1 新規就農支援について 2 高校の入学定員・入学者数管理のあり方について 3 通学支援の観点を踏まえた公共交通のあり方について 4 地域産業と一体となった公立高校の魅力化・特色化について 5 ふるさと住民登録制度について
副議長(河野亨君)藤生宰君。 〔藤生宰君登壇〕(拍手) 藤生宰君 自由民主党の藤生です。昨今のAIの進化は目覚ましいものがありますが、AIに負けないように現場の声を、生の声をしっかり拾い集めて、自身で考え抜いた言葉で質問してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。 最初に、新規就農支援についてです。 農家の担い手不足は、全国的な課題です。とりわけ山口県の基幹的農業従事者は二〇二五年の農林業センサスによりますと、五年前と比べて三二・二%減、また、平均年齢は全国一位の七十二・五歳で、全国的に見ても厳しい状況にあります。 こうした状況の中、山口県は担い手支援日本一を掲げ、国の制度である就農準備資金でカバーされていない五十歳以上への支援を続けてきました。 国も本県をはじめとした地方自治体の自発的な支援策に呼応するかのように、新規就農支援の年齢要件について検討するとの考えを示されており、本県の先駆的な取組が国に影響したものと誇らしく思っております。 さて、新規就農支援策としては三つ、就農準備資金、経営開始資金、雇用就農資金とありますが、就農準備資金が最も入り口となる補助金で、最長二年間、農業の研修を受ける際に年間百六十五万円を上限に受けられる補助金です。 この就農準備資金について、補助金の額や年齢要件の話ではなく、いざ制度を使おうとされる方が、特に親が農業をやっていないなど、農業に縁もゆかりもない方が経験したことを御紹介した上で、新規就農支援のあるべき姿を問いたいと思います。 農業未経験者の相談者Aさんのケースです。 山口県は、担い手支援日本一を掲げており、新規就農に支援が手厚いと聞きました。研修中にも就農準備資金という補助金があるから、少し不安だけど未経験でも何とかなるかなという思いで市役所に相談に行かれました。 すると、職員からは、就農準備資金については、研修終了後一年以内に農業に就業することが要件ですので、最低でも研修前から就業予定先の法人とそういった話ができていることが必要ですと言われます。 さらには、就農準備資金により研修する農業法人に就業することは原則不可ということも伝えられます。つまり、就農準備資金を活用しようと思ったら、研修前から内々定先を確保しつつ、しかも内々定先とは別のところで研修先を探す必要があるということです。 研修後に独立を目指す場合も、就農準備資金の申請書段階で就農予定地や経営面積、事業費などの記入が必要であり、研修の補助金と言いながら申請へのハードルは極めて高いと感じます。 極めつけは、例年二月頃、県から市に対し次年度の就農準備資金の所要額調査があるとのことで、その前に要件を満たす対象者か否かを判断するため協議を重ねる必要があり、時期も限るようなことを言われます。 就農準備資金という一番入り口の補助金を活用しようとしたにもかかわらず、農業未経験者のAさんにとっては高すぎるハードルに感じ、農業をやってみようという心は折れてしまいました。 同じようなことは、移住者に就農してもらおうとする際にも生じると考えます。 私が理想とする姿は、山口県の農業に興味を持ってくれた方に対しては、たとえ未経験であっても感謝と歓迎の気持ちで接し、行政と農家の緊密な連携を基に、相談者の興味を聞きながら研修先をあっせんしてくれ、また、補助金の申請の書面上、どうしても内々定先の記入が必要なら、理解のある農家を見繕い、研修期間中の二年間で本当に相談者にマッチした就農先を一緒になって探してくれる、そういう行政です。 窓口の職員の手札を準備することも大切です。例えば、地域計画の目標地図において、担い手のいない白地や所有者不明農地など、遊休農地は幾らでもあるわけですが、実際にはそうした農地でさえ利用するには農業委員会の許可が必要で、これから研修をして農業を始めようとする新規就農希望者が直接に相談に行っても、農地をあてがってもらえることはほぼ不可能です。 そこで、行政が間に入って、遊休農地に新規就農促進エリアや研修農場を整備して、新規就農者が地域に特別な関係がなくても入っていけるよう受入れ環境を整えていく。地域側も行政が間に入れば、新規就農者に対して農地を利用してもらうことの不安感も薄まりますし、就農希望者から相談を受ける職員においても、利用可能な農地があるからと就農準備資金の対応をしやすくなります。 一義的には、相談窓口は市町にあるのかもしれませんが、山口県が掲げる担い手支援日本一ということが、補助金の金額や年齢要件といった表面的なことにとどまらず、中身を伴ったものとしていくために、御紹介したような事例も踏まえ、県はどのように新規就農支援に取り組まれるのかお尋ねいたします。 次に、高校に関係する三点を質問しますが、教育委員会だけが抱える問題ではないことを先に申し添えておきます。 最初に、高校の入学定員、入学者数管理の在り方についてです。 この四月から所得制限なしで私立高校の授業料支援が、私立授業料の全国平均相当額である四十五万七千二百円へと拡充され、実質無償化となりました。 本県において、この政策が与える影響がどのようなものであったか、近年のトレンドと併せて現状把握、情報共有させていただきたく、平成三十一年から令和八年までの私立と公立それぞれの定員、入学者数について、参考資料一にお示ししております。 まず、定員については、公立は中学校卒業見込み者数の減少のペースに合わせて減らしているそうですが、私立は徐々に減らしているものの、減少率を見ると公立ほどは定員を減らしていません。 また、入学者数については、公立は減少トレンドであるのに対して、私立は急速に持ち直し、令和八年は近年最高の水準になっています。 さらに、定員を実際の入学者数でどれだけ満たしているかを表す定員充足率については、平成三十一年に比べて令和八年では公立も私立もばらつきが大きくなっていますが、とりわけ私立の中でも、定員をはるかに超える入学者数を得ている高校の存在により、私立高校の中でもより差が広がっている状況がうかがえます。 公立と異なり、私立が定員よりも多く合格者数を出すことについては理解できます。公立と私立を併願した学生が、公立に合格したら公立に進学することを想定されているからです。 しかし、定員を超えてどれだけ合格者数を出せるか、定員充足率の上限の在り方については考えなくてはならないと思います。 すなわち特定の学校が定員を大きく超えて入学させた場合に何が起こるかについてですが、まずは、当該私立高校内の学生、保護者の満足度の低下、急に学生数が増えることになるので、教員一人当たりの学生数が増え、どうしてもケアが薄くなります。教員の負荷も急に増えることから増員、また、教室、スクールバス等の急な設備投資も迫られ、さらにその投資を無駄にしないようにと、次年度以降も同等の学生数を入学させようという動機づけになります。 これにより、公立のみならず定員割れしているほかの私立高校の経営も圧迫され、公立、私立問わず学校の統廃合が加速することが想定されます。 私は、人口減少局面において、学校の統廃合は教育の質を保つために仕方ない側面もあると思いますが、高校がなくなった地域は人口減少が進むことも実証的に示されており、学校の統廃合を最小限にしていくことが行政の責務だと考えます。人気校への集中により、山口県の産業を支えるような技術分野に進学する学生数が減少することも懸念します。 なお、募集定員の目安などについて話し合う県教委や私立高校などの関係者で構成される連絡協議会は多くの都道府県にありますが、本県と同様の事象が起こっている長野県においては、この連絡協議会とは別に、定員や教育内容などを議論する会議を今年度新たに立ち上げられるそうです。推察ですが、公立高校を抱える教育委員会と私立高校の二者は競合するわけで、より俯瞰的な立場に立った新しい枠組みでの会議の設立は意義あるものと思いました。 そこでお尋ねします。公立高校において、相対的に定員、入学者数が減少していることや、特定の私立が定員を大幅に超えた入学者数となっている実態を踏まえ、県内高校の定員、入学者数管理の在り方について、どのように考えていかれるのか御所見を伺います。 さて、公立と私立の経済面での有利不利は薄まり、より切磋琢磨していくことが求められますが、公立高校の競争戦略について、弱みと強み二つの観点からお尋ねします。 まず、公立高校の弱みとなっている高校生への通学支援についてです。 前提として、郷土愛を育もうとする、やまぐちPRIDEの醸成など、県の教育の理念、方向性についてはすばらしいと思っていますが、今や採用活動、就活においても、福利厚生や給与など実利面を重視してマッチングする傾向が強まっています。高校間の競争においても、施設や設備が新しくてきれいだからといった実利的、外形的なことで私立高校を選ばれる方も多いです。公立高校においても、トイレの洋式化、エアコンの設置など、施設整備にこれから本格的に力を入れられるということについては大いに期待しているところです。 ただ、私が実利的、外形的なことで、私立との差が特に開いていると感じるのが通学への支援です。 入学者数を伸ばしている私立高校は、スクールバスを遠くまで市域をまたいで出しており、公共交通よりも低料金かつ移動時間は短く利用できる場合がほとんどです。公共交通に配慮せざるを得ないという点においては、公立と私立は公平な競争環境にはなく、公立に通う学生に対しては、公共交通を利用するに際しての通学支援が市町ごとにばらばらに行われていることが実態です。 山口市における現状を示す参考資料二を御覧ください。 高校が集積する山口市中心部に学生がバスで通うケースで、区間ごとの実質負担を比較しております。 私立の学生は、スクールバスで同一の料金で利用することができますが、公立の学生は、学生用のフリーパスで公共バスを利用するのが経済合理的な手段となります。新山口から山口市中心部を挟んで、仁保・宮野の区間は、JRとの競合の関係で、バス会社はお得なフリーパスを設定されていますが、そこから外れた区間、ここに例示している秋穂あるいは徳地から高校が集積する山口市中心部へバスで通う場合は、全線フリーパスを利用することになり、大きく負担が増えることになります。秋穂、徳地などの周辺地域においては、高校で学ぶことのできる内容ではなく、金銭的にも時間的にも効率のいいスクールバスが来るからという理由で私立高校が選ばれるということが実際に起こっています。 さらに、秋穂と徳地、過疎地域の中でも状況は異なっておりまして、その理由は補助金です。 県においては、県立高校の再編整備により居住地域に県立高校がなくなった地域において、募集停止後から五年間、月一万円を上限に補助する制度を行われています。県の支援期間終了後はどうなっていくかということですが、山口市の場合、同等の支援措置を市の独自予算で継続されるそうです。これによって、かつて高校のあった過疎地域、例えば徳地と、そうでない過疎地域、例えば秋穂の間で、同じ市内であるにもかかわらず、通学費の格差が残り続けることは問題と考えます。 県におかれては、遠距離通学する学生に対する支援制度の創設を国に要望されていることは存じておりますが、実現するのを待っている間にも通学手段を理由とした高校の選択は進みます。 昨年の高校生県議会では、中山間地域と都市部を結ぶ合同スクールバスが提案されました。私からは、公立においては公共交通に配慮しなければならない事情と、山口県が全県一学区とされたことも踏まえて、全県で公共交通乗り放題となるお得な学生用定期を県がJRやバス会社とタッグを組んで造成することを提案いたします。これにより、通学格差の解消だけでなく、休日には都市が分散している山口県を公共交通で巡ってもらう機会を創出でき、まさに、やまぐちPRIDE、郷土愛の醸成につながるものと考えます。公共交通利用の習慣化により、社会人になってからの公共交通の利用促進にもつながります。既に高齢者は、一回百円で乗車できる仕組みもあちこちである中、こどもまんなか社会と掲げるならば、広域に移動する必要性の高い高校生にも焦点を当てていただけたらと思います。 県においては、県域の公共交通ビジョンを策定するため、この六月に山口県地域公共交通協議会を設置され、その第一回が開催されたところです。ぜひ、通学支援の在り方を含めた議論になることを期待しております。 そこでお尋ねします。私立高校との通学格差、地域間での通学格差などの実態を踏まえ、国への要望と並行し、高校生への通学支援の必要性をどのように考えておられるのか、また、県においても部局横断的に考えていく必要があると思いますが、通学支援の観点を踏まえた公共交通の在り方について、どのように捉え、取組を進めていかれるのか御所見をお伺いします。 次に、公立高校の強みをどのように伸ばしていくかという観点から、地域産業と一体となった公立高校の魅力化・特色化についてお尋ねします。 本県に限ったことではありませんが、全国一斉の動きにも見えるデジタル教育、DX人材育成の推進については懸念するところもあります。本県においても、昨年度は県立大学に情報社会学科を設置され、また、山口中央高校にはデジタル創造科を設置する計画であるなど、流行を捉えた動きがあります。 ただ、デジタルを学んだ先にどこで働くことになるのか。人口の東京一極集中は言わずと知れたことですが、産業でいえば、最も東京への集中度が高いのが情報通信業、IT産業です。 令和七年国勢調査によると、日本における東京都への人口集中率は一二%程度ですが、令和六年経済センサス基礎調査によると、情報通信業の従業者数の約五六%が東京都に集中し、人口よりもはるかに高い集中率でIT産業従事者が東京に集中していることから、デジタル人材は都市部に流出する可能性が高いと考えます。加えて、昨今のAIの急速な進化の中、プログラミングなどで行う仕事の価値は下がり始め、真に必要とされるデジタル人材への道は狭き門となり、デジタル人材の就職市場は急速にしぼむリスクもはらんでいます。 他方、本県に目を移しまして、文部科学省のデータで、高校新卒者の大学等進学率を見てみますと、山口県は令和五年で六一・七%と全国で最も低く、また、二〇四〇年の大学進学率も全国最下位になると推計されています。 しかし、これは弱みではなく、産業県である本県の特徴と捉えることができます。 裏を返したデータですが、高校卒業予定者の就職率は全国トップレベルに高く、令和六年度の山口県内高卒者求人倍率は過去最高の二・八倍などのデータが示すとおり、地元で安心して働くことのできる環境があるということです。 私としては、本県ならではの公立高校の強みは、地域産業との密接な関係であり、地域産業とこれまで以上に融合した教育を推し進めることが、本県ならではの公立高校の魅力化・特色化につながると考えます。それには、地域産業と学生のより一層の接点づくりが必要との考えで、三つほど例として提案します。 まず、高校生インターンシップの推進です。 高校生は、学校あっせんによる一人一社制にのっとった採用が主流なのですが、高校卒就職者の三年以内離職率は大学卒に比べると高くなっており、就職後のミスマッチを防ぐ意味でも、事前にお互いを知ることのできるインターンシップは有効と考えます。 既に、工業系の多くの高校でインターンシップは実施されていますが、教員のサポートの下、グループで各高校に比較的近い協力企業において実施するインターンシップであり、基本的にはインターンシップするのは一社で、必ずしも第一希望の企業でできるわけではないということを伺っています。 一方、県も関わる山口県インターンシップ推進協議会によるインターンシップは、大学生や高専生を対象にしたもので、現在、五百七十一もある登録事業所に対し、学生が夏休みの間などに自発的にインターンシップに申込みができ、旅費の助成も受けられる環境が整っています。 高校生が、高校側の管理の手を離れ、大学生のように興味のある企業に自発的にインターンシップに申し込み、参加できる環境を整えてはいかがでしょうか。 二点目は、寄附講座、寄附研究の活用です。 大学ではよくありますが、学校にとっては資金面でメリットがあり、企業、学生にとってもマッチングにつながることから、公立高校においても地域産業との関係性を深めるために効果的と考えます。 その際、お勧めしたい制度が企業版ふるさと納税の活用です。企業版ふるさと納税は、お金の寄附だけではなく、人材派遣型の寄附というのもありまして、企業人材を常勤でも副業でも学校へ派遣でき、企業は派遣された方の報酬分を節税することができます。 三点目は、県内企業が高校に対して行う求人への支援です。 企業の方からは、地域企業の存在を学生に知ってもらう普及啓発系のイベントは行政でよく開催されており、それはそれでありがたいことなのですが、その場ではインターンや求人募集はできなくて、採用に近い部分での支援にもっと力を入れてほしいとのお声を頂きます。高校で流行する求人票アプリについても、企業が支払うアプリの利用料によって宣伝のされ方が全く異なるわけですが、県内中小企業は大手ほどの資金は割けないため、大手に学生を持っていかれると危機感を抱かれています。 そこでお尋ねします。高校においては、地域産業を受け入れる素地をどれだけ整えていくことができるのか、また、産業側においては、高校生との接点づくりなど、県として後押ししていくことが本県ならではの公立高校の魅力化・特色化のみならず、地域人材の輩出と定着、地域産業の活性化に重要であると考えますが、御所見をお伺いします。 最後に、ふるさと住民登録制度についてです。 まだ、認知度はそれほどではないかもしれませんので、簡単に御紹介いたします。 ふるさと住民登録制度は、総務省主導で二〇二六年度内に全国運用開始予定であり、利用者は実際に住んでいないけれども、関係を深めたい自治体に、ふるさと住民として登録することができます。ふるさと住民登録制度の創設によって、自治体によって定義がまばらであった関係人口が、統一された基準で初めて可視化されることになります。 今や一兆円を超える市場となったふるさと納税も、故郷やゆかりのある地域を応援しようという関係人口をターゲットに創設されましたが、このふるさと納税がお金による地方の応援であるならば、実際に現地に赴いて活動によって地方を応援する方を募る、これを実現する制度が、ふるさと住民登録制度です。 ふるさと住民の登録には、ベーシックとプレミアムの二種類ありまして、ベーシック登録については、要件や登録可能な自治体数の制限はなく、登録者に対して各自治体の情報提供等がなされます。 肝腎なのは、プレミアム登録のほうでして、プレミアム登録できるのは一人三自治体まで、要件としては年三回以上、自治体が指定する担い手活動を実施することとなっています。自治体はプレミアム登録者に対し、交通・宿泊費の補助や公共施設の住民並み料金での利用などのインセンティブを設定して付与することができます。プレミアム登録者を獲得していくことが、人口減少が進む地域の担い手不足の解消、観光需要の増加、移住・定住の促進などにつながります。 このふるさと住民登録制度の全国運用開始に向け、総務省は実証するための自治体を公募したのですが、本県においては美祢市が選定され、課題や県に期待することなどを聞いてまいりました。 美祢市のような小規模自治体では、宿泊施設に乏しく、プレミアム登録者を宿泊費補助などで支援しづらいこと、大都市圏近郊などアクセスしやすい自治体にプレミアム登録が集中するのではないかなどの懸念点を持った上で総務省と意見交換をされており、県に期待するところとしては、出先機関での広報はもちろんのこと、県や各市町における登録者情報の共有ということを挙げられました。 何を意図されているかといえば、例えば、プレミアム登録のために、果樹に興味があって援農の担い手活動をされた方は、別の自治体でも援農の担い手活動をする可能性が高いので、効果的に情報を共有・活用することで、県域で周遊を促すようにふるさと住民を集客できるのではないかということでした。こうした御意見、ぜひ、参考にしていただきたいと思います。 さて、先ほど申し上げたとおり、プレミアム登録は一人三自治体までです。プレミアム登録の乗換えには、時間、お金もさることながら、心理的障壁も考えられることから、早期のプレミアム登録者の獲得が重要かつ有効であると考えます。 そのため、プレミアム登録のために少なくとも三回現地に行く必要があるというハードルをいかに和らげるか、そして、プレミアム登録に必要な担い手活動の案件をいかに掘り起こし、受入れ体制を整えておけるか、どのように集客するかといった課題があります。 対応策を二つ提案いたします。 まず、ふるさと納税の活用です。 ふるさと住民登録制度のガイドラインを読み解くと、ふるさと納税の返礼品として、現地までの移動費も含む担い手活動つきの体験型ふるさと納税返礼品は提供可能であると解釈でき、寄附者に対し移動費の負担を和らげることができます。 ふるさと住民の獲得に向け、こうした返礼品開発は各地で進むものと予想しますが、民間にだけ任せてできることでもありません。担い手活動は、援農やボランティアなど多岐にわたり、部局あるいは市町を横断した案件の掘り起こしが必要ですし、担い手活動を提供する民間側への支援も不可欠です。 提案その二は、既存事業とのシームレスなつなぎ合わせです。 実は、ふるさと住民登録制度と似た政策を山口県では先んじて行っております。総合企画部において、二〇二〇年度から実施されている関係人口来県補助金、現在も継続しており、担い手活動としてカウントし得るものです。 同じく、二〇二〇年度から環境生活部で実施されてきたのは、NPOなど県民活動団体を支援する県外プロボノワーカーに対して旅費を補助する制度。私が知る限りでも、一度現地に支援に来られた方のリピートも多く、プライベートでも支援団体を訪ねて来られたり、別の年度に支援する団体を変えて来県いただけたりするなど、まさに関係人口中の関係人口、プレミアム登録者に非常に近い存在です。 ただ、今年度から、プロボノワーカーについては、旅費の補助もなくなり、既存の関係人口とのつながりが希薄化することも懸念される中、山口県が既存事業で培ってきた関係人口とのつながりを無駄にすることなく最大限活用し、関係人口という無形資産をふるさと住民登録制度へと円滑に移行させていくことが不可欠だと考えます。 そこでお尋ねいたします。本年度内に運用開始が見込まれる、ふるさと住民登録制度、ぜひいいスタートダッシュを切っていただきたいと思いますが、そのために県は課題をどのように認識され、準備されていかれるのか御所見を伺いまして、私の一般質問を終わります。(拍手) 副議長(河野亨君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)藤生議員の御質問のうち、私からは通学支援の観点を踏まえた公共交通の在り方についてのお尋ねにお答えします。 バスや鉄道などの地域公共交通は、高校生等の通学や、買物、通勤など、県民の日常生活はもとより、地域の経済活動や観光振興においても重要な役割を果たしています。 しかしながら、人口減少や高齢化が進む中、利用者の減少や運転士不足に起因するバス路線の廃止、減便など、地域公共交通を取り巻く環境は極めて厳しく、その維持・活性化は喫緊の課題となっています。 このため、今月、お示しの協議会を設置し、官民一体となって議論を開始したところであり、今後、委員の皆様からの御意見に加え、市町との意見交換や住民アンケートの実施など、幅広く意見を求めながら、地域公共交通が抱える課題や目指すべき将来像等を取りまとめていきます。 こうした中、自動車免許を持たない高校生にとって、地域公共交通は、通学をはじめとする日常生活に欠かせない移動手段であり、その維持・確保や利便性の向上は、重要な課題の一つとして本協議会で議論していきたいと考えています。 私は、今後とも、市町や交通事業者等はもとより、教育委員会とも緊密に連携し、協議会での議論も踏まえながら、地域公共交通が高校生をはじめとした地域住民等の移動を支える基盤として維持できるよう、全力で取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 副議長(河野亨君)内藤農林水産部長。 〔農林水産部長 内藤雅浩君登壇〕 農林水産部長(内藤雅浩君)新規就農支援についてのお尋ねにお答えします。 担い手の減少や高齢化が進行する中、本県農業を持続的に発展させていくためには、次代を担う新規就農者の確保と定着が重要であることから、県では、日本一の担い手支援策を展開しており、毎年百名程度の新規就業者を確保するとともに、八割を超える定着率を実現しているところです。 しかしながら、多くの産業で人手不足や雇用の流動化が進む中で、新規就農者に農業を継続してもらうためには、就農前に経営ビジョンを明確化し、必要な準備を進めるとともに、就農後の経営を軌道に乗せ、定着が図られるよう、各段階に応じた支援を行うことが重要です。 このため、まず、就農前においては、経営ビジョンの明確化に向け、就農希望者の意向や適性を十分に踏まえた上で、市町やJAと連携しながら、就農地域、栽培品目の選定や研修計画の策定等を支援するなど、きめ細かい助言や指導を行っています。 また、地域計画の見直しの中で、就農希望者が営農に適した農地を借り受けられるよう、地域での合意形成を図りながら、市町や中間管理機構との連携の下で、優良農地の確保や遊休農地の再生・整備を進めています。 なお、お示しの就農準備資金は、最長二年の研修後の確実な就農に向け、明確化したビジョンに沿った経営ができるよう、技術習得等の研修を支援する資金です。 このため、県では、就農希望者の意向をベースに市町やJAと連携し、研修先の調整を行うなど、引き続き必要な支援を行ってまいります。 次に、就農後においては、特に、経営開始時の収益の確保が重要であることから、コスト削減につながる中古の農業機械や施設の利用促進、早期の技術確立のための伴走支援などを行っています。 加えて、移住就農者が地域内で孤立しないよう、地域の実情に詳しい指導農業士等で構成する新規就農サポーターズと連携し、就農者に寄り添った対応や、仲間づくりをサポートすることとしています。 県としては、引き続き、市町や関係団体等と連携しながら、新規就農者の確保・定着に一層取り組んでまいります。 副議長(河野亨君)東産業労働部長。 〔産業労働部長 東泰宏君登壇〕 産業労働部長(東泰宏君)地域産業と一体となった公立高校の魅力化・特色化についてのお尋ねのうち、産業側における高校生との接点づくり等についてお答えします。 DX・GXの進展や人手不足の深刻化など、企業を取り巻く環境が大きく変化する中、本県産業が活性化していくためには、これを支える産業人材の確保・定着が不可欠です。 中でも、新規高卒就職者は、直ちに地域産業の担い手となる貴重な存在であり、若者の県内就職・定着に向けて、地域産業と高校生のより一層の接点づくりを進めていくことが重要です。 このため県では、大学生等を対象とした山口しごとセンターへの登録を、高校進学時から生徒、保護者に積極的に働きかけ、登録者の拡大を図るとともに、センターのサイトの掲載企業数の拡大や、就職・キャリア情報、保護者向けイベント情報等の充実を図っています。 また、高校生を対象としている就職説明会では、教育委員会等と連携し、無料送迎バスの運行を支援するとともに、その車中で生徒や保護者に対して、県内就職のメリットを丁寧に伝えるなど、幅広く県内企業を知った上で進路選択できるよう取り組んでいます。 加えて、若者は、県内企業を知っているほど就職先として魅力を感じ、また、高校時代までに地元企業を知っている人ほど県内就職を希望する割合が高いという調査結果を踏まえ、小・中・高の各年代に対応した取組も展開しています。 具体的には、小学生向けには仕事体験型イベントを開催し、中学生向けには県内企業を巡るバスツアーを実施して、子供たちや保護者が楽しみながら、県内企業の魅力を体感する機会を提供します。 さらに、高校生向けとして、特産品を活用した地域の魅力発信など様々な課題について、県内企業と協働探究する課題解決プログラムを実施し、こうした取組を通じて、保護者も含めて県内企業への理解を深め、将来の職業選択につながる機会を創出します。 県としては、引き続き、教育委員会や関係機関と連携の下、若者の県内企業への就職・定着に向け、地域産業と高校生のより一層の接点づくりに積極的に取り組んでまいります。 副議長(河野亨君)藤井総合企画部長。 〔総合企画部長 藤井将志君登壇〕 総合企画部長(藤井将志君)ふるさと住民登録制度についてのお尋ねにお答えします。 人口減少が急速に進み、地域の活力低下や担い手不足が懸念される中、その克服には、移住の推進とともに、その裾野となる関係人口の拡大が重要です。 このため、県では、市町等と連携し、東京に開設した山口つながる案内所での会員登録や、農作業等の体験型プログラムの開催支援、地域活動を行う際の交通費支援などの取組を進めてまいりました。 こうした中、国において、関係人口の拡大により担い手不足の解消を図ることなどを目的に、住所地以外の地域で住民活動を促進する、ふるさと住民登録制度の運用を今年度内に開始することとしたところです。 今後、本制度の効果的な活用を図り、地域課題の解決につなげていくためには、一定の要件が課せられているプレミアム登録を多くの方々にいち早く活用していただくよう取り組んでいく必要があります。 そのためには、担い手活動の他県との差別化や活動参加へのインセンティブの提供などが、現時点での課題と考えられ、その対策を講じてまいります。 まず、他県との差別化については、本県ならではの自然や文化などを活用した魅力的な担い手活動を掘り起こし、これをSNS等様々な媒体を通じて広く発信することにより本県を選んでいただくよう取り組みます。 また、インセンティブの提供については、継続的な来県を促すための交通費支援のほか、滞在中、円滑に活動していただけるよう受入れ体制を検討し、多くのリピーターの獲得に努めてまいります。 こうした考えの下、今後、市町等と情報共有し、準備を進めるとともに、美祢市等のモデル事業の成果や課題なども踏まえ、お示しのふるさと納税返礼品の提供や既存事業で培った関係人口の活用も含め、さらなる対策を検討してまいります。 県としては、市町等と連携しながら、ふるさと住民登録制度の効果的な活用が図られるようしっかりと準備をし、移住につながる関係人口の拡大に取り組んでまいります。 副議長(河野亨君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)教育に関する数点のお尋ねのうち、まず、高校の入学定員、入学者数管理の在り方についてお答えします。 中学校卒業者数の継続的かつ急激な減少により、学校の小規模化が見込まれる中、県立高校における教育の質を確保していくためには、学校・学科の再編整備を進めるとともに、適切な入学定員を設定していくことが重要であると考えています。 このため、県教委では、中学校卒業見込み者数を基本的な要素とし、私立高校も含めた県全体の高校等の配置バランスを見るとともに、関係者の声も幅広くお聞きしながら、中学生の進路希望、地域の実情、高校生の進路状況などを踏まえて、原則として入学させることができる最大の人数として県立高校の入学定員を設定しているところです。 一方、私立高校におきましては、それぞれの建学の精神や教育理念に基づき、特色ある学校づくりに取り組んでおられるところであり、各学校の募集人員、入学者数につきましても、独自に判断されているものと認識をしています。 県教委といたしましては、私立高校のいわゆる授業料無償化の影響を見極めつつ、引き続き生徒数の推移や生徒のニーズ、地域の状況等を踏まえ、県立高校の適切な定員の設定に努めてまいります。 次に、通学支援の観点を踏まえた公共交通の在り方についてのお尋ねのうち、県立高校の生徒への通学支援についてお答えします。 社会が大きく変化し、生徒の興味・関心や目的意識等が多様化する中、住んでいる地域にかかわらず、希望する高校を選択できるよう教育環境を整備していくことは、大変重要であると考えています。 このため県教委では、これまで第三期県立高校将来構想に沿った再編整備に係る通学費支援に取り組むとともに、政府要望等において、中山間地域等から遠距離通学する生徒に対する支援制度の創設を国に要請してきたところです。 お示しの遠距離通学者に対する支援を恒久的な制度として展開するためには、将来にわたる安定的な財源の確保はもとより、市町との役割分担や各地域の民間交通事業者に及ぼす影響などについて関係部局と緊密に連携し、多角的な観点から丁寧に検討していく必要があると考えています。 こうした中、今年度、山口県地域公共交通協議会が設置され、全県的な議論が開始されたことから、通学の利便性向上に向けて、高校生の居住や通学の実態、県立高校の再編整備に伴う影響など積極的な情報提供に努めることとしています。 県教委といたしましては、今後とも関係機関等と連携し、通学支援の充実を図るなど、生徒や保護者に選ばれる魅力ある学校づくりを全力で推進してまいります。 次に、地域産業と一体となった公立高校の魅力化・特色化についてのお尋ねのうち、高校における地域産業受入れの素地についてお答えします。 ものづくり産業が盛んな工業県であることや、高校卒業者の就職率が高いことは、本県の特徴であり、公立高校の魅力化・特色化に向けて、特に専門高校においては、地域産業と連携した教育活動を一層推進することが重要であると考えています。 このため、県教委では、高校生が県内企業のよさを主体的に学ぶ機会を設けるとともに、就職におけるミスマッチを防ぐため、インターンシップや応募前職場見学等を計画的に行っているところです。 また、お示しの本県公立高校の強みである地域産業との密接な関係を生かし、今年度から新たに高校と地元企業が協働して課題解決型学習を行う、企業から学ぶ!専門高校ローカル×テック探究プロジェクトに取り組み、産業界から求められる社会の変化に柔軟に対応できる人材の育成を図ることとしています。 具体的には、例えば、周南コンビナートの脱炭素化の現状と課題について、地元企業の専門的な知見を有する方の伴走支援の下、生徒が主体となって解決策を考える学習などに年間を通して取り組みます。 県教委といたしましては、これらの事業をさらに充実させ、地域や企業との連携をより強固にすることで、公立高校の魅力化・特色化を図るとともに、本県産業の発展に貢献する人材の育成に全力で取り組んでまいります。 副議長(河野亨君)本日の一般質問及び提出議案に対する質疑は、これをもって終了いたします。 ───◆─・──◆──── 副議長(河野亨君)以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 本日は、これをもって散会といたします。 午後二時五十六分散会