討論
────────────────────── 討 論 議長(柳居俊学君)これより討論に入ります。 討論の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 河合喜代さん。 〔河合喜代さん登壇〕(拍手) 河合喜代さん 日本共産党議員団を代表して討論を行います。 本会議に提案された十六議案のうち、第一号、七号、八号、十一号及び十二号に反対し、残り十一議案には賛成します。 議案第一号、二○二六年度県一般会計補正予算案は、総額八十五億七千万円計上されていますが、物価高対策は約九億円にとどまり、イラン戦争がもたらしている物価高騰と資材不足から県民の暮らしと営業を守る施策は何もありません。 一方で、約九割を占める七十二億五千万円は、高校教育改革関連に充てられています。高校教育改革は、国が示すグランドデザインの三類型に沿って、改革を先導する拠点校を創出するというもので、三年間に全国で三千億円、山口県では約六十二億円を基金に積み、拠点校僅か四校にハード・ソフト事業を集中投資する計画です。 文科省は、この高校教育改革の狙いの一つに、生徒の将来の活躍に向けて理数的素養を基盤とし、AIに代替されない先導的な学びの力を身につけさせることを挙げていますが、真の狙いは、デジタル技術の発展で、将来、不足する理数系人材の育成が喫緊の課題としている産業界の要請に応えるためのものであります。 教育基本法に示された教育の目的は、人格の完成であって、企業に都合のよい人材育成であってはならないと考えます。 何より、こうした税金の使い方を現場も県民も願っていないことは、県教委が一番分かっているはずではありませんか。一校当たりの予算十五億円の三分の一、五億円もあれば、高校生の新入生徒全員に無償でタブレット端末を提供できたはずです。 また、教員を増やして少人数学級を実現、多忙化の解消を、これが現場の切実な声です。こうした声を尊重することこそが、子供たちを大切にした教育に資するし、ひいては県の発展につながると確信します。不公平でゆがんだ高校教育改革を国に追随して進めるべきではありません。 議案第七号は、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部改正、第八号は、幼保連携型認定こども園以外の認定こども園の認定の要件を定める条例の一部改正です。 両議案は、保育所等と幼保連携型以外の認定こども園における職員配置基準の特例として、一定の要件を満たす特定理学療法士等(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、心理担当職員等)を、保育士とみなすことができるとするものです。 委員会の審査では、県内の保育関係者らからは、こうした特例を求める要望は現時点出ていないが、改正の背景には、医療的ケア児や障害を持った子供たちへのケアの必要性、保育士の確保などが背景にあるとのことでした。 特定理学療法士等は、研修を受けたとしても保育士の資格を取得するものではなく、あくまでみなし保育士のため、単独で保育することはできないとされています。現場に障害を持つ子供がいる場合に必要性はあるとしても、保育とリハビリは根本的に違う役割です。理学療法士等が保育士の代わりはできません。 保育士の定数にこうした理学療法士や心理担当職員などを加えることは、現場にさらなる負担をかけることになると危惧します。保育士定数は保育士資格者で充足し、必要に応じて心理担当職員や作業療法士などの専門性を持った職員を定数の枠外で雇用することが、子供の安全・安心の環境を保障します。 保育士が足りないのは処遇が改善されないからです。こうした現場に負担をかける規制緩和をするよりも、保育士の処遇改善にこそ国は取り組むべきです。 議案第十一号は東部地域産業振興センター、十二号は東部地域県立武道館に係る請負契約の締結に係るものです。共通するのは、財源が岩国基地への空母艦載機部隊を受け入れた見返りである、いわゆる再編交付金が充てられていることです。 国の説明によると、同交付金は、県が広域的な観点から行う再編関連特別地域整備事業のために必要な措置を講じるものを趣旨とし、交付対象は、住民の生活の利便性の向上及び産業の振興に寄与する事業とされ、ハード及びソフト事業を対象にしています。 我が党は、空母艦載機部隊の移駐そのものに反対を貫き、再編交付金を是としない立場ですが、ハード事業の恩恵は現世代だけが受けるわけではないことを考慮すれば、その財源は県債で充て、同交付金の使途は、住民の生活の利便性の向上に資するソフト事業に特化すべきです。 次に、請願についてです。 第一号は、治安維持法犠牲者国家賠償法の制定を国に求める意見書の採択を求めるものです。 治安維持法は、世の中の治安を維持することを目的に一九二五年に制定されました。同法案の国会審議で、当時の若槻礼次郎内相は、取締りの対象は国体の変革、言い換えれば政府の方針に逆らう者、私有財産の廃止などを掲げる者などに限定され、一般人は対象外であり、学問の自由は侵さないと答弁しました。警視庁幹部も、治安維持法は伝家の宝刀にすぎず、社会運動は抑圧されないという見解を示していました。 その後、日本は一九三一年、中国の東北部へ、三七年には中国全土に戦火を広げ、四一年には戦線をアジア・太平洋全域に拡大して、世界でも類のない侵略国家となりました。 こうした中で、主権在民・君主制廃止、戦争反対などを掲げて活動する日本共産党員は、国家権力の目の敵とされ、次々と治安維持法違反で検挙され、投獄されました。 請願要旨にあるとおり、検挙された人は約七万人、検束・拘留された人は数十万人と推測されています。警察署内で虐殺された人は九十三人に上り、刑務所、拘置所での虐待、暴行、発病などによる獄死者は四百人に上ると言われています。 私の大叔母も戦前、日本共産党に入党し、東京でしんぶん赤旗の配布活動中に治安維持法違反の容疑で特高警察に検挙され、ひどい拷問と劣悪な待遇によって重体に陥り、執行停止となった僅か一か月後に亡くなりました。二十四歳でした。 大叔母は、戦争を止めたかった、誰もが幸せに暮らせる社会をつくりたかっただけでした。当時、獄中から私の祖母に宛てて、私は何も悪いことはしていません、お姉さん、どうか心配しないでくださいと手紙が送られていました。なぜ大叔母はそんな死に方をしなければならなかったのでしょう。戦争で死んでいった人たちは、なぜあんなむごい死を迎えねばならなかったのでしょう。 この治安維持法は、戦後GHQの指令で廃止されました。そして一九四七年には日本国憲法ができ、国民主権、人権第一の社会となりました。しかし、その犠牲者に対し、政府は今に至るまで一度も謝罪せず、賠償もしていません。 なぜあの戦争を止められなかったのかとの疑問を多くの人々が持ちますが、思想信条の自由、言論表現の自由、政治活動の自由がない社会がどうなっていくのかは、戦前の歴史から学ぶことができます。 多数の人々の犠牲を無駄にしないためにも、治安維持法が人道に反する法律であったと認め、二度と同じ過ちを犯さないことを国家の意思として示すことが求められています。 過去に真摯に向き合い、歴史に学んでこそ、初めて過ちを繰り返さない未来を切り開くことができます。そのことを今回の請願を採択することで国に示していただくよう、心から賛同をお願いいたします。 請願第二号は、上関町に計画されている中間貯蔵施設に反対の意思表明を求めるものです。 請願者の願いはもっともです。住民は、万一、中間貯蔵施設が建てられたら、福島原発事故のようなことが絶対に起こらないと言えるのか、そのことを心配しているのです。 今年三月に開催された、上関原発を建てさせない県民大集会に駆けつけた原発賠償関西訴訟原告団代表の森松明希子さんは、夫を福島に残し、子供を守るため、母と子で関西へ移住され十五年過ごされている方です。 皆さんの御家庭では、家族がみんなで食卓を囲んで御飯を食べるのが普通の日常ではありませんか、我が家にはこの十五年間、その普通の日常がありませんと話されたことが心の底に鮮明に残っています。 もし、この山口県内に原発や中間貯蔵施設ができたら、この言葉を山口県民に言わせてしまう可能性をつくることになります。 中間貯蔵施設建設の中止を求める議会請願は、田布施町議会に続き、柳井市議会でも賛成多数で採択されました。こうした県民の声を生かすのも、県議会の役割です。山口県民に福島の人たちと同じ思いをさせないために、請願への賛同を心から呼びかけるものです。 請願第三号は、最低賃金の改善と中小企業支援の拡充を求めるものです。 最賃は、誰もが人間らしく暮らせる水準でなければなりません。多くの労働者が要求している、全国一律、今すぐ千七百円、目指せ二千円、この実現は急務です。 全国労働組合総連合と加盟地域組織が調査した最低生計費は、全国どこでも月二十七万から二十八万円かかります。最賃は昨年、全国加重平均で時給千百二十一円に引き上げられましたが、これでも月百五十時間働いて十七万円弱にしかなりません。時給千七百円でようやく月二十六万円になります。深刻な物価高騰が暮らしを直撃している下で、千七百円以上への引上げが必要です。 同時に、最賃引上げのためには、日本の労働者の七割を雇用している中小企業への抜本的な支援は欠かせません。行き過ぎた大企業減税でため込んだ内部留保に課税して財源をつくれば十分可能です。 高市早苗首相は、昨年十一月、前政権が掲げた二○二○年代に全国平均千五百円との目標を放棄しました。しかし、GDPの六割を占める個人消費を拡大し、地域循環型経済への転換を進めるために、最低賃金の抜本的引上げと地域間格差の解消は不可欠です。 働く地域によって大きく異なる賃金水準を放置しては、賃金の高い地域に労働者が移動することを防ぐことはできません。これらを是正するためにも、最低賃金を大幅に引き上げ、全国一律にすることです。山口県の成長発展のためにも、本請願を採択することがとても重要です。賛同を求めます。 請願第四号は、部活動等における安心・安全な生徒引率を求めるものです。 五月の磐越道での部活動遠征時の悲しい事故は、日頃、不安を抱きながらも、子供たちのためにと長年献身してこられた顧問や保護者の善意に甘えてきた教育行政の責任を明らかにする機会ともなったのではないでしょうか。 今回の事故を受けて、文科省から六月三十日に発出された、学校教育等に関する移動の安全確保のための対策には、具体的な対策はあるものの、それらを保障する財政支援について新たなものはありませんでした。 県教委は、本会議で、「部活動は生徒の自主的・自発的な参加により行われる活動と位置づけられており、大会等への生徒の参加に要する費用は、自己負担を原則としている」と冷たい答弁をされました。 しかし、文科省はかねてより、部活動は教育の一環と位置づけてきました。教育行政こそ、子供たちの部活動を支える第一義的責任を負っています。 部活動に参加すれば、必ずと言っていいほど遠征や発表のための移動が伴います。子供たちの部活動の安全を保障するため、保護者や学校、教職員が安心して子供たちの部活動を支えるための財政措置は喫緊の課題です。部活動に励む子供たちを応援したいと思う皆さんの政治的立場を超えた賛同を、心からお願いいたします。 最後に、意見書案第一号 皇室の伝統に基づく安定的皇位継承を確保するための法整備の早期実現を求める意見書の採択に反対をいたします。 日本共産党は、天皇の制度を含め、憲法の全条項を守ると綱領に定めています。天皇の地位は、憲法第一条にあるように、主権の存する国民の総意に基づく、すなわち、あくまで憲法に基づいて国民の総意に委ねるというのが、日本共産党の立場です。 日本国憲法に基づき、安定的な皇位継承の在り方について、議論を行うこと自体は必要なことだと考えます。しかし、本意見書案には賛同しかねる重大な問題があります。 第一に、本意見書案が皇位継承の在り方について、我が国が古来より守り伝えてきた、男系継承の重みを尊重した上での議論を求めている点です。 憲法第二条は、皇位を世襲のものとしていますが、ここでの世襲は女系天皇や女性天皇を排除するものではないというのが、憲法制定時の政府見解です。 また、日本国憲法は、第一条で天皇について、日本国の象徴、日本国民統合の象徴と規定しています。この規定に照らせば、多様な性を持つ人々によって構成されている日本国民の統合の象徴である天皇を、男系に限定する合理的理由はどこにもなく、女系天皇も同じ理由から認められるべきです。 第二に、本意見書案が有識者会議の報告書の内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持すること、及び皇族とは認められない養子縁組を可能とし、皇族に属する男系の男子を皇族とすることの二案を立法府の総意としていますが、国会では日本共産党をはじめ、五党派が反対や懸念を表明している以上、総意とは言えません。 憲法が天皇を国民統合の象徴と位置づけていることを考えれば、その在り方に関わる提案は、全ての党・会派が合意できる内容であるべきです。 国民的な合意抜きに拙速な立法作業に進めば、様々な矛盾や国民的反発を招くことは明らかです。 皇位の安定的継承をめぐる議論は、女性天皇、女系天皇も含め、真に国民の総意に基づくものとなるよう、根本からやり直すべきです。 以上の理由で、本意見書案に反対いたします。 以上です。(拍手)