1 地域経済の好循環に向けた賃上げへの支援について 2 持続可能な地域医療体制の確保と介護提供体制の充実について 3 県民の安全と利便性を確保するための道路環境の整備と維持管理について 4 県立専門高校の魅力・特色の向上について 5 道路交通法改正を踏まえた交通事故防止について
───◆─・──◆──── 午後一時開議 副議長(河野亨君)休憩前に引き続き会議を開きます。 ───◆─・──◆──── 日程第一 代表質問 日程第二 議案第一号から第六十四号まで 副議長(河野亨君)日程第一、代表質問を行い、日程第二、議案第一号から第六十四号までを議題とし、質疑の議事を継続いたします。 氏原秀城君。 〔氏原秀城君登壇〕(拍手) 氏原秀城君 皆様、こんにちは。やまぐち県政会の氏原秀城です。 質問の前に、村岡知事、四期目の御当選おめでとうございます。やまぐち県政会といたしましても、引き続き、県政の諸課題に対し、建設的な意見具申を行ってまいりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。 それでは、通告に従い、会派を代表して質問をさせていただきます。 初めに、地域経済の好循環に向けた賃上げへの支援についてお尋ねいたします。 私は、知事が令和八年度施政方針で掲げられた、物価高・賃上げへの集中支援、地域の好循環実現に深い期待を抱くと同時に、人口減少・県外流出、人手不足、賃金水準の改善といった構造的課題への本質的な対応が不可欠と考えます。 まず、本県の人口動態について整理します。 本県人口は約百三十万人を下回り、ピーク時の約百六十万人と比較すると三十万人以上減少、また、近年では毎年一万人規模で減少が続くなど、人口減少が長期化しており、将来的見通しでも人口が大きく減少することが示されています。 具体的には、出生数は三十年前の約半分程度と長期的に減少傾向にある一方で、高齢化率は約三五%前後と全国平均を上回る水準にあり、死亡数が出生数を大きく上回る構造が固定化しています。 これら自然減のみならず、特に若年層の転出超過が顕著であり、県内高校生の大学進学者のうち約七割が県外へ進学し、その多くがそのまま県外就職を選択しているなど、年間三千人を超える若者が県外へ流出、その中でも女性の転出超過が大きい傾向も示されているなど、社会減も人口減少に拍車をかけている現状にあります。 次に、県内就職の状況であります。 県内企業は新卒採用に積極的に取り組んでいるものの、若者の県内定着率は低下傾向にあります。例えば、二○二五年春卒業の県内大学生における県内就職率は二六・七%であり、また、山口労働局が令和六年度に実施したアンケート調査によれば、県内のみでの就職を希望した割合は僅か一六%にとどまっている一方で、県外のみを希望した学生は六一・五%に達しております。 若者が県外への就職を希望する理由として、キャリアアップのための選択肢が多そう、生活利便性、娯楽の充実などが挙げられており、また、本県を選択しない理由として、娯楽が少ない、生活が不便、魅力的な企業が少ないなどが挙げられている状況にあります。 以上のことを踏まえ、ここで賃金水準の問題を指摘しておきたいと思います。全国的に消費者物価はここ数年で上昇が続いており、生活費の負担が大きくなっています。他方で、賃金が物価上昇を上回って伸びない状況が続けば、若年・働き盛り世代の都市圏流出の圧力は強まります。 こうした中で最低賃金の引上げは、全国的な政策目標の一つとして議論され、二○二五年度の地域別最低賃金額の全国加重平均は千百二十一円となっています。 山口県内では、令和七年度改定時点で最低賃金が時給千四十三円となり、企業の採用時の最低時給は平均で千百四十一円という水準が報告されています。これは最低賃金を上回るものの、消費の回復実感は限定的であり、企業側にも賃上げ余力の低下が示唆されています。こうした実態は、物価高に対応しつつ持続的に賃金を引き上げるには、中小企業の価格転嫁支援や収益力向上が不可欠であることを示すものです。 なお、賃金に関連して、せっかくの機会ですので、男女賃金格差の問題についても御紹介しておきます。 令和六年賃金構造基本統計調査によれば、日本全体としての一般労働者における男性の賃金水準を一〇〇%としたときの女性の賃金水準は、令和六年時点で七五・八%、小売業界においても、男女間賃金差異は六九%と、産業全体と比較しても男女間賃金格差は大きい傾向にあります。 男女賃金格差の開示は、二〇二二年七月八日から常時雇用労働者三百一人以上の企業を対象に義務づけられ、その後、二〇二五年の法改正により、二〇二六年四月一日からは、常時雇用労働者百一人以上の企業へと公開義務が拡大されることとなりました。私は、県としても今後、国と連携しながら、県内企業への支援や啓発を通じて、男女の格差是正を期待しております。 そして、人手不足についても、賃上げに係る課題は明らかです。 令和八年一月の有効求人倍率は一・三一倍で、前月に比べて〇・〇二ポイント上昇、また、令和七年平均の有効求人倍率は一・三八倍で、前年に比べて〇・〇八ポイント低下となったものの、山口県の有効求人倍率は全国平均を上回る状況で推移し、求人が求職を上回る売手市場が続いています。 地域別や職業別では、さらに高倍率となっている状況にあり、こうした状況は、人口減少・流出が労働需給の逼迫を招き、賃金上昇圧力を強める一方で、企業の採用・定着にとって大きな負担となっています。 知事が強調された、賃金の引上げは、単なる名目値上げではなく、地域経済に好循環を生み出し、人手不足の課題の解消にもつながる戦略的な賃金改善でなければなりません。そのためには、県内企業への価格転嫁支援や生産性向上支援を徹底し、給与水準の向上が内需拡大と雇用定着につながる環境整備が求められます。 こうした背景の下で、二〇二六年一月に施行された中小受託取引適正化法(旧下請法)は、中小受託取引における不当な条件や支払い遅延の防止を通じて、中小企業の経営安定化を図る重要な法制度です。 具体的には、原材料費やエネルギーコストの上昇分が発注者に十分反映されず、受注する中小事業者がコストを自社で負担せざるを得ない状況を改善し、中小事業者が適正な価格で取引できる仕組みを定着させることで、資源が適切に分配され、事業運営を安定、賃上げ原資確保、生産性向上もできる経済を実現するとしたものです。この施行に伴い、県としても周知・相談体制の整備等の支援を強化する必要があると考えます。 人口減少・県外流出による人手不足や物価高は、本県が直面する大きな構造課題です。これを克服するには、賃金を引き上げ、働く価値を高め、地域経済に好循環を生む戦略が必要です。 そこでお尋ねいたします。県として、令和八年度施政方針で掲げられた、物価高・賃上げへの集中支援、地域の好循環実現に向け、賃金水準の改善や取引環境の適正化、生産性向上等に、県としてどのように取り組まれるお考えか、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、持続可能な地域医療体制の確保についてお尋ねいたします。 地方における自治体病院は、地域医療の最後のとりでとも言うべき重要な役割を担っています。民間では採算が合わず、担い手の少ない医療分野、僻地、離島など医療資源の乏しい地域において、県民の命と健康を守る不可欠な存在であります。 しかしながら、診療報酬の改定の影響、人件費の上昇、電気・ガス・水道代や医薬品費、診療材料費の高騰、さらには医師の働き方改革に伴う追加人員の確保などにより、経営環境は一層厳しさを増しております。報道では、自治体病院の大半が経常赤字、または医業赤字に陥っているとされ、人員不足による業務負担の増大や賃金引上げの困難さから、看護師をはじめとする医療従事者の離職が進むなど、地域医療の継続性が脅かされています。 本県においても、状況は深刻であります。全国に先駆けて、人口減少と高齢化が進む中山間地域や離島を抱える本県にとって、地域医療と介護サービスの維持は、県民生活の根幹に関わる重大課題であります。 二次救急病院は、救急搬送の受入れや入院医療の中核を担っておりますが、医師不足、看護師不足、物価高騰の影響を受け、その経営は極めて厳しい状況にあります。このままでは三次救急を担う高度医療機関への患者集中が進み、医療体制全体の逼迫を招きかねません。 とりわけ、周産期医療や新生児医療、高齢者救急への対応体制の維持は重要であります。若手医師の都市部志向、診療科偏在の進行、看護師不足など、医療現場の疲弊は看過できない段階にあります。県では、ICTを活用したオンライン診療などの取組を進められておりますが、より構造的・抜本的な対策が必要ではないでしょうか。 さらに、地域医療を支える介護業界も、また極めて厳しい状況に直面しています。訪問介護事業所では、基本報酬の引下げ等により減収が広がり、倒産や休廃業が過去最多水準に達しているとの報告もあります。人材不足は深刻で、有効求人倍率は極めて高く、ガソリン代や介護用品の高騰も経営を圧迫しております。県内においても、周南市や宇部市などで介護関連事業所の閉鎖が報告されております。 このままでは、高齢者が住み慣れた地域で在宅生活を続けることが困難となり、介護崩壊の危機につながりかねません。処遇改善加算の活用支援、ICTや介護ロボット導入補助、外国人人材や多様な人材の受入れ支援など、県の積極的関与が不可欠であります。 そして何より重要なのが、医療と介護の連携強化であります。退院支援の充実、在宅医療との円滑な接続、ケアプランと診療情報の共有など、切れ目のない支援体制を構築しなければなりません。人口減少社会において、限りある医療・介護資源を最適化し、地域全体で支える体制づくりが求められております。 知事は、令和八年度施政方針において、地域医療提供体制の確保及び介護提供体制の充実を掲げられております。新たな地域医療構想においては、限りある医療資源を最適化・効率化しながら、治す医療を担う医療機関と、治し支える医療を担う医療機関との役割分担を明確化し、地域完結型の医療・介護提供体制を構築することが必要であります。 そこでお尋ねいたします。国への制度改善要望を含め、持続可能な地域医療と介護サービスの確立に向け、どのような具体策を講じていかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、県民の安全と利便性を確保するための道路環境の整備と維持管理についてお尋ねいたします。 本県は、中国縦貫自動車道、山陽自動車道、山陰道など広域幹線道路が整備されている一方で、中山間地域や半島部、離島地域も多く、地域間格差のある道路事情を抱えております。高齢化率も高く、自家用車依存度が高いことから、道路は日常生活そのものを支える基盤となっています。 観光面では、瀬戸内海、日本海に面した複数の観光地や文化資源が点在しており、観光客の移動需要が発生しますが、中山間地域へのアクセス確保や市街地周辺道路の交通安全確保は重要な課題であります。 また、物流面では、岩国錦帯橋空港、山口宇部空港、重要港湾など物流拠点が点在し、広域交通の結節点として産業製品や農水産物の広域輸送が県内外に及ぶことから、道路ネットワークの信頼性や交通規制時の代替路確保が重要となります。 このように道路は、通勤・通学、医療機関への搬送、物流、観光など、県民生活と地域経済を支える命の道であり、まさに交通セーフティーネットそのものであります。 しかし、近年、激甚化・頻発化する豪雨や台風、さらには線状降水帯の発生などにより、道路の冠水、のり面崩壊、倒木による通行止めが各地で発生しております。とりわけ中山間地域では、幹線道路が寸断されれば孤立集落が生じるおそれもあり、道路環境の整備や適切な維持管理の重要性は一層高まっております。 近年、道路管理分野では、AI画像解析やドローン、車載カメラ、衛星データを活用した路面損傷検知、のり面変状の監視、橋梁点検の高度化が進んでおります。例えば、国交省が推進する道路のデジタル化施策である、国交省の道路メンテナンス高度化やICT施工の取組は、自治体管理道路にも応用可能であります。 また、県警においても、「シビックテック チャレンジ YAMAGUCHI」による、AIを活用した路面標示の検知の実証実験も進められています。 県内に約八千か所の横断歩道が存在するとされており、その摩耗や視認性の低下により、年間で五百から六百か所補修されている中、警察車両のドライブレコーダー映像等を活用して、横断歩道、停止線等の摩耗度を自動判定し、優先評価やGIS可視化による補修優先づけを目指す取組は、路面標示の摩耗状況を迅速に把握し、補修・改修につながることから、交通安全対策面においても大変有効と考えます。 また、県民からの通報体制の強化も重要です。 市町においても、道路利用者が道路の異状を発見した場合に、直接道路管理者に通報することができるシステムが構築されていますが、道路緊急ダイヤル♯九九一〇についても、令和六年三月二十九日から、全国の道路を対象にLINEアプリによる通報を開始されました。 さらに、協定企業ともデジタル情報を共有し、被災箇所をリアルタイムで地図上に表示する仕組みを構築すれば、出動判断や資機材配置の最適化が図られます。 加えて、本県では建設業協会等と災害時応急対策に関する協定を締結し、発災直後の道路啓開や倒木除去、土砂撤去等で民間企業の協力を得ています。 しかし、実際上、発災直後の道路啓開等の対応は困難を極めることから、街路樹、沿道の枝木の事前伐採も有効と考えます。近年の台風や大雪時には、倒木や枝折れにより道路が寸断される事例が発生しております。特に電線に接触する枝木や、老木・空洞木による停電は復旧に時間を要するなど、重大事故につながる危険性があります。発災後の対応だけでなく、平時からの点検と計画的な事前伐採、強剪定こそが、被害の未然防止と復旧時間の短縮にもつながります。 景観や環境への配慮は当然必要でありますが、安全確保を最優先としためり張りある管理が求められています。 そこでお尋ねいたします。道路は単なるインフラではなく、県民の生命と暮らしを守る基盤であることから、平時からの着実な整備と、官民連携による機動力の強化により、強靱な交通セーフティーネットを構築すべきと考えます。 二〇二六年度予算においても、道路維持管理や防災・減災関連経費などが計上されていますが、限られた予算の中で、県民の安全と利便性を確保するための道路環境の整備と維持管理にどのように取り組まれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、県立専門高校の魅力・特色の向上についてお尋ねいたします。 現在、本県においては、少子化の進行や社会経済の変化に対応して、県立高校の再編整備が重要な政策課題となっています。こうした中、県教委においては、教育の質の確保・向上と望ましい学校規模の確保を目指すとした、県立高校再編整備計画の後期実施計画の素案は、将来にわたり持続可能な高校教育体制を構築するための取組としており、その必要については理解するところであります。 しかしながら、この実行に当たっては、単なる学校規模の適正化にとどまらず、とりわけ地域産業を支えてきた専門高校の役割と価値をいかに維持・発展させていくかという視点が極めて重要であると考えます。 文科省は、専門高校を地域産業人材育成の中核と位置づけ、産業界との連携強化や実践的教育の高度化を推進しております。しかし、全国的には専門学科在籍生徒数は減少傾向にあり、全高校生に占める割合も長期的には縮小しております。 本県においても例外ではなく、再編の過程で専門学科の縮小や統合が進めば、専門教育そのものの存在感が弱まることへの懸念が現場から上がっております。 専門高校では、普通科とは異なる知識・技能だけではなく、専門的な実践力、問題解決力、チームワーク、資格取得支援等の教育が組み込まれており、地域で即戦力として活躍できる人材育成の場として機能しています。 その一例として、私の母校でもある宇部工業高等学校を挙げたいと思います。同校は、長い歴史と伝統を有し、機械、電気、化学などの専門教育を通じて、地域産業を支える多くの技術者を輩出してきました。 近年取り組んできた古来の製鉄技術を再現する、たたら製鉄の実習は、単なる技術体験にとどまらず、日本のものづくり文化の精神を体得する教育活動として高く評価されており、こうした取組は、専門高校ならではの魅力と誇りを体現するものであり、地域の宝であると言っても過言ではありません。 これに加えて、地元企業との連携による実習や資格取得支援など、実践的な教育も充実しており、生徒の職業観や勤労観を育むとともに、地域産業を支える人材の育成に大きく貢献しています。 一方、令和八年度の本県公立高校入学者選抜においては、全日制課程の志願倍率が一・〇倍を下回り、多くの学校・学科で定員割れが生じるという厳しい状況となりました。少子化の影響は明らかでありますが、それに加え、高校授業料の実質無償化の拡充により、公立・私立を問わず、学校の選択の幅が広がっていることも、志願動向に影響を与えているものと考えます。 高校無償化は、家庭の経済的負担軽減という観点から大きな意義を有する政策であります。しかしながら、結果として私立高校への志願が増加し、公立高校、とりわけ専門高校の志願者が減少する傾向が進めば、地域産業の人材の育成基盤が揺らぎかねません。再編整備計画を進める中で、こうした制度環境の変化をどのように分析し、どのように対策を講じていくのかが問われております。 文科省公表の高等学校学科別生徒数(令和七年五月)によりますと、普通科の生徒数は約二百十二万人と全生徒数の七四・一%、農業、工業、商業など職業教育を主とする学科を設置する専門学科の生徒数は約四十八万人、一六・九%、体育、音楽、美術等のその他の専門学科が約十万人の三・六%、総合学科が約十五万人の五・四%と示されており、専門学科の生徒数の割合は年々減少傾向にあります。 専門学科は、地域産業を支える人材育成の中核を担う存在であり、我が国のものづくりや地域経済を支える重要な教育機関である一方で、少子化や普通科志向の影響により、専門高校の生徒数は減少傾向にあることから、国においても、専門高校の生徒数を三割程度目指すとされています。 そこでお尋ねいたします。地域の声や企業等との意見交換なども行いながら、地域産業を支える人材育成の観点から産業教育の取組を進め、専門高校の教育が、就職、進学、起業といった、多様な進路につながる魅力的な選択肢であるという認識を広く社会に浸透させていくことが重要であると考えますが、ものづくりの伝統と教育を結びつけてきた、専門高校の特色・魅力・成果をどのように評価し、今後どのように取組を進めていかれるのか、教育長の御所見をお伺いいたします。 最後に、道路交通法改正を踏まえた交通事故防止についてお尋ねいたします。 まず、令和七年における全国の交通事故情勢についてですが、警察庁が公表した速報によれば、令和七年の交通事故による死亡者数は約二千五百四十七人と前年から若干減少しましたが、政府が掲げる年間二千人未満という目標は達成されておりません。高齢者の占める割合が全体の約五六%と、交通事故死者の多くが高齢者であることも、依然として大きな課題です。 特に自転車利用者をめぐる事故件数については、令和五年のデータで、自転車関連事故が年間約七万件、全体の二三から二四%を占めており、過去数年、増加傾向で推移しています。 事故の違反行為となる要因では、信号無視や一時停止違反、歩道走行などのケースが多く、特に、スマートフォン操作などの、ながら運転による重大事故が全国的な問題となっており、令和六年中だけでも、スマホ利用中の自転車が原因となる死亡・重傷事故は過去最多となったとの報道もありました。 こうした状況は、国民の安全・安心な生活にとって深刻な課題であり、交通ルールの遵守が強く求められる状況にあります。 昨年の本県における交通事故発生状況によれば、死者数は三十一人と前年より大幅に減少し、過去最少となったものの、人身事故件数及び負傷者数は前年より増加、また、物損事故件数も四万件近く発生するなど、日常生活の中で多くの交通事故が発生している実態は、県民生活にとって身近な課題であります。 このような交通事故実態を受け、国において、令和八年四月一日から自転車の交通違反についても交通反則通告制度、いわゆる青切符制度が、また九月一日からは、生活道路における法定速度を変更する道路交通法の一部改正が行われることとなっております。 従来、自転車による交通違反は、指導警告や悪質な場合には刑事処分の対象となっておりましたが、改正後は十六歳以上の自転車運転者を対象に、比較的軽微な違反であれば、交通反則通告制度を適用され、反則金を納付することで刑事手続に移行しない仕組みとなり、スマートフォン操作中の運転、信号無視、歩道走行、右側通行、並進・二人乗りなどの違反類型に応じて、おおむね三千円から一万二千円程度の反則金が設定されているとのことです。 また、歩行者や自転車利用者の安全確保を図るとともに、交通事故の死亡・重傷事故を減少させることを目的に、生活道路の法定最高速度が時速六十キロから時速三十キロに引き下げることともなっております。 自転車の交通反則通告制度の導入は、県民生活に直接影響する大きな制度変更であり、施行に当たっては、丁寧で分かりやすい周知活動が不可欠であります。 そのためには、警察、自治体、学校、地域団体が緊密に連携し、県民一人一人に制度の内容と趣旨を正確に伝えることが極めて重要です。 具体的には、広報紙や公式ウェブサイト、SNS等を活用した情報発信、商業施設や公共交通機関でのポスター掲示、交通安全教室の開催、地域イベントの参加など、多様な媒体と機会を利用した周知策が考えられますが、とりわけ重要なのは、反則金制度の趣旨が単なる罰則の強化ではなく、事故防止と安全・安心の確保にあるという点を県民に理解していただくことだと思います。 そこでお尋ねいたします。道路交通法改正を踏まえた交通事故防止について、改正法の円滑な施行とともに、その制度の目的や背景を丁寧に説明し、交通ルールを守ることが自らの命と他者の安全を守ることにつながるというメッセージをどのように発信していくのか、そのコミュニケーション戦略について、県警本部長の御所見をお伺いいたします。 以上で、私の代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 副議長(河野亨君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)氏原議員の代表質問にお答えします。 まず、地域経済の好循環に向けた賃上げへの支援についてのお尋ねです。 人口減少等による人手不足や物価高など直面する課題に立ち向かい、本県の活力を維持向上させるためには、雇用の創出や所得の向上をもたらす強い産業による経済面での成長と、その成長を暮らしの安心へとつなげ、社会全体が持続的に発展していく、成長と安心の好循環の実現が不可欠です。 そして、この好循環をつくっていく原動力となる「稼ぐチカラ」を押し上げるためには、地域経済の主役であり、「稼ぐチカラ」を生み出す土台である中小企業を強力に後押しすることが極めて重要です。 このため、私は、来年度予算において、中小企業の持続的な成長の促進に向け、賃上げ環境の整備や、賃上げの原資となる収益力の向上による経営基盤の強化等に集中的に取り組んでまいります。 まず、賃上げ環境の整備については、賃上げを実施した中小企業に対する奨励金を大幅に拡充するとともに、若者や女性などの多様な就業ニーズを踏まえ、新たに従業員の正社員化に取り組む中小企業を支援することとしています。 具体的には、賃上げ奨励金について、支援対象を若年層から全年齢に拡大するとともに、新たにパート労働者も対象に加え、賃上げの裾野拡大に努めることとしており、一事業者当たりの支援上限額も三倍となる三百万円に引き上げます。 また、従業員の正社員化について、勤務地限定や短時間勤務など多様な正社員制度の導入や、パート労働者・未就業者を正社員として雇用する中小企業に対し、新たに最大百万円の奨励金を支給することにより、賃上げ環境の一層の整備を図ります。 次に、賃上げの原資となる収益力向上による経営基盤の強化に向けては、適正な価格転嫁を促進するとともに、生産性の向上や販路拡大への支援に取り組んでいきます。 具体的には、まず、適正な価格転嫁については、三月と九月の価格交渉促進月間に、経済団体に対して文書要請するとともに、望ましい取引慣行の遵守に向けた、国のパートナーシップ構築宣言の普及促進や、やまぐち産業振興財団の、取引かけこみ寺でのきめ細かな相談対応等を行います。 さらに、このたびの中小受託取引適正化法の施行を受け、新たにセミナーを開催し、中小企業に対して改正内容等の周知を図るとともに、価格交渉のベースとなる原価計算等のワークショップの開催や専門家派遣等により、中小企業の適正な価格転嫁に向けた支援を強化してまいります。 また、生産性の向上については、企業ニーズや成長段階に応じてデジタル化を支援することとしており、会計ソフトの購入や自動運搬システムの構築等に加え、新たにロボットの導入を対象にするとともに、物価高等により厳しい経営環境にある事業者の省力化に資する設備等の導入も支援します。 加えて、専門家による経営課題診断や「Y─BASE」におけるDXコンサルにより、業務効率化や付加価値向上の取組を後押しするとともに、全国規模の展示会や商談会を通じて販路拡大を支援するなど、新たなビジネスの創出・拡大を図ってまいります。 こうした取組に加えて、金融面においても、県制度融資の、DX対応支援資金や賃金引上げ・価格転嫁支援資金などにより、中小企業をしっかりとサポートしていきます。 私は、地域経済の好循環の実現に向けて、国や関係支援機関と緊密に連携し、賃上げ環境の整備等に取り組み、「稼ぐチカラ」を生み出す土台となる中小企業を強力に後押ししてまいります。 次に、持続可能な地域医療体制の確保と介護提供体制の充実についてのお尋ねにお答えします。 全国よりも速いスピードで人口減少等が進行する本県において、県民誰もが、住み慣れた地域で、健康で安心して暮らし続けていくためには、持続可能な地域医療体制の確保と介護提供体制の充実が重要です。 このため、私は、やまぐち未来維新プランにおいて、安心を支える医療と介護の充実・強化プロジェクトを掲げ、効率的で質の高い医療提供体制の確保や、介護現場の生産性向上、人材の確保などに積極的に取り組んでいるところです。 具体的には、医療分野においては、地域医療構想の実現に向けて必要な施設整備等への支援や、県内就職に向けた修学資金の貸付け、介護分野においては、働きやすい環境整備を進めるための介護テクノロジーの導入への支援などを行っています。 こうした取組により、医療分野では、集約化による急性期医療の機能強化や、在宅復帰を目指してリハビリ等を行う回復期病床の確保、医師・看護師数の増加など、介護分野では、業務効率化や職員の負担軽減に取り組む事業所の増加など、一定の成果が得られています。 また、物価や人件費の高騰が長期化していることから、私は、さきの政府要望において、医療・介護サービスの提供体制の維持・確保のため、次期診療報酬等の大幅改定や、緊急的な財政支援について要望し、その結果、これらの実現が図られたところです。 しかしながら、さらなる高齢化の進行や、生産年齢人口の減少など、医療・介護を取り巻く環境は大きく変化しており、今後は、限られた資源を有効に活用し、地域の実情に応じたサービス提供体制の構築を進めていく必要があります。 こうした中、来年度以降策定することとなる新たな地域医療構想においては、二〇四〇年とその先を見据え、在宅・介護連携等も新たな対象とし、全ての地域、世代の患者が、適切に医療・介護を受けながら生活できる医療提供体制の構築を目指すこととされています。 県としては、今後、国から示される新たな構想に係るガイドラインに基づき、国の医療DXによる業務の効率化の動向や、役割分担の明確化などを踏まえ、地域完結型の医療・介護提供体制を構築し、人材の確保にも資するものとなるよう、関係者の意見を伺いながら、策定作業を進めてまいります。 また、国が示す二〇四〇年に向けた介護サービス提供体制等の在り方を踏まえ、将来の人材の需給動向を見越した外国人介護人材の受入れや、介護テクノロジーの活用による生産性向上、介護事業所の経営改善等に向けた支援に取り組むこととしています。 私は、県民の皆様がいつまでも安心して暮らし続けられるよう、市町や関係団体等と連携を図りながら、将来を見据えた持続可能な地域の医療提供体制の確保と介護提供体制の充実に取り組んでまいります。 次に、県民の安全と利便性を確保するための道路環境の整備と維持管理についてのお尋ねにお答えします。 道路は、最も基礎的な社会基盤として、県民の日常生活や経済活動等を支えており、自動車交通への依存度が高い本県においては、重要な役割を担っています。 このため、私は、やまぐち未来維新プランに、強みを伸ばす産業基盤の整備や広域的な交通インフラの整備、防災・危機管理対策の強化などを掲げ、重点的・計画的に幹線道路網の整備を進めるとともに、効果的・効率的な維持管理に努めてきたところです。 こうした中、来年度予算においては、成長と安心の好循環の実現を目指し、計画的な幹線道路網の整備推進に必要となる予算を確保するとともに、維持管理に係る予算を大幅に増額するなど、これまで以上に県民の安心・安全の確保につなげていく考えです。 具体的には、まず、幹線道路網の整備については、山陰道をはじめとした高規格道路や、インターチェンジから港湾・空港等へのアクセス性の向上、広域観光ルートの形成に資する道路などの整備を進めることにより、迅速かつ円滑な物流の確保や交流人口の拡大を図ってまいります。 あわせて、災害時の救援活動などに大きな役割を果たす緊急輸送道路や、災害により集落が孤立するおそれがある中山間や半島地域、島嶼部の道路において、災害時にも機能するよう防災対策を実施するとともに、迂回路や避難路となる生活道路の整備にも取り組んでいきます。 次に、維持管理については、道路を常に良好な状態に保つことが重要であることから、引き続き、路面の補修等について、緊急性や重要性の高い箇所から、順次対応することで、道路利用者の安心・安全な通行を確保してまいります。 とりわけ、道路の草刈りについては、基本的に年一回から年二回に拡充するとともに、区画線については、特に交通量の多い路線等において、重点的に更新することとしています。 また、街路樹については、引き続き、点検等により状況を把握し、倒木等のおそれがある場合は、地元市町や関係者の意向を確認した上で撤去するなど、適切な維持管理に努めます。 一方、道路メンテナンスの高度化に向けては、橋梁やトンネルにおいて、引き続き、AI等を活用した点検・診断を行い、そのデータを蓄積することで、診断精度の向上につなげるなど、デジタル技術を活用した取組を推進していきます。 また、警察の路面標示の取組に対しては、区画線の摩耗状況をAIにより判定するシステムを運用しており、そこで蓄積したノウハウを提供するなど、協力していくこととしています。 加えて、周南地域の三市と共に、総務省の広域連携によるモデル事業を活用し、道路の異状に関する通報などの情報を一元的にデジタル化して蓄積する、新たなシステムの構築を進めており、引き続き、システムの活用方法や効果等についての検証を行ってまいります。 こうした取組を確実に推進していくとともに、近年の自然災害の激甚化・頻発化や、デジタル技術の進展等に的確に対応するため、新たな道路整備計画を策定することとしています。 私は、地域の実情やニーズをしっかりと踏まえつつ、引き続き、幹線道路から生活道路に至る道路網の整備や、適切な維持管理を計画的かつ着実に進めてまいります。 副議長(河野亨君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)県立専門高校の魅力・特色の向上についてのお尋ねにお答えします。 本県の専門高校は、長年にわたり、地域の産業と連携して教育内容を充実させながら、専門的で実践的な知識や技術を身につけた職業人を輩出するなど、地元産業界を支える人材の育成に重要な役割を果たしているものと考えています。 このため、県教委ではこれまでも、生徒のニーズはもとより、本県の産業構造を踏まえた学校・学科の配置や、定員の設定に努めており、令和七年度の公立高校における職業学科の入学定員の比率は三六%と、全国平均を大きく上回り、とりわけ工業科の定員比率は一七%で、全国一位となっています。 また、各専門高校においては、伝統的なものづくりの教育を基盤とし、社会や産業現場の変化にも対応していくため、3Dプリンターやロボットアームなどのデジタル技術を活用した授業や、脱炭素化に取り組む企業での現場実習など、先端技術を学ぶための教育活動の充実に取り組んでいるところです。 こうした教育の推進により、今年度、高校生ものづくりコンテスト全国大会の、旋盤作業部門で優勝するとともに、カーボンニュートラルに関する研究により、日本生物教育学会の中高生発表の部で、最優秀賞を受賞するなど、本県の生徒が様々な大会において輝かしい成績を収めています。 こうした中、先月、国が発表した高校教育改革に関する基本方針において、改革の方向性の一つとして、地域の産業界や大学等と連携・協働した、専門高校の機能強化・高度化の必要性が示されたところです。 県教委では、そうした国の方針も踏まえ、専門高校の探究的・実践的な学びを一層充実させるため、来年度予算において、地元企業と連携し、AI等も積極的に活用する、課題解決型学習の取組を強化するとともに、産業教育に係る実習設備の整備費を倍増させることとしています。 また、専門高校の特色ある教育内容や、就職・進学状況などを、小中学生や保護者等に十分に理解してもらう必要があることから、新たに、専門学科の実験・実習などを体験し、ものづくりの楽しさを感じることができるエキスポを開催するほか、各高校の魅力を一元的に発信するパンフレットや、ウェブページの制作にも取り組んでまいります。 こうした取組に加え、来年度、各都道府県において、高等学校教育改革実行計画を策定することが国から求められており、この計画を策定する中で、将来を見据えた専門高校の機能強化・高度化と、そのための施設整備についても検討していくこととしています。 県教委といたしましては、今後とも、本県産業を支える人材の育成に向けて、地域や産業界等と緊密に連携しながら、専門高校の特色化や魅力化に取り組んでまいります。 副議長(河野亨君)熊坂警察本部長。 〔警察本部長 熊坂隆君登壇〕 警察本部長(熊坂隆君)道路交通法改正を踏まえた交通事故防止についてお答えいたします。 令和七年中の県内の交通事故死者数は、過去最少であった令和四年と同数の三十一人となり、第十一次山口県交通安全計画の目標を達成しましたが、重傷者数三百九十人以下という目標は達成できず、また、依然として死者に占める高齢者の割合が約六割と高くなっております。 こうした中、議員お示しのとおり、本年四月から自転車運転者に対する交通反則通告制度の運用が開始され、また、九月からは生活道路における法定速度が時速三十キロメートルに引き下げられる改正道路交通法が施行されます。 自転車利用者の交通事故の実態を見ますと、令和七年中、県内で五人の方が亡くなられているほか、過去五年間の人身事故では、死亡・重傷事故になると自転車側の交通違反の割合が高くなり、死亡事故では、その割合が六割を超え、軽傷事故の約二・三倍となっております。 また、生活道路などで中央線がなく、最高速度規制がなされていない車道幅員五・五メートル未満の単路で発生した交通事故を見ますと、時速三十キロメートルの最高速度規制がなされている道路に比べ、死亡・重傷の事故率が一・五倍と高くなっています。 県警察では、これまで改正道路交通法の周知に努めており、自転車への交通反則通告制度等の周知に当たっては、学校等と連携しながら警察庁が公表した自転車の基本的なルールと警察の交通違反の指導取締りの基本的な考え方をまとめた、自転車ルールブックを学生やその保護者に共有したほか、年代に応じた段階的・体系的な交通安全教育やSNSによる情報発信、街頭での取締り活動を強化してまいりました。 また、生活道路の法定速度の引下げにつきましては、県民に向けた広報啓発活動のほか、時速三十キロメートル規制になると交通実態と乖離する道路について、地域住民の意見等も踏まえながら、道路管理者と協議するなどして、実態に見合った交通規制となるよう準備を進めているところです。 改正道路交通法の施行に向けて、改正内容はもとより、改正の背景にある現在の交通実態や改正法による効果を含めて丁寧な広報を行い、交通ルール遵守が被害者にも加害者にもならないために不可欠であることを訴えてまいります。 さらに、とりわけ自転車を安全に利用するためには、利用者が被害者にも加害者にもならないよう、一人一人が運転に必要な技能、知識、行動・態度を身につけることが求められています。 その手段として交通安全教育がありますが、警察のみで全ての自転車利用者に教育を提供することには限りがあります。 今後、交通安全教育を充実させ、多くの自転車利用者に制度やルールを浸透させるためには、事業者、保護者・家族、学校等といった関係者が専門性を生かし、相互に連携することが重要と考えているところです。 そのため県警察では、自転車の交通安全教育の充実化に向けた官民連携協議会において策定された、交通安全教育ガイドラインを活用して、事業者や学校関係者等、地域における指導者を育成し、その指導者と連携しながら自転車の安全利用に必要な技能、知識、行動・態度の浸透に努めてまいります。 県警察といたしましては、こうした改正道路交通法の施行をはじめ、不断に変化する道路交通情勢に的確に対応するとともに、関係機関・団体等とも一層連携して、交通事故防止対策を推進してまいります。 副議長(河野亨君)これをもって代表質問を終わります。 ───◆─・──◆──── 副議長(河野亨君)以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 本日は、これをもって散会といたします。 午後一時五十三分散会