1 中東情勢の影響と今後の対応について 2 生活困窮者・高齢者支援について 3 カスハラ対策について 4 ドクターヘリの持続可能な運用について 5 高校教育改革について 6 安心・安全で快適な自転車利用の推進について
議長(柳居俊学君)前東直樹君。 〔前東直樹君登壇〕(拍手) 前東直樹君 おはようございます。公明党の前東直樹でございます。 それでは、公明党を代表いたしまして質問をいたします。よろしくお願いいたします。 最初に、中東情勢の影響と今後の対応についてお伺いをいたします。 日本では近年、記録的な円安による輸入コストの上昇、新型コロナ収束による国際的な需要の増加や、ロシアによるウクライナ侵攻などによる国際的なエネルギー・資源価格の高騰、そして、慢性的な人手不足による人件費・物流費の上昇という三つの要因が複合的に絡み合って物価高が引き起こされています。 こうした中で、さらには令和五年十月のイスラエルとハマスの衝突以降、中東では地域大国であるイランとイスラエルによる直接交戦や、米軍によるイラン領内への攻撃などが発生。戦火は中東全域へ拡大をいたしました。 現在、収束に向かうとの報道はあるものの、幾度となく停戦合意が覆されてきた現状を踏まえれば、いまだ不安定な状況にあり、国際情勢は引き続き緊迫した状況にあります。 こうした中、先日、日銀が発表した五月の国内企業物価指数は、前年同月比で六・三%上昇し、三年二か月ぶりの高い水準となりました。 この背景には、中東情勢の悪化があり、原油やナフサの値上がりで、ガソリンなどの燃料油や石油化学製品などの価格が上昇したことが影響したと言われております。 私たち公明党も、中東情勢に伴う原油価格高騰の影響を把握するための調査を共同実施、一か月余りで全国一万二千件を超える現場の声を頂きました。 その結果、原油・原材料費高騰の影響を受けていると答えた法人は、大きく影響が五七・七%、やや影響が二五・九%で、合わせると八三・六%。個人では、同様に、大きく影響が五六・九%、やや影響が三五・八%で、合計合わせると九二・七%となり、個人・法人ともに影響が大きく、具体的な対策が求められている切実な状況が明確になりました。 具体的な例を取り上げると、物流の分野では、自動車・トラック整備などに必要となる潤滑剤(グリス)の供給が途絶え始めている、トラックなどディーゼル車両の排出ガスを浄化する尿素が国際的に値上がりし、手に入りづらくなっている、エンジンオイルの枯渇で車検の受注が滞るほか、板金塗装に必要な塗料に使われるシンナー不足で作業ができないとの声も上がっております。 また、農林水産分野では、各種資材のほか、飼料や燃料、電気の価格高騰が経営を圧迫しているとともに、建設分野では、塗料の不足により鉄骨塗装の供給の制約が、医療現場では、医療用手袋の供給が減り、受注制限も起きている。消毒などに使うアルコール綿の値上げ交渉が打診されているなどの声が上がっています。こうした医療分野とともに、介護・福祉分野では、公定価格のため価格転嫁ができないという状況であり、多くの分野で広く影響が起きている現状にあります。 政府も、原油の確保や石油関連製品等の流通の目詰まり解消に向け懸命に動いていると聞いてはおりますけれども、現場では事業者の苦境は続いております。 本県経済は、瀬戸内の石油価格コンビナート企業群が屋台骨となり、三万社を超える中小企業が支えております。 本県のコンビナートは、エチレンなど国内有数の中間素材供給拠点であり、中東情勢の緊迫化により、その事業活動が停滞すれば、最終的には自動車や家電、衣料、建材など国民生活全体に大きな影響を与えることになります。 また、石油から派生する樹脂やゴム、部品、塗料、包装資材などの原材料コスト、エネルギーや燃料コストの上昇は全産業に波及するため、経営環境の変化を受けやすい中小企業は特に影響が甚大となってまいります。 このように本県産業への影響の大きさを考えると、中東情勢への対応は決して企業任せにできるものではなく、その実態を県としても把握し踏まえながら、円滑な企業活動の維持に向けて必要な対策を講じるとともに、国の動きに呼応しながら、各般の物価高対策を着実に推進する必要があります。 そこでお尋ねをいたします。県は緊迫化した中東情勢を踏まえ、今後、事業者への支援にどのように取り組むのか、御所見をお伺いいたします。 次に、生活困窮者・高齢者支援についてお伺いをいたします。 近年の物価高は、生活必需品をはじめとして、国民生活の様々な分野で負担が増している状況にあります。こうした負担は、低所得者層や子育て世帯、さらには生活困窮者や高齢者層にも大きな影響を与えています。 県では、生活困窮者や高齢者に対し様々な支援に取り組まれておりますが、物価やエネルギー価格が高止まりする中で、私は制度上、運用上の様々な課題が顕在化していると感じております。 生活困窮者に対しては、住まいの確保と就労支援により自立を促すことを基本としておりますが、給付水準は物価上昇に対して自動調整されず、自立可能なラインが実質的に上がっている。また、就労しても低賃金層の実質所得は低下することになり、ワーキングプアの拡大につながっている状況にあります。 また、高齢者は、そもそも就労自体が難しい部分もあるほか、受けるべき福祉の環境も、背景に地域包括ケアの慢性的な担い手不足があり、物価高や他業種との賃金格差の影響を受け、人材確保がさらに困難となっております。低年金や光熱費・食料費の上昇により、健康維持、介護の提供以前に生活維持が困難となっており、栄養低下から要介護化が進行する懸念も出てまいります。 このように物価高が長期化する中で、こうした生活弱者等の支援に向けた前提条件自体が崩れつつあります。制度上、国の対応が必須な事柄もあるとは思いますが、まずは地方でできることから進めることが肝要であります。 そこで、生活困窮者に向けては、まずは物価高対策により、生活コストの負担を軽減する施策を着実に実行することが重要であるとともに、中長期的な対策として、市町や団体と連携して生活困窮者に寄り添い、就労や家計改善などを伴走支援することが求められています。 あわせて、生活弱者を支える制度について、積極的に利用し活用できるよう周知をしていくことも重要であると考えます。 例えば、この四月には、改正民法が施行され、離婚時に取決めがなくても養育費を暫定的に請求できる法定養育費が創設されるなど、様々な事情から養育費が支払われず、独り親世帯が困窮する一因であった養育費に関するルールが見直されました。 同時に、煩雑であって負担の大きかった公正証書や裁判所の調停による公文書での債務名義の必要性を改め、他の債権者よりも優先して差し押さえ回収ができる先取特権が付与され、債務名義がなくても父母間の取決め文書のみで差押手続を申立てできるようになりました。 県では、いち早く独り親家庭の養育費履行確保支援事業を行い、養育費に関する相談窓口を設置し、公正証書の作成や養育費請求調停、養育費の強制執行等の申立てについて補助を行っており、私は高く評価しているところであります。 このたび、こども家庭庁で法定養育費を請求できる改正民法の施行を受け、給与や財産を差し押さえる手続に必要な費用を支援する自治体に半額を補助する制度を創設をいたしました。 県におかれましても、改正に合わせて、さらに独り親家庭の養育費履行確保支援のための制度充実や周知をお願いしたいと思います。 また、高齢者に対しては、地域包括ケアシステムの維持・強化を図るとともに、公定価格のため価格転嫁できない介護施設等に対する物価高対策や処遇改善を推進し、介護サービス提供体制の確保を図ることが必要となります。また、昨今の単身高齢者の増加を踏まえ、収入の補完や孤立防止に向けて、就労や社会参加の促進も求められてまいります。 あわせて、身寄りのない高齢者が増加する中、認知症などで判断能力が不十分な人を支える成年後見制度も、今までの実態に合わない利用しづらい部分について見直しが検討され、本人の意思尊重を明確化し使いやすい制度へ転換していくための法改正が行われました。 こうした制度も改正に合わせて利用が進むよう、県としても一層の周知をお願いしたいと思います。 そこでお尋ねいたします。物価高が長期化する中、県は生活困窮者や高齢者の支援に今後どのように取り組むのか、御所見をお伺いいたします。 続いて、カスタマーハラスメント、いわゆるカスハラ対策についてお伺いをいたします。 カスハラ対策については、これまで我が公明党会派として、曽田聡議員と共に、県の知事部局や教育委員会に対し、職員や教員を守り、健全な就労環境、教育環境を実現するため、各組織におけるカスハラ対策を求めてまいりました。 県としましては、こうした我が会派の声にも応え、県職員向けのカスハラ対応方針の策定や学校現場向けのガイドラインの策定を表明。これにより、各職場においてカスハラに対応した働きやすい職場環境づくりが進むこととなりました。改めて県執行部、教育委員会の対応に敬意を表するところであります。 その上で、今後は、その対応方針並びにガイドラインにより、実際に職場の負担が軽減していくよう実効性を高めていく取組の段階となります。 例えば、大きな問題が実際に発生した際に、結局は出先機関や学校現場のみで対応しなければならないとなれば、実質的な負担は今までと変わらないというケースも出てくるかもしれません。これでは絵に描いた餅になってしまい、健全な就労環境、教育環境を実現するという目的を達成することはできません。 やはり適時適切に担当を変更したり専門的な対応を図ったり、時には本庁及び教育委員会で対応したりするなど、対応方針並びにガイドラインの策定により負担が大きく軽減された、就労環境、教育環境がよくなったと実感できるよう、現場の声、実態にしっかりと耳を傾け、有効な対策を重ねながら、最終的にはカスハラ問題に対する理解を得て低減をしていくように、不断の見直しを進めていっていただきたいと思います。 そうした中で、残るのは社会全体、企業の現場におけるカスハラ問題であります。 先日、三重県においては、カスハラ防止のため、全国で初めての刑事罰を盛り込んだ条例の策定を制定することが発表されました。カスハラを犯罪と位置づけ、より強い防止効果を狙ったもので、事業者や労働組合からは高い評価を得ているとのことであります。 こうしたカスハラを防ぐための条例は、全国で十五自治体に広がっており、今後も各自治体の議論、そして、カスハラ問題に対する理解に影響を与えていく可能性があると思います。 私は、こうした条例化もカスハラ撲滅のための手法の一つと評価する一方で、難しいのは、各地域によって産業の構造、消費者の性向、企業の体制・ニーズも様々である点にあります。 また、消費者が正当な意見、権利を主張することに萎縮する可能性もあり、多角的な立場から検討が必要であると考えます。 行政に一番求められるのは、社会全体にカスハラ問題に対する理解を広げ、カスハラに苦しむ地域の企業や従業員を守ることであり、企業の意向を尊重しながら寄り添い、職場環境を守るための積極的な取組を後押しする姿勢にあると思います。 これまで、県職員や教職員向けに対応方針等を策定してこられた執行部が、そのノウハウを生かして、県内企業が安心して取り組めるようフォローアップを徹底していただきたい。 そこでお尋ねをいたします。カスハラ防止に関して、国や自治体で様々な取組が進む中、県は県内企業の実態やニーズをどのように把握し、従業員が安心して働くことのできる職場環境の整備に向け、今後どのように取り組むのか、御所見をお伺いいたします。 続いて、ドクターヘリの持続可能な運用についてお伺いをいたします。 ドクターヘリは、救急医療用の機器を搭載し、救急医療専門の医師、フライトドクターと看護師、フライトナースが搭乗して、救急現場へいち早く急行する救急医療専用のヘリコプターでありまして、単に患者を病院へ運ぶだけでなく、医師を患者の元へ最速で届けて現場で治療を開始することで、救命率の向上や後遺症の軽減に劇的な効果を上げているところであります。 公明党としましても、このドクターヘリの導入を強く推進し、本県においては、山口大学医学部附属病院を基地病院として、平成二十三年一月に全国で二十四番目のドクターヘリとして本格導入。令和六年度の実績で三百八件の出動要請に対し応需が二百七十三件。離陸からおおむね三十分以内で山口県内のほぼ全域へ到達でき、広域救急や僻地医療の場面で県民の健康と安全を守るため欠かすことのできない医療インフラとして取り組んでいただいております。 また、大規模災害時におけるドクターヘリの活動も重要でありまして、令和六年の能登半島地震では、道路が地割れや土砂崩れで通行できない中、八十四人の患者を空から搬送するなど大きな役割を果たしました。 こうした中、現在問題となっているのが、整備士不足や燃料費の高騰を理由に東京や大阪をはじめ十都府県で運航の停止や制限が相次いでいることであります。 全国的に見ても、整備士・操縦士の不足や養成機関の少なさ、円安の影響による更新期のヘリ機体の価格の上昇、訓練環境の確保などが課題となっております。 県では、今年度から今後のさらなる人口減少や高齢化を見据え、新たな地域医療構想の策定に着手するとされていますが、その検討の中で、手術等の急性期医療機能を担う医療機関を集約することなども示されています。 山口県においては、県内の約七〇%が中山間地であるとともに、離島も多いという地理的特性があり、ドクターヘリの必要性、依存度が相対的に高くなる傾向にありますが、急性期医療機関の集約化により、場合によっては僻地や離島などから急性期医療機関への搬送時間が延びることが懸念され、救急現場で医師が緊急処置を実施し、重篤度に応じて高度の医療を提供する基幹病院へ迅速に搬送するドクターヘリの役割は、地域医療に不可欠な命のインフラとしてますます重要になると考えます。 そこでお尋ねをいたします。今後、さらなる人口減少や高齢化が進行する中、今年度から策定する新たな地域医療構想を踏まえ、ドクターヘリの持続可能な運用について、県は今後どのように取り組むのか、御所見をお伺いいたします。 次に、高校教育改革についてお伺いをいたします。 県は、このたびの六月補正予算において、国の高校教育改革グランドデザイン(二〇四〇年に向けたN─E.X.T.(ネクスト)ハイスクール構想)で示された三つの新しい学校のイメージ類型に沿って、改革を先導する拠点校を創出するため高校改革基金を六十二億円積み増し、それを活用して関連事業を実施するとされております。 この新しい学校のイメージ類型とは、具体的には一つ目に、専門高校の機能強化・高度化(アドバンスト・エッセンシャルワーカー等育成)支援、二つ目に、普通科改革を通じた高校の特色化・魅力化(文理横断並びに理数系の人材育成)支援、そして三つ目が、地理的アクセス・多様な学習ニーズに対応した教育機会の確保を指しますが、この国のグランドデザインは、AIの実装などデジタル技術の目まぐるしい発展の中で、少子高齢化、生産年齢人口の減少、地方の過疎化が一層深刻化するであろう二〇四〇年を見据えるとともに、将来を正確に予測することが難しく、どのような未来が訪れるか分からないという状況の中で、生徒それぞれの多様な個性やニーズ、興味・関心に応じた学びを生かした自己実現を支え、生徒の可能性を広げ能力を伸ばすことを目的に、未来の労働市場、地方経済、イノベーションを興す力を底上げする起点として社会変化に対応する高校教育を実現するためのものであります。 本県では、折しも第三期県立高校将来構想、県立高校再編整備計画前期実施計画及び後期実施計画を策定し、高校改革を進めているところであり、今回、積立てを行う基金を活用し、国が進める大きな方向性との整合性を図りながら、生徒のニーズや進学状況、本県の産業構造や地域特性など、本県の実態を十分踏まえ、この厳しい社会経済情勢の中で、高い志を持ち、主体的に未来を切り開いていける人材の育成を力強く進めていただきたいと思います。 そこでお尋ねいたします。今回、高校改革基金を積み増しつつ活用し、各拠点校においてハード・ソフト事業を展開することとされておりますが、今回の国のグランドデザインを踏まえて、どのような人材を育成し、育成に向けて基金を具体的にどのように活用していこうとされているのか、県教委の御所見をお伺いいたします。 最後に、安心・安全で快適な自転車利用の推進についてお伺いをいたします。 本年四月から、改正道路交通法により、自転車の交通ルールが厳格化され、特に十六歳以上の運転者には、信号無視や一時不停止などの違反に対して、いわゆる青切符、交通反則通告制度が導入され、反則金が科されるようになりました。 これは、自転車が関係する重大事故が多発する中、死亡・重傷事故のうち約四分の三において自転車側に法令違反が認められたこと、また、信号無視や一時不停止などの危険運転が社会問題化してきたことから、自転車の交通ルールの遵守を強く促す必要が出てきたことにあります。 一方で、自転車が気軽に利用されてきた中で、スマホながら運転、イヤホン装着、傘差し運転、二人乗りなど、これまで日常的に行われがちだった行為も違反の対象となり、無自覚な違反で反則金が科されることに対する不安感、実際にどのようなケースで警告から青切符へ移行するのか、明確な基準が見えないことに対する警戒感もあると思われます。 また、自転車が車道を通行するのに環境が追いついていない状況の中で、交通ルールを遵守しようとして危険を感じるなど混乱も発生。さらには、報道では、法改正に伴う自転車ユーザーの無知に付け込んだ偽青切符詐欺、偽警察官詐欺まで発生するなど、不安に感じる県民の皆様もいらっしゃるかと思います。 こうした実態を鑑みると、環境の整備とともに、やはり免許を持たない層への教育と周知の徹底が重要であります。 例えば、高校や大学、企業などで、青切符の対象となる十六歳以上を対象とした自転車安全講習の実施や、自転車販売店やシェアサイクル事業者からの購入・利用者に対する普及啓発、SNSや動画などを活用した一目で分かる違反事例のPRなどが考えられます。 あわせて、偽青切符、偽警察官の取締りの徹底はもちろんのこと、その防犯啓発を強化することも欠かせません。 また、事例により判断が迷うような場合には、できる限り基準を明示、明確化していくことも大きな安心材料になると考えます。 例えば、例外的に自転車が歩道を走行できるケースとしては、道交法では、運転者が十三歳未満の子供、または七十歳以上の高齢者の場合や、車道や交通の状況から見て、安全確保のためにやむを得ないと認められる場合などが定められております。 こうした場合に、車両用信号の色と歩行者用信号の色が異なる歩車分離信号において、十三歳未満の子供が車両用と歩行者用のどちらの信号に従えばよいのかといったケースや、先ほどの自転車が車道を安全に走行できない場合とは、どのような程度までを指すのか判断に迷うといったケースもあるかもしれません。 さらには、実際の運用や要望により、適宜対応の見直しが求められることもあるかと思います。 現在、道交法は自転車の二人乗りを原則禁止とした上で、各都道府県の公安委員会規則で、幼児用の座席の同乗を小学校入学前までに限り二人まで認めているところでありますが、子育て世帯からは、通学や送迎の必要から緩和を求める声もあり、見直しの可否が検討されています。 いずれにせよ今回の道交法の改正は、自転車を歩行者の延長ではなく、改めて歩行者を守る側である車であるのだという社会的な意識改革を求めるものであります。 そこでお尋ねをいたします。今回の自転車の交通ルール厳格化を踏まえ、安心・安全で快適な自転車利用の推進を図るため、今後どのように取り組むのか、県警本部長の御所見をお伺いをいたします。 以上、公明党を代表しての質問といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)前東議員の代表質問にお答えします。 まず、中東情勢の影響と今後の対応についてのお尋ねです。 中東情勢の悪化による影響が続く中、本県においても県経済の屋台骨であるコンビナートや地域経済を支える中小企業などの幅広い事業活動において、原材料不足や価格高騰などの影響が顕在化しています。 こうした状況を見据え、県では、速やかに全庁的な情報連絡会議を設置し、県内企業への影響の把握や、国の対応等に関する情報の共有などに努めてきています。 また、県内企業の事業活動に支障が生じることのないよう、影響が懸念され始めた段階から、県や関係機関に特別相談窓口を設置し、企業から寄せられる、原材料が高騰、不足している、一部の物資の調達が困難といった相談に対して、必要なアドバイスや情報提供を行っています。 あわせて、資金繰りに関する相談に対しても、早い段階から取扱いを開始している県制度融資の原油価格・物価高騰対応資金等により、企業が必要とする金融支援を実施しています。 さらに、経営環境の変化による影響を受けやすい中小企業の収益が圧迫されることのないよう、原材料価格やエネルギーコストの上昇を踏まえた適正な価格転嫁の促進等について、県内の経済団体に対し、年二回実施している通常の要請に加えて、改めて協力を要請したところです。 こうした取組に加えて、先般の政府要望においては、柳居議長と共に経済産業省に対して、重要物資の安定供給の確保と、県内産業と県民生活を守る対策の推進を強く要望しました。 また、私は現在、石油コンビナートが立地する自治体で組織する全国石油コンビナート立地府県協議会の会長を務めていることから、その立場からも赤澤経済産業大臣に対して、素材、エネルギーの安定供給の確保とコンビナートの強靱化などについて緊急要望を行ったところです。 こうした中、国においてガソリン等の緊急的な支援に加え、電気・ガス料金の支援や重点支援地方交付金の増額等が措置されたことから、県ではこれに呼応し、今回の補正予算により、特別高圧を受電する中小企業者等の電気料金やLPガス料金を支援することとしています。 中東情勢については、事態終結に向けた動きも見られるものの、石油化学製品等のサプライチェーンの正常化や再構築などには時間がかかることが想定されます。 このため、県としては、現在実施している支援や対応を軸に、必要な対策を機動的に講じていくとともに、県の特設サイトを通じて、物資の供給状況や流通の円滑化に向けた取組などをタイムリーに発信していくこととしています。 また、供給の偏りや流通の目詰まりに関する個別事案については、国と連携した対応が特に重要であることから、国の情報提供窓口に確実につなげるなど、引き続き丁寧に対応していきます。 私は、中東情勢の影響により時々刻々と状況が変化する中にあっても、安定した事業活動を継続することができるよう、国や関係団体と緊密に連携しながら、県内企業への支援に積極的に取り組んでまいります。 次に、生活困窮者・高齢者支援についてのお尋ねにお答えします。 食料品などの価格高騰や人手不足による人件費の上昇など、長期化する物価高により、日々の暮らしや将来に対する不安が一段と高まっており、とりわけ生活困窮者や高齢者は、より深刻な影響を受けやすい傾向にあります。 このため、私は、こうした方々に対して、一人一人の課題に応じた、きめ細かい支援策を講じることとしています。 まず、生活困窮者に対しては、現在、社会福祉協議会において、生活福祉資金の貸付けを行っており、また、多くの市町において、就労準備や家計改善等に関する支援が実施されているところです。 また、県においても、今年度新たに、就労準備等の支援に着手していない市町の方々を対象に、広域的な伴走支援を行うこととしています。 お示しの養育費の履行確保支援については、県母子・父子福祉センターに専門相談窓口を設置したほか、国に先駆けて、強制執行に必要な手続費用等を補助してきたところです。 その上で、こうした養育費確保に向けた支援を必要とする方に、制度等の情報が確実に行き届くよう、引き続き市町や関係機関等と連携し、ホームページやリーフレットの活用による周知に努めるとともに、相談対応に当たる職員の専門性向上のための研修を実施していきます。 次に、高齢者に対しては、要介護者等が必要な介護サービスを継続的に利用できるよう、私自ら国に対して、介護報酬の大幅改定や緊急的な財政支援などを直接要望し、その結果、本県の意向が反映された介護事業所への処遇改善策、物価高対策が講じられたところです。 県としても、介護事業所の経済的負担を軽減し、安定的・持続的なサービス提供が図られるよう、国の重点支援地方交付金を活用し、光熱費や食材料費に対する支援を行っているところであり、今後も適切に対応してまいります。 また、高齢者の社会参画につなげるため、関係団体と協働し、ボランティア参加への支援や住民同士が交流できる居場所づくりの充実を図るとともに、働く意欲を高めるセミナーの開催や、シルバー人材センター等を通じた多様な就業機会の提供により就労を促進してまいります。 なお、成年後見制度については、今国会において、利用者の意思をより尊重した制度へ見直しが行われたことを受け、市町や団体等を対象に制度改正に関する研修会等を実施するとともに、県民に対して市町と連携した広報を行い、制度の利用促進に向けて一層の周知を図っていきます。 私は、県民誰もが、いつまでも安心して暮らし続けられるよう、今後とも市町や関係団体等との緊密な連携の下、物価をはじめとする社会経済状況や国の動向を注視し、必要な支援策の充実強化を図ってまいります。 次に、カスハラ対策についてのお尋ねにお答えします。 カスハラは、働く方々の尊厳や心身を傷つけ、離職や職場全体の生産性の低下にもつながり得る問題であり、安心して働くことのできる職場環境づくりを進める上で、決して看過できない課題であると認識しています。 このため、これまでも各県民局の中小企業労働相談員による事業所訪問や労働セミナーの開催、国の企業向け対策マニュアル等の周知、労働ほっとラインによる相談対応を通じて、企業におけるカスハラ対策を後押ししてきました。 また、社会全体で働く方々の尊厳や就業環境を守ることへの理解を深めるため、カスハラ防止に向けたシンポジウムの開催周知やポスター掲示など、年末に実施される国の職場のハラスメント撲滅月間と合わせた情報発信を行っています。 こうした中、本年十月から、全ての事業主にカスハラ等の防止措置が義務づけられることから、昨年度千二百社を超える企業からのヒアリングを実施するなど、ハラスメントの予防・解決に関する取組状況や、対策を講じる上での課題について実情の把握に努めてきました。 その結果、カスハラ対策の必要性についての認識は徐々に広がっているものの、とりわけ人的資源が限られている中小企業においては、対応方針や相談体制の整備、発生時の初動対応などをどう進めるかといった実務面での支援が重要であると改めて認識したところです。 このため、昨年末に策定した県職員向けのカスハラ対応方針を活用し、事業所における体制整備や類型別の対応要領等を幅広く周知するなどにより、特に中小企業における実効性ある対策を促進していきます。 具体的には、県の対応方針等に定める取組を自社の対策に転用や活用しやすいよう、県の企業向けカスハラ対策関連サイトに掲載するとともに、労働相談員による事業所訪問の機会を活用し、企業のカスハラ対応の参考となるよう普及を促進します。 また、人事労務管理の実務に精通した山口県社会保険労務士会をはじめとする関係機関と協力体制を一層強化し、やまぐち働き方改革支援センターのアドバイザーによる企業の実情に応じた伴走支援に取り組みます。 加えて、カスハラの未然防止には、社会全体の理解も重要であることから、法施行を目前に控えた時期を捉え、広く県民に向けて、事業者への行き過ぎた言動に対する注意喚起などの周知啓発を、各種広報媒体等を活用し集中的に実施してまいります。 私は、今後ともカスハラ防止に向けて、国や他自治体の動向も注視しつつ、関係機関と連携しながら、県内企業の状況や課題の把握に努め、県民への周知啓発と企業の実務的な支援に着実に取り組んでまいります。 次に、ドクターヘリの持続可能な運用についてのお尋ねにお答えします。 私は、人口減少や少子高齢化が進む中にあっても、県民誰もが住み慣れた地域で、健康で安心して暮らしていけるよう、迅速な救命救急医療や適切な高度医療を県内全域に展開できる体制を確保することは、極めて重要と考えています。 このため、中山間地域及び有人離島を多く抱え、五つの救命救急センターが全て山陽側にある本県の特性も踏まえ策定した、山口県保健医療計画に基づき、ドクターヘリの運航等を通じて、県内おおむね三十分以内での初期治療の開始や救命救急センター等への搬送体制を確保してきたところです。 また、広島・島根両県との広域運航により、運航体制の強化にも取り組んでおり、こうした取組の結果、ドクターヘリは年間約三百件の搬送実績を上げ、救命率の向上や後遺症の軽減など、広く県民の方々の暮らしの安心・安全の確保に大きく寄与しているものと考えています。 こうした中、お示しのとおり、ドクターヘリは能登半島地震においても重要な役割を果たしたところですが、昨年の夏頃から十都府県において、ドクターヘリを運航する事業者が搭乗する整備士を確保できないことなどから、運航を停止する事態が発生しているところです。 このため、本県においても同様の事態が生じないよう、本県のドクターヘリ基地病院である山口大学医学部附属病院をはじめ、消防機関や関係医療機関と連携しながら、ドクターヘリの安定的な運航が維持できるよう、運航管理や施設整備などへの取組を一体的に進めることとしています。 まず、運航管理については、山口大学医学部附属病院において、整備士等を確実に派遣できる事業者を選定するとともに、県も参画するドクターヘリ運航調整委員会で、安定的かつ円滑な運航体制に関する協議・調整を行うなど、関係機関間で共通認識を形成しています。 また、施設整備については、今年度、県からの補助金を活用して、より運航の安定化が図られるよう、専用無線設備の更新や、ヘリポート施設の整備などを行うこととしています。 こうした取組に加え、県では、持続的な広域救急医療体制を確保するため、今後、国が示す新たな地域医療構想策定のガイドラインに基づき、ドクターヘリ等による救急搬送体制の充実を図り、高度な治療を担う救命救急センターとのさらなる連携強化に向け、構想の策定作業を進めます。 私は、今後とも一人でも多くの貴い命が救われるよう、ドクターヘリの持続可能な運用を通じて、県民の安心・安全を支える救急医療体制の充実に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)高校教育改革についてのお尋ねにお答えします。 人口減少や若者の県外流出など、本県を取り巻く社会状況が大きく変化する中、ふるさと山口の未来をつくる心意気である、やまぐちPRIDEをもって、主体的に未来を切り開いていく人材を育成することが重要であると考えています。 このため県教委では、高等学校において、小中学校での学びを基盤に、学校・学科の専門性に応じて行う探究活動等を通じて、社会や地域の課題を主体的に捉え、その解決に向けて行動できる生徒の育成に取り組んでいるところです。 こうした中、国において高校教育改革に関する基本方針が示されたことから、その方針や本県の課題等を踏まえ、お示しの三つの類型に応じた拠点校を選定し、高校教育改革のための基金の積み増しを国へ申請しているところです。 まず、専門高校の機能強化・高度化に関する拠点校では、地元企業や県内大学等と連携した研修が可能となる施設を新設するとともに、地域産業の魅力を知る体験的な学習などの充実を図ることとしています。 次に、普通科改革を通じた高校の特色化・魅力化に関する拠点校では、高度な分析を可能とする実験機器等を配備した施設を新設するとともに、県内大学等と連携し、探究活動の高度化を図ることとしています。 また、地理的アクセス・多様な学習ニーズに対応した教育機会の確保に関する拠点校では、DXにより中山間地域等の複数の学校をつないだ遠隔授業の実施や、通信制課程を活用した柔軟な学びのモデルの構築などを進めることとしています。 さらに、各拠点校の取組事例を、高校同士をつなぐネットワーク上で共有するとともに、整備した施設・設備を拠点校以外の高校も広く活用できるようにすることで、県内全域にその取組成果を普及してまいります。 県教委といたしましては、基金を活用して、本県の地域産業の未来を支えるデジタル人材やGX人材などを育成するとともに、山口県で学ぶ全ての生徒に、より質の高い教育を提供できるよう、高校教育改革に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)秋本警察本部長。 〔警察本部長 秋本泰志君登壇〕 警察本部長(秋本泰志君)安全・安心で快適な自転車利用の推進についての御質問にお答えいたします。 議員から御指摘のとおり、全国における自転車が関係する死亡・重傷事故のうち、約四分の三には自転車側にも法令違反があることなども踏まえ、本年四月一日から自転車の交通違反に交通反則通告制度、いわゆる青切符制度が導入されています。 県内における自転車に係る交通事故等の情勢を見ますと、本年五月末現在、自転車が関係する死亡・重傷事故が三十一件発生し、そのうちの約七割の利用者に法令違反が認められています。 また、自転車の取締り件数は、本年四月一日の本制度の開始後、青切符交付件数が二件、警告が千件であり、ながらスマホやイヤホン装着、並進などの法令違反が多く認められています。 県警察としては、安全・安心で快適な自転車利用を推進するためには、自転車の運転者が交通事故の被害者にも加害者にもならないよう、自転車の基本的な交通ルールを遵守することが重要と認識しており、本制度の開始を一つの契機として、改めて自転車の交通ルールの遵守を促すため、関係機関と連携しつつ各種対策に取り組んでいるところです。 具体的には、自転車の交通ルールを分かりやすく紹介した動画をホームページやSNS等で発信するとともに、子供から高齢者まであらゆる世代に対する参加・体験型の交通安全教室を開催しているほか、自転車が集中する駅周辺や通学路から選定した自転車指導啓発重点路線において、啓発チラシやリーフレットを配布するなどの街頭キャンペーンを行っています。 また、自転車の交通反則通告制度の対象が十六歳以上であることを踏まえ、教育委員会と連携の上、警察庁が公表している、自転車の基本的なルールを取りまとめた、自転車ルールブックを活用し、学生やその保護者に対する周知に努めるとともに、教職員対象の自転車指導者研修会の開催、自転車販売店との連携による交通安全意識の醸成に向けた取組を行っているところです。 他方、本制度に関しては、県民の皆様から、依然として、交通違反をした場合、どんな違反でも切符を切られるのかといった声が寄せられていることから、自転車による交通違反を認知した際には、指導警告を行うことを原則とし、悪質・危険な交通違反について検挙を行うといった基本的な考え方に変更はないことについて、引き続き丁寧に周知してまいります。 このほか、議員の御指摘のとおり、自転車利用者に分かりやすい道路交通環境の整備も重要と認識しており、自転車が歩道を通行することができる箇所を示す、自転車歩道通行可の道路標識を追加するなどの取組を進めています。 なお、議員お示しの偽青切符詐欺に関しましては、現在のところ、県内における被害の認知はございませんが、交通安全教室などのあらゆる機会において、被害防止に係る広報啓発を行ってまいります。 県警察といたしましては、引き続き、教育委員会等の関係機関と連携し、自転車の交通ルールの遵守を図るなど、安全・安心で快適な自転車利用の推進に努めてまいります。 ───────────── 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩いたします。再開は、午後一時の予定でございます。 午前十一時四十七分休憩 ─────────────