています。 面前DVは、一見すると子供に直接的な外傷がないため、緊急性が低いと判断されがちですが、子供の脳の発達や精神的な健康に与える悪影響は計り知れません。一度の介入で安全が確認されたとしても、家庭内のDVそのものが解消されなければ、虐待は水面下で繰り返されます。 一方で、山口県は警察や学校からの相談経路は多いものの、近隣・知人からの相談比率は全国に比べて低いという実態が指摘されています。 県は全国に先駆け、民間企業や学生を巻き込んだ一八九(いちはやく)サポーターの養成など、地域全体で子供を見守る体制構築に注力してこられました。この官民一体の取組は高く評価しておりますが、今後は、登録者数という量的な成果から、実際にどれだけ虐待を防げたかという質的な成果へと視点を移すべきではないでしょうか。 地域で見守るサポーターが家庭の小さな異変に気づいたとしても、それが適切な支援機関へ迅速につながらなければ、最悪の事態は防げません。これまでの事業を通じた成果をどう分析されているのか。また、サポーターが得た情報を市町や児童相談所と共有し、孤立する家庭を早期に支援の輪に取り込むための仕組みを、今後、どのように強化していくのかが重要であります。 また、虐待対応の最前線となる市町のこども家庭センター等は、業務が多忙を極め、職員の経験値や専門性のばらつきが課題とも言われています。県の児童相談所の職員も多忙を極めており、いかに現場の負担軽減と対応力の向上を図っていくのかが問題です。 そこでお尋ねいたします。県内どこに住んでいても質の高い支援が受けられる体制を担保し、虐待を根本から減少させるためには、発生後の対応強化とともに予防の視点も重要だと思います。子育てするなら山口県、虐待のない山口県を実現するため、虐待を防ぐ仕組みをどのように構築していくのか、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、戦略的な企業誘致についてお尋ねいたします。 さきの知事選で村岡知事は、これまでの三期十二年の実績の中でも、企業誘致をひときわ熱く訴えられておられました。三百件を超える企業誘致、約八千人の新規雇用の創出、新規投資額は三年連続で過去最高を更新するなど、まさに目をみはる活躍です。我が公明党会派といたしましても、知事の手腕を高く評価し、大いに称賛するものであります。 一月に行った令和八年度予算に対する知事要望でも、我々公明党会派は、産業支援の充実を重点要望させていただきました。AIやGXなど世界経済情勢が激変する中で、四期目も引き続き、知事の卓越したリーダーシップにより、半導体・蓄電池関連産業や環境・エネルギー関連産業など、重点成長分野の誘致で着実に成果を上げられることを期待しています。 一方で、企業進出の受皿となる産業団地のキャパシティーは残り少なくなっています。産業団地には、現在、県と地元市で保有する宇部新都市や小野田・楠企業団地のほか、市や企業が保有する長州出島や防府第二テクノタウンなどがありますが、近年の高い誘致実績の裏返しで分譲可能な団地は減少を続け、現在は六団地、四十四ヘクタールとかなり逼迫している状況です。私は、企業の誘致実績が好調な今、この事業用地に係る制約がそれに冷や水を浴びせるようなことになりはしないか、大きな懸念を抱いています。 こうした中、世界では、AI・半導体やGXなど戦略分野において市場が急拡大し、投資額が飛躍的に伸びています。半導体市場は、AI主導の爆発的成長により二〇二九年には一兆米ドルを超えることが予想され、先日、TSMCは、我が国初となる三ナノメートルの最先端半導体を熊本県で量産する計画をまとめました。 また、クリーンエネルギー投資も毎年伸長を続けており、今後、それを利用した製品・サービス、いわゆるGX産業が市場を席巻することは間違いありません。そして、皆様も御承知のとおり、今、本県にはGX戦略地域の選定という大きなチャンスが到来しています。 私は、こうした世界のエネルギーを本県に取り込み、もって県民生活の向上につなげるため、様々な課題や制約はありながらも、他県に負けない本県ならではの武器を最大限に生かし、県内投資のさらなる拡大に挑戦していただきたいと考えております。 そこでお尋ねいたします。知事は、三期十二年の企業誘致を振り返って課題をどう認識されているのか、そして、それを踏まえ、今後、どのように戦略的な企業誘致に取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 最後に、悪質化する詐欺への対策強化について警察本部長にお伺いいたします。 現在、本県のみならず全国において、巧妙化する詐欺の手口が県民の平穏な生活を脅かし、大変深刻な事態となっています。これまで、うそ電話詐欺の手口の一つであるオレオレ詐欺といえば、子供や孫を名のるなどのイメージでしたが、今や、うそ電話詐欺として警察官や官公庁をかたるなど悪質さを増し、LINEのビデオ通話を使って警察手帳や逮捕状のようなものを見せて信じ込ませる手口が多く発生しております。 さらに近年は、SNSを入り口とした、SNS型投資詐欺やロマンス詐欺が激増しています。これらは個人の大切な資産を奪うだけでなく、被害者の心の傷も深く、まさに治安上の大きな脅威と言わざるを得ません。警察の威信にかけて、速やかに対策の強化をお願いしたいと思います。 警察庁の発表によれば、二〇二五年の全国の特殊詐欺被害額は約一千四百十四億円と過去最悪を記録しました。さらに、SNS型投資・ロマンス詐欺の被害額は約一千八百二十七億円に達し、一日当たりの被害額は五億円を超えるという異常事態であります。 本県においても、その勢いはとどまるところを知りません。昨年、二〇二五年の統計によれば、山口県内の被害総額は十七億円を超え、そのうち、うそ電話詐欺の被害額は約六億四千八百万円と、統計開始以来、最高額を更新しました。 また、一件当たりの被害額が一千万円を超える高額被害も続出しており、中には老後の蓄えを全て失うといった悲痛な事例も報告されています。さらに、SNS型投資・ロマンス詐欺における被害額は十億六千百万円であり、うそ電話詐欺の何と一・六倍を超える被害が出ています。 こうした状況を踏まえると、徹底した水際対策と技術的遮断の強化が重要だと考えます。ATMでの還付金詐欺や、電子マネーカードを購入させる手口が依然として続いています。未然防止には、現場での声かけは最も有効な防御策の一つです。金融機関、コンビニエンスストア等との連携を深めるとともに、より効果的な声かけマニュアルの共有について研修会を行うのも有効ではないでしょうか。 また、犯行の多くは国際電話や非通知設定を悪用しています。七十歳以上の契約者を対象としたナンバー・ディスプレイの無料化や国際電話の利用停止設定の普及についても、通信事業者と連携して、より踏み込んだ周知徹底を図るべきだと考えます。 また、SNS型詐欺は、マッチングアプリや投資広告からLINEなどのクローズドな環境へ誘導されます。県警公式SNS等での発信にとどまらず、若年層から高齢者まで幅広く、世代の利用環境に応じたデジタル広告による注意喚起など、今の時代に見合った攻めの広報活動の展開も必要だと考えます。 これら詐欺事案の背後には、どうやら海外に拠点を置く組織的な犯罪グループが存在しているそうですが、SNSや暗号資産を駆使する巧妙な手口に対し、サイバー捜査の専門性を高め、他の都道府県警察や警察庁と連携の強化も必要不可欠であります。 そこで県民の安全を守る最後のとりでとして、警察本部長にお伺いいたします。 詐欺被害は単なる金銭的な損失ではなく、家族の絆や社会への信頼をも破壊する重大な犯罪です。山口県から詐欺を根絶させるという県警の決意と取組についてお伺いをいたしまして、私の代表質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)上岡議員の代表質問にお答えします。 まず、令和八年度当初予算についてのお尋ねです。 私は、これまでの県づくりの成果の上に立って、本県をさらに飛躍させるためには、強い産業による経済面の成長と、その成果を県民の暮らしの安心へとつなげ、互いに高め合いながら社会全体が持続的に発展していく、成長と安心の好循環を実現していくことが、目指すべき方向と考えています。 来年度予算は、その取組を始動させる予算として編成したところであり、お示しの人生百年を支える安心の確立については、県民の皆様が人生のどの段階でも不安なく歩み続けられるよう、四つの安心により取組を前に進めていきます。 まず、育ち、育てる安心については、第二子以降保育料無償化や不妊治療の負担軽減など、本県独自の支援制度に予算を確保しつつ、妊産婦への交通費支援や、保育士・保育所への支援の充実などにより、妊娠・出産から子育てまで切れ目なく支える取組の強化を図ります。 また、教育分野では、生成AIを活用した学びの充実など、教育現場のデジタル学習環境の整備を図るとともに、いじめ・不登校対策についても、児童生徒の段階的な教室復帰を支えるステップアップルームの拡充などにより、支援体制の一層の充実を図ります。 働ける安心については、就職の早期化を踏まえ、インターンシップの受入れ体制を強化するとともに、女性管理職割合の向上や、シニア人材のさらなる活躍に向けた環境整備などに取り組み、若者の県内就職や、柔軟で働きやすい職場づくりを進めます。 豊かに暮らせる安心では、デジタル実装による生活基盤の強化に向け、自動運転バスの実証を着実に進めるとともに、防災・減災対策においても、災害関連死を防止する観点から、避難所の環境改善に資する資機材の充実を図るなど、災害に強い県づくりを一層推進します。 そして、長く健やかに生きる安心では、重点医師偏在対策支援区域に医師派遣等を行う医療機関を支援するとともに、デジタル技術による介護の生産性向上や、外国人介護人材の受入れに対する支援などにより、地域医療体制の確保や地域包括ケアシステムの強化を図ります。 また同時に、新たな地域医療構想や全県を対象とした地域公共交通計画の策定にも着手し、これらを通じて、安心の確立に向けたさらなる課題や取組の方向を、市町や関係団体、県民の皆様としっかりと共有しながら、施策を進めてまいります。 私は、来年度予算による取組を着実に推進し、県民誰もが、安心して、豊かに、希望を持って暮らし続けることができるよう、成長と安心の好循環の実現に向けた県づくりに、積極果敢に取り組んでまいります。 次に、防災・減災対策についてのお尋ねにお答えします。 全国で自然災害が頻発化・激甚化し、南海トラフ地震の発生も懸念される中、県民の生命と財産を守るためには、災害に強い県づくりを一層進めることが極めて重要です。 このため、私は、やまぐち未来維新プランに、災害に強い県づくり推進プロジェクトを掲げ、国の防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策の予算も活用しながら、防災・減災対策に取り組んできたところです。 こうした中、第一次国土強靱化実施中期計画が昨年六月に閣議決定され、能登半島地震等の教訓を踏まえつつ、国土強靱化施策のさらなる加速化・深化を図ることとされました。 私は、この中期計画に呼応し、防災・減災対策や国土強靱化の一層の強化に向け、来年度予算において、ハード・ソフト両面から、大規模災害への備えに万全を期す考えです。 具体的には、ハード対策として、大規模災害時に円滑な救助・救援活動などができるよう、緊急輸送道路上の橋梁の耐震化や耐震強化岸壁の整備等を推進するとともに、市町と連携して、社会経済活動に不可欠な上下水道の耐震化にも取り組むこととしています。 加えて、地震発生時においてもこれらのライフライン機能を可能な限り維持できるよう、AI等のデジタル技術を活用して橋梁の点検・診断を効率的・効果的に行うなど、予防保全型の維持管理への一層の転換を図る考えです。 また、気候変動を踏まえた洪水への対応も重要であることから、中長期的な視点で川幅の拡幅などを着実に進めるとともに、短期的に効果を発現するしゅんせつについては、来年度予算を大幅に増額し、治水上の観点はもとより、地域のニーズも踏まえて実施するなど、洪水対策を強化してまいります。 ソフト対策としては、大きな課題である災害関連死の防止に向け、避難所に係る基本指針等にスフィア基準を盛り込み、市町や住民による適切な避難所運営を後押しするとともに、大規模災害時に市町を越えた避難者の受皿となる広域避難所を新たに指定し、円滑な運営体制の構築に取り組みます。 また、お示しの南海トラフ地震の被害想定結果案において、死者数の九割以上が津波によるものとされたことから、浸水想定地域での実践的な避難訓練を支援するなど、津波による死者数ゼロを目指して、早期避難体制づくりを推進します。 さらに、孤立集落を想定して、ドローンを活用した総合的な訓練を新たに実施するとともに、災害体験VR機器にコンテンツを追加するなど、デジタル技術による地域防災力の向上を図ることとしています。 私は、県民誰もが豊かに暮らせる安心の確立を目指し、中期計画の理念も踏まえながら、市町や関係機関等と緊密に連携し、ハード・ソフト両面から、実効性ある防災・減災対策の推進に全力で取り組んでまいります。 次に、新たな地域医療構想についてのお尋ねにお答えします。 私は、全国よりも早いスピードで人口減少、少子高齢化が進行する中、県民の皆様が生涯を通じ、住み慣れた地域で、健康で安心して暮らしていくためには、地域の限られた医療資源を有効に活用し、より効率的で質の高い医療提供体制を確保することが重要であると考えています。 このため、県では、八つの医療圏域ごとの実情に応じて、医療提供体制の将来のあるべき姿を示す、地域医療構想を策定し、医療機関や受療者の代表者等で構成する地域医療構想調整会議における議論を通じて、その実現に向けた取組を進めてきたところです。 これまで、医療資源の集約化による急性期医療の機能強化や、在宅復帰を目指してリハビリ等を行う回復期病床の確保など、お示しのとおり、医療機能の分化・連携の促進について、一定の成果が得られているものと認識しています。 しかしながら、さらなる高齢化の進行や、生産年齢人口の減少等による医療人材の不足など、医療を取り巻く環境は大きく変化しており、今後、増加する高齢者救急や在宅医療などにも的確に対応できるよう、より地域の実情に応じた、バランスの取れた医療体制の構築を進めていく必要があります。 こうした中、来年度、策定に着手する新たな地域医療構想においては、二〇四〇年とその先を見据え、医療機能の分化・連携をさらに推進し、全ての患者が適切な医療・介護を受けながら生活できるよう、在宅・介護連携等も新たに対象とした医療提供体制の構築を目指すこととされています。 県としては、今後、国から示される新たな構想に係るガイドラインに基づき、現行の二次医療圏を越えた広域でのさらなる連携や、国の医療DXによる業務効率化の動向なども踏まえ、持続可能な医療・介護提供体制の構築に向け、関係者の意見を伺いながら、構想の策定作業を進めます。 私は、県民の皆様がいつまでも住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう、市町や関係団体等と緊密に連携しながら、医療提供体制の確保に向けて取り組んでまいります。 次に、児童虐待防止についてのお尋ねにお答えします。 児童虐待は、子供の人権や生命に関わる重大な問題であることから、虐待の早期発見・早期対応とともに、未然に防止するため、子育てに悩みを抱える家庭にしっかりと寄り添う仕組みづくりが重要と考えています。 このため、私は、やまぐち未来維新プランに、困難を有する子どもへの支援の充実を掲げ、支援の中核を担う県や市町の体制の強化や、相談機能の充実に積極的に取り組んでまいりました。 まず、支援体制の強化については、児童相談所において、児童福祉司等の増員や、親子関係再構築支援員の配置等を行うとともに、住民にとって身近な相談機関であり、予防的支援の中心を担う、市町のこども家庭センターの設置を促進してきたところです。 次に、相談機能の充実については、二十四時間三百六十五日、誰でも気軽に相談いただけるよう、SNSを活用した相談窓口を全国に先駆けて開設し、悩みを抱えた早期の段階での相談につながりやすい環境を整備しているところです。 また、家庭生活上の困難や予期しない妊娠等による悩みを抱える妊産婦は、乳幼児虐待のリスクが高まる傾向があることから、産科医療機関に支援コーディネーター等を配置し、相談対応を行うとともに、生活基盤が安定するまでの一時的な居場所や食事の提供を行っています。 さらに、お示しの一八九(いちはやく)サポーターについては、これまで約四千八百人の方を養成しており、地域での身近な相談者、聞き役、支え役としての活動を通じて、早期に支援につながった事例も報告されるなど、一定の成果が出ていると認識しています。 しかしながら、児童虐待相談対応件数は依然として高い水準にあり、児童虐待の未然防止を強化するためには、支援体制をさらに強化するとともに、社会全体で子供や子育て家庭を見守る環境づくりを進めていくことが必要です。 このため、まず、支援体制の強化については、児童相談所において、AIを活用した相談記録作成の仕組みの導入を進め、相談業務に注力できるよう、事務負担を軽減するとともに、国が昨年度創設した、こども家庭ソーシャルワーカーの配置を進めることで対応力の向上を図ります。 また、市町のこども家庭センターの職員に対して家庭へのアプローチ等に関する専門的な研修等を実施し、よりきめ細かなサポートができるよう支援します。 次に、環境づくりについては、一八九(いちはやく)サポーターに対して、SNS等で支援ノウハウや相談機関についての情報発信を行うとともに、子育て家庭への関わり方等についての研修会を開催し、サポーターの資質の向上を図ります。 また、サポーターや相談機関の職員を対象とした交流イベントの開催により、顔の見える関係づくりを進め、両者の連携強化を図ることで、サポーターが気になる家庭を把握した場合には、確実に市町や児童相談所等へ情報提供が行われる体制を構築してまいります。 さらに、大学等と連携した若い世代に対する子供の権利擁護についての研修の開催や、オレンジリボンキャンペーンの実施などにより、社会全体での児童虐待の未然防止に向けた気運醸成を図っていきます。 私は、こうした取組を通じ、次代を担う全ての子供が安心して健やかに育つ地域社会の実現を目指し、今後とも、児童虐待防止対策の一層の充実強化に全力で取り組んでまいります。 次に、戦略的な企業誘致についてのお尋ねにお答えします。 企業誘致は、雇用機会の創出や地域経済の活性化など、将来にわたり多面的な効果をもたらし、本県の活力の源となる産業力を大きく伸ばすことから、私は、知事就任以来、先頭に立って強力に取組を推進しています。 その結果、企業誘致における新規投資額が三年連続で過去最高を更新するとともに、本県をリードする半導体・蓄電池関連等の成長産業の集積が進展するなど、大きな成果につながっているところです。 こうした中、DXの進展や生成AIの急速な進化による半導体市場の急拡大や、エネルギー転換をはじめとする脱炭素化の進展など、世界的に産業構造は大きな転換期を迎えています。 また、国においては、AI・半導体や航空・宇宙など十七の戦略分野の官民投資を促進し、さらなる経済成長の実現を目指すとともに、新たなGX産業の集積に向けた、GX戦略地域の取組が進められています。 私は、こうした世界的な産業構造の変化や国の政策動向、企業の投資の動きを的確に捉え、これまでの成果を基盤に、GX産業拠点の形成や半導体等の成長産業の集積などを加速させ、本県の「稼ぐチカラ」を飛躍的に伸ばしていくことが重要と考えています。 このため、企業誘致に向けて、自然災害の少なさや充実した産業インフラ等の優れた立地環境、さらには最大五十億円の補助金をはじめとした優遇制度を生かした誘致活動を展開するとともに、半導体分野では台湾経済団体との協力基盤を活用するなど、戦略的な取組を進めてまいります。 特に、GX戦略地域については、本県経済を大きく伸ばす千載一遇のチャンスであることから、必ずや選定を勝ち取り、国内外のスタートアップの誘致等により、新たな産業クラスターの形成を目指してまいります。 こうした、ものづくりを中心とする取組に加え、県内大学における情報系学部等の新設に伴い、今後、多くのデジタル人材が輩出されることを好機と捉え、その受皿となるデジタル関連企業の誘致にも積極的に取り組みます。 一方で、お示しのように、自治体間の誘致競争に打ち勝ち、企業の投資意欲を確実に県内に取り込んでいくためには、企業ニーズに対応できる事業用地の確保が不可欠です。 このため、光市において産業団地の整備を推進するとともに、市町と連携し民間企業の空き工場や未利用地の掘り起こしを行うことに加え、GX戦略地域制度を活用し、官民連携の下、コンビナート企業の大規模な未利用地の有効活用を進めるなど、新たな事業用地の確保に努めてまいります。 私は、本県の活力の源である産業力の強化に向け、DX・GX等の変革の波を好機と捉え、本県の持つ強みやポテンシャルを最大限に生かし、自ら先頭に立って、戦略的な企業誘致に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)熊坂警察本部長。 〔警察本部長 熊坂隆君登壇〕 警察本部長(熊坂隆君)詐欺被害根絶に向けた県警の決意と取組についてお答えいたします。 議員お示しのとおり、昨年、県内では、うそ電話詐欺、SNS型投資・ロマンス詐欺と合わせた被害額は十七億円に上りました。 本年もこれら詐欺は増加傾向にあり、厳しい状況が続いています。 特徴として、うそ電話詐欺では、警察官をかたってSNSに誘導し、逮捕状などを示して不安をあおるオレオレ詐欺の増加により、幅広い世代に被害が拡大しております。 また、SNS型投資・ロマンス詐欺では、インターネットバンキングや暗号資産の利用により、被害額も高額になっております。 このような現状を踏まえて、まずはだまされないようにするために、広報活動の徹底と技術的遮断の強化を進めてまいります。 広報活動では、県民一人一人に、身近な問題として認識してもらうため、巡回連絡などを通じた直接的な働きかけのほか、タクシーの車内モニターや大学構内などにおけるデジタルサイネージを活用した注意喚起を行っております。また、通信事業者と協働した仮想被害体験や高校演劇部と専門学校の協働制作による防犯動画コンテストの開催など、幅広い世代に届けるための情報発信を強化しております。 技術的遮断の強化としては、固定電話のナンバー・ディスプレイ活用の周知や国際電話不取扱サービスの申込み支援などを推進しており、昨年中、一万四千件の申込み支援を行っており、今後も取組を強化してまいります。 さらに、携帯電話では、今月五日から警察庁が推奨する防犯アプリが無償配信されており、これは、国際電話や詐欺に利用された可能性の高い電話番号をブロックする機能があることから、その活用を促すなどの取組を推進することとしています。 また、これらの事前の被害防止対策からこぼれてしまった方を救うために、水際対策の徹底も図ってまいります。 これまでに、水際対策として、金融機関やコンビニエンスストアに、声かけ時に活用していただくボードやチェック表を配付し、積極的な声かけを依頼しているところ、昨年中は百二十四件の被害を防いでいただいております。 また、県内に本店を置く金融機関との協定締結により、犯罪被害や不審な取引を把握した場合の情報共有を強化し、被害拡大防止に努めてまいります。 これら詐欺事件には、匿名・流動型犯罪グループの関与がうかがわれることから、来年度からは部門横断的な指揮権を持つ匿名・流動型犯罪対策官を新設するなど体制の強化を図るとともに、引き続き、サイバー捜査に係る解析用資機材の整備充実に努めてまいります。 また、末端被疑者の検挙にとどまらず、組織の実態解明、突き上げ捜査を徹底し、全国警察と連携を図りながら中枢にいる上位被疑者の検挙にも努めてまいります。 今後も、引き続き、抑止と検挙を両輪とした総合的な対策を強力に推進し、県民の安全・安心を守っていきたいと考えております。 ───◆─・──◆──── 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩をいたします。再開は、午後一時の予定でございます。 午前十一時四十六分休憩