録画映像

※本会議の録画映像をご覧いただけます。

令和元年 9月定例会
9月24日　代表質問
戸倉多香子　(民政会)

項目

１　まちづくりと連携した地域公共交通について
２　「水素先進県」の実現に向けた取組強化について
３　山口県の農業政策について
４　イージス・アショアの配備計画について

会議録

議長（柳居俊学君）戸倉多香子さん。
　　　　〔戸倉多香子さん登壇〕（拍手）
戸倉多香子さん  民政会の戸倉多香子です。令和元年九月定例会に当たり、県政の諸課題について会派を代表して質問させていただきます。
　初めに、まちづくりと連携した地域公共交通の政策についてお尋ねいたします。
　先日、毎年開催されている私鉄中国交通政策自治体議員懇談会に参加しました。中国地方各県各市の地域交通の現状や先進事例などをお伺いしましたが、その中に、国土交通省が、有識者による地域交通フォローアップ・イノベーション検討会を立ち上げ、とても重要な議論がされている、六月には提言が取りまとめられたとのお話がありました。
　この検討会は、バス、タクシーの需給調整規制の廃止から約二十年、地域公共交通活性化再生法の制定から約十年が経過し、公共交通の利用減少や公共交通事業者の赤字運営等の諸課題の顕在化を踏まえ、地域における交通ネットワークの維持・確保に向け、地方自治体、民間等地域の主体が、潜在力も含めた地域力の発揮により、持続可能で地域最適な利便性の高い交通ネットワークの維持・確保を実現することを可能とする政策のあり方等を幅広く検討する会との、国土交通省のホームページによりますと、そういった説明がされておりました。
　この検討会の委員のお一人が、懇談会に参加しておられ、直接お話をお聞きすることができました。新たな地域のモビリティーをどうつくっていくのか。例えば、運転免許を返納した高齢者の移動手段として、あるいは、過疎化の進む地域をどう支えるのか、通勤、通学、高齢者、障害者等の円滑な移動、子育て、医療、介護、さらには観光の二次交通など、まちづくりと一体となった、さまざまな視点の議論が進んでいるとお聞きしました。
　複数の運送会社の連携による道の駅を活用した中山間地域への配送サービスなど、具体的な提案のお話もあり、それらを聞きながら、私は、人口減少や高齢化などの大きな課題があっても、あらゆる連携や協働により乗り越えることができるのではないかという希望が湧いてまいりました。
　本定例会の初日、知事は、東京一極集中や少子高齢化という我が国の構造的な問題に対しては、今後も国、地方を挙げて取り組みを強化していかなければならないとのお考えを示され、地方創生の取り組みを重点的に進めるために、平成二十七年度に策定され、今年度で終期を迎える「山口県まち・ひと・しごと創生総合戦略」の第二期総合戦略を年内に策定することを明らかにされました。まさに、その戦略の中に、まちづくりと連携した地域公共交通の視点を盛り込んでいただきたいと思っています。
　地域公共交通政策については、私が前回、代表質問を行った平成二十七年九月定例会でも質問しました。その年の開催の交通政策自治体議員懇談会で、新しい流れとしての地域公共交通網形成計画について、いろんなケースをお聞きしましたので、それをもとに、市町が中心となって策定されることの多い地域公共交通網形成計画ではありますが、県が主体となって取り組まれてはどうかとお尋ねしたのでした。
　平成二十五年に制定された交通政策基本法は、国の総合的な交通体系を構築するとともに、いわゆる交通弱者に対し移動権を保障することを目的とする交通基本法案を民主党と社民党が、平成十四年及び十八年に議員立法として共同提案したのが始まりと言われています。
　その後、民主党連立政権になり、平成二十三年三月、内閣提出法案として国会に提出され、成立すると考えられていたところ、三・一一東日本大震災もあり、審議未了のまま廃案となりました。結局、自公政権において内容が見直しされ、成立しましたが、移動権の精神は引き継がれたと聞いております。
　この理念にのっとり、一、民間事業者の事業運営を任せきりであった従来の枠組みから脱却して、地方公共団体が中心となり、二、まちづくりと連携し、三、面的な公共交通ネットワークを再構築するため、市町村が策定する地域公共交通総合連携計画にかわって、都道府県や市町村が地域公共交通網形成計画が策定できるように、平成二十六年、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律が大幅に改正されました。
　その趣旨を酌み取れば、市町が中心になるとはいえ、中山間地域も含めた分散型都市構造の山口県にあっては、交通拠点からのネットワークを市町の枠を超えて、利便性をどのように構築していくのかという視点を強力に打ち出し、県が積極的に踏み込んで取り組むべきではないかと考え、知事のお考えをお尋ねしたのでした。
　知事は、この計画の策定に当たっては、まちづくりの取り組みとの連携が求められており、まちづくり施策の主体は市町であること、また、分散型都市構造の本県においては、日常生活を営む上での交通は、同一市町内での利用が大半であることから、地域の実情を最も把握している市町が行うことが基本であるとのお考えを示されました。
　実際に、山口県では、宇部市、周南市、山陽小野田市を初め、十一市で策定済みで、萩市や柳井市も今年度策定予定と聞いています。
　しかし、地域交通フォローアップ・イノベーション検討会の提言書にも、制度見直しの方向性として、地域交通は広域幹線交通と地域内交通の整合の確保が重要であり、都道府県と市町村が協働して策定する広域計画を制度化すべきとされています。
　お話をお聞きした検討会委員のお一人の方は、県単位の広域的な計画が必要だとの意見が出ていたと話されていました。
　そこでお尋ねいたします。県は、分散型都市構造であるからこそ必要だと思える広域的な交通ネットワークの計画を、市町と連携して策定すべきだと考えます。まだ、計画が策定されていない町の計画は、県が各町との協働で広域的に策定することも、現在の制度のままで可能と思いますが、誰もが住みなれた地域で、安心して暮らし続けることのできる山口県を目指して、持続可能で利便性の高い交通ネットワークを維持・確保するために、まちづくりと一体となった広域的な地域公共交通網形成計画を策定していただきたいと思いますが、知事のお考えをお聞かせください。
　次に、水素先進県の実現に向けた取り組み強化についてお尋ねいたします。
　昨年十月二十三日に、経済産業省及びＮＥＤＯは、世界で初めて閣僚レベルが水素社会の実現をメーンテーマとして議論を交わす水素閣僚会議を開催し、その成果は東京宣言として発表されました。
　そこには、水素が交通部門、工業部門、電力部門を含めた、多くの部門で利用することができること、そしてエネルギー貯蔵能力がすぐれていることが明記され、水素は、経済成長及びエネルギー安全保障、同時に、大気質の改善、温室効果ガスの削減により、環境保護に貢献することができると宣言されています。
　ことしも、水素閣僚会議二○一九を九月二十五日、あすですが、開催するそうです。
　私は、これまでも、山口県の強みである瀬戸内沿岸の産業集積を生かす産業戦略に位置づけられた水素先進県の取り組みについて、しつこく質問してまいりましたが、最近の世界の自動車をめぐる動向が、まだまだ水素ステーションなどのインフラ整備の進まないＦＣＶ──燃料電池自動車よりもＥＶ──電気自動車のほうへと大きく動いたことから、山口県の水素先進県の取り組みがトーンダウンしているのではないかと心配していました。
　水素の可能性は、先ほどの東京宣言の中にあるように、さまざまな分野で発揮されるものなのにと少し残念に思っておりましたところ、令和二年度の予算編成及び政策決定等に関する国への提案・要望書に、水素利活用による産業振興と地域づくりについてが、やまぐち維新プラン推進の超重点要望として大きく取り上げられていましたので、ほっとしたところです。
　ＳＮＳなどネット上の水素関連情報を拾っていると、世界での競争は激しさを増しているようです。ドイツでは、水素燃料電池で動く世界初の旅客電車が運行を開始、また、燃料電池を量産し販売する企業も誕生。中国、韓国、台湾などアジア勢も勢いを増しているそうです。
　日本は、燃料電池自動車、家庭用燃料電池、産業用燃料電池、水素発電用ガスタービンなど先陣を走ってきたが、技術で勝って商売に負けるという事態にならないように、ビジネスモデルを抱き合わせで汎用性を示す必要がある。日本も実証から実装が必要だという投稿もありました。
　地元周南市での水素関連の取り組みの中には、世界初の試みがたくさんあり、村岡知事もこれまでに山口県の取り組みを紹介する県庁玄関でのパネルやホームページで、ここがすごいとＰＲしてくださっています。
　二○○七年から二○○九年、ソーダ工場の副生水素を周南市の一般家庭に設置した水素供給燃料電池にパイプラインで直接供給することにより、発電・給湯を行う実証実験を行ったことは、全国で初めてと紹介してくださいました。
　これは、世界でも初の試みであると、当時の担当課長から聞きました。また、このときの御縁が、二○一一年の株式会社トクヤマと岩谷産業との合弁事業、山口リキッドハイドロジェンの設立につながったと当時の商工労働部長も講演などでお話しされていました。
　水素は、温暖化対策の国際的な枠組みパリ協定が目指す脱炭素化を実現するためのキーテクノロジーの一つだと言われていますが、周南コンビナートから発生する副生水素は、水素製造過程でＣＯ２をたくさん排出しているではないかと指摘する方もあります。私も副生水素利活用は、あくまでも再生可能エネルギー由来の水素製造を目指して研究が進んでいる過程の暫定的なものと考えていました。
　ところが、最近では、化石燃料から水素をつくり、その際に出てくるＣＯ２はＣＣＳと呼ばれるＣＯ２を回収・貯留する技術で地中に埋めればＣＯ２を抑えることができるとの記事を読んだこともありますので、技術の進展はいろんな可能性を秘めています。
　東京宣言の三つ目の柱に、さまざまな水素製造工程での上流・下流両方におけるＣＯ２及びほかの汚染物質の削減効果を評価するため、データを収集、分析、共有する水素の可能性調査・評価という項目があります。
　これらは、まさに株式会社トクヤマを初めとした地元企業や産官学で進めてきた実証事業で積み上げたデータが活用できると思いますし、周南コンビナートを中心としたコンビナート連携の取り組みにより寄与できる内容だと思いました。
　しかし、それらの研究や実証には、時間もお金もかかります。すぐに雇用や地元中小企業への波及効果へとつながらなくても、辛抱強く地元ものづくり企業の支援を続けてほしいと願っています。
　また、周南市水素利活用協議会の会長である稲葉山口大学教授によれば、中四国地方初となる水素ステーション設置の際、自治会を初め地域の方々の理解を得るための取り組みやノウハウが大変貴重だと評価をいただいているそうです。全国から講演の依頼があるそうですが、ほかの県でもそのまま活用いただいているとのことでした。
　他県では、試行錯誤することなくと稲葉先生は言われていましたが、これは大変重要です。まさに、東京宣言の中の四つ目の柱にある、安全性という観点から、水素に対する前向きな意見を構築するため、教育者を教育するプログラムに関する情報を共有し、水素に関する理解の広がり、普及を強化するというコミュニケーション、教育及びアウトリーチに生かしていける山口県の財産だと思います。
　村岡知事は、山口県の取り組みが、地方圏における水素利活用の一つのモデルとなるよう、地域住民、企業、関係団体、行政機関等が一体となった取り組みを実施するなど、水素先進県の実現を目指して、大変御尽力をしてくださっておりますけれども、日本の水素社会の実現への取り組みが世界との激しい競争となり、一層スピードアップが求められている中、競争に打ち勝つ技術開発のための地元ものづくり企業への支援や、山口県の先進的事例を世界の水素社会の実現に活用していただくためのさらなる情報発信が必要と考えています。
　そこでお尋ねします。水素先進県の実現に向けて取り組みを強化していただきたいと思いますが、今後、どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお尋ねいたします。
　次に、山口県の農業政策についてお尋ねいたします。
　二○一四年は、国際家族農業年でした。それにより小規模・家族農業の役割と可能性が再評価され、国連はことしから十年間を家族農業の十年とすることを決定しました。
　小規模・家族農業とは、農業労働力の過半を家族労働力が占めている農林漁業と定義されているようですが、世界の農業経営の八五％が二ヘクタール未満であり、それが世界の食料の八割以上を生産しているそうです。
　山口県では、二万一千四百十七の経営体のうち二万九百十八が家族経営ということですから、やはりほとんどが家族農業ということになります。
　これまで日本型の農業は、小規模で生産効率が悪いというマイナスイメージで捉えがちでしたが、改めて評価され、見直しされているようです。
　今回、質問のために、いろいろな資料を見ていましたら、参院選に当たり、日本農業新聞が各政党に、農政で最も訴えたいことを優先順に三つ上げるというアンケートをとられた結果の記事がありました。
　自民党さんは、一番に家族農業を含む多様な農業の振興と答えておられて、家族農業の重要性を訴えているのは、野党側だけではなかったのだと初めて知りましたが、大変心強く感じました。
　しかし、日本型の農業を続けていくための戸別所得補償制度や、地域の特性に応じた米、麦、大豆といった主要農作物の国内自給の確保と食料安全保障に多大な貢献をしてきた主要農作物種子法の廃止は、大変残念に思っています。
　種子法廃止後の県の役割として種子条例をつくるべきだとの考えは変わっていませんが、昨年の議会でもしつこく質問してまいりましたので、ここでは置いておきます。
　できましたら、今後、山口県議会が党派を超えて、議員提案により種子条例づくりに進めないだろうかと考えています。勉強会などを計画していきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
　さて、日本型農業は、平地が少ないという欠点を、豊かな森林・川・海によって補ってきたと言われています。
　上流の森林や棚田により日本の土壌は守られ、下流地域の暮らしを安定させてきた環境保全型の農業であり、農業用水路の整備、補修に当たっては、地域のみんなが協力し合い、地域の連帯を大切にしてきたのが日本型農業だと言えます。
　まさに、国連が進める家族農業の十年の趣旨と合致しますが、小規模・家族農業が再評価される中、本年六月、議員立法により棚田地域振興法が成立しました。
　内閣府地方創生推進事務局による制度の概要説明がホームページで読めますが、多様な主体が参画する地域協議会による棚田を核とした地域振興の取り組みを関係府省庁横断で総合的に支援する枠組みとあり、想定されるプロセスの中に、都道府県棚田地域振興計画の策定と、指定棚田地域の指定申請が県の役割としてあり、令和二年度予算に反映されるためには、令和二年三月までに指定棚田地域振興活動計画が認定される必要があるとされています。
　内閣府の令和二年度棚田地域振興関連予算概算要求には、まさに、関係府省庁横断で、さまざまな視点からの活用が考えられる事業が盛り込まれていますが、やはり農家の皆さんが柔軟に活用できるように、正確な情報共有が重要だと思います。
　この法律は、令和七年三月三十一日限り、その効力を失うとされており、期間も短いので、ますます周知徹底が重要です。タイミングを合わせるように、十月十三日、十四日に、第二十五回全国棚田サミットが、長門市で開催されるそうです。この法律が周知されるきっかけとなればよいと思っています。
　そこでお尋ねします。以上、これまで申し上げたことも踏まえ、農業の振興に向けて、棚田の保全や棚田地域の有する多面的機能の維持増進にどう取り組まれるのか、御所見をお伺いします。
　最後に、イージス・アショアの配備計画についてお尋ねいたします。
　これまでも一般質問で主張してまいりましたが、私個人としては、イージス・アショアの配備は、日本中どこの場所であっても必要ないという立場です。
　それなら、どうやって日本を守るのかというお考えの方も多いので、安全保障上、どうしても必要ということであれば、陸上に固着する形ではなく、海上で自由に移動できるイージス艦のほうがよいと考えています。
　実際に、四隻だったイージス艦は八隻になりました。二○一三年度閣議決定の防衛計画の大綱で構想された八隻体制の最後の一隻となる「はぐろ」の進水式が、七月十七日横浜市であったとの新聞記事には、弾道ミサイル防衛（ＢＭＤ）の能力を持つ八隻体制が整えば、全国を常時、継続的に防護可能になると二○一七年の大綱ではされていたと書かれています。
　いろんな専門家も指摘していますが、最近読んだ記事にも、日本のイージス・アショアは、陸上固定基地であるという致命的弱点から、萩配備はせいぜい五分程度で蜂の巣にされるだろうとの指摘がありました。
　イージス・アショア配備計画の撤回を求める住民の会がつくられたパンフレット「イージス・アショアとはなにか？Ｖｏｌ．２」には、「常に攻撃対象として、テロの脅威にさらされます。イージス・アショアを守るためにＰＡＣ３というミサイルが配備されます」とあります。まず、この攻撃対象になるという点について知事のお考えをお尋ねいたします。
　今月、地元周南の中央地区の敬老会に出席しました。米寿を迎えられた方には、毎年、花束が贈られるのですが、受け取られた女性の方が、お礼の言葉とともに述べられたのは、徳山の大空襲のことでした。
　十四歳だったそうですが、「みんなで港近くの鉄工所に避難した。熱いので、泳げる方はみんな海に飛び込んだ。すると、海で泳ぐ人は、みんな低空の機銃掃射で撃たれて亡くなった。私は泳げないので、そのまま屋内にいて、たまたま助かった。それから、こんなに長く生きるとは思いませんでした。本当にありがとうございます」と話されました。
　昭和二十年、海軍燃料廠があったから、徳山の町は焼け野原になったのですが、山口県では、岩国市など軍事施設のあるところは、みんな空襲に遭い、多くの方々が命を落としました。
　誰もが同じ思いだと思いますが、戦争になるようなことは絶対にあってはなりません。イージス・アショアで、仮に一発目の弾道ミサイルの攻撃が防げたとしても、その後はどうなるのでしょうか。
　そのままで終わるわけではなく、想像力を働かせることができるならば、そのような状態をつくらない外交努力こそ、幾らお金をかけてでもやらなければならないことではないでしょうか。防衛能力だけのイージス・アショアが抑止力になるとは到底考えられません。
　では、なぜ、イージス・アショアの配備を政府は進めているのか。それについては、既にいろいろ報道されていますが、今回のイージス・アショアの本体部分が、アメリカの武器輸出制度の対外有償軍事援助（ＦＭＳ）で調達するものであり、アメリカの対日貿易赤字の削減を求めるトランプ政権に対し、バイ・アメリカン──アメリカ製品を買おう──に協力するものだという分析記事が多いと思います。
　昨年六月定例会で、安倍内閣になってからＦＭＳ調達がこんなにふえているとの国会での議論を紹介しました。（掲示）これですが、これは、そのときお示ししたものですけれども、国民民主党の大塚耕平参議院議員が使われたデータをお借りしたものです。大塚議員は、ＦＭＳ契約について、次期戦闘機Ｆ35Ａの調達に関して会計検査員が報告した内容をもとに、この取引は、価格、納入期限は見積もりにすぎず、アメリカ政府は、これに拘束されない。代金は前払い、アメリカ政府は契約を一方的に解除できるという内容だと指摘されています。
　配備の必要性には、本当に疑問がありますが、日本への配備について、アメリカの側から分析した、米国シンクタンクのＣＳＩＳ、これは小泉進次郎さんがおられたとことして有名ですが、最近、民間シンクタンクと言いながら、日本政府が寄附をたくさんしていたという記事が出ておりましたが、この上級研究員トーマス・カラコ氏が発表したレポート論文「太平洋の盾　巨大なイージス艦としての日本列島」を萩市の市議会議員さんが翻訳されて、イージス・アショアの配備の本当の理由を検証する会が、十四日に萩でありました。
　それに参加しましたが、その内容は、ほかの議員さんが取り上げられると思いますので、ここでは触れるだけにしますが、さまざまな分析がある中で、知事は、イージス・アショアの配備の必要性について、本当に納得されているのでしょうか、お尋ねいたします。
　最後に、この計画の当初から、住民の皆さんが心配されていた湧水の問題をお聞きします。湧き水の問題ですね。
　配備計画の撤回を求める住民の会の「イージス・アショアとはなにか？Ｖｏｌ．２」にも、大がかりな造成工事は、ジオパークに認定されている阿武火山群である自然を破壊し、溶岩性台地が古代より育む湧水に影響を及ぼすということに対する懸念が示されています。
　八月三十日に、むつみ演習場周辺の水・環境に関わる地元住民一同七団体九十一名とイージス・アショア配備計画の撤回を求める住民の会の方々が、防衛省中国四国防衛局長に申し入れをされましたが、これは、毎月質問をされて、その答弁を次の月にいただくということを続けておられるようですが、そこで、防衛省の検討結果の問題点として、地下水に影響を与えることはありませんとされた根拠を全て開示してもらいたいというお話が出ました。
　担当者からの説明を聞いていると、本当に調査されたのかと疑問を持つようなやりとりとなりました。この点について、県は防衛省にデータを開示させ、しっかりと説明させることを住民の皆さんへ約束すべきだと思いますが、知事のお考えをお聞かせください。
　以上で、代表質問を終わります。私は、今後も笑顔あふれる山口県の実現を目指して、涙が出ても笑顔あふれる山口県を目指して頑張っていきたいと思っています。しかし、おかしいことはおかしいと声を上げてまいります。これからもしっかりと県民の皆様のお声を県政に届けていくことをお誓い申し上げまして、私、戸倉多香子、代表質問とさせていただきます。
　御清聴いただきましてありがとうございました。（拍手）
議長（柳居俊学君）村岡知事。
　　　　〔知事　村岡嗣政君登壇〕
知事（村岡嗣政君）戸倉議員の代表質問にお答えします。
　まず、まちづくりと連携した地域公共交通についてのお尋ねです。
　本格的な人口減少が到来し、公共交通を取り巻く環境が厳しさを増す中、本県においても公共交通機関の利用者数の減少により、バス路線の廃止や便数の減少が進行しており、公共交通の維持・活性化が喫緊の課題となっています。
　こうした中、地域における適切な交通手段の確保など、地域公共交通に関する施策の推進については、地域の実情を最も把握しており、まちづくりの主体でもある市町が主体的に取り組むことが基本となります。
　一方、県としては、市町に対する助言を行うとともに、広域的な公共交通の確保、維持を図り、全県的な共通課題である利便性の向上等に関する市町の取り組みを支援する役割を果たしていくこととしています。
　お尋ねの地域公共交通網形成計画については、地域内の交通ネットワークの再構築を促進するものであり、持続可能な公共交通網の形成を進めるためには、この計画を策定し、地域内の取り組みを展開していくことが重要です。
　また、この計画の策定に当たっては、都市拠点と居住エリアを結ぶ交通網の充実、再編が不可欠となることから、都市の再生や地域の活力の向上を実現するための市町におけるまちづくりの取り組みとの連携が求められています。
　このため、県では、市町が中心となった地域の特性に応じた計画の策定を促進してきたところであり、この結果、平成二十七年度から昨年度までに十一市において計画が策定をされ、さらに今年度中には残る二市においても策定される見込みとなっています。
　お示しの提言書では、広域的な幹線と市町村内路線の整合が確保された効果的な地域交通実現のための取り組みの必要性が指摘されるとともに、都道府県が複数市町と連携・協働して策定する広域計画の明確な制度化等が、国に対して提言されています。
　県では、これまでも、各市の全ての計画策定協議会に委員として参画し、分散型都市構造という本県の特性も踏まえ、広域的な幹線交通網の確保の観点から助言を行ってきたところです。
　その上で、各市における計画は、提言書で指摘されているような、隣接市町をまたがる広域的な幹線と市内の路線の役割についても考慮し、策定されています。
　こうしたことから、県としての広域的な公共交通網形成計画の策定は考えておりませんが、提言書を踏まえた国の制度見直しの動向等を注視しながら、引き続き市町における計画に基づく事業の推進や検証等について適切な助言を行うとともに、市町の取り組みを支援していきます。
　私は、今後も国や市町、交通事業者等との連携を密にし、地域住民の日常生活や、地域外との交流に不可欠な公共交通の確保、維持と利便性の向上に取り組んでまいります。
　次に、水素先進県の実現に向けた取り組み強化についてのお尋ねにお答えします。
　水素は、多様なエネルギー源から製造でき、利用時に二酸化炭素を排出せず、長期間の貯蔵や輸送が可能であるなど、すぐれた特徴を有していることから、脱炭素社会に向けた新たなエネルギーとして期待されています。
　私は、大量かつ高純度の水素が生成され、水素の製造・貯蔵技術を保有しているという本県の強みを最大限に生かし、水素利活用に向けた取り組みを展開していくことが重要と考えています。
　このため、やまぐち維新プランにおいて、新たな技術開発の促進による産業振興、水素利活用モデルの展開による地域づくり、水素利用の拡大に向けた基盤づくりを柱に掲げ、水素先進県の実現に向けた取り組みを推進しています。
　まず、産業振興に向けては、全国トップレベルの補助金の活用や、産業技術センターに設置したイノベーション推進センターによる技術支援により、県内企業等による研究開発・事業化の取り組みを促進してきたところです。
　この結果、県内企業十三社がみずから有する水素関連技術を結集して、太陽光発電で水素を生成し、災害時等での電力供給も可能な革新的な再生可能エネルギー活用型水素ステーションを開発し、事業化につながっています。
　また、水素から電気・熱を取り出す純水素型燃料電池システムや、水素を燃料としてお湯を供給できる水素ボイラー搭載型貯湯ユニットの開発など、水素関連機器の製品化が進んでいます。
　次に、地域づくりに向けては、環境省の委託事業を活用し、周南市、下関市とともに、周南市のコンビナートで発生する副生水素を活用した、製造から輸送、貯蔵、供給、利用に至るサプライチェーンの構築実証事業に取り組んでいます。
　周南市では、水素ステーションから燃料電池フォークリフトや、燃料電池自動車へ水素を供給するとともに、工場で発生する水素をパイプラインでスポーツ施設に直接供給し、電気や温水として活用しています。
　下関市においては、周南市から輸送した液化水素を、燃料電池自動車や、漁港内の福利厚生施設で活用するなど、地域間での連携を進めています。
　基盤づくりについては、全国三番目となる液化水素製造工場や、中国・四国地方で初となる水素ステーションを誘致したところです。
　また、こうした取り組み成果を国内外に発信していくことは、県内水素関連産業の振興を図る上で重要であることから、これまでも積極的な情報発信に取り組んでいるところです。
　まず、東京で開催される国際商談展示会、国際水素・燃料電池展に、昨年から県内企業とともに山口県ブースを出展し、太陽光発電を活用した高効率の水素製造装置など研究開発の成果を広く紹介しています。
　さらに、本年六月、世界水素技術会議が東京で開催された際には、各国からの参加者に対して、本県の水素サプライチェーン構築実証事業の取り組みについてＰＲに努めたところです。
　本県での取り組みは、国内だけでなく、海外においても活用できるすぐれたものであることから、引き続き関係機関等と連携し、研究開発・事業化を支援するとともに、さまざまな機会を通じ、積極的な情報発信に努めていくこととしています。
　私は、今後とも、国の事業も活用しながら、市町、企業、関係機関等と一体となって、やまぐち維新プランに掲げる三つの柱に取り組み、水素先進県の実現を目指してまいります。
　次に、山口県の農業政策についてのお尋ねにお答えします。
　農業は、食料の安定供給はもとより、県土の保全など多面的機能を有する重要な産業であり、本県農業の持続的な発展を図るためには、中山間地域が七割を占め、担い手の減少、高齢化が進行する現状を踏まえ、農地の保全と有効活用を図り、多様な担い手が活躍できる取り組みを進めることが重要です。
　このため、棚田を初めとする条件不利地域においても、生産活動が継続できるよう、中山間地域等直接支払制度等を活用し、耕作放棄地の発生防止など農地保全の取り組みを支援するとともに、農地の有効活用に向け、圃場の整備や畑作物の導入が可能となる排水対策など、生産基盤の整備を進めているところです。
　また、多様な人材が知識や経験に応じて力を発揮しながら農地を守り、効率的な農業経営を進めるため、集落営農法人の育成に重点的に取り組むとともに、家族経営など小規模でも意欲ある農業者に対しては、需要のある作物の栽培技術の習得や、六次産業化などの取り組みを支援しています。
　こうした中、棚田地域がその維持に多大な労力を要し、荒廃の危機に直面していることを踏まえ、その保全や機能の維持増進を通じて地域振興を図ることを目的に、棚田地域振興法が先月施行されたところです。
　棚田は、先人たちが長い年月と多大な労力をかけて築いてきたものであり、良好な景観を形成し、豊かな生態系を保全するとともに、良質米の産地としても評価を受けるなど、多くの役割を有する地域の財産であることから、次の世代に引き継いでいくことが重要と考えています。
　このため、私は、棚田の保全や棚田地域の有する多面的機能の維持増進を図りながら、中山間地域の農業振興に向けて、多様な担い手による特色ある農業生産を促進することとしています。
　具体的には、棚田の保全を図るため、地形に合わせた圃場の整備や、用排水路の補修等への支援を行うとともに、草刈り作業等への省力化機械の導入を進めます。
　また、棚田地域の有する多面的機能の維持増進を図るため、地域における徹底した話し合いを促進し、畦畔への芝桜の植栽など、棚田を生かしたさまざまな活動を支援していきます。
　多様な担い手による特色ある農業生産に向けては、集落営農法人を中心に、農地の集積を図りながら、ドローンなど効率的に作業ができる技術の導入を支援するとともに、小規模農家でも取り組みやすいリンドウなど、自然条件を生かした作物の導入を進めます。
　また、来月、長門市で開催される全国棚田サミットでは、成果を上げている活動事例の発表が予定されるなど、棚田の役割や魅力を再認識する好機になると考えています。
　これを契機として、棚田地域が持続的に発展するよう、棚田地域振興法の周知はもとより、中山間地域等直接支払制度など、各種支援制度の活用を促すこととしています。
　私は、今後とも、国、市町等と密接に連携して、棚田の保全や棚田地域の有する多面的機能を維持増進する取り組みを促進し、本県農業の振興につながるよう取り組んでまいります。
　次に、イージス・アショアの配備計画についてのお尋ねにお答えします。
　イージス・アショアの配備をめぐり、私は、国の役割と責任に属する防衛政策については、これを尊重する一方で、県民の安心・安全を確保する立場から、言うべきことは言うとの姿勢で、この問題に対応しています。
　そして、これまでも国に対し、地元の不安や懸念が払拭されるよう、詳細かつ丁寧な説明を繰り返し求め、また、配備に関しての疑問や確認したい事項については、四度にわたる文書照会等を通じて、国へ重ねてただしてきたところです。
　そうした中、お尋ねのあった三点のうち、まず、イージス・アショアが攻撃対象になるという点については、国の説明では、イージス・アショアを配備し、我が国の弾道ミサイル防衛システムを強化することにより、相手の弾道ミサイル攻撃を断念させる抑止力も大きく向上し、標的にされる危険性はむしろ減少するとされています。
　その上で、イージス・アショアは、重要な防衛装備であることから、万が一のテロ、破壊工作への対処に万全を期すとし、ことし五月に行われた適地調査結果の説明の中で、その具体的措置の概要も示されたところです。
　私としては、国において、住民の安心・安全を守るための適切な対策が講じられなければならないと考えています。
　次に、イージス・アショアの配備の必要性について納得しているかとのお尋ねです。
　イージス・アショアの配備自体については、防衛政策を専管する国が責任を持って、その必要性を判断されるべきものと考えています。
　なお、イージス艦のほうがよいとの御意見がありましたが、国からは、北朝鮮が我が国を奇襲的に弾道ミサイル攻撃できる能力を向上させていることを踏まえれば、イージス艦八隻で二十四時間、三百六十五日、切れ目なく防衛することは困難であるとの説明を受けているところです。
　次に、湧水に関する防衛省の検討結果について、防衛省にデータを開示させ、しっかりと説明させることを住民に約束すべきとのお尋ねです。
　国は、現地での地質調査や水文調査の結果、イージス・アショアの配備によって地下水等の水環境に影響は生じないとされています。
　しかしながら、このことについて、地元には依然として不安や懸念があり、国においては、これまでの地元説明会での状況等を踏まえながら、さらに住民への詳細でわかりやすい説明を尽くしていただかなければなりません。
　根拠となった調査データに関しても、地元からの要望に応え、できる限り開示するとの意向が既に示されているところであり、今後、西台の標高に係る測量調査後、実施が予定されている再説明に向けて、国に対し真摯な対応を強く求めていくこととしています。
　また、県としても、水環境への影響を含め、適地調査の結果については、十分な確認を行ってまいる考えです。
　　　─────────────
議長（柳居俊学君）この際、暫時休憩をいたします。再開は、午後一時の予定でございます。
　　　　午前十一時四十一分休憩

⬅ 前の画面に戻る