討論
議長(柳居俊学君)橋本尚理君。 〔橋本尚理君登壇〕(拍手) 橋本尚理君 自由民主党新生会の橋本尚理でございます。 私からは、意見書案第一号 皇室の伝統に基づく安定的皇位継承を確保するための法整備の早期実現を求める意見書に賛成の立場で討論をさせていただきます。 まず、意見書の冒頭にあります皇室の伝統についてでありますが、皇室の伝統とは、我が国日本の伝統そのものなのであります。 それを知るためには、我が国の建国の歴史を知る必要があります。そこで日本書紀をひもといてみますと、まず、イザナギ、イザナミの尊が、我が国の国土と多くの神々をお産みになり我が国は誕生をいたしました。その後、幾つかの地に分かれて相争っていることをお知りになった後の神武天皇が、天孫降臨の地高千穂から大和まで東上され、幾多の困難に立ち向かわれながら、六年の歳月を経て、争いを収めていかれました。いわゆる神武東征であります。 そして、我が国に平穏が訪れた紀元前六六○年、奈良の橿原の地で八紘一宇の詔を発せられ、我が国日本の建国を宣言され、初代天皇に即位されたと日本書紀には記述されております。 八紘一宇とは、私も幾度かこの議場でお話をさせていただきましたが、国家の安寧を図り、神々、先人を敬い、その御恩に報い、正しい心を養って、世界が一つの家族のように仲むつまじく暮らそうという意味の詔です。我が国の歴史は、道徳心の涵養と世界平和を目指し、神武天皇から始まったのであります。 以来、神武天皇から今上天皇に至るまで、二千六百八十六年の長きにわたり、天皇を中心とした皇族と共に連綿と続いている我が国は、世界で最も歴史が長い国として尊敬をされているゆえんであります。 我が国に続き歴史の長い国といえば、デンマークが約千二百年、イギリスが約千七十年、スペインが五百三十四年、スウェーデンが五百三年と続き、いずれも国王・女王を中心とする君主制国家であります。共和制国家では、アメリカの二百五十年が最長と言われております。 国家元首には、国王・女王、そして皇帝とおられますが、社会通念上、その中で最も上位に位置されているのが皇帝であります。 世界の大国、先進国の中にお一人、皇帝がおられます。御存じでしょうか。我が国日本の天皇陛下であります。それゆえに我が国は、世界から最も高貴な国だと呼ばれているのであります。皇室の伝統こそ、世界に誇る日本の伝統そのものなのであります。 このように世界に類いまれな歴史を、天皇、皇室を中心として共に築いてきた我が国の伝統を、今を生きる私たちが安易に変えてもよいのでしょうか。また、私は、この皇室の伝統を、いや、日本の伝統を受け継ぎ、次代へつないでいかなければならないと固く信じ、活動を続けております。 それでは、意見書にいう皇室の伝統とは何でしょうか。それは、神武天皇から今上天皇まで百二十六代続いている皇位の男系継承であります。 一部の有識者と言われる人やマスコミの中には、次期天皇は国民に人気があり、今上天皇の長子であられる男系の愛子内親王でよいのではないかと、愛子天皇待望論を論じる方もおられますが、天皇を芸能人や政治家のように人気で望んではいけません。長子だからといって望んでもいけません。 西欧の君主国家では、長子を後継者にする国もあり、女王陛下が幾人もおられます。これは、それらの国の伝統だから許されるのであります。長子継承といえば、戦後廃止した家督制度・家制度の復活そのものとなるのであります。 また、過去に八名十代の女性天皇がおられ、中には皇后や皇太子妃になられた方もあります。ただ四名の女性天皇は、結婚前に天皇に即位されました。しかし、前例に倣い四名ともに生涯独身を通されておられます。愛子内親王にも前例に倣えと言われるのでしょうか。 現在、皇位継承権を持つ皇族は秋篠宮皇嗣殿下、悠仁親王殿下とお二人いらっしゃいます。仮に愛子天皇が誕生すれば、後世の人から、愛子天皇は悠仁親王から皇位を略奪した天皇と呼ばれてしまうのであります。それでもよいのですか。 私は、このような歴史や伝統を知らずに、安易に愛子天皇待望論を語るべきではないと忠告させていただきます。 ただ、七十九年前にGHQにより、十一宮家が強制的に皇室を離脱させられました。そのことにより、現在では、秋篠宮家、常陸宮家、三笠宮家、高円宮家、三笠宮寛仁親王妃家しか宮家はなく、残念なことに男性は、御高齢の常陸宮親王殿下と秋篠宮家にしかおられません。 そこで、有識者会議が出され、先日閣議決定され国会に上程されました皇室典範改正案によりますと、女性天皇の道を閉ざすことなく、基本的には男系男子による皇位継承をこれからも皇室の伝統にのっとり維持することを明確にし、なおかつ、現状の皇族数だと、国民が待ち望んでいる数々の行幸、行啓、お成りを伴う皇室行事に支障が出ることにも配慮し、内親王が婚姻後も、本人の意思を確認の上、皇族の身分を保持する、さらに例外措置として、旧十一宮家から男系男子の養子縁組を可能にするとあります。 皇室の伝統を守りながら、皇族が国民と触れ合う場を維持する改正案だと、私は高く評価しております。 しかしながら、残念な点もあります。私は、過去九回、団長として皇居勤労奉仕に参加し、その都度、現上皇上皇后両陛下──当時の天皇皇后両陛下、現天皇陛下──当時の皇太子殿下とそれぞれ御会釈の場でお話をさせていただきました。私を含め多くの団員が、涙を流し感激したことを今でも決して忘れることはできません。 また、九回の勤労奉仕の中で、一度だけ、本当に運がよく、宮中三殿に入らせていただいたことがあります。宮中三殿では、様々な神事が行われております。新米を天照大神にささげる神宮で最も重要な神事である神嘗祭は、神武天皇以来今上陛下に至るまで、歴代天皇が祭主として行われている、神宮にとっては最も重要なお祭りであります。 私が残念に思うのは、これらの宮中三殿で行われる神事が、今回の改正案にも明記されなかった点であります。 しかしながら、私は、二千六百八十六年の長きにわたり連綿と受け継いできた皇室の伝統を守り継ぎ、安定的な皇位継承を確保するため、皇室典範改正案を早期実現していただきたいと大きく望む国民の一人として、この賛成討論を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)これをもって討論を終結いたします。